JP7016322B2 - 方法及び組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、内部に気泡を含むチョコレート菓子組成物(一般にエアレーションされた(aerated)チョコレートとして知られている)の分野及びその製造方法に関する。
気泡(概ね窒素又は二酸化炭素)を含有するチョコレートを調製することは知られている。しかし、そのような製品では、典型的には、消費者が目で気泡が見ることができる(本出願人によってAero(登録商標)の下で販売された製品においてなど)。このような平均直径100ミクロン以上の目で見ることができる気泡は、マクロエアレーションとして広く知られている。あまり一般的ではないのは、十分に小さいサイズの気泡でチョコレートをエアレーションすることで、気泡が肉眼では見ることができないようにすることであり、典型的に平均気泡直径が100ミクロン未満である(非公式にマイクロエアレーションとして知られている)。マイクロエアレーションチョコレートには技術的な課題がある。例えば、ガスは特殊な装置を使用してより正確な方法でチョコレートの塊の中に注入されなければならないが、別の方法だと気泡が合一し、より大きな気泡を形成し得る危険性がある。また、充填(depositing:堆積)に関しても注意を払わなければならない。マイクロエアレーションされたチョコレートの塊は、機械的応力のあらゆる形態に極めて敏感であり、このことから合一が生じる。したがって、最適なエアレーションの品質を確保するために、成形型内に直接加圧された充填が必要とされる。最近までは、主にコスト削減の理由から、低レベルにマイクロエアレーションすることが焦点であった。
本出願人は、驚くべきことに、特定のマイクロエアレーションされたチョコレート組成物が、最終消費者にとって有利であり、また製造中にも有利である予期せぬ特性を示すことを発見した。これらの利点としては、固体製品中のエアレーションされた気泡のマトリックスの安定性が向上すること、並びに/又は成形型及び/若しくはパッケージからの取り出しがより容易になることが挙げられる。これらの特性により、製品の製造がより容易になり、かつ/又は最終的な菓子製品において、より望ましくかつ/若しくは一貫した感覚刺激特性がもたらされる。本発明は、このようなマイクロエアレーションされたチョコレート組成物を調製するための方法、及びそのようなチョコレート組成物の異なる使用法を提供する。
高い多孔率を達成するようなマイクロエアレーションチョコレートは困難かつ高価なものであり、付加的な利点がなければ不安定で不利益な試食製品につながる、と以前から考えられていた。これは、実際に製造された先行技術のマイクロエアレーションされた製品の少数が、少量のガス微細気泡を含有し、高くても8%の多孔率を達成するが、たいていの場合はるかに低いという理由からである。本出願人は、驚くべきことに、チョコレートが本明細書に組み込まれたものよりもずっと高い割合のガスを含有し、微細気泡が(本明細書に記載の)最適パラメータによって特徴付けられる新規なマイクロエアレーションされたチョコレートを調製する方法を見出した。このようなマイクロエアレーションされたチョコレートは、これまでに評価されていなかったいくつかの有益な特性を示す。
チョコレートのエアレーションはまた次のような特許文献に記載されている。
欧州特許第2298080号(Kraft)(本明細書でKraft080とも呼ばれる)は、低剪断混合法における食品製品のエアレーションのための微孔性のガスディフューザの使用を詳述するエアレーションされた食品製品を製造するための方法及び装置を開示している。これらの製品には、チョコレートが含まれるということになっているが、提供される単一の例は、チョコレート風味のウエハースフィリングであり、チョコレートではない。
Kraft080の段落[0017]は以下のとおりである。
「微孔性のディフューザを通じてガスを加える前の処理媒体の粘度は、典型的には1~200Pa・sの範囲であり、好ましくは1~60Pa・sの範囲である。」
段落[0027]は以下のとおりである。
「食品製品に組み込まれたガスの体積分率は、特定の用途に依存し、典型的には5~75体積%、好ましくは5~40体積%、及び最も好ましくは10~30体積%の範囲である。」
段落[0034]は以下のとおりである。
「前述したように、本発明は、小さいガスセルを有する製品、好ましくはマイクロセル構造を有する製品を目的とする。マイクロセルは、概ね、100μm以下の平均サイズのガスセルを意味する。好ましくは、平均セルサイズが50μm未満であり、最も好ましくは、平均セルサイズが5~30μmの範囲内である。最も好ましい実施形態では、セルの90%は、10~50μmのサイズを有する。」
段落[0042]は以下のとおりである。
「本発明による方法の製品は、典型的には、ガスの30体積%以下を含有する。好ましくは、ガス体積分率が25%未満であり、最も好ましくはガス体積分率が10~25%の範囲である。」最良の結果は、前述の好ましいガス体積と好ましいセルサイズの組み合わせを最大に生かした場合に、得られる。
Kraft080では、この方法でうまくエアレーションされると述べられている食品媒体について、非常に広い範囲の粘度(1~200Pa・s)を開示している。そのような広範囲の粘度を有する全ての食品を、Kraft080に記載されている同じ方法でエアレーションできるというのは確かなものではなく、そのような記述は極めてリスクが大きいと考えるべきである。例えば、成形されたチョコレート製品を調製するために使用されるチョコレートの塊は、1~20Pa・sの典型的な塑性粘度を有し、均一なエアレーションを提供するために高剪断混合が必要とされる。Kraft080に記載のエアレーション方法は、マイクロディフューザと低剪断下でガスを注入する。この方法で、主張した範囲の上端の粘度で、粘性のチョコレートの塊をエアレーションすることができるかどうかは疑わしい。また、この方法で、製品内に均等かつ均一に分布した気泡を有するチョコレートをエアレーションすることができるかどうかも疑問である。Kraft080ではまた、非常に広いガス体積範囲(5~70%)でエアレーションされた製品を記載している。チョコレートのユニークな特性については評価されていない。本出願人は、20%を超えるガス体積の微細気泡でチョコレートをエアレーションすることで、チョコレートの粘度が増加し、その結果、このようなチョコレートを成形型から取り出すことが困難になることを見出した。したがって、Kraft080に記載されたマイクロエアレーションされたチョコレートは、たとえ製造されていたとしても、満足できるものではない。
Josefin Haedelt et al,Institute of Food Technology,vol.70(2),March 2005,p E159~164(本明細書中でHaedelt2005とも呼ばれる)では、液体調質されたチョコレート中の真空誘導気泡形成を記載している。Haedelt2005では、次のことを認めている(ページE159、第2欄、7~11行目):
「更に、与えられた条件のセットで得られた分散特性は、再現性が高くない。概ね、密度、ガスホールドアップ、気泡サイズなどの重要な品質パラメータに対する動作条件の影響は、十分に理解されていない。」
Haedelt2005によって調製された、エアレーションされたチョコレートの気泡サイズは、明らかにマクロサイズである。これは、様々なガス圧、すなわち0.85mm±0.4標準偏差(SD)(1000Paで)、0.4mm±0.16mm SD(5000Paで)、及び0.37mm±0.19mm SD(10,000Paで)で調製された平均直径(mm)である気泡サイズを有する試料を記載する、ページE161の表2から確認できる。また、ページE161の表3は、所定の温度で調質された粘度を有するチョコレートから調製された以下の平均直径(mm)、すなわち0.4mm±0.19mmSD(27℃)、0.41mm±0.16mmSD)(30℃)、0.49mm±0.19mmSD)(33℃)である気泡サイズを有する試料を記載している。
Josefin Haedelt et al,Journal of Food Science vol.72(3),1 April 2007,p E138-142(本明細書ではHaedelt2007とも呼ばれる)。Haedelt2007では、種々のガスを使用してチョコレート、すなわち二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、及びアルゴンをマイクロエアレーションすることによって製造された官能特性を調査した。Haedelt2007では、エアレーションされたチョコレートの官能特性に関する他のパラメータを変化させる効果を考察又は開示していない。
国際公開第2002-13618号(Danone)では、チョコレートを含む食材をエアレーションする装置を記載している。
米国特許第4674888号(Komax Systems)では、ガス注入器を記載している。
欧州特許第2543260号(Kraft)(本明細書ではKraft060とも呼ばれる)では、チョコレートシェルをマイクロエアレーションするための凍結コーンプロセスの使用を開示している。このような薄いシェルは、タブレットなどのより厚い成形されたチョコレート製品とは全く異なる。コールドスタンピングプロセスを使用することで、マイクロエアレーションされたチョコレートの流動特性に関連する課題を回避する。
Kraft060の段落[0008]、45~55行は以下のとおりである。
「ここで、エアレーションされたシェル層は、少なくとも5%の総ガス含有量を有し、ガス含有量は、以下の式(1)を使用して計算される。
エアレーションされたシェル層のガス含有量=(M2-M1)/M1
ここで、M1は、体積V1を有するエアレーションされたシェル層の質量であり、そしてM2は、体積V1を有する非エアレーションシェル層、及び、エアレーションされたシェル層と同じ食用液体から形成される非エアレーションシェル層、及び、エアレーションされたシェル層と同様のやり方で形成される非エアレーションシェル層、の質量である。」
段落[0023]は以下のとおりである。
「ステップ(ii)において成形型キャビティ内に充填されるエアレーションされた食用液体は、好適には少なくとも5%の総ガス含有量を有し、ガス含有量は、以下の式(2)を使用して計算される。
エアレーションされた食用液体のガス含有量=(M2-M1)/M1
ここで、M3は、体積V2を有するエアレーションされた食用液体の質量であり、M4は、エアレーションなしの食用液体の同じ体積の質量である。これは、単位体積(V2)あたりの食用液体の質量が、液体のエアレーション時に少なくとも5%減少することを意味する。」
段落[0024]は以下のとおりである。
「少なくとも5%のガス含有量は、良好な食感を提供し、シェルのカロリー含有量を減少させる点で有利である。この点については、エアレーションされた食用液体のガス含有量は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%又は少なくとも40%であってよく、いくつかの実施形態では、コールドスタンピング中の液体からガスが過剰に失われないように、ガス含有量は5~40%、5~25%又は10~20質量%の範囲内である。初期ガス含有量がより高まると、その初期ガス含有量に比例して脱エアレーションの度合いが大きくなる。これは、気泡が合一してより大きな気泡を形成する可能性がより大きいためである。大きな気泡は、その密度と液体の密度との間に大きな差があるため、液体からすぐに消える。」
段落[0025]は以下のとおりである。
「液体におけるエアレーションの度合いに関する別の尺度は、液体の総体積に対する液体中のガスの体積である。一実施形態では、液体は、14体積%以下、18体積%以下、又は22体積%以下のガスを含有する。適切な最小ガス含有量は、10体積%である。10~22体積%のガス含有量は、味及び口当たりの点で有利である。」
段落[0026]は以下のとおりである。
「エアレーションされた液体は、密度が1.10g/cm以下、1.05g/cm以下、1.00g/cm以下、又は0.95g/cm以下であってもよい。0.98~1.10g/cmの範囲内の密度は、味及び口当たりの点で最適である。」
Kraft060は、チョコレートタブレットの製造に使用されるようなものなどの大型チョコレートの塊をエアレーションするよりも、薄いチョコレートシェルを製造する方法を改良することにより関心がある。Kraft060に記載されている方法では、コールドスタンピングを使用して、薄いシェルを形成する。Kraft060では、マイクロエアレーションされたチョコレート中の小さな気泡の制御されたサイズ分布を作り出す方法について提案されていない。これは、部分的に、コールドスタンピング法に関連する急速冷却によるものであり、気泡の膨張及び合一の時間がより短いことを意味する。チョコレートタブレットの冷却時間は、長い冷却トンネルの使用及び成形型キャビティ内のチョコレートのはるかに大きい塊のために、著しく長くなる。スタンピングプロセスは、エアレーションされたチョコレートに衝突するスタンピングの物理的な力を通して気泡破壊をもたらす。固形チョコレート製品内で均質に気泡を均一分布させる方法の問題に関しては、Kraft060で言及されておらず、薄いシェルに関してはどうかというと、これは問題ではない。Kraft060の方法は、タブレットなどのより厚い成形された製品をエアレーションするために設計されておらず、適していない。Kraft060のプロセスは、更なる成分を添加するためのチョコレートシェルの製造に対して設計されている。
米国特許出願公開第2006-0057265(A1)号(Knobel)では、温度制御された雄型が続いて導入される成形型の内部に配置された物質で作られた外シェルを有する菓子製品を製造する方法を開示している。この物質は、雄型を導入した後に圧力下に置かれる。
欧州特許第2018811号(Winkler)では、食材を成形するための装置を開示している。
欧州特許第0589820号(Aasted Mikroverk)では、チョコレート物品を成形する方法を開示している。
ドイツ特許第102005018415号(Winkler)では、空気より密度の低いヘリウムなどのガスで、スタンピングが行われるチャンバを充填することによって、空気から保護されたコールドスタンピングを使用するキャンディ製品(及びキャンディ成形ステーション)を製造する方法を開示している。保護ガスと空気の領域との間に混合ゾーンが形成される。
