JP2004018591A - 油脂組成物 - Google Patents

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Mitsumasa Manso
万倉 三正
Masahiro Ikemoto
池本 昌弘
Hiroshi Miyamoto
宮本 浩士
Naoko Senoo
妹尾 直子
Shoji Kaneko
金子 昌二
Fumi Sato
佐藤 ふみ
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Ikeda Shokken KK
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Abstract

【課題】コレステロールの吸収抑制および血中コレステロール濃度の低下を含む生理改善を有し、該効果を持続しつつ、かつ、このような生理活性を有する成分の摂取方法、使用方法を提供する。特に動物性油脂を含む食品を食することで、より本発明の油脂組成物の有する生理改善が奏され、血中コレステロール濃度の低下が可能であるか、もしくは改善の方向に好転することが可能であるなどの点から有用である。
【解決手段】レシチンを5重量%以上、および植物ステロールを1重量%以上含有してなる油脂組成物に関する。該油脂組成物を、そのまま、もしくは該油脂組成物を含む食品、飼料、医薬品または化粧品を提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくともレシチンおよび植物ステロールを含有する油脂組成物及びその製造方法に関する。また、少なくともレシチンおよびステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステルを含有する油脂組成物に関する。該油脂組成物が5重量%以上のレシチンおよび1重量%以上の該反応生成物として得られるステロール脂肪酸エステルを含有した混合物である油脂組成物およびその製造方法に関する。
また、本発明の油脂組成物は、食品、医薬品、飼料および化粧品などの分野に提供できる。
【0002】
【従来の技術】
脂質代謝は、食物由来のトリグリセリドを主体とする脂肪を生体内で分解、蓄積する過程を指し、広義には脂質のエネルギー化反応、脂肪酸の生合成、アシルグリセロールの生合成、リン脂質の代謝、コレステロールの代謝などを含むものである。近年、生活習慣病、中でも心臓血管系の疾患による死亡率が急増している。そして、その発症の危険率と血中コレステロール濃度の相関が指摘されている。かかる背景の下、食品成分により血中コレステロールの濃度低下を目的とした試みがなされている。その中で、レシチンは自然界に広く分布し、服用した際の副作用もほとんどなく、天然の乳化剤として使用されている他、HDL−コレステロール値の上昇などにより、血中コレステロールの濃度を正常範囲に保つなどの生理活性を有することから機能性素材として種々研究されている。
【0003】
また、植物ステロールには小腸からのコレステロールの吸収抑制があることが古くから知られており、血中コレステロールの濃度低下剤として使用されている。体内でのコレステロールの吸収は、コレステロールが胆汁酸ミセルへ溶解することが必要である。しかし、コレステロールの胆汁酸への溶解量は低く、大部分はエマルジョンの状態で存在する。一方、植物ステロールは、コレステロールとほぼ同程度の量が胆汁酸ミセルへ溶解する。従って、コレステロールと植物ステロールが共存すると、コレステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量が減少することになる。また、植物ステロールの小腸からの吸収率は低く、小腸内腔に残存するため、コレステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量は制限されたままとなり、コレステロールの吸収が抑制されることなる。従って、食事から摂取するコレステロールの影響を受けやすいヒトの場合、植物ステロールは有効な血中コレステロールの濃度低下剤として、臨床的に利用されている。この植物ステロールは植物油脂や大豆、小麦などに含まれており、日常の食事で摂取しているが、その量はごく僅かなものである。コレステロールの吸収を有効に抑制させるためには、1日約1〜2gの植物ステロールが必要であり、通常のヒトの食事でそのような多量の植物ステロールを摂取することは困難である。最近、植物ステロールを油脂製品に利用するために、油脂への溶解性を高める方法が数多く提案されている。他方、植物ステロールを植物ステロール脂肪酸エステルにして油脂への溶解性を高めた方法もある。