JP7007246B2 - 車両用ドアのアウトハンドル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ドアのアウターパネルに開口部が設けられ、挿入孔を有するハンドルベースが、当該ハンドルベースの一部を前記開口部から前記アウターパネル内に挿入しつつ前記開口部を塞ぐようにして前記車両用ドアに固定され、前記アウターパネルの外方での開扉操作を可能とするアウトハンドルに設けられる連結腕部が、前記アウトハンドルの非操作状態での非操作位置ならびに前記アウトハンドルの開扉操作完了状態での開扉操作位置間で移動することを可能として前記ハンドルベースの前記挿入孔に挿入され、前記連結腕部に連動、連結されるハンドルレバーが、前記連結腕部の前記非操作位置に対応した非作動位置ならびに前記連結腕部の前記開扉操作位置に対応した作動位置間で回動することを可能として前記ハンドルベースに支持され、前記ハンドルベースおよび前記ハンドルレバー間に介在して前記ハンドルレバーを前記非作動位置側に向けて弾発付勢する戻しばねが前記ハンドルレバーに装着され、前記連結腕部に連動、連結された前記ハンドルレバーが組み付けられた状態にある前記ハンドルベースの前記車両用ドアへの組み付け時に、前記ハンドルレバーの前記開口部への挿通が前記非作動位置にある状態では不能であるものの前記作動位置にある状態では許容されるようにした車両用ドアのアウトハンドル装置に関する。
アウトハンドルを車両用ドアに組み付ける際には、アウトハンドルの連結腕部に連動、連結されたハンドルレバーが組み付けられた状態のハンドルベースを、アウターパネルに固定するのであるが、前記アウターパネルに設けられた開口部に非作動位置にあるハンドルレバーを挿通することはできず、アウトハンドルを開扉操作することで前記ハンドルレバーを作動位置とすることによって前記開口部への前記ハンドルレバーの挿通が可能となる。このため従来では作業者がアウトハンドルの開扉操作位置を維持しながら組み付け作業を行なっていたが、操作が煩雑となる。この課題を解決するために、アウトハンドルの開扉操作状態でアウトハンドルの連結腕部をハンドルベースに係合させるようにしたものが、特許文献1で知られている。
特許第3794291号公報
ところで、上記特許文献1で開示されたものでは、アウトハンドルの連結腕部と、ハンドルベースとの係合でハンドルレバーを作動位置に保持するものであるが、アウトハンドルは衝撃を受けやすく、少しの衝撃や、作業者の組み付け作業によって連結腕部およびハンドルベースの係合が外れてしまう虞がある。また組み付け作業の容易化を目的として、ハンドルレバーを作動位置とするようにアウトハンドルを開扉操作状態で仮保持したまま輸送することも考えられ、この場合にも上記特許文献1開示の係合構造では輸送時の振動で係合が外れてしまう虞がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ハンドルレバーを作動位置とするようにアウトハンドルを開扉操作位置に保持する状態を維持し得るようにした車両用ドアのアウトハンドル装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、車両用ドアのアウターパネルに開口部が設けられ、挿入孔を有するハンドルベースが、当該ハンドルベースの一部を前記開口部から前記アウターパネル内に挿入しつつ前記開口部を塞ぐようにして前記車両用ドアに固定され、前記アウターパネルの外方での開扉操作を可能とするアウトハンドルに設けられる連結腕部が、前記アウトハンドルの非操作状態での非操作位置ならびに前記アウトハンドルの開扉操作完了状態での開扉操作位置間で移動することを可能として前記ハンドルベースの前記挿入孔に挿入され、前記連結腕部に連動、連結されるハンドルレバーが、前記連結腕部の前記非操作位置に対応した非作動位置ならびに前記連結腕部の前記開扉操作位置に対応した作動位置間で回動することを可能として前記ハンドルベースに支持され、前記ハンドルベースおよび前記ハンドルレバー間に介在して前記ハンドルレバーを前記非作動位置側に向けて弾発付勢する戻しばねが前記ハンドルレバーに装着され、前記連結腕部に連動、連結された前記ハンドルレバーが組み付けられた状態にある前記ハンドルベースの前記車両用ドアへの組み付け時に、前記ハンドルレバーの前記開口部への挿通が前記非作動位置にある状態では不能であるものの前記作動位置にある状態では許容されるようにした車両用ドアのアウトハンドル装置において、両端部に第1係合部および第2係合部を有するとともに前記第1係合部を前記ハンドルレバーに当接、係合させた前記戻しばねが、前記ハンドルベースの前記車両用ドアへの組み付け時に前記開口部に挿入された前記連結腕部を前記開扉操作位置とした仮保持状態では前記第2係合部を前記ハンドルレバーに未係合とする状態と、前記ハンドルベースの前記車両用ドアへの組み付け完了後に前記第2係合部を前記ハンドルベースに当接、係合させる状態とを切り替えることを可能として、前記ハンドルレバーに装着されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ハンドルレバーに、当該ハンドルレバーを前記ハンドルベースに回動可能に支持する支軸を挿通させる円筒状の支持筒部が設けられ、前記戻しばねが、前記支持筒部を囲繞するコイル部と、当該コイル部の一端部に設けられて前記ハンドルレバーに当接、係合される前記第1係合部と、前記ハンドルベースに設けられるばね係止部に当接、係合することを可能として前記コイル部の他端部に設けられる前記第2係合部とを有するねじりばねであり、前記ばね係止部とは未係合である前記第2係合部に当接し得る押圧当接部が、前記連結腕部の前記開扉操作位置から前記非操作位置への移動に応じて前記第2係合部を前記ばね係止部側に押圧することを可能として前記連結腕部に設けられ、前記ハンドルベースに、前記開扉操作位置から前記非操作位置への前記連結腕部の移動に伴って前記第2係合部を前記ばね係止部側にガイドするカム部が設けられることを第2の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、ハンドルベースの挿入孔に挿入した連結腕部に連動、連結された状態のハンドルレバーが組付けられたハンドルベースを車両用ドアに組み付ける前に、ハンドルレバーに第1係合部を係合した状態に在る戻しばねの第2係合部をハンドルベースのばね係止部には未係合としつつ、連結腕部を開扉操作位置として仮保持状態としておくと、戻しばねのばね力が作用しない状態にあるハンドルレバーを作動位置に移動させてアウターパネルの開口部にハンドルレバーを容易に挿通することが可能となり、アウトハンドルを車両用ドアに組み付ける際の作業が容易となる。しかも衝撃を受け易いアウトハンドル自体を係合させるものではないので、仮保持状態が容易に解除されてしまうことはなく、しかもハンドルレバーの仮保持のための専用の部品が不要であり、部品点数の増加を避けることができる。
また本発明の第2の特徴によれば、戻しばねの第2係合部がばね係止部に未係合の状態に在るときに連結腕部を開扉操作位置から非操作位置に移動させると、連結腕部の押圧当接部が第2係合部に当接して第2係合部をハンドルベースのばね係止部側に押圧することになり、その際、ハンドルベースに設けられたカム部によって第2係合部がばね係止部側にガイドされるので、連結腕部を開扉操作位置から非操作位置に移動させるだけで第2係合部をばね係止部に当接、係合させることができ、第2係合部をばね係止部に当接、係合させる作業が容易となる。また衝撃や輸送時の振動によって連結腕部が開扉操作位置から非操作位置側に多少押されたとしても連結腕部が非操作位置まで移動しない限りは戻しばねの第2係合部がハンドルベースのばね係止部に係合してハンドルレバーが非作動位置まで回動してしまうことはなく、ハンドルレバーを作動位置側に保持する仮保持状態が解除されてしまう可能性を低く抑えることができる。
