JP7021953B2 - エーテル型グリセロリン脂質の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、エーテル型グリセロリン脂質の製造方法に関するものである。
より詳しくは、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を、簡単な操作で効率よく製造する方法に関するものである。
脂質とは、分子中に長鎖脂肪酸又は類似の炭化水素鎖を有し、生体内に存在するか、生物に由来する物質を指す。
この脂質は、大別すると、単純脂質と複合脂質に分類することができる。
前記単純脂質は、炭素(C)、水素(H)および酸素(O)より構成され、一般にアセトンに可溶で、単純脂質のトリアシルグリセロールは、動物体では、脂肪組織にエネルギーの貯蔵体として存在する。
一方、複合脂質は、分子中にリン酸や糖を含む脂質群であり、疎水性部分(脂肪酸部分)と親水性部分(リン酸や塩基の部分)から構成され、両親媒性を示すものが多く、細胞膜の脂質二重層の主要な構成脂質である他、体内での情報伝達に関わるものである。
一般的には、前記単純脂質がアセトンに可溶であるのに対し、複合脂質はアセトンに不溶である。
前記複合脂質は、
1)グリセロリン脂質;
ホスファチジルコリン(別名レシチン)、ホスファチジルエタノールアミンなどが属する。
2)スフィンゴリン脂質;
スフィンゴミエリン、セラミドシリアチンなどが属する。
3)スフィンゴ糖脂質;
セレブロシド、スルファチド、ガングリオシドなどが属する。
および
4)グリセロ糖脂質;
微生物や高等植物に存在するジアシルグリセロールに、種々の糖が結合したものなど
がある。
なお、前記2)のスフィンゴリン脂質および3)のスフィンゴ糖脂質を総称して、スフィンゴ脂質と呼ばれる。
前記グリセロリン脂質は、グリセロールを骨格に持つリン脂質の総称で、生体膜の構成成分として重要なものである。
このグリセロリン脂質は、ジアシル型グリセロリン脂質、アルケニルアシル型グリセロリン脂質(プラスマローゲン)、及びアルキルエーテル型グリセロリン脂質のサブクラスに分けることができる。
前記アルケニルアシル型グリセロリン脂質(プラスマローゲン)及びアルキルエーテル型リン脂質は、エーテル結合を有していることから、まとめてエーテル型グリセロリン脂質と呼ばれる。
中でも、脂肪酸の1位(sn-1)にビニルエーテル結合を持つプラズマローゲンは、脳神経細胞や心筋、骨格筋などに特徴的に多く含まれるリン脂質で、近年注目されている脂質成分である。
このプラズマローゲンは、分子内のビニルエーテル構造が特徴的な生物機能を担い、活性酸素やラジカル、金属イオンを補足して抗酸化性を示す他、細胞膜(特に、神経細胞シナプス膜)の流動柔軟性に関与していることが報告されている(非特許文献1)。
さらに、健康な成人の脳に比べて、アルツハイマー病疾患の脳は、プラズマローゲン型リン脂質濃度が有意に低く、約30%も減少していることが報告されている(非特許文献1及び2)。
そのため、プラズマローゲンあるいはエーテル型グリセロリン脂質を、飲食品や医薬品に含有させることによって、アルツハイマー病などの疾患を改善・予防することが提案されている(例えば、特許文献1~4)。
このようなエーテル型グリセロリン脂質の製造方法の一例が、特許文献1及び2に開示されている。
例えば、特開2007-262024号公報(特許文献5)においては、飲食品分野でも使用できる溶媒のみを用いて、水産動物からプラズマローゲン含有脂質を抽出する方法が提案されている。
このプラズマローゲン含有脂質の抽出方法は、
1)水産動物の乾燥物に、n-ヘキサン/エタノール/水の混合溶媒を加えて撹拌し、濾液を回収する抽出工程と、
2)上記抽出工程にて回収された濾液に、n-ヘキサン/水の混合溶媒を加えて撹拌し、静置して上層を回収する液・液分離工程と、
3)上記液・液分離工程にて回収された上層を乾固させ、脂質を回収する乾固工程と
を有するものである。
さらに、特開2010-65167号公報(特許文献6)においては、安価に大量入手が可能な動物組織から、高純度のプラズマローゲン型リン脂質及びスフィンゴ脂質画分を製造する方法が提案されている。
この製造方法は、
A)プラズマローゲン型リン脂質及びスフィンゴ脂質を含有する動物組織に対して、エタノール抽出処理を行い、エタノール抽出物を得る工程、
B)前記(A)工程で得たエタノール抽出物に含まれる、ジアシル型グリセロリン脂質を加水分解する工程、
C)前記B)工程で得た処理物を、水溶性ケトン系溶剤で処理し、不溶部を回収する工程、
D)前記C)工程で得た不溶部を、脂肪族炭化水素溶剤と水溶性ケトン溶剤との混合有機溶剤および水で溶媒分配し、混合有機溶剤部を回収する工程
を含むものである。
特開2003-3190号公報 特開2003-12520号公報 特開2004-26803号公報 特開2013-53109号公報 特開2007-262024号公報(請求の範囲) 特開2010-65167号公報(請求の範囲)
宮澤大樹ら,「海産プラズマローゲンによる認知症予防に向けた基礎的取り組み」,FOOD STYLE21,14(4): p29-31(2010) Braverman NE及びMoser AB,Functions of plasmalogen lipids in health and disease,BBA,1822: p1442-1452(2012)
前記特許文献5に開示されている方法は、多種多様な溶剤を使用し、抽出工程を複数回行う必要があるもので、煩雑であった。
さらに、前記特許文献6に開示されている方法は、酵素であるホスホリパーゼA1(PLA1)を用いるもので、このPLA1は、エーテル型グリセロリン脂質を分解することがない、という特性を利用するものである。
このような方法は、原材料組織からの1次抽出物を、乾固させた後に、酵素溶液に再懸濁して酵素反応を行う工程を含むものである。
したがって、この酵素反応を、より効率的に行うためには、分散性において良好なエマルジョンを調製する必要がある。
しかしながら、脂質抽出物は油系であるのに対して、酵素溶液は水系であるため、前記再懸濁を行うことは容易ではない。
さらに、脂質抽出物が少量である場合においては、容器壁に脂質抽出物が付着したとしても、超音波処理等を行うことで再懸濁を行うことが可能であるが、スケールアップ時に大きな問題となる。
このように、アルツハイマー病などの疾患を、改善・予防する効果において優れたエーテル型グリセロリン脂質を、高純度かつ簡単な操作で製造でき、スケールアップに際しても、作業効率・作業時間において改善された、エーテル型グリセロリン脂質の製造方法が求められている。
この発明はかかる現状に鑑み、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を、簡単な操作で効率よく製造する方法を提供することを目的として、鋭意検討を行なった。
