JP2017093218A - 交流電動機の制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータ入力電圧の変動時におけるインバータ異常の誤検出を防止することである。
【解決手段】昇圧コンバータ110は、電力線HPLの直流電圧VHを電圧指令値VH*に従って制御する。モータジェネレータMG1を制御するインバータ121と、モータジェネレータMG2を制御するインバータ122とは、直流電圧VHを共通に入力電圧として受ける。インバータ121および122の各々は、矩形波制御およびパルス幅変調(PWM)制御を選択的に適用される。直流電圧VHの電圧指令値VH*に対する電圧偏差が基準値よりも大きくなると、各インバータに対して矩形波制御の適用を禁止する第1の制御または、矩形波制御のフィードバックゲインを低下するとともに昇圧コンバータ110によるフィードバックゲインを上昇する第2の制御が実行される。
【選択図】図1

Description

この発明は、交流電動機の制御システムに関し、より特定的には、矩形波制御およびパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御の間で制御モードが切換えられる交流電動機制御に関する。
直流電源を用いて交流電動機を駆動制御するために、インバータを用いた駆動システムが広く知られている。特開2007−20383号公報(特許文献1)には、共通の昇圧コンバータによって入力電圧が共通に制御される複数のインバータによって複数の交流電動機がそれぞれ制御されるシステム構成が記載される。
さらに、特許文献1では、各インバータによる交流電動機制御について、矩形波制御または非矩形波制御(正弦波PWM制御あるいは過変調PWM制御)が選択的に適用される。矩形波制御の適用により、PWM制御よりもモータ印加電圧の基本波成分が大きくすることができるので、モータ回転速度の高い領域で高出力を得ることができる。
特許文献1では、矩形波制御中における電流(d軸電流値に対するq軸電流値)が増加すると、矩形波制御から非矩形波制御へ制御モードを緊急的に切換るとともに、コンバータの目標電圧を低下させる制御が記載されている。
特開2007−20383号公報
矩形波制御では、電気角180度ずつの1パルススイッチング波形(矩形波電圧)が交流電動機に印可され、当該矩形波電圧の位相制御によって、交流電動機の出力(トルク)がフィードバック制御される。したがって、交流電動機の電流(d軸電流、q軸電流)のフィードバック制御によって、交流電動機に印可される擬似正弦波交流電圧の振幅についても制御を実行できるPWM制御と比較すると、矩形波制御の制御応答性は低くなる。
特許文献1のように2個のインバータが共通の直流電圧を入力される構成では、一方のインバータに異常が発生したことによって直流電圧が変動したときに、矩形波制御中の他方インバータおよびモータに過電流が発生することが懸念される。
たとえば、一方のインバータにおいてスイッチング素子の開放故障が発生したときに、当該故障の影響によって電力バランスが崩れて共通の入力電圧(直流電圧)が変化すると、矩形波制御中の他方のインバータにおいて、スイッチング素子に故障が発生していないにも関わらず、過電流が発生する虞がある。
このようなケースでは、一方のインバータでの故障の発生によってシステムが停止される前に他方のインバータの異常が誤検出されることにより、両方のインバータおよび交流電動機が使用できない状態となってしまうことが懸念される。これにより、故障が発生していないインバータおよび交流電動機を用いた非常用の運転(代表的には、車両におけるリンプフォーム走行)が実行できなくなる虞がある。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、共通の昇圧コンバータによって入力電圧が共通に制御される複数のインバータによって複数の交流電動機がそれぞれ制御されるシステムにおいて、インバータ入力電圧の変動時におけるインバータ異常の誤検出を防止することである。
この発明のある局面によれば、交流電動機の制御システムは、昇圧コンバータと、複数のインバータと、制御装置とを備える。昇圧コンバータは、蓄電装置および電力線の間に接続されて、電力線の直流電圧を蓄電装置の電圧以上に設定された電圧指令値に従って制御するように構成される。複数のインバータは、複数の交流電動機と電力線との間にそれぞれ配置される。制御装置は、昇圧コンバータおよび複数のインバータを制御する。制御装置は、電圧指令値と電力線の直流電圧との偏差に基づいて、蓄電装置の電圧に対する電力線の直流電圧との間の昇圧比がフィードバック制御されるように、昇圧コンバータの制御指令を生成する。制御装置は、複数のインバータの各々について、フィードバック制御された電圧位相を有する矩形波電圧が対応の交流電動機に印可される矩形波制御および、フィードバック制御された交流電圧指令と搬送波との比較に従った疑似正弦波電圧が交流電動機に印可されるパルス幅変調制御を選択的に適用されて制御されるように制御指令を生成する。さらに、制御装置は、電力線の直流電圧と電圧指令値との電圧差が所定値よりも大きいときに、複数のインバータの各々について矩形波制御の適用を禁止する第1の制御、または、矩形波制御を適用中のインバータにおいてフィードバック制御のゲインを低下させるとともに、昇圧コンバータにおいてフィードバック制御のゲインを上昇させる第2の制御を実行する。
上記交流電動機の制御システムによれば、複数のインバータのうちの1つのインバータで異常が発生したことによって、複数のインバータに共通に入力される直流電圧が大きく変化した場合には、故障が発生していない残りのインバータについては、矩形波制御の適用を禁止してPWM制御を強制的に適用すること(第1の制御)、あるいは、矩形波制御および昇圧コンバータのフィードバックゲインを調整すること(第2の制御)ができる。これにより、制御応答性の低い矩形波制御によって各インバータで過電流が発生することを防止できる。この結果、故障が発生していないインバータでの異常の誤検出を防止できるので、当該インバータによって制御されるモータジェネレータの出力トルクを用いた非常用の運転(たとえば、車両のリンプフォーム走行)の実行が確保できるので、ユーザの利便性低下を防止することができる。
この発明によれば、共通の昇圧コンバータによって入力電圧が共通に制御される複数のインバータによって複数の交流電動機がそれぞれ制御されるシステムにおいて、インバータ入力電圧の変動時におけるインバータ異常の誤検出を防止することができる。
