JP7002254B2 - スラブ式軌道の補修材料、硬化体、スラブ式軌道の補修方法、スラブ式軌道および樹脂組成物 - Google Patents

スラブ式軌道の補修材料、硬化体、スラブ式軌道の補修方法、スラブ式軌道および樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、スラブ式軌道の補修材料、その硬化体、該補修材料を用いたスラブ式軌道の補修方法、スラブ式軌道および樹脂組成物に関する。
従来より、軌道として、コンクリート等で構築した高架構造物や地下構造物、橋梁などを路盤(以下、これらの構造物を「路盤側構造物」ともいう。)とし、この路盤側構造物上に、セメントとアスファルト乳剤と細骨材とを混合することで得られるセメントアスファルトモルタル(以下「CAモルタル」ともいう。)からなる充填層を介してコンクリート製等の軌道スラブを固定し、この軌道スラブに軌道レールを締結して成るスラブ式軌道が広く採用されている。
このようなスラブ式軌道は、具体的には、図1に示すように、路盤側構造物20の上面に、充填層22を介して軌道スラブ24が設けられ、さらに軌道スラブ24の上面には、一対の軌道レール30,30が配設されている。なお軌道スラブ24は両端部に切欠き部26,26を備え、路盤側構造物20上に所定間隔置きに設けられた突起部28と、軌道スラブ24の切欠き部26とが位置合わせされている。
充填層22は、例えば、軌道スラブ24を路盤側構造物20上の所定位置に持ち上げておき、この軌道スラブ24と路盤側構造物20との間に生じた空隙内に、軌道スラブ24に予め形成しておいた充填孔(図示せず)などを介して充填材であるCAモルタルを充填し、これを硬化させることで形成されている。
また、充填層22は、軌道スラブ24を路盤側構造物20上の所定位置に持ち上げておき、この軌道スラブ24と路盤側構造物20との間に生じた隙間内に、予めCAモルタルを注入した不織布などの袋体を配置させ、隙間内で固化させることにより形成される場合もある。
このようなCAモルタルからなる充填層22は、例えば、軌道レール30の温度変化による伸縮や、軌道レール30上を走行する車両によって加えられる力によって、また、充填層22に滲み込んだ水などによりアルカリ成分が溶出し、充填層22がポーラス化(多孔質化)することなどによって、次第に劣化する。特に、充填層22に滲み込んだ水は、凍結融解を繰り返すことで充填層22の劣化を進行させ、寒冷地ではその影響が顕著である。
充填層22が劣化すると、劣化した充填層22の露出部分から、割れ、剥離、脱落などの不具合が生じるため、劣化部分が確認された場合には早期の補修が求められる。
スラブ式軌道の補修方法としては、充填層の劣化部分を削り取った後、削り取った箇所を取り囲むように型枠を配設し、型枠内に補修材料を充填して硬化させた後、型枠を撤去することで、充填層を補修する方法(以下「額縁補修方法」ともいう。)が提案されている(非特許文献1)。この際に使用される補修材料としては、施工性、硬化性、耐久性等の点から、ビニルエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂等の樹脂製補修材料が用いられている。
また、スラブ式軌道の充填層の補修材料として、ラジカル硬化性であるポリエステルアクリレートを基材とし、高分子弾性材の小片と無機骨材とを混合すると共に、硬化剤を添加してなる補修材料も知られている(特許文献1)。
特開平11-256504号公報
「スラブ軌道各部補修の手引き」、財団法人鉄道総合研究所、平成10年5月1日、第2版、p.21-35
しかしながら、前記文献で使用されている補修材料の硬化体は、CAモルタルと比較してヤング率が低いため、列車走行時、補修した箇所が軌道スラブを十分に支持することができなかった(例えば、CAモルタルのヤング率約2,000N/mm2に対して、従来のビニルエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂からなる硬化体のヤング率は15~70N/mm2程度)。一般的なスラブ式軌道の補修箇所は、充填層の劣化幅(補修の際に削り取られる充填層の端部からの長さ)が短いため、補修箇所が軌道スラブへ及ぼす力学的な影響は少なく、従来のヤング率が小さな補修材料での補修が可能であった。しかし、近年の研究によって、北海道などの極寒冷地では、凍害による充填層の劣化が激しく、劣化幅が100mm以上、時には200mm以上にも及ぶため、従来の補修材料を用いて充填層を補修すると、補修箇所が軌道スラブを十分に支持することができず、列車走行時に発生するあおり等により、乗り心地等に不具合が生じるおそれがあることが明らかになった。このため、CAモルタルと同等の高いヤング率を有する硬化体を形成可能な補修材料の開発が熱望されている。
本発明は、前記課題に鑑みて成されたものであり、高いヤング率を有し、スラブ式軌道の補修に好適に用いることができる硬化体を形成可能なスラブ式軌道の補修材料および該材料を用いるスラブ式軌道の補修方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、特定の補修材料によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の態様例は、以下のとおりである。
[1]2官能超の多官能ポリオール(A)、2官能ポリオール(B)、および、イソシアネート化合物(C)を含有する、スラブ式軌道の補修材料。
[2] 前記多官能ポリオール(A)が4官能以上のポリオールである、[1]に記載の補修材料。
[3] 前記2官能ポリオール(B)100質量部に対する前記多官能ポリオール(A)の含有量が150質量部以上である、[1]または[2]に記載の補修材料。
[4] さらに無機顔料(D)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の補修材料。
[5] 前記2官能ポリオール(B)100質量部に対する前記無機顔料(D)の含有量が450質量部以下である、[4]に記載の補修材料。
[6] 下記要件を満たす、[1]~[5]のいずれかに記載の補修材料。
