JP2021155565A - エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法 - Google Patents

エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抽出の際に使用する溶媒の量が低減され、スケールアップが容易な、エーテル型グリセロリン脂質を多量に含む機能性素材を効率よく多量に製造する方法を提供する。【解決手段】乾燥処理された二枚貝組織などの生物系素材に対して、エタノール/ヘキサン混合液を用いて抽出処理を行うことを含む、エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。【選択図】図1

Description

この発明は、エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法に関するものである。
より詳しくは、抽出溶媒の使用量が低減されることにより、経済性に極めて有利なエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法に関するものである。
グリセロリン脂質は、生体膜の構成成分として重要であることが知られている。
このグリセロリン脂質は、ジアシル型グリセロリン脂質、アルケニルアシル型グリセロリン脂質(プラズマローゲン)、及びアルキルエーテル型グリセロリン脂質のサブクラスに分けることができる。
前記グリセロリン脂質のうち、アルケニルアシル型グリセロリン脂質(プラズマローゲン)及びアルキルエーテル型リン脂質は、エーテル結合を有していることから、まとめてエーテル型グリセロリン脂質と呼ばれている。
なかでも、脂肪酸の1位にビニルエーテル結合を持つプラズマローゲンは、脳神経細胞や心筋に特徴的に多く含まれるリン脂質であって、近年注目されている脂質成分である。
このプラズマローゲンは、分子内のビニルエーテル構造が特徴的な生物機能を担い、活性酸素やラジカル、金属イオンを補足して抗酸化性を示す他、細胞膜(特に神経細胞シナプス膜)の流動柔軟性に関与していることが報告されている(非特許文献1)。
さらに、プラズマローゲンあるいはエーテル型グリセロリン脂質を、飲食品や医薬品に含有させることによって、アルツハイマー病などの疾患を改善・予防することも提案されている(特許文献1〜4)。
かかるプラズマローゲンあるいはエーテル型グリセロリン脂質を得る具体的な方法として、各種素材から抽出溶媒を用いて、前記プラズマローゲンあるいはエーテル型グリセロリン脂質を抽出する方法が知られている。
例えば、特開2007−262024号公報(特許文献5)においては、飲食品分野でも使用できる溶媒のみを用いて、水産動物からプラズマローゲン含有脂質を抽出し、例えば機能性飲食品に含有させることができるプラズマローゲン含有脂質の抽出方法が提案されている。
このプラズマローゲン含有脂質の抽出方法は、
水産動物の乾燥物にn−ヘキサン/エタノール/水の混合溶媒を加えて撹拌し、濾液を回収する抽出工程と、
上記抽出工程にて回収された濾液にn−ヘキサン/水の混合溶媒を加えて撹拌し、静置して上層を回収する液液分離工程と、
上記液液分離工程にて回収された上層の溶媒を除去し、脂質を回収する溶媒除去工程と
を有するものである。
さらに、特開2010−65167号公報(特許文献6)においては、安価に大量入手が可能な動物組織を材料とし、高純度のプラズマローゲン型リン脂質及びスフィンゴ脂質画分を製造することができる、動物組織からプラズマローゲン型リン脂質及びスフィンゴ脂質を製造する方法が提案されている。
このプラズマローゲン型リン脂質及びスフィンゴ脂質を製造する方法は、
(A)プラズマローゲン型リン脂質及びスフィンゴ脂質を含有する動物組織に対して、エタノール抽出処理を行い、エタノール抽出物を得る工程、
(B)前記(A)工程で得たエタノール抽出物に含まれるジアシル型グリセロリン脂質を加水分解する工程、
(C)前記(B)工程で得た処理物を、水溶性ケトン系溶剤で処理し、不溶部を回収する工程、
(D)前記(C)工程で得た不溶部を、脂肪族炭化水素溶剤と水溶性ケトン溶剤との混合有機溶剤、及び水、で溶媒分配し、混合有機溶剤部を回収する工程
を含むものである。
さらにまた、特許第6518800号公報(特許文献7)においては、動物組織からプラズマローゲンを効率的に抽出することができ、多量のプラズマローゲンを含む機能性素材を得ることができる、プラズマローゲンを含む機能性素材の製造方法が提案されている。
このプラズマローゲンを含む機能性素材の製造方法は、
ホタテ類及びホヤから選ばれる動物の組織を中性プロテアーゼで処理する酵素処理工程と、
前記中性プロテアーゼで処理した動物組織を、エタノールを含む抽出液で抽出する抽出工程と、
を有するもの(ただし、中性プロテアーゼで処理すると同時又は処理の後に脂質分解酵素で処理するものを除く。)である。
特開2003−003190号公報 特開2003−012520号公報 特開2004−026803号公報 特開2013−053109号公報 特開2007−262024号公報 特開2010−65167号公報 特許第6518800号公報
宮澤大樹ら,「海産プラズマローゲンによる認知症予防に向けた基礎的取り組み」,FOOD STYLE21,14(4): p29-31(2010)