国際公開第2009-040530号(Cadbury)では、エアレーションされた中心充填菓子組成物を開示している。
欧州特許第0914774号(Aasted Mikroverk)は、脂肪含有チョコレート様の塊のシェルを製造するための方法、システム及び装置を開示している。
CH680411(Lindt)は、半固体、脂肪、エアレーションされた塊、特にチョコレート及び/又はチョコレート様の塊を形成する方法、及びその実施のための装置を記載している。
米国特許第5238698号(Jacob Suchard)では、スクロースを実質的に含まず、従来のミルクチョコレートの味及び口当たりを有する、より低密度のミルクチョコレート組成物を製造するための製品及び方法を記載している。ここで、ミルクチョコレート組成物は、27℃~約45℃の温度で約1.2~約8バールの圧力下、不活性ガスでエアレーションされる。
欧州特許第0230763号(Morinaga)では、気体連続相と、凝集した固形チョコレートの微粒子の分散相とを有するエアレーションされたチョコレート組成物を記載している。エアレーションされたチョコレートは、見かけ密度が0.23~0.48g/cmである。この組成物は、チョコレート内に含まれる脂肪よりも8~14℃低い温度で冷却しながら溶融チョコレートを攪拌し、その中にガスを混合することにより製造される。組成物の見かけ密度を0.7~1.1g/cmに到達させ、次に組成物を150Torr以下の減圧に曝して組成物を膨張させ、ガス及び固相を転化させる。
欧州特許第1346641号(Aasted-Mikroverk)では、チョコレートシェルを製造する方法を開示している。
国際公開第2001-080660号(Effem Foods)では、糖ベースのコーティングによって囲まれた低密度チョコレートを含む菓子製品、及びこの製品の製造方法を記載している。この製品は、高められた周囲温度においてさえも保存安定であると述べられている。
GB1305520(Abalo)は、非エアレーションチョコレートシェルの連続外側シェルと、中心に充填された発泡チョコレートとを有する発泡キャンディを製造するための連続プロセスを記載している。
国際公開第1999-34685号(Mars)(=米国特許第6165531号)では、マイクロエアレーションされた製品の離型のために、(シリコーンなど)30mJ/m未満の低い表面エネルギーを有する材料から製造された成形型を使用することを記載している。この参考文献は、エアレーションされたチョコレートが非エアレーションチョコレートよりも離型するのが困難であることを示している(例えば29頁に)。
国際公開第2000-078156号(APV)では、エンロービングのためにマイクロエアレーションされたチョコレートの使用を記載しており、ページ5、1~5行目には以下のとおり記載している。
「調質ユニット内でのエアレーションのための既存の装置が利用可能であるが、高剪断ユニットが取り付けられていないので、エアレーションレベルが制限され(通常5%未満)、顕微鏡でしか見えないサイズの気泡を生成する能力も制限される(本発明のいくつかの用途において非常に望ましい属性と考えられる)。」
特許出願は、装置の大部分を記載しており、エアレーションのレベルが望ましいか、又は微視的な気泡が有用であることを上述の段落から更に示唆するものではない。
国際公開第2004-056191号(Mars)(=米国特許出願公開第2006-0147584号)では、糖シェルで囲まれた低密度(すなわちエアレーションされた)チョコレートコアを有するチョコレートレンチルを製造するためのドロップローラを使用することを記載している。レンチルは、登録商標M&M(登録商標)でMarsから商業的に入手可能な製品に類似している。この特許は、第6頁27~30行目で以下のとおり記載している。
「チョコレートコアは、25ミクロン未満の平均直径を有する気泡で分散される。典型的には、気泡の平均直径は、約17ミクロン未満である。分散液は、好ましくは、コア全体にわたって均一である。」
これらの気泡サイズは、コアよりも大きなチョコレートの塊中で非常に小さく、製造するのが困難である(例えばチョコレートタブレットを作るため)。この特許は、第4頁6~8行に以下のとおり記載している。
「チョコレート製造ラインにおける多くの装置は、製造される菓子のタイプに非常に特異的であり、したがって、1つの製造ラインから別の製造ラインへ容易に移動することができない。」
したがって、エアレーションされたチョコレートコアに関するこの文献の開示は、チョコレートの塊をより一般的に調製することに関連するとは考えられないであろう。冷却されたローラー及びより小さいチョコレートの塊を使用することは、成形されたタブレットの場合よりもエアレーション安定性が問題の少ないことを意味する。
国際公開第2013-143938号(Unilever)では、マイクロエアレーションの影響を打ち消すために、アイスクリームコーティングに着色剤を添加する方法を開示している。この特許は、第4頁19~22行に以下のとおり記載している。
「好ましくは、累積面積加重サイズ気泡分布の80%は60μm以下である。好ましくは、累積面積加重サイズ気泡分布の95%は125μm以下、好ましくは100μm以下である。好ましくは、累積面積加重サイズ気泡分布の99%は150μm以下である。」
色に対する影響を制限したいという願望から、高レベルのエアレーションの使用を控えることを教示する。文書はこのエアレーションチョコレートがより乳白色であると認識しているが、この発言はどのデータでも支持されていないと伝えている(2頁、3行目)。この参考文献の読者は、文脈において、このコメントは、風味又はテクスチャーの変化などの他の知覚変化によるものではなく、色変化による知覚を指すことを理解するであろう。
国際公開第2014-037910号(Barry Callebaut)では、浸出及び脂肪のブルームを制限するために使用されるマイクロエアレーションされたチョコレートを記載しており、この場合、ガスは、1~100μmの直径を有するガス微細気泡の0.1%~4.5%の体積分率として存在する。
この特許は、第5頁、1~10行(非公式翻訳)に以下のとおり記載している。
「ガス微細気泡の好ましい体積分率は、0.2%以上、より具体的には0.5%以上又は0.8%以下である。
ガス微細気泡の好ましい体積分率は、5.0%以下であり、より具体的には4.5%以下であり、更には4%以下である。
有利には、ガス微細気泡の体積分率は、3.5%以下、又は3.0%以下、より具体的には2.8%以下又は2.0%以下である。
ガス微細気泡の好ましい体積分率は、0.2%~4.5%の範囲内、有利には0.3%~2.5%の範囲内で選択される。あるいは、ガス微細気泡の体積分率は、0.5%~2%の範囲で選択される。」
この特許は、第4頁、22~25行(非公式翻訳)に以下のとおり記載している。
「有利には、存在するガス微細気泡の直径は、100μm以下である。微細気泡の直径は、直径1μm~100μm、好ましくは直径1μm~30μm、より好ましい実施形態では直径1μm~10μmであってもよい。」
この特許は、本発明の食材を参照する第5頁、26~28行(非公式翻訳)に以下のとおり記載している。
「組成物中に分散されていることは、1μm~100μmの範囲の直径のガス微細気泡の0.1~5.0%の体積分率であることを特徴とする。」
したがって、本明細書の教示全体は、本明細書中で使用されるガスの量よりもはるかに低い容量のガスの5%よりも多量のエアレーションの使用を控えることを教示している。
欧州特許第2016836号(Mondelez)では、a)装置が超大気圧下で質量を維持するように空気入り菓子塊(例えばチョコレート)を成形型に充填させるステップと、b)菓子塊の中及び/又は上に少なくとも1つの粒状物質を充填させるステップと、c)少なくとも1回繰り返すステップと、を含む菓子製品の製造方法を記載している。この特許は、この方法は、押出法に典型的な質量に剪断力を適用することを回避し、したがって、気泡を最終製品中に維持することを可能にすると述べている。
国際公開第2006-67123号(=欧州特許第1835814号、欧州特許第1673978号、及び国際公開第2006-79886号)(Mondelez)では、エアレーションされた塊の戻された部分が脱調質され、脱エアレーションされ、再調質されなければならないので、オンラインプロセスにおいてエアレーションされたチョコレートの塊を再使用する必要性を回避するために、エアレーションされたチョコレートを製造する装置及び方法を記載している。この方法は、エアレーション速度をチョコレートの生成に適合させるワンパスプロセスであり、エアレーションされたチョコレートが無駄になることなく再使用することはない。これは、ロータステータを使用して、チョコレートをエアレーションさせ、ロータステータを通る塊の供給速度に基づいて、わずか50ミクロン未満の(目では見ることができない)気泡サイズを生成するのに必要なロータ速度を制御及び調整することで達成される。気泡はほぼ同じ大きさであり、導入されたガスの量は一定であると言われ、エアレーションレベルを一定に保つためにロータ速度を変化させることができるので、供給速度と無関係であると述べられている。小さなサイズの気泡は、複数のノズルを備えた加圧マニホールドを使用して達成されると言われている。製造されたチョコレート中の気泡のサイズ及び分布については、更なる詳細は与えられていない。本発明は、オンラインプロセスにおけるエアレーションされた塊の過剰生成に関連する問題を回避することにより関係しているが、このプロセスを本明細書で定義されるような狭い基準で泡を形成するために用いることができるという教示も、又は最終チョコレートにおける特定レベルのマイクロエアレーションが他の任意のレベルよりも望ましいという教示もない。
欧州特許第2804487号(=国際公開第2013-108019号)(Mondelez)では、内部にフィリングを有する食用シェルを含む菓子組成物を開示している。このフィリングは脂肪システムを含み、0℃で35~65%、30℃で1~8%の固形脂肪分(SFC)を有する。特定の実施形態では、脂肪システムは中間留分をパーム油から調製される。フィリングは低温で柔らかく、したがって味がよい。しかしながら、フィリングは周囲温度で溶融せず、したがって貯蔵又は輸送のために冷蔵/冷凍を必要としない。
国際公開第2015-101965号(Mondelez)では、本方法により製造可能な菓子組成物及び組成物の調製方法を記載している。この方法は、複数の第1の凹部(12)を有する食用フィルムの第1のシート(10)と、場合によって複数の第2の凹部(24)を有する食用フィルムの第2のシート(22)とを提供することを含む。液体フィリング(18)は、第1凹部(12)に供給され、次いでカプセル(26)を形成する第1及び第2のシート(10、22)との間に封止される。溶融チョコレート(14)は、液体充填の前に第1凹部及び/又は第2凹部に適用してもよい。カプセルは、チョコレートシェル中に配置されてもよい。
国際公開第2015-072942号では(Eti Gidan Sanayi)は、高い水分活性及び充填剤と防腐剤、着色剤及び乳化剤の自由を有する工業用食品製品を記載している。本発明は、即席で高い水分活性及び充填剤を有し、防腐剤、着色剤及び乳化剤を含まない工業用の便利な食品製品の調製方法であって、方法は、a)ベーカリー製品の調製及び調理をするステップと、b)充填剤(2)を調製するために、単一のユニット内で攪拌-縮合-低温殺菌-均質化プロセスを実施し、副生成物の温度を低下させ、ある範囲(50~55℃)(K1、K2、K3、K4)で固定温度で処理し、凝固点(15℃)をはるかに下回る温度(+8℃まで)に冷却する)、この温度での温度変化を最小限にすることによって形成された粘性マトリックス構造内に空気粒子を保持することによって結晶化-エアレーションプロセスを実行する、ステップと、c)調理されたベーカリー製品(1)を充填剤(2)と組み合わせるステップと、d)防腐剤ガスで満たされたパッケージを包装するステップと、を含む。
特開平03-883479号(Meji)では、空気圧油性菓子のシェルを含み、成形法を使用する空気結合油性菓子の製造方法を記載している。この方法は、空気結合油性菓子生地を成形型に注入するステップを含み、ここで、油性菓子の薄い層が形成され、プレスパターンを使用して成形型をプレスして二重シェルを作製し、そして食用材料を中央フィリングとしてシェルの内側に充填する。あるいは、本方法は、以下のプロセス:空気結合油性菓子生地を加熱した成形型に直接注ぎ、その界面部分を溶融させ、成形型の内面との界面部分上に薄い層を形成し、続いて、冷却されたプレスパターンを用いて生地をプレスしてシェルを作製するステップと、食用材料を中央充填剤としてシェル内に充填するステップと、を包含する。
いくつかのチョコレート製品が意図的にマイクロエアレーションされているが、大部分のエアレーションはマクロエアレーションであり、チョコレート内の気泡の一部又は全てが肉眼で見えるのは、全ての気泡がマクロサイズにされ、及び/又は、気泡が不正確であり、気泡の集団がサイズの幅広い変動を生じさせて、多数の気泡が倍率なしで不可避的に見える方法が製造されるためである。気泡サイズが視認限界(名目上は100ミクロン以下)よりも低い信頼性と一貫性を有するため、エアレーションが最終消費者から正に隠れているエアレーションされたチョコレート製品はほとんどない。
本出願人は、いくつかのチョコレート製品を分析したが、そのうちのいくつかはマイクロサイズの封入された気泡を少量含むことが見出された。このような気泡の低レベル及びそれらの不均質性は、そのようなマイクロエアレーションが不注意であった可能性があり、製造中にガスが自然に組み込まれているためであることを示している。
Dove(登録商標)-意図的にマイクロエアレーションされたとは考えられていないこの種の最高多孔率の製品は、Mondelezから登録商標Dove(登録商標)の下で米国で商業的に入手可能なチョコレートであり、微細気泡の多孔率は1.85%であった。
