JP7024781B2 - バインダー組成物の保管方法 - Google Patents

バインダー組成物の保管方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の電気化学素子の電極等の電気化学素子部材に用いられるバインダー組成物を保管(貯蔵)するためのバインダー組成物の保管方法に関するものである。
小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能な電気化学素子、特にリチウムイオン二次電池は、その特性を活かして急速に需要を拡大している。また、リチウムイオン二次電池に代表される電気化学素子は、エネルギー密度、出力密度が大きいことから、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータの小型用途の他、車載などの大型用途での利用が期待されている。そのため、これらの電気化学素子には、用途の拡大や発展に伴い、低抵抗化、高容量化、高耐電圧化、機械的特性の向上、サイクル寿命の向上など、よりいっそうの改善が求められている。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレータを含んでなり、電極(正極および負極)は、例えば、電極活物質およびバインダーを含むスラリーを金属箔等の集電体上に塗工、乾燥し、電極活物質層を形成することにより得られる。また、セパレータの表面に耐熱層を形成することがあり、この耐熱層は、例えば、耐熱性の物質とバインダーを含むスラリーをセパレータ上に塗工、乾燥することにより得られる。
ここで、バインダーは重合体であるが、上記各スラリーを調製する際には、上記重合体を液状媒体に分散および/または溶解させたバインダー組成物として用いられる。液状媒体としては、水系媒体および有機媒体があるが、リチウムイオン二次電池の初期容量を増加させる効果を得る観点からは、有機媒体が利用される。
有機媒体を利用したバインダー組成物として、特許文献1および2には、スチレン-ブタジエン共重合体(以下、「SBR」ということがある。)のN-メチルピロリドン(以下、「NMP」ということがある。)溶液が開示され、特許文献3には、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(以下、「NBR」ということがある。)の水素化物(水素化NBR)のNMP溶液が開示され、特許文献4には、NMP可溶性および不溶性の重合体のNMP溶液が開示されている。
有機媒体を利用したバインダー組成物は、通常、製造後、容器内に所定期間保管され、その後、電極の製造や耐熱層の形成に用いられる。ところで、バインダーに感湿性があり、さらに、NMPのように有機媒体に吸湿性があると、保管中にバインダー組成物中の水分濃度が上がり、電極活物質層や耐熱層を形成する際に塗膜表面にポリマーが析出して筋引きが発生するなど、塗工性が悪化する虞があった。
また、有機媒体を利用したバインダー組成物は、有機媒体中に有機粒子が分散および/または重合体が溶解した状態にあるため、製造工程や保管工程におけるわずかな条件や環境の変化により凝集物が発生する虞がある。そのため、バインダー組成物を容器内で3か月以上などの長期間保管すると、重合体の凝集物が発生しやすくなり、塗工性が悪化する虞があった。具体的には、スラリーの塗工における不良発生により製造効率が低下したり、電極活物質層や耐熱層の表面が不均一となったり、表面に突起が生じたりするため、ショート等が生じる虞があった。
凝集物の発生を抑制するためのバインダー組成物の保管方法として、特許文献5および6には、カルボン酸を含有したニトリル系重合体の水系媒体を利用したバインダー組成物について容器の空隙率と保管温度が開示されている。また、特許文献7には、水系媒体を利用したバインダー組成物を充填容器に充填する際の相対湿度が開示されている。
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献5~7に記載されている水系媒体を利用したバインダー組成物の保管方法、即ち酸素濃度や容器内の空間容積、保管温度を、有機媒体を利用したバインダー組成物の保管にそのまま適用しても凝集物の発生を抑えることができないことが分かった。
特開2000-285924号公報 特開2006-66400号公報 特開平8-157677号公報 国際公開第2004/095613号 特許第5077612号公報 特許第5146710号公報 特開2016-15254号公報
本発明の目的は、有機媒体を利用したバインダー組成物を保管するためのバインダー組成物の保管方法であって、所定期間保管後の該バインダー組成物を用いてなるスラリーの塗工性が良好である、バインダー組成物の保管方法を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、充填容器内の気相部の酸素濃度および絶対湿度、並びに、液相部の水分濃度および粘度を所定範囲とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、下記の本発明に至った。
即ち、本発明によれば、
(1)バインダーおよび有機媒体を含むバインダー組成物を充填容器に保管する方法であって、前記充填容器内に前記バインダー組成物を3か月保管した後の前記充填容器の気相部の酸素濃度を5vol%以下に、かつ、絶対湿度を2g/kg以下に、それぞれする工程、前記充填容器内に前記バインダー組成物を3か月保管した後の前記充填容器の液相部の水分濃度を1000ppm以下に、かつ、粘度を3000mPa・s以下に、それぞれする工程、を含む、バインダー組成物の保管方法、
(2)前記充填容器に前記バインダー組成物を充填する際の前記バインダー組成物の温度を、31℃以上70℃以下とする工程をさらに含む、(1)に記載のバインダー組成物の保管方法、
(3)前記充填容器に前記バインダー組成物を充填する際の前記充填容器の温度を、5℃以上35℃以下とする工程をさらに含む、(1)または(2)に記載のバインダー組成物の保管方法、
(4)前記充填容器に充填する前記バインダー組成物の粘度が2500mPa・s以下である、(1)~(3)の何れかに記載のバインダー組成物の保管方法、
(5)前記充填容器に前記バインダー組成物を充填する際の前記充填容器内の雰囲気を、酸素濃度5vol%以下、かつ、絶対湿度2g/kg以下の不活性ガス雰囲気とする、(1)~(4)の何れかに記載のバインダー組成物の保管方法、
が提供される。
本発明によれば、有機媒体を利用したバインダー組成物を保管するためのバインダー組成物の保管方法であって、所定期間保管後の該バインダー組成物を用いてなるスラリーの塗工性が良好である、バインダー組成物の保管方法を提供することができる。