前記特許文献5に開示されている抽出方法では、抽出工程において、水産動物の乾燥物に対して約3〜5倍容量のn−ヘキサン/エタノール/水の混合溶媒を加える必要があるので、抽出の際の溶媒の使用量において、さらなる改善が求められる。
さらに、前記抽出工程においては、ヘキサン層と水層を所定の条件下で分配し、ヘキサン層のみを回収する必要があるため、処理工程が煩雑であり、分配条件や分配方法を含む抽出工程そのものにおいても、さらなる改善が求められる。
前記特許文献6に開示されている製造方法は、エーテル型グリセロリン脂質のみが抽出し易くなるよう、酵素としてホスホリパーゼA1(PLA1)を利用することでジアシル型グリセロリン脂質を特異的に加水分解するもの、すなわち、PLA1がエーテル型グリセロリン脂質を分解できない特性を利用したものである。
したがって、前記特許文献6に開示されている製造方法では、原材料としての動物組織からの1次抽出物(酵素処理前に、生物系素材又はその組織から抽出されたもの)を乾固させた後、酵素溶液に再懸濁して酵素反応を行う作業が必要となるので、より効率的な酵素反応を行うためには、エマルジョンを形成させる必要がある。
しかしながら、脂質抽出物に対して酵素溶液は水系であるため、エマルジョン形成は容易ではない、という問題があった。
さらに、少量であれば、超音波処理などを利用することでエマルジョン形成が可能であるが、スケールアップ時に大きな課題となる。
前記特許文献7に開示されている製造方法では、原料の動物組織は70%程度の水分を含む一方、エタノールはヒドロキシル基(−OH)を有するので、ヒドロキシル基と水分子が水素結合により水和し、その結果、抽出に際しては、原材料に対して多量のエタノールを用いる必要があった。
さらに、一般的な環境において、エタノール類などの可燃性危険物は、その使用量に制限があるので、一回の抽出において使用できる量にも制限がかかる、という問題もあった。
そのため、抽出の際に使用する溶媒の量が低減され、スケールアップが容易で、エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を、より簡単かつ効率よく製造する方法の提供が求められている。
この発明はかかる現状に鑑み、抽出の際に使用する溶媒の量が低減され、スケールアップが容易で、エーテル型グリセロリン脂質を多量に含む機能性素材を効率よく多量に製造する方法を提供することを目的として、鋭意検討を行なった。
その結果、原材料として、乾燥された生物系素材、特に二枚貝組織を選択し、これを、抽出溶媒として、エタノール/ヘキサン混合液を用いる抽出処理に付すことによって、抽出の際に使用する溶媒の量が低減され、かつスケールアップが容易となり、より簡単かつ効率よくエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を多量に製造することができることを見出して、この発明を完成させたものである。
すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、
生物系素材に対して、エタノール/ヘキサン混合液を用いて抽出処理を行うこと
を含み、
前記生物系素材は、乾燥処理されたものであること
を特徴とするエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法である。
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法において、
前記生物系素材は、
二枚貝組織であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法において、
前記エタノールと前記ヘキサンとの混合比率は、
容量比で、エタノール:ヘキサン=1:0.1〜1:10であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法において、
前記エタノールと前記ヘキサンとの混合比率は、
容量比で、エタノール:ヘキサン=3:1〜1:3であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法において、
前記エタノールと前記ヘキサンとの混合比率は、
容量比で、エタノール:ヘキサン=3:2〜1:3であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法において、
前記生物系素材の水分含量は、
25%以下であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法において、
前記生物系素材の水分含量は、
2%以下であること
を特徴とするものである。
この発明のエーテル型グリセロリン脂質含有組成物の製造方法は、生物系素材に対して、エタノール/ヘキサン混合液を用いて抽出処理を行うことを含むもので、前記生物系素材として、乾燥処理された生物系素材を選択するものである。
したがって、この製造方法によれば、抽出の際に使用する溶媒の量が低減され、スケールアップが容易で、エーテル型グリセロリン脂質を多量に含む機能性素材を効率よく多量に製造することが可能となる。
前記製造方法において、前記生物系素材として、二枚貝組織、好ましくはホタテ貝組織を選択することができる。