Jacob’s Club(登録商標)。英国において登録商標Jacob’s Club(登録商標)として市販されているチョコレートコーティングビスケットは、エアレーションされたクリームとチョコレートの両方を含有し、意図的にエアレーションされていると考えられていた。興味深いことに、頂部コーティングを形成するチョコレートの多孔率が8.5%(平均気泡サイズ281ミクロン±311)であるのに対して、側部でチョコレート多孔率が3.7%(平均気泡サイズ202ミクロン±184)である、製品の頂部及び側部のエアレーションレベルと製品の側部との間の有意差が観察された。Jacob’s Club製品について得られた平均気泡サイズは、典型的にマイクロエアレーションされた(100ミクロン以下)と考えられるものよりも著しく大きく、気泡は肉眼で消費者に見えることに注目すべきである。
Mars(登録商標)Easter Eggs-Marsによって製造された2つの異なる2014 Easter Eggsのシェルに使用されたチョコレート(これらは登録商標M&M(登録商標)及びMars(登録商標)の下で英国において商業的に入手可能)を、X線断層撮影を使用するマイクロエアレーションの存在について試験した。これらの試験と並行して、登録商標Dove(登録商標)シルキースムーズミルクチョコレートとしてMarsから市販されている従来のミルクチョコレートもマイクロエアレーションに関して試験した。結果は以下のとおりであった。
Figure 0007016322000001
Dove(登録商標)ミルクチョコレートは、1.8%の多孔率を有し、この低い多孔率は、ガスが意図的に組み込まれるのではなく、従来のプロセスの副産物としての自然なマイクロエアレーションから生じる可能性がより高いと考えられる。Mars(登録商標)とM&M(登録商標)のエッグは、製品のサイズを維持しながらコスト削減のためにチョコレートの量を減らす手段として、これらのエッグがかなり大きいため、故意にエアレーションされる可能性が高くなった。これらはまた、凍結コーン/コールドスタンピング法(恐らく上記Kraft060に記載されているものと同様)を用いて製造されたようであるが、このプロセスに伴う急速冷却のためにエアレーション安定性が懸念されることは少ない。
先行技術で発泡及び/又は記載された少数のエアレーションされた製品は、気泡の広いサイズ分布、より大きな気泡及び/又は低い多孔率を有する製品(すなわちガスが少量で添加される)をもたらす。
したがって、低いガスレベル(すなわち、9%の多孔率以下)以外で均一な気泡を有するマイクロエアレーションチョコレートに対して技術的な先入観があったことがわかる。高いガスレベルでのマイクロエアレーションは、実施するのが困難であり、かつ高価であり、有利ではなく、実際に、チョコレートの感覚刺激特性及び美的特性に不利な影響を与えという考えがあった。
本出願人は驚くべきことに、狭いサイズの分布を有し、材料内に均一に分布する小さな気泡の集団を有するマイクロエアレーションされたチョコ材料を形成するためにチョコ材料をエアレーションする手段が見出された。これらのチョコレート材料は、チョコレートタブレット、バー、及び、成形されたチョコレートコーティングされたウエハース(例えば、湿式充填型を用いて調製されたもの)などの他の成形されたチョコレート菓子などのマイクロエアレーションされたチョコ製品に容易に成形することができる。
本発明の目的は、チョコ菓子におけるマイクロエアレーションの広範な採用を防止する上述の技術的先入観を場合によって克服することを含む、先行技術による問題又は欠点(例えば、本明細書中に特定されるもの)のいくつか又は全てを解決することである。
異なるエアレーション条件で多数の異なるチョコレートレシピをマイクロエアレーションすることにより、本出願人は、マイクロエアレーションされたチョコレートにおいて対応する予想外に有利な特性を達成するように選択された本発明の最適な組成及び/又はプロセスパラメータを見出した(本明細書に記載のように)。これらのパラメータは、本発明の態様を規定する。
いずれの理論にも束縛されるものではないが、本出願人は、マイクロエアレーションは、エアレーションされたチョコレートの塊のポスト充填の粘度を増加させることを観察した。小さな気泡は小さな粒子に類似して作用し、流体チョコレートの塊内で相互作用が生じる内部表面積を増加させると考えられている。本出願人は、気泡の安定化に十分なエアレーションされたチョコレートの塊の粘度を増加させ、合一を低減又は排除するのに十分なエアレーションの度合いを有するものとして、本発明を定義するために使用されるパラメータを選択した。したがって、形成されたミクロサイズの気泡は、より均一なサイズ(狭いサイズ分布)を有し、以前のマイクロエアレーションされたチョコレート中のチョコレート全体にわたってより均質に分散される。これにより、高品質のマイクロエアレーションされたチョコレート(例えば、本明細書に記載の結果として得られる有利な特性によって求められる)が得られる。
本出願人は、1000kg/時間のチョコレートスループットのガス流(窒素)に対する推定多孔率のベースライン図を計算するための手段を見出した。これは、工業規模で種々の装置に実施された試行に基づく。
したがって、広く本発明によれば、マイクロエアレーションされたチョコ材料を製造する方法が提供され、該方法は以下のステップを含む。
(I)ICA法46(2000)にしたがって測定したエアレーション前の塑性粘度が0.1~20Pa・sであるチョコ材料を、少なくとも200s-1の高剪断下で混合するステップ。
(II)ステップ(I)からのチョコ材料を、異なる圧力に保持された2つの領域の間に位置する注入ゾーンに通過させるステップ。
(III)2~30バールのガス圧で不活性ガスを、チョコ材料が注入ゾーンを通過する際にチョコ材料内にガス充填手段を用いて、式(2)から計算されるF値の範囲内である公称ガス流量(F)で注入するステップであって、
Figure 0007016322000002

式中、
Pは、10~19%である、標準条件下で測定された%で表したマイクロエアレーションされたチョコ材料の多孔率目標を表し、
は、ノルマルリットル/分(NL/分)の不活性ガスの公称体積流量を表し、
A、B、Cは数値定数(式(2)を釣り合わせるそれぞれの単位を有する)であり、これらの定数の各々の数値部分は、
Aが0.06~0.07であり、
Bが2.00~2.05であり、
Cが3.70~3.80であり、但し、
(A)式(2)から計算される公称流量Fは、注入ゾーンにおける1000kg/時間のチョコ材料の公称スループットに基づいており、ステップ(III)で注入される実際の不活性ガスの流量は、注入ゾーンを通過するチョコ材料の実際のスループットでの1000kg/時間からの任意の差に比例して釣り合うように、式(2)からの公称流量Fから必要に応じて再計算される。
好都合には、注入ゾーンは、チョコ材料の異なる圧力に保持される入口及び出口を有する導管によって画定されており、ガス充填手段は導管内に配置されている。
好ましくは、注入ゾーンの周囲の異なる圧力の領域は、注入ゾーンの外側に配置された2つのポンプによって形成され、より好ましくは、ポンプは、25%の一定の速度差のポンプ速度で運転される。
式(2)から多孔率を求めるために使用される正確なパラメータは、質量レオロジー、ポンプ差速度及びライン圧力などの要因に応じてわずかに変化する可能性があることから、パラメータ及び定数は、プロセスが満足に動作する範囲として与えられることが理解されよう。それにもかかわらず、式(2)は、当業者が、明確な近似内でステップ(II)において所与のガス流を選択することによって最終製品において所望の目標多孔率を達成することを可能にする。式(2)はまた、ステップ(II)のガス分散の間に、チョコ材料が1000kg/時間の公称スループットで注入ゾーンのガス充填手段を通過すると仮定する。したがって、実際のチョコ材料のスループットが1000kg/時と異なる場合、必要とされる実際のガス流量は、(2)式から計算される公称流量(パラメータF)の値から比例的に上向き又は下向きに調整されるべきであり、したがって、秒当たりのチョコ材料の各キログラムに注入される不活性ガスの量は一定である。
ノルマルリットル/分は、ガスが摂氏0度及び1気圧(1.01325バール)の「通常の」条件下にあるかのように計算された不活性ガス流量の量である。当業者は、本発明のプロセス中に経験された実際の圧力及び温度と理想的なガス法則(PV=nRT)を使用してプロセスの動作中に測定された実際の流量をNL/minに変換する方法を十分に理解するであろう。流量センサは、変換を自動的に、かつリアルタイムで利用可能にするために内蔵された圧力センサ及び温度センサを有していてもよい。
所望の最終結果を達成するためにプロセスを動作させることができる式(2)を満足するステップ(II)において、使用するための不活性ガス流量の範囲が存在することも理解されるであろう。したがって、最終製品において所望の多孔率Fを達成する特定のガス流量Pの適切な値は、二次方程式(2)の任意の溶液を見つけることによって、例えば、定数A、B及びCの適切な特定値を選択することによって、及び本明細書に記載の範囲内(及び必要であればチョコレートスループットについて調整する)に、計算することができる。
好ましくは、混合ステップ(I)において、高剪断混合は、少なくとも300s-1、より好ましくは少なくとも400s-1の剪断速度で実施される。
混合ステップ(I)において、高剪断混合は、有用には1000s-1以下、より有用には800s-1以下、最も有用には600s-1以下の剪断速度で実施される。
混合ステップ(I)において、高剪断混合は、好都合には剪断速度200~1000s-1、より好都合には300~800s-1、更により好都合には400~600s-1、最も好都合には400~500s-1、例えば約415s-1で実施される。
必要に応じて、ビーターミキサーを使用してチョコ材料を、200~600回転/分(rpm)、より好ましくは300~500rpm、例えば、400rpmのビーター速度で混合して、ステップ(I)における高剪断混合を達成することができる。
有利には、ガス分散ステップ(II)において、多孔率目標「y」は、本発明のチョコ材料に所望されるように、本明細書において与えられる任意の多孔率値であり得る。
式(1)における定数A、B及び/又はC(単位とは無関係)における数値は、独立であってもよく、
有効には、Aが0.061~0.069であり、Bが2.01~2.04であり、Cが3.71~3.79である。
より有効には、Aが0.062~0.067であり、Bが2.01~2.03であり、Cが3.72~3.76である。
最も有効には、Aが0.062~0.064であり、Bが2.01~2.02であり、Cが3.73~3.74である。
例えば、Aが0.0636であり、Bが2.0197であり、Cが3.7353である。
本発明の別の実施形態では、ガス充填手段はマイクロディフューザ以外の、より好ましくは1つ以上のノズルからのものである。有効には、ノズル(複数可)は2~3.5mmの出口直径及び/又は6~12mmのオリフィス長を有する。
ガス流量は、記号「F」によって示される体積流量及び/又は記号「F」によって示される質量流量として測定され得る。密度「ρ」(rho)を有する流体(例えばガス)に対して、これらの流量は以下の式によって関連され得る。
Figure 0007016322000003
式中、
は、不活性ガスの体積流量をガスのノルマルリットル/分(NL/分)で表し、
は不活性ガスの質量流量をガスのキログラム/分(kg/分)で表し、及び
ρ(rho)は、不活性ガスの密度を正常状態下(0℃及び1気圧)で測定した、ノルマルリットルあたりのキログラム(kg/NL)で表す。
ガス質量流量Fは、熱容量計、コリオリ質量流量計及び/又は質量流量制御器などの任意の適切な手段によって、ガス体積流量Fから計算することができ、及び/又は圧力及び温度の影響とは無関係に直接測定することができる。したがって、所望の多孔率Fを達成するためのPの所望の値は、式(2)、(3)及び/又は(4)から場合によって計算することができる。
本発明の更に別の実施形態では、不活性ガスは、好ましくは2.4~6kg/分、より好ましくは3.0~4.8kg/分のガス質量流量(「m」)でチョコ材料に分散され、最も好ましくは3.6~4.2kg/分である。
本発明の更に他の実施形態では、不活性ガスは、2~30バール、好ましくは4~15バール、より好ましくは6~12バールのガス圧でチョコ材料に分散させることができ、8~11バール、例えば9~10バールである。
本出願人は、驚くべきことに、(F又はFによって測定されたかどうかにかかわらず)ガス流が、マイクロエアレーションされたチョコ材料の重要な特性を決定する重要な要因であることを発見した。ガス流を調節することで(チョコレートテンペラからの出口温度以下の一定温度に保持されているとき)、マイクロエアレーションされたチョコ材料に分散されたガスの量を制御することができる。マイクロエアレーションされたチョコ材料に形成された気泡の安定性、及び/又はチョコ材料を容易かつきれいに成形型から取り外すことができる程度(離型)を制御することができる。ガス流の温度は、ビーター速度の制御によって(したがって、チョコ材料を著しく加熱するにはあまり速くない)及び/又は冷却ジャケットの使用によって一定に保つことができる。したがって、本明細書の式(2)は、本発明の方法のステップ(II)でガスデポジッターによって使用されるガス流量(F又はF)を計算するために使用することができ、信頼性が高く、所与の目標多孔率P及び/又は本明細書に記載の他の気泡パラメータを含むマイクロエアレーションされたチョコ材料を一貫して生成する。
本出願人はまた、組成物が混合及び/又は叩解される本発明の好ましい実施形態において、好ましくは高剪断下で実施されることを見出した。ここで、「高剪断」とは、少なくとも200s-1の剪断速度を表す。本発明の方法の一実施形態では、200~1000s-1の高剪断速度がより好ましく、300~500s-1の高剪断速度が更により好ましい。本発明の別の実施形態では、出願人は、混合速度が平均気泡サイズ及び標準偏差に大きな影響を有することを見出した。100rpmの回転速度の回転体ビーターと混合すると、平均気泡サイズは中央値よりもはるかに大きく、標準偏差は高い(これは、これらの試料中に多数の小さな気泡及び非常に大きな気泡があることを意味する)。300~500rpmのビーター速度は、工業規模でNovac(登録商標)ミキサーと共に使用され、より通常に分布された気泡サイズを生成し、ビーター速度が過度に増加しすぎると、熱発生が問題となり、チョコレートを脱調質することがあり得る。
