JP7002489B2 - 鉛蓄電池用正極板、及びそれを用いた液式鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛蓄電池用正極板に関する。また、鉛蓄電池用正極板を用いた液式鉛蓄電池に関する。
従来のエンジン車に使用する液式鉛蓄電池で要求される性能は、主に、始動性能や放電容量などに関するものであった。しかし、近年、充電制御車やアイドリングストップ機能(ISS)車両が主流になったことで、液式鉛蓄電池に要求される性能は増加し、充電制御車及びISS車両の制御に適した、高い充放電性能と耐久性とを両立する電池設計が求められるようになった(例えば、特許文献1参照)。
充電制御車及びISS車両を長期放置した後に運転すると、鉛蓄電池自体は健全であるにも関わらず、ISSが行われない場合がある。このような現象が生じる理由の一つとして、長期放置中の自己放電で鉛蓄電池の内部抵抗が上昇し、内部抵抗が高い状態になっていることが考えられる。ISS車両では、鉛蓄電池の充電状態や健康状態を内部抵抗値に基づいて推定し、ISSの制御が行われていることが多いため、内部抵抗が一時的に上昇した場合、鉛蓄電池が充電不足または寿命末期であると誤判定されることがある。特にISS車両用の鉛蓄電池は、高い充放電特性を発揮するため反応性が高く設計され、自己放電も生じ易いため、鉛蓄電池の充電状態や健康状態に即した内部抵抗値に保持される設計が重要である。
特開2018-055903号公報
本発明は上記課題に着目してなされたものであって、自己放電と内部抵抗の上昇を抑制可能な鉛蓄電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る鉛蓄電池用正極板は、正極活物質を保持する正極板であって、前記正極活物質は複数の細孔を含み、前記正極活物質の比表面積は6.0m/g以上11.0m/g以下、かつ、前記細孔の平均直径は0.10μm以上0.30μm以下である。
また、本発明の一態様に係る液式鉛蓄電池は、上記鉛蓄電池用正極板を有する。
本発明によれば、自己放電と内部抵抗の上昇を抑制可能な鉛蓄電池用正極板、及びそれを用いた液式鉛蓄電池を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用正極板の構成例を模式的に示す正面図である。 図2は、本発明の実施形態で規定される比表面積及び平均細孔直径の各範囲を示すグラフである。
<考察>
鉛蓄電池の静置状態における「自己放電」は、防ぎきれない事象である。鉛蓄電池が製造されてから、車両に搭載されて充放電が始まるまでの期間中には、絶えず自己放電が続く。自己放電中は、負極で水素イオンが還元され水素ガスが発生する。自己放電で発生した水素ガスが、極板の表面付近、特に活物質中の細孔の内部に蓄積するほど、鉛蓄電池の内部抵抗は上昇する。ガスが蓄積しやすい鉛蓄電池の場合、ほぼ満充電で健全な状態にも関わらず、内部抵抗だけが高くなる。すると車両側は「充電状態が不十分」または「劣化が進行している」と誤った判断をし、ISSを停止する制御を働かせてしまう。
このような問題を解決するための手段として、第1に、ストラップや極柱に代表されるような鉛部品の電流経路の断面積を増やし、初期の内部抵抗を低く抑えることが考えられる。しかしながら、鉛部品の電流経路の断面積を増やすことは、鉛蓄電池自体の重量増加を招くため、近年の燃費向上を求める車両の設計思想には相反する。また、第2の手段として、鉛蓄電池の電槽や蓋体等を設計変更して、自己放電で発生したガスが極板群内に蓄積しにくく、効率的に外部に放出しやすい構造にすることが考えられる。しかしながら、鉛蓄電池の電槽や蓋体等の設計変更は、射出成形機等の製造設備を大幅に改良又は刷新する必要があるため、実施には大きなコストを伴う。
一方、正極活物質の比表面積を大きくすれば、活物質と電解液との反応領域が拡大し、鉛蓄電池の諸特性を向上できる。特に、正極活物質の比表面積の増加は、鉛蓄電池の利用率を顕著に向上する。鉛蓄電池の利用率が向上すれば、同じ放電容量を得るために必要な活物質量を低減でき、鉛の使用量を低減できる。鉛の使用量の低減は、原材料費の低減、さらには軽量化にともなう車両燃費の向上といった大きな効果につながる。