ホタテ貝組織には、ドコサヘキサエン酸(DHA)や、エイコサペンタエン酸(EPA)などの長鎖多価不飽和脂肪酸を多く含むエーテル型リン脂質が含まれているので、このような構成によって、より優れた機能を有する機能性素材を多量に得ることが可能となる。
さらに、前記製造方法において、前記エタノール/ヘキサン混合液における前記エタノールと前記ヘキサンとの混合比率を、容量比で、エタノール:ヘキサン=1:0.1〜1:10、より好ましくは3:1〜1:3、更に好ましくは3:2〜1:3とすることができる。
このような構成によって、抽出の際に使用する溶媒の量を、より低減することが可能となるので、経済的に、より有利である。
さらにまた、前記製造方法において、前記生物系素材の水分含量を、25%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは2%以下になるように調整することができる。
このような構成によって、抽出の際に使用する溶媒の量を、更に低減することが可能となるので、経済的に更に有利である。
使用したエタノールの濃度と得られたエーテル型グリセロリン脂質の量との関係を示すグラフ図である。
以下、この発明に係るエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法の実施の形態について、説明する。
なお、この発明について、好ましい代表的な例を中心に説明するが、この発明はこのような代表例に限定されるものではない。
この発明のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法は、生物系素材に対して、エタノール/ヘキサン混合液を用いて抽出処理を行うことを含むものである。
かかる構成の製造方法は、前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の抽出に際しては、使用する溶媒の量を低減することができるので、経済的に有利であり、効率よく前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を多量に得ることを可能とするものである。
その結果、前記製造方法によれば、エーテル型グリセロリン脂質を含む機能性素材の商業生産に貢献することが可能となる。
前記生物系素材としては、前記エーテル型グリセロリン脂質を含むものであって、乾燥されたものであればよく、特に制限されない。
前記生物系素材としては、例えば、動物、植物及び微生物を挙げることができる。
前記生物系素材としては、植物組織および微生物と比較してエーテル型グリセロリン脂質の含有量が高く、安価に大量に入手することが容易であることから、好ましくは、動物又はその組織が選択される。
なお、前記動物としては、哺乳類、鳥類および魚介類などが例示される。
前記哺乳類としては、供給安定性と安全性の両面から、家畜が好適である。
例えば、牛、豚、馬、山羊、めん羊、鹿、らくだ、ラマなどの哺乳類、鶏、アヒル、七面鳥、ダチョウなどの家禽が例示される。
前記哺乳類の場合において、エーテル型グリセロリン脂質を含有している主な組織としては、皮膚、脳、腸、心臓、生殖器などが挙げられる。
前記魚介類としては、飼育、すなわち養殖可能であるものが好適で、
1)ブリ、マダイ、ギンザケ、カンパチ、ヒラメ、トラフグ、シマアジ、マアジ、ヒラマサ、タイリクスズキ、スズキ、スギ、クロマグロ、クルマエビ、コイ、ウナギ、ニジマス、アユ、ヤマメ、アマゴ、ニツコウイワナ、エゾイワナ、ヤマトイワナなどの魚類
2)クルマエビ、ブラックタイガー、タイショウエビ、ガザミなどの甲殻類
3)アワビ、サザエ、ホタテ貝、カキなどの貝類
が例示される。
なかでも、アワビ、サザエ、ホタテ貝、カキなどの貝類、特に二枚貝がより好適である。
前記魚介類の場合において、エーテル型グリセロリン脂質を含有している主な組織としては、内臓、性腺、筋肉などが挙げられる。
この発明においては、総脂質中の中性脂質の含有率が低く、リン脂質の含有率が高く、更にリン脂質中のエーテル型グリセロリン脂質(特に、ドコサヘキサエン酸(DHA)や、エイコサペンタエン酸(EPA)などの長鎖多価不飽和脂肪酸を多く含むもの)の含有率も高いことや、長い食経験と水揚げ量の多さが際立っていること、主な食用部位である貝柱以外の組織は、廃棄されている事例もあること等の観点から、ホタテ貝を選択することが更に好適である。
ここで、この発明において、ホタテ貝とは、イタヤガイ科に属する食用の二枚貝をいう。
前記ホタテ貝としては、例えば、Mizuhopecten属、Pecten属に属するものを挙げることができる。
前記ホタテ貝として、より具体的には、日本で水揚げされるホタテガイ(Mizuhopecten yessoensis)やヨーロッパで採取されるヨーロッパホタテ(Pecten maximus)などを挙げることができる。
なお、前記ホタテ貝の組織としては、貝柱や外套膜、生殖巣などを挙げることができる。
前記微生物としては、例えば、Propionibacterium属の細菌などを使用することができる。
なお、細菌の場合においては、「組織」は、細菌そのものである。
この発明の製造方法において、前記生物系素材としては、乾燥処理されたものが選択される。
