JP7011388B2 - 溝構造のめっき方法 - Google Patents
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Description
アクチュエータプレートは、圧電体(例えばPZT)からなり、このアクチュエータプレートに電圧をかけて変形させることで、吐出チャネル内のインクを吐出させる。アクチュエータプレートは、圧電体に溝構造を形成し、無電解めっきを行うことで、電極を溝内部に形成したものがある。
例えば特許文献1には、無電解めっきで導電パターンを形成する方法において、パラジウム等の触媒をパターン状に形成し、触媒を塗布する際の溶剤を加熱により除去し、その後、無電解めっきを行うことが記載されている。
しかし、溝構造の溝幅が狭くなると、触媒付与時等に溝内部の液交換が難しくなり、触媒及び触媒以外の物質(未反応物質等)が溝内に浮遊する。この浮遊物は、めっき時にめっきダマを形成する原因となる。また、溝表面の触媒上を浮遊物が被覆すると触媒反応を阻害する。
請求項2に記載した発明は、前記触媒付与工程では、前記基材を塩化すず水溶液に浸漬させた後、前記基材を塩化パラジウム水溶液に浸漬させる。
請求項3に記載した発明は、前記めっき工程は、前記基材をめっき液に浸漬させて、20~400Hzの周波数で振動させる工程を含む。
請求項4に記載した発明は、前記水洗工程は、前記基材を洗浄液に浸漬させて、20~400Hzの周波数で振動させる工程を含む。
請求項5に記載した発明は、前記触媒付与工程、水洗工程および乾燥工程のセットを複数回行う。
また、浮遊物を捕獲してめっきダマの発生を抑制することで、水洗条件を緩和して生産性を向上させることができる。
また、溝幅を狭めることが要求されるインクジェットヘッドのアクチュエータプレートに対し、溝幅が狭くてもめっき不良の発生を抑えることができる。
また、二液による触媒付与工程を行っても溝内に未反応物質が残り難くなり、浮遊物によるめっき不良の発生を抑えることができる。
請求項2に記載した発明によれば、塩化すず水溶液および塩化パラジウム水溶液の二液により、基材の表面に触媒を良好に付与することができる。
請求項3に記載した発明によれば、めっき工程で基材を20~400Hzの周波数で振動させることで、基材表面に金属イオンが新たに供給されて、基材表面にめっき膜をむらなく形成することができる。
請求項4に記載した発明によれば、水洗工程で基材を20~400Hzの周波数で振動させることで、基材の表面に付着した異物および気泡を良好に除去し、溝内に一様にめっきを施すことができる。
請求項5に記載した発明によれば、触媒付与工程、水洗工程および乾燥工程のセットを複数回行うことで、より多くの触媒を付与でき、溝内に一様なめっきを施すことができる。
また、複数回に分けて触媒付与工程と乾燥工程とを行うことで、一回の触媒付与工程で発生する溝内の浮遊物の量を抑えることができる。この点でも、浮遊物によるめっき不良の発生を抑えることができる。また、触媒を満遍なく付与して膜厚不足を低減することができる。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、インクが収容されたインクタンク4と、被記録媒体に液滴状のインクを吐出するインクジェットヘッド5と、インクタンク4とインクジェットヘッド5との間でインクを循環させるインク循環装置6と、を備えている。インク循環装置6は、循環流路23と、加圧ポンプ24と、吸引ポンプ25と、を備えている。循環流路23は、インクジェットヘッド5にインクを供給するインク供給管21と、インクジェットヘッド5からインクを排出するインク排出管22と、を備えている。
図2、図3に示すように、インクジェットヘッド5は、後述する吐出チャネル54におけるチャネル延在方向の先端部からインクを吐出する(エッジシュート)。インクジェットヘッド5は、いわゆるエッジシュートのうち、インクタンク4との間でインクを循環させる循環式(縦循環式)のヘッドである。また、インクジェットヘッド5は、複数のノズル孔(噴射孔)83,84が二列に亘って形成された二列タイプのヘッドである。
ここで、図中X方向は、被記録媒体の搬送方向、図中Y方向は、被記録媒体におけるX方向と直交する幅方向、図中Z方向はX方向及びY方向と直交する高さ方向をそれぞれ示す。以下の説明では、Z方向のうち、インクジェットヘッド5のノズルプレート44側を下、ノズルプレート44とは反対側を上ということがある。また、以下の説明では、Y方向のうち、インクジェットヘッド5の中心に向かう側を内、インクジェットヘッド5の中心から離間する側を外ということがある。各ヘッドチップ40A,40Bは互いに共通の構成を有し、以下、単にヘッドチップ40として説明する。
図2~図4に示すように、ヘッドチップ40は、アクチュエータプレート51と、カバープレート52と、を有している。
アクチュエータプレート51は、分極方向が厚さ方向(Y方向)で異なる2枚の圧電基板を積層した積層基板とされている(いわゆる、シェブロン基板)。圧電基板は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等からなるセラミックス基板が好適に用いられている。アクチュエータプレート51は、基材(めっき前部材)にめっきによって電極61,63および配線62を形成したものである。基材は、PZT基板の表裏一側面にチャネル54,55となる溝構造を形成している。
アクチュエータプレート51のうち、吐出チャネル54に対して上方に位置する部分(以下、尾部という。)の表面には、共通配線62が形成されている。共通配線62は、Z方向に延びる帯状に形成されている。共通配線62は、下端部が共通電極61に接続され、上端部が尾部上で終端している。