その結果、生物系素材を特定の工程に付すことによって、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を、簡単な操作で効率よく製造することができることを見出して、この発明を完成させたものである。
すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、
生物系素材又はその組織を、タンパク質分解酵素処理し、前記タンパク質分解酵素処理と同時に、ホスホリパーゼA1処理して、混在するジアシルリン脂質を分解・除去することを含み、
前記タンパク質分解酵素は、至適pHが酸性域のプロテアーゼから選択されること
を特徴とする精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法である。
この発明の請求項2に記載の発明は、
生物系素材又はその組織を、タンパク質分解酵素処理し、前記タンパク質分解酵素処理と同時に、ホスホリパーゼA1処理して、混在するジアシルリン脂質を分解・除去する工程(イ)及び
前記工程(イ)に付した後、精製工程に付すことにより、精製されたエーテル型グリセロリン脂質を得る工程(ロ)を含み、
前記タンパク質分解酵素は、至適pHが酸性域のプロテアーゼから選択されること
を特徴とする精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法である。
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法において、
前記タンパク質分解酵素処理は、
pH4.5~5.2で行われること
を特徴とするものである。
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1に記載の精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法において、
前記生物系素材又はその組織は、
動物由来のものであり
前記タンパク質分解酵素処理は、
pH4.5~5.2で行われ、
前記タンパク質分解酵素処理と前記ホスホリパーゼA1処理の後に、ヘキサン/2-プロパノール混合液による抽出処理を行うこと
を特徴とするものである。
この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法は、生物系素材又はその組織を、タンパク質分解酵素処理して生物系素材の組織を溶解し、前記タンパク質分解酵素処理と同時又は処理の後に脂質分解酵素処理して生物系素材の組織中に含まれるジアシル型グリセロリン脂質を加水分解することを含むものである。
したがって、この製造方法によれば、1次抽出操作および当該総脂質からの、中性脂質の除去作業ならびに再懸濁作業を行うことなく、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を簡単な操作で効率よく得ることができる。
特に、この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法は、動物由来の生物系素材又はその組織に適用することができる。
この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法の一例を示すフロー図であって、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造方法を示す。 従来のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法の一例を示すフロー図であって、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造方法を示す。 HPLCチャートであって、 (a)は、図1のフロー図に示された方法に基づいて製造されたエーテル型グリセロリン脂質のHPLCチャートを、 (b)は、図2のフロー図に示された方法に基づいて製造されたエーテル型グリセロリン脂質のHPLCチャートを示す。 この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法の他の例を示すフロー図であって、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造方法を示す。 従来のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法の他の例を示すフロー図であって、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造方法を示す。 HPLCチャートであって、 (a)は、図4のフロー図に示された方法に基づいて得られた、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の粗抽出物のHPLCチャートを、 (b)は、図4のフロー図に示された方法に基づいて得られた、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の精製抽出物のHPLCチャートを、 (c)は、図5のフロー図に示された方法に基づいて得られた、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の精製抽出物のHPLCチャートを示す。 この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法の他の例を示すフロー図であって、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造方法を示す。 図7のフロー図に示された方法に基づいて製造された、エーテル型グリセロリン脂質のHPLCチャートを示す。 この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法によって得られた、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLCチャートを示す。 この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法によって得られた、鶏肉由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLCチャートを示す。 この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法によって得られた、ブリ由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLCチャートを示す。
以下、この発明に係るエーテル型グリセロリン脂質の製造方法の実施の形態について、説明する。
なお、この発明について、好ましい代表的な例を中心に説明するが、この発明はこのような代表例に限定されるものではない。
さらに、この発明の説明においては、次の略語を用いることがある。