要件:前記補修材料の硬化体のヤング率が、700~2,700N/mm2である
[7] 前記多官能ポリオール(A)が、2官能超のひまし油系ポリオールである、[1]~[6]のいずれかに記載の補修材料。
[8] 前記2官能ポリオール(B)が、2官能のひまし油系ポリオールである、[1]~[7]のいずれかに記載の補修材料。
[9] 前記無機顔料(D)が、シリカおよび/または炭酸カルシウムを含む、[4]~[8]のいずれかに記載の補修材料。
[10] 前記イソシアネート化合物(C)が、芳香族ポリイソシアネートおよび/または芳香脂肪族ポリイソシアネートである、[1]~[9]のいずれかに記載の補修材料。
[11] [1]~[10]のいずれかに記載の補修材料の硬化体。
[12] [1]~[10]のいずれかに記載の補修材料を、軌道スラブと路盤側構造物との間の充填層の補修箇所に充填して硬化させ、硬化体を形成する工程を含む、スラブ式軌道の補修方法。
[13] 路盤側構造物と軌道スラブとが充填層を介して設けられ、さらに前記軌道スラブ上に軌道レールが配設されてなるスラブ式軌道であって、
前記充填層の少なくとも一部が、[1]~[10]のいずれかに記載の補修材料の硬化体である、スラブ式軌道。
[14] 2官能超の多官能ポリオール(A)、2官能ポリオール(B)、および、イソシアネート化合物(C)を含有する樹脂組成物。
本発明によれば、高いヤング率を有する硬化体を形成することができる。このような硬化体は、軌道スラブと路盤側構造物との間の充填層として用いられた際に軌道スラブを十分に支持できるため、列車走行時に発生するあおり等を抑制でき、快適な乗り心地を提供できるスラブ式軌道を得ることができる。
また、本発明に係る補修材料は、可塑剤を配合しなくても、十分な流動性を有するため、環境中への可塑剤のブリードアウトを無くすか低減しながらも、スラブ式軌道の補修材料として、特に、軌道スラブと路盤側構造物との間に流し込む材料として好適に使用することができ、容易にスラブ式軌道の補修を行うことができるだけでなく、既設のCAモルタルからなる充填層とも密着した状態で硬化するため、軌道スラブと路盤側構造物との間の空隙に隙間なく補修材料の硬化体を形成することができる。充填層に空隙があると、充填層に滲み込んだ水が溜まり凍害の影響を受けやすくなるため、補修された充填層には空隙が少ないことが望ましい。本発明に係る補修材料によって補修されたスラブ式軌道の充填層は、空隙が低減されているため、凍害の影響を受けにくく、耐久性に優れる。
図1は、スラブ式軌道の構造の一例を一部断面にして示した斜視図である。
≪スラブ式軌道の補修材料および樹脂組成物≫
本発明に係るスラブ式軌道の補修材料は、2官能超の多官能ポリオール(A)、2官能ポリオール(B)、および、イソシアネート化合物(C)を含有し、本発明に係る樹脂組成物は、2官能超の多官能ポリオール(A)、2官能ポリオール(B)、および、イソシアネート化合物(C)を含有する。以下、該補修材料および樹脂組成物を併せて「本材料」ともいう。
本材料は、これらの化合物を含有するため、前記効果を奏し、特に、高いヤング率を有する硬化体を形成することができるにもかかわらず、十分な流動性を有するため、環境中への可塑剤のブリードアウトを無くすか低減しながらも、スラブ式軌道の補修材料として、特に、軌道スラブと路盤側構造物との間に流し込む材料として、好適に使用することができる。
なお、従来は、高い流動性を有しながらも、ヤング率の高い硬化体を形成可能なスラブ式軌道の補修材料は存在しなかった。例えば、高いヤング率を有する硬化体を形成するためには、後述する無機顔料(D)などの顔料成分の多い材料を用いることが考えられるが、該材料は、流動性が悪く、軌道スラブと路盤側構造物との間に流し込む作業が困難になったり、該材料が十分に流れないために、補修後の充填層に空隙が生じるおそれがあった。従って、このような材料をスラブ式軌道の補修材料として使用することは好ましくない。
一方、本材料は、ポリオール成分として、2官能超の多官能ポリオール(A)および通常の可塑剤のようにブリードアウトしない2官能ポリオール(B)を用いることで、高いヤング率を有する硬化体を形成可能でありながらも、十分な流動性を有する。
本材料は、1成分型の組成物であってもよいが、貯蔵安定性に優れる等の点から、2成分型の組成物であることが好ましい。この場合、通常、前記ポリオール(A)および(B)は主剤中に配合され、前記イソシアネート化合物(C)は硬化剤中に配合され、該主剤と硬化剤とを混合することによって、本材料を調製することができる。
<2官能超の多官能ポリオール(A)>
2官能超の多官能ポリオール(A)(以下「成分(A)」ともいう。)としては、特に制限されないが、より高いヤング率を有する硬化体が得られる等の点から、2.7官能以上の多官能ポリオールが好ましく、3官能以上の多官能ポリオールがより好ましく、特に、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、4官能以上の多官能ポリオールがさらに好ましく、5官能以上の多官能ポリオールが特に好ましい。
なお、本明細書において、官能基数は、1分子中に存在する平均水酸基の数のことであり、例えば、2官能超の多官能ポリオールは、1分子中に2個を超える水酸基を有するポリオールを表す。
成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
成分(A)としては、具体的には、ひまし油系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール等を用いることができる。ここで、ひまし油系ポリオールとしては、ポリエーテル構造を有するひまし油系ポリエーテルポリオール、ポリエステル構造を有するひまし油系ポリエステルポリオール、ポリエーテル構造およびポリエステル構造を有するひまし油系ポリエステルポリエーテルポリオール等も含まれる。
成分(A)としては、低温硬化性に優れ、硬化速度が速く、環境負荷が低減された本材料が得られ、さらに、より高ヤング率の硬化体が得られる等の点から、ひまし油系ポリオールまたはポリエーテル系ポリオールが好ましく、ひまし油系ポリエステルポリオールまたはひまし油系ポリエステルポリエーテルポリオールがより好ましい。