本発明の更なる態様は、最終のマイクロエアレーションされたチョコレートにおいて所望の目標多孔率を達成するために、ガス流量が実質的に(式(2)から計算されるような)範囲内に留まるように、本発明のエアレーションプロセスを制御するための方法である。このような制御は、例えば、プロセスの変化(例えば、チョコ材料のスループットの変化)に応じてガスデポジッターのガス流量を自動的に調整するセンサを使用して、手動又は自動であってもよく、コンピュータ制御装置によって、及び/又はフィードバックループを使用して操作されてもよい。
いずれの機構にも束縛されるものではないが、充填時間に影響を及ぼす主な要因は、混合後のシステム圧力(背圧)、ノズル直径及び温度(粘度に影響を与える)であると考えられる。また、高剪断混合と同様に(又は代りに)、製品中のマーブリングを減少させるために圧力を使用することができるという証拠もある(マーブリングは、チョコレート内の気泡の不均一な分布に起因する)。高圧(例えば、9バール以上)では、充填点までの不活性ガスに対して高いシステム圧力を使用することのもう1つの利点であるマーブリングは明らかでなかった。
好ましくは、気泡は、以下の機械及び/又はその構成要素のうちの1つ以上から選択されるエアレーションマシンを使用して、本発明の組成物中で生成される。
(i)1つ以上のロータステータミキサー(例えば、Haas社より商品名Mondomix(登録商標)の下で市販されている噛み合いピンを有する混合ヘッドを有するもの)。(ii)ガス注入器、好ましくは組成物が少なくとも2つのポンプによってポンプ輸送されて、ポンプ間に位置する注射部位を通過させる、不活性ガスが、高ガス圧、より有用にはガス圧が9バール以下の注入部位への注入によって、組成物中に分散されるもの。システム圧力は、ガス注入後の9バールである。2つのポンプの間に注入する利点は、プロセスのこの部分における圧力がより低く、システムの残りの部分から遮蔽されることである。適切なガス注入器は、本明細書に定義され、及び/又は国際公開第2005/063036号に記載されているようなNovac注入器を含むことができる。及び/又は、
(iii)正圧下(例えば国際公開第2010/102716号に記載されているように)の基板上に組成物を充填させるためのジェットデポジッター。
より好ましくは、エアレーションマシンはNovac注入器及び/又はジェットデポジッターを含み、更により好ましくは、Novac注入器、最も好ましくは、ガスが2つのポンプの間で、有利には2~30バールの圧力で、より有用には4~15バールの圧力で、更により有用には6~12バールの圧力で、最も有用には8~11バールの圧力で、例えば9バール又は10バールの圧力で組成物に注入される。
これらのマシンの各々は、以下でより十分に説明される。
ロータステータ混合ヘッド(商標Mondomix(登録商標)の下でHaas社から入手可能)を、本明細書中の図4及び図5に示す。
3つの異なる組のロータステータを備え、商標名Nestwhipperによって言及されるモジュラー混合ヘッドが、図6に示されている。
任意の適切なガス注入器、特に、2つのポンプ間の注入部位で組成物中にガスが注入されるものであって、場合により2~30バールの圧力で動作することができるものであれば、どのようなものでもよい。最も好ましい注入器は、本出願人の特許出願国際公開第2005/063036号に記載されている注入器を指す「Novac(登録商標)」という用語によって本明細書で示されているものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。Novac(登録商標)ガス注入器は、2つのポンプを備え、(図7に概略的に示されるように)それらの間に注入されたガスを有する。本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料を調製するために、Novac(登録商標)などのガス注入器は、いくつかの利点を提供する。
第1に、ガス注入は、システムの残りの部分で発生する圧力変動から効果的に隔離される。これにより、製品へのより安定したガス流が得られる。
第2に、Novac(登録商標)などの注入器は、従来のロータステータシステム(Mondomix(登録商標)の典型的な動作圧力6バールと比較してNovac(登録商標)の典型的な動作圧力9バール)と比較して、より高い圧力で場合によって動作することができる。注入器がジェットデポジッターに取り付けられている場合、これは、結果としてより速いライン速度でより高い流量を送達することができるので、更に有用である。
第3に、システム全体は、充填点まで十分に加圧される。これは、最終的なエアレーションの品質を最適化すること、及び気泡合一の機会を減少させることなどの、本明細書に記載された有意な利点をもたらす。
本明細書中で使用される場合、用語「ジェットデポジッター」は、正圧(すなわち、周囲圧力より高い圧力)下で、流体食品製品(例えば、液体、半液体、又は半固体食品)を充填させるための装置をいう。好ましいジェットデポジッターは、食品を充填するための往復弁スピンドルを備え、かつ/又は本出願人の特許出願国際公開第2010/102716号に記載されているように、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の方法において有用には、組成物は、ポンプ間に位置している注入部位を通過させるために少なくとも2つのポンプによって圧送され、ステップ(a)において、不活性ガスは、高ガス圧で、より有用にはガス圧が9バール以上である注入部位での注入により組成物中に分散される。
好ましくは、本発明の方法において、気泡は、組成物中に、好ましくは以下のマシン及び/又はその構成要素のうちの1つ以上から選択されるエアレーションマシンを使用するステップ(a)の間に形成される。
(i)1つ以上のロータステータ混合ヘッド(例えば、商品名Mondomix(登録商標)で入手可能なもの)、
(ii)ガス注入器、好ましくは、組成物が少なくとも2つのポンプによってポンプ輸送され、注入部位を通過させるガス注入器であって、不活性ガスが、注入部位での注入によって、より高いガス圧で分散され、より有用にはガス圧は9バール以上である(例えば、本明細書で定義される及び/又は国際公開第2005/063036号に記載のNovac(登録商標)注入器)、及び/又は、
(iii)正圧下(例えば国際公開第2010/102716号に記載されているように)の基板上に組成物を充填させるためのジェットデポジッター。
本発明の1つの好ましい実施形態では、多孔率及びエアレーションの品質に影響を与える2つのプロセスパラメータが、ガス流及び温度であることが見出された。エアレーションプロセスにおける他のパラメータの制御は、ほとんど又は全く効果を有さないことが見出された。いかなる理論にも束縛されるものではないが、本出願人は、マイクロエアレーションされたチョコレートを製造する際に、脂肪の結晶化がエアレーション構造を保持する主な要因であると考えている。マイクロエアレーションされたチョコレートもまた経時的に安定である。
これらのパラメータの好ましい値は以下に記載される。
好都合には、ステップ(a)において、ガスは、0.6~12kg/分、より好都合には1.2~9kg/分、最も好都合には2.4~6kg/分の質量流量で溶融チョコ材料中に分散される。
有用には、チョコ材料が、ステップ(a)においてチョコレート及び/又はコンパウンドである場合、組成物が28~33℃、より好ましくは30~32℃、最も好ましくは31℃の温度である場合、ガスを組成物中に分散させる。
所望のガス流量及び温度を達成するためには、使用される特定の装置の他のパラメータを調整する必要があることが理解されるであろう。(任意の所与のガス流量及び温度目標を達成するために)特定のシステムがどのように行われるかは、当業者の日常技術の範囲内である。これは、当然のことながら、ガスの流量及び温度が他の値と比較して選択するのに有利であると思われる自明でない評価とは無関係である。ガス流量及び温度(本明細書に記載の方法で)を制御することによって、得られたエアレーションされた組成物における特定の多孔率及び気泡サイズ特性を確実に達成して狭い範囲内で制御することができ、最終チョコレート製品中に安定な微細気泡を生成して、離型もまた容易であることは驚くべきことである。次いで、特定の多孔率(10%~19%)及び小さい均質な気泡サイズを有する本発明のマイクロエアレーションされた組成物が、異なる多孔率又は気泡サイズを有する他の同様なマイクロエアレーションされた組成物と比較して予想外に有用な特性を示すことは更に驚くべきことである。
本発明の別の態様では、本明細書に記載の本発明の方法によって得られた及び/又は得られるエアレーションされたチョコ材料及び/又は菓子製品が提供される。このようなエアレーションされたチョコ材料及び/又は菓子製品は、不活性ガスの気泡を場合によって分散させてもよく、分散された気泡は、以下のパラメータ
(a)100ミクロン以下の平均気泡サイズ、
(b)60ミクロン以下である気泡サイズの標準偏差、
(c)エアレーションされたチョコ材料の100gあたり0.5~1.2mの総気泡表面積(本明細書ではTSAとも呼ばれる)、によって特徴付けられ、
ここでパラメータ(a)及び(b)は、X線断層撮影及び/又は共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)及びパラメータ(c)から測定され、
気泡は、チョコ材料内に均質に分布し、少なくとも0.8の均一性指数(homogeneity index)を有し、
TSAは、当業者に周知の、及び/又は計算によって決定することができる任意の適切な経験的方法によって求めることができる。本発明の好ましい一実施形態では、TSAは、式(1)から求められる。
Figure 0007016322000004
式中、TSAは総気泡面積であり、Pはエアレーションされたチョコ材料の多孔率であり、macはエアレーションされた組成物の質量(g)であり、dacはエアレーションされた組成物の密度(g/cm)であり、rは平均サイズの気泡の半径(CM)である。
好ましくは、本発明のエアレーションされたチョコ材料はチョコレートの塊である。
好都合には、本発明の又は本発明で使用される予めエアレーションされたチョコ材料の塑性粘度は、特に断らない限り、ICA法46(2000)にしたがって標準条件下で測定され、より好ましくは0.1~10Pa・sである。
本明細書に記載される本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料(及び/又は本明細書に記載される本発明のいずれかの方法にしたがって作製される)は、エアレーションされたチョコ材料100gあたり、0.5~1.2、好ましくは0.55~1.10、より好ましくは0.6~1.0、最も好ましくは0.65~0.90、例えば0.7~0.8mの総気泡表面積(TSA)を有する。本明細書中で言及される表面積又は総表面積(TSA)という用語は、本明細書中の式(1)から計算することができ、及び/又は当業者に公知の任意の適切な装置又は方法によって測定することができる。本発明の一実施形態では、TSAは、特定の表面積(SSA)であり、物品「表面積の決定」に記載されているように測定することができる。連続フロー法による吸着測定F.M.Nelsen、F.T.Eggertsen、Anal.Chem.,1958,30(8),pp 1387~1390に記載されているように、例えばBET等温線から計算した窒素ガス及びSSAを使用する。
チョコ材料は、チョコレート又はコンパウンドであることが有用であり、より有用であるのはチョコレートであり、最も有用には、ダークチョコレート、例えば、成形されたミルクチョコレートタブレット(場合によっては中に介在物及び/又はフィリングを含む)などのミルクチョコレートである。
本発明の一実施形態では、気泡がどのように均一に組成物内に分布しているかを測定する均一性指数は、画像(X線断層撮影及び/又はCLSMから)及び等しい長さ(好ましくは、少なくとも1cm)の等しい長さの少なくとも3つの平行な水平線に沿って交差する気泡の数を、互いから等間隔に配置することによって求めることができる。これらのラインの1つにおける気泡の最小数と、これらのラインの一方における気泡の最大数との比は、少なくとも0.8、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.9以上、最も好ましくは0.95以上、例えば約1等の、気泡の均一性分布指数(NBHDI)として規定することができる。
本発明の別の代替又は累積実施形態において、気泡がどのように均一に分布しているかを測定する均一性指数は、画像(X線断層撮影及び/又はCLSMから)と、画像上に配置された等しい長さ(好ましくは少なくとも1cm)の少なくとも3つの平行な水平線の各々に沿って測定することにより求められ、各ラインの長さは気泡の空隙内に位置する。これらのラインの1つにおける最小空隙長とこれらのラインの1つにおける最大空隙長の比は、少なくとも0.8、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.9以上、最も好ましくは0.95以上、例えば約1であってよい空隙長のバブル均一性分布指数(VLBHDI)として規定することができる。
本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料の別の態様では、不活性ガス気泡は以下のパラメータによってもまた特徴付けられる。
100ミクロンのX(90、3)、及び20のQ(0)。
気泡サイズは、当業者に知られている適切な器具及び方法を用いて得られた画像から測定することができる。好ましい方法は、X線断層撮影及び/又は共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)、より好ましくはX線断層撮影を含む。これらの方法は両方とも、本明細書においてより完全に記載される。
本発明の様々な実施形態において、好ましいパラメータの値は、使用されるチョコ材料のレシピに応じて、請求される値内で変化する。しかしながら、本明細書に記載の利点を示すために、チョコ材料は、少なくとも本明細書に記載のパラメータ値を有する。
チョコ材料(及び関連する用語)という用語は、本出願において後に定義され、本発明の好ましいチョコ材料は、チョコレート及び関連する組成物(例えば、本明細書中で後に定義されるコンパウンド)である。