以下、本発明のバインダー組成物の保管方法について説明する。本発明のバインダー組成物の保管方法は、バインダーおよび有機媒体を含むバインダー組成物を充填容器に保管する方法であって、前記充填容器内に前記バインダー組成物を3か月保管した後の前記充填容器の気相部の酸素濃度を5vol%以下に、かつ、絶対湿度を2g/kg以下に、それぞれする工程、前記充填容器内に前記バインダー組成物を3か月保管した後の前記充填容器の液相部の水分濃度を1000ppm以下に、かつ、粘度を3000mPa・s以下に、それぞれする工程、を含む。
(充填容器)
本発明に用いる充填容器の容量は、特に制限はないが、数mLから数十トンの容量であることが好ましい。また、充填容器の形状についても、特に制限はなく、瓶形状であってもよいし、石油缶、ドラム、コンテナタンク等の形状を有していてもよい。
また、充填容器の材質は、特に制限はないが、ガラス、樹脂、ステンレス金属などが挙げられる。なお、充填容器の材質としては、NMP等の有機媒体を利用したバインダー組成物に溶出する成分が含有されていないことが好ましい。充填容器としては、取扱い易さやバインダー組成物への溶出物がない観点から、ステンレス製容器、ポリエチレン製容器、エポキシ樹脂コーティングした容器を用いることが好ましい。なお、充填容器内には1μm以上の異物が存在していないことが好ましく、ホコリや異物の存在しないクリーンな環境の下で製造された充填容器を利用することが好ましい。
(充填方法)
バインダー組成物が充填された充填容器は、気相部と、バインダーおよび有機媒体を含むバインダー組成物からなる液相部とを含む。そして、本発明の充填容器内にバインダー組成物を3か月保管した後の気相部は、酸素濃度が5vol%以下、好ましくは3vol%以下、かつ、絶対湿度が2g/kg以下、好ましくは1.5g/kg以下である。また、充填容器内にバインダー組成物を3か月保管した後の液相部は、水分濃度が1000ppm以下、好ましくは600ppm以下であり、かつ、粘度が3000mPa・s以下、好ましくは2500mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下であり、更に好ましくは1200mPa・s以下である。
気相部の酸素濃度が高すぎると、バインダーや有機媒体が酸化したり、バインダーの変質・着色が生じたりして、使用に適さなくなる虞がある。また、気相部の絶対湿度が高すぎると、有機媒体が吸湿することにより凝集物が発生することがある。なお、凝集物は、充填容器内の気相と液相との界面において発生するため、凝集物が発生するとバインダー組成物からなる液相の上層での変色と凝集物の沈殿、又は浮遊が観察される。
また、バインダー組成物が流動状態である場合には凝集物は発生し難いが、通常、充填容器は静置して保管されるため、凝集物が発生する可能性がある。凝集物の発生を抑制するために、バインダー組成物からなる液相部と気相部との接触面積を少なくしたり、気相部の体積を少なくしたりする等の方法を採用してもよいが、気相の絶対湿度が高すぎると、凝集物の発生を抑制することが困難となる。なお、一度発生した凝集物を液相に再溶解または再分散させることは困難である。
また、液相部の水分濃度が高すぎると、電極活物質層や耐熱層を形成する際に塗膜表面に筋引きが発生するなど、塗工性が悪化する虞がある。また、液相部の粘度が高すぎると、バインダー組成物を含むスラリーの塗工がし難くなる。
また、充填容器内における気相部と液相部との比率は、体積比(気相部:液相部)にて、好ましくは1:99~40:60であり、より好ましくは10:90~35:65であり、更に好ましくは15:85~30:70である。気相部と液相部との比率が上記範囲であることにより、気相部の比率が過度に高いために、保管中における凝集物の発生を抑制することができない、という現象を抑えることができる。また、液相部の比率が過度に高いために、内圧の上昇等の影響により容器が変形、破壊されるという現象を抑えることができる。
充填容器の気相部の酸素濃度および絶対湿度、液相部の水分濃度および粘度を上記範囲にするためには、例えば、以下の置換工程、充填工程、密封工程により充填容器にバインダー組成物を充填することが好ましい。
置換工程においては、バインダー組成物を容器に充填する前に、充填容器中の空気を予め充填雰囲気ガスで置き換える操作を行うことが好ましい。ここで、充填雰囲気ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いることができる。置換工程に用いる不活性ガスは、酸素濃度が好ましくは5vol%以下、より好ましくは3vol%以下、更に好ましくは1vol%以下であり、かつ、絶対湿度が好ましくは2g/kg以下、より好ましくは1.5g/kg以下である。
例えば、空気分離器を用いて製造される窒素ガスは、酸素濃度0.5vol%以下、かつ、絶対湿度2g/kg以下であるので、かかる窒素ガスを用いて容器内の空気を置換することができる。また、異物が充填容器内に混入することを防ぐ観点から、空気分離器を用いて製造される窒素ガスを、0.1μm以下のフィルターを介して取り扱うことが好ましい。
不活性ガスにより充填容器内の空気を置換する手段としては、特に限定されないが、クリーンな不活性ガスを充填容器の底部から供給し、空気を追い出すようにして不活性ガスに置換する方法が、効率の点で、好ましい。具体的には、充填容器の底部にノズルを配置し、さらに不活性ガスを供給するための配管をノズルに接続することにより、配管を経由してノズルに不活性ガスを供給することができる。
充填工程においては、置換工程により内部の気体が不活性ガスに置換された充填容器に、好ましくは5℃以上45℃以下、より好ましくは10℃以上30℃以下の作業環境で、バインダー組成物の充填を行う。
また、充填工程を行う際のバインダー組成物の温度は好ましくは31℃以上70℃以下である。バインダー組成物の温度が上記範囲にあると、バインダー組成物の温度が過度に低いために、バインダー組成物が空気中の水分を吸湿し、水分濃度が上昇するという現象を抑えることができる。また、バインダー組成物の温度が過度に高いために、バインダーが酸素によって変質する、という現象を抑えることができ、さらに、バインダー組成物が充填された充填容器を放置した場合に、室温で冷却する際の熱により充填容器に変形が生じたり、充填容器が密閉されている場合には充填容器内の減圧により充填容器に変形が生じたりする、という現象を抑えることができる。なお、充填工程に供されるバインダー組成物は、後述するようにろ過処理されたものであることが好ましいが、充填直前にバインダー組成物のろ過処理を行う場合であって、ろ過装置のフィルターが樹脂製である場合には、バインダー組成物の温度が上記範囲であると、バインダー組成物の温度が過度に高いために、フィルターの変形やろ過効率の低下などを引き起こし、ろ過装置が正常に機能しない、という現象を抑えることができる。