車両用ドアの一部を示す側面図である。 アウトハンドルが非操作位置にあるときの図1の2-2線断面図である。 連結腕部が非操作位置にある状態でのアウトハンドルの一部およびハンドルベースをアウターパネル側の下方からから見た斜視図である。 連結腕部が開扉操作位置にある状態でのアウトハンドルの一部およびハンドルベースをアウターパネル側の下方から見た斜視図である。 図3の5-5線断面図である。 戻しばねの斜視図である。 非作動位置にあるハンドルレバーをアウターパネルの開口部に挿通する状態を示すための図2の7-7線に沿う断面図である。 連結腕部が開扉操作位置にあって戻しばねの第2係合部がばね係止部に係合していない状態での図3および図4に対応した斜視図である。 ハンドルベースの車両用ドアへの組み付け時の連結腕部の移動に伴う戻しばねの状態変化を順次示すための図7に対応した断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図1~図9を参照しながら説明すると、先ず図1および図2において、たとえばサイドドアである車両用ドアDのアウターパネル11には、車両前後方向(図1の左右方向)に延びるアウトハンドル12が車両用ドアDの外面側で操作することを可能として回動可能に取付けられる。前記アウターパネル11には、その外方で前記アウトハンドル12を把持する車両ユーザの手を挿入することを可能とするための窪み13を形成する彎曲部11aが、車幅方向内方側に膨らむようにして設けられる。
前記アウトハンドル12は、前記アウターパネル11の外側方で車両前後方向に延びるように配置されるハンドル本体14と、そのハンドル本体14の車両前後方向前端部に連設される略L字状の支持腕部15と、前記ハンドル本体14の他端部寄りに連設される連結腕部16とを有する。前記ハンドル本体14は、前記アウターパネル11と反対側に開放した略U字状の横断面形状を有するハンドル本体主部17と、そのハンドル本体主部17を前記アウターパネル11と反対側から覆うハンドルカバー18とから成り、前記支持腕部15および前記連結腕部16は前記ハンドル本体主部17に一体に連設される。また前記ハンドルカバー18は、前記ハンドル本体主部17の後端部からさらに後方に延びるはみ出し部18aを有するように形成される。
前記アウターパネル11の内面には、前記湾曲部11aよりも車両前後方向前方に配置される支持部材19が、ボルト20およびナット(図示せず)で締結される。前記ハンドル本体14におけるハンドル本体主部17の前端部には、前記アウターパネル11の外面との間に介装される薄板平板状の第1シート部材22が装着される。また前記支持部材19には、前記アウターパネル11の内側で略L字状に屈曲したハンドル支持部19aが一体に設けられており、前記第1シート部材22および前記アウターパネル11を貫通して当該アウターパネル11の内側に挿入される前記支持腕部15が、前記ハンドル支持部19aに支持ピン23を介して回動可能に支持される。
前記車両用ドアDには、前記湾曲部11aを前記支持部材19との間に挟むハンドルベース25が固定される。このハンドルベース25は、前記アウターパネル11に設けられる開口部26からアウターパネル11内に当該ハンドルベース25の一部を挿入しつつ前記開口部26を塞いで前記車両用ドアDに固定されるものであり、前記アウターパネル11の外方に配置されるベース主部25aと、前記アウトハンドル12の前記連結腕部16をガイドするようにして前記ベース主部25aから前記アウターパネル11の内方に延出されるガイド部25bと、前記ベース主部25aの後部から前記アウターパネル11の内方に延出される被取付け部25cとを一体に有するように形成される。前記ベース主部25aは、前記アウトハンドル12が非操作位置にある状態では、前記ハンドル本体14におけるハンドルカバー18の前記ハンドル本体主部17から後方へのはみ出し部18aで覆われる。また前記ベース主部25aおよび前記アウターパネル11の外面間には、前記開口部26を囲む薄板平板状の第2シート部材27が介装される。
前記ベース主部25aの前記窪み13側の端部には、前記ハンドル本体14におけるハンドル本体主部17の後端部を受け入れる受け入れ凹部28が設けられ、この受け入れ凹部28には、前記連結腕部16を挿入させる矩形状の挿入孔29が形成され、前記ガイド部25bは、前記挿入孔29に連なって角筒状に形成される。
前記被取付け部25cにはナット30が圧入されており、車両用ドアDにおける後端側の端壁32には前記ナット30に螺合するボルト31が挿通され、このボルト31の締め付けによって前記ハンドルベース25が車両用ドアDに固定される。