植物ステロール脂肪酸エステルは、小腸内で遊離の植物ステロールと脂肪酸に加水分解されるため、植物ステロールと同様にコレステロール吸収抑制を有する。ベルギー特許第753648号には、植物ステロール脂肪酸エステルを0.5〜10重量%添加したサラダ油が開示されている。この特許は、植物ステロール脂肪酸エステルを植物ステロールと脂肪酸無水物との化学的エステル交換反応で調製し、油脂へ添加するという方法である。この方法は、植物ステロール脂肪酸エステルを調製した後、多工程の精製が必要となる為、収率およびコスト的に不利である。さらに、植物ステロール脂肪酸エステルの調製方法も化学的方法とされており、食品に用いる場合に安全面から消費者に受け入られにくい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、レシチン、植物ステロールの各々単独投与によって、血中の脂質量のコントロールや血中LDL−コレステロールの濃度低下、コレステロールの吸収抑制が期待できるが、その改善には限界がある為、一段と高い生理改善組成物の提供が望まれている。
また、高濃度のステロール脂肪酸エステルを油脂中へ溶解することが可能であれば、ステロール脂肪酸エステルを含む油脂の使用は少量でも良く、油脂製品だけでなく、油脂を多量に含まない食品、飼料、医薬品または化粧品などのへの利用が可能となる。さらに、その製造工程においても、高濃度のステロール脂肪酸エステルを油脂中に溶解させることは、溶解温度を上げたり、混合に長時間を要するなどの工程を煩雑にすることから、作業者の負担を低減し、簡便化された製造工程が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記のごとき従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、血中の脂質量のコントロールを行うレシチンと、コレステロール吸収抑制を有する植物ステロール、詳細にはステロール脂肪酸エステルを含有し、コレステロールの吸収抑制および濃度低下を含む生理改善を奏しつつ、風味良好な油脂組成物の摂取方法、使用方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、極めて有効でかつ新規な方法を提供するため鋭意研究を行った結果、レシチンおよび植物ステロールを含有する油脂組成物、詳細には、レシチンおよびステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステルを使用した油脂組成物の有する生理改善に、はじめて着目した。該レシチンおよび植物ステロール、詳細にはステロール脂肪酸エステルを使用することで、各々が単独で使用する以上に、顕著な生理改善を有し、かつ該効果を維持しうるという極めて有用な油脂組成物を見出した。さらに、本発明者らは、レシチンおよび植物ステロールを有効成分として含む油脂組成物は、血中の脂質量のコントロール、血中LDL−コレステロール濃度の低下などの生理改善を有することを見出した。また、本発明者らは、レシチンを5重量%以上、およびステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステルを含有する油脂組成物を均一に混合することのみで、従来にない高濃度の該ステロール脂肪酸エステルを油脂中に溶解可能にすることをも見出した。よって、本発明は、高濃度のステロール脂肪酸エステルを含有する油脂組成物を使用できることから、従来の油脂をベースとした食品、飼料、医薬品または化粧品などだけでなく、油脂をほとんど使用しない、もしくは油脂を使用しない製品への適用が可能となり、さらに上記の効果を十分付加させることができ、より商品価値の高い製品が提供できることをも見出した。
【0007】
本発明は、レシチンを5重量%以上、および植物ステロール、詳細にはステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸とのリパーゼやエステラーゼを使用した酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステル1重量%以上含有してなる食品、飼料、医薬品または化粧品用の油脂組成物を提供する。該レシチンが、大豆、菜種などの植物由来レシチンや、卵黄由来レシチンなどのレシチンのうち少なくとも1種、もしくはそれらの混合物を含んでなる本発明の油脂組成物を提供する。また、本発明の油脂組成物の製造方法に関し、レシチンを5重量%以上、およびステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステルを1重量%以上含有する油脂を均一に混合することにより、高濃度のステロール脂肪酸エステルが油脂組成物中に溶解可能であることを特徴とする油脂組成物の製造方法を提供する。さらに、本発明の油脂組成物は、そのままで使用するか、もしくは食品、医薬品、飼料ならびに化粧品などの用途への使用もできる。
