JP2008067690A - 製菓用油脂組成物及びそれを用いた菓子 - Google Patents

製菓用油脂組成物及びそれを用いた菓子 Download PDF

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Abstract

【課題】 菓子作製時に乳化剤などの吸卵性改善剤を用いることなく、多量の卵を生地中に均一に分散させることができる安価な製菓用油脂組成物、およびそれを用いて作製されるパウンドケーキやクッキーなどの菓子を提供すること。
【解決手段】 乳化剤を含まず、平均油脂結晶粒径が20μm以下で、結晶粒径が50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下であることを特徴とする製菓用油脂組成物と共に、砂糖や卵を主に含有する混合物であって、製菓用油脂組成物100重量部に対して卵を100〜200重量部含有し、混合物中の卵が分離していないことを特徴とする混合物を作製し、それを用いて製菓用生地、さらにそれを焼成するなどして菓子を作製すること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、パウンドケーキやクッキーなどの菓子を製造する際に、砂糖や小麦粉や卵などの原料あるいは生地に、混合又は練り込む用途で用いられる製菓用の油脂組成物並びにそれを用いてなる菓子に関する。
従来より、製菓用油脂組成物としては、バター、マーガリン、ショートニングなどの油脂組成物が用いられている。製菓用油脂組成物としては、工業的な大量生産を目的とする場合はマーガリン、あるいはショートニングが用いられ、手作り、あるいは高級感を出したい場合にはバターを用いられることが多い。
パウンドケーキあるいはクッキーの作製方法は、いずれも一般に油脂と砂糖を混合し、これに卵を添加し、更に小麦粉を混ぜ合わせ生地を作製する。このようにしてできた生地をパウンドケーキでは型に入れてから、クッキーでは成型してから焼成され、パウンドケーキあるいはクッキーができる。これらの菓子の生地を作製する際に、油脂に求められる主要な特性は含気性、および吸卵性であり、これらの特性が良好であることで、菓子の作製工程が良くなり、菓子の食感、口溶けも良くなる。含気性が良好でないと、油脂中に気泡が入りにくい、気泡が油脂から抜けてしまう、あるいは気泡サイズが大きいなどのために、菓子中の気孔が少なく、また不均一となり、サックリとした良好な食感が得られない。また吸卵性が良好でないと、油脂中に卵、牛乳などの水分が均一に分散せず、その結果できた菓子の食感、口溶けは悪くなる。また生地が不均一となりその結果、菓子の品質のばらつきが大きくなる。更に、近年は消費者の高級嗜好により、菓子中により多量の卵を配合させることが求められるが、卵の均一分散には量的な限界があり、多量の卵を配合させることは非常に困難であるため、パウンドケーキやクッキーの高級感はまだまだ出せていない。
菓子生地作製時の含気性などは一般的に油脂組成物中の油脂結晶が微細なほど、良好となる傾向がある。そのため、これら油脂組成物の製造には融解した油脂組成物を急速冷却することで、より微細な油脂結晶を作り出す試みがなされている。しかしながら、急速冷却により得られた油脂結晶は不安定であるので、保存期間中に油脂結晶が成長して粗大になる傾向にあり、結晶サイズの制御が困難である。また、含気性や吸卵性を更に向上させるために、これら油脂組成物を融点より2〜7℃程度低い温度で数時間から数十時間保存させ、この微細な結晶を安定化させるテンパリングと呼ばれる熟成工程が必要とされる場合もある。しかし、これらの製造工程を経ても、含気性などの向上には限界がある。
これらの工程を経た油脂組成物を用いても、パウンドケーキあるいはラングドシャクッキーのような卵や牛乳など水分の配合量の多い菓子を作製すると、卵が油脂中にきれいに分散せず、油脂と卵が分離してしまうことが多く、その度に再ミキシングや配合を変更せざるを得ず多大な労力を要する。そこで、同一工程で、更に含気性や吸卵性を向上させる手法として、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤(特許文献1)やワックス(キャンデリワックス、カルナワックス、ホホバワックス、ライスワックス、みつろう、木ロウなど)などの高融点油脂を原料の油脂ベースに添加する方法が提案されている。しかし、これらの添加物が含まれていると、食感や口溶けが悪くなるとともに、風味も油脂本来のものでなくなるために好ましくない。また、特に乳化剤などの添加物は、製品単価が高く、原料のコスト高の原因となる。さらに、近年の消費者の健康食品を嗜好する傾向からも、これらの添加物の使用は敬遠されている。