ひまし油は、トウダイグサ科のトウゴマという植物の種子から得られる淡黄色の粘調な不乾性油である。ひまし油は、脂肪酸中の約90%がリシノール酸であり、一分子中に水酸基、二重結合およびエステル結合を有しているため、他の植物油脂とは異なるユニークな特徴を有する。その特長としては、優れた安定性、可撓性、電気絶縁性、耐水性、耐衝撃性等が挙げられる。本材料が、このような特徴を有するひまし油を出発原料として用いたひまし油系ポリオールを含有することにより、摩擦や衝撃といった機械的応力への耐性に加え、耐熱性、耐加水分解性、耐酸性等に優れる硬化体を形成することができる。
また、ひまし油系ポリオールを用いることで、熱変形や硬化収縮が起こりにくい硬化体を形成することができる。
ひまし油系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ひまし油およびひまし油のアルキレンオキサイド付加物のうちの少なくとも1種と、アルコール、ポリエステル系ポリオールおよびポリエーテル系ポリオールのうちの少なくとも1種とのエステル交換物;ひまし油脂肪酸(ひまし油から得られる脂肪酸であり、通常、リシノール酸とオレイン酸等との混合物である。)と、アルコール、ポリエステル系ポリオールおよびポリエーテル系ポリオールのうちの少なくとも1種とのエステル化合物;ジオール型ひまし油の部分脱水化物または部分アシル化物;前記エステル交換物、前記エステル化合物および前記部分脱水化物または部分アシル化物の各々の化合物の水添物;ひまし油を重合し、重合ひまし油を得た後、得られた重合ひまし油のエステル交換反応物とカプロラクトンとを反応させることで得られる化合物等が挙げられる。
成分(A)としては、これらの中から、2官能超の化合物を選択して用いることができる。
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース等の多価アルコール類、ジエチレントリアミン等の脂肪族アミン化合物類のような少なくとも3個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料として、これにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドまたはポリオキシテトラメチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド等を付加させて得られるポリオールが挙げられる。
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース等の3価以上のアルコール類と、グルタル酸、コハク酸、シュウ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸とを縮合させて得られるポリエステル系ポリオールが挙げられる。
成分(A)の水酸基価は特に制限されないが、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性および低温硬化性により優れる本材料が得られる等の点から、その下限は好ましくは40mgKOH/g、より好ましくは140mgKOH/gであり、その上限は好ましくは500mgKOH/g、より好ましくは400mgKOH/gである。
成分(A)の粘度は、特に限定されないが、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られる等の点から、JIS Z8803:2011に準拠してウベローデ粘度計を用いて25℃で測定される粘度が、好ましくは200~10,000mPa・s、より好ましくは500~6,500mPa・s、特に好ましくは500~2,000mPa・sである。
成分(A)の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性および低温硬化性により優れる本材料が得られる等の点から、好ましくは400~3,000、より好ましくは700~1,100である。
成分(A)としては、従来公知の方法に従って合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、URIC H-30、URIC H-52、URIC H-57、URIC H-73X、URIC H-81、URIC H-102、URIC H-420、URIC H-854、URIC H-870、URIC H-1824、URIC H-368、POLYCASTOR #10、POLYCASTOR #30、URIC Y-406、URIC AC-009、URIC F-15、URIC F-25、URIC F-40、URIC F-60(以上、伊藤製油(株)製)、TLM、LAV、LM-R、ELA-DR、HS 3P-255、HS PPE-12H、HS 6G-160、HS CM-025P、HS CM-075P、HS 3G-100M、HS 3G―500B、HS 2T-1208(以上、豊国製油(株)製)、エクセノール 410NE(旭硝子(株)製)等が挙げられる。
本材料(固形分)に対する成分(A)の含有量は、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られ、さらに、高ヤング率の硬化体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは20~40質量%であり、特に、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、より好ましくは27~34質量%である。
また、2官能ポリオール(B)100質量部に対する成分(A)の含有量は、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られ、さらに、高ヤング率の硬化体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは150質量部以上であり、特に、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、より好ましくは170質量部以上であり、さらに好ましくは190質量部以上であり、特に好ましくは230質量部以上である。成分(A)の含有量が前記範囲未満の場合、得られる硬化体のヤング率が低くなるおそれがある。なお、成分(A)の含有量は、成分(B)100質量部に対し、好ましくは550質量部以下、より好ましくは450質量部以下である。