前記連結腕部16よりも後方で前記ハンドルベース25には、メカニカルキー(図示せず)によって鎖錠および解錠操作が行われるシリンダ錠33(図1参照)のシリンダボディ(図示せず)が固定され、前記アウトハンドル12の前記ハンドル本体14におけるハンドルカバー18の前記はみ出し部18aには、前記シリンダ錠33を臨ませる透孔34が形成される。
図3および図4を併せて参照して、前記連結腕部16は、前記アウトハンドル12の非操作状態での非操作位置(図2および図3で示す位置)ならびに前記アウトハンドル12の開扉操作完了状態での開扉操作位置(図4で示す位置)間で移動することを可能として前記挿入孔29に挿入されており、その連結腕部16の前記非操作位置に対応した非作動位置(図3で示す位置)ならびに前記連結腕部16の前記開扉操作位置に対応した作動位置(図4で示す位置)間で回動することを可能としたハンドルレバー36が、前記連結腕部16に連動、連結されるとともに前記非作動位置側に向けて弾発付勢されつつ前記ハンドルベース25に支持される。
図5を併せて参照して、前記ハンドルレバー36は、前記ハンドル本体14の長手方向に沿う軸線を有する支軸37を介して前記ハンドルベース25に支持される。前記支軸37は、前記ハンドル本体14の長手方向に間隔をあけつつ前記連結腕部16の上方で前記ハンドルベース25に一体に設けられる第1および第2の支持壁38,39間にわたって設けられる。
前記ハンドルレバー36は、前記第1および第2の支持壁38,39間に配置されるとともに前記支軸37が挿通される円筒状の支持筒部36aと、その支持筒部36aの前記第1の支持壁38寄りの部分に連設されて前記支持筒部36aから半径方向外方に張り出す平板状の係合腕部36bと、その係合腕部36bに連設される重錘部36cとを一体に有するように形成され、このハンドルレバー36には、前記ハンドルベース25および前記ハンドルレバー36間に介在して前記ハンドルレバー36を前記非作動位置側に向けて弾発付勢する戻しばね35が装着される。
前記アウトハンドル12の前記連結腕部16には、この連結腕部16の上下両側に開口するとともに前記連結腕部16の先端側端壁16aで前記ハンドル本体14とは反対側の端部が閉じられる連結孔40が形成されており、前記ハンドルレバー36における前記係合腕部36bは、前記連結孔40内に挿入される。また角筒状の前記ガイド部25bは、前記係合腕部36bの先端部を前記連結孔40内に挿入することを可能として形成される。
前記連結孔40内で前記係合腕部36bの先端部は前記先端側端壁16aに当接しており、前記アウトハンドル12の回動に伴う前記連結腕部16の前記非操作位置および開扉操作位置間での移動に応じて、前記ハンドルレバー36が、前記非作動位置および前記作動位置間で回動することになる。
図2に注目して、前記ハンドルレバー36の前記重錘部36cには、弾性材料から成るブッシュジョイント41が前記支軸37の軸線と平行な軸線まわりの回動を可能として弾発、嵌合されており、このブッシュジョイント41に一端部が連結されるロッド42の他端部が車両用ドアD内に設けられるラッチ機構43に連結される。すなわち前記ハンドルレバー36が非作動位置から作動位置に回動することで、前記ラッチ機構43に前記ロッド42からの押圧力が入力される。
前記ラッチ機構43は、車両ユーザが車両用ドアDをロックする意志を確認したときに、車両ユーザが携帯する携帯器および車両間の通信によって正規の携帯器であることが確認された状態で車両用ドアDをロック状態に保持し、車両用ドアDのロック状態で前記ハンドル本体14を車両ユーザが握ることで車両ユーザが車両用ドアDをアンロックする意志を確認したときに車両ユーザが携帯する携帯器および車両間の通信によって正規の携帯器であることが確認された状態で車両用ドアDをロック状態を解除するものであり、そのアンロック状態で前記ロッド42からの押圧力が前記ラッチ機構43に入力されることで車両用ドアDを開放することができる。
図6を併せて参照して、前記戻しばね35は、前記ハンドルレバー36の前記支持筒部36aを囲繞するコイル部35aと、当該コイル部35aの一端部に設けられて前記ハンドルレバー36に当接、係合される前記第1係合部35bと、前記ハンドルベース25に設けられるばね係止部45に当接、係合することを可能として前記コイル部35aの他端部に設けられる第2係合部35cとを有するねじりばねであり、前記コイル部35aを前記支持筒部36aに嵌装することで前記ハンドルレバー36に装着される。