本明細書で使用される場合、不活性ガスという用語は、チョコ材料の成分と実質的に非反応性であり、かつ承認された食品等級でもあり、すなわち人間によって消費される食材の一部を形成するのに適したガスを意味する。したがって、不活性ガスは、チョコ材料(又はその成分)を実質的に酸化する成分を含有しない。例えば、かなりの量の酸素(例えば空気)を含むガスは、本明細書で使用する不活性ガスではない。好ましくは、不活性ガスは、窒素、亜酸化窒素及び/又は二酸化炭素から選択され、より好ましくは窒素及び/又は二酸化炭素から選択され、最も好ましくは窒素である。
本発明のパラメータによって規定される気泡サイズは、本明細書中ではマイクロエアレーションとも呼ばれる。
チョコ材料中のガスの量は、場合によっては、固体の場合のチョコ材料の多孔率によって求められてもよい。したがって、マイクロエアレーションされたチョコ材料中に分散される不活性ガスの量は、本明細書に記載される値の範囲及び/又は値の多孔率(本明細書で規定される)を生成するのに十分であり得る。規定された多孔率を達成するために使用されるガスの量は、例えば本明細書に記載されている流量及び/又は温度を使用することができる。
場合によっては、一実施形態では、本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料は、10%以上、有用には11%以上、より有用には12%以上、更により有用には13%以上、最も有用には14%以上の多孔率(本明細書で規定される)を有してもよい。
場合によっては、別の実施形態では、本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料は、19%以下、好都合には18%以下、より好都合には17%以下、更により好都合には16%以下、最も好都合には15%以下の多孔率(本明細書で規定される)を有してもよい。
場合によっては、更に他の実施形態において、本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料は、11%~19%、有利には12%~18%、より有利には13%~17%、更により有利には14%~16%、最も有利には14.5%~15.5%の多孔率(本明細書で規定される)を有してもよい。
本発明の更なる態様は、本発明のプロセスから得られる及び/又は得ることができる、マイクロエアレーションされたチョコ材料、脂肪ベースの組成物及び/又は菓子製品を提供する。
本発明の更に他の態様は、本明細書に記載のマイクロエアレーションされたチョコ材料、本発明の組成物及び/又はその成分を含む食材及び/又は菓子製品を広く提供する。
本発明の多くの他の変形実施形態は、当業者には明らかであり、かかる変形は、本発明の広い範囲内において企図される。そのため、明確にするために別々の実施形態の文脈で記載される本発明のある特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできる、ことが理解されよう。反対に、簡潔さのため単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴を別々に用意してもよく、あるいは任意の適切なサブ・コンビネーションで用意してもよい。
本発明の更なる態様及びそれらの好ましい特徴は、本発明の開示の不可欠な部分を形成する本明細書の特許請求の範囲に提示されており、かかる特許請求の範囲が本明細書の記載の一部に直接対応するか否かは問わない。
本明細書で使用するある特定の用語は、それらの意味が文脈から明確に別のものの意味を示さない限り、以下のように定義かつ説明される。
本発明の文脈において、「脂肪ベースの」及び/又は「脂肪ベースの食用製品」などの用語は、連続相として食用の疎水性材料(例えば、脂肪)のマトリックスと、食用の疎水性連続相中に分散された固体粒子を含む分散相とを含む組成物、好ましくはチョコ菓子を意味する。
本発明の文脈内では、本明細書で使用する「脂肪」という用語は、食用でもある疎水性材料を意味している。そのため、脂肪は、水と実質的に不混和性であって、かつ、1つ以上の固体脂肪(複数可)、液体オイル(複数可)、及び/又はその任意の好適な混合物(複数可)を含むことができる食用材料(好ましくは食品等級)である。「固体脂肪」という用語は、標準条件下で固体である食用脂肪を意味し、「オイル」又は「液体オイル」という用語は両方とも、(文脈が別途指示しない限り)標準条件下で液体である食用オイルを意味している。
好ましい脂肪は、ヤシ油、パーム核油、パーム油、ヤシ油、ココアバター(CB)、ココアバター代用脂(CBE)、ココアバター置換物(CBS)、ココアバター代替脂(CBR)、バター油、ラード、獣脂、油脂分画、例えばラウリン酸又はステアリン酸分画、水素化油、及びこれらのブレンド、並びに任意の植物性又は動物性油などの室温で典型的に液体の脂肪のうちの1つ以上から選択される。しかしながら、本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料の調製における使用のために本明細書で使用するのに最も好ましい脂肪は、CB、CBE、CBS、CBR及び/又はそれらの任意の混合物及び/又は組み合わせである。
液体油は、鉱油及び/又は有機油(植物又は動物によって生成されるオイル)、特に食品等級のオイルを含むことができる。オイルの例としては、ヒマワリ油、ナタネ油、オリーブ油、大豆油、魚油、アマニ油、ベニバナ油、コーン油、藻類油、綿実油、ブドウ種子油、ナッツ油、例えばヘーゼルナッツ油、クルミ油、米糠油、ゴマ油、ピーナッツ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、及び新興種子油作物、例えば25高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸菜種、高オレイン酸パーム、高オレイン酸大豆油及び高ステアリン酸ヒマワリ、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の製品中の脂肪含有量は、任意の起源の脂肪によって提供され得る。脂肪含有量は、固体脂肪由来の含有量及び/又は液体油の含有量のいずれかを含む組成物中の総脂肪含有量を示すように意図されており、したがって油含有量は、脂肪ベースの菓子組成物について本明細書中に記載されるような脂肪含有量の総量にも寄与する。
用語「脂肪ベースの組成物及び/又は塊」は、それぞれ、本発明の製品の調製に使用される脂肪ベースの組成物及び/又は塊(そのレシピ及び原材料を含む)を特定する。
用語「脂肪ベースの菓子組成物及び/又は塊」は、本発明のマイクロエアレーションされたチョコ材料などの脂肪ベースの菓子製品の調製に使用される菓子組成物及び/又は塊(レシピ及び原材料を含む)を特定する。
本発明は、本明細書で定義されるチョコレート材料(好ましくはチョコレート及び/又はコンパウンド、より好ましくはチョコレート)と、所望により他の菓子製品及び/又はその成分とを含む、菓子製品、組成物及び/又は塊に関する。
本明細書中で使用する「チョコレート」という用語は、任意の管轄区域におけるチョコレートの法的定義を満たす任意の製品(及び/又はそれが製品である場合はその成分)を意味し、また、ココアバター(CB)の全て又は一部を、ココアバター同等物(CBE)及び/又はココアバター代替物(CBR)で置き換えられる製品(及び/又はその成分)も含む。
本明細書で使用する「チョコレートコンパウンド」又は「コンパウンド」という用語は、(文脈が明確に他を示していない限り)(ココアリカー/塊、ココアバター、及びココアパウダーを含む)任意の量でのココア固形物の存在を特徴とするチョコレート様類似物を意味しているが、いくつかの管轄区域では、コンパウンドは、最小限量のココア固形物の存在によって合法的に定義され得る。
本明細書で使用する「チョコ材料」という用語は、ココアバター(CB)、ココアバター同等物(CBE)、ココアバター代替物(CBR)、及び/又はココアバター置換物(CBS)を含む、チョコレート、コンパウンド、及び他の関連材料を意味している。そのため、チョコ材料は、チョコレート及び/又はチョコレート類似体をベースとする製品を含み、そのため、例えば、ダーク、ミルク、又はホワイトチョコレート及び/又はコンパウンドをベースとすることができる。
文脈が明確に他を示していない限り、本発明では、任意の1つのチョコ材料を使用して任意の他のチョコ材料を置き換えることができ、チョコレート又はコンパウンドという用語のいずれも、特定のタイプのチョコ材料に本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない、ことも理解されよう。好ましいチョコ材料はチョコレート及び/又はコンパウンドを含み、より好ましいチョコ材料はチョコレートを含み、最も好ましいチョコ材料は、主要な管轄区域(例えばブラジル、EU、及び/又は米国)で合法的に定義されたチョコレートを含む。
本明細書で使用する「チョココーティング」という用語(「チョコシェル」とも称する)は、任意のチョコ材料から作られたコーティングを意味している。「チョコレートコーティング」及び「コンパウンドコーティング」という用語は、類推によって同様に定義することができる。同様に、「チョコ組成物(又は塊)」、「チョコレート組成物(又は塊)」、及び「コンパウンド組成物(又は塊)」はそれぞれ、それらの成分(複数可)としてチョコ材料、チョコレート、及びコンパウンドを全て又は一部含む組成物(又は塊)を意味している。それらの成分部分次第では、かかる組成物及び/又は塊の定義は当然重複する可能性がある。
本明細書で使用する「チョコ菓子」という用語は、チョコ材料及び場合により他の原材料を含む任意の食材を意味し、したがってチョコ材料がチョコレートコーティング及び/又は製品のバルクを含むかどうかにかかわらず、菓子、ウエハース、ケーキ及び/又はビスケットなどの食材を指し得る。チョコ菓子は、任意の好適な形態で、例えば、含有物、層、ナゲット、小片、及び/又は液滴として、チョコ材料を含むことができる。菓子製品は、例えばクリスピー含有物、例えばシリアル(例えば、発芽米及び/又はトーストされた米)及び/又は乾燥果実片等の任意の他の好適な含有物を更に含有することができる。
本発明のチョコ材料は、タブレット及び/又はバーを成形するために、菓子アイテムをコーティングするために、及び/又はより複雑な菓子製品を調製するために使用され得る。所望により、チョコ菓子製品の調製に使用する前に、所望のレシピに従った含有物をチョコ材料に添加してもよい。当業者には明らかであるように、場合によっては、本発明の製品は、対応する組成物及び/又は塊と同じレシピ及び原材料を有するが、他の場合には、特に含有物が添加されるか、又はより複雑な製品の場合には、製品の最終レシピは、それを調製するために使用される組成物及び/又は塊のレシピと異なる場合がある。
本発明の1つの非常に好ましい実施形態において、チョコ菓子製品は、実質的な量のチョコ材料によって囲まれた実質的に固体の成形されたチョコタブレット、チョコバー及び/又は焼成製品を含む。これらの製品は、例えば、実質的に成形型をチョコ材料で充填し、所望によりその中に含有物及び/又は焼成製品を添加して、成形型からチョコ材料を移動させ(いわゆる湿式シェリング法)、必要に応じて更に成形型をチョコ材料でトッピングアップすることによって調製される。本発明のこのような非常に好ましい製品の場合、チョコ材料は、製品の実質的又は全体的な部分及び/又は内部焼成製品(ウエハース及び/又はビスケットラミネートなど)を取り囲む厚い外部層を形成する。成形型がチョコレートで実質的に充填されているそのような固体製品は、異なる課題を提示する成形された薄いチョコレートシェルを含む製品と対比されるべきである。薄いコーティングされたチョコレートシェルを調製するために、成形型はチョコレートの薄い層でコーティングされており、この成形型は、過剰なチョコレートを取り出するために反転され、及び/又はコールドプランジャでスタンピングされて、シェル形状を画定し、成形型をほとんど空にする。このようにして、成形型は、更なる原材料やフィリングが添加され得るチョコレートの薄い層でコーティングして製品の内装体を形成する。タブレット又はバーなどの厚い又は固形チョコレート製品の全体にわたって、均一で一貫したレベルのマイクロエアレーションを維持するための課題は、薄いチョコレートシェルのマイクロエアレーションとは異なる。薄いシェルはまた、マイクロエアレーションに適さないであろう、エンローブ法又は冷凍コーン法(その一部は以前に認められた先行技術において記載されている)によっても作製される。
本明細書中の文脈が明確に別のものを示していない限り、本明細書で使用するチョコ菓子という用語は、本出願を通じて使用されるチョコレート菓子という用語によって容易に置き換えることができ、かつその用語と同義であり、実際に、本明細書で非公式に使用される際には、これらの2つの用語は交換可能である、ことも当業者には十分に理解されよう。しかしながら、本明細書で与えられる文脈において、これらの用語の意味に差異がある場合、チョコレート菓子及び/又はコンパウンド菓子は、本発明のチョコ菓子の好ましい実施態様であるが、好ましい実施形態はチョコレート菓子である。
好ましいチョコ菓子は、例えば、チョコレート製品、コンパウンド製品、チョコレートコーティング及び/又はコンパウンドコーティングからなる群から選択される、一種以上のチョコ製品及び/又はそのためのチョコ原材料を含むことができる。製品は、コーティングされたビスケット、ケーキ、ウエハース及び/又は他の菓子アイテムなどのチョコ材料でコーティングされた含有物及び/又は製品の有無にかかわらず、チョコバー及び/又はチョコタブレットなどのコーティングされてない製品を含むことができる。より好ましくは、及び/又は代わりに、上記のもののいずれかは、1つ以上のココアバター代替物(複数可)(CBR)、ココアバター同等物(複数可)(CBE)、ココアバター置換物(複数可)(CBS)、及び/又はそれらの任意の好適な混合物を含むことができる。