<2官能ポリオール(B)>
2官能ポリオール(B)(以下「成分(B)」ともいう。)としては、1分子中に2個の水酸基を有するポリオールであれば特に制限されない。
成分(B)は、反応性希釈剤として本材料の粘度を調整することができ、スラブ式軌道を補修する際の施工性(充填性)を向上させることができる。また、成分(B)は、イソシアネート化合物(C)と反応して硬化するため、従来の可塑剤とは異なり、硬化体からブリードアウトしないため好ましい。
成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
成分(B)としては、具体的には、ひまし油系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール等を用いることができる。ここで、ひまし油系ポリオールとしては、ポリエーテル構造を有するひまし油系ポリエーテルポリオール、ポリエステル構造を有するひまし油系ポリエステルポリオール、ポリエーテル構造およびポリエステル構造を有するひまし油系ポリエステルポリエーテルポリオール等も含まれる。
成分(B)としては、低温硬化性に優れ、硬化速度が速く、環境負荷が低減された本材料が得られ、さらに、より高ヤング率の硬化体が得られる等の点から、ひまし油系ポリオールが好ましく、ひまし油系ポリエステルポリオールまたはひまし油系ポリエステルポリエーテルポリオールがより好ましい。
ひまし油系ポリオールの具体例としては、前記成分(A)の欄で述べたひまし油系ポリオールと同様のポリオールが挙げられる。成分(B)としては、これらの中から、2官能の化合物を選択して用いることができる。
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコールなどの2価アルコール類等を出発原料として、これにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドまたはポリオキシテトラメチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド等を付加させて得られるポリオールが挙げられる。
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールのジオール類と、グルタル酸、コハク酸、シュウ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸とを縮合させて得られるポリエステル系ポリオールが挙げられる。
成分(B)の水酸基価は、特に限定されないが、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られる等の点から、好ましくは20~1,000mgKOH/g、より好ましくは120~200mgKOH/gである。
成分(B)の粘度は、特に限定されないが、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られる等の点から、JIS Z8803:2011に準拠してウベローデ粘度計を用いて25℃で測定される粘度が、好ましくは150~5,000mPa・s、より好ましくは150~3,000mPa・s、特に好ましくは150~1,000mPa・sである。
成分(B)のMnは、特に限定されないが、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られる等の点から、好ましくは400~10,000、より好ましくは500~3,000、特に好ましくは500~1,200である。
2官能ポリオール(B)としては、従来公知の方法に従って合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、「URIC Y-403」、「URIC Y-202」、「URIC Y-332」、「URIC H-62」(伊藤製油(株)製)、「HS 2G-120」、「HS 2G-160R」、「HS 2G-270B」、「HS 2B-5500」、「HS KA-001」(豊国製油(株)製)等が挙げられる。
成分(B)の含有量は、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られ、さらに、高ヤング率の硬化体を容易に得ることができる等の点から、本材料(固形分)に対し、好ましくは5~25質量%であり、特に、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、より好ましくは8~18質量%である。
<イソシアネート化合物(C)>
イソシアネート化合物(C)(以下「成分(C)」ともいう。)は、イソシアネート基を有し、前記成分(A)および(B)と反応し、硬化可能な化合物であれば特に制限されない。
成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
成分(C)としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略称する。〔例:2,2’-MDI、2,4’-MDI、4,4’-MDI〕)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、トリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略称する。〔例:2,4-TDI、2,6-TDI〕)、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類のほか、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、前記ポリイソシアネートのカルボジイミド変性体、およびイソシアネート化合物と低分子ポリオールなどとを反応させて得られるポリウレタン系プレポリマー等が挙げられる。