このような構成によって、原材料は、水分含量が少ないものとなっているので、抽出の際の溶媒量を低減することが可能となり、たとえ一回の抽出処理であっても、エーテル型グリセロリン脂質を多量に含む機能性素材を得ることが可能となる。
なお、前記乾燥については、天日乾燥、熱風乾燥、冷風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などの公知の方法によって行うことができる。
機能性素材中の有効成分を破壊しない観点から、好ましくは凍結乾燥が選択される。
前記乾燥の条件については、特段の制限はなく、原材料として選択される生物系素材に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは前記生物系素材の水分含量が25%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは2%以下になるよう乾燥が行われる。
このような構成によって、抽出の際に使用する溶媒の量を、より低減することが可能となるので、経済的に有利である。
なお、前記生物系素材やその組織については、抽出処理の効率を高めるために、抽出処理前に、予め裁断や、細切、ミンチ化、粉砕などの処理が施されてもよい。
さらに、前記生物系素材やその組織について、抽出処理の効率を高めるため、抽出処理中に、高速ホモジナイザーやホモミキサー処理などが施されてもよい。
この発明において、前記抽出処理の際に用いられる溶媒、すなわち抽出溶媒としては、エタノール/ヘキサン混合液が選択される。
前記エタノール/ヘキサン混合液において、前記エタノールとヘキサンとの混合比率については、特段の制限はないが、前記エタノールとヘキサンとの混合比率は、容量比で、好ましくはエタノール:ヘキサン=1:0.1〜1:10、より好ましくは3:1〜1:3、更に好ましくは1:0.5〜1:3、更に好ましくは1:1〜1:3である。
例えば、エタノール/ヘキサン(2/3(容量比))混合液を用いることができる。
このような構成によって、抽出の際に使用する溶媒の量を、大幅に低減することが可能となる。
前記抽出処理については、浸漬法(冷浸、温浸等)、減圧浸漬法、加圧浸漬法などの公知の方法によって行うことができる。
また、抽出温度や抽出時間などの抽出処理の条件については、原材料として選択される生物系素材などに応じて適宜選択すればよく、特段の制限はない。
例えば、原材料として、乾燥ホタテ貝組織が選択される場合には、温度25℃で60分間以上撹拌することにより抽出処理を行うことができる。
なお、この発明において、前記抽出処理の回数については、一回で十分であるが、複数回行ってもよい。
前記抽出処理の際に際して、一回の抽出に使用される溶媒の量については、選択される生物系素材や抽出処理方法などに応じて適宜選択すればよく、特段の制限はないが、この発明において、前記溶媒の量は従来に比べて低減されている。
ここで、従来よりも低減された抽出溶媒の使用量とは、原材料である乾燥された生物系素材(例えば乾燥されたホタテ貝組織)100g(乾燥質量)に対して、前記溶媒の合計使用量が100〜3000mL程度であり、好ましくは200〜2000mL程度、より好ましくは250〜1000mL程度である。
この発明の製造方法においては、例えば、前記抽出処理後、さらに、固形分(原材料)と抽出物とを分離する操作として、ろ過等を行うことができ、必要により前記分離・回収された抽出物を乾燥固化する工程や、含有されているエーテル型グリセロリン脂質の濃度を高めるため前記抽出物に対して濃縮処理を行う工程などを付加しても、この発明の目的や効果を阻害しない限り、前記付加工程を併せて、この発明に含めることができる。
る。
なお、前記ろ過は、例えば、濾紙、ステンレスなどの金属製フィルタ等によるフィルタ分離、遠心分離を採用することができる。
例えば、前記抽出処理を行った後、得られた固形分をろ過等で除去して抽出液を回収し、必要に応じて乾燥固化することで、エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を製造することができる。
かかる製造方法によって得られるエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材中には、エーテル型グリセロリン脂質が多量に含まれている。
具体的には、前記機能性素材中に含まれているエーテル型グリセロリン脂質の量は、通常、10〜500mg/gであり、好ましくは100〜500mg/gである。
この発明において、前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材には、有効成分としてエーテル型グリセロリン脂質が含まれているので、生体内に摂取されることによって、このエーテル型グリセロリン脂質が有する作用効果が発揮され得る。
したがって、前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材は、エーテル型グリセロリン脂質含有組成物として有効利用でき、このようなエーテル型グリセロリン脂質含有組成物も、この発明の技術的範囲に含まれる。
具体的には、前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材は、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、統合失調症などの脳神経病、糖尿病などのメタボリックシンドローム、脂質異常症、不眠症、種々の感染症や免疫異常、アトピー性皮膚炎、疲労、肝機能障害、運動筋肉の低下などの予防、治療及び改善において極めて有効である。