PE:ホスファチジルエタノールアミン(ジアシル型グリセロリン脂質の一種)
PC:ホスファチジルコリン(ジアシル型グリセロリン脂質の一種)
CAEP:セラミドアミノエチルホスホン酸
SM:スフィンゴミエリン(スフィンゴリン脂質の一種)
plsPE:エタノールアミンプラズマローゲン
plsPC:コリンプラズマローゲン
PLA1:ホスホリパーゼA1
Chol:コレステロール
この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法は、生物系素材又はその組織を、タンパク質分解酵素処理し、前記タンパク質分解酵素処理と同時又は処理の後に、脂質分解酵素処理することを含むものである。
このような構成によって、前記生物系素材又はその組織は、タンパク質分解酵素処理により溶解される。
したがって、従来行われていた1次抽出を行うことなく、原材料としての動物組織、植物組織あるいは微生物などの生物系素材やその組織に対して、脂質分解酵素(例えばPLA1)を直接作用させて、混在するジアシル型グリセロリン脂質を加水分解することが可能となる。
さらに、この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法によれば、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を、簡単な操作で効率よく得ることができる。
さらにまた、脂質分解酵素処理に際して、前記生物系素材又はその組織を液体の状態にすることができるため、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を、連続的に製造することが可能となる。
なお、この発明において、「1次抽出」とは、酵素処理前に、前記生物系素材又はその組織から総脂質を抽出するための操作をいう。
前記「エーテル型グリセロリン脂質」とは、グリセロール骨格の1位(sn-1)に、ビニルエーテル結合(アルケニル結合)あるいはエーテル結合(アルキル結合)をもつグリセロリン脂質をいう。
以下に、エーテル型グリセロリン脂質の一般式を示す。
式(1)で示される化合物が、アルケニルリン脂質(プラズマローゲン)で、
式(2)で示される化合物が、アルキルリン脂質である。
Figure 0007021953000001

(1)
Figure 0007021953000002

(2)
前記式中、Rは脂肪族炭化水素基を示す。
は通常、炭素数14~18の脂肪族炭化水素基である。
は脂肪族炭化水素基で、例えば、アラキドン酸(ARA)、ドコサヘサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸が結合している場合もある。
さらに、式中、Xは、含窒素アルコール基またはポリオール基である。
前記含窒素アルコール基としては、水素、セリン基、エタノールアミン基、N-メチルエタノールアミン基、ジメチルエタノールアミン基、トリメチルエタノールアミン基などが挙げられる。
前記ポリオール基としては、グリセロール基、グリセロリン酸基、グリセロリン酸ホスファチジル基、イノシトール基、イノシトールリン酸基、イノシトールジリン酸基などが挙げられる。
この発明において、使用する生物系素材としては、エーテル型グリセロリン脂質を含むものであればよく、特に制限されない。
例えば、動物、植物及び微生物を挙げることができる。
前記生物系素材としては、植物組織および微生物と比較してエーテル型グリセロリン脂質の含有量が高く、安価に大量に入手することが容易であることから、動物又はその組織を選択することが好ましい。
前記動物としては、哺乳類、鳥類および魚介類などが例示される。
前記哺乳類としては、供給安定性と安全性の両面から、家畜が好適である。
例えば、牛、豚、馬、山羊、めん羊、鹿、らくだ、ラマなどの哺乳類、鶏、アヒル、七面鳥、ダチョウなどの家禽が例示される。
前記哺乳類の場合において、エーテル型グリセロリン脂質を含有している主な組織としては、皮膚、脳、腸、心臓、生殖器などが挙げられる。
前記魚介類としては、飼育、すなわち養殖可能であるものが好適で、
ブリ、マダイ、ギンザケ、カンパチ、ヒラメ、トラフグ、シマアジ、マアジ、ヒラマサ、タイリクスズキ、スズキ、スギ、クロマグロ、クルマエビ、コイ、ウナギ、ニジマス、アユ、ヤマメ、アマゴ、ニツコウイワナ、エゾイワナ、ヤマトイワナなどの魚類、
クルマエビ、ブラックタイガー、タイショウエビ、ガザミなどの甲殻類、
アワビ、サザエ、ホタテ貝、カキなどの貝類
が例示される。
なかでも、アワビ、サザエ、ホタテ貝、カキなどの貝類がより好適である。
特に、総脂質中の中性脂質の含有率が低く、リン脂質の含有率が高く、さらにリン脂質中のエーテル型グリセロリン脂質の含有率も高いことから、ホタテ貝を選択することが好適である。
前記魚介類の場合において、エーテル型グリセロリン脂質を含有している主な組織としては、内臓、性腺、筋肉などが挙げられる。
前記微生物としては、例えば、Propionibacterium属の細菌などを使用することができる。
なお、細菌の場合においては、「組織」は、細菌そのものである。
なお、前記生物系素材やその組織については、酵素処理前に、腐敗防止の観点から、煮沸や凍結などの処理が施されてもよい。
その組織を用いる際には、酵素処理の効率を高めるため、予めミンチ化や、粉砕などの処理が施されてもよい。
さらに、前記生物系素材やその組織について、酵素処理の効率を高めるため、酵素処理中に、高速ホモジナイザーやホモミキサー処理が施されてもよい。
前記タンパク質分解酵素処理は、前記生物系素材やその組織を、溶解(加水分解)するためのものである。
このような構成によって、従来に比べて、脂質分解酵素によるジアシル型グリセロリン脂質の加水分解工程や濃縮ないし精製工程を簡略化することができ、エーテル型グリセロリン脂質の抽出を効率よく行うことができる。
さらに、原材料としての生物系素材及びその組織を液状にすることができるので、連続的にエーテル型グリセロリン脂質の抽出を行うことも可能になる。
その際、単段式遠心抽出機や多段式遠心抽出機、ミキサセトラなどを使用して連続的に抽出を行うことができる。
前記タンパク質分解酵素については、前記生物系素材やその組織を溶解(加水分解)することができるものであれば、その由来などには特に限定されない。
したがって、選択される生物系素材や、その組織に応じて適宜選択すればよい。
前記タンパク質分解酵素として、例えば、エキソペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、又はこれらの混合物を使用することができる。
このようなタンパク質分解酵素として、
イ)パンクレアチン、トリプシン、キモトリプシン、ペプシンなどの動物由来のプロテアーゼ;
ロ)パパイン、ブロメライン、フィシンなどの植物由来のプロテアーゼ;