また、乳化剤などを使用せずに、油脂の結晶性を上げて微細結晶のマーガリンを製造できる技術として加圧晶析があるが(特許文献2)、これはSFCの高い油脂組成物に関する具体的開示に過ぎず、油脂結晶の大きさに関しては言及されていないし、油脂結晶の大きさと油脂組成物を菓子生地に添加した際の吸卵性向上効果に関して記載も示唆もない。
特開2005−46039号公報 特開2001−238601号公報
本発明は、菓子作製時に高融点油脂や乳化剤などの吸卵性改善剤を用いることなく、又テンパリングすることなく、菓子生地作製時の含気性を良好にし、且つ吸卵性を向上させることができ、その結果最終製品である菓子の食感、口溶け、風味を向上させることができる安価な菓子用油脂組成物、及びそれを用いてなる菓子を提供することにある。
本発明者らは、加熱融解した特定の油脂又は特定の油脂を含むエマルションを加圧晶析して得られた油脂組成物の油脂結晶は、急速冷却又はテンパリング処理を施されて得られた油脂結晶よりさらに微細でしかも安定であることに着目し、加圧晶析により得られた特定の油脂組成物を製菓用途に用いることで、予想外に菓子生地中の卵の含有量が増やせる、つまりは吸卵性が高いという知見を得ることができ、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、乳化剤を含まず、平均油脂結晶粒径が20μm以下で、結晶粒径が50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下であることを特徴とする製菓用油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、5℃で20日間保管後の平均油脂結晶粒径が20μm以下で、50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下になることを特徴とする上記記載の製菓用油脂組成物に関する。本発明の第二は、上記記載の製菓用油脂組成物、砂糖および卵を主に含有する混合物であって、製菓用油脂組成物100重量部に対して卵を100〜200重量部含有し、混合物中の卵が分離していないことを特徴とする混合物に関する。好ましい実施態様は、製菓用油脂組成物の平均油脂結晶粒径が20μm以下で、50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下である上記記載の混合物に関する。より好ましくは、製菓用油脂組成物が冷蔵状態で72時間以上保管された製菓用油脂組成物である上記記載の混合物に関する。本発明の第三は、上記記載の混合物を用いて作った製菓用生地に関する。本発明の第四は、上記記載の混合物を用いて作った菓子に関する。本発明の第五は、20℃のSFC(固体脂含量)が10〜50%の油脂を加圧晶析した製菓用油脂組成物、砂糖および卵を主に含有する混合物であって、製菓用油脂組成物100重量部に対して卵を100〜200重量部含有し、混合物中の卵が分離しない状態で含有していることを特徴とする混合物を用いて作った製菓用生地の製造方法に関する。
本発明の製菓用油脂組成物を用いれば、菓子作製時に高融点油脂や乳化剤などの吸卵性改善剤を用いることなく、又テンパリングしなくても、菓子生地作製時の含気性が良好で、且つ吸卵性を向上させることができる。その結果、該製菓用油脂組成物を用いて作製した最終製品である菓子の食感、口溶け、風味を向上させることができ、高級感ある菓子を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の製菓用油脂組成物は、油脂のみ、或いは油脂と水を含んでなる油中水型乳化油脂組成物であり、製菓用油脂組成物には、その他、通常油脂加工食品に添加される、呈味成分、香料、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤などが風味や食感を損なわない程度に含まれていてもよい。
本発明で用いられる油脂の種類は、通常の油脂加工食品に用いられる食用油脂であれば特に限定されないが、例えば動物油、植物油、乳脂などの天然油、及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油、ランダムウムエス油などが挙げられ、それらを少なくとも1種使用できる。前記油脂のSFC(固体脂含量)は、好ましくは20℃で10〜50%、より好ましくは10℃で20〜60%、20℃で10〜50%、30℃で0〜20%、更に好ましくは10℃で25〜50%、20℃で15〜40%、30℃で0〜15%である。上記範囲のSFCの油脂を用いれば、菓子生地作製時の製菓用油脂組成物の含気性及び吸卵性を向上させることができ、且つ、吸卵性も上がるため、製菓用油脂組成物を用いた最終製品であるパウンドケーキやラングドシャクッキーなどの菓子類において所望の効果を発現できる。ここで本発明における吸卵性とは、菓子生地作製時の菓子生地に含有される卵液の量のことであり、その量が多いほど吸卵性が高いことになる。前記製菓用油脂組成物は、式