中でも、貯蔵安定性がよいこと、および主剤成分と混合した際の可使時間を適度に調整でき、スラブ式軌道の補修時の作業性に優れ、低温硬化性にも優れ、かつ、安価なため経済的に優れていることから、芳香族ポリイソシアネートまたは芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリメリックMDIがより好ましい。
成分(C)の市販品としては、「ルプラネートM20S」(BASF INOAC ポリウレタン(株)製、クルードMDI)、「ミリオネートMR-200」(東ソー(株)製、クルードMDI)、「コスモネートT-80」(三井化学(株)製、TDI)、「ミリオネートMTL」(東ソー(株)製、カルボジイミド変性MDI)等が挙げられる。
本材料において、成分(C)は、該成分のイソシアネート基と、前記成分(A)および(B)の合計水酸基との等量比が、NCO/OH=0.8~1.2となるように配合することが好ましく、更に好ましくは1.0~1.1である。等量比がこの範囲内であると、硬化不良や発泡、われ、ふくれの原因となりにくいため好ましい。
<無機顔料(D)>
本材料は、硬化収縮を低減し、より高いヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、無機顔料(D)(以下「成分(D)」ともいう。)を含むことが好ましい。本材料では、前記成分(A)および(B)を用いるため、成分(D)を含んでいても、十分な流動性を有し、スラブ式軌道の補修容易性に優れる材料となる。また、成分(D)は、前記成分(A)および(B)等の樹脂成分と比較して安価であるため、該成分(D)を用いることは、経済的にもメリットがある。
本材料が2成分型の組成物である場合、成分(D)は硬化剤中に配合してもよいが、均一な物性を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、主剤中に配合することが好ましい。
成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
成分(D)としては、シリカ、炭酸カルシウム、珪砂、マイカ、カリ長石、ウォラストナイト、カオリン、クレー、ベントナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウムおよび硫酸バリウム等が挙げられる。中でも、貯蔵安定性や経済性に優れる本材料が得られ、さらに、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の観点から、シリカまたは炭酸カルシウムが好ましく、補修材料の可使時間を長くでき、残留応力がより低い硬化体を得ることができる点から、シリカがより好ましい。
成分(D)のJIS K5101 顔料試験法 第14部 ふるい残分に準拠して測定した重量平均粒子径は、特に限定されないが、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性に優れる本材料が得られる等の点から、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは45μm以下である。なお、該重量平均粒子径の下限は特に限定されないが、取扱い性に優れる等の点から、例えば、1μmである。
成分(D)の市販品としては、「シリカTK-1」(東濃硅粉砿業協業組合製、シリカ)、「タンカルスーパーSS」(丸尾カルシウム(株)製、炭酸カルシウム)、「東北珪砂8号」(東北珪砂(株)製、珪砂)、「マイカパウダー200メッシュ」((株)福岡タルク工業所製、マイカ)、「R-5N」(堺化学工業(株)製、酸化チタン)等が挙げられる。
本材料(固形分)に対する成分(D)の含有量は、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性に優れる本材料が得られ、さらに、高ヤング率の硬化体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは0~40質量%であり、より好ましくは10~35質量%であり、特に、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、特に好ましくは14~33質量%である。
また、成分(B)100質量部に対する成分(D)の含有量は、所定の粘度を有し、充填性、スラブ式軌道の補修容易性(流動性)に優れる本材料が得られ、さらに、高ヤング率の硬化体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは450質量部以下であり、特に、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体を容易に得ることができる等の点から、より好ましくは370質量部以下であり、さらに好ましくは320質量部以下であり、特に好ましくは280質量部以下である。成分(D)の含有量が前記範囲を超える場合、得られる硬化体のヤング率が高くなりすぎるおそれがあり、流動性に優れる材料が得られないおそれがある。なお、成分(D)の含有量は、成分(B)100質量部に対し、好ましくは50質量部以上、より好ましくは80質量部以上である。
<その他成分>
本材料は、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で、前記成分(A)~(D)以外のその他成分を含んでもよい。その他成分としては、消泡剤、分散剤、触媒、水分吸着剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、可塑剤、溶剤等が挙げられる。
その他成分はそれぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本材料が2成分型の組成物である場合、これらその他成分は硬化剤中に配合してもよいが、主剤中に配合することが好ましい。
[消泡剤]
高いヤング率を長期にわたって維持できる硬化体が得られる等の点から、本材料から得られる硬化体には、気泡が存在していないことが好ましい。このため、本材料には、消泡剤を配合することが好ましい。
消泡剤の種類としてはシリコーン系消泡剤、ミネラルオイル系消泡剤等が挙げられる。
消泡剤としては、水系、溶剤系、無溶剤系のいずれも用いることができるが、硬化体を形成する際の硬化収縮を抑えるために無溶剤系のシリコーン系消泡剤が好ましい。無溶剤系のシリコーン系消泡剤の市販品としては、「Dоw Corning Toray SAG-47」(東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
消泡剤の含有量は、本材料(固形分)に対して、好ましくは0~1質量%である。
[分散剤]
均一な物性を有し、高いヤング率を長期にわたって維持できる硬化体が得られる等の点から、本材料が前記成分(D)を含有する場合、該成分(D)が均一に分散した状態で本材料が硬化することが好ましい。成分(D)が均一に分散した組成物を容易に得ることができるため、本材料には、分散剤を配合することが好ましい。
分散剤の種類としては特に制限されないが、リン酸エステル系分散剤等が挙げられる。リン酸エステル系分散剤の市販品としては、「Efka 5220」(BASFジャパン(株)製)、「BYK W972」(ビックケミー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
分散剤の含有量は、本材料(固形分)に対して、好ましくは0~2質量%である。
[水分吸着剤]
大気中や、成分(D)に含まれうる水分を取り込んだ本材料から硬化体を形成する場合、硬化剤である成分(C)と水分が反応し、発泡する可能性がある。この発泡を抑制するために本材料中の水分を除去することが好ましく、このため、本材料には、水分吸着剤を配合することが好ましい。
水分吸着剤としては、水分吸着能があれば特に制限されず、従来公知の物質を用いることができるが、市販品として、「モレキュラーシーブ 4A」(ユニオン昭和(株)製)等が挙げられる。
水分吸着剤の含有量は、本材料(固形分)に対して、好ましくは0~3質量%である。
[触媒]
本材料は、前記成分(A)および(B)と、前記成分(C)との反応を促進する触媒を含有してもよい。
このような触媒としては、スズカルボン酸塩、アミン系触媒、スズ以外の金属カルボン酸塩および1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)塩等が挙げられる。スズカルボン酸塩としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテートおよびスズオクチレート等が挙げられ、アミン系触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンおよびテトラメチルブタンジアミン等が挙げられ、スズ以外の金属カルボン酸塩としては、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガンおよびオクチル酸亜鉛等が挙げられ、DBU塩としては、DBU-ステアリン酸塩、DBU-オレイン酸塩およびDBU-ギ酸塩等が挙げられる。
これらの触媒の市販品としては、「グレックTL」(日辰貿易(株)製)、「DABCO 33-LV」(エアープロダクツジャパン(株)製)、「ネオスタンU-28」(日東化成(株)製)および「トリエチルアミン」((株)ダイセル製)等が挙げられる。
触媒の含有量は、本材料(固形分)に対して、好ましくは0~0.01質量%である。
[可塑剤]
スラブ式軌道の補修は、通常、補修材料を所望の箇所に流し込み、その後、補修材料を硬化させることで行っている。従って、該補修材料には、所定の流動性が求められており、従来の補修材料には、粘度調整のために、石油炭化水素系、フタル酸系または反応性基(水酸基)を有さないひまし油系の可塑剤が用いられてきた。
しかしながら、これらの可塑剤は、補修材料の硬化後、得られた硬化体から徐々にブリードアウトしやすいため、環境中への放出や硬化体の劣化が起こりやすかった。特に、フタル酸ジオクチル(DOP)のような環境ホルモン作用や発がん性の疑いがもたれる物質がブリードアウトすることは好ましくない。
従って、本材料は、可塑剤、特に、ブリードアウトしても環境への悪影響を及ぼしにくい可塑剤を含有してもよいが、前記成分(A)~(C)を含む本材料は、可塑剤を配合しなくても、十分な流動性を有するため、環境中へのブリードアウト成分を低減することができ、硬化体の劣化を抑制することができる等の点から、可塑剤を含有しないことが好ましい。
<本材料の物性>
本材料のJIS Z8803:2011に準拠してウベローデ粘度計を用いて25℃で測定される粘度は、充填性、スラブ式軌道の補修容易性により優れる本材料が得られる等の点から、好ましくは500~3,000mPa・s、より好ましくは1,000~2,000mPa・sである。
本材料によれば、可塑剤を含有しなくても、このような粘度を有する組成物を容易に得ることができる。
<本材料の調製方法>
本材料は、前記成分(A)~(C)、さらに必要により前記成分(D)およびその他成分を混合することにより調製することができる。
混合する方法としては特に制限されないが、前記主剤の調製時や、主剤と硬化剤との混合時に、空気が取り込まれると、得られる硬化体内に気泡が残り、ひび割れやへたりの原因となる傾向にあるため、主剤の調製時に脱泡工程を行ったり、主剤と硬化剤の混合時に低回転で撹拌を行うことにより、本材料中への空気の取り込み量を減らすことが好ましい。
≪硬化体≫
本発明に係る硬化体は、前記本材料を硬化することで形成することができる。該硬化体は、通常、軌道スラブと路盤側構造物との間の空隙に形成される。
本材料によれば、高いヤング率を有する硬化体が得られる。従って、該硬化体を、軌道スラブと路盤側構造物との間の充填層として用いることで、軌道スラブを十分に支持でき、列車走行時に発生するあおり等を抑制でき、快適な乗り心地を提供することができる。