本実施の形態に従う交流電動機の制御システムが適用された電動車両の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態による交流電動機の制御システムにおける制御モードを概略的に説明する図である。 モータジェネレータの運転領域と制御モードとの概略的な対応関係を説明する概念図である。 本発明の実施の形態による交流電動機の制御構成を示す機能ブロック図である。 図4に示したPWM制御部の構成例を詳細に示す機能ブロック図である。 図4に示した矩形波制御部の構成例を詳細に示す機能ブロック図である。 矩形波の電圧位相に対する交流電動機の出力トルクの変化特性を説明する概念図である。 矩形波制御時に一定回転速度の下でインバータ入力電圧を変化させた場合における電圧位相−トルク特性を示す概念図である。 図4に示された制御モード選択部による制御モードの切換判定を説明するための状態遷移図である。 電流位相を説明するためのベクトル図である。 本実施の形態に従う交流電動機の制御システムによるインバータ入力電圧の変動時における制御処理を説明するフローチャートである。 本実施の形態の変形例に従う交流電動機の制御システムによるインバータ入力電圧の変動時における制御処理を説明するフローチャートである。 昇圧コンバータの電圧フィードバック制御を説明する機能ブロック図である。 図13に示された構成によって制御された昇圧コンバータの動作波形例である。
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分について同一符号を付し、その説明は原則的に繰り返さないものとする。
(システム構成)
図1は、本実施の形態に従う交流電動機の制御システムが適用された電動車両の構成例を示すブロック図である。なお、本実施の形態においては、電動車両100としてエンジンおよびモータジェネレータを搭載したハイブリッド電動車両を例として説明するが、電動車両100の構成はこれに限定されるものではない。
図1を参照して、電動車両100は、電力変換部115と、蓄電装置150と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン220と、動力分割機構250と、駆動輪260と、MG−ECU(Electronic Control Unit)300と、HV−ECU400と、リレーSR1,SR2とを備える。
蓄電装置150は、再放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置150は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子によって構成することができる。
蓄電装置150は、リレーSR1,SR2を介して、電力ラインPL1および接地ラインNL1によって電力変換部115に接続される。そして、蓄電装置150は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するための直流電力を電力変換部115へ供給する。また、蓄電装置150は、モータジェネレータMG1,MG2によって発生され、PCU200を介して供給される電力を蓄電する。
リレーSR1,SR2は、電力ラインPL1および接地ラインNL1の途中に挿入される。リレーSR1,SR2は、蓄電装置150から電力変換部115へ電力の供給と遮断とを切替える。
モータジェネレータMG1,MG2は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータと中性点でY結線された三相コイルを有するステータとを備える三相交流電動発電機で構成される。モータジェネレータMG1,MG2は、電力変換部115から供給される交流電圧を受けて電動車両推進のための回転駆動力(トルク)を発生する。また、モータジェネレータMG1,MG2は、外部から回転力を受けて交流電力を発電するとともに、ECU300からの回生トルク指令によって回生制動力を電動車両100に発生する。
また、モータジェネレータMG1,MG2は、動力分割機構250を介してエンジン220にも連結される。そして、エンジン220の発生する駆動力とモータジェネレータMG1,MG2の発生する駆動力とが最適な比率となるように制御される。また、モータジェネレータMG1,MG2のいずれか一方を専ら電動機として機能させ、他方のモータジェネレータを専ら発電機として機能させてもよい。
動力分割機構250には、エンジン220の動力を、駆動輪260とモータジェネレータMG1との両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。
電力変換部115は、蓄電装置150からの直流電圧を交流電圧に変換して、モータジェネレータMG1,MG2に供給する。また、電力変換部115は、モータジェネレータMG1,MG2によって発生した交流電圧を、直流電圧に変換して蓄電装置150を充電する。
電力変換部115は、昇圧コンバータ110およびインバータ120を含む。インバータ120は、モータジェネレータMG1を駆動するためのインバータ121およびモータジェネレータMG2を駆動するためのインバータ122を含む。
昇圧コンバータ110は、電力ラインPL1およびHPLの間に接続される。昇圧コンバータ110は、いわゆる昇圧チョッパ回路の構成を有しており、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する。)Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
昇圧コンバータ110は、スイッチング素子Q1およびQ2を交互にオンオフすることによって、電力ラインPL1およびHPLの間で、昇圧比(VH/VL)が1.0以上である双方向の直流電力変換を実行する。この昇圧比は、スイッチング素子Q1およびQ2のオン期間比率を示すデューティ比によって制御される。昇圧コンバータ110における昇圧比(デューティ比)は、直流電圧VHが電圧指令値VH*と一致するように制御される。
インバータ121は、いわゆる三相インバータの回路構成を有し、昇圧コンバータ110およびモータジェネレータMG1の間に接続される。インバータ121は、U相アーム123と、V相アーム124と、W相アーム125とを含む。U相アーム123、V相アーム124およびW相アーム125は、電力ラインHPLおよび接地ラインNL1の間に並列に接続される。U相アーム123は、直列に接続されたスイッチング素子Q3,Q4を含む。V相アーム124は、直列に接続されたスイッチング素子Q5,Q6を含む。W相アーム125は、直列に接続されたスイッチング素子Q7,Q8を含む。各相アームの中間点は、モータジェネレータMG1のステータコア(図示せず)に巻回されたU相、V相およびW相のコイルの一方端にそれぞれ接続されている。U相、V相およびW相のコイルの他方端は、中性点で相互接続されている。