{吸卵指数[%]=[吸卵量(g)/油脂重量(g)]×100[%]}
で表される吸卵指数が高いほど、菓子生地作製時の吸卵性が高くなる。
前記SFCは次のようにして測定する。即ち、油脂を60℃で30分間保持して完全に融解し、0℃で30分間保持して固化させる。さらに25℃で30分間保持し、その後0℃で30分間保持する。これをSFCの各測定温度(10℃、20℃、30℃)で30分間保持した後、パルスNMRを用いて測定する。
本発明の呈味成分としては、食塩等の塩味剤、糖類や糖アルコール類等の甘味料などが挙げられる。また本発明の香料としては、バター、ミルク、バニラなどのフレーバーが挙げられる。本発明の増粘剤としては、カラギーナン、アラビアゴム、ペクチンなどの多糖類が挙げられる。本発明の酸化防止剤としては、トコフェロール、カテキンなどが挙げられる。
本発明の製菓用油脂組成物は、基本的に乳化剤を含まないことが好ましいが、風味や食感を悪化させない程度に少量であれば、乳化安定性向上のために添加しても良い。乳化剤種としては、食用に用いられるものであれば特に限定はないが、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、レシチンなどが挙げられる。製菓用油脂組成物には前記の乳化剤種の群より選ばれる少なくとも1種を用いることができ、添加する場合の添加量は、製菓用油脂組成物全体中0.15重量%以下が好ましい。0.15重量%を超えて乳化剤を添加すると、風味や食感を損ねる場合がある。
本発明における加圧晶析とは、加熱融解した油脂又はその乳化物を冷却晶析させるときに、強制的に加圧することをいい、これにより油脂結晶が微細化される。ここで、加圧は冷却と同時に開始してもよいが、油脂又はその乳化物を予め結晶が析出しない程度に冷却した後に加圧して晶析を行っても良く、後者の方が得られる結晶が微細となり、より好ましい物性となるだけでなく、加圧時間の短縮や晶析時間の短縮などの利点があるため、好ましい。
加圧晶析の方法としては、特に限定はないが、具体的には上記のような油脂又はその乳化物を加熱融解し、例えば、静水圧容器に注入して加圧と冷却を行う。この静水圧容器は、加圧と冷却とが同時に行えるようになっているもので、静水圧容器内の内容物を加圧しながら、静水圧容器壁面部から内容物の冷却を行うことができる。加圧方式はピストン式、液圧式、空気圧式のいずれの方式でもよい。また、冷却方式は、冷媒式、空冷式の何れでもよい。加圧圧力、加圧時間、冷却媒体温度は用いる食用油脂の原料組成や量などにより最適値が異なるので一概に規定できないが、製菓用油脂組成物を作製する場合、通常加圧圧力は10〜150MPa、加圧時間は1〜60分、更に冷却媒体温度は−30〜15℃の範囲で処理を行うのが好ましい。加圧圧力は20〜150MPa、加圧時間は10〜60分がより好ましく、冷却媒体温度は−30〜5℃がより好ましい。上記加圧圧力が10MPa未満であると、加圧による晶析の促進や結晶の微細化が不十分な場合がある。また、圧力が150MPaを越える高圧で処理をしても差し支えないが、晶析促進効果や結晶の微細化効果が少なく、必要以上の高圧での加圧は、経済的にも安全性の面からも好ましくない場合がある。加圧時間は加圧圧力、温度、油脂組成などとの兼ね合いで決まるが、1分未満であると晶析が不十分な場合がある。晶析が終了しても更に加圧を続けても油脂物性などの品質の劣化はないが、更なる効果は少なく、実際には60分を越えて加圧を続けても効果が頭打ちになる場合がある。更に、冷却媒体の温度が15℃より高いと冷却速度が遅く、加圧の効果があっても晶析時間は長く大きな効果は得られ難い場合がある。一方、冷却媒体の温度が−30℃より低い場合は冷却速度は速まるが、加圧による晶析促進効果や結晶の微細化効果は少なくなり、経済面からも好ましくない場合がある。
尚、加圧処理は1度でも十分な効果が見られるが、晶析が不十分である場合など、必要によっては同様の処理を繰り返し行うことで更に効果が得られる。また工業的に本発明の加圧晶析を行う場合には、静水圧容器の代わりに、耐圧構造を有するエクストルーダーや耐圧冷却ユニットなどを利用して、加圧と冷却を同時に、或いは連続的に行うように工夫することができる。
上記のように加圧晶析した製菓用油脂組成物は必要に応じて更に捏和を行ってもよい。前記捏和とは製菓用油脂組成物を機械的に混練することを意味し、この捏和を密閉型連続掻き取りチューブ式冷却機などを用いて、加圧晶析と同時に行ってもよいし、コンプレクターなどの混合押し出し機を用いて、加圧晶析後に行ってもよい。また、更に必要に応じて捏和時に窒素ガスを混合封入してもよい。
