JP7016029B2 - 床材 - Google Patents

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Description

本発明は床材に関する。
従来より、施工後の一部の床材の交換や、全体的な貼り替えなどをしやすくするために、釘を使用しないようにして取り外しをしやすくした床材が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のものは、床下地の不陸や反りなどによる浮き上がりを防止するために、幅方向の端部に設けた、表面側を突出させた相じゃくり状の実部の裏面側の凹段部の下側に、裏面材を側方に突出させた構成とされている。つまり、裏面材を延出させて突出部を設けることで、表面側を突出させた相じゃくり状の実部の下側の凹段部は本実接合用の雌実部のように作用し、釘打ちされていなくても浮き上がりを防止でき、しかも裏面材が薄く柔軟であるため取り外しはしやすくなる。
特開2018-16958号公報
しかしながら、上記文献の構成であっても、裏面材が薄く柔軟すぎるため、床下地の不陸の程度によっては、また床材の寸法、形状等によっては、浮き上がりを防止できないおそれもある。
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、施工後の床材表面側での浮き上がりや段差の発生を抑制でき、かつ、施工後の一部の床材の取り外しや再取り付けが簡単にできる床材を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の床材は、一方向に長尺状とされた基材層の表面側に表面化粧層を設けた床材であって、前記基材層には、幅方向の全長にわたって延び裏面側において開口した複数の溝が長手方向に間隔を空けて設けられ、該基材層の長手方向の一端部と幅方向の一端部とには雄実部が設けられ、かつ長手方向の他端部と幅方向の他端部とには、隣接して設置される床材の雄実部と本実接合される雌実部が設けられており、前記幅方向の一端部に設けた雄実部の突出寸法が、前記長手方向の一端部に設けた雄実部の突出寸法よりも小さいことを特徴とする。
本発明の床材は上述した構成とされているため、施工後の床材表面側での浮き上がりや段差の発生を抑制でき、かつ、施工後の一部の床材の取り外しや再取り付けが簡単にできる。
本発明の第1、第2実施形態に係る床材の説明図である。(a)は概略平面図、(b)は(a)におけるX-X線に対応した一部破断拡大縦断面図、(c)(d)は(a)におけるY-Y線に対応した第1、第2実施形態に係る床材の一部破断拡大縦断面図である。 第2実施形態に係る床材の施工を示す部分縦断面図である。(a)は施工状態を示した図、(b)は一床材の取り外し態様を示した図、(c)は一床材の取り付け態様を示した図である。 本発明の他の実施形態に係る床材の概略平面図である。
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面をもとに説明する。なお、本明細書および特許請求の範囲では、各実施形態に係る床材1が施工される状態を基準として上下方向等の方向を定める。
まず、各実施形態の床材1に共通する基本構成について説明する。
本床材1は、一方向に長尺状とされた基材層10の表面側に表面化粧層20を設けた床材である。基材層10には、幅方向の全長にわたって延び裏面側において開口した複数の溝11が長手方向に間隔を空けて設けられている。また、基材層10の長手方向の一端部と幅方向の一端部とには雄実部12、15が設けられている。さらに、長手方向の他端部と幅方向の他端部とには、隣接して設置される床材1の雄実部12、15と本実接合される雌実部13、17が設けられている。このような床材1において、幅方向の一端部に設けた雄実部15の突出寸法L1、L3が、長手方向の一端部に設けた雄実部12の突出寸法Lよりも小さい。
ついで、第1、第2実施形態に係る床材1について、図1にもとづいて説明する。図1は、第1、第2実施形態に係る床材1を模式的に示した説明図である。図1(a)は床材1の平面図、図1(b)は(a)におけるX-X線に対応した一部破断拡大縦断面図、図1(c)(d)は(a)におけるY-Y線に対応した第1、第2実施形態に係る床材1の一部破断拡大縦断面図である。なお、第1、第2実施形態に係る床材1は、基材層10の幅方向の一端部に設けた雄実部15の突出寸法L1、L3が相互に異なるが、図1(a)には共通のものを図示した。