また、充填工程におけるバインダー組成物の粘度は、好ましくは2500mPa・s以下である。
また、充填工程における充填容器の温度は、好ましくは5℃以上35℃以下、より好ましくは10℃以上30℃以下である。充填容器の温度が上記範囲であると、充填容器の温度が低すぎるために、結露現象により空気中の水分が容器に付着する、という現象を抑えることができる。また、充填容器の温度が高すぎるために作業者が取り扱いにくい、という現象を抑えることができ、さらに加熱エネルギーを過度に加えることによる経済的損失の発生を抑えることができる。
また、充填工程は、酸素濃度が好ましくは5vol%以下、より好ましくは3vol%以下、更に好ましくは1vol%以下、かつ、絶対湿度が好ましくは2g/kg以下、より好ましくは1.5g/kg以下の不活性ガスの雰囲気下で行われる。
密封工程においては、充填工程においてバインダー組成物が充填された充填容器の気相部に不活性ガスを注入した後に、充填容器を密封することが好ましい。ここで、気相部に不活性ガスを注入する方法としては、充填容器におけるバインダー組成物の注入口から、不活性ガスを所定の流量で所定時間注入する方法、バインダー組成物を充填するノズルの先端部に不活性ガスを噴出できる噴出孔を設け、バインダー組成物の充填と同時に不活性ガスを注入する方法などが挙げられる。
なお、上記においては、バインダー組成物を充填容器に充填する前に置換工程を行う構成を例に説明したが、バインダー組成物を充填容器に充填する際に注入溶液と併流するように不活性ガスを充填容器内に送り込んでもよいし、あるいは、バインダー組成物を充填容器に充填した後に充填容器の気相部のみをクリーンな不活性ガスで空気をパージしてもよい。
充填容器を密栓などの方法により密封した後、充填容器は保管される。即ち、バインダー組成物は充填容器内で保管される。また、好ましくは5℃以上35℃以下、より好ましくは10℃以上30℃以下で保管される。保管温度が上記範囲であると、保管温度が過度に低いために、3か月以上など長期保管を行った場合に充填容器の壁に凝集物が発生する、という現象を抑えることができる。また、保管温度が過度に高いために3か月以上など長期保管を行った場合に着色や凝集物が発生する、という現象を抑えることができる。
なお、本発明の充填容器によれば、気相の酸素濃度及び絶対湿度、液相の水分濃度及び粘度をそれぞれ所定の範囲以下に保ったまま、バインダー組成物を3か月以上保管することができ、さらに6か月以上、18か月以上、24か月以上等、長期にわたって保管することができる。
(バインダー組成物)
本発明に用いるバインダー組成物は、バインダーと有機媒体とを含んでなる。
(バインダー)
バインダーとして有機媒体に溶解または分散可能な様々な重合体成分を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリオレフィン、フッ素ビニル系重合体、水酸基含有オレフィン系重合体、アクリル酸系重合体、アクリル系重合体、アクリロニトリル系重合体、ジエン系重合体、ケイ素含有重合体などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、ジエン系重合体、アクリル系重合体、アクリロニトリル系重合体、フッ素ビニル系重合体、または、水酸基含有オレフィン系重合体を好ましく用いることができる。なかでも、アクリロニトリルと、(メタ)アクリル酸エステルと、その他の共重合可能な単量体との共重合体が特に好ましい。
ジエン系重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体、カルボキシ変性されていてもよいSBRなどの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)およびそれらの水素化物、NBRや水素化NBRなどのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体等が挙げられる。
アクリル系重合体の具体例としては、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、ブチルアクリレート・スチレン共重合体などの、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の単独重合体またはそれと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタアクリレートのことを意味する。
アクリロニトリル系重合体の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルメタクリレート共重合体などのアクリロニトリル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリルと、アクリロニトリルと共重合可能な極性基含有オレフィン化合物との共重合体が挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのことを意味する。
フッ素ビニル系重合体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが挙げられる。
水酸基含有オレフィン系重合体の具体例としては、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。
バインダーは有機媒体中に溶解または分散している。分散する場合において、バインダーは粒子状であることが好ましく、バインダーの粒子径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。
(有機媒体)
バインダー組成物に用いる有機媒体としては、非プロトン性の極性溶媒が好ましい。また、有機媒体の常圧における沸点は、好ましくは50℃以上350℃以下、より好ましくは80℃以上300℃以下、更に好ましくは100℃以上250℃以下である。このような有機媒体の例としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、NMP、テトラメチルウレア、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)などのアミド類;ジメチルスルホキサイド(DMSO)などのイオウ化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;酢酸ブチルやエチレングリコールジアセタートなどのエステル類;ヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサン、リモネン、トルエン、キシレンなどの炭化水素;等が挙げられる。中でもアミド類、ケトン類、炭化水素等が好ましく、NMP、キシレン、アセトンが、入手容易性や重合体の分散性、スラリー配合物の集電体への塗工性が良好なので特に好ましい。これら有機媒体は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダー組成物には、バインダーと有機媒体以外に、必要に応じて酸化防止剤、増粘剤および粘度安定剤などの粘度調節剤、界面活性剤、顔料、並びに、分散安定剤などを添加することができる。