本発明の製菓用油脂組成物は微細で均一な結晶であり、微細な結晶とは光学顕微鏡で観察した結晶粒径が小さい結晶であることを意味し、その平均油脂結晶粒径は、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。前記平均油脂結晶粒径は、得られた製菓用油脂組成物を光学顕微鏡で観察し、その画像を印刷した上で、200個の油脂結晶の最長部位を測定し、その平均値を平均油脂結晶粒径とした。平均油脂結晶粒径が20μmより大きいと製菓用油脂組成物の含気性、吸卵性が悪く製菓用には適さない場合がある。なお、平均油脂粒径は小さいほど良いと考えられるが、現行の加圧晶析処理で得られる油脂組成物の平均油脂結晶粒径の下限は、約1.0μmである。また、均一な結晶とは粒径の大きな油脂結晶の数が少ないことを意味し、好ましくは平均粒径が50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下、より好ましくは0.5%以下である。結晶粒径が50μm以上の結晶の数は、製菓用油脂組成物の光学顕微鏡写真を撮り、実際に目視で50μm以上の結晶の数を数え、全結晶数で除することで求める。なお、流通、および保管中における製菓用油脂組成物の経時変化を考えると、生産時に較べて、使用時の製菓用油脂組成物中の油脂結晶は大きくなっていく傾向にあるが、使用時においても平均粒径が50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下である。長期の経時変化を考慮しても好適に使用できる製菓用油脂組成物としては、5℃で72時間以上保管しても、前記平均油脂粒径は変わらない、即ち平均油脂粒径が20μm以下で、且つ50μm以上の結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは、5℃で20日間保管しても、前記平均油脂粒径は変わらない、即ち平均油脂粒径が20μm以下で、且つ50μm以上の結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下である。
前記のような製菓用油脂組成物の製造方法は特に限定しないが、以下に製造方法を例示する。まず所定量の原料油脂を加熱して融解し、その融解した油脂を静水圧容器内に注入する。それから所望の圧力まで加圧し、容器を外壁から冷媒で所定時間冷却する。その後、所定条件で3連ロールミルを所定回数通過させて捏和を行うことで製菓用油脂組成物を得ることができる。一晩冷蔵庫に静置することで、前記のような平均油脂結晶粒径が20μm以下で、且つ結晶粒径が50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下である製菓用油脂組成物を得ることができる。流通、および保管においては、製菓用油脂組成物の使用前の冷蔵時間がさらに長くなるが、本発明の製菓用油脂組成物は、冷蔵状態(3〜7℃)で20日間冷蔵した後でも好適に使用することができる。
また、本発明の製菓用油脂組成物を用いてパウンドケーキやクッキーを製造する方法を例示する。ただし、これらに製造方法が限定されるわけではない。まず、平均油脂結晶粒径が20μm以下で、且つ結晶粒径が50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下である製菓用油脂組成物、砂糖および卵、さらには必要に応じて水、牛乳などの液体成分を加えて一般的な条件で混合攪拌して混合物を得、その混合物に小麦粉、さらには必要に応じてベーキングパウダ、ココア、デンプンなどの粉体を添加して更に一般的な条件で混合攪拌することで菓子生地を得る。それを適当な量に分割した後、適当に成型してから焼成することでパウンドケーキやクッキーを得ることができる。
前記のようにパウンドケーキやクッキーを作製すると、作業時の含気性、及び吸卵性が良好であり、また生地作製時の含気及び吸卵後の混合物および生地の経時的な変化が少ないので安定性が高く、その結果食感、口溶けが良好な菓子が容易に製造できる。その際、前記混合物においては、製菓用油脂組成物100重量部に対して、油脂成分と分離することなく卵を100重量部以上含有できる。本発明では卵の含有量は、製菓用油脂組成物100重量部に対して100〜200重量部が好ましい。より好ましくは、120〜185重量部である。100重量部より少ないと卵による風味の付与の効果が少なくなる場合があり、200重量部より多いと卵が分離してしまう場合がある。また上記において卵は、製菓時に作製される製菓用油脂組成物、砂糖、卵を主に含有する混合物中に卵が液滴として存在しており、光学顕微鏡で観察した卵滴の平均径は、30μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。卵滴の平均径が30μmより大きいと混合物に小麦粉を加えて作った菓子生地が不均一となり、これを焼成してできるパウンドケーキやクッキーの品質のばらつきが大きくなり、且つ食感や口溶けも悪くなる場合がある。ただし、卵滴径が60μmを越える卵滴数が全卵滴数の2%未満であれば、混じっていても問題はない。もし2%以上混じっていると、混合物に小麦粉を加えて作った菓子生地が不均一となり、これを焼成してできるパウンドケーキやクッキーの品質のばらつきが大きくなり、且つ食感や口溶けも悪くなる場合がある。また前記混合物中では、卵滴が均一に分散していることが好ましい。なお、光学顕微鏡による卵滴の観察においては、平均卵滴径は小さいほど良いと考えられるが、現行の製造方法で得られる混合物中の平均卵滴径の下限は、約4.0μmである。