本床材1は、略長方形の平板状とされており、床下地3(図2参照)上に長手方向を同一方向に向けて設置される。この床材1は、ねじや釘などの止具の代わりに、両面テープや再剥離性の接着剤(以下、両面テープ等と言う)を用いて、置き敷床として設置されるものとしてもよい。なお、両面テープ等を用いずに、床材1を置くだけの施工であってもよい。
床下地3としては、例えばフリーアクセスフロア(OAフロア)等の二重床下地や、根太や下地ボード、床スラブなどの種々の下地が挙げられる。
置き敷床的に施工される場合、例えば、長さ寸法が600mm~1200mm程度、幅寸法が100mm~200mm程度、厚さ寸法が5mm~15mm程度の床材1を用いればよい。もちろん、このような寸法のものには限られず、長さ寸法が1500mm~2000mm程度、幅寸法が250mm~500mm程度、厚さ寸法が3mm~30mm程度の床材1を用いてもよい。
図1に示した床材1では、基材層10は厚みが4.8mm程度の合板よりなり、基材層10の裏面側には、図1(b)に示すように、長手方向に間隔を空けて、幅方向の全長にわたって延び深さを略同一とした溝11が複数形成されている。また、溝間隔も略同一としている。
床材1は、複数の溝11により、幅方向から見て表面側が凸湾曲することが可能である。したがって、床材1の交換の際に、床材1を撓ませることで、基材層10の長手方向の両端部において、本実接合および本実接合の解除を容易に行える。なお、上述したように、基材層10の長手方向、幅方向のいずれにも、その両端部に本実接合用の実部が形成されているが、これらの詳細については後述する。
この基材層10の表面側には、突き板22などの化粧材を少なくとも含む表面化粧層20が設けられている。本図例の表面化粧層20は、下から順に、厚みが0.1mm程度の防湿シート21、厚みが0.23mm~0.25mm程度の突き板22が配され、その表面に高結合ハード塗装が施されたものとされる。突き板22としては、熱着色された突き板やオーク材、メイプル材が用いられればよい。
また、基材層10の裏面側には、上から順に、厚みが0.1mm程度の防湿シート25、厚みが0.23mm~0.25mm程度の突き板26が配され、その裏面に裏面材27が貼り付けされている。突き板26としてはピーチ材が用いられている。裏面材27としては、ガラス不織布を主原料とし、ポリエチレン樹脂や他の不織布を含んだ、目付け量が30g/m2程度のものが用いられている。
床材1としては、本実施形態で用いられる上記のものには限られない。基材層10としては、木質系材料や、合成樹脂系材料、無機系材料、金属系材料等から形成されたものとしてもよく、複数種の材料から形成されたものとしてもよい。例えば、LVL(単板積層材)でもよく、パーティクルボード等の木質ボード、MDF(中密度繊維板)やHDF(高密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系ボードから形成されたものとしてもよいし、木質系プラスチックボードとしてもよい。また、表面化粧層20や裏面層についても他の材料で構成してもよい。
上述したように、基材層10(床材1)の長手方向、幅方向の両端部には本実接合用の実部が形成されている。具体的には、図1(b)に示すように、長手方向の一端部(一方の短手辺縁部)には雄実部12が形成されている。この雄実部12は基材層10の厚さ方向の中央部で板状に突出してなる。長手方向の他端部(他方の短手辺縁部)には、雄実部12の形状および寸法に合わせて、この雄実部12が接合し得る雌実部13が形成されている。
また、第1実施形態のものでは、図1(c)に示すように、床材1の幅方向の一端部(一方の長手辺縁部)には、厚み方向の中央部において上下面が近づくようにテーパー状に突出した形状とした雄実部15が形成されている。さらに、幅方向の他端部(他方の長手辺縁部)には、厚み方向の中央部において上下面が近づくようにテーパー状に凹んだ形状とされる雌実部17が形成されている。つまり、雌実部17は雄実部15の形状および寸法に合わせて、この雄実部15と接合し得るように設けられている。