【0008】
本発明の油脂組成物に含まれるレシチンは、動物、植物、微生物に由来するレシチン、好ましくは卵黄、大豆、菜種、ヒマワリ、コーンに由来するレシチン、より好ましくは大豆、卵黄に由来するレシチンから、粗製レシチンとして得られるものを使用するればよい。該粗製レシチンは、一般に動物油の脱ガム工程で分離されるガム質を、水分約1%以下に乾燥して得られる。性状は、粘度が高く、ペースト状または可塑状である。さらに、粉末レシチン、精製レシチン、分別技術により含有するリン脂質を分別した分別レシチン、およびホスホリパーゼなどの酵素で処理して得られる酵素処理レシチンなどを用いても良いし、植物油や脂肪酸などを添加し成分を調製したレシチンを使用しても良い。本発明のレシチンに含まれる主要成分であるリン脂質は、アルコール類に、脂肪酸及びリン酸、塩基などが結合した複合脂質である。本発明の油脂組成物に含まれるレシチンは、これらのリン脂質を含有するものであり、好ましくは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、およびこれらのリゾ体などのうち一種もしくはそれ以上のリン脂質が含まれる。
【0009】
本発明の油脂組成物に含まれる植物ステロールは、植物由来のステロールであり、例えば、該植物ステロールを含有する混合物、植物ステロール化合物などが挙げられる。
本発明の油脂組成物に含まれるステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物とは、植物由来のステロールであれば良い。具体例として、例えば、7−デハイドロコレステロール、β−コレスタノール、コプロスタノール、ラトステロール、チモステロール、チモステノール、デスモステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、カンペステロール、β−シトステロール、γ−シトステロール、α−スピナステロール、ステイグマステロールなど、およびこれらの混合物が挙げられる。また、一方の原料である脂肪酸は、炭素数が4〜24の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸のいずれを使用してもよく、直鎖構造でも分枝鎖構造の脂肪酸でもよい。これらのステロールおよび脂肪酸の原料を各々任意の組合せにより混合し、リパーゼ、エステラーゼなどの脂質分解活性を有する酵素触媒を使用したエステル化合成反応によりステロール脂肪酸エステルを製造し、本発明のステロール脂肪酸エステルを得ることができる。
【0010】
本発明のステロール脂肪酸エステルにおいて、原料である脂肪酸は、40重量%以上の不飽和脂肪酸、特に好ましくは多価不飽和脂肪酸を含むことが望ましい。これは、ステロールおよび不飽和脂肪酸が、血中コレステロールの濃度低下を奏するという点でより好ましい。さらなる効果として、ステロール脂肪酸エステルを使用することで、人体においてより高い溶解度と血中コレステロールの濃度低下を有すると考えられる。また、本発明のステロール脂肪酸エステルは、ステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であり、ステロール脂肪酸エステルの単品であっても、ステロール脂肪酸エステルおよびステロールの混合物であってもよい。本発明で称する不飽和脂肪酸とは分子中に炭素の二重結合をもつ脂肪酸で、該二重結合を一つ以上有する脂肪酸を示し、多価不飽和脂肪酸とは該二重結合を二つ以上有する脂肪酸を示す。該不飽和脂肪酸の代表的なものとして、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、β−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。
【0011】
本発明の油脂組成物は、少なくともレシチンおよびステロール脂肪酸エステルを含有し、例えば、血中コレステロール値の正常化、脂質量の吸収抑制、血中LDL−コレステロール濃度の低下、コレステロール代謝改善剤として有効である他、脂肪肝、肝炎などでの肝臓脂質代謝異常、心筋梗塞などの心臓病、高血圧症、高脂血症、動脈硬化症、肥満症、糖尿病、高コレステロール血症などの疾患治療および予防などの生理改善を有する。本発明の油脂組成物は、該レシチンおよびステロール脂肪酸エステルを、溶液または粉末形態として製剤化することができ、あるいは添加対象とする製品の性状や工程などに合せて、顆粒状やペースト状など生理改善が期待できる剤形に加工すればよい。また、本発明の油脂組成物は、前記のレシチンおよびステロール脂肪酸エステルと、他の成分との混合形態であってもよい。