しかしながら、正極活物質の比表面積の増加は、鉛蓄電池の利用率を向上する反面、自己放電を助長するとともに、内部抵抗上昇という弊害を招く。鉛蓄電池では、充電による水の電気分解や、自己放電による水素イオンの還元で、正負極の各活物質からガスが発生する。ガスの発生量は上記の電気分解や還元の反応量に比例するため、特に、利用率が高い活物質を有する鉛蓄電池では、多量のガスが発生する。活物質から発生したガスは、電解液に放出された後、電解液上部の空間へと排出される。しかしながら、これらガスが電解液中へ放出されず、活物質内の空孔に蓄積すると、活物質と電解液との界面における反応が妨げられ、鉛蓄電池の内部抵抗が上昇する。
活物質内にガスを留めにくくする手法としては、活物質の細孔体積を小さくする手法が有効である。しかしながら細孔体積を小さくすると、活物質の比表面積が減少し利用率が低下する。したがって、内部抵抗の上昇を抑制するために活物質の細孔体積を小さくすることは、好ましくない。
そこで発明者は、各種検討の結果、正極活物質中の細孔体積の合計値、及び負極活物質中の細孔体積の合計値を変化させずに、正極活物質の比表面積に対して、正極活物質中の平均細孔径を一定の数値範囲で変化させることで、内部抵抗の上昇が抑制できることを見出した。
例えば、ある鉛蓄電池において、放電中に正極活物質及び負極活物質から生じるガスの、単位時間当たりの発生量が一定であると仮定する。さらに、正極活物質の細孔体積の合計値と負極活物質の細孔体積の合計値は一定であると仮定し、平均細孔直径と細孔中に蓄積されるガスの関係について考察する。まず、活物質の平均細孔直径が大きい場合は、1つ当たりの細孔の体積は大きくなる。そのため、1つの細孔がガスで満たされるまで、細孔内のガスは電解液中へ放出されず、比較的長い期間、細孔内に留まり続ける。その期間は、細孔内に留まるガスにより、活物質(細孔内表面)/電解液間の反応領域が徐々に縮小するため、ガスが抵抗成分となり、鉛蓄電池の内部抵抗は上昇する。一方、平均細孔直径が小さい場合は、1つ当たりの細孔の体積が小さく、細孔内がガスで満たされるまでの時間は比較的短い。細孔の表面で発生したガスは、早期から電解液中へと放出され続けるため、抵抗成分となる割合も少なく、鉛蓄電池の内部抵抗の上昇は抑制される。また、1つ当たりの細孔に蓄積するガス量が少ないほど、鉛蓄電池に加わる僅かな振動や、僅かな電解液の対流などの外力によって、細孔内のガスは電解液中へ容易に放出される。
上記の通り、活物質の平均細孔直径を小さくすることにより、下記(1)(2)の作用が生じる。
(1)1つ当たりの細孔がガスで満たされるまでの時間が短くなり、細孔から電解液中へのガス排出が短期間のうちに生じる。
(2)1つ当たりの細孔の体積が小さくなるため、僅かな外力の影響でもガス排出が生じる。
上記(1)(2)の作用が複合的にはたらき、鉛蓄電池の自己放電と内部抵抗の上昇が効果的に抑制される。この効果は、正負極の各極板で共通で生じるが、正極活物質の比表面積は負極活物質の比表面積の10倍近くあるため、特に、正極において優位に発現する。
以上、本発明者による考察を説明した。本発明は、このような考察に基づいてなされたものである。
<実施形態>
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は実施形態に限定されるものではない。また、実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることは勿論である。
本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用正極板を有する液式鉛蓄電池は、従来公知のモノブロックタイプの電槽と、蓋と、6個の極板群を有する。電槽は、隔壁により6個のセル室に区画されている。6個のセル室は電槽の長手方向に沿って配列されている。各セル室には1つの極板群が配置されている。
各極板群は、複数枚の負極板及び複数枚の正極板と、セパレータと、負極ストラップと、正極ストラップと、負極ストラップから立ち上がる負極中間極柱と、正極ストラップから立ち上がる正極中間極柱を有する。複数枚の負極板及び複数枚の正極板は、セパレータを介して交互に配置されている。極板群を構成する負極板の枚数Mnは正極板の枚数Mpよりも1枚多いが、同数枚でも構わない。
図1は、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用正極板の構成例を模式的に示す正面図である。実施形態に係る液式鉛蓄電池は、図1に示す正極板1を備え、正極板1が電解液に浸漬されている、化成済みの液式鉛蓄電池である。正極板1は、正極集電体2と正極合剤3とを有する。