インバータ121は、昇圧コンバータ110から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン220を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ121は、エンジン220から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された回生電力を昇圧コンバータ110に出力する。このときインバータ121は、AC/DC変換器として動作するようにMG−ECU300に制御される。インバータ121は、MG−ECU300から出力される制御信号PWI1に従ってスイッチング素子Q3〜Q8のゲート信号をオンまたはオフさせることによって、直流電圧VHと交流電圧との間の電力変換を行うことができる。
インバータ122は、昇圧コンバータ110およびモータジェネレータMG2の間に接続される。インバータ122の回路構成は、インバータ121と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。インバータ122は、MG−ECU300から出力される制御信号PWI2に従って制御される。
インバータ122は駆動輪260を駆動するモータジェネレータMG2に対して、昇圧コンバータ110からの直流電圧を三相交流電圧に変換して出力する。またインバータ122は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された回生電力をAC/DC変換して昇圧コンバータ110に出力する。
図1の構成例において、インバータ121および122は、電力ラインHPLおよびモータジェネータMG1,MG2の間にそれぞれ配置された「複数のインバータ」に対応する。すなわち、電力ラインHPLは「電力線」に対応する。また、モータジェネレータMG1,MG2は「複数の交流電動機」に対応する。
昇圧コンバータ110の低圧側(すなわち、蓄電装置150側)には、平滑コンデンサC1が配置される。平滑コンデンサC1は、電力ラインPL1と接地ラインNL1間に接続されて、直流電圧の交流成分を除去する。同様に、昇圧コンバータ110の高圧側(すなわち、インバータ120側)には、平滑コンデンサC2が配置される。平滑コンデンサC2は、電力ラインHPLと接地ラインNL1間に接続されて、直流電圧の交流成分を除去する。
電圧センサ170は、平滑コンデンサC1の両端間の直流電圧VLを検出し、その検出した電圧VLをMG−ECU300へ出力する。また、電圧センサ180は、平滑コンデンサC2の両端間の直流電圧VH、すなわち、昇圧コンバータ110の出力電圧(インバータ121,122に共通の入力電圧)を検出し、その検出した電圧VLをMG−ECU300へ出力する。
HV−ECU400は、各種センサの出力に基づいて、電動車両100をドライバ操作に従って走行するように、車載各機器の動作を制御する。図1には、車両制御機能のうち、本実施の形態に関連するものが代表的に示される。たとえば、HV−ECU400には、イグニッションスイッチ(IGスイッチ)410の操作信号、アクセルペダル420の開度(アクセル開度Acc)およびブレーキペダル430の操作量(ブレーキ操作量BRK)、および、車速センサ440よって検出される車速Vsが入力される。そして、HV−ECU400は、車速Vsおよびアクセル開度Acc、ブレーキ操作量BRKに基づいて、モータジェネレータMG1,MG2のトルク指令値Tqcom1,Tqcom2を出力する。
さらに、電力ラインHPLの電圧指令値VH*が、HV−ECU400からMG−ECU300へ出力される。電圧指令値VH*は、モータジェネレータMG1,MG2のコイル巻線に生じる誘起電圧よりも高く設定される必要がある。さらに、直流電圧VHによって、モータジェネレータMG1,MG2が出力可能な最大トルクが変化する。また、モータジェネレータMG1,MG2での出力トルクが同一であっても、直流電圧VHに応じて、モータジェネレータMG1,MG2での電流位相が変化するので、電力損失も変化する。したがって、電圧指令値VH*は、モータジェネレータMG1,MG2の動作状態(回転速度、トルク)に応じて設定される。
また、HV−ECU400は、イグニッションスイッチ410がオンされたIGオン時にはリレーSR1,SR2をオンする。リレーSR1,SR2のオンにより、蓄電装置150の電力をモータジェネレータMG1,MG2で使用可能な状態が形成される。一方で、HV−ECU400は、IGオフ時には、リレーSR1,SR2をオフする。これにより、蓄電装置150とモータジェネレータMG1,MG2との間は、電気的に切り離される。
MG−ECU300は、電圧センサ170,180から直流電圧VL,VHの検出値を受けるとともに、HV−ECU400からトルク指令値Tqcom1,Tqcom2を受ける。MG−ECU300は、トルク指令値Tqcom1,Tqcom2に従ってモータジェネレータMG1,MG2の出力トルクを制御するように、昇圧コンバータ110およびインバータ120における電力変換を制御するための制御信号PWC,PWI1,PWI2を生成する。
昇圧コンバータ110およびインバータ120は、制御信号PWC,PWI1,PWI2に従って電力変換を実行する。この結果、ドライバによるアクセルペダル420およびブレーキペダル430の操作に応じた、電動車両駆動力または電動車両制動力が、モータジェネレータMG1,MG2からの出力によって確保される。
(交流電動機制御)
次に、インバータ121,122によるモータジェネレータMG1,MG2の制御について説明する。なお、モータジェネレータMG1,MG2の制御方式については共通であるので、以下では、モータジェネレータMG1,MG2を包括して、単に交流電動機とも称する。