チョコ菓子では、ココアバター(CB)は、他の供給源由来の脂肪で置き換えることができる。かかる製品は、概ね、ラウリン酸脂肪(複数可)(例えばヤシの木から果実の核から得られるココアバター置換物(CBS));非ラウリン酸植物性脂肪(複数可)(例えばパーム又は他の特殊脂肪をベースとするもの);ココアバター代替物(複数可)(CBR);ココアバター同等物(複数可)(CBE)及び/又はその任意の好適な混合物(複数可)からなる群から選択される1つ以上の脂肪(複数可)を含むことができる。いくつかのCBE、CBR、特にCBSは、主に飽和脂肪と非常に低レベルの不飽和オメガ3及びオメガ6脂肪酸(健康上の利点を有する)を含有することができる。そのため、本発明のチョコ菓子における一実施形態では、かかるタイプの脂肪はCBよりも好ましくない。
本発明の1つの態様は、好ましくは従来技術のチョコ材料から予め得られるものよりも低い総脂肪含有量(少なくとも5重量部又は5重量%)を有するチョコ菓子組成物を提供することができることが理解されるであろう。
本発明の1つの実施形態は、複数の焼成食材層(好ましくは、1つ以上のウエハース及び/又はビスケット層から選択される)、及び/又はそれらの間の1つ以上のフィリング層を場合により含む多層製品であって、これらの食材層の周りに位置する少なくとも1つのコーティング層を有し、コーティングは本発明の又は本発明にしたがって調製されたチョコ材料を含む。
本発明の更なる実施形態は、チョコ菓子製品を提供し、更に、チョコレート(又はコンパウンドなどのその等価物)でコーティングされ、例えば、プラリン、チョコレートシェル製品及び/又はチョコレートコーティングされたウエハース又はビスケットであり、これらのいずれもが層状であってもなくてもよい。チョコレートコーティングは、エンロービング又は成形等の任意の好適な手段によって適用又は作り出すことができる。コーティングは、本発明の又は本発明にしたがって調製されたチョコ材料を含むことができる。
本発明の別の実施形態は、外側層、例えば、プラリン、チョコレートシェル製品によって囲まれたフィリングを含む、本発明のチョコ菓子製品及び/又は本発明において使用されるチョコ菓子製品を提供する。
本発明の別の好ましい実施形態では、食材は、ウエハース、チョコ材料、ビスケット及び/又は焼成食材の複数の層を含む多層コーティングされたチョコ製品を含み、その間に挟まれたフィリングを含み、少なくとも1つの層又はコーティングは本発明のチョコ材料(例えば、チョコレート)である。最も好ましくは、多層製品は、サンドイッチビスケット、クッキー、ウエハース、マフィン、押し出しスナック及び/又はプラリンから選択されるチョコ菓子製品(例えば、本明細書に記載のもの)を含む。このような製品の一例は、フィリングで挟まれ、チョコレートでコーティングされた、焼成ウエハース及び/又はビスケット層の多層ラミネートである。
本発明で使用される焼成食材は甘くても、又は風味のある(savoury)ものであってもよい。好ましい焼成食材は、焼成されたグレイン食材を含むことができ、その用語は、シリアル及び/又は豆類を含む焼成食品を含む。焼成シリアル食材がより好ましく、最も好ましくはウエハース及び/又はビスケットなどの焼成小麦食材である。ウエハースは、平坦であってもよいし、又は(例えば、アイスクリーム用のコーン又はバスケットに)形作られてもよく、ビスケットは多くの異なる形状を有してもよいが、好ましいウエハース及び/又はビスケットは、本発明の菓子フィリング(及び場合によっては果実ベースのフィリング)と一緒に有用にラミネートすることができるように、平坦である。より好ましいウエハースは、塩味のウエハースではなく、例えば、甘い風味又はプレーンな風味を有するウエハースである。
本発明のチョコ材料及び/又は本発明で使用されるチョコ材料を含むチョコ組成物を含むことができる可能性のある焼成食材の非限定的なリストは、高脂肪ビスケット、ケーキ類、パン類、例えば以下からなる群から選択される。本発明において、及び/又は使用されるチョコレート材料を含むチョコレート組成物を含むことができる、これらの可能な焼成食材の非限定リストは、高脂肪ビスケット、ケーキ類、パン類、ペストリー類及び/又はパイ類;例えば以下からなる群から選択される:ANZACビスケット、ビスコッティ、パンケーキ、クラビエ(kurabiye)、レープクーヘン、レケルリ(leckerli)、マカロン(macroon)、バーボンビスケット、バタークッキー、ダイジェスティブ・ビスケット、カスタードクリーム、押し出しスナック、フロランタン、ガリバルディ、ジンジャーブレッド、クロラキア(koulourakia)、コウラビエデス(kourabiedes)、リンツァートルテ、マフィン、オレオ、ナイスビスケット、ピーナツバタークッキー、ポルボロン、ピッツェル、プレッツェル、クロワッサン、ショートブレッド、クッキー、フルーツパイ(例えば、アップルパイ、チェリーパイ)、レモン・ドリズル・ケーキ、バナナブレッド、キャロットケーキ、ピーカンパイ、アップルシュトゥルーデル、バクラヴァ、ベルリーナ、ビション・オ・シトロン(bichon au citron)、及び/又は同様の製品。
好ましくは、本発明にしたがって調製されたマイクロエアレーションされたチョコ材料は、1つ以上のコーティング及び/又はフィリングの(成分として全体的又は部分的に)使用に適している場合がある。
コーティング及び/又はフィリングは、複数の相、例えば、脂肪、及び/又は乳濁液、分散液、クリーム及び/又は泡などの水液相及び/又はガス状相などの、1つ以上の固相及び/又は液相を含むことができる。
したがって、本発明の広範に更なる態様は、本明細書中に記載されるチョコ材料及び/又はチョコ組成物を含む食材を含む。
本発明のなお更なる態様は、広範には本発明のチョコ材料又は本発明にしたがって調製されたチョコ材料を、チョコ菓子製品として及び/又はフィリングとして、及び/又は本明細書に記載の本発明の食材のコーティングの使用を含む。
本発明の一実施形態では、プロセスは、変調された速度で混合動作を行うことができる任意のタイプの装置で実行することができる。このタイプの装置の非限定的な例は、垂直及び水平ミキサー、ターボミキサー、遊星型及びダブル遊星型ミキサー、連続ミキサー、インラインミキサー、押出機、スクリューミキサー、高剪断及び超高剪断ミキサー、コーン及びダブルコーンミキサー、静的及び動的ミキサー、回転及び静的ドラムミキサー、ロトピンミキサー(rotopin mixer)、リボンブレンダー、パドルブレンダー、タンブルブレンダー、固体/液体注入マニホールド、二軸及び三軸ミキサー、高粘度ミキサー、Vブレンダー、真空ミキサー、ジェットミキサー、分散ミキサー、モバイルミキサー、及びバンバリーミキサーである。
別段の定義がされていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する当該技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有し、かつ提示されるべきである。
文脈が明確に別のものを示していない限り、本明細書で使用するとき、本明細書の用語の複数形は、単数形を含むと解すべきであり、単数形が使用されるときには複数形も含まれるものと解すべきである。
(例えば、適切なものとして本発明の明細書に記載されている、及び/又は本発明で使用される、任意のプロセス、使用、方法、適用、調製、製品、材料、配合、組成物、レシピ、成分、原材料、コンパウンド、モノマー、オリゴマー、ポリマー前駆体、及び/又はポリオールに関する)「有効な」、「許容可能な」、「活性な」、及び/又は「好適な」という用語は、正しい方法で使用される場合、本明細書に記載のように有用性があるために、それらが添加され、かつ/又は組み込まれる本発明のそれらの特徴を指すと理解されよう。かかる有用性は、例えば、部分が、上記使用に必要な特性を有する場合、直接的であることができ、及び/又は、例えば、部分が、直接有用性の他の部分を調製する際の合成中間体及び/又は診断ツール及び/又他のツールとしての使用を有する場合には、間接的であり得る。本明細書で使用するとき、これらの用語はまた、全体のサブ実体(sub-entity)(例えば成分及び/又は原材料)が、有効な、許容可能な、活性な、及び/又は好適な最終製品及び/又は組成物を製造することに適合性である、ことも意味している。
本発明の好ましい有用性は、食材としての、好ましくは菓子製品及び/又はその製造における中間体としての使用を含む。
文脈が明確に別のものを示していない限り、本明細書で使用するとき、本明細書の用語の複数形は、単数形を含むと解すべきであり、単数形が使用されるときには複数形も含まれるものと解すべきである。
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、それ以降に列挙されるものが非包括的なものであること、並びに必要に応じて任意のその他の追加の好適な項目、例えば、1つ以上の更なる特徴、成分(複数可)、原材料(複数可)、及び/又は代替物(複数可)を含み得ること、又は含まなくてもよいこと意味するものとして理解される。
本明細書における本発明の議論において、矛盾する記載のない限り、ある値が他の値よりも好ましいことを示すパラメータについて許容される範囲の上限値及び下限値の代替的な値の開示は、前述のパラメータに関し各中間値も汲むものとみなされ、より好ましい、及び好ましさに劣る前述のそれぞれの値の間に含まれる値そのものは、前述の好ましさに劣る値よりも好まれ、かつ同様にして好ましさに劣る各値及び前述の中間値よりも好まれる。
本明細書において提示されるいずれのパラメータについての全ての上限値及び/又は下限値に関しても、各パラメータの値には境界値が含まれる。本発明の様々な実施形態において本明細書に記載されるパラメータに関し好ましい及び/又は下限値及び上限値の中間値の全ての組み合わせは、様々な他の実施形態の各パラメータに関する代替的な範囲、及び/又は具体的に本願に開示されていようがいまいが値の組み合わせの好ましさを定義する際にも使用できることも理解されよう。
別途記載のない限り、本明細書中の全ての百分率は重量百分率を指す。
本明細書に記載のいずれの量についても、百分率としての合計量は、(丸め誤差を許容しつつも(allowing for rounding errors))100%を超過し得ないものと理解されよう。例えば、本発明の組成物が含む成分(又はそれらの部分(複数可))の合計は、組成物(又はそれらの同じ部分(複数可)の重量(又は他の)百分率として記載される場合、丸め誤差を許容しつつも、合計100%とすることができる。しかし、成分の列挙が非排除的なものである場合、そのような成分の各々についての百分率の合計は、本明細書において明示的に記載されていない場合のある追加のいずれの成分量(複数可)に関しても、ある程度の百分率を許容するため、100%未満になり得る。
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、多量又はそれらの割合を意味する量又は実体を指し得る。これに関連して、「実質的に」が使用される文脈において、「実質的に」は、(記載の文脈において参照される量又は実体のいずれかに対する)量を意味し、対象とするものの全量の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも98%、例えば、約100%の割合を構成する量として理解できる。類似する用語「実質的に含まない」は、同様に、参照される量又は実体が、対象とするものの全量の20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、とりわけ好ましくは5%以下、特に2%以下、例えば、約0%を構成することを表すことができる。好ましくは、適切な場合(例えば、原材料の量において)、そのような百分率は重量基準である。
また、本発明の組成物、及び/又は本発明に使用する組成物は、同様の要領で使用される公知の組成物と比べ、特性の向上も示すことができる。そのような改善された特性は、好ましくは本明細書で定義される通りであり得る。本発明の好ましい組成物及び/又は本発明で使用される好ましい組成物は、これらの特性のうちの2つ以上において(公知の組成物及び/又はその成分と比較して)匹敵する特性を示し得る。
上記のパラメータのいずれかの重量百分率は、成分の初期重量に関して計算される。
本明細書で使用する特性の改善とは、本発明の成分及び/若しくは組成物の値、及び/又は本発明で使用される成分及び/若しくは組成物の値が、本明細書に記載の既知の基準の成分及び/又は組成物の値の>+8%、より好ましくは>+10%、更により好ましくは>+12%、最も好ましくは>+15%であることを意味している。
本明細書で使用する同等の特性とは、本発明の成分及び/若しくは組成物の値、及び/又は本発明で使用される成分及び/若しくは組成物の値が、本明細書に記載の既知の基準の成分及び/又は組成物の値の+/-6%以内、より好ましくは+/-5%以内、最も好ましくは+/-4%以内であることを意味している。
本明細書における、特性の向上と、同等な特性とでの百分率の差異は、成分及び/若しくは組成物の間の、並びに/又は本発明において使用されるものと、本明細書において記載される既知の参照成分及び/若しくは組成物との間の、特性が同じ単位にて同じ方法で測定された場合の、(すなわちまた、比較される値が百分率として測定され、絶対値の差異(absolute difference)を表していない場合の)、わずかな差異を参照してのものである。
試験方法
特に指示しない限り、又は文脈が明確に示されない限り、本明細書中の全ての試験は本明細書中にてまた定義される標準条件下で実施される。
気泡サイズ
本明細書で与えられる気泡サイズ値は、以下に記載されるように、X線断層撮影及び/又は共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)によって測定される。
気泡サイズは、例えば本明細書に記載の技術を使用して生成された画像から体積(%)対サイズ(ミクロン)をプロットすることによって、試料の体積分布を測定することによって求めることができる。次に、測定された体積分布から計算された平均体積と同じ体積を有するほぼ球状の気泡の直径に対応する直線寸法として気泡サイズが引用され、ここではミクロン単位の平均気泡サイズとして参照される。本発明で発生する気泡については、単一最大ピーク(単峰性)を有する通常の気泡サイズ分布(BSD)がほとんどの場合に想定される。しかしながら、他のBSD(例えば、双峰性などのマルチモーダル)は、本発明から除外されない。BSDは、ミクロン単位で測定された平均気泡サイズからの標準偏差によっても測定される。