(バインダー組成物の製造方法)
バインダーと有機媒体とを含んでなるバインダー組成物の製造方法として、バインダーの粉体やペレット、塊状物を有機媒体に混合・溶解する方法や、バインダーの水分散体に有機媒体を加えて水を除去する方法(例えば、特開2014-165096号公報や特開2014-165097号公報などに記載)などがある。
バインダー組成物中の水分濃度は、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは800ppm以下である。バインダー組成物中の水分濃度が上記範囲にあることにより、水分濃度が過度に高いために、凝集物が発生する、という現象を抑えることができる。
バインダー組成物には、10μm以上の固形物が存在しないことが好ましい。固形物は一般には粒子として評価され、1mLのバインダー組成物中10μm以上の粒子数はゼロであり、10μm~5μmの粒子は10個以下であり、5μm~1μmの粒子は100個以下であることが好ましい。バインダー組成物中の粒子を減少させる方法としては、例えば、バインダー組成物をろ過装置によりろ過処理する方法が挙げられる。
ろ過装置にはフィルターが設置され、フィルターによりバインダー組成物から粒子が取り除かれる。フィルターとしては、特に制限はないが、カートリッジ式フィルターや濾過助剤を用いたものが挙げられ、中でもカートリッジ式フィルターを用いることが好ましい。
また、高精度のろ過にはデプスタイプのフィルターを用いることができる。デプスタイプのフィルターとしては、多数の孔が形成されたろ過膜を積層させた積層構造をなすものや、繊維束を巻き上げたものなどが挙げられる。デプスタイプのフィルターとしては、具体的には、プロファイルII、ネクシスNXA、ポリファインXLD、ウルチプリーツプロファイル等(全て、日本ポール社製)、デプスカートリッジフィルタ、ワインドカートリッジフィルタ等(全て、アドバンテック社製)、CPフィルタ、BMフィルタ等(全て、チッソ社製)、スロープピュア、ダイア、マイクロシリア等(全て、ロキテクノ社製)等が挙げられる。
上記ろ過処理において、5μmのろ過精度を有するフィルターを用いることが好ましい。ろ過されたバインダー組成物は、移送されて上述のように充填容器に充填された後、保管される。
(バインダー組成物の用途)
本発明に用いる充填容器に充填されるバインダー組成物は、電極活物質層やアンダーコート層の形成および/または耐熱層の形成などの電池部材の製造時や、各電池部材の固定剤、シール剤などとして蓄電デバイス製造時に用いることができる。
(電極活物質層)
電極活物質層は、上記バインダー組成物、電極活物質および必要に応じて用いられる電極用導電材等からなり、これら成分を含む電極用スラリーから調製される。
(電極活物質)
電極活物質は負極活物質であってもよく、また正極活物質であってもよい。電極活物質は、電池内で電子の受け渡しをする物質である。以下、リチウムイオン二次電池に用いる場合について説明する。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な化合物である。正極活物質は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。
無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Mn等が使用される。正極活物質に使用される無機化合物の具体例としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePO、LiFeVOなどのリチウム含有複合金属酸化物;TiS、TiS、非晶質MoS等の遷移金属硫化物;Cu、非晶質VO-P、MoO、V、V13などの遷移金属酸化物が挙げられる。これらの化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。
有機化合物からなる正極活物質としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスルフィド系化合物、ポリスルフィド系化合物、N-フルオロピリジニウム塩などが挙げられる。なお、正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。
負極活物質としては、グラファイトやコークス等の炭素の同素体が挙げられる。前記炭素の同素体からなる負極活物質は、金属、金属塩、酸化物などとの混合体や被覆体の形態で利用することも出来る。また、負極活物質としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の酸化物や硫酸塩、金属リチウム、Li-Al、Li-Bi-Cd、Li-Sn-Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコーン等を使用できる。
電極活物質の体積平均粒子径は、正極活物質、負極活物質ともに通常0.01μm以上100μm以下、好ましくは0.05μm以上50μm以下、より好ましくは0.1μm以上20μm以下である。これらの電極活物質は、それぞれ単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
(バインダー組成物)
バインダー組成物としては、上記のバインダー組成物を用いることができる。用いるバインダーの量は、得られる電極活物質層と集電体との密着性が充分に確保でき、二次電池の容量を高く且つ内部抵抗を低くすることができる観点から、電極活物質100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上50質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上10質量部以下の範囲である。
(電極用導電材)
