JP7020076B2 - 多結晶シリコンロッド製造用反応炉の製造方法及びこの反応炉を用いた多結晶シリコンロッドの製造方法 - Google Patents
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Description
先ず、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、多結晶シリコンロッド製造装置10は、反応炉11を有する。反応炉11は、炉底を構成する基台12と、この基台12上に脱着自在に取付けられた釣鐘形状のベルジャ13とを備える。基台12にはガス導入管14及びガス排出管15が貫通して設けられる。また基台12には逆U字状のシリコン種棒16の下端を保持する電極体17、17が貫通して設けられる。種棒16はこれらの電極体17、17に保持されることにより反応炉11の内部に固定される。電極体17、17には給電装置18の出力端子が電気的に接続され、種棒16は給電装置18からの電力により加熱可能に構成される。ガス導入管14からは、例えばトリクロロシラン(SiHCl3)と水素の混合ガスが原料ガスとして反応炉11内に導入され、種棒16の表面に多結晶シリコン析出体19を析出して多結晶シリコンロッドロッド20を製造するように構成される。なお、図1中の符号21は電極体17、17を基台12から電気的に絶縁する絶縁体である。
(-SiH2NH-)+2H2O →(-SiO2-)+NH3+2H2
4SiHCl3 → Si + 3SiCl4+ 2H2 (1)
SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl (2)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、図1に示される反応炉11の内壁面に形成されるシリカコーティング層28が反応炉11内の雰囲気を露点-30~-50℃に制御して反応炉11内にクロロシランガスを導入することにより行われる。反応炉内にクロロシランガスの導入方法としては、第一にトリクロロシラン、四塩化ケイ素又はそれらの混合ガスであるクロロシランガスをそのまま反応炉に導入する方法と、第二にトリクロロシラン、四塩化ケイ素又はそれらの混合ガスを水素又は不活性ガスで希釈したクロロシランガスを反応炉に導入する方法がある。
SiCl4 + 2H2O → SiO2 + 4HCl (3)
Si-Cl + H2O → SiOH + HCl (4)
Si-OH + Si-OH → Si-O-Si +H2O (5)
第1の実施形態に基づきシリカコーティング層を形成した。即ち、内壁がオーステナイト系ステンレス鋼で構成された反応炉の内壁面すべてにわたって、ポリシラザン濃度10質量%のジブチルエーテル溶液(サンワ化学社製)からなるシリカコーティング液を20cc/m2の塗布量で、硬化後シリカコーティング層の厚さが1μmとなるよう、均一にスプレーコートした。スプレーコート後、大気圧下、120℃の温度で1時間保持し、更に湿度80%、温度90℃にて3時間保持して、シリカコーティング液を硬化させシリカコーティング層を形成した。
内壁面にシリカコーティング層を形成していないベルジャを内壁面にシリカコーティング層を形成していない反応炉の基台に配置し、実施例1と同様にして、多結晶シリコンロッドを製造した。
第2の実施形態に基づきシリカコーティング層を形成した。即ち、実施例1と同じオーステナイト系ステンレス製の内壁面がコーティングされていないベルジャを、種棒を組み立てた後に、実施例1と同じオーステナイト系ステンレス製の内壁面がコーティングされていない反応炉の基台に配置して反応炉を密閉した。この例では、反応炉は内容積が約15m3で内壁表面積が約30m2であった。水封ポンプ及び油回転ポンプにて反応炉を減圧するとともに、炉内の空気を窒素で置換した。これを3回繰り返して反応炉内の露点を計測したところ、-32℃であった。再び油回転ポンプにて減圧(-0.1MPaG)してから、四塩化ケイ素(液)を入口配管に0.5Lを投入した。四塩化ケイ素液が気化して炉内圧は次第に上昇した。この操作により、炉内に万遍なく四塩化ケイ素ガスが供給されるため、反応炉の内壁面全体にシリカコーティング層が形成される。10分後、炉内圧を示す圧力計の針がわずかに振れたところで窒素ガスを0.02MPaGまで導入し、再び水封ポンプにて残った四塩化ケイ素(ガス)を排出してから炉内をアルゴンガスで置換した。引き続いて、炉内ヒータにより種棒を予熱後、種棒に通電し、その後、反応炉内を水素で置換して、トリクロロシラン(TCS)と水素の原料ガスを供給し、析出反応を開始した。種棒の表面上にシリコンを析出成長させて、直径約110mmの多結晶シリコンロッドを製造した。