なお、本材料を硬化させる際には、硬化時間を短くする等の点から、加熱してもよいが、通常、加熱することなく常温下で20分~1時間放置すればよい。
本材料は、常温下での硬化性にも優れているため、常温下で短時間で硬化させることができる。このため、本材料は、スラブ式軌道の補修材料として好適に用いられる。
前記ヤング率とは、物体を引張、圧縮した際の応力とひずみとの関係である。応力を縦軸に、ひずみを横軸にとったグラフにおいて、その関係が比例関係である範囲は弾性範囲であり、そのグラフの傾きがヤング率である。ヤング率は、物体の変形しやすさを表す指標として用いられる。
前記硬化体のヤング率は、φ50×100mmのサイズの硬化体を使用し、室温23℃、変位速度0.5mm/minの条件でコンプレッソメーターを用いて測定した、応力度0~0.1N/mm2の範囲のひずみの増量分から算出される値である。具体的には、応力度0~0.1N/mm2の範囲のグラフは、線形に近い二次曲線であるため、該二次曲線の0.1N/mm2における接線の傾きをヤング率とした。
前記硬化体のヤング率は、高いヤング率を有する硬化体となる点から、好ましくは700~2,700N/mm2、より好ましくは1,400~2,700N/mm2であり、CAモルタルと同程度のヤング率を有する硬化体となる点から、さらに好ましくは1,600~2,400N/mm2、特に好ましくは1,800~2,000N/mm2である。ヤング率が前記範囲を下回る場合は、硬化体が軌道スラブを十分に支持できないおそれがある。また、ヤング率が前記範囲を上回る場合は、ヤング率が高すぎるために、軌道スラブから受ける荷重が、補修箇所に集中するおそれがあり、軌道スラブが破損する恐れがある。
なお、前記硬化体のヤング率がCAモルタルと同程度である場合、列車走行時のあおりを抑制する効果が高く、より快適な乗り心地を提供することができる。
<スラブ式軌道の補修方法>
本発明に係るスラブ式軌道の補修方法は、前記本材料を、軌道スラブと路盤側構造物との間の充填層の補修箇所に充填して硬化させ、硬化体を形成する工程を含む。
本材料を、充填層の補修箇所に充填する方法としては、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、予め充填層の劣化部分を削り取った後、削り取った箇所を取り囲むように型枠を配設し、型枠内に本材料を流し込んで充填する額縁補修方法を用いることができる。
また、前記型枠を用いる方法の他に、補修箇所に予め不織布等の袋体を設置し、該袋体内に本材料を充填し硬化させる方法、補修箇所に発泡成形体等の埋め込み型枠を設置し、その内側補修部に本材料を充填し硬化させる方法、補修箇所の側面開口部に外側から粘着シートを貼着し、その内側補修部に本材料を充填し硬化させる方法等も用いることができる。
<スラブ式軌道>
本発明に係るスラブ式軌道は、路盤側構造物と軌道スラブとが充填層を介して設けられ、さらに前記軌道スラブ上に軌道レールが配設されてなるスラブ式軌道であって、該充填層の少なくとも一部が、前記本材料の硬化体である。
このようなスラブ式軌道は、例えば、前記スラブ式軌道の補修方法と同様の方法により製造することができる。すなわち、該スラブ式軌道としては、前記充填層の少なくとも一部、具体的には、前記充填層の外周縁部の少なくとも一部が、前記本材料の硬化体である、スラブ式軌道の補修構造体が挙げられる。
前記路盤側構造物としては、コンクリート等で構築した高架構造物や地下構造物、橋梁などが挙げられ、前記軌道スラブとしては、コンクリート製等の軌道スラブが挙げられる。
このようなスラブ式軌道は、具体的には、図1に示すように、路盤側構造物20の上面に、少なくとも一部が前記本材料の硬化体である充填層22を介して軌道スラブ24が設けられ、さらに軌道スラブ24の上面には、一対の軌道レール30,30が配設、好ましくは締結されている。なお軌道スラブ24は両端部に切欠き部26,26を備え、路盤側構造物20上に所定間隔置きに設けられた突起部28と、軌道スラブ24の切欠き部26とが位置合わせされている。
次に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
用いた原材料は以下の通りである。
[2官能超の多官能ポリオール(A)]
・「URIC H-102」:(伊藤製油(株)製、5官能ひまし油系ポリエステルポリエーテルポリオール、水酸基価:320mgKOH/g、粘度:1,100mPa・s、数平均分子量:877)
・「エクセノール 410NE」:(旭硝子(株)製、4官能ポリエーテルポリオール(ペンタエリスリトールのアルコキシド付加物)、水酸基価:410mgKOH/g、粘度:1,800mPa・s、数平均分子量:550)
[2官能ポリオール(B)]
・「URIC Y-403」:(伊藤製油(株)製、2官能ひまし油系ポリエステルポリオール、水酸基価:160mgKOH/g、粘度:220mPa・s、数平均分子量:719)
[イソシアネート化合物(C)]
・「ルプラネートM20S」(BASF INOAC ポリウレタン(株)製、クルードMDI)
[無機顔料(D)]
・「シリカTK-1」:(東濃硅粉砿業協業組合製、シリカ)
・「タンカルスーパーSS」(丸尾カルシウム(株)製、炭酸カルシウム)
[その他成分]
・「SAG-47」(東レ・ダウコーニング(株)製、ジメチルポリシロキサン系消泡剤)
・「Efka 5220」(BASFジャパン(株)製、リン酸エステル系分散剤)
・「10%グレックTL」(日辰貿易(株)製、ブチル錫カルボキシレート金属触媒)
・「モレキュラーシーブ 4A」(ユニオン昭和(株)製、水分吸着剤)
[実施例1]
2官能超の多官能ポリオール(A)として「URIC H-102」40.0質量部と、2官能ポリオール(B)として「URIC Y-403」15.0質量部と、分散剤として「Efka 5220」0.4質量部とを容器に仕込み、これらを、ハイスピードディスパーを用いて、30分間、5,000rpmの条件下で均一に分散させた。その後、無機顔料(D)として「シリカTK-1」45.0質量部を加えて1時間、5,000rpmの条件下で分散させ、さらに、消泡剤として「SAG-47」0.1質量部、触媒として「10%グレックTL」0.01質量部、水分吸着剤として「モレキュラーシーブ 4A」2.8質量部を順次加え、これらが均一になるよう1時間分散させることで、主剤成分を調製した。