正極集電体2は、長方形の正極格子状基板21と、正極格子状基板21から上側に突出する耳22と、正極格子状基板21から下側に突出する複数(例えば、2つ)の足23で構成されている。正極格子状基板21は、長方形の外周縁を形成する外枠211と、外枠211の対向する2本の縦部間に渡された複数の横骨212と、外枠211の対向する2本の横部間に渡された複数の縦骨213とで構成され、これらで形成された網目状の穴214を有する。正極集電体2は、主として鉛を含む合金で形成されている。正極格子状基板21の全ての穴214の中及び正極格子状基板21の表裏面の全体に、正極合剤3が保持されている。
図1に示すように、正極合剤3は、正極活物質31とカットファイバー等の補強材32とを含む。正極活物質31は、複数の細孔31Hを含む。なお、図1は、正極板1の構成を示すために、正極合剤3を部分的に除去して、正極集電体2の一部を露出させた図になっている。
図2は、本発明の実施形態で規定される比表面積及び平均細孔直径の各範囲を示すグラフである。図2の横軸は、細孔31Hの平均直径(mm)を示し、縦軸は正極活物質31の比表面積(m/g)を示す。本明細書では、細孔31Hの平均直径を、平均細孔直径ともいう。
本発明の実施形態において、正極活物質31の比表面積及び平均細孔直径は、図2の領域Aの範囲にあることが好ましく、領域Bの範囲にあることがより好ましい。実施形態で規定される正極活物質31の比表面積は、6.0m/g以上11.0m/g以下であり、より好ましくは8.5m/g以上11.0m/g以下である。また、実施形態で規定される平均細孔直径Raは、0.10μm以上0.30μm以下であり、より好ましくは0.10μm以上0.30μm以下である。
この構造により、実施形態に係る液式鉛蓄電池では、上記(1)(2)の作用が発現し、複合的にはたらく。これにより、実施形態に係る液式鉛蓄電池は、振動を与えずに静置状態で放置された場合でも、内部抵抗の上昇を抑制できる。また、後述の実施例で示すように、実施形態に係る液式鉛蓄電池は、諸特性(例えば、利用率)の低下を抑制できる。
M-42型(外形寸法及び端子形状はJIS B20と同じ)の未化成の液式鉛蓄電池を従来公知の方法で作製した。作製した液式鉛蓄電池を用いて電槽化成を実施した。なお、本実施例では、正負極の各活物質の比表面積、及び平均細孔直径を任意の値に調整するため、電槽化成時の電解液温度を30℃~55℃の範囲で種々変化させた。化成時の電解液の温度を変化させた場合、比表面積、及び平均細孔直径を温度に応じて任意に変化させることができる。電槽化成時の電解液温度を種々変化させて、後述の実施例1~3と、比較例1、2の計5水準を作製した。電解液の比重は全て1.23とし、注液から化成通電開始までのソーキングタイムは全水準30分、化成電気量は230%で統一とし、各水準それぞれ4個の液式鉛蓄電池を電槽化成に投入した。
なお、本実施例では、活物質の比表面積、及び平均細孔直径をコントロールする手法として、化成時の電解液温度を変化させる手法を用いた。しかしながら、本発明において、活物質の比表面積、及び平均細孔直径をコントロールする手法はこれに限定されず、任意の手法を用いてよい。
各水準の1個目の液式鉛蓄電池は、化成終了後に直ちに解体し、正極活物質の物性調査用に用いた。具体的には、各水準の液式鉛蓄電池における正極活物質の比表面積、及び平均細孔直径を調査するため、化成後に各水準の1個目の液式鉛蓄電池を解体し、極板群から正極板のみを取り出した。取り出した正極板を、正極活物質中から硫酸分が抜けきる程度まで流水中で十分に水洗した。水洗後の正極板を60℃の乾燥炉中に投入し、活物質中の水分が完全に除去されるまで乾燥した。乾燥後の正極板から、活物質のみを脱落させて、分析用サンプルとして抽出した。
正極活物質の比表面積(BET比表面積[m/g])は、JIS Z 8830:2013(ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法) に規定された測定方法に従って測定した。また、正極活物質の平均細孔直径[μm]は、水銀圧入法(JIS R 1655:2003(ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法)と同様の方法)に従って測定した。
化成温度を30℃~55℃の範囲で各々変化させた各水準の液式鉛蓄電池について、正極板の物性を上記のように調査したところ、正極活物質の比表面積は5.0m/g~12.0m/g、平均細孔直径は0.09μm~0.40μmの範囲にあることが分かった。化成温度は、比較例2、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1の順で高くなるように設定した。化成温度が低いほど、比表面積は大きくなり、平均細孔直径は小さくなる傾向があった。