前記のような光学顕微鏡による卵滴の観察は、簡便な方法であるが、スライドガラス上の混合物をカバーグラスで押えるという負荷がかかるため、混合物本来の状態で卵滴を観察できないという欠点がある。この欠点を解消し、混合物を非破壊的に観察する方法として共焦点レーザー走査型顕微鏡による観察がある。共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いると、混合物をカバーガラスで押えるような負荷をかけることなく、混合物本来の状態で卵滴を観察することが可能となる。共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察した混合物中の卵滴の平均径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4.5μm以下、さらに好ましくは4μm以下である。前記卵滴の平均径は、得られた該混合物を顕微鏡で観察し、その画像を印刷した上で、200個の卵滴の長径を測定し、その平均値から求められる。平均卵滴径が5μmより大きいと混合物に小麦粉を加えて作った菓子生地が不均一となり、これを焼成してできるパウンドケーキやクッキーの品質のばらつきが大きくなり、且つ食感や口溶けも悪くなる場合がある。ただし、卵滴径が10μmを越える卵滴数が全卵滴数の2%未満であれば、混じっていても問題はない。もし2%以上混じっていると、混合物に小麦粉を加えて作った菓子生地が不均一となり、これを焼成してできるパウンドケーキやクッキーの品質のばらつきが大きくなり、且つ食感や口溶けも悪くなる場合がある。また前記混合物中では、卵滴が均一に分散していることが好ましい。なお、共焦点レーザー走査型顕微鏡による卵滴の観察においては、平均卵滴径は小さいほど良いと考えられるが、現行の製造方法で得られる混合物の平均卵滴径の下限は、約3.0μmである。
前記共焦点レーザー走査型顕微鏡による卵滴径の測定方法は下記のとおりである。まず製菓用油脂をナイルブルー、卵をローダミンbであらかじめ蛍光染色し、一般的な条件で混合攪拌して混合物を得、これをスライドガラス上に塗布し、カバーガラスで押えずに非破壊の状態で観察に供する。観察は共焦点レーザー走査型顕微鏡(Carl Zeiss社製、LCM510)を用い、光源はナイルブルーに対してはアルゴン(488nm)、ローダミンbに対してはヘリウムネオン(543nm)を用いる。得られた画像の卵滴の長径を測定することにより、混合物の卵滴の平均径が求められる。
なお、卵滴が均一に分散しているかどうかは、光学顕微鏡観察の場合、混合物中の卵滴を食用色素102号などで染色し、共焦点レーザー走査型顕微鏡観察の場合にはナイルブルーなど油脂を特異的に染色する蛍光色素により油脂を染色し、ローダミンbなどタンパク質を特異的に染色する蛍光色素により卵滴を染色し、画像から評価することができる。具体的には、光学顕微鏡においては気泡や砂糖がドメインとして観察され、その間の部分に卵滴の分散が網目状に見える。そして均一に分散するほど細かい網目状に見える。また、共焦点レーザー走査型顕微鏡においては、油脂組成物が連続相として観察され、気泡および卵滴がドメインとして観察され、均一に分散しているかがわかる。気泡と卵滴はローダミンbの蛍光強度により区別できる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<作業時含気性評価>
実施例・比較例において、パウンドケーキやラングドシャクッキーの生地作製時において、油脂組成物及び砂糖を混合攪拌した時点で、該混合物の含気性を目視により、以下の評価基準で評価した。◎:保型性が良好で、砂糖の粒子が目立たない、○:保型性は良好だが砂糖の粒子がやや目立つ、△:保型性がやや悪く、砂糖粒子がやや目立つ、×:保型性が悪く、砂糖の粒子がかなり目立つ。
<作業時含気気泡径評価>
実施例・比較例において、混合物中の気泡を共焦点レーザー走査型顕微鏡(Carl Zeiss社製、LCM510)により観察し、気泡の微細分散性を評価した。ここで微細分散性は、該混合物の顕微鏡写真を印刷した上で、200個の気泡の長径を測定し、その平均値を平均気泡径とした。平均気泡径が小さい方程、微細分散性が良好であることを示すと考えた。
<作業時吸卵性評価>