本実施形態のものでは特に、雄実部15の上下テーパー面15a、15bの起点は基材層10の端面の上端、下端とされ、雌実部17の上下テーパー面17a、17bの起点は基材層10の端面の上端、下端とされる。
この雄実部15の突出寸法L1は、雌実部17の凹み寸法L2と略同一または凹み寸法L2よりも小とされる。また、この雄実部15の側方への突出寸法L1は、短手辺縁部に設けた雄実部12の突出寸法Lよりも小とされる(図1(b)(c)参照)。
図1(c)における雄実部15の先端の角度θ1(上下テーパー面15a、15bのなす角度)は、雌実部17の奥端の上下テーパー面17a、17bのなす角度θ2と略同一とされる。この雄実部15の先端の角度θ1は、図例のように、鈍角とすることが望ましい。なお、突出寸法L1が凹み寸法L2よりも小の場合は、角度θ2より大としてもよい。
また、第2実施形態のものでは、図1(d)に示すように、第1実施形態のものと同様に、一方の長手辺縁部にはテーパー状に突出した形状とした雄実部15が形成され、他方の長手辺縁部には、テーパー状に凹んだ形状とされる雌実部17が形成されている。
本実施形態のものは特に、雄実部15の上下側に、底面に対し略垂直とされた垂直面16が形成され、雌実部17の上下側に、底面に対し略垂直とされた垂直面18が形成されている。ようするに、雄実部15の上テーパー面15aの起点は上垂直面16の下端とされ、下テーパー面15bの起点は下垂直面16の上端とされる。また、雌実部17の上テーパー面17aの起点は上垂直面18の下端とされ、下テーパー面17bの起点は下垂直面18の上端とされる。
図1(d)における雄実部15の突出寸法L3は、雌実部17の凹み寸法L4と略同一または凹み寸法L4よりも小とされる。雄実部15の先端の角度θ3(上下テーパー面15a、15bのなす角度)は、雌実部17の奥端の上下テーパー面17a、17bのなす角度θ4と略同一とされる。角度θ3は、突出寸法L3が凹み寸法L4よりも小の場合は、角度θ4より大としてもよい。
この雄実部15の先端の角度θ3は、図1(c)に示した床材の角度θ1と略同一とされる。したがって、図1(d)の雄実部15の突出寸法L3は、図1(c)の突出寸法L1よりも小さく、もちろん、短手辺縁部に設けた雄実部12の突出寸法Lよりも小さい(図1(b)(d)参照)。
以上のように、第1、第2実施形態に係る床材1は、一方の長手辺縁部に雄実部15が設けられ、他方の長手辺縁部に雌実部17が設けられて、幅方向の端部において本実接合ができる構成とされている。そのため、施工後において、両面テープ等による接着強度が弱まった場合あるいは両面テープ等を用いない場合に、床下地3の不陸等による床材1の表面における浮き上がりや段差の発生を抑制することができる。
床材1の幅方向の本実接合については、床材1の幅方向の長さ寸法が長手方向の長さ寸法よりも十分に小さく、かつ溝11も形成されていないため、床材1を幅方向の中央部が凸湾曲するように撓ませることはほとんどできない。しかし、長手辺縁部に設けた雄実部15の突出寸法L1、L3は、短手辺縁部に設けた雄実部12の突出寸法Lよりも小さいため、床材1の交換の際にも、幅方向の両端部において本実接合および本実接合の解除が容易に行える。
また、角度θ1、θ3は鈍角であるため、床材1の交換の際における端部の上下のスライド操作もしやすく、床材1の交換作業はしやすい。床材1の交換については、第2実施形態に係る床材1を例として示した図2を参照しながら説明する。図2(a)は施工状態を示した図、図2(b)は1枚の床材1の取り外し態様を示した図、図2(c)は1枚の床材1の取り付け態様を示した図である。
床下地3に段差などの不陸があった場合にも、図2(a)のように、隣接する床材1間の長手辺縁部どうしが本実接合しているため、浮き上がりや段差は生じにくい。そうでありながらも、その雄実部15の突出寸法L3(図1(d)参照)は長手方向の雄実部12の突出寸法Lよりも小さいため、図2(b)(c)のように、床材1の取り外しも、新たな床材1の取り付けもしやすい。雄実部15の突出寸法L3が小さいため、床材1の取り外し、取り付けの際の破損も起こりにくい。