ハ)麹菌、乳酸菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌などの微生物由来のプロテアーゼ
などを挙げることができる。
この発明においては、至適pHが酸性域のプロテアーゼ(酸性プロテアーゼ)、中性域のプロテアーゼ(中性プロテアーゼ)、アルカリ性域プロテアーゼ(アルカリ性プロテアーゼ)のいずれのプロテアーゼも使用することができ、これらの混合物であってもよい。
混合物として使用する場合、その配合比率には特に制限はなく、酸性プロテアーゼと中性プロテアーゼとアルカリ性プロテアーゼを、バランスよく含む酵素製剤などを使用してもよい。
かかる酵素製剤としては、例えば、三菱化学フーズ株式会社などから販売されている。
前記タンパク質分解酵素の使用量については、原料として選択される生物系素材の量に応じて適宜選択され得る。
好ましくは、生物系素材1gに対して、10~10,000unit、より好ましくは100~5,000unitである。
前記タンパク質分解酵素の処理については、従来法に従って行うことができる。
例えば、浸漬法(冷浸,温浸など)、減圧浸漬法、加圧浸漬法などにより行うことができる。
前記タンパク質分解酵素の反応条件については、適宜選択できる。
好ましくは温度30~70℃、より好ましくは温度45~55℃、さらに好ましくは温度50℃で撹拌しながら、好ましくは30分~24時間、より好ましくは30分~5時間、さらに好ましくは1~3時間反応させる。
具体的には、生物系素材としてボイルホタテ(ひも部分)を選択した場合、酵素溶液を加え、好ましくは温度50℃で30分間以上、より好ましくは温度50℃で1時間以上、静置又は攪拌を行う方法が例示される。
この発明において、前記タンパク質分解酵素処理に際しては、選択される生物系素材に前記脂質分解酵素が容易に作用するように、タンパク質分解酵素以外の他の酵素を適宜添加してもよい。
このような酵素としては、生物系素材中の糖を分解するために使用される糖分解酵素などが挙げられる。
前記脂質分解酵素は、ジアシル型グリセロリン脂質のsn-1のアシル結合を、特異的に加水分解するためのものである。
このエーテル型グリセロリン脂質のsn-1は、エーテル結合であるので、脂質分解酵素は作用しない。
前記脂質分解酵素による処理によって、ジアシル型グリセロリン脂質は、遊離脂肪酸とリゾリン脂質に分解される。
分解された遊離脂肪酸とリゾリン脂質は、比較的水溶性であることなどを利用して除去することができる。
前記脂質分解酵素については、前記効果が得られるものであれば、その由来などは特に制限されない。
前記脂質分解酵素として、例えば、アスペルギルス・オリゼ由来のホスホリパーゼA1(PLA1)が挙げられる。
かかるPLA1は、例えば、三菱化学フーズ株式会社などから購入可能である。
前記脂質分解酵素の使用量についても、前記タンパク質分解酵素の場合と同様で、原料として選択される生物系素材の量に応じて適宜選択され得る。
好ましくは、生物系素材1gに対して、10~10,000unit、より好ましくは100~5,000unitである。
10unit未満では、十分な効果が得られない傾向にあり、10,000unitを超えると不経済である。
反応条件については、使用する酵素の至適温度、至適pHなどの特性に応じて適宜選択できる。
好ましくは温度25~60℃、pH4.0~8.0、より好ましくは温度30~50℃、pH4.5~7.0で、必要に応じて撹拌しながら、好ましくは1~24時間、より好ましくは1~5時間、さらに好ましくは1~2時間反応させる。
前記脂質分解酵素及びタンパク質分解酵素による酵素反応を、至適pH条件下で行うため、バッファー中で行うことができるが、このようなバッファーは、使用する脂質分解酵素及びタンパク質分解酵素に応じて適宜選択され得る。
例えば、250mMクエン酸-HClバッファー(pH5.2)を用いることができる。
この場合、生物系素材に前記バッファーを加えてから、これに前記タンパク質分解酵素および前記脂質分解酵素(PLA1)を加えるか、あるいは生物系素材に前記タンパク質分解酵素および前記バッファーを加えて溶解させてから、これに前記脂質分解酵素(PLA1)を加えればよい。
前記バッファーの使用量については、酵素反応が進行し得るものであればよく、特に制限はない。
好ましくは、原料としての生物系素材1g当たり0.1~10mL、より好ましくは0.5~5mLである。
なお、酵素反応を、冷却により止めてもよい。
さらに、酵素の失活処理を行ってもよい。
例えば、前記失活処理は、加水分解反応後、使用する酵素の特性に合わせて、温度を上昇(例えば、温度70℃程度まで)させることによって行うことができる。
このようにして、ジアシル型グリセロリン脂質が分解された、処理液(加水分解処理液)を得ることができる。
この加水分解処理液に、例えば、2~3倍量のヘキサンを加え、その後、液層を回収することで、酵素バッファーおよび酵素タンパク質を除去することができる。
この発明の製造方法においては、さらに、エーテル型グリセロリン脂質を精製する工程を含めることができる。
前記精製工程を含めることによって、精製濃縮された、より優れた効果を有するエーテル型グリセロリン脂質を得ることができるので、前記精製工程を含めることが好ましい。
具体的には、前記脂質分解酵素処理後に得られた、ジアシル型グリセロリン脂質が分解された処理液を、さらに精製工程に付すことができる。
前記精製は、公知の方法に従って行うことができる。
例えば、エーテル型グリセロリン脂質は、ヘキサンに溶解するが、アセトンなどの水溶性ケトン系溶剤には難溶性であることから、これらの溶媒および水を適宜組み合わせて分配を行い、さらに水又は酢酸水溶液などの酸性水溶液により溶液分配すること(溶媒分配法)で、リゾリン脂質を除去してエーテル型グリセロリン脂質を精製することができる。
すなわち、アセトンなどの水溶性ケトン系溶媒により、リン脂質以外の中性脂質を除去でき、水系溶液分配によって、エーテル型グリセロリン脂質とリゾリン脂質とに分離できる。
具体的には、前記処理液(加水分解処理液)に、2~10倍溶のヘキサン/2-プロパノール混合液(3:2)を加えて分液ロートに移し、その約3分の2の水を加えて、2層に分け、上層(ヘキサン層)を回収することで、脂質分解産物(遊離脂肪酸、リゾリン脂質)、酵素タンパク質、酵素バッファーを除去できる。
なお、比率1:2~1:4程度のヘキサン/水を用いて分離する方法や、クロロホルム/メタノール混液による分配方法などを用いることもできる。
その後、さらに、5~50倍溶の、アセトンなどの水溶性ケトン系溶媒によりリン脂質以外の中性脂質を除去してもよい。
この発明の製造方法によって得られるエーテル型グリセロリン脂質は、主にエタノールアミンリン脂質及びコリンリン脂質を含むものである。
このような脂質の構成については、前記エーテル型グリセロリン脂質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析・確認することができる。