実施例・比較例において、パウンドケーキやラングドシャクッキーの生地作製時において、油脂組成物、砂糖に加えてさらに卵を混合攪拌した時点で、該混合物の吸卵性を目視および該混合物の通電性により、以下の評価基準で評価した。◎:見た目は卵の分離無し、通電しない、○:見た目は卵の分離無し、通電する、△:見た目で卵がやや分離、通電する、×:見た目で明らかに卵分離。
<作業時卵滴径評価>
実施例・比較例において、混合物中の卵滴を共焦点レーザー走査型顕微鏡(Carl Zeiss社製、LCM510)により観察し、該混合物の顕微鏡写真を印刷した上で、200個の卵滴の最長部位を測定し、その平均値を平均卵滴径とした。平均卵滴径が小さい程、微細分散性が良好であることを示すと考えた。
<生地均一性評価>
実施例・比較例において、パウンドケーキやラングドシャクッキーの生地中における油脂組成物、および卵あるいは小麦粉中のタンパク質の分散性を目視および共焦点レーザー走査型顕微鏡(Carl Zeiss社製、LCM510)により観察し、以下の評価基準で評価した。◎:見た目は非常にキメが細かく、顕微鏡観察による生地も非常に均一である、○:見た目はキメが細かく、顕微鏡観察による生地は均一である、△:見た目はややキメが粗く、顕微鏡観察による生地も不均一な部分が存在する、×:見た目はキメが粗く、顕微鏡観察による生地も不均一な部分が多く存在する。
<パウンドケーキの内相組織評価>
実施例・比較例において得られたパウンドケーキをカッティングし、その断面を目視で評価した。その際の評価基準は以下の通りである。◎:非常にキメが細かい、○:キメが細かい、△:キメが粗い:、×:非常にキメが粗い。
<パウンドケーキ、およびラングドシャクッキーの食感評価>
実施例・比較例において得られたパウンドケーキ、およびラングドシャクッキーの食感をよく訓練された10人のパネラーにより官能評価しその平均を評価結果とした。パウンドケーキは、硬さ、弾力性、しっとり感、舌触り、ネチャツキ(粘性)を総合的に評価し、ラングドシャクッキーは、硬さ、サクサク感、口の中でのネチャツキ(粘性)を総合的に評価し、比較例5及び11が普通となるようにして以下のような評価基準で結果をまとめた。◎:非常によい、○:良好、△:普通、×:悪い。
<パウンドケーキ、およびラングドシャクッキーの口溶け評価>
実施例・比較例において得られたパウンドケーキ、およびラングドシャクッキーの口溶けをよく訓練された10人のパネラーにより官能評価し、その平均を評価結果とした。その際の評価基準は比較例7及び13が普通となるようにして以下の通りである。◎:非常によい、○:良好、△:普通、×:悪い。
(実施例1〜3) 製菓用油脂組成物の作製
精製パーム油(上昇融点:35℃、SFC:45%(10℃),21%(20℃),12%(30℃))30部、パーム硬化油(上昇融点:42℃、SFC:63%(10℃),47%(20℃),31%(30℃))28部、精製コーン油40部、ハイエルシン極度硬化菜種油(上昇融点:58℃)2部からなる混合油を65℃に融解して、静水圧容器内(約450ml)に注入した。それぞれ10MPa(実施例1)、50MPa(実施例2)、150MPa(実施例3)に加圧するとともに、静水圧容器を外壁部から5℃の冷媒(エチレングリコール)で60分間冷却して、加圧晶析を行った。これら加圧晶析処理の終了した試料を取り出し、3連ロールミル(井上製作所製、ローラー温度、:約5〜7℃)を4回通過させて捏和を行い、得られた油脂組成物を使用するまで冷蔵庫(5℃)で、24時間、72時間、20日間保存した。保存24時間後、72時間後、および20日後の製菓用油脂組成物を光学顕微鏡で観察し、画像を印刷し、200個の油脂結晶の最長部位を測定し、平均値を油脂結晶のサイズとした。その結果は表1に示す。
Figure 2008067690
(比較例1) 製菓用油脂組成物の作製
実施例1と同様の配合の混合油を65℃に融解して、静水圧容器内(約450ml)に注入し、加圧しない事以外は、実施例1と同様の方法で製菓用油脂組成物を得た。得られた製菓用油脂組成物は使用するまで冷蔵庫(5℃)で、24時間、72時間、20日間保存した。保存24時間後、72時間後、および20日後の製菓用油脂組成物を光学顕微鏡で観察し、画像を印刷し、200個の油脂結晶の最長部位を測定し、平均値を油脂結晶のサイズとした。その結果は表1に示す。
(比較例2) 製菓用油脂組成物の作製
実施例1と同様の配合の混合油100部にソルビタン脂肪酸エステルを0.5部及びモノグリセリン脂肪酸エステルを0.5部添加した以外は、比較例1と同様の方法で製菓用油脂組成物を得た。得られた製菓用油脂組成物は使用するまで冷蔵庫(5℃)で、24時間、72時間、20日間保存した。保存24時間後、72時間後、および20日後の製菓用油脂組成物を光学顕微鏡で観察し、画像を印刷し、200個の油脂結晶の最長部位を測定し、平均値を油脂結晶のサイズとした。その結果は表1に示す。