かかる製造方法によって得られるエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材は、そのまま液体の状態として使用することもできるが、所望により適宜公知の処理方法を利用して、スラリーや、半固体、固体などの種々の形態で使用することもできる。
例えば、前記機能性素材の製品形態として液体が望ましい場合には、減圧濃縮、逆浸透膜濃縮などにより濃縮することが可能であり、固体が望ましい場合には、噴霧乾燥や凍結乾燥などにより粉体にすることもできる。
この発明の製造方法によって得られるエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材には、環状オリゴ糖やデキストリン、でんぷん類などの賦形剤を添加してもよい。
前記賦形剤を添加した場合には、前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材は、その取扱いが容易なものとなる。
なお、前記賦形剤の添加量は、エーテル型グリセロリン脂質の含有量に対して、好ましくは50〜2000質量%である。
前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を、飲食品の素材として、或いは医薬の原料、化粧品、医薬部外品、指定医薬部外品などの原料として、利用することができる。
なお、このような飲食品、医薬品、化粧品、医薬部外品及び指定医薬部外品などは、公知の方法に従って製造すればよい。
さらに、前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材については、前述の如く公知の又は将来開発される、様々な飲食品の形態を適宜採用することができる。
この場合において、機能性食品又は特定保健用食品の形態についても、同様に採用することができる。
様々な飲食品の製品の形態として、例えば、
1)清涼飲料水、緑茶飲料、紅茶飲料、コーヒー飲料、発酵茶飲料(ウーロン茶など)、野菜ジュース、牛乳、乳飲料、発酵乳飲料、ドリンク剤、スポーツ飲料、ゼリー飲料、アルコール飲料などの飲料
2)ゼリー状食品、冷菓、ケーキ、キャンディー、キャラ メル、チューインガム、和菓子、スナック菓子、チョコレート、ラムネ菓子、グミ、プリン、ヨーグルト、スープ、味噌汁、ごはん、おにぎり、肉ないし加工肉、パン、うどん、そば、ラーメン、パスタ、コンニャク、漬け物、納豆、からあげ粉、小麦粉、片栗粉、ゼラチン、パン粉、練り物、レトルト食品、 冷凍食品、チルド食品、インスタント食品などの一般食品
3)ふりかけ、ソース、醤油、魚醤、味噌、料理酒、酢、みりん、オイスターソース、タレ、マヨネーズ、ケチャップ、塩、スパイス、ハーブ、カレー粉、食用油、めんつゆ、うま味調味料、香辛料、風味調味料などの調味料
4)カプセル剤、錠剤、糖衣剤、顆粒剤、散剤、液剤、可食フィルム剤、ゼリー剤などの加工食品
5)サプリメント
などの各種製品を挙げることができる。
サプリメントの製品の形態としては、例えば、ソフトゲル、錠剤、粉末剤などの各種製品を挙げることができる。
特に、ソフトゲル及び粉末剤の形態が選択される場合には、所定量のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材をカプセルに収容された状態で提供することも可能である。
なお、前記飲食品には、有効成分であるエーテル型グリセロリン脂質の特性を損なわない範囲内で、必要に応じて食品(例えば、機能性食品)に含有させることが可能な周知の添加物を含有してもよい。
前記添加物としては、水、糖類、糖アルコール類、澱粉及び加工澱粉、食物繊維、牛乳、加工乳、豆乳、果汁、野菜汁、果実・野菜及びその加工品、タンパク質、ペプチド、アミノ酸類、動物及び植物生薬エキス、
天然由来高分子(コラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチンなど)、ビタミン類、ミネラル類、増粘剤、乳化剤、保存料、着色料、香料など
が挙げられる。
前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を医薬の原料として用いる場合、有効成分であるエーテル型グリセロリン脂質の特性を損なわない範囲内で、必要に応じて薬学的に許容される基剤、担体、添加剤(例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶剤、甘味剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤、保湿剤、保存剤、pH調整剤、粘稠化剤等)などを配合することができる。
このような基材、担体、添加剤等は、例えば、医薬品添加物辞典2000(株式会社薬事日報社)に具体的に記載されているので、例えば、これに記載されるものを用いることができる。
また、製剤形態も特に制限されず、常法により有効成分及びその他の成分を混合し、例えば錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ゼリー剤、チュアブル剤、ソフト錠剤などの製剤に調製することができる。