気泡サイズの代替尺度として、d90を使用することもでき(線形寸法でも表される)、これは、与えられたエアレーションされた試料中の気泡の90%(数による)が存在する気泡のサイズを表す。
気泡サイズの数加重平均直径(XP,0
フォーマット(XP,0)中の記号で示されるパラメータは、長さ(例えばミクロン)単位で測定され、試料中でカウントされた気泡の総数のP%が、このパラメータに対して与えられた長さよりも小さいか又は等しい直径を有する気泡直径を示す。したがって、例えば、X50、0=1ミクロンである場合、これは、試料中の気泡の総数の50%が1ミクロン以下の直径を有することを意味する。パラメータX50、0は、数加重直径を示すために一般的に使用されるが、同様に、パラメータX90、0及びX10、0(全ての気泡のそれぞれ90%及び10%未満の直径が存在する)も使用することもできる。
SPAN(Q0)
SPAN(Q0)は、(X90、0-X10、0)/X50、0の比を求めることによって、数ベースの気泡サイズ分布に対して計算され得る。これは、数加重気泡サイズ分布の幅を評価するための尺度である。より低いSPAN(Q0)値は、より狭い気泡サイズ分布を示し、これにより、より均質でより安定な発泡体構造を示す。
気泡サイズの体積加重平均直径(X50、3
フォーマット(XP,3)中の記号で示されるパラメータは、長さ(例えばミクロン)単位で測定され、試料中の気泡によってとられる総体積のP%が、このパラメータに対して与えられた長さよりも小さいか又は等しい直径を有する気泡直径を示す。したがって、例えば、X50、3=1ミクロンである場合、これは、試料中の気泡の総体積の50%が、1ミクロン以下の直径を有する粒子によって提供されることを意味する。パラメータX50、3は、体積加重直径を示すために一般的に使用されるが、同様に、パラメータX90、3及びX10、3(それぞれの気泡によって占められる体積の90%及び10%が存在する直径)を使用することもできる。
SPAN(Q3)
(X90、3-X10、3)/X50、3の比を求めることによって、体積加重気泡サイズ分布についてSPAN(Q3)を計算した。これは、体積加重気泡サイズ分布の幅を評価するための尺度である。より低いSPAN(Q3)値は、より狭い気泡サイズ分布を示し、これにより、より均質でより安定な発泡体構造を示す。
X線断層撮影又はCLSMを用いた気泡サイズの測定
X線断層撮影
回転試料に多色X線を衝突させ、試料との相互作用に起因するX線強度を、試料の投影吸収の2次元画像を形成するピクセル化平面検出器によって空間的に記録する。次いで、逆投影アルゴリズムを使用して、2D投影の集合体から試料の3次元再構成を実施する。これは、「X線断層撮影の原理」、K.S Lim、M.Barigou、セルラー食品製品のX線マイクロコンピュータ断層撮影(X-ray micro-computedtomography of cellular food products)、Food Research International 37(2004)1001~1012に記載されている。X線断層撮影は非侵襲的であり、固体マトリックス中に埋め込まれた空気ボイドをマッピングする強力な技術である(マイクロエアレーションされたチョコレート中の気泡など)。X線断層撮影は、1μmまでの高分解能を有し、試料調製は必要とされず、それは、生成された画像から気泡サイズを評価する容易で定量的な手段を提供する。本明細書で特に指示しない限り、X線断層撮影によって本明細書で評価された試料は、Scanco Medical AGから市販されているMicroCT 35を使用した。X線照射される試料(例えばチョコレート片)を、カミソリ刃を使用してz軸において穏やかに切断し、小さな円筒形の試料をトリミングし、試料ホルダに入れた。
共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)
CLSMについては、焦点外れ信号(標本から来ない大きな焦点が合っていない背景部分)を除去するために、検出器の前の光学的に共役な面内のピンホールを蛍光顕微鏡に追加する。焦点面に非常に近い蛍光によって生成される光のみが検出され得るので、特に試料深さ方向における画像の光学分解能は、広視野顕微鏡の光学分解能よりもはるかに良好である。更に、試料は点毎に照射される。しかしながら、試料蛍光からの光の多くはピンホールでブロックされるので、この分解能の増加は信号強度の低下を犠牲にし、長い露光がしばしば必要とされる。CLSMは、比較及び定性的な方法において良好な解像度の画像を提供する。CLSMの原理は、以下の文献に記載されている。G.L.Hand,E.R.Weeks,「Physics of the colloidal glass」,2012 Rep.Prog.Phys.75(特にセクション2.2)。CLSM装置は、X線断層撮影装置よりも安価であり、ユーザーフレンドリーである。残念なことに、共焦点顕微鏡法は、長い破壊的準備を意味する(分析された試料表面は完全に真っ直ぐでなければならず、染料が使用される)。共焦点顕微鏡法は、定量的情報を提供しない(走査プロセスは、試料の調製が非常に類似していると仮定する異なる試料を用いて繰り返される必要がある)。気泡の存在を強調するために染料が使用され、これにより気泡特性のより良好な決定がなされる。
本明細書中で、CLSMにより評価された試料は、本明細書中で特に示さない限り、Leica instrumentからLAS、Type DM6000の商品名で市販されている共焦点顕微鏡を使用した。CLSMを受ける試料(例えばチョコレート片)を、カミソリ刃を使用してz軸において穏やかに切断し、小さな円筒形の試料をトリミングし、試料ホルダ内に入れた。次いで、最初のナイルレッドを使用して共焦点顕微鏡用に試料を染色し、次いでファストグリーンを添加した(以下の表に示す)。ここに示したCLSMによって生成されたモルホロジー画像では、ナイルレッド信号は赤色ルックアップテーブルに表示され、ファストグリーン信号は緑色ルックアップテーブルに表示される。したがって、円形の残りの暗領域は気泡であると仮定される。糖は、不規則な境界を有するより小さな黒色領域で表される。
Figure 0007016322000005
共焦点顕微鏡に付随するデータ処理がないので、画像ソフトウェアに組み込まれたスケールを用いて気泡直径を測定することができる。
多孔率
百分率として記載された多孔率(P値)は、コンピュータ断層撮影評価から導出された.多孔率は、試料の全体積に対するボイド率の比を記述する。したがって、多孔率は、試料内のガスVの体積と試料の総体積Vとの比であり、したがってV/Vである。多孔率はまた、本明細書中に記載されるように、又は、以下の式を使用して標準化されたプラスチックカップリングにおけるオーバーラン(Over-Run)(OR)測定(パーセントとして記載される)から計算されると推定され得る。
Figure 0007016322000006
コンピュータ断層撮影解析
発泡菓子試料は、分析まで5℃以下で保存された。試料は、15℃に設定された気候チャンバ内で操作されるCT35(Scanco Medical,Bruttisellen,Switzerland)を使用して分析することができる。装置の気泡検出分解能は6ミクロンである。累積気泡サイズ分布Q(x)(X50、390、310、3及びX50、090、010、0で特徴付けられる)、V及びVは、コンピュータX線断層撮影により測定し、画像解析により抽出することができる。気泡サイズX50、390、310、3及びX50、090、010、0から、サイズ分布幅SPAN(Q3)、SPAN(Q0)も導出することができる。
標準条件
本明細書で使用される場合、文脈がそうでないと示されない限り、標準的な条件(例えば、固形油脂又は液体油を定義するための)は、大気圧、相対湿度50%±5%の相対湿度、周囲温度(22℃±2°)及び0.1m/秒以下の空気流を意味する。特に明記しない限り、本明細書における全ての試験は、本明細書で定義される標準条件下で実施する。
食感及び粘度
食材の食感は、物理的特性(例えば機械的及び/又は幾何学的特性)及び/又は化学的特性(例えば脂肪及び/又は水分含量)の様々な組み合わせを含む多くの異なる特徴の複合体として知覚される。所与の脂肪及び水分含量について本発明の組成物に関連して本明細書で使用するように、組成物の食感は、剪断応力を受けたときの流体としての組成物の粘度に関連し得る。測定技術が注意深く制御され、同じ剪断速度が使用されるならば、見かけの粘度は、食感を示すためのガイドとして本明細書で使用することができる。本明細書で使用するとき、「粘度」という用語は、当業者に既知の従来の方法により測定される流体の見かけ粘度を指すものの、特に本明細書に記載の方法により測定される粘度が好ましい。ある種の流体は、非ニュートン性のレオロジーを示し、単一のレオロジー測定点によって完全な特性評価をすることはできない。それにもかかわらず、見かけの粘度はかかる流体の評価に有用な単純な粘度測定である。
本発明の組成物の粘度及び/又は本発明の方法により調製された組成物の粘度は、比較例(例えばチョコレートなどのチョコ材料)と同様に、低流量状況のために約5s-1で、降伏値に近似する2回の測定、及びより高い流量の20s-1での1回の測定によって特徴付けることができる。(Beckett 4th edition,chapter 10.3を参照されたい)。本発明のフィリングの粘度を測定するために本明細書で使用するとき、粘度の降伏値は、5s-1の低い流量で測定されたテクスチャーを求めるために使用される。
粘度の降伏値を測定するための好ましい方法は、標準条件下(特記しない限り)で測定し、5s-1の速度で測定した、商品名RVA4500(Rapid Viscosity Analyzer,Newport Scientific,Australiaから市販)で示される装置を使用する。この試験方法では、10gの試料組成物を、RVA機器に搭載されているキャニスターに加え、次いで、次のプロファイルで、すなわち、35℃の一定温度、950rpmで10秒間、次いで160rpmで試験期間中30分間、激しく混合することによって、測定を行う。試験は2連又は3連で行い、再現性を確保した。最終粘度を、比較、並びにRVA粘度曲線の校正(quality)に関し使用する。
重量%
全ての百分率は、特に指示がない限り、重量%である。
図面
本発明は、以下の非限定的な図1~図19によって説明される。
図1は、5%の多孔率を達成するために窒素でエアレーションされた本発明の比較チョコレート(比較例A)の断面写真である。最初に小さな気泡が合一したために、より多くのより大きな気泡が形成され、初期には少量のガスがチョコレートの塊に分散したとき、より広い気泡分布が形成される。 図2は、左から右に比較B(多孔率10%)、実施例1(多孔率12.5%)、実施例2(多孔率15%)でエアレーションされたチョコレートの安定性の違いを示す写真である。 図3は、より高いレベル(左から右に比較C(多孔率20%)及び比較D(多孔率25%))でエアレーションされたチョコレートの不安定性を示す写真である。 図4は、Hass社から商品名Monodmix(登録商標)として市販されているロータステータミキサーのミキサーヘッドを示す。 図5は、Hass社から商品名Monodmix(登録商標)として市販されているロータステータミキサーのミキサーヘッドのミキサーブレードを示す。 図6は、Nestle社から商品名Nestwhipper(登録商標)として使用されるロータステータミキサーのモジュラーミキサーヘッドを示す。 図7は、ジェットデポジッターシステム(国際公開第2010/102716に記載されている)と組み合わされた、Novac(国際公開第2005-063036に記載されている)として本明細書中で参照されるガス注入器の概略図である。 図8は、本明細書に記載のエアレーション試験において試験された、従来技術のマイクロエアレーションされたチョコレート試料、比較E(多孔率12%にマイクロエアレーション)を示す。 図9は、本発明のマイクロエアレーションされたチョコレート試料(実施例3)(図8に示す比較Eとわずかに比較してガス流を単に増加させることにより、15%の多孔率までマイクロエアレーションされた)を示し、本明細書に記載されたエアレーション試験で試験したとき、試料表面に存在し、エアレーションが15%の多孔率のレベルで安定することを示している。 図10は、角成形型(すなわち、頂点が鋭い角を形成する)を使用して10%の多孔率にマイクロエアレーションされたマイクロエアレーションされたチョコレートタブレットを示す。図10に示すタブレットでは、角成形型の表面に気泡が明確に視認されるとともに、各ピップ上の同一位置に一貫して現れる。このタブレットの外観は、審美的に好ましくない。 図11は、図10に示すタブレットの場合と同じチョコレート及びプロセス条件を使用して10%の多孔率にエアレーションされたマイクロエアレーションされたチョコレートの塊から製造されたマイクロエアレーションされたチョコレートタブレットを示すが、丸い頂点を有する成形型、すなわち、図10又は図11に示すタブレットとの違いは成形型設計である。図10の外観と比較して、このタブレットの視覚的外観は、より均質で審美的に大幅に改善されていることが分かった。 比較的低粘度のチョコレートの場合、より高いエアレーション量でのチャレンジは凝固マトリックス内に実際にガスを保持することであり、合一が生じることを意味する。これにより、バー表面の内側と外側の両方にはっきりと目で見ることができる気泡をもたらす(図15と及び図16を参照)。 本明細書の図12~図16は、同じチョコレートの塊を使用して製造されたタブレットを示し、全ての調質及びミニNovacパラメータは、所望の多孔率レベルを与えるように調整されたガス流とは別に一定に保たれている。エアレーションレベルが低い場合には、エアレーションが可視的であるだけでなく、離型特性も影響を受けるという事実に留意することは特に興味深い。この離型に対する影響の背後にある理由は解明されていないが、試験されたほとんどの塊に影響を与える。 図12は、5%の多孔率を有するマイクロエアレーションされたダークチョコレート(ネスレ、ブラジル)を示す。目で見ることができる気泡に注目すべきであり、また不良な離型から生じるマークに注目すべきである。 図13は、10%の多孔率(良好な離型及び目で見ることができない気泡)を有するマイクロエアレーションされたダークチョコレートを示す。この塊は、カップ試験中に増大し、何らかの不安定性の兆候を示す。 図14は、15%の多孔率(良好な均質エアレーション及び離型特性)を有するマイクロエアレーションされたダークチョコレートを示す。「カップ」試験は、エアレーションが非常に安定であることを示した。 図15は、20%の多孔率を有するマイクロエアレーションされたダークチョコレートを示し、気泡が合一し始め、バーの内側ではっきりと見える。 図16は、23%の多孔率を有するマイクロエアレーションされたダークチョコレートを示し、気泡が合一し始め、バーの内部及び表面ではっきりと見える。ガスの流量のみを調整するだけでは、多孔率を23%よりも増加させることはできなかった。 図17、図18及び図19は、商標Garoto(登録商標)の下にチョコレートタブレットとして本出願人によってブラジルで販売されている菓子製品を調製するために使用された(未エアレーションの場合)チョコレートの塊のマイクロエアレーションされた試料の画像であり(実施例5及び表2参照)、ここで図17はX線断層撮影、図18は共焦点顕微鏡(CLSM)で生成され、図19はマイクロエアレーションされたGaroto(登録商標)チョコレートの3D視覚化である。