ところで前記ハンドルレバー36が、前記非作動位置にある状態では、前記ハンドルレバー36の前記重錘部36cは前記アウターパネル11の開口部26の上縁よりも上方にはみ出した状態にあり、この状態のままでは、アウトハンドル12の前記連結腕部16に連動、連結されたハンドルレバー36が組み付けられたハンドルベース25の車両用ドアDへの組み付け時に前記ハンドルレバー36を前記開口部26にそのまま挿通することはできない。一方、前記ハンドルレバー36が前記作動位置にある状態では、前記ハンドルレバー36の前記重錘部36cの一部が前記アウターパネル11の開口部26の上縁よりもわずかに上方にはみ出した状態にあり、この状態で、前記ハンドルベース25を図7で示すようにわずかに傾けることで、前記ハンドルレバー36の前記重錘部36cを前記開口部26の上下方向の幅内に配置して前記開口部26の前記ハンドルレバー36の前記開口部26への挿通が可能となる。すなわちアウトハンドル12の前記連結腕部16に連動、連結されたハンドルレバー36が組み付けられたハンドルベース25の車両用ドアDへの組み付け時に、前記ハンドルレバー36は前記作動位置にある状態では前記開口部26への挿通が許容されることになる。
そこで、両端部に第1係合部35bおよび第2係合部35cを有するとともに前記第1係合部35bを前記ハンドルレバー36に当接、係合させるようにしたねじりばねである前記戻しばね35は、前記ハンドルベース25の前記車両用ドアDへの組み付け時に前記開口部26に挿入された前記連結腕部16を前記開扉操作位置として前記ハンドルレバー36を仮に作動位置としつつ前記第2係合部35cを前記ハンドルベース25の前記ばね係止部45に未係合とした仮保持状態と、前記ハンドルベース25の前記車両用ドアDへの組み付け完了後に前記第2係合部35cを前記ハンドルベース25の前記ばね係止部45に当接、係合させる状態とを切り替えることを可能として、前記ハンドルレバー36に装着される。
図8を併せて参照して、前記ばね係止部45は、前記第2の支持壁39の先端下部に設けられる。また前記戻しばね35の第2係合部35cは、前記ばね係止部45とは未係合であるときには、前記第2の支持壁39から前記ハンドルベース25の前記ガイド部25b側に突出した位置に在り、前記第2の支持壁39および前記ガイド部25b間には、前記第2係合部35cを前記ガイド部25b側に突出させるためのスリット46が、前記連結腕部16の移動方向に沿って延びるように形成される。
一方、前記連結腕部16の先端側端壁16aには、車両前後方向後方側に突出する突部16bが一体に突設されており、この突部16bが連結腕部16とともに移動するのを許容するようにして、前記突部16bをガイドするガイド孔47が前記連結腕部16の移動方向に長く延びて前記ガイド部25bの後部に形成される。しかも前記突部16bには、前記スリット46から前記ガイド部25b側に突出した前記第2係合部35cに前記ばね係止部45とは反対側から当接する押圧当接部48が設けられる。
すなわち前記戻しばね35の前記第2係合部35cが前記ばね係止部45とは未係合の状態にあるときに、前記連結腕部16が前記開扉操作位置から前記非操作位置に移動するのに応じて前記押圧当接部48は、前記第2係合部35cに当接して当該第2係合部35cを前記ばね係止部45側に押圧することになる。
また前記第2の支持壁39の前記ガイド部25b側の側縁には、前記開扉操作位置から前記非操作位置への前記連結腕部16の移動に伴って前記第2係合部35cを前記ばね係止部45側にガイドするカム部49が、山形の形状を有しつつ前記ばね係止部45に連なるようにして設けられる。
図9において、前記ハンドルベース25の前記ベース主部25aが前記アウターパネル11に取付けられるとともに前記戻しばね35の前記第2係合部35cが前記ばね係止部45とは未係合であって前記連結腕部16が前記開扉操作位置に在ると、図9(a)で示すように、前記連結腕部16の前記押圧当接部48が前記第2係合部35cに当接する。この状態から前記連結腕部16を非作動位置側に移動させるべくアウトハンドル12を操作すると、図9(b)で示すように、前記第2係合部35cが前記ハンドルベース25側の前記カム部49に乗り上がり、さらに前記連結腕部16を非作動位置側に移動させると、図9(c)で示すように、前記カム部49でガイドされた前記第2係合部35cが前記ばね係止部45を乗り越え、最終的には、図9(d)で示すように、第2係合部35cが前記ばね係止部45を乗り越えて当該ばね係止部45に係合することになる。この状態で前記戻しばね35が弾発力を発揮し、ハンドルレバー36が非操作位置となる。