特に、基材層10の幅方向の一端部に設けた雄実部15を厚さ方向において先細り形状(テーパー状)にしておけば、スムーズな床材1の交換作業が行える。また、雄実部15の先端の角度θ3が鈍角であるため、さらにスムーズな取り外し、取り付けを行うことができる。また、第2実施形態の床材1は実部の下側に垂直面16、18が形成されているため、床材1の取り付けを特にしやすくできる(図2(c)参照)。
なお、基材層10の幅方向の一端部に設けた雄実部15は、テーパー状とされたものには限られず、少なくとも、長手方向の一端部に設けた雄実部12よりも突出寸法が十分に小さいものであればよい。幅方向の一端部の雄実部15としては、例えば、長手方向の雄実部12よりも突出の程度を小さくしただけの形状のものでもよいし、上面のみを下り傾斜させたものや下面のみを上り傾斜させたものでもよく、また半円状に突出させた形状のものであってもよい。
また、基材層10の幅方向の一端部の雄実部15としては、図3に示すように、長手方向に沿って所定間隔ごとに形成されたものとしてもよい。図3は、第3実施形態に係る床材1の概略平面図である。なお本実施形態では、長手方向の一端部に設けた雄実部12の断面形状および他端部に設けた雌実部13の断面形状は、図1(b)のものと同様であるため、図示を省略する。また、溝11(図1(b)参照)、表面化粧層20、裏面材27(図1(b)参照)等についても、断面形状は第2実施形態のものと同様であり、断面図は省略する。
また、幅方向の一端部に設けた雄実部15Aの断面形状および他端部に設けた雌実部17の断面形状は、図1(c)または(d)のものと同様である。しかし、本実施形態では図3に示すように、雄実部15Aは、間隙19を挟んで不連続に複数配されている。また、雌実部17は、雄実部15Aと接合できる形状であればよい。図3の例では、雌実部17は図1のものと同様、長手方向に連通しているが、雄実部15Aに対応させた不連続な凹所であってもよい。
このように、幅方向の一端部に設けた雄実部15は長手方向に沿った長いものではないため、雌実部17との接合および接合解除はしやすく、床材1の交換作業は、第2実施形態のものよりもさらにしやすくなる。
1 床材
3 床下地
10 基材層
11 溝
12 (基材層の)長手方向の一端部に設けた雄実部
L (基材層の)長手方向の一端部に設けた雄実部の突出寸法
13 (基材層の)長手方向の他端部に設けた雌実部
15、15A (基材層の)幅方向の一端部に設けた雄実部
L1、L3 (基材層の)幅方向の一端部に設けた雄実部の突出寸法
16 垂直面、上垂直面、下垂直面
17 (基材層の)幅方向の一端部に設けた雌実部
18 垂直面、上垂直面、下垂直面
20 表面化粧層

Claims (5)

  1. 一方向に長尺状とされた基材層の表面側に表面化粧層を設けた床材であって、
    前記基材層には、幅方向の全長にわたって延び裏面側において開口した複数の溝が長手方向に間隔を空けて設けられ、該基材層の長手方向の一端部と幅方向の一端部とには雄実部が設けられ、かつ長手方向の他端部と幅方向の他端部とには、隣接して設置される床材の雄実部と本実接合される雌実部が設けられており、
    前記幅方向の一端部に設けた雄実部の突出寸法が、前記長手方向の一端部に設けた雄実部の突出寸法よりも小さいことを特徴とする床材。
  2. 請求項1において、
    前記幅方向の一端部に設けた雄実部は、厚み方向中央部において上下面が近づくようにテーパー状に突出した形状とされ、前記幅方向の他端部に設けた雌実部は、厚み方向中央部において上下面が近づくようにテーパー状に凹んだ形状とされることを特徴とする床材。
  3. 請求項2において、
    前記幅方向の一端部に設けた雄実部の下側に、底面に対し略垂直とされた垂直面が形成され、前記幅方向の他端部に設けた雌実部の下側に、底面に対し略垂直とされた垂直面が形成されていることを特徴とする床材。
  4. 請求項2または3において、
    前記幅方向の一端部に設けた雄実部の先端の角度が鈍角とされることを特徴とする床材。
  5. 請求項1~4のいずれか1項において、
    前記幅方向一端部の雄実部は、長手方向に沿って所定間隔ごとに形成されていることを特徴とする床材。


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