必要に応じて用いられる電極用導電材は、導電性を有し、電気二重層を形成し得る細孔を有さない、粒子状の炭素の同素体からなり、具体的には、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック(アクゾノーベルケミカルズベスローテンフェンノートシャップ社の登録商標)などの導電性カーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックおよびファーネスブラックが好ましい。
(電極活物質層)
電極活物質層は、集電体上に設けられるが、その形成方法は制限されない。電極用スラリーは、電極活物質、バインダー組成物を必須成分として、必要に応じて電極用導電材、分散剤およびその他の添加剤を配合して調製することができる。分散剤の具体例としては、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの分散剤の量は、格別な限定はないが、電極活物質100質量部に対して、通常は0.1質量部以上10質量部以下、好ましくは0.5質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.8質量部以上2質量部以下の範囲である。
(電極用スラリーの調製)
電極活物質層を形成する場合、ペースト状の電極用スラリー(正極用スラリーまたは負極用スラリー)は、電極活物質およびバインダー組成物等の必須成分、並びに必要に応じて用いられる電極用導電材、分散剤および添加剤を、NMPやテトラヒドロフランなどの有機溶媒中で混練することにより製造することができる。
電極用スラリーを得るために用いる溶媒は、特に限定されないが、上記バインダー組成物に用いられる有機媒体を用いることができる。
電極用スラリーを調製するときに使用する溶媒の量は、各成分を均一に分散させる観点から、スラリーの固形分濃度が、通常1質量%以上90質量%以下、好ましくは5質量%以上85質量%以下、より好ましくは10質量%以上80質量%以下の範囲となる量である。
電極活物質およびバインダー組成物、並びに必要に応じて用いられる電極用導電材、分散剤および添加剤を溶媒に分散または溶解する方法または手順は特に限定されず、例えば、溶媒に電極活物質、バインダー組成物、電極用導電材、分散剤および添加剤を添加し混合する方法;溶媒に分散剤を溶解した後、溶媒に分散させたバインダー組成物を添加して混合し、最後に電極活物質および電極用導電材を添加して混合する方法;溶媒に分散させたバインダー組成物に電極活物質および電極用導電材を添加して混合し、この混合物に溶媒に溶解させた分散剤を添加して混合する方法等が挙げられる。混合の手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機器が挙げられる。混合は、通常、室温~80℃の範囲で、10分~数時間行う。
電極用スラリーの粘度は、生産性を上げることができる観点から、室温において、通常10mPa・s以上100,000mPa・s以下、好ましくは30mPa・s以上50,000mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以上20,000mPa・s以下の範囲である。
(電極活物質層の形成)
電極用スラリーの集電体上への塗布方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。スラリーの塗布厚は、目的とする電極活物質層の厚みに応じて適宜に設定される。
乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、集電体に塗布した電極用スラリー中の溶媒を完全に除去できる温度と時間が好ましく、乾燥温度としては100℃以上300℃以下、好ましくは120℃以上250℃以下である。乾燥時間としては、通常5分間以上100時間以下、好ましくは10分間以上20時間以下である。
電極活物質層の密度は、特に制限されないが、通常は0.30g/cm以上10g/cm以下、好ましくは0.35g/cm以上8.0g/cm以下、より好ましくは0.40g/cm以上6.0g/cm以下である。また、電極活物質層の厚みは、特に制限されないが、通常は5μm以上1000μm以下、好ましくは20μm以上500μm以下、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
(電気化学素子用電極)
上記のように、集電体上に電極活物質を含む電極活物質層を形成することにより、電気化学素子用電極を製造することができる。
(耐熱層)
耐熱層は、電極上、又はセパレータ基材上に設けることができる。電極としては上記方法により得られた電極を用いることができ、セパレータ基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂や芳香族ポリアミド樹脂やセルロース繊維を含む微多孔膜または不織布;無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート;など公知のものを用いることができる。これらの中でも、ポリオレフィン系の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
耐熱層は、上記バインダー組成物と、耐熱性の物質、その他の物質からなり、これらを成分として含む耐熱層用スラリーから調製される。
(耐熱性の物質)
耐熱性の物質としては、例えば無機粒子、有機粒子を使用することができる。 無機粒子としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化チタン、BaTiO、ZrO、アルミナ-シリカ複合酸化物等の酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化硼素等の窒化物粒子;シリコーン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子;タルク、モンモリロナイトなどの粘土微粒子等が用いられる。これらの粒子は必要に応じて元素置換、表面処理、固溶体化等されていてもよく、また単独でも2種以上の組合せからなるものでもよい。これらの中でも、非水系二次電池を製造した際の電解液中での安定性と電位安定性の観点から酸化物粒子であることが好ましい。
有機粒子は、その溶融温度が、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは180℃以上である。具体的には、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド縮合物などの各種架橋高分子粒子や、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等の耐熱性高分子の粒子などが例示できる。また、これらの有機粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。