図2は、本発明の実施の形態による交流電動機の制御システムにおける制御モードを概略的に説明する図である。図2に示すように、本発明の実施の形態によるモータ制御システムでは、交流電動機であるモータジェネレータMG1,MG2の制御、すなわち、インバータ121,122における電力変換について、3つの制御モードを切換えて使用する。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相上下アーム素子のオンオフを、正弦波状の交流電圧指令と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子(Q3,Q5,Q7)のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子(Q4,Q6,Q8)のオン期間に対応するローレベル期間との集合によって構成される疑似正弦波電圧が交流電動機に印可される。疑似正弦波電圧の基本波成分は、交流電圧指令相当の正弦波となる。
公知のように、交流電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲に制限される正弦波PWM制御では、交流電動機への印加電圧(以下、単に「印加電圧」とも称する)の基本波成分をインバータに入力される直流電圧VHの約0.61倍程度までしか高めることができない。以下、本明細書では、直流電圧VHに対する印加電圧(線間電圧)の基本波成分(実効値)の比を「変調率」と称することとする。正弦波PWM制御では、正弦波の電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲であるため、交流電動機に印加される線間電圧が正弦波となる。
一方、矩形波制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1(電気角180度ずつ)の矩形波1パルス分を交流電動機に印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、交流電圧指令(正弦波)の振幅が搬送波振幅より大きい範囲で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行うものである。特に、電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませること(振幅補正)によって基本波成分を高めることができ、変調率を正弦波PWM制御での最高変調率から0.78の範囲まで高めることができる。過変調PWM制御では、交流電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きいため、モータジェネレータMG1,MG2に印加される線間電圧は、正弦波ではなく歪んだ電圧となる。
交流電動機(モータジェネレータMG1,MG2で)は、回転速度や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなるため、必要となる駆動電圧(モータ必要電圧)が高くなる。直流電圧VHはこのモータ必要電圧よりも高く設定する必要がある。その一方で、昇圧コンバータ110による昇圧電圧(直流電圧VH)には限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、各交流電動機(モータジェネレータMG1,MG2の各々)について、その状態に応じて、PWM制御(正弦波PWM制御または過変調PWM制御)および矩形波制御のいずれかが選択的に適用される。図2に示した制御モードの選択、すなわち、制御モード切換の判定については、後程詳細に説明する。
なお、矩形波制御では、印加電圧の振幅が固定されるため、制御可能なパラメータはモータ印加電圧の位相のみとなる。また、制御周期は、交流電動機の電気角に対応して決まるので、回転速度の低下につれて制御周期は長くなることになる。矩形波制御においては、トルク指令値とトルク実績値との偏差に基づいて、矩形波電圧パルスの位相を直接制御するトルクフィードバック制御を実行する場合、および、PWM制御と同様にモータ電流のフィードバックによって、矩形波電圧の位相を制御する場合がある。
図3は、交流電動機の運転領域と制御モードとの概略的な対応関係を説明する概念図である。
図3を参照して、交流電動機(モータジェネレータMG1,MG2の各々)の運転領域は、回転速度およびトルクの組合せによって示される。交流電動機の出力(パワー)は、回転速度およびトルクの積で示される。概略的には、高出力領域において矩形波制御が用いられる。なお、矩形波制御の適用時には、インバータ121,122でのスイッチング素子のオンオフ回数が大幅に減少するので、電力損失を抑制することが可能となる。一方で、印加電圧の振幅は制御できないため、制御応答性についてはPWM制御よりも低くなる。
一方で、低〜中出力域では、PWM制御(特に、正弦波PWM制御)の適用により、トルク精度を高めることができる。ただし、上述のように、PWM制御の適用時には、交流電動機からの出力を高めることには限界がある。なお、直流電圧VHが変化すると変調率も変わるので、PWM制御および矩形波制御の適用領域は、直流電圧VHによっても変化する。
図4は、本発明の実施の形態による交流電動機の制御構成を示す機能ブロック図である。図4を始めとして以下で説明する各機能ブロック図において、各ブロックの機能は、MG−ECU300によるソフトウェア処理および/またはハードウェア処理によって実現することができる。
なお、図4では、トルク指令値Tqcom1に従うモータジェネレータMG1の制御構成を例示するが、モータジェネレータMG2に対する制御構成についても、同様に構成される。図4に示される各ブロックの機能は、MG−ECU300に予め格納されたプログラムを所定周期で実行することにより、あるいは、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することができる。図4に示す制御は、制御周期毎に実行される。
図4を参照して、MG−ECU300によるインバータ制御部10は、PWM制御部20と、制御モード選択部30と、矩形波制御部40とを含む。PWM制御部20においては、正弦波PWM制御および過変調PWM制御が選択的に実行される。
図5は、図4に示したPWM制御部20の構成例を詳細に示す機能ブロック図である。
図5を参照して、PWM制御部20は、電流指令生成部21およびフィードバック制御部29を含む。フィードバック制御部29は、座標変換部22,25と、電圧指令生成部24と、PWM変調部26とを含む。
電流指令生成部21は、予め作成されたテーブル等に従って、トルク指令値Tqcom1に応じた、d軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomを生成する。