かかる構成の製造方法によって得られるエーテル型グリセロリン脂質は、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、統合失調症などの脳神経病、糖尿病などのメタボリックシンドローム、種々の感染症や免疫異常の治療および改善にきわめて有効である。
しかも、この発明の製造方法によれば、前記エーテル型グリセロリン脂質を、高純度、特に純度50%以上で得ることができる。
前記エーテル型グリセロリン脂質を、飲食品の素材あるいは医薬の原料として、利用することができる。
このような飲食品および医薬は、公知の方法に従って製造すればよい。
さらに、前記エーテル型グリセロリン脂質については、前述の如く公知の又は将来開発される、様々な飲食品の形態を適宜採用することができる。
この場合において、機能性食品又は特定保健用食品の形態についても、同様に採用することができる。
様々な飲食品の製品の形態として、例えば、清涼飲料水、緑茶飲料、紅茶飲料、コーヒー飲料、発酵茶飲料(ウーロン茶など)、野菜ジュース、牛乳、乳飲料、発酵乳飲料、ドリンク剤、スポーツ飲料、ゼリー飲料、アルコール飲料などの飲料;ゼリー状食品、冷菓、ケーキ、キャンディー、キャラ メル、チューインガム、和菓子、スナック菓子、チョコレート、ラムネ菓子、グミ、プリン、ヨーグルト、スープ、味噌汁、ごはん、おにぎり、加工肉、パン、うどん、そば、ラーメン、パスタ、コンニャク、漬け物、納豆、からあげ粉、小麦粉、片栗粉、ゼラチン、パン粉、練り物、レトルト食品、 冷凍食品、チルド食品、インスタント食品などの一般食品;ふりかけ、ソース、醤油、魚醤、味噌、料理酒、酢、みりん、オイスターソース、タレ、マヨネーズ、ケチャップ、塩、スパイス、ハーブ、カレー粉、食用油、めんつゆ、うま味調味料、香辛料、風味調味料などの調味料;カプセル剤、錠 剤、糖衣剤、顆粒剤、散剤、液剤、可食フィルム剤、ゼリー剤などの加工食品;などの各種製品を挙げることができる。
前記エーテル型グリセロリン脂質を医薬の原料として用いる場合、有効成分であるエーテル型グリセロリン脂質に、必要に応じて薬学的に許容される基剤、担体、添加剤(例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶剤、甘味剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤、保湿剤、保存剤、pH調整剤、粘稠化剤等)などを配合することができる。このような基材、担体、添加剤等は、例えば医薬品添加物辞典2000(株式会社薬事日報社)に具体的に記載されており、例えばこれに記載されるものを用いることができる。また、製剤形態も特に制限されず、常法により有効成分及びその他の成分を混合し、例えば錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ゼリー剤、チュアブル剤、ソフト錠剤などの製剤に調製することができる。
なお、前記エーテル型グリセロリン脂質は、使用される製品に混合して使用することが簡便であるが、前記作用を奏するに有効な量のエーテル型グリセロリン脂質を含有すべきことは当然のことである。
例えば、前記製品中のエーテル型グリセロリン脂質の量が、好ましくは成人一日あたり0.01~100mg、より好ましくは0.05~50mg、さらに好ましくは0.1~10mgの範囲となる量を目安とするのが好ましい。なお、1日1回又は複数回(好ましくは2~3回)に分けて摂取するようにしてもよい。
以下に、実施例を挙げて、この発明のエーテル型グリセロリン脂質の製造方法を詳細に説明する。
なお、この発明は、これら実施例により制限されることはない。
<実施例1>
(ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出
図1に示したフロー図に基づいて、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出を行った。
新鮮重0.2kgの生ホタテひもを裁断した後、これに酵素溶液(1%コクラーゼ・P(登録商標;三菱化学フーズ社製),2%PLA1,0.1Mクエン酸緩衝液,pH4.5)を50mL添加し、ブレンダーを用いて粉砕し、ホモゲナイズした後、温度50℃にて1時間処理を行った。
処理液にヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1.0Lを加え、10分間攪拌した。
その後、吸引ろ過し、残渣を0.2Lのヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液で洗い、合わせた濾液を分液ロートに移した。
分液ロートに硫酸ナトリウム(1g/15mL)0.8Lを加えて混和後、静置した。
2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層を回収した。
得られたヘキサン層をロータリーエバポレーターで乾固して、脂質画分として粗抽出物を得た。
さらに、得られた粗抽出物に対して20倍容(v/w)のアセトンを加え、よく攪拌した後、温度-30℃で1時間以上冷凍庫にて静置、冷却した。
5,000×g、5分間で遠心して沈殿を回収し、減圧下でアセトンを完全に留去し、精製されたホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)を得た。
(2)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られたエーテル型グリセロリン脂質高含有画分各1~2mgを、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、下記条件でHPLC解析を行った。
その結果を、図3(a)に示す。
<HPLCの条件>
1)使用機器:HPLC Agilent 1200 Series(Agilent Technologies,Tokyo)
2)カラム :LiChrospher Diol 100(250×3mm,5μm)(メルクミリポア社製)
3)流 量 :0.8mL/分
4)カラム温度:温度50℃
5)検出器 :1200 Series ELSD(蒸発光散乱検出器)(Agilent Technologies)
6)ドリフトチューブ温度:温度50℃
7)移動相 :
(A)ヘキサン/2-プロパノール/酢酸(82:17:1,v/v,0.08%トリメチルアミン)
(B)2-プロパノール/水/酢酸(85:14:1,0.08%トリエチルアミン)
8)グラジエント:(B)4%,0min→37%,21min→85%,26min→4%,29min
<比較例1>
(ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出
図2に示したフロー図に基づいて、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出を行った。