耐熱性の物質の平均粒子径(体積平均粒子径(D50))は、分散状態の制御と均質な所定の厚さの耐熱層が得られ易くなる観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。
(耐熱層用スラリーの調製)
耐熱層用スラリーを調製する際には、溶媒を加えてもよく、溶媒としては例えば、上記バインダー組成物に用いることができる有機媒体が挙げられる。
その他の物質としては、二次電池用耐熱層としての機能を損なわないものであれば特に制限されないが、増粘剤、界面活性剤などが挙げられる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性多糖類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
耐熱層用スラリーの固形分濃度は、耐熱層用スラリーが塗工可能な粘度となる濃度であれば特に限定されないが、通常10質量%以上60質量%以下である。
耐熱層用スラリーを均一に混合調整する混合装置は、上記成分を均一に混合できる装置であれば特に限定はされず、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどを使用することができる。
(耐熱層の形成)
耐熱層用スラリーの電極上、及びセパレータ基材上への塗布方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。耐熱層用スラリーの塗布厚は、目的とする耐熱層の厚みに応じて適宜に設定される。
塗布した耐熱層用スラリーの乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、塗布したスラリー中の溶媒を完全に除去できる温度と時間が好ましく、乾燥温度としては100℃以上300℃以下、好ましくは120℃以上250℃以下である。乾燥時間としては、通常5分間以上100時間以下、好ましくは10分間以上20時間以下である。
(電気化学素子)
上記電気化学素子用電極および/または上記耐熱層を形成したセパレータの使用態様としては、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、ナトリウム電池、マグネシウム電池などが挙げられるが、上記電極を用いたリチウムイオン二次電池が好適である。たとえばリチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレータおよび電解液で構成され、正極として上記電気化学素子用電極、負極として上記電気化学素子用電極、セパレータとして上記耐熱層を形成したセパレータをそれぞれもちいることができる。なお、正極、負極またはセパレータの少なくとも1つに本発明のバインダー組成物の保管方法により保管されたバインダー組成物が用いられていればよい。
(電解液)
電解液は、特に限定されないが、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用できる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiは好適に用いられる。これらは、単独、または2種以上を混合して用いることができる。支持電解質の量は、電解液に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、また通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。支持電解質の量が少なすぎても多すぎてもイオン導電度は低下し電池の充電特性、放電特性が低下する。
電解液に使用する溶媒としては、支持電解質を溶解させるものであれば特に限定されないが、通常、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびメチルエチルカーボネート(MEC)などのアルキルカーボネート類;γ-ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類、1,2-ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、およびジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;が用いられる。特に高いイオン伝導性が得易く、使用温度範囲が広いため、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。これらは、単独、または2種以上を混合して用いることができる。また、電解液には添加剤を含有させて用いることも可能である。また、添加剤としてはビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート系の化合物が好ましい。
上記以外の電解液としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、硫化リチウム、LiI、LiN、LiS-Pガラスセラミックなどの無機固体電解質を挙げることができる。
二次電池は、負極と正極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口して得られる。さらに必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をすることもできる。電池の形状は、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨及び均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の説明において量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。また、以下に説明する操作は、特に断らない限り、常温(20~30℃の範囲)の温度条件にて行った。
実施例および比較例における評価は以下のように行った。
(1)気相部の酸素濃度の測定
酸素分析計IS-700(飯島電子工業(株)製)を用いて充填容器内の気相部の酸素濃度を測定した。なお、充填容器中の気相部の体積が0.5リットル以下の場合、酸素分析計のガス吸引配管を窒素でパージした後、2リットル/分の速度でサンプルガスを吸引しそのサンプルガスを充填容器の気相部に戻すという循環操作を行いつつ酸素濃度を測定した。
(2)気相部の水分量(絶対湿度)の測定
露点度計((株)シロ産業製、MI1T3321)を用いて充填容器内の気相部の絶対湿度を測定し、kg当りの水分量をg/kgとして求めた。