そのような成分としては、レシチンおよびステロール脂肪酸エステルの効果を損なわないものであって、かつ食品、飼料、医薬品または化粧品の加工やその機能などに好ましい成分を使用することができる。例えば、トリアシルグリセロールを主成分とする油脂を用いても良い。トリアシルグリセロールを主成分とする油脂としては、大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマワリ油などの食用油脂を用いるとよい。また、トリアシルグリセロールを主成分とする油脂の代わりに、ジアシルグリセロールなどを主成分とする油脂などを含有する油脂類を用いてもよい。
本発明のレシチンおよびステロール脂肪酸エステルの添加量は、適用する目的、用途の種類、性質、また該レシチンおよびステロール脂肪酸エステルを含有する油脂組成物の成分などに応じて適宜の範囲として使用することができる。レシチンは5重量%以上、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは20〜80重量%とすることができる。また、ステロール脂肪酸エステルは1〜90重量%、好ましくは10〜80重量%とすることができる。
【0012】
本発明の油脂組成物の製造方法としては、レシチンを5重量%以上と、植物ステロールを1重量%以上含有し均一に混合する方法が挙げられる。さらに、レシチンを5重量%以上に、ステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステルを1重量%以上添加し均一に混合する方法が挙げられる。詳細には、例えばペーストレシチンにステロール脂肪酸エステルを添加し、60℃の温度条件下にて高速攪拌する方法がある。また、粉末レシチンに加温溶解したステロール脂肪酸エステルを添加し、攪拌して均一に混合処理する方法も可能である。好ましくは、レシチンおよびステロール脂肪酸エステルを均一に混合することで、高濃度のステロール脂肪酸エステルをレシチン中に溶解できる方法がよい。高濃度のステロール脂肪酸エステルを含有する油脂組成物を使用することで、種々の用途に使用する際に、製品の全体の油脂量を低減させることができ、かつ、本発明の油脂組成物が少量の使用でも、目的とする生理改善を顕著に発揮することができる。該製造方法により得られる本発明の油脂組成物はそのままで、あるいは加工して使用してもよい。さらに、本発明の油脂組成物は、賦形剤を使用して凍結乾燥、噴霧乾燥などの乾燥処理し使用してもよい。本発明の油脂組成物は、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、腸溶剤、トローチ剤、ドリンク剤などいずれの剤形のものでもよい。本発明の油脂組成物の投与形態は特に限定されないが、経口投与が好ましい。経口投与の場合は、本発明の組成物を、そのまま剤として投与してもよいが、食品または医薬として許容可能な賦形剤とともに、一般的な製剤方法を使用して製剤化したものを投与してもよい。賦形剤としては、ソルビトール、グルコース、乳糖、デキストリン、澱粉などの糖類、炭酸カルシウムなどの無機物、結晶セルロース、蒸留水、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、菜種油など、一般に使用されているものであればいずれも使用することができる。製剤化する際には、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤などの添加剤を使用することができる。投与量は、年齢、性別、疾患の程度、投与形態、投与回数、剤形などにより異なるが、必要に応じて投与量を変更し使用することができる。
【0013】
さらに、本発明の油脂組成物は特に限定がない。かかる用途としては、例えば、血中の脂質量のコントロールや、吸収抑制のために使用される食品、経口用医薬などの医薬品、飼料または化粧品などの用途が挙げられ、またはこれらの原料となり得る組成物である。
【0014】