新鮮重0.2kgの生ホタテひもを裁断した後、これにヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1.0Lを加え、ブレンダーを用いて粉砕しホモゲナイズした後、攪拌しながら室温に1時間置いた。
その後、吸引ろ過し、残渣を0.4Lのヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液で洗い、合わせた濾液を分液ロートに移した。
分液ロートに硫酸ナトリウム(1g/15mL)1.0Lを加えて混和後、静置した。
2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層を回収し、得られたヘキサン層をロータリーエバポレーターで乾固し、乾固物を得た。
得られた乾固物に、酵素溶液(2%PLA1,0.1Mクエン酸緩衝液,pH4.5)40mLを加え、超音波浴槽にてよく混和して、温度50℃で1.5時間処理を行った。
分液ロートに処理液を移し、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液360mLと水220mLを加え、静置した。
2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層を回収した。
得られたヘキサン層をロータリーエバポレーターで乾固して、脂質画分として粗抽出物を得た。
さらに、得られた粗抽出物に対して20倍容(v/w)のアセトンを加え、よく攪拌した後、温度-30℃で1時間以上冷凍庫にて静置、冷却した。
5,000×g、5分間で遠心して沈殿を回収し、減圧下でアセトンを完全に留去し、精製されたホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)を得た。
(2)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られたエーテル型グリセロリン脂質高含有画分各1~2mgを、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、下記条件でHPLC解析を行った。
その結果を、図3(b)に示す。
<HPLCの条件>
1)使用機器:HPLC Agilent 1200 Series(Agilent Technologies,Tokyo)
2)カラム :LiChrospher Diol 100(250×3mm,5μm)(メルクミリポア社製)
3)流 量 :0.8mL/分
4)カラム温度:温度50℃
5)検出器 :1200 Series ELSD(蒸発光散乱検出器)(Agilent Technologies)
6)ドリフトチューブ温度:温度50℃
7)移動相 :
(A)ヘキサン/2-プロパノール/酢酸(82:17:1,v/v,0.08%トリメチルアミン)
(B)2-プロパノール/水/酢酸(85:14:1,0.08%トリエチルアミン)
8)グラジエント:(B)4%,0min→37%,21min→85%,26min→4%,29min
<結 果>
実施例1の製造方法は、従来行われていた1次抽出操作を行わず、比較例1の製造方法と比較して、濃縮工程の回数が少ないものである。
図3(a)及び(b)から、実施例1において得られた脂質(本発明品)は、ジアシル型グリセロリン脂質をほとんど含まず、エーテル型グリセロリン脂質を高純度に含み、比較例1において得られる脂質(従来品)と同等の品質を有していることが分かった。
さらに、実施例1において、エーテル型グリセロリン脂質を得るのに掛かった時間は、約3.5時間であるのに対して、比較例1において、エーテル型グリセロリン脂質を得るのに掛かった時間は、約7時間であった。
したがって、この発明の製造方法によれば、従来に比べて製造工程が短縮化されているので、エーテル型グリセロリン脂質を、短時間かつ簡単な操作で得ることができることが示された。
さらにまた、実施例1で得られたエーテル型グリセロリン脂質の収率は、6.6g/kgである一方、比較例1で得られたエーテル型グリセロリン脂質の収率は、5.2g/kgであった。
したがって、この発明の製造方法によれば、エーテル型グリセロリン脂質を、従来に比べて高い収率で得ることができることも示された。
よって、この発明の製造方法によれば、エーテル型グリセロリン脂質を簡単な操作で効率よく得ることができる。
<実施例2>
(ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出
図4に示したフロー図に基づいて、ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出を行った。
新鮮重0.5kgの生ホタテひもに酵素溶液(10%コクラーゼ・P(登録商標)(三菱化学フーズ社製),10%PLA1,0.5Mクエン酸緩衝液,pH5.2)を60mL添加したものを真空パック用のポリ袋(品番1-8344-13:アズワン社製)に封入し、温度50℃で24時間、酵素処理を行った。
得られた処理物は、固形分はほとんどなく、液状であった。
処理液に、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1.75Lを加え、1時間攪拌した。
その後、分液ロートに移し、硫酸ナトリウム(1g/15mL)1.0Lを加えて混和後、さらに5分間攪拌して静置した。
2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層を回収した。
得られたヘキサン層をロータリーエバポレーターで乾固して、脂質画分として粗抽出物2.6gを得た。
さらに、得られた粗抽出物2.6gに対して20倍容(v/w)のアセトンを加え、よく攪拌した後、温度-30℃で1時間以上静置、冷却した。
5,000×g、5分間で遠心して沈殿を回収し、減圧下でアセトンを完全に留去し、精製されたホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)1.3gを得た。
(2)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られた脂質画分の粗抽出物および精製抽出物各2mgを、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、下記条件でHPLC解析を行った。
これらの結果を、それぞれ図6(a)及び(b)に示す。
<HPLCの条件>
1)使用機器:Shimadzu LC-10ADvp(島津製作所製)
2)カラム :LiChrospher Diol 100(250×4mm,5μm;メルクミリポア社製)
3)流 量 :1.0mL/分
4)カラム温度:温度50℃
5)検出器 :ELSD-LTII(蒸発光散乱検出器)(島津製作所製)
6)ドリフトチューブ温度:温度50℃
7)移動相 :
(A)ヘキサン/2-プロパノール/酢酸(82:17:1,v/v,0.08%トリメチルアミン)