(比較例3) 製菓用油脂組成物の調整
比較例1と同じ方法で得られた油脂組成物を27℃で48時間保存することでテンパリングさせた油脂組成物を得た。得られた製菓用油脂組成物は使用するまで冷蔵庫(5℃)で、24時間、72時間、20日間保存した。保存24時間後、72時間後、および20日後の製菓用油脂組成物を光学顕微鏡で観察し、画像を印刷し、200個の油脂結晶の最長部位を測定し、平均値を油脂結晶のサイズとした。その結果は表1に示す。
(比較例4) 製菓用油脂組成物の調整
よつ葉バター(食塩不使用)(よつば乳業(株)製)を、20℃で3時間温調し、製菓用油脂組成物とした。該製菓用油脂組成物は使用するまで冷蔵庫(5℃)で、24時間、72時間、20日間保存した。保存24時間後、72時間後、および20日後の製菓用油脂組成物を光学顕微鏡で観察し、画像を印刷し、200個の油脂結晶の最長部位を測定し、平均値を油脂結晶のサイズとした。その結果は表1に示す。
(実施例4〜8、比較例5〜10) パウンドケーキの作製
原料及びその基本配合は表2に従い、以下の方法に従ってパウンドケーキを作製した。作製後72時間冷蔵保存した後、25℃で3時間温調した実施例1〜3、比較例1〜4の製菓用油脂組成物、上白糖、全卵及び薄力粉をホバートミキサーに順次加えながら撹拌混合して生地を作製し、得られた生地をパウンド型に入れ、180℃のオーブンで25〜26分間焼成することで作製した。得られたパウンドケーキの評価は、焼成後、25℃で3時間冷却した後、内相の組織の状態、食感および口溶けを評価した。それら評価結果は、作製時の作業性評価も併せて表3に示した。
Figure 2008067690
Figure 2008067690
表2から明らかなように、ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加せずに、常圧晶析を行った比較例5では製菓試験においては、含気性および吸卵性が悪く、生地も非常に不均一なものとなり、その結果、パウンドケーキのキメが粗くなり、組織、食感および口溶けは悪かった。比較例6は、製菓試験において、含気性および吸卵性が向上し、生地の均一性も向上し、その結果パウンドケーキのキメが細かくなり組織は向上したが、食感および口溶けは悪かった。ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加すると、パウンドケーキの風味は悪くなり好ましくなかった。テンパリングした比較例7はテンパリングをしていない比較例5に較べると結晶が微細であるため含気性及び吸卵性は向上したが、生地はそれほど良くならず、実施例4〜6と比べると悪かった。また比較例7のパウンドケーキは比較例5よりも食感、口溶けはよくなっているが実施例4〜6と比べると悪かった。バターを用いた比較例8は、風味は大きく向上したものの、生地作製時の含気性、吸卵性、生地の均一性は比較例5と比べると少し向上したが比較例6と比べると悪かった。組織、食感および口溶けは向上したものの実施例5および実施例6よりは悪かった。一方、ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加せずに加圧晶析を行った実施例4〜6は、製菓試験においては、加圧晶析時の加圧圧力が大きくなるにしたがって常圧晶析を行った比較例5より含気性が向上するとともに、その結果パウンドケーキのキメが適度な大きさで細かく均一になり、比較例5と比べて組織、食感および口溶けが大きく向上した。ただし、実施例6は実施例5と比べると含気性、吸卵性、および生地均一性はあまり向上しておらず、食感および口溶けは同程度であった。風味は加圧圧力の大きさに関係なく実施例4〜6のすべてで比較例8より良好であり、パウンドケーキとして総合的に良好なものが得られた。また、卵の添加量を増やした実施例7,8と卵の添加量を増やした比較例9,10を比べると、吸卵性は実施例7,8の方が比較例9,10よりも良好で、生地も均一であり、パウンドケーキの組織、食感、および口溶けも良好であった。また、卵の添加量がより多い実施例7,8は、実施例4,6と比べて、卵の風味が強くでており、より高級感のあるケーキが得られた。
(実施例9〜11、比較例11〜14) ラングドシャクッキーの作製
原料及びその基本配合は表4に従い、以下の方法に従ってラングドシャクッキーを作製した。作製後72時間冷蔵保存した後、25℃で3時間温調した製菓用油脂組成物、上白糖、全卵及び薄力粉をホバートミキサーに順次加えながら撹拌混合して生地を作製し、得られた生地を成型した後、180℃のオーブンで10分間焼成することで作製した。得られたラングドシャクッキーの評価は、焼成後、25℃で3時間冷却した後、食感および口溶けを10人のパネラーにより官能評価した。それら評価結果、及び作製時の作業性評価は表5に示した。