次にこの実施の形態の作用について説明すると、両端部に第1係合部35bおよび第2係合部35cを有するとともに前記第1係合部35bをハンドルレバー36に当接、係合させた戻しばね35が、ハンドルベース25の車両用ドアDへの組み付け時にアウターパネル11の開口部26に挿入されたアウトハンドル12の連結腕部16を開扉操作位置とした仮保持状態では前記第2係合部35cをハンドルベース25のばね係止部45に未係合とする状態と、前記ハンドルベース25の前記車両用ドアDへの組み付け完了後に前記第2係合部35cを前記ばね係止部45に当接、係合させる状態とを切り替えることを可能として、前記ハンドルレバー36に装着される。
したがってハンドルベース25の挿入孔29に挿入した連結腕部16に連動、連結された状態のハンドルレバー36が組付けられたハンドルベース25を車両用ドアDに組み付ける前に、ハンドルレバー36に第1係合部35bを係合した状態に在る戻しばね35の第2係合部35cをハンドルベース25の前記ばね係止部45には未係合としつつ、連結腕部16を開扉操作位置とした仮保持状態としておくと、戻しばね35のばね力が作用しない状態にあるハンドルレバー36を作動位置に移動させてアウターパネル11の前記開口部26にハンドルレバー36を容易に挿通することが可能となり、アウトハンドル12を車両用ドアDに組み付ける際の作業が容易となる。しかも衝撃を受け易いアウトハンドル12自体を係合させるものではないので、仮保持状態が容易に解除されてしまうことはなく、またハンドルレバー36の仮保持のための専用の部品が不要であり、部品点数の増加を避けることができる。
また前記ハンドルレバー36に、当該ハンドルレバー36を前記ハンドルベースに回動可能に支持する支軸37を挿通させる円筒状の支持筒部3aが設けられ、前記戻しばねが、前記支持筒部3aを囲繞するコイル部35aと、当該コイル部35aの一端部に設けられて前記ハンドルレバー36に当接、係合される前記第1係合部35bと、前記ハンドルベース25に設けられるばね係止部45に当接、係合することを可能として前記コイル部35aの他端部に設けられる前記第2係合部35cとを有するねじりばねであり、前記ばね係止部45とは未係合である前記第2係合部35cに当接し得る押圧当接部48が、前記連結腕部16の前記開扉操作位置から前記非操作位置への移動に応じて前記第2係合部35cを前記ばね係止部45側に押圧することを可能として前記連結腕部16に設けられ、前記ハンドルベース25に、前記開扉操作位置から前記非操作位置への前記連結腕部16の移動に伴って前記第2係合部35cを前記ばね係止部45側にガイドするカム部49が設けられる。
このため戻しばね35の第2係合部35cがばね係止部45に未係合の状態に在るときに連結腕部16を開扉操作位置から非操作位置に移動させると、連結腕部16の押圧当接部48が第2係合部35cに当接して第2係合部35cをハンドルベース25のばね係止部45側に押圧することになり、その際、ハンドルベース25の前記カム部49によって第2係合部35cがばね係止部45側にガイドされるので、連結腕部16を開扉操作位置から非操作位置に移動させるだけで第2係合部35cをばね係止部45に当接、係合させることができ、第2係合部35cをばね係止部45に当接、係合させる作業が容易となる。しかも衝撃や輸送時の振動によって連結腕部16が開扉操作位置から非操作位置側に多少押されたとしても連結腕部16が非操作位置まで移動しない限りは戻しばね35の第2係合部35cがハンドルベース25の前記ばね係止部45に係合してハンドルレバー36が非作動位置まで回動してしまうことはなく、ハンドルレバー36を作動位置側に保持する仮保持状態が解除されてしまう可能性を低く抑えることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