各水準の2個目の液式鉛蓄電池は、電圧推移、及び内部抵抗推移の測定用に用いた。化成上がりの各水準の液式鉛蓄電池を作業台上に置き、液式鉛蓄電池を動かさないように静置状態で数日間放置し、連日、特定の時間に電圧と内部抵抗を測定した。化成直後の測定データに対し、化成より30日経過後の自己放電量を電圧低下ΔV(V)、内部抵抗の上昇量を内部抵抗上昇ΔR(mΩ)としてそれぞれ算出した。なお、内部抵抗の測定には、HIOKIのバッテリハイテスタ3554(測定周波数:1kHz±30Hz)を用いた。また、極板からの推定ガス発生量は自己放電量(すなわち、電圧低下ΔV)と比例し、ガス発生量と内部抵抗上昇ΔRとの間には正の相関関係があるため、ΔVが0.10Vより小さければ◎、0.1V以上0.15V未満であれば○、0.15V以上0.20未満であれば△、0.20以上であれば×と評価した。
各水準の3個目の液式鉛蓄電池は、同様に静置状態で放置された各水準の電池(極板)から排出されるガス量の測定用に用いた。各液式鉛蓄電池の液口栓を密封加工し、各液式鉛蓄電池の蓋の上部にガス採取用のホースを取り付け、日々の排出ガスを水上置換法にてサンプリングし定量化し、化成から30日間に電池の外部に排出されるガスの総量(以下、ガス排出量と呼ぶこともある)を算出した。電圧低下ΔVに対するガス排出量から、ガス排出効率を推定し、当該推定ガス排出効率が他の水準と比べ非常に優れるものを◎、優れるものを○、やや劣るものを△、他の水準より劣るものを×として評価した。
各水準の4個目の液式鉛蓄電池は、電池の特性評価用に用いた。化成後に20HRを計測し、液式鉛蓄電池の代表特性として利用率を算出した。利用率が55.0%以上であれば◎、53.0%以上55.0%未満であれば○、51.0%以上53.0%未満であれば△、51.0%未満であれば必要とする値に満たず×として評価した。
以上説明した、本発明の実施例1~3及び比較例1、2の各物性値及び各特性値と、各判定結果を表1に示す。各水準間の比較については、以下詳述する。
Figure 0007002489000001
(実施例1)
実施例1は、比表面積が大きい(すなわち、実施形態の規定範囲の上限値である)ため、化成直後の利用率は55.9%と非常に高い。しかしながら、電解液と正極活物質との反応領域が大きいため、放置期間中の自己放電も起きやすく、化成から30日が経過した後の電圧低下ΔVは、実施例2及び実施例3と比べると、0.172Vと比較的大きい。したがって、実施例1は電圧低下ΔVが大きく、正極板及び負極板からの推定ガス発生量も、実施例2及び実施例3と比べ多いと予想される。一方、実施例1は、推定ガス発生量に対し、30日間に液式鉛蓄電池の外部に排出されたガス量が874mlであることから、全水準中で、ガス排出効率が最も優れることが判った。これは、極板から発生するガス量が多い反面、細孔直径が小さいため、活物質の細孔内にガスが溜まりにくく、放置初期の段階から電解液中、さらには液式鉛蓄電池の外部へと効率よくガスが放出されることによると推察される。このため、実施例1の液式鉛蓄電池の内部抵抗は上昇しにくく、30日後の内部抵抗上昇ΔRは0.11mΩに抑えられている。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に対し、比表面積が小さい(すなわち、実施形態の規定範囲の中心値である)ため、利用率も54.4%と若干低下している。利用率低下にともない、電圧低下ΔVも低下傾向を示した。また、ガス排出量は560mlと減少した。これは、自己放電量の減少にともない、極板からのガス発生量自体が低下したと考えられる。一方、実施例1より、平均細孔直径が大きくなった(すなわち、実施形態の規定範囲の中心値になった)ことで、活物質の細孔内にガスが溜まりやすくなり、電解液中、さらには液式鉛蓄電池の外部へのガス排出効率もやや低下したと推定される。これら2要因の相互作用により、30日後の内部抵抗上昇値ΔRは0.22mΩであり、実施例1に対し、やや高い値となっている。
(実施例3)
実施例3は、実施例1及び実施例2に対し、比表面積が小さい(すなわち、実施形態の規定範囲の下限値になり)ため、利用率は52.4%とさらに低下し、電圧低下ΔVとガス排出量も低下した。一方、実施例1及び実施例2より平均細孔直径が大きくなった(すなわち、実施形態の規定範囲の上限値になった)ことで、活物質の細孔内にガスが溜まりやすくなり、実施例1及び実施例2よりもガス排出効率が低下し、内部抵抗上昇ΔRが、さらに高い0.37mΩとなったものと推定される。