(3)液相部の水分量の測定
実施例および比較例で得られたバインダー組成物中(充填容器内の液相部)の水分量を、電量滴定式水分計を用い、カールフィッシャー法(JIS K-0068(2001)、水分気化法、気化温度200℃)により測定した。
(4)液相部の粘度の測定
充填容器内の液相部の粘度をB型回転粘度計(東京計器製)により、温度25℃にて測定した。
(5)貯蔵安定性(色の変化および凝集物)
(5-1)色の変化
実施例および比較例においてバインダー組成物を充填した充填容器について、保管開始時点および保管開始から3か月経過後の気相と液相との界面付近における液相の色を目視にて観察し、保管開始時点の気相部と液相部との界面付近における液相部の色と比較して変化を記録した。色の変化は、下記の基準により評価し、結果を表1および表2に示した。着色、即ち色の変化が大きいとバインダー組成物に変質が発生していることを示す。
<評価基準>
A:貯蔵前のバインダー組成物と同じ色と透明度を有する。
B:貯蔵前のバインダー組成物よりわずかに着色が強くなる。
C:貯蔵前のバインダー組成物より着色が目立つ。
D:着色が顕著であり、透明性も悪くなっている。
(5-2)凝集物
実施例および比較例において、バインダー組成物を充填した充填容器の保管開始から3か月経過後の充填容器底部における凝集物の有無を目視にて観察した。凝集物の発生量を下記の基準により評価し、結果を表1および表2に示した。凝集物の発生量が多いと塗工の際の歩留まりが悪化する。
<評価基準>
A:凝集物は認められない。
B:かすかに曇りが認められる。
C:曇りが明らかに認められる。
D:凝集物が明らかに沈澱している。
(6)塗工性の評価(凝集物およびピンホール)
実施例および比較例で得られたバインダー組成物を、充填容器に3か月間保管した後、下記のように耐熱層用スラリーを作製した。そして、乾燥後の厚みが4μmとなるような条件でバーコーターにて耐熱層用スラリーを負極(目付量:10mg/cm、活物質層密度:1.5g/cm、組成(質量比):カーボンコート天然黒鉛(比表面積3m/g):カルボキシメチルセルロース(CMC):SBR(バインダー)=100/1.5/1.5)に塗布し、120℃のオーブンにて20分間乾燥させた。
得られた塗膜を30cm×30cmの寸法で切り出し、20倍のルーペを使用し、目視にて直径0.1mm以上の膨らみの個数を測定した。なお、膨らみは凝集物に起因するものである。同時に、直径0.1mm以上のピンホールの個数を測定した。測定した凝集物の個数およびピンホールの個数を下記のそれぞれの評価基準により評価し、表1および表2に示した。凝集物の個数が多いと歩留まりが悪化する。また、凝集物やピンホールの個数が少ないと、塗工性に優れており、歩留まりが向上する。
耐熱層用スラリーの製造は次のように行った。まず、耐熱性の物質としての非導電性微粒子(アルミナ、体積平均粒径0.5μm)とバインダー組成物を、100:3の含有割合(固形分相当比)となるように混合した。次に固形分濃度が40%になるようにNMPを添加し、ディスパー翼でプレ混合した。さらにコーンミル型分散機(IKA社製、IKA MKO)を用いて周速40m/秒にて分散させて耐熱層用スラリーを得た。
<評価基準(凝集物)>
A:膨らみの個数が0個
B:膨らみの個数が1個以上5個未満
C:膨らみの個数が5個以上10個未満
D:膨らみの個数が10個以上
<評価基準(ピンホール)>
A:ピンホールの個数が0個
B:ピンホールの個数が1個以下
C:ピンホールの個数が2個以上6個未満
D:ピンホールの個数が6個以上10個未満
E:ピンホールの個数が10個以上
(実施例1)
ブチルアクリレート79.4部、アクリロニトリル16.7部、メタクリル酸グリシジル3.3部、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸0.6部からなる単量体組成物を重合して得たアクリル系重合体およびNMPからなるバインダー組成物であって、アクリル系重合体を固形分にて9.0%含むバインダー組成物を原料タンクに用意した。なお、このバインダー組成物中の水分濃度は500ppmであり、粘度は630mPa・sであった。また、原料タンクのバインダー組成物の温度を50℃に維持した。
このバインダー組成物を定格ろ過精度が5μmであるフィルター(チッソ製、CP-5)でろ過処理後、注入口の大きさが直径30mmであり、ポリエチレン製のフタと樹脂製のネジ式キャップを備えた15.8リットルの高密度ポリエチレン製のクリーンな充填容器(積水成型社製、ポリコン13SL)に充填した。具体的には、バインダー組成物13kgを充填し、容器内の空間容積が2.8リットルとなるようにした。即ち、気相部が充填容器の17.7vol%となるようにした。ここで、充填を行う充填作業場の温度は25℃であった。また、充填開始時の充填容器の温度は25℃であった。
なお、充填作業の前に充填雰囲気ガスとして、予め酸素濃度0.1vol%、絶対湿度0.6g/kgの窒素ガスを1.5リットル/分の速度で容器の底から12分間パージし、充填容器から空気を放出させた。充填容器内の酸素濃度および絶対湿度は充填雰囲気ガスと同じであることを確認した。
更に充填容器にバインダー組成物を充填した後、充填容器を密封する前に注入口から充填容器内の気相部に上記の充填雰囲気ガスを1リットル/分で20秒吹き込み、その後密封(密栓)した。充填容器の気相部の酸素濃度は0.1vol%、絶対湿度は1g/kg未満であった。
なお、本実施例で用いた窒素ガスをハンドヘルドパーティクルカウンター(リオン(株)製、KC-52)にて測定したところ、窒素ガスに含まれる0.3μm以上の粒子径の粒子数は0であった。また、充填容器に充填したバインダー組成物について、充填1日後に測定を行ったところ、粘度は650mPa・sであり、微褐色透明液で、水分濃度500ppmであった。また、充填1日後のバインダー組成物を用いて塗工性評価を行ったところ、凝集物とピンホールはともになかった。
そして、バインダー組成物を充填した充填容器を、酸素濃度0.1vol%、絶対湿度1g/kg以下の窒素ガス雰囲気のデシケーター内に3か月間常温で保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
原料タンクのバインダー組成物の温度を35℃に変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
原料タンクのバインダー組成物の温度を65℃に変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