前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を化粧品の原料として用いる場合、化粧品の製品の形態としては、乳液、クリーム、ローション、オイル、パック、洗顔料、クレンジング、シャンプー、リンス、コンディショナー、石けん、ボディー洗浄料などの各種製品を挙げることができる。
前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を含有する化粧品は、皮膚老化の改善や防止に有効である。
前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を医薬部外品の原料として用いる場合、医薬部外品の製品の形態としては、薬用化粧品、ヘアカラー、歯周病・虫歯予防の歯みがきなどの薬事法第2条第2項第1〜3号に準ずるもので厚生労働大臣が指定するものを挙げることができる。
前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を指定医薬部外品の原料として用いる場合、指定医薬部外品の製品の形態としては、ビタミン剤、のど清涼剤、健胃清涼剤などの薬事法第2条第2項第1号に準ずるもので、かつ厚生労働大臣が指定する新指定医薬部外品や新範囲医薬部外品を挙げることができる。
なお、前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材は、使用される製品に混合して使用することが簡便であるが、前記製品中に、前記期待される作用効果を奏するに有効な量のエーテル型グリセロリン脂質が含有されていることは当然のことである。
前記エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材において、有効成分であるエーテル型グリセロリン脂質の摂取又は投与量については、被検者の年齢、体重、体質、体調、薬剤の剤形、投与方法、摂取又は投与期間などにより異なる。
その際、例えば、経口投与の場合は、これを、成人(体重約60kg)一人につき、一般に一日当たり、好ましくは0.05〜50mg、より好ましくは0.1〜10mgの範囲となる量を目安として選択することができる。
なお、1日1回又は複数回(好ましくは2〜3回)に分けて摂取するようにしてもよい。
以下に、実施例を挙げて、この発明のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法を詳細に説明する。
なお、この発明は、これら実施例により制限されることはない。
[実施例1〜6]
(ホタテ由来エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造)
下記表1に示される各種原料素材と抽出溶媒を用いて、下記製造方法により各種エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を製造した。
なお、得られた抽出物の量については、使用した原料素材100gに対して得られた量(g)で示した。
その結果を表3に示す。
<製造方法>
50gの乾燥されたホタテ貝組織(外套膜部)の粉末に、250mLのエタノール/ヘキサン混合液を加えて、室温で1時間撹拌した。
その後、得られた混合液を吸引ろ過処理に付し、液層を回収した。
回収された液層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、乾固物を得た。
Figure 2021155565
[比較例1]
(ホタテ由来エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造)
下記製造方法によりエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を製造した。
なお、得られた抽出物の量については、使用した原料素材100gに対して得られた量(g)で示した。
その結果を表3に示す。
<製造方法>
新鮮重200gの生ホタテ貝組織(外套膜部)に、300mLのヘキサン/エタノール(容量比3/2)混合液を加え、ブレンダーで粉砕した。
得られた混合液に、さらに700mLのヘキサン/エタノール(容量比3/2)混合液を加えて、室温で1時間撹拌した。
その後、得られた混合液を吸引ろ過処理に付し、液層を回収した。
残渣を、さらに400mLのヘキサン/エタノール(容量比3/2)混合液で洗浄し、同様に液層を回収し、前記得られた液層と合わせた。
回収した液層に、800mLの1g/15mL硫酸ナトリウム溶液及び30mLの酢酸を加え、分液ロートにて分配し、ヘキサン層を回収した。
水層に、さらに300mLのヘキサン/エタノール(容量比3/2)混合液及び300mLの飽和食塩水を加えて再度分配し、同様にヘキサン層を回収し、前記得られたヘキサン層と合わせた。
得られたヘキサン層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、乾固物を得た。
得られた乾固物に、40mLのホスホリパーゼA1溶液(20mg/mL,0.1Mクエン酸緩衝液,pH4)を加え、50℃で1.5時間反応させた。