第2の実施形態に基づきシリカコーティング層を形成した。即ち、実施例2と同様に種棒を組み立てた後に、実施例2と同じベルジャを実施例2と同じ反応炉の基台に配置して反応炉を密閉した。水封ポンプにて反応炉を減圧するとともに、炉内の空気を窒素で置換した。これを3回繰り返して反応炉内の露点を計測したところ、-48℃であった。引き続いて、反応炉内をアルゴンで置換して、種棒に通電した。この状態で、四塩化ケイ素に対して約8倍の水素をキャリアガスとした混合ガスを供給し、30分間継続した。その後、反応炉を開放することなく、反応炉内にトリクロロシラン(TCS)と水素の原料ガスを供給し、析出反応を開始した。上記四塩化ケイ素と水素の混合ガスを30分間導入する前後の多結晶シリコンロッドをのぞき窓からそれぞれ写真撮影した。上記混合ガスの導入前後の多結晶シリコンの外径の差から、上記混合ガス導入の30分間における多結晶シリコンの成長量は0.1mm以下であった。引き続き、反応炉を開放することなく、上記原料ガスを供給して、析出反応を続け、種棒の表面上にシリコンを析出成長させて、直径約110mmの多結晶シリコンロッドを製造した。
第2の実施形態に基づき、実施例2と同じベルジャ及び基台を用いて、実施例2と同様に反応炉内に四塩化ケイ素(液)を導入することより、シリカコーティング層を形成した。シリカコーティング層を形成したところで、一旦ベルジャを外して反応炉を開放し、反応炉内壁面にシリカコーティング層が形成されているかを確認した。予め反応炉の基台及びベルジャ内壁面にそれぞれ貼り付けておいたテストピースを回収し、これらのテストピースの表面を電子顕微鏡で観察したところ、約0.5μmのシリカコーティング層が形成されていることが確認できた。再びベルジャを反応炉の基台に配置して反応炉を密閉し、それ以降、実施例2と同様にして種棒の表面上にシリコンを析出成長させて、直径約110mmの多結晶シリコンロッドを製造した。
実施例1と比較例1で得られた2種類の多結晶シリコンロッドから試料をそれぞれ切り出した。試料に含まれる不純物の濃度をICP-MSを用いて測定した。具体的には、各ロッドから3個の試料を採取して、試料毎に鉄(Fe)、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)の各濃度を測定し、その平均値を求めた。その結果を表1に示す。
実施例2、3と比較例2で得られた3種類の多結晶シリコンロッドから試料をそれぞれ切り出した。試料に含まれる不純物の濃度をICP-MSを用いて測定した。具体的には、各ロッドから3個の試料を採取して、試料毎に鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ボロン(B)及びリン(P)の各濃度を測定し、その平均値を求めた。その結果を表2に示す。
11 反応炉
13 ベルジャ
20 多結晶シリコンロッド
23 内壁
24 外壁
28 シリカコーティング層
Claims (5)
- 反応炉が耐熱性を有する金属製材料により構成された多結晶シリコンロッド製造用反応炉の製造方法において、
シリコン種棒への通電前の前記反応炉の内壁面又は前記シリコン種棒への通電後の多結晶シリコンロッドを製造する初期段階の前記反応炉の内壁面にシリカコーティング層を密着して形成し、
前記シリカコーティング層の形成が、ポリシラザン溶液であるシリカコーティング液を80℃以上の水蒸気雰囲気でコーティングした後、150℃~450℃の大気中で1~3時間放置して硬化することにより行われることを特徴とする多結晶シリコンロッド製造用反応炉の製造方法。 - 反応炉が耐熱性を有する金属製材料により構成された多結晶シリコンロッド製造用反応炉の製造方法において、
シリコン種棒への通電前の前記反応炉の内壁面又は前記シリコン種棒への通電後の多結晶シリコンロッドを製造する初期段階の前記反応炉の内壁面にシリカコーティング層を密着して形成し、
前記シリカコーティング層の形成が前記反応炉の炉内の雰囲気を露点-30~-50℃に制御して前記反応炉内にトリクロロシラン、四塩化ケイ素又はそれらの混合ガスであるクロロシランガスをそのまま導入するか、或いはトリクロロシラン、四塩化ケイ素又はそれらの混合ガスを水素又は不活性ガスで希釈したクロロシランガスを導入することにより行われる多結晶シリコンロッド製造用反応炉の製造方法。 - シリコン種棒を組み立て、耐熱性を有する金属製材料により構成された反応炉を密閉した後、前記反応炉内の雰囲気を露点-30~-50℃に制御し、前記反応炉内にトリクロロシラン、四塩化ケイ素又はそれらの混合ガスであるクロロシランガスをそのまま導入するか、或いはトリクロロシラン、四塩化ケイ素又はそれらの混合ガスを水素又は不活性ガスで希釈したクロロシランガスを導入して、前記反応炉の内壁面にシリカコーティング層を形成し、そのまま前記反応炉を開放することなく前記シリコン種棒表面に多結晶シリコンを析出させて多結晶シリコンロッドを製造する方法。
- 前記クロロシランガスを前記シリコン種棒に通電した後に導入する場合に前記多結晶シリコンの析出速度が0.5mm/h以下になるように制御して多結晶シリコンロッドを製造する請求項3記載の方法。
- 請求項1又は2記載の方法により製造された多結晶シリコンロッド製造用反応炉を用いて多結晶シリコンロッドを製造する方法。
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