座標変換部22は、回転角センサ15によって検出されるモータジェネレータMG1の回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ14によって検出されたv相電流ivおよびW相電流iwから算出される各相電流より、d−q軸平面におけるd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを算出する。この際に、電流の高調波成分を除去するためのフィルタ処理を組み合わせてもよい。
電圧指令生成部24には、d軸電流指令値に対するd軸電流の偏差ΔId(ΔId=Idcomf−Id)およびq軸電流指令値に対するq軸電流の偏差ΔIq(ΔIq=Iqcomf−Iq)が入力される。電圧指令生成部24では、偏差ΔIdおよびΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI(比例積分)演算を行なって制御偏差が求められる。そして、電圧指令生成部24は、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を生成する。
座標変換部25は、モータジェネレータMG1の回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯をU相、V相、W相の交流電圧指令(相電圧)Vu,Vv,Vwに変換する。交流電圧指令Vu,Vv,Vwは、正弦波状である。
PWM変調部26は、図示しない一定周期の搬送波と、交流電圧指令(Vu,Vv,Vwを包括的に示すもの)との比較に基づき、インバータ121の各相の上下アーム素子のオンオフを制御する制御信号PWI1を生成する。
制御信号PWI1に従って、インバータ121がスイッチング制御されることにより、モータジェネレータMG1に対してトルク指令値Tqcom1に従ったトルクを出力するための交流電圧(疑似正弦波電圧)が印加される。
正弦波PWM制御が選択される場合には、PWM制御部20は、図5に示されるd軸電流およびq軸電流のフィードバック制御によって、トルク指令値Tqcom1に従ったトルクを出力するための電圧指令値Vd♯,Vq♯から、交流電圧指令Vu,Vv,Vwを生成する。すなわち、交流電圧指令Vu,Vv,Vwの振幅および位相は、電流フィードバックによって制御されていることが理解される。
過変調PWM制御が選択される場合には、図5に示したフィードバックループに電圧振幅補正を行う機能が追加される。これにより、各相の交流電圧指令Vu,Vv,Vwは、電圧指令値Vd♯,Vq♯に従う振幅よりも大きく補正される。これにより電圧指令値の基本波成分を高めて、正弦波PWM制御よりも大きな出力を発生することができる。
図6は、図4に示した矩形波制御部40の構成例を詳細に示す機能ブロック図である。
図6を参照して、矩形波制御部40は、電力演算部41と、トルク演算部42と、PI演算部43と、矩形波発生器44と、信号発生部45と、座標変換部46とを含む。
電力演算部41は、電流センサ14によるV相電流ivおよびW相電流iwから求められる各相電流と、各相(U相,V相、W相)電圧Vu,Vv,Vwとにより、下記の式(1)に従ってモータジェネレータMG1への供給電力(モータ電力)Pmtを算出する。
Pmt=iu・Vu+iv・Vv+iw・Vw …(1)
トルク演算部42は、電力演算部41によって求められたモータ電力Pmtおよび回転角センサ15によって検出されるモータジェネレータMG1の回転角θから算出される角速度ωを用いて、下記の式(2)に従ってトルク推定値Tqを算出する。
Tq=Pmt/ω …(2)
PI演算部43へは、トルク指令値Tqcom1に対するトルク偏差ΔTq(ΔTq=Tqcom1−Tq)が入力される。PI演算部43は、トルク偏差ΔTqについて所定ゲインによるPI演算を行って制御偏差を求め、求められた制御偏差に応じて矩形波電圧の位相φvを設定する。
図7には、電圧位相φvに対する交流電動機(モータジェネレータMG1)の出力トルクの変化特性を説明する概念図が示される。
図7を参照して、矩形波制御時には矩形波電圧の電圧位相φvを変化させることによって、交流電動機の出力トルクが制御される。電圧位相φvをq軸に対して進めることによって、力行トルクを増大することができる。一方で、回生動作(負トルク出力)時には、電圧位相φvをq軸に対して遅らせることによって回生トルクを増大することができる。
したがって、正トルク発生(Tqcom1>0)時には、トルク不足時には電圧位相を進める一方で、トルク過剰時には電圧位相を遅らせるとともに、負トルク発生(Tqcom2<0)時には、トルク不足時には電圧位相を遅らせる一方で、トルク過剰時には電圧位相を進める。
出力トルクは、モータジェネレータMG1,MG2への印加電圧の振幅(すなわち、直流電圧VH)および回転速度にも依存して変化する。すなわち、図7に示された特性図は、直流電圧VHおよび回転速度が同一の下で電圧位相φvを変化させたときの出力トルクの変化を示したものである。
図8には、一定回転速度の下でインバータ入力電圧(直流電圧VH)を変化させた場合の各々における電圧位相−トルク特性が示される。図8には、力行動作領域での特性が示される。
図8を参照して、同一の電圧位相φvに対して、直流電圧VHが高くなるほど、出力トルクが大きくなる。したがって、高トルクの要求時には、昇圧コンバータ110によって直流電圧VHを上昇することにより、同一の電圧位相制御範囲に対する出力トルクを確保することができる。
再び図6を参照して、矩形波発生器44は、PI演算部43によって設定された電圧位相φvに従って、各相電圧指令(矩形波パルス)Vu,Vv,Vwを発生する。信号発生部45は、各相電圧指令Vu,Vv,Vwに従って制御信号PWI1を発生する。インバータ121が制御信号PWI1に従ったスイッチング動作を行なうことにより、電圧位相φvに従った矩形波電圧が、モータジェネレータMG1の各相に印加される。
矩形波制御部40は、トルク(電力)のフィードバック制御により、交流電動機(モータジェネレータMG1)のトルクを制御することができる。なお、電力演算部41およびトルク演算部42に代えてトルクセンサを配置することによって、当該トルクセンサの検出値に基づいて、トルク偏差ΔTqを求めてもよい。
また、座標変換部46は、電流センサ14によるV相電流ivおよびW相電流iwから求められる各相電流と交流電動機(モータジェネレータMG1)の回転角θとに基づいて座標変換(3相→2相)を行い、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。そして、座標変換部46は、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを制御モード選択部30へ出力する。なお、座標変換部46の機能は、PWM制御部20の座標変換部22を、矩形波制御実施時にも動作させることで実現することもできる。