得られた主剤成分中の平均水酸基量(平均OH%)は、4.46%であった。
前記主剤成分に対して、イソシアネート化合物のイソシアネート基とポリオールの水酸基との等量比NCO/OHが1.04になるように、硬化剤成分として、イソシアネート系化合物(C)である「ルプラネートM20S」38.0質量部を加え、混合後、脱泡して組成物を調製した。
[実施例2~17、比較例1~3]
下記表1に示す成分を表1に示す量で用いた以外は実施例1と同様にして、組成物を調製した。なお、表1中の主剤成分および硬化剤成分の欄の数値は、質量部を示す。
実施例3で得られた組成物の、JIS Z8803:2011に準拠してウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した粘度は、1,390mPa・sであり、同様の方法で測定した、実施例13で得られた組成物の粘度は、1,800mPa・sであった。
<ヤング率>
実施例1~17および比較例1~3で得られた組成物を、金型に流し込み、室温で60分硬化させることで、φ50mm×高さ100mmの円柱状硬化体を形成した。なお、前記主剤成分と硬化剤成分とは、金型に流し込む直前に混合した。
得られた硬化体を用い、サーボパルサーEHF-EG10-20L((株)島津製作所製)およびコンプレッソメーターCM-5((株)東京測器研究所製)を用いて、室温23℃、変位速度0.5mm/minの条件でひずみを測定し、応力度0~0.1N/mm2の範囲のひずみの増量分からヤング率を算出した。具体的には、応力度0~0.1N/mm2の範囲のグラフは、線形に近い二次曲線であるため、該二次曲線の0.1N/mm2における接線の傾きをヤング率とした。結果を表1に示す。
一方、従来のビニルエステル樹脂系補修材料やポリウレタン樹脂系補修材料を用いて同様の条件で測定した硬化体のヤング率は15~70N/mm2程度であった。
Figure 0007002254000001
実施例1~17で得られた組成物から得られた硬化体は、十分なヤング率を有しているため、特に充填層の劣化が激しい(例えば、補修の際に削り取られる充填層の端部からの長さが100mm以上、更には200mm以上に及ぶ)寒冷地等におけるスラブ式軌道の補修に利用することができる。さらに、可塑剤を配合しないでも、十分な流動性を有しているため、補修の際に軌道スラブと路盤側構造物の間に形成される空隙部を完全に充填することができ、該空隙部に隙間なく補修材料の硬化体を形成することができる。
なお、比較例3で得られた組成物から得られる硬化体はヤング率が高すぎるため、スラブ式軌道の補修、特に、軌道スラブと路盤側構造物との間に好適に用いることができなかった。
10:スラブ式軌道
20:路盤側構造物
22:充填層
24:軌道スラブ
26:切欠き部
28:突起部
30:軌道レール

Claims (16)

  1. 2官能超の多官能ポリオール(A)、2官能ポリオール(B)、および、イソシアネート化合物(C)を含有アロマ基プロセスオイルを含まない、
    下記要件を満たす、
    軌道スラブと路盤側構造物との間の充填層を補修するためのスラブ式軌道の補修材料。
    要件:前記補修材料の硬化体のヤング率が、700~2,700N/mm 2 である
  2. 前記多官能ポリオール(A)が4官能以上のポリオールである、請求項1に記載の補修材料。
  3. 前記2官能ポリオール(B)100質量部に対する前記多官能ポリオール(A)の含有量が150質量部以上である、請求項1または2に記載の補修材料。
  4. さらに無機顔料(D)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の補修材料。
  5. 前記2官能ポリオール(B)100質量部に対する前記無機顔料(D)の含有量が450質量部以下である、請求項4に記載の補修材料。
  6. 前記多官能ポリオール(A)が、2官能超のひまし油系ポリオールである、請求項1~のいずれか1項に記載の補修材料。
  7. 前記2官能ポリオール(B)が、2官能のひまし油系ポリオールである、請求項1~のいずれか1項に記載の補修材料。
  8. 前記無機顔料(D)が、シリカおよび/または炭酸カルシウムを含む、請求項4~のいずれか1項に記載の補修材料。
  9. 前記イソシアネート化合物(C)が、芳香族ポリイソシアネートおよび/または芳香脂肪族ポリイソシアネートである、請求項1~のいずれか1項に記載の補修材料。
  10. 前記多官能ポリオール(A)の含有量が、補修材料の固形分に対し20~40質量%である、請求項1~9のいずれか1項に記載の補修材料。
  11. 前記2官能ポリオール(B)の含有量が、補修材料の固形分に対し5~25質量%である、請求項1~10のいずれか1項に記載の補修材料。
  12. 前記イソシアネート化合物(C)のイソシアネート基と、前記多官能ポリオール(A)および2官能ポリオール(B)の合計水酸基との当量比が、NCO/OH=0.8~1.2である、請求項1~11のいずれか1項に記載の補修材料。
  13. JIS Z8803:2011に準拠してウベローデ粘度計を用いて25℃で測定される粘度が、500~3,000mPa・sである、請求項1~12のいずれか1項に記載の補修材料。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の補修材料の硬化体。
  15. 請求項1~13のいずれか1項に記載の補修材料を、軌道スラブと路盤側構造物との間の充填層の補修箇所に充填して硬化させ、硬化体を形成する工程を含む、スラブ式軌道の補修方法。
  16. 路盤側構造物と軌道スラブとが充填層を介して設けられ、さらに前記軌道スラブ上に軌道レールが配設されてなるスラブ式軌道であって、
    前記充填層の少なくとも一部が、請求項1~13のいずれか1項に記載の補修材料の硬化体である、スラブ式軌道。
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