以下に示す、比較例1及び比較例2は、比表面積、平均細孔直径の両物性値が、それぞれ実施形態の規定範囲から外れたものである。
(比較例1)
比較例1において、比表面積は実施形態の規定範囲の下限値を下回り、平均細孔直径は実施形態の規定範囲の上限値を上回っている。比較例1は、比表面積が小さすぎたことで利用率が50.5%まで低下し、必要とする51.0%以上の値が得られなかった。さらに、比較例1は、利用率低下により自己放電量が減少し、ガス発生量が減少したものの、平均細孔直径が大きすぎたことで、ガスが活物質の細孔内に留まりやすく、液式鉛蓄電池の外部へ排出されにくくなった。その結果、内部抵抗上昇ΔRは0.47mΩで全水準中最大となった。
(比較例2)
比較例2は、比較例1とは逆に、比表面積は実施形態の規定範囲の上限値を上回り、平均細孔直径は実施形態の規定範囲の下限値を下回るものである。比較例2は、比表面積が大きすぎるため、利用率が56.4%で最も高い反面、電圧低下ΔVも最も大きく、ガス発生量も全水準中で最も多いと推測される。一方、比較例2は全水準中、平均細孔直径がもっとも小さく、ガスの排出効率は最も高くなると予想されたが、ガス発生量自体が過大であるため、排出自体が追いつかず、多量のガスが極板表面付近に残留したと推測される。その結果、内部抵抗上昇ΔRは0.35mΩで実施例1及び実施例2よりも大きな値となっている。
(評価)
以上説明した、本発明の実施例1~3及び比較例1、2の各物性値及び各特性値と、各判定結果の一覧は表1に示す通りである。表1において、◎は優を意味し、〇は良を意味し、△は可を意味し、×は不良を意味する。総合評価は、自己放電量(すなわち電圧低下ΔV)と内部抵抗上昇ΔRが低く、かつ利用率とガス排出効率が高いことを基準として判定した。実施例1が最も優れており、比較例1及び比較例2は要求される基準には満たなかった。実施例2及び実施例3は、実施例1ほどではないが、総合的に要求される基準を十分に超えると判断した。
以上述べたように、実施例1~3及び比較例1、2の評価結果から、化成後の正極活物質の「比表面積」及び「平均細孔直径」を適正な範囲に制御することにより、液式鉛蓄電池の利用率を向上させることができる、ということが確認された。さらには、利用率向上によって生じる弊害である「自己放電によって発生するガス」を活物質内に留めることなく、効率よく液式鉛蓄電池の外部へ排出することで、放置期間中の内部抵抗の上昇を効果的に抑制することができる、ということが確認された。なお、本発明は放置中の自己放電と内部抵抗の上昇を抑制することを課題とするものであるが、ガス排出効率が高い液式鉛蓄電池は、瞬間的に大きな放電電流を流すことを繰り返すような用途においても好適であり、具体的にはアイドリングストップ車に特に好適である。
<その他の実施形態>
上記の実施形態及び実施例では、本発明の鉛蓄電池用正極板が液式鉛蓄電池に適用されることを説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の鉛蓄電池用正極板は、密閉式鉛蓄電池に適用されてもよい。本発明は、上述した実施形態及び実施例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
1 正極板
2 正極集電体
3 正極合剤
21 正極格子状基板
22 耳
23 足
31 正極活物質
31H 細孔
32 補強材
211 外枠
212 横骨
213 縦骨
214 穴
Ra 平均細孔直径

Claims (4)

  1. 正極活物質を保持する正極板であって、
    前記正極活物質は複数の細孔を含み、
    前記正極活物質の比表面積は6.0m/g以上11.0m/g以下、かつ、前記細孔の平均直径は0.10μm以上0.30μm以下である、鉛蓄電池用正極板。
  2. 前記細孔の平均直径は0.10μm以上0.20μm以下である、請求項1に記載の鉛蓄電池用正極板。
  3. 前記正極活物質の比表面積は8.5m/g以上11.0m/g以下である、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池用正極板。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の正極板を有することを特徴とする液式鉛蓄電池。
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