本発明の油脂組成物を含有する食品としては、例えば、パン、麺類などに代表される小麦粉加工食品、お粥、炊き込み飯などの米加工品、ビスケット、ケーキ、キャンディ、ゼリー、チョコレート、せんべい、あられ、錠菓、和菓子などの菓子類、アイスクリームなどの冷菓類、豆腐、その加工食品などの大豆加工食品、清涼飲料、果汁飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料類、ヨーグルト、チーズ、バター、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、牛乳などの乳、乳製品、醤油、味噌、ドレッシング、ソース、たれ、マーガリン、マヨネーズなどの調味料、ハム、ベーコン、ソーセージなどの畜肉、畜肉加工食品、蒲鉾、はんぺん、ちくわ、魚の缶詰などの水産加工食品、だし巻き、卵豆腐などの卵、卵製品、麺類、漬物類、燻製品、干物、佃煮、塩蔵品、スープ類、調理油ならびにフライ用油などがあげられる。また、本発明の食品の形態としては、通常の食品形態の他、カプセルなどの錠剤食、濃厚流動食、自然流動食、半消化態栄養食、成分栄養食、ドリンク栄養食などの経口経腸栄養食品、機能性食品などがあげられる。本発明の機能性食品は、脂質代謝、特にコレステロール代謝を改善させるために使用する他、脂肪肝、肝炎などでの肝臓脂質代謝異常、心筋梗塞などの心臓病、高血圧症、高脂血症、動脈硬化症、肥満症、糖尿病、高コレステロール血症などの疾患の治療、予防または改善のために使用され、食品成分の持つ生体防御、体調リズム調節、疾病の予防と回復などにかかる体調調節機能を生体に対して充分に発現可能な食品である。本発明の油脂組成物の食品への添加量に関しては、特に限定がなく、油脂の種類、添加する食品配合および食品形態、ならびにヒトの性別および年齢などに応じて適宜決定すればよい。例えば、本発明のレシチンおよびステロール脂肪酸エステルを含有する油脂組成物の成人に対する摂取量としては、2〜10g/日が好ましい。本発明の食品には、さらに蛋白質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料などを配合してもよい。
【0015】
本発明の油脂組成物を含有する飼料としては、例えば、ペット、家畜、養殖魚などの飼料などがあげられる。例えば、犬を含むペットのコレステロールの濃度低下や、種苗魚および稚魚の生存率の向上、養魚およびエビ類への使用が有効である。
【0016】
本発明の油脂組成物を含有する化粧品としては、石鹸、シャンプー、クレンジング剤などの洗浄剤、リンス、化粧水、乳液、整髪料、染毛剤、浴用剤、日焼け止め剤、制汗剤などを意味し、化粧品用液体組成物とは、水を主な溶媒とする液体状の化粧品並びに水を主な溶媒とする液体状の組成物であって、上記化粧品の原料となるものを指す。また、上記化粧品と同じ使用目的あるいは同じ使用態様で医薬品もしくは医薬部外品に分類されるものも、本発明における化粧品に包含される。本発明では、上記化粧品用液体組成物に保湿剤、界面活性剤、色素、香料、防腐・殺菌剤、酸化防止剤などを必要に応じて適宜添加することができる。特に中でも、特に乳液においては保湿性を高める点においても有用である。
【0017】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
本発明の油脂組成物である大豆分画レシチン(ホスファチジルコリン含量55%:PC−55、ツル−レシチン工業社製)、精製ステロール(タマ生化学社製)の混合物を使用して顆粒剤を製造した。まず、大豆分画レシチン1Kg、精製ステロール2Kgを、それぞれ−20℃に冷却した。冷却したそれぞれの原料を、液体窒素にて冷却しながらパワーミルで粉砕(2mmパス)し、均一化することで目的の顆粒化剤を製造した。得られた本発明の顆粒剤は、製造時のハンドリング性も良好であり外観も良好であった。
【0018】
【実施例2】
大豆脱臭スカム油(ステロール含量11.5%)20kgに0.2Nのエタノール性水酸化カリウム(KOH)200Lを加え、60℃で2時間撹拌してトリアシルグリセロールをはじめとする脂肪酸エステル類の分解を行った。その後、0.4Nの塩酸により中和を行い、水洗を行ってエタノール、KCl、KOHおよびグリセリンを除去し、減圧下、80℃で脱水処理を行った。続いて、遠心式分子蒸留装置によって真空度1.5Pa、蒸発面温度120〜140℃の条件下で、分子蒸留処理を行い、主として脂肪酸を留出画分として除去し、ステロールを含む残存画分7.6kgを回収した。
【0019】
ついで、回収した上記のステロールを含む画分7.6kgと大豆精製油15.2gを混合したものに対して、水11.4Lにキャンディダ(Candida)属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(360,000ユニット/g)33.2gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行った。その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理を行い、湯洗後、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土46gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。
【0020】