再び、図4を参照して、制御モード選択部30には、直流電圧VHと、電圧指令値Vd♯,Vq♯(PWM制御部20から)と、d軸電流Id,Iq(矩形波制御部40から)と、交流電動機(モータジェネレータMG1)の回転速度NmおよびトルクTrqとが入力される。回転速度Nmは、回転角センサ15の出力から求めることができる。トルクTrqについては、トルク指令値Tqcom1を用いてもよい。
制御モード選択部30は、後述するように、直流電圧VHと電圧指令値Vd♯,Vq♯とから算出される変調率に基づいて、PWM制御から矩形波制御への制御モード切換判定を行う。また、制御モード選択部30は、矩形波制御時のd軸電流Idおよびq軸電流Iqから求まる電流位相φiに基づいて、矩形波制御からPWM制御への制御モード切換判定を行う。
制御モード選択部30が矩形波制御を選択しているときには、矩形波制御部40によって生成された制御信号PWI1(PMI2)がインバータ121(122)へ供給される。一方、制御モード選択部30がPWM制御を選択しているときには、PWM制御部20によって生成された制御信号PWI1(PMI2)がインバータ121(122)へ供給される。
図9には、制御モード選択部30による制御モードの切換判定を説明するための状態遷移図が示される。制御モードの判定は、交流電動機毎に、すなわち、モータジェネレータMG1,MG2のそれぞれで別個に実行される。
現在の制御モードがPWM制御であるときには、図5に示したフィードバック制御下における変調率に従って、矩形波制御からPWM制御への制御モード切換判定が実行される。たとえば、図5で各制御周期で算出される電圧指令値Vd♯,Vq♯を用いて、下記の式(3)に従って、直流電圧VHを交流電動機へ印加される交流電圧に変換する際の変調率FMを求めることができる。
FM={(Vd♯2+Vq♯21/2}/VH …(3)
式(3)によって求められた変調率FMが0.78より低い場合には、PWM制御が維持される。一方で、PWM制御中に変調率FM≧0.78となると、PWM制御では適切な交流電圧を発生することができないため、制御モードは、PWM制御から矩形波制御へ切換えられる。
さらに、PWM制御の選択時には、変調率FMにより、正弦波PWM制御および過変調PWM制御のいずれを用いるかが判定される。すなわち、変調率FMが、図2に示した、正弦波PWM制御および過変調PWM制御のそれぞれでの変調率範囲のいずれに属するか応じて、正弦波PWMおよび過変調PWMの一方が選択される。
現在の制御モードが矩形波制御であるときには、電圧振幅が一定であるので、変調率に基づいて制御モード切換を判定することができない。したがって、基本的には、電流位相に基づいて制御モード切換が判定される。
図10には、電流位相を説明するためのベクトル図が示される。
図10を参照して、零点位置を起点とするd軸電流Idおよびq軸電流Iqの組み合わせによる電流ベクトル31,32がd軸と成す角度が電流位相φiに相当する。したがって、座標変換部46(図6)によって演算されたId,Iqに基づいて、矩形波制御中における電流位相φiを、下記式(4)に従って算出することができる。
φi=tan-1(Iq/Id) …(4)
矩形波制御中では、出力トルクの低下に応じて電流位相φiが図10での右側(遅角側)へ変化する。そして、図9に示さるように、電流位相φiが予め定められた基準値φtよりも小さくなると、すなわち、電流ベクトルの先端位置がφi=φtを示すモード切換ラインPHLよりも遅角側の位相領域に入ると、制御モードは、矩形波制御からPWM制御へ切換えられる。
このように、本実施の形態に従う交流電動機の制御システムでは、矩形波制御およびPWM制御(正弦波PWM制御または過変調PWM制御)を選択的に適用することによって、交流電動機(モータジェネレータMG1,MG2)のトルクが制御される。
(直流電圧変動時の交流電動機制御)
本実施の形態では、一方のインバータにおいて異常が発生したことにより直流電圧VHが変動することによる悪影響を考える。たとえば、インバータ121によるモータジェネレータMG1のトルク制御に矩形波制御が適用されている期間において、モータジェネレータMG2を制御するインバータ122のいずれかのスイッチング素子に短絡故障が発生したケースを想定する。
このようなケースでは、インバータ122によるモータジェネレータMG2への電力授受が中断されることにより、電力バランスが崩れて直流電圧VHが急激に上昇または低下する虞がある。直流電圧VHが変化すると、矩形波制御中のモータジェネレータMG1では、図8に示された特性に従って出力トルクが変化する。このとき、矩形波制御によるフィードバック制御(図6)によって、出力トルクをトルク指令値Tqcom1に維持するように電圧位相φvが制御される。しかしながら、上述のように矩形波制御では電流の制御応答性が低いため、インバータ121には故障が発生していないにもかかわらず、モータジェネレータMG1およびインバータ121の系で過電流による異常が検知される可能がある。
この結果、素子故障が発生したインバータ122に加えて、インバータ121についても過電流検知によって異常が誤検出されると、インバータ122についても使用が禁止されるため、モータジェネレータMG1およびMG2の両方についてトルクを出力できなくなってしまう虞がある。これにより、本来は使用可能であるインバータ121およびモータジェネレータMG1を用いたリンプフォーム走行が実行できなくなると、ユーザの利便性が低下する。上記とは反対に、インバータ122(モータジェネレータMG2)に矩形波制御が適用されている期間において、インバータ121に故障が発生することによって直流電圧VHが変化した場合にも、同様の問題が生じることが懸念される。
したがって、本実施の形態に従う交流電動機の制御システムでは、下記に説明するように、直流電圧VHの変動時には、矩形波制御の適用を禁止する。
図11は、本実施の形態に従う交流電動機の制御システムによるインバータ入力電圧の変動時における制御処理を説明するフローチャートである。図11に示された制御処理は、MG−ECU300(図1)によって繰り返し実行される。