得られた反応物に、360mLのヘキサン/エタノール(容量比3/2)混合液、220mLの水、7.2mLの酢酸及び40mLの飽和食塩水を加え、分液ロートにて分配し、ヘキサン層を回収した。
得られたヘキサン層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、乾固物を得た。
[比較例2]
(ホタテ由来エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造)
下記製造方法によりエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を製造した。
なお、得られた抽出物の量については、使用した原料素材100gに対して得られた量(g)で示した。
その結果を表3に示す。
<製造方法>
50gの乾燥されたホタテ貝組織(外套膜部)の粉末(水分含有量1.7%)に、250mLのヘキサンを加えて、室温で1時間撹拌した。
その後、得られた混合液を吸引ろ過処理に付し、液層を回収した。
回収された液層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、乾固物を得た。
[比較例3]
(ホタテ由来エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造)
下記製造方法によりエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を製造した。
なお、得られた抽出物の量については、使用した原料素材100gに対して得られた量(g)で示した。
その結果を表3に示す。
<製造方法>
50gの乾燥されたホタテ貝組織(外套膜部)の粉末(水分含有量1.7%)に、250mLのイソプロパノール/ヘキサン混合液(容量比2/3)を加えて、室温で1時間撹拌した。
その後、得られた混合液を吸引ろ過処理に付し、液層を回収した。
回収された液層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、乾固物を得た。
[比較例4および5]
(ホタテ由来エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造)
実施例1において使用した原料素材と抽出溶媒に代えて、下記表2のシート材の原料素材の欄と抽出溶媒の欄にそれぞれ示されたものを使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材を製造した。
Figure 2021155565
Figure 2021155565
<結 果>
表3から、上記実施例1〜6において得られた抽出物の量は、いずれも比較例1〜5において得られた抽出物の量に比べて多かった。
以上から、エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造に際しては、乾燥された生物系素材に対して、エタノール/ヘキサン混合液を用いて抽出処理を行うことが有効であることは、明らかである。
[評価例]
(ホタテ由来エーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材のHPLC解析)
上記実施例1〜6のいずれか又は比較例2〜5のいずれかにおいて得られた抽出物(乾固物)2mg、或いは比較例1において得られた抽出物(乾固物)5mgを、ヘキサン/2−プロパノール(3:2)混合液1mLに溶解したものについて、下記条件でHPLC解析を行った。
なお、含有されていたエーテル型グリセロリン脂質の量については、使用した原料素材100gに対して含有されていた量(g)で示した。
また、増加率については、HPLC解析によって測定した比較例1において得られた抽出物に含まれるエーテル型グリセロリン脂質の量を1としたときの、前記抽出物(比較例1以外の実施例又は比較例において得られた抽出物)に含まれるエーテル型グリセロリン脂質の量の割合として算出した。
その結果を、表4に示す。
<HPLCの条件>
1)使用機器:Shimadzu LC−AD20システム(株式会社島津製作所製)
2)カラム :LiChrospher Diol 100(5μm,250−4,メルクミリポア社製)
3)流 速 :1.0mL/分
4)カラム温度:温度50℃
5)検出器 :ELSD−LTII(蒸発光散乱検出器)(株式会社島津製作所製)
6)ドリフトチューブ温度:温度50℃
7)移動相 :
(A)ヘキサン/2−プロパノール/酢酸(82:17:1,v/v)+0.08%トリメチルアミン)
(B)2−プロパノール/水/酢酸(85:14:1,v/v)+0.08%トリエチルアミン)
8)グラジエント:(B)5%,0min→(B)45%,12min→(B)45%,21min→(B)85%,22min→(B)85%,27min→(B)5%,27min→(B)5%,37min
Figure 2021155565
<結 果>
表4から、上記実施例1〜6において得られたエーテル型グリセロリン脂質の量は、いずれも、比較例1において得られたエーテル型グリセロリン脂質の量の4倍以上であった。
この作用効果は、生物系素材の水分含量を1.7%にした場合において顕著であった。