(B)2-プロパノール/水/酢酸(85:14:1,0.08%トリエチルアミン)
8)グラジエント:(B)5%,0min→(B)65%,20min→(B)85%,21min→(B)85%,22min→(B)5%,25min
<比較例2>
図5に示したフロー図に基づいてホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出を行った。
(ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出
これによって、精製されたホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)3.2gを得た。
(4)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られた脂質画分の精製抽出物について、実施例2と同様の条件でHPLC解析を行った。
その結果を、図6(c)に示す。
<結果>
実施例2の製造方法は、従来行われていた1次抽出操作を行わず、比較例2の製造方法と比較して濃縮工程の回数が少ないものである。
図6(a)~(c)から、実施例2において得られた脂質(本発明品)は、ジアシル型グリセロリン脂質をほとんど含まず、エーテル型グリセロリン脂質を高純度に含み、比較例2において得られる脂質(従来品)と同等の品質を有していることが分かった。
したがって、この発明の製造方法によれば、エーテル型グリセロリン脂質を簡単な操作で効率よく得ることができる。
<実施例3>
(ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出
図7に示したフロー図に基づいてホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出を行った。
新鮮重1.0kgの生ホタテひもを沸騰水に入れ、2分間加熱処理して0.345kgのボイルホタテひもを得た。
得られたボイルホタテひも0.345kgに、酵素溶液(1.5%コクラーゼ・P(登録商標)(三菱化学フーズ社製),1.5%PLA1,0.25Mクエン酸緩衝液,pH5.2)を690mL添加したものを真空パック用のポリ袋(品番1-8344-13:アズワン社製)に封入し、温度50℃で5時間、酵素処理を行った。
得られた処理物は、固形分はほとんどなく、液状であった。
処理液に、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液3.5Lを加え、1時間攪拌した。
その後、分液ロートに移し、硫酸ナトリウム(1g/15mL)2.0Lを加えて混和後、さらに5分間攪拌して静置した。
2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層約2Lを回収した。
得られたヘキサン層をロータリーエバポレーターで乾固して、脂質画分として粗抽出物6.6gを得た。
さらに、得られた粗抽出物6.6gに対して20倍容(v/w)のアセトンを加え、よく攪拌した後、温度-30℃で1時間以上静置、冷却した。
5,000×g、5分間で遠心して沈殿を回収し、減圧下でアセトンを完全に留去し、精製されたホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)3.5gを得た。
(2)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られた精製抽出物2mgを、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、実施例2と同様の条件でHPLC解析を行った。
その結果を、図8に示す。
<結果>
図8から、実施例3の製造方法によれば、従来行われていた1次抽出操作を行わないにもかかわらず、ジアシル型グリセロリン脂質をほとんど含まず、エーテル型グリセロリン脂質を高純度に含む脂質を得ることができることが分かった。
さらに、実施例3において得られたエーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)の収率は、3.5g/kgである一方、比較例2において得られたエーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)の収率は、3.2g/kgであった。
したがって、この発明の製造方法によれば、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を簡単な操作で効率よく得ることができる。
<実施例4>
(ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出
新鮮重20kgの生ホタテひもを沸騰水に入れ、2分間加熱処理して4.89kgのボイルホタテひもを得た。
得られたボイルホタテひもを約1kgずつに分けてポリパックに入れ、それぞれに酵素溶液(1.5%コクラーゼ・P(登録商標)(三菱化学フーズ社製),1.5%PLA1,0.25Mクエン酸緩衝液,pH5.2)を総計9.78Lになるように等分して添加して封をし、温度50℃で5時間、酵素処理を行った。
得られた処理物は、固形分はほとんどなく、液状であった。
処理液を温度-30℃で24時間以上冷凍保存した。
処理液を解凍し、これにヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液35Lを加え、1時間攪拌した。
その後、分液ロートに移し、硫酸ナトリウム(1g/15mL)20Lを加えて混和後、さらに5分間攪拌して静置した。
2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層約21Lを回収した。
得られたヘキサン層を、ロータリーエバポレーターで乾固して、脂質画分として粗抽出物約100gを得た。
さらに、得られた粗抽出物に対して1.6Lのアセトンを加え、よく攪拌した後、温度-30℃で1時間以上静置、冷却した。
デカント及びろ過操作によって沈殿を回収し、減圧下でアセトンを完全に留去し、精製されたホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)58gを得た。
(2)ホタテひも由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られた精製抽出物2mgを、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、実施例2と同様の条件でHPLC解析を行った。
その結果を、図9に示す。
<結果>
図9から、実施例4の製造方法によれば、従来行われていた1次抽出操作を行わないにもかかわらず、ジアシル型グリセロリン脂質をほとんど含まず、エーテル型グリセロリン脂質を高純度に含む脂質を大量に得ることができることが分かった。