図11を参照して、MG−ECU300は、ステップS100により、電圧センサ180の検出値に基づき、電圧指令値VH*に対する直流電圧VHの電圧偏差ΔVHを算出する。MG−ECU300は、ステップS110により、算出された電圧偏差ΔVHの大きさ(絶対値)を予め定められた基準値Vtと比較する。基準値Vtは、矩形波制御の制御応答性を考慮して、シミュレーションまたは実機試験等の結果に従って、過電流発生を回避可能な|ΔVH|の上限値に対してマージンを有するように定めることができる。
さらに、MG−ECU300は、|ΔVH|>Vtのとき(S110のYES判定時)には、ステップS120に処理を進めて、インバータ121,122の各々について矩形波制御の適用を禁止する。これにより、図9中に点線で示されるように、矩形波制御の適用中において、|ΔVH|>Vtとなると、制御モードがPWM制御に強制的に切換えられる。本実施の形態に従う交流電動機の制御システムでは、矩形波制御からPWM制御への切換判定条件として、|ΔVH|>Vtが追加されることとなる。すなわち、ステップS120の処理によって「第1の制御」が実行される。
一方で、MG−ECU300は、|ΔVH|≦Vtのとき(S110のNO判定時)には、ステップS120の処理をスキップする。これにより、通常時には、インバータ121,122は、それぞれ図8に示された、変調率および電流位相に基づくモード切換判定条件に従って、PWM制御または矩形波電圧制御を適用されて、モータジェネレータMG1,MG2の出力トルクを制御することになる。
このように本実施の形態に従う交流電動機の制御システムでは、一方のインバータおよび/またはモータジェネレータに異常が発生したことによって直流電圧VHが変化した場合にも、故障が発生していない他方のインバータについては、矩形波制御の適用を禁止してPWM制御を強制的に適用することにより、制御応答性の低い矩形波制御によって過電流が発生することを防止できる。この結果、故障が発生していないインバータでの異常の誤検出を防止できるので、当該インバータによって制御されるモータジェネレータの出力トルクを用いたリンプフォーム走行の実行が確保できるので、ユーザの利便性低下を防止することができる。
(直流電圧変動時の制御の変形例)
次に、上記と同様のケースによって直流電圧VHが変化した際に、矩形波制御の適用を維持したままで、異常が発生していないインバータ側での過電流発生を防止するための制御を変形例として説明する。
図12は、本実施の形態の変形例に従う交流電動機の制御システムによるインバータ入力電圧の変動時における制御処理を説明するフローチャートである。
図12を参照して、MG−ECU300は、図11と同様のステップS100,S120により、電圧偏差ΔVHを算出して、|ΔVH|を基準値Vtと比較する。
MG−ECU300は、|ΔVH|>Vtのとき(S110のYES判定時)には、ステップS150に処理を進めて、矩形波制御のフィードバックゲインを低下するとともに、昇圧コンバータ110による電圧制御(VH制御)のフィードバックゲインを上昇する。すなわち、ステップS150の処理によって「第2の制御」が実行される。
これにより、矩形波制御では、図6に示されたPI演算部43におけるゲインが低下される。この結果、トルク偏差ΔTqに対する電圧位相φvの変化量が抑制される。したがって、矩形波制御による電圧位相φvが、直流電圧VHの変化に応じたトルク偏差ΔTqの増大によって、大きく変化することが防止される。
一方で、昇圧コンバータ110でのフィードバックゲインは下記のように変更される。図13は、昇圧コンバータの電圧フィードバック制御を説明する機能ブロック図である。
図13を参照して、MG−ECU300によるコンバータ制御部70は、偏差演算部71と、PI演算部72と、PWM変調部73とを含む。
偏差演算部71は、電圧センサ180の検出値に基づき、電圧指令値VH*に対する直流電圧VHの電圧偏差ΔVHを算出する。
PI演算部72は、電圧偏差ΔVHのPI(比例積分)演算により、昇圧コンバータ110のスイッチング素子Q1,Q2のオンオフ制御のデューティ比DTを算出する。そして、PWM変調部73は、PI演算部72からのデューティ比DTと所定周波数の搬送はCWとの電圧比較に従って、スイッチング素子Q1,Q2のオンオフを制御する制御信号PWCを発生する。
図14には、図13の構成によって制御された昇圧コンバータ110の動作波形例が示される。
図14を参照して、キャリア波CWは、昇圧コンバータ110のスイッチング周期Toと同一周期を有する。たとえば、キャリア波CWには、三角波が用いられる。キャリア波CWの電圧幅(ピークトゥピーク)は、DT=1.0に対応する電圧に設定される。
昇圧コンバータ110の下アームを構成するスイッチング素子Q2は、デューティ比DTを示す電圧が、キャリア波CWの電圧よりも高いときにオンされる一方で、そうでないときにオフされる。
これに対して、昇圧コンバータ110の上アームを構成するスイッチング素子Q1は、デューティ比DTを示す電圧が、キャリア波CWの電圧よりも低いときにオンされる一方で、そうでないときにオフされる。したがって、上アームのスイッチング素子Q1は、下アームのスイッチング素子Q2と相補的かつ周期的にオンオフ制御される。
スイッチング素子Q2(下アーム素子)のオン期間には、リアクトルL1(図1)を流れる電流IL1が上昇する一方で、スイッチング素子Q1(上アーム素子)のオン期間には、電流IL1は低下する。
したがって、デューティ比DTが高くなると、下アーム(スイッチング素子Q2)オン期間が長くなることにより、直流電圧VHは上昇する。一方で、デューティ比DTが低下すると、上アーム(スイッチング素子Q1)オン期間が長くなることにより、直流電圧VHは低下する。
一般的に、昇圧チョッパで構成された昇圧コンバータ110における昇圧比VH/VLは、デューティ比DTを用いると、(VH/VL)=1/(1−DT)で示されることが知られている。このように、デューティ比DTの制御によって、(VH/VL)≧1.0に直流電圧VHを制御することができる。
再び図13を参照して、ΔVH>0(VH*>VH)のときには、ΔVHにフィードバックゲインを乗算したPI演算によって、デューティ比DTは上昇方向に変化される。一方で、ΔVH<0(VH*<VH)のときには、ΔVHにフィードバックゲインを乗算したPI演算によって、デューティ比DTは低下方向に変化される。
したがって、ステップS150(図12)によりVH制御のフィードバックゲインを上昇させると、電圧偏差ΔVHに対するデューティ比DTの変化が大きくなる。この結果、直流電圧VHの変動が発生した場合に、昇圧コンバータ110によって直流電圧VHを電圧指令値VH*に速やかに制御することが可能となる。