以上から、この発明にかかるエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法によれば、一回の抽出処理で得られるエーテル型グリセロリン脂質の量が飛躍的に増加し、これが、乾燥された生物系素材に対して、エタノール/ヘキサン混合液を用いて抽出処理を行うことによるものであることは、明らかである。
図1は、使用したエタノールの濃度と得られたエーテル型グリセロリン脂質の量との関係を示すグラフ図である。
図1から、抽出処理に際して、抽出溶媒としてエタノール/ヘキサン混合液を用いる場合において該混合液中のエタノールの濃度を25〜75%としたときには、エタノール単独(エタノール濃度100%)で用いる場合に比べて、得られるエーテル型グリセロリン脂質の量は1.4〜1.8倍になることが分かった。
したがって、この発明にかかるエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法においては、抽出処理の際の抽出溶媒としてエタノール/ヘキサン混合液を選択しているので、効率よく多量にエーテル型グリセロリン脂質を得ることができ、この混合液中に含まれるエタノールの濃度を25〜75%にする、すなわち混合比率を容量比で1/3〜3/1にすることで、より効率よく多量にエーテル型グリセロリン脂質を得ることができることは、明らかである。
なお、上記比較例3(抽出溶媒としてイソプロパノール/ヘキサン混合液を用いた場合)において得られたエーテル型グリセロリン脂質の量は、比較例1において得られたエーテル型グリセロリン脂質の量より多かったが、実施例1〜6において得られたエーテル型グリセロリン脂質の量よりも少なかった。
Figure 2021155565
表5は、原材料(生物系素材)100gに対して使用した抽出溶媒の量(使用量)を示すものである。
なお、表5において、低減率については、比較例1において使用した抽出溶媒の合計使用量に対する、実施例5において使用した抽出溶媒の合計使用量の割合として算出した。
表5から、この発明においては、原材料として、乾燥された生物系素材を選択し、その抽出処理のための抽出溶媒として、エタノール/ヘキサン混合液を選択しているので、抽出溶媒の使用量を大幅に削減できることは、明らかである。
Figure 2021155565
さらに、表6は、得られたエーテル型グリセロリン脂質1gに対して使用した抽出溶媒の量を示すものである。
なお、表6において、括弧内は、比較例1において使用された抽出溶媒の量に対する、各実施例又は比較例4若しくは5において使用された抽出溶媒の量の割合を示す。
表6における実施例5と比較例1の結果から、この発明にかかるエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法によれば、同量のエーテル型グリセロリン脂質を得るのに、抽出溶媒の使用量を最大で約1/13に削減できることが分かった。
したがって、この発明にかかるエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法によれば、単位抽出量当たりの抽出溶媒の使用量を約90%以上削減することができることは、明らかである。
この発明によれば、エーテル型グリセロリン脂質を多量に含む機能性素材の製造に際しては、抽出の際に使用する溶媒の量が低減され、スケールアップが容易で、このような機能性素材を効率よく多量に製造することが可能となるので、エーテル型グリセロリン脂質を取り扱う業界において幅広く利用されるものである。

Claims (7)

  1. 生物系素材に対して、エタノール/ヘキサン混合液を用いて抽出処理を行うこと
    を含み、
    前記生物系素材は、乾燥処理されたものであること
    を特徴とするエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。
  2. 前記生物系素材は、
    二枚貝組織であること
    を特徴とする請求項1に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。
  3. 前記エタノールと前記ヘキサンとの混合比率は、
    容量比で、エタノール:ヘキサン=1:0.1〜1:10であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。
  4. エタノールと前記ヘキサンとの混合比率は、
    容量比で、エタノール:ヘキサン=3:1〜1:3であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。
  5. 前記エタノールと前記ヘキサンとの混合比率は、
    容量比で、エタノール:ヘキサン=3:2〜1:3であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。
  6. 前記生物系素材の水分含量は、
    25%以下であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。
  7. 前記生物系素材の水分含量は、
    2%以下であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエーテル型グリセロリン脂質含有機能性素材の製造方法。
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