精製工程として、前記の反応性生物であるステロール脂肪酸エステルを、遠心式分子蒸留装置を使用して、真空度1.5Pa、蒸発面温度150〜210℃の条件下で分子蒸留処理を行い、未反応の脂肪酸およびステロールを留出画分として除去した。さらに、該ステロール脂肪酸エステルを含む残存画分に対して5%の活性白土、吸着剤および5倍量のヘキサンを添加して、常圧下にて、室温で30分間撹拌し、その後濾過によって色素成分が吸着された活性白土を除去した。最後の精製工程として、バッチ式水蒸気蒸留装置を使用して、真空度500Pa、蒸留温度130℃の条件下で、水蒸気蒸留処理を1時間行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル3.2kgを得た。
【0021】
【実施例3】
本発明の油脂組成物である卵黄レシチン精製品(ホスファチジルコリン含量70%)、実施例2で得たステロール脂肪酸エステルの混合物を使用して顆粒剤を製造した。まず、卵黄レシチン20部、ステロール脂肪酸エステル(ステロールのエステル化度99%)50部、オリーブ油27部およびトコフェロール3部を、40〜50℃に加温し、均一に混合した。次いで、得られた混合物に対し賦形剤であるデキストリンを2.5倍量添加し、実施例1と同様にパワーミルを使用して顆粒剤を製造した。得られた本発明の顆粒剤は、混合時のハンドリング性も良好であり外観も良好であった。
さらに、比較試験として二種の顆粒剤を製造した。コントロール1として、卵黄レシチンの代わりに大豆油を使用した以外は前記と同じ方法で、卵黄レシチンを含まない顆粒剤を得た。コントロール2として、ステロール脂肪酸エステルのかわりに大豆油を使用した以外は前記と同じ方法で、ステロール脂肪酸エステルを含まない顆粒剤を得た。
【0022】
上で得られた顆粒剤について、18才から65才までの60名の被験者による効能試験を行った。本効能試験は、20名の3グループに分け、つまり、上で得られた本発明の顆粒剤を摂取するグループ、コントロール1の顆粒剤を摂取するグループ、およびコントロール2の顆粒剤を摂取するグループに分かれて行った。摂取量として5gを1日3回(25g/日)、試験期間は25日間であり、被験者は朝食と夕食において摂取した。その結果、本試験の4日前と試験終了日の間において、本発明のレシチンおよびステロール脂肪酸エステルを含有する顆粒剤を摂取した被験者は、コントロール1および2のステロール脂肪酸エステル単独もしくはレシチン単独の顆粒剤を摂取した被験者に比べ、血中のHDL−コレステロール値が有意に上昇し、かつ血中LDL−コレステロール値が有意に低減することが示された。
【0023】
【実施例4】
マーガリン120g、大豆由来の粗精製レシチン(ホスファチジルコリン含量20%)40g、およびステロール脂肪酸エステル(ステロールのエステル化度80%)40gをホイッパーで滑らかになるまで練り合わし、次に砂糖230gを徐々に加えて混合した後、全卵73g、牛乳34g、バニラエッセンス3.0gの順に徐々に加え、全体を充分に混合した。次に、得られた混合物に、小麦粉440gを篩に通しながら加え、軽く混合して生地を作り、かかる生地から所定形状の成形品を作製したのち、天板に該成形品を並べ、170℃で焼成し、本発明のクッキーを製造した。
本実施例で得られたクッキーを風味、食感について、10名のパネルによる官能試験で評価した。その結果、風味、食感ともに良好であり、しっとりとして口溶けのよいクッキーであり、食品として優れていることが確認された。
【0024】
【実施例5】
大豆硬化油40重量%、コーン油15重量%、大豆由来の分画レシチン(ホスファチジルコリン含量70%)23重量%、およびステロール脂肪酸エステル(ステロールのエステル化度95%)22重量%からなる油脂(融点32℃)60部に、グリセリン脂肪酸エステル0.7部を加え、65℃に加温融解して油相とした。また、水飴(糖濃度75%)31部に水8.3部を加え、糖濃度59%としたものを70℃で20分間加熱殺菌して水相とした。該油相に水相を加えて、ボテーターを使用し、常法により油中水型乳化物を得た。該油中水型乳化物を、2日間5℃で冷蔵した後、25℃に温調した。一方、加糖練乳37.5部、水飴60部、水2.25部を混合し、糖濃度70%としたものを、65℃で30分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、ミルク香料0.25部を加え風味液を調整した。先に得た該油中水型乳化物60部と、該風味液40部を、縦形ミキサー(関東ミキサー株式会社製)に投入し、ホイッパーにて、比重が0.8になるまで混合し起泡させ、バタークリームを得た。