一方で、ステップS150(図12)では、矩形波制御のフィードバックゲインが低下される。これにより、直流電圧VHが変化した際に、昇圧コンバータ110の制御による直流電圧VHの変化と、矩形波制御での電圧位相φvの変化とが重なって、矩形波制御が適用されたインバータに過電流が発生することを防止できる。
上述のように、矩形波制御では、電気角360度毎の電圧位相φvが制御されるので、制御遅れが発生する傾向にある。このため、昇圧コンバータ110の制御による直流電圧VHの変化に対して、電圧位相φvの変化が結果的に逆アクションとなってしまうことによってインバータに過電流が発生する虞があるところ、ステップS150の処理を行うことにより、このような過電流の発生を防止することができる。
なお、MG−ECU300は、|ΔVH|≦Vtのとき(S110のNO判定時)には、ステップS160に処理を進めて、通常のフィードバックゲインを適用して、インバータ121,122の矩形波制御および昇圧コンバータ110の電圧制御を実行する。すなわち、ステップS160では、矩形波制御のフィードバックゲインは、ステップS150よりも大きい値である一方で、昇圧コンバータ110の電圧制御のフィードバックゲインは、ステップS150よりも小さい値である。
以上説明したように、本実施の形態の変形例に従う交流電動機の制御システムでは、一方のインバータおよび/またはモータジェネレータに異常が発生したことによって直流電圧VHが変化した場合にも、故障が発生していない他方のインバータについて、矩形波制御のフィードバックゲインを低下する一方で、昇圧コンバータ110による電圧制御のフィードバックゲインを上昇することにより、制御応答性の低い矩形波制御によって過電流が発生することを防止できる。
このように、本実施の形態によれば、図11または図12に示された制御処理を実行することによって、図1の構成例において一方のインバータおよび/またはモータジェネレータに異常が発生したことによって直流電圧VHが変化した場合にも、故障が発生していないインバータでの異常の誤検出を防止できる。当該インバータによって制御されるモータジェネレータの出力トルクを用いたリンプフォーム走行の実行が確保できるので、ユーザの利便性低下を防止することができる。
なお、本実施の形態では、電動車両に適用される交流電動機の制御システムを例示したが、本発明の適用はこのような構成に限定されるものではない。すなわち、共通の昇圧コンバータによって入力電圧が共通に制御される複数のインバータによって複数の交流電動機がそれぞれ制御されるシステムであれば、矩形波制御およびPWM制御を切換えて適用する制御について、本発明を適用することが可能である。すなわち、入力電圧(直流電圧)が共通のインバータが3個以上配置された構成に対しても、図11または図12の制御処理を適用することによって、本発明の適用が可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 インバータ制御部、14 電流センサ、15 回転角センサ、20 PWM制御部、21 電流指令生成部、22,25,46 座標変換部、24 電圧指令生成部、26,73 PWM変調部、29 フィードバック制御部、30 制御モード選択部、31,32 電流ベクトル、40 矩形波制御部、41 電力演算部、42 トルク演算部、43,72 PI演算部、44 矩形波発生器、45 信号発生部、70 コンバータ制御部、71 偏差演算部、100 電動車両、110 昇圧コンバータ、115 電力変換部、120,121,122 インバータ、123,124,125 アーム(インバータ)、150 蓄電装置、170,180 電圧センサ、220 エンジン、250 動力分割機構、260 駆動輪、410 イグニッションスイッチ、420 アクセルペダル、430 ブレーキペダル、440 車速センサ、Acc アクセル開度、BRK ブレーキ操作量、C1,C2 平滑コンデンサ、CW キャリア波、D1,D2 ダイオード、DT デューティ比、HPL,PL1 電力ライン、iu,iv,iw 三相電流、Id d軸電流、Iq q軸電流、Idcom,Iqcom 電流指令値、L1 リアクトル、MG1,MG2 モータジェネータ、NL1 接地ライン、Nm 回転速度、PHL モード切換ライン(矩形波→PWM)、PWC,PWI1,PWI2 制御信号、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、SR1,SR2 リレー、Tq トルク推定値、Tqcom1,Tqcom2 トルク指令値、VH 直流電圧(昇圧コンバータ出力電圧)、VH* 電圧指令値(昇圧コンバータ)、Vd♯,Vq♯ 電圧指令値(PWM制御)、VH 昇圧比、VL 直流電圧(昇圧コンバータ入力電圧)、Vu,Vv,Vw 電圧、Vd 軸電圧指令値、Vd,Vq 軸電圧指令値、Vs 車速、Vt 基準値、Vu,Vv,Vw 交流電圧指令(各相)。

Claims (1)

  1. 蓄電装置および電力線の間に接続されて、前記電力線の直流電圧を前記蓄電装置の電圧以上に設定された電圧指令値に従って制御する昇圧コンバータと、
    複数の交流電動機と前記電力線との間にそれぞれ配置された複数のインバータと、
    前記昇圧コンバータおよび前記複数のインバータを制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記電圧指令値と前記電力線の直流電圧との偏差に基づいて、前記蓄電装置の電圧に対する前記電力線の直流電圧との間の昇圧比がフィードバック制御されるように、前記昇圧コンバータの制御指令を生成し、
    前記制御装置は、前記複数のインバータの各々について、フィードバック制御された電圧位相を有する矩形波電圧が対応の前記交流電動機に印可される矩形波制御および、フィードバック制御された交流電圧指令と搬送波との比較に従った疑似正弦波電圧が前記交流電動機に印可されるパルス幅変調制御を選択的に適用されて制御されるように制御指令を生成し、
    前記制御装置は、さらに、
    前記電力線の直流電圧と前記電圧指令値との電圧差が所定値よりも大きいときに、前記複数のインバータの各々について前記矩形波制御の適用を禁止する第1の制御、または、前記矩形波制御を適用中の前記インバータにおいて前記フィードバック制御のゲインを低下させるとともに、前記昇圧コンバータにおいて前記フィードバック制御のゲインを上昇させる第2の制御を実行する、交流電動機の制御システム。
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