図5は、アクチュエータプレート51の製造方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、アクチュエータプレート51の製造方法は、マスクパターン形成工程S10と、チャネル形成工程S20と、電極形成工程S30と、を備えている。各工程は、複数のアクチュエータプレート51を切出し可能なウェハに対してなされる。
チャネル形成工程S20では、図示しないダイシングブレード等により、アクチュエータプレート51の表面に対して切削加工を行う。具体的には、アクチュエータプレート51の表面上に、複数のチャネル54,55がX方向に間隔をあけて平行に並ぶように形成する。
なお、上述したマスクパターン形成工程S10及びチャネル形成工程S20は、マスクパターンを所望の形状に形成することができれば工程の順番が逆になってもよい。
電極形成工程S30は、前処理工程S31と、第一触媒付与工程S32と、第一水洗工程S33と、第一乾燥工程S34と、第二触媒付与工程S35と、第二水洗工程S36と、第二乾燥工程S37と、めっき工程S38と、を備えている。
第一水洗工程S33は、ウェハを低周波(例えば20Hz~400Hz、好ましくは50Hz~150Hz)で振動させる工程を含んでいる。
また、乾燥工程S34,S37を設けて浮遊物の残存を抑えることで、より多くの触媒を付与でき、溝底部にもしっかりとめっきを行うことができる。このため、溝内部にめっきの薄い部分が発生することを抑制し、品質を安定させて歩留まりを向上させることができる。
また、浮遊物を捕獲してめっきダマの発生を抑制することで、水洗条件を緩和して生産性を向上させることができる。
具体的に、上記溝構造のめっき方法においては、前記触媒付与工程S32,S35では、前記基材を塩化すず水溶液に浸漬させた後、前記基材を塩化パラジウム水溶液に浸漬させる、という工程により、基材の表面に触媒を互い密着性で良好に付与することができる。
また、上記溝構造のめっき方法においては、前記水洗工程S33,S36は、前記基材を洗浄液に浸漬させて低周波振動させる工程を含むので、基材の表面に付着した異物および気泡を良好に除去し、溝内に一様にめっきを施すことができる。
また、複数回に分けて触媒付与工程S32,S35と乾燥工程S34,S37とを行うことで、一回の触媒付与工程で発生する溝内の浮遊物の量を抑えることができる。この点でも、浮遊物によるめっき不良の発生を抑えることができる。また、触媒を満遍なく付与して膜厚不足を低減することができる。
そして、上記溝構造のめっき方法においては、インクジェットヘッド5のアクチュエータプレート51に形成されているチャネル54,55の内面にめっきを行うので、溝幅を狭めることが要求されるインクジェットヘッド5のアクチュエータプレート51に対し、溝幅が狭くてもめっき不良の発生を抑えることができる。
上述した実施形態では、アクチュエータプレート51にシェブロン基板を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、分極方向が厚さ方向で同一の圧電基板をアクチュエータプレートとして用いても構わない。
上述した実施形態では、エッジシュートのインクジェットヘッド5に適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、吐出チャネルにおけるチャネル延在方向の中央部からインクを吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドに本発明を適用してもよい。
上述した実施形態では、プリンタ1のインクジェットヘッド5に適用した例について説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等のインクジェットヘッドであってもよい。さらに、インクジェットヘッド以外の溝構造への適用も可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
S32 第一触媒付与工程
S33 第一水洗工程
S34 第一乾燥工程
S35 第二触媒付与工程
S36 第二水洗工程
S37 第二乾燥工程
S38 めっき工程
5 インクジェットヘッド
51 アクチュエータプレート
54 吐出チャネル
55 ダミーチャネル
Claims (5)
- 基材の溝構造を含む表面にエッチングを行う前処理工程と、
前記前処理工程後に前記基材の表面に触媒を付与する触媒付与工程と、
前記触媒付与工程後に前記基材の表面を洗浄液で洗浄する水洗工程と、
前記水洗工程後に、前記基材に形成されている溝の内面を含む前記基材の表面の洗浄液を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程後に前記基材の表面にめっきを行うめっき工程と、
を備え、
前記めっき工程では、インクジェットヘッドのアクチュエータプレートに形成されているチャネルの内面にめっきを行い、めっき膜を形成し、
前記触媒付与工程では、前記基材の表面に還元剤を吸着後、前記基材の表面に触媒を還元析出させる、
溝構造のめっき方法。 - 前記触媒付与工程では、前記基材を塩化すず水溶液に浸漬させた後、前記基材を塩化パラジウム水溶液に浸漬させる、
請求項1に記載の溝構造のめっき方法。 - 前記めっき工程は、前記基材をめっき液に浸漬させて、20~400Hzの周波数で振動させる工程を含む、
請求項1または2に記載の溝構造のめっき方法。 - 前記水洗工程は、前記基材を洗浄液に浸漬させて、20~400Hzの周波数で振動させる工程を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載の溝構造のめっき方法。 - 前記触媒付与工程、水洗工程および乾燥工程のセットを複数回行う、
請求項1から4の何れか一項に記載の溝構造のめっき方法。
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