本実施例で得られたバタークリームの外観、風味および食感について、10名のパネルによる官能試験で評価した。その結果、目視による外観は良好であり、食感、コク味(風味)ともに良好で、保型性に優れており、かつ製菓および製パン用のフィリングやトッピング用としても好適であり、実施例2で得られた生理改善を奏することを加味すれば、機能性の面からの品質についても優れていることが示唆された。
【0025】
【発明の効果】
血中に存在する悪玉コレステロールである血中LDL−コレステロールは、動脈硬化症や高血圧症などの様々な生活習慣病の大きな原因になっている。本発明のレシチンおよび植物ステロール、さらにはレシチンおよびステロール脂肪酸エステルをバランス良く含有する油脂組成物を使用することで、脂質量のコントロールを行い、かつ総コレステロールの吸収の阻害や、血中LDL−コレステロール濃度を低下させ、動脈硬化症や高血圧症の予防に一段と有効で顕著な効果を有する。さらに、本発明の油脂組成物は、レシチンを5重量%以上使用し、レシチンおよびステロール脂肪酸エステルを均一に混合することで、高濃度のステロール脂肪酸エステルを油脂中に溶解させることができ、該油脂を少量使用するだけで、充分な生理改善を奏することが可能となった。よって、本発明は高濃度のステロール脂肪酸エステルを含有する油脂を使用できることから、油脂をベースとした食品、飼料、医薬品または化粧品などだけでなく、油脂をほとんど使用しない、もしくは油脂を使用しない製品への適用が可能となり、さらに上記の効果を付加させることができ、従来にない商品価値の高い製品が提供できる。
【0026】
また、レシチンは機能性に富んでおり、一般に主成分であるホスファチジルコリンが血中コレステロールの生理改善の有効成分であると考えられていることからホスファチジルコリンの高濃度品を使用することが好ましい。しかし、ホスファチジルコリン55%以上を含有する高濃度品は、可塑状あるいは固体であるため、そのまま服用することが困難である。さらに、市販の健康食品においては、レシチンの顆粒品および粉末品はホスファチジルコリン含量が20%と低く、本発明の目的の一つである血中コレステロールの濃度低下を発揮する為には、必要な摂取量を増加させる必要があるという問題点がある。そこで、本発明おいて使用する植物ステロールを基材として顆粒化することで、各々を単独で使用する以上に顕著な生理改善を有するばかりか摂取量も減少可能である。さらに、レシチンおよび植物ステロールを混合して使用することで、より水に対する親和性が向上し、容器に付着した油脂組成物の洗浄作業が容易となるなどの効果が奏される。
【0027】
本発明の油脂組成物は、副作用を引き起こしにくいという利点をも有し、従来にない理想的な組成物である。よって、本発明は、本発明の油脂組成物そのまま、もしくは食品、飼料、医薬品、化粧品などの広範囲の分野での適用、応用ができる。
本発明の油脂組成物の、他方の利点としてバター、スプレッド、マヨネーズなどの油脂を含む食品、調理油ならびにフライ用油、もしくは焼肉のタレなどの油脂を含む食物に供される調味料に、本発明の油脂組成物を使用することが特に適している。なぜなら、特に動物性油脂を含む食品を食することで、本発明の油脂組成物の有する生理改善が奏され、血中コレステロール濃度の低下が可能であるか、もしくは改善の方向に好転することが可能であるなどの点から有用である。

Claims (7)

  1. レシチンを5重量%以上および植物ステロールを1重量%以上含有してなる油脂組成物。
  2. レシチンを5重量%以上およびステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステルを1重量%以上含有してなる油脂組成物。
  3. 請求項1〜2いずれか1項記載のレシチンが、植物由来レシチンおよび卵黄由来レシチンの群のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする油脂組成物。
  4. 食品、医薬品、飼料および化粧品のうち少なくとも一種に、請求項1〜3いずれか1項記載の油脂組成物を1重量%以上添加してなる油脂組成物。
  5. 請求項1〜3いずれか1項記載の油脂組成物を1重量%以上添加してなる食品。
  6. レシチンを5重量%以上と、植物ステロールを1重量%以上含有する油脂組成物を均一に混合することを特徴とする油脂組成物の製造方法。
  7. レシチンを5重量%以上およびステロイド骨格ならびに水酸基を有する化合物と脂肪酸との酵素触媒により得られる反応生成物であるステロール脂肪酸エステルを1重量%以上含有する油脂組成物を均一に混合することを特徴とする油脂組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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