Figure 2008067690
Figure 2008067690
表5から明らかなように、ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加せずに、常圧晶析を行った比較例11では製菓試験においては、含気性および吸卵性が悪く、生地も非常に不均一なものとなり、その結果、クッキーの食感および口溶けは悪かった。比較例12は、製菓試験において、含気性および吸卵性は向上し、生地の均一性も向上したが、食感および口溶けは悪かった。ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加すると、クッキーの風味は悪くなり好ましくなかった。テンパリングした比較例13はテンパリングをしていない比較例11よりも結晶が微細であるため、含気性、および吸卵性は向上しているが、生地はそれほど良くならず、焼成したクッキーは比較例11よりも食感、口溶けはよくなっているが実施例9〜11と比べると悪かった。バターを用いた比較例14は、風味は大きく向上したものの、生地作製時の含気性、吸卵性は比較例11と比べると少し向上したが、生地はそれほど良くならず、比較例12と比べると悪かった。またクッキーは、食感および口溶けは向上したものの実施例10および実施例11よりは悪かった。一方、ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加せずに加圧晶析を行った実施例9〜11は、製菓試験においては、加圧晶析時の加圧圧力が大きくなるにしたがって常圧晶析を行った比較例11より含気性および吸卵性が向上するとともに、生地が非常に均一なものになり、クッキーの食感および口溶けが大きく向上した。
(実施例12〜14、比較例15〜18) 吸卵性試験
吸卵性試験は、以下のようにして行った。実施例1〜3および比較例1〜4の油脂組成物100.0重量部と上白糖100.0重量部をホバートミキサーで撹拌し、比重を0.75にする。これに全卵液を加えながらミキシングし、混合物の状態を目視で観察して、混合物と全卵液が分離する直前までの卵添加量(吸卵量)を測定し、次式により吸卵指数[%]を算出した。
吸卵指数[%]=[吸卵量(g)/油脂重量(g)]×100[%]
Figure 2008067690
表6に示すように晶析時の圧力が高い実施例13および14は吸卵指数が高く、乳化剤を添加した比較例16とほぼ同程度の吸卵指数を示した。このように晶析時に圧力をかけることで吸卵剤を用いることなく生地中へ卵など水分を均一に分散させることができ、さらにこの油脂組成物を用いることで多量の卵を加えた菓子を製造することができた。

Claims (10)

  1. 乳化剤を含まず、平均油脂結晶粒径が20μm以下で、結晶粒径が50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下であることを特徴とする製菓用油脂組成物。
  2. 5℃で20日間保管後の平均油脂結晶粒径が20μm以下で、50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下になることを特徴とする請求項1に記載の製菓用油脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の製菓用油脂組成物、砂糖および卵を主に含有する混合物であって、製菓用油脂組成物100重量部に対して卵を100〜200重量部含有し、混合物中の卵が分離していないことを特徴とする混合物。
  4. 製菓用油脂組成物の平均油脂結晶粒径が20μm以下で、50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下である請求項3記載の混合物。
  5. 製菓用油脂組成物が冷蔵状態で72時間以上保管された製菓用油脂組成物である請求項4記載の混合物。
  6. 請求項3〜5何れかに記載の混合物を用いて作った製菓用生地。
  7. 請求項3〜5何れかに記載の混合物を用いて作った菓子。
  8. 20℃のSFC(固体脂含量)が10〜50%の油脂を加圧晶析した製菓用油脂組成物、砂糖および卵を主に含有する混合物であって、製菓用油脂組成物100重量部に対して卵を100〜200重量部含有し、混合物中の卵が分離しない状態で含有していることを特徴とする混合物を用いて作った製菓用生地の製造方法。
  9. 製菓用油脂組成物の平均油脂結晶粒径が、20μm以下で、50μm以上の油脂結晶の数が油脂結晶全体数の1%以下である請求項8記載の製菓用生地の製造方法。
  10. 製菓用油脂組成物が冷蔵状態で72時間以上保管した後で使用することを特徴とする請求項9記載の製菓用生地の製造方法。
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