なお、本発明の実施形態の一態様の文脈で記載されている実施形態及び特徴は、本発明の他の態様にも当てはまることに留意すべきである。実施形態を特定の実施例と関連させて本明細書中に開示してきたが、本発明がこれらの実施形態に限定されるものではないことは認識されよう。様々な改変が、当業者には明らかなものとなり得、及び本発明の実施及びから取得され、並びにそのような変形例は、本発明の広範な範囲内のものであると意図されている。使用される材料及び化学的詳細が、本発明により開示及び教示された方法及び組成物から逸脱することなく、明細書とは若干異なったものにされる又は改変される場合があることは理解されよう。
本発明の更なる態様及びその好ましい特徴は、本特許請求の範囲において請求項の中に提示されている。
本発明を、以下の非限定的な実施例を参照して詳細に説明するが、それらはただ例示のためのものである。
本出願人は、マイクロエアレーションされたチョコレートタブレットの様々な試料を調製した。全ての試料は、出願人の特許出願である国際公開第2005-063036号及び/又は同第2010/102716号に記載された装置を使用して、(別途指示がない限り)エアレーションされた。同じレシピが、異なるレベルのマイクロエアレーション(固体の場合の最終製品の多孔率によって測定される)で比較された場合、表1の以下の一般的な観察が一貫してなされた。
Figure 0007016322000007
比較例A
比較例A(Comp A)は、5%の多孔率を達成するために窒素をエアレーションされたチョコレートである。
図1(断面の写真)からわかるように、比較例Aは多数の大きな泡(その一部は裸眼に非常に見える)を含み、全体的に泡サイズの広い分布を示す。いかなる理論にも拘束されるものではないが、本出願人は、少量の窒素ガスがチョコレートの塊中に分散されたとき、これが最初に形成された小さな気泡の合一によるものであるかもしれないと考える。
実施例1及び2並びに比較例B
チョコレートを同じレシピに調製し、10%(比較例B)、12.5%(実施例1)及び15%(実施例2)の多孔率を達成するために窒素でマイクロエアレーションされた。
エアレーション安定性試験は、本明細書に記載のエアレーション安定性試験を受けた後のこれらの実施例(それぞれ左から右に比較例B、実施例1及び実施例2)を示す写真である図2に示されている。
図2からわかるように、比較例Bはドームを形成するのに対し、実施例1及び2は形成しないが、比較例Bと比較して実施例1及び実施例2の改善された安定性を示す。これは、本明細書で規定されるような多孔率及び気泡サイズ及び分布を有する本発明のエアレーションされた組成物が望ましい特性を有することを示す。このようなパラメータは、エアレーションされた組成物中のパラメータの一般的な範囲から選択される最適な領域を調製することができることが分かっている。
比較例C及びD
上記チョコレート組成物と同様に、それぞれ20%(比較例C)及び25%(比較例D)の非常に高い多孔率を達成するために窒素を用いて調製及びエアレーションされた。
図3は、本明細書に記載のエアレーション安定性試験を行った後の、これらの試料(左から右に比較例C及び比較例D)の不安定性を示す写真である。特に比較例Dの場合、チョコレートの表面に可視的なエアレーションが見られる。
比較例C及びDはまた、成形及び離型が起こる常温下で工業的プロセスにおいて特に扱いやすいように、非常に大きな粘度を示すことが見出された。例えば、これらの試料は高粘度になって成形型内に流れやすくなり、良好な表面品位を得ることができる。比較例C又は比較例Dから製造された得られた成形品もまた、製品を損傷することなく成形型から取り外すこと(離型)が非常に困難であった。驚くべきことに、本出願人は、マイクロエアレーションチョコレートに上限があることを見出した。20%以上の多孔率レベルを達成するために、小さな気泡(マイクロエアレーション)としてチョコレートにガスを添加することは実用的でないことが示されている。
結果
いかなる理論にも束縛されるものではないが、本発明の最も好ましい一実施形態では、試験されたマイクロエアレーションされたチョコレートの塊に対して最適な多孔率範囲は12.5%~15%であると考えられる。驚くべきことに、これらの多孔率は、気泡サイズ分布のプロファイルに見られるように、使用可能な粘度及び安定した均一なマイクロエアレーション(目で見ることができない気泡)を与えることが判明した。多孔率が15%を超えるマイクロエアレーションされたチョコレートでは、多孔率が20%を超えると顕著な合一が生じる前に粘度が問題になり始める。非常に低い多孔率(例えば、5%の多孔率を有する)を有するマイクロエアレーションされたチョコレートもまた、不均一な気泡を形成し、視覚的に魅力的でなく、またチョコレートの感覚刺激特性に影響を及ぼす。
実施例3
チョコレートの塊(本出願人によってメキシコで登録商標Carlos Vの下でチョコレートタブレットとして販売する)の以下の製品レシピを窒素でエアレーションされた。
チョコレートは比較的低脂肪のレシピ(重量で24.7%の脂肪含有量)であり、したがって比較的高い粘度(降伏値=8.64Pa、塑性粘度=6.52Pa・s)を有する。
実施例4~6及び比較例E
気泡測定、X線断層撮影、及びCLSMのうちの2つの方法を用いて、従来のチョコレートの塊の様々な試料に存在する気泡サイズ及びBSD(その後、異なるレベルでマイクロエアレーションされた)を評価した。
比較例E及び実施例4
表2にKitKat(登録商標)として言及されている商標KitKat(登録商標)で販売されている菓子製品をコートするために使用されたチョコレートの塊のマイクロエアレーションされた試料(未エアレーションの場合)。低レベルのエアレーション(比較例E)、気泡が合一し、したがってより大きい平均サイズ(>200ミクロン)及びより広いBSDを有することがわかる。より大きな気泡は肉眼で目立つ。より高いエアレーションレベルでは、驚くべきことに、平均気泡サイズ及び標準偏差の両方が減少する(より狭いBSD、すなわちより均一で、より小さな気泡サイズ)。
実施例5
表2にGarato(登録商標)として言及される商標Garoto(登録商標)の下にチョコレートタブレットとして本出願人によってブラジルで販売された菓子製品を調製するために使用されたチョコレートの塊のマイクロエアレーションされた試料(未エアレーションの場合)。X線断層撮影で得られたマイクロエアレーションされたGarotoの写真を図17に、共焦点顕微鏡(CLSM)の写真を図18に示す。マイクロエアレーションされたGarotoチョコレートの3D視覚化が図19に示されており、異なる色が異なる深度を表し、本明細書に記載の気泡の存在を強調する。
実施例6
表2にネスレ・クラシック(Nestle Classic)として言及される商品名ネスレ・クラシック(Nestle Classic)(登録商標)の下にチョコレートタブレットとして本出願人によってブラジルで販売された菓子製品を調製するために使用されたチョコレートの塊のマイクロエアレーションされた試料(未エアレーションの場合)。
結果を表2に示す。
Figure 0007016322000008

Claims (22)

  1. マイクロエアレーションされたチョコ材料を製造するための方法であって、前記方法は、
    (I)ICA法46(2000)にしたがって測定したエアレーション前の塑性粘度が~20Pa・sであるチョコ材料を、00s-1 ~1000s -1 の高剪断下で混合するステップと、
    (II)ステップ(I)からの前記チョコ材料を、異なる圧力に保持された2つの領域の間に位置する注入ゾーンに通過させるステップであって、前記注入ゾーンが、チョコ材料の異なる圧力に保持される入口及び出口を有する導管によって画定されており、ガス充填手段が前記導管内に配置されており、前記注入ゾーンの周りの圧力差が、前記注入ゾーンの外側に位置する2つのポンプによって形成され、前記2つのポンプが20%~30%の速度差のポンプ速度で運転されるステップと、
    (III)2~30バールのガス圧で不活性ガスを、前記チョコ材料が注入ゾーンを通過する際に前記チョコ材料内にガス充填手段を用いて、式(2)から計算されるF値の範囲内である公称ガス流量(F)で注入するステップと、を含み、
    Figure 0007016322000009

    式中、
    Pは、1216%である、標準条件下で測定された%で表した前記マイクロエアレーションされたチョコ材料の多孔率目標を表し、
    は、ノルマルリットル/分(NL/分)の前記不活性ガスの公称体積流量を表し、
    A、B、及びCは数値定数(式(2)を釣り合わせるそれぞれの単位を有する)であり、これらの定数の各々の数値部分は、
    Aが0.06~0.07であり、
    Bが2.00~2.05であり、
    Cが3.70~3.80であり、但し、
    (A)式(2)から計算される流量は、前記注入ゾーンにおける1000kg/時間の前記チョコ材料の公称スループットに基づいており、ステップ(III)で注入される実際の不活性ガスの流量は、前記注入ゾーンにおける前記チョコ材料の実際のスループットでの1000kg/時間からの任意の差に比例して釣り合うように、前記計算された公称流量Fから必要に応じて調整され、
    前記注入ゾーンにおける前記チョコ材料の実際のスループットでの1000kg/時間からの任意の差に比例して釣り合うように、前記計算された公称流量F から必要に応じて調整されるとは、実際のチョコ材料のスループットが1000kg/時間と異なる場合、秒当たりのチョコ材料の各キログラムに注入される不活性ガスの量が一定であるように、前記計算された公称流量F の値から比例的に上向き又は下向きに調整されることである、方法。
  2. 前記2つのポンプが25%の一定の速度差のポンプ速度で運転される、請求項に記載の方法。
  3. 前記高剪断混合が、300~800s-1の剪断速度で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記高剪断混合が、400~600s-1の剪断速度で行われる、請求項に記載の方法。
  5. 前記混合ステップ(I)において、前記高剪断混合が、ビーターミキサーを使用して前記チョコ材料を、200~600回転/分(rpm)のビーター速度で混合して達成される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. 式(2)において、定数Aの数値が0.061~0.069である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 式(2)において、定数Aの数値が0.0636である、請求項に記載の方法。
  8. 式(2)において、定数Bの数値が2.01~2.04である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. 式(2)において、定数Bの数値が2.0197である、請求項に記載の方法。
  10. 式(2)において、定数Cの数値が3.71~3.79である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  11. 式(2)において、定数Cの数値が3.7353である、請求項10に記載の方法。
  12. 式(2)において、定数Aの数値が0.0636であり、定数Bの数値が2.0197である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ガス充填手段が1つ以上のノズルである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記ノズルが2~3.5mmの出口直径及び/又は6~12mmのオリフィス長を有する、請求項13に記載の方法。
  15. 式(2)において、前記ガス流を計算するために使用される前記多孔率目標Pが12%~15%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. Pが13%~15%である、請求項15に記載の方法。
  17. Pが14.5%~15%である、請求項16に記載の方法。
  18. ステップ(II)において、前記不活性ガスが4~15バールの圧力で注入される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記不活性ガスが8~11バールの圧力で注入される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記チョコ材料がチョコレート又はコンパウンドである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記チョコ材料がチョコレートである、請求項20に記載の方法。
  22. 請求項1~21のいずれか一項に記載の方法であって、前記不活性ガスの公称流量Fを自動手段(場合によりコンピュータ)によってリアルタイムで制御して、式(2)から計算された値内に保ち、前記方法から得られた前記マイクロエアレーションされたチョコ材料における所望の前記目標多孔率Pを達成する方法。
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