11・・・アウターパネル
12・・・アウトハンドル
16・・・連結腕部
25・・・ハンドルベース
26・・・開口部
29・・・挿入孔
35・・・戻しばね
35a・・・コイル部
35b・・・第1係合部
35c・・・第2係合部
36・・・ハンドルレバー
36a・・・支持筒部
37・・・支軸
45・・・ばね係止部
48・・・押圧当接部
49・・・カム部
D・・・車両用ドア

Claims (2)

  1. 車両用ドア(D)のアウターパネル(11)に開口部(26)が設けられ、挿入孔(29)を有するハンドルベース(25)が、当該ハンドルベース(25)の一部を前記開口部(26)から前記アウターパネル(11)内に挿入しつつ前記開口部(26)を塞ぐようにして前記車両用ドア(D)に固定され、前記アウターパネル(11)の外方での開扉操作を可能とするアウトハンドル(12)に設けられる連結腕部(16)が、前記アウトハンドル(12)の非操作状態での非操作位置ならびに前記アウトハンドル(12)の開扉操作完了状態での開扉操作位置間で移動することを可能として前記ハンドルベース(25)の前記挿入孔(29)に挿入され、前記連結腕部(16)に連動、連結されるハンドルレバー(36)が、前記連結腕部(16)の前記非操作位置に対応した非作動位置ならびに前記連結腕部(16)の前記開扉操作位置に対応した作動位置間で回動することを可能として前記ハンドルベース(25)に支持され、前記ハンドルベース(25)および前記ハンドルレバー(36)間に介在して前記ハンドルレバー(36)を前記非作動位置側に向けて弾発付勢する戻しばね(35)が前記ハンドルレバー(36)に装着され、前記連結腕部(16)に連動、連結された前記ハンドルレバー(36)が組み付けられた状態にある前記ハンドルベース(25)の前記車両用ドア(D)への組み付け時に、前記ハンドルレバー(36)の前記開口部(26)への挿通が前記非作動位置にある状態では不能であるものの前記作動位置にある状態では許容されるようにした車両用ドアのアウトハンドル装置において、両端部に第1係合部(35b)および第2係合部(35c)を有するとともに前記第1係合部(35b)を前記ハンドルレバー(36)に当接、係合させた前記戻しばね(35)が、前記ハンドルベース(25)の前記車両用ドア(D)への組み付け時に前記開口部(26)に挿入された前記連結腕部(16)を前記開扉操作位置とした仮保持状態では前記第2係合部(35c)を前記ハンドルベース(25)に未係合とする状態と、前記ハンドルベース(25)の前記車両用ドア(D)への組み付け完了後に前記第2係合部(35c)を前記ハンドルベース(25)に当接、係合させる状態とを切り替えることを可能として、前記ハンドルレバー(36)に装着されることを特徴とする車両用ドアのアウトハンドル装置。
  2. 前記ハンドルレバー(36)に、当該ハンドルレバー(36)を前記ハンドルベース(25)に回動可能に支持する支軸(37)を挿通させる円筒状の支持筒部(36a)が設けられ、前記戻しばね(35)が、前記支持筒部(3a)を囲繞するコイル部(35a)と、当該コイル部(35a)の一端部に設けられて前記ハンドルレバー(36)に当接、係合される前記第1係合部(35b)と、前記ハンドルベース(25)に設けられるばね係止部(45)に当接、係合することを可能として前記コイル部(35a)の他端部に設けられる前記第2係合部(35c)とを有するねじりばねであり、前記ばね係止部(45)とは未係合である前記第2係合部(35c)に当接し得る押圧当接部(48)が、前記連結腕部(16)の前記開扉操作位置から前記非操作位置への移動に応じて前記第2係合部(35c)を前記ばね係止部(45)側に押圧することを可能として前記連結腕部(16)に設けられ、前記ハンドルベース(25)に、前記開扉操作位置から前記非操作位置への前記連結腕部(16)の移動に伴って前記第2係合部(35c)を前記ばね係止部(45)側にガイドするカム部(49)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
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