一方、従来法の場合、1次抽出操作後の脂質抽出物量は、新鮮重20kg当たり150gを超えると試算されるので、脂質分解酵素(PLA1)処理の実施に際し、再懸濁は困難となり、スケールアップは困難と予測される。
したがって、この発明の製造方法によれば、高純度のエーテル型グリセロリン脂質を簡単な操作で多量に効率よく得ることができる。
<実施例5>
(鶏肉由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)鶏肉由来エーテル型グリセロリン脂質の製造
新鮮重0.25kgの鶏肉(もも)を裁断した後、これに酵素溶液(1.5%コクラーゼ・P(登録商標;三菱化学フーズ社製),1.5%PLA1,0.25Mクエン酸緩衝液,pH5.2)を0.25L添加し、ブレンダーを用いて粉砕しホモゲナイズした後、温度50℃にて5時間処理を行った。
処理液にヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1.2Lを加え、15分間攪拌した。
その後、処理液を分液ロートに移し、硫酸ナトリウム(1g/15mL)0.8Lを加えて混和後、5分間攪拌した。
室温にて静置後、2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層を回収した。
得られたヘキサン層をロータリーエバポレーターで乾固して、脂質画分として粗抽出物31.7gを得た。
得られた粗抽出物に0.15Lのアセトンを加え、よく攪拌した後、温度-30℃で1時間以上静置、冷却した。
4,000×g、10分間で遠心して沈殿を回収した。
この操作を2回繰り返して、アセトン不溶画分として精製された鶏肉由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)0.1gを得た。
(2)鶏肉由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られた精製抽出物2mgを、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、実施例2と同様の条件でHPLC解析を行った。
その結果を、図10に示す。
<結果>
図10から、実施例5において得られた脂質(本発明品)は、ジアシル型グリセロリン脂質をほとんど含まず、エーテル型グリセロリン脂質を高純度に含むことが分かった。
したがって、この発明の製造方法によれば、生物系素材として鶏肉を選択した場合であっても、エーテル型グリセロリン脂質を簡単な操作で効率よく得ることができる。
なお、実施例5において得られた脂質には、スフィンゴ脂質と推定される脂質(図10中、「SM」)も含まれているが、このようなスフィンゴ脂質とエーテル型グリセロリン脂質との分離については、既知の方法(例えば、三明清隆ら.親鶏可食部のプラズマローゲン組成と食用利用のための調製方法.日本畜産学会報, 85(2), p153-161(2014))に従って簡単に行うことができる。
<実施例6>
(ブリ由来エーテル型グリセロリン脂質の製造)
(1)ブリ由来エーテル型グリセロリン脂質の抽出
新鮮重0.20kgのブリ切り身を裁断した後、これに酵素溶液(1.5%コクラーゼ・P(登録商標;三菱化学フーズ社製),1.5%PLA1,0.25Mクエン酸緩衝液,pH5.2)を0.20L添加し、温度50℃にて5時間処理を行った。
処理液にヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1.2Lを加え、15分間攪拌した。
その後、処理液を分液ロートに移し、硫酸ナトリウム(1g/15mL)0.8Lを加えて混和後、5分間攪拌した。
室温にて静置後、2層に分離した下層を捨てて、上層のヘキサン層を回収した。
得られたヘキサン層をロータリーエバポレーターで乾固して、脂質画分として粗抽出物50.3gを得た。
得られた粗抽出物に0.4Lのアセトンを加え、よく攪拌した後、温度-30℃で1時間以上静置、冷却した。
4,000×g、10分間で遠心して沈殿を回収した。
この操作を2回繰り返して、アセトン不溶画分として精製されたブリ由来エーテル型グリセロリン脂質(精製抽出物)0.19gを得た。
(2)ブリ由来エーテル型グリセロリン脂質のHPLC解析
得られた精製抽出物2mgを、ヘキサン/2-プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、実施例2と同様の条件でHPLC解析を行った。
その結果を、図11に示す。
<結果>
図11から、実施例6において得られた脂質(本発明品)は、ジアシル型グリセロリン脂質をほとんど含まず、エーテル型グリセロリン脂質を高純度に含むことが分かった。
したがって、この発明の製造方法によれば、生物系素材としてブリを選択した場合であっても、エーテル型グリセロリン脂質を簡単な操作で効率よく得ることができる。
この発明によれば、アルツハイマー病などの改善・予防に有効なエーテル型グリセロリン脂質を、高純度かつ簡単な操作で効率よく製造することが可能となるので、医薬業界において幅広く利用されるものである。

Claims (4)

  1. 生物系素材又はその組織を、タンパク質分解酵素処理し、前記タンパク質分解酵素処理と同時に、ホスホリパーゼA1処理して、混在するジアシルリン脂質を分解・除去することを含み、
    前記タンパク質分解酵素は、至適pHが酸性域のプロテアーゼから選択されること
    を特徴とする精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法。
  2. 生物系素材又はその組織を、タンパク質分解酵素処理し、前記タンパク質分解酵素処理と同時に、ホスホリパーゼA1処理して、混在するジアシルリン脂質を分解・除去する工程(イ)及び
    前記工程(イ)に付した後、精製工程に付すことにより、精製されたエーテル型グリセロリン脂質を得る工程(ロ)を含み、
    前記タンパク質分解酵素は、至適pHが酸性域のプロテアーゼから選択されること
    を特徴とする精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法。
  3. 前記タンパク質分解酵素処理は、
    pH4.5~5.2で行われること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法。
  4. 前記生物系素材又はその組織は、
    動物由来のものであり、
    前記タンパク質分解酵素処理は、
    pH4.5~5.2で行われ、
    前記タンパク質分解酵素処理と前記ホスホリパーゼA1処理の後に、ヘキサン/2-プロパノール混合液による抽出処理を行うこと
    を特徴とする請求項1に記載の精製されたエーテル型グリセロリン脂質の製造方法。
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