充填雰囲気ガスを酸素濃度0.1vol%、絶対湿度1.1g/kgのアルゴンガスに変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
原料タンクのバインダー組成物の温度を35℃に、充填作業場の温度を10℃に、充填開始時の充填容器の温度を10℃にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
充填雰囲気ガスを酸素濃度3.0vol%、絶対湿度1.1g/kgのアルゴンガスに変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
バインダー組成物の組成をジエン系重合体としての水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムおよびNMPからなるものに変更した。このバインダー組成物は、ジエン系重合体を固形分にて12%含み、水分濃度は200ppmであり、粘度は1400mPa・sであった。上記のバインダー組成物を用いた以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、充填1日後のバインダー組成物を用いて塗工性評価を行ったところ、凝集物とピンホールはともになかった。
(実施例8)
バインダー組成物の組成をフッ素ビニル系重合体としてのポリフッ化ビニリデンおよびNMPからなるものに変更した。このバインダー組成物は、フッ素ビニル系重合体を固形分にて8.0%含み、水分濃度は350ppmであり、粘度は2050mPa・sであった。った。上記のバインダー組成物を用いた以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、充填1日後のバインダー組成物を用いて塗工性評価を行ったところ、凝集物とピンホールはともになかった。
(比較例1)
充填雰囲気ガスを、酸素濃度20.5vol%、絶対湿度5.5g/kgの空気に変更し、また、原料タンクのバインダー組成物の温度を10℃に、充填作業場の温度を10℃に、充填開始時の充填容器の温度を10℃にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行った。しかし、充填直後に充填容器の壁に結露が発生し、保管に適さなかった。そのため、評価についても行わなかった。結果を表2に示す。
(比較例2)
原料タンクのバインダー組成物の温度を10℃に変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
充填雰囲気ガスとしての窒素ガスを、酸素濃度0.1vol%、絶対湿度3.0g/kgのものに変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。なお、霧吹き状のスプレー((株)イケウチ製、ドライフォッグ)を用いて窒素ガスの調湿を行った。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
充填雰囲気ガスとしての窒素ガスを、酸素濃度9.0vol%、絶対湿度0.8g/kgのものに変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
原料タンクのバインダー組成物の温度を85℃に変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
原料タンクのバインダー組成物の温度を40℃に、充填作業場の温度を-5℃に、充填開始時の充填容器の温度を-5℃にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例7)
充填開始時の充填容器の温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行った。その後バインダー組成物を充填した充填容器を保管する際の温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様にバインダー組成物を充填した充填容器を3か月間保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例8)
バインダー組成物を、アクリル系重合体を固形分にて28%含み、水分濃度は710ppmであり、粘度は2900mPa・sであるアクリル系重合体およびNMPからなるものに変更した。上記のバインダー組成物を用いた以外は、実施例1と同様にバインダー組成物の充填容器への充填を行い、密封した後、充填容器を3か月保管した。保管後、容器内の気相部の酸素濃度と絶対湿度を確認し、充填容器内のバインダー組成物の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007024781000001
Figure 0007024781000002
表1および表2に示すように、本発明のバインダー組成物の保管方法は、貯蔵安定性に優れる。このことは、保管によるバインダー組成物の損失を削減することができることを示す。また、本発明のバインダー組成物の保管方法により保管されたバインダー組成物は塗工性に優れる。このことは電池製造の際に歩留まりが大幅に改善されることを示す。

Claims (4)

  1. バインダーおよび有機媒体を含むバインダー組成物を充填容器に保管する方法であって、
    前記充填容器に前記バインダー組成物を充填する際の前記バインダー組成物の温度を、31℃以上70℃以下とする工程、
    前記充填容器に前記バインダー組成物を充填する際の前記充填容器の温度を、5℃以上35℃以下とする工程、
    前記充填容器内に前記バインダー組成物を3か月保管した後の前記充填容器の気相部の酸素濃度を5vol%以下に、かつ、絶対湿度を2g/kg以下に、それぞれする工程、
    前記充填容器内に前記バインダー組成物を3か月保管した後の前記充填容器の液相部の水分濃度を1000ppm以下に、かつ、粘度を3000mPa・s以下に、それぞれする工程、を含む、バインダー組成物の保管方法。
  2. 前記充填容器に充填する前記バインダー組成物の粘度が2500mPa・s以下である、請求項に記載のバインダー組成物の保管方法。
  3. 前記充填容器に前記バインダー組成物を充填する際の前記充填容器内の雰囲気を、酸素濃度5vol%以下、かつ、絶対湿度2g/kg以下の不活性ガス雰囲気とする、請求項1または2に記載のバインダー組成物の保管方法。
  4. 前記バインダー組成物を前記充填容器に充填する前に、前記充填容器中の空気を予め充填雰囲気ガスで置き換える工程を更に含む、請求項1~3の何れかに記載のバインダー組成物の保管方法。
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