JP2008074968A - 半硬質ウレタン成形体とその製造方法及び吸音体 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬質ポリウレタンフォームの通気抵抗をさらに低減することで、それのみで高い吸音特性が発現する硬質ウレタン吸音体とする。
【解決手段】厚さ方向に通気性を有する第1層1と、厚さ方向に通気性を有する第2層3と、第1層1と第2層3との間に形成された連結層2を厚さ方向に少なくとも一層備える。
連結層2は、第1層1と第2層3とを厚さ方向で連結する多数の柱状体20と多数の空孔21とよりなり、空孔21どうしが厚さ方向に対して垂直方向に互いに連通し、成形体全体の厚さ方向に通気性を有する。この連結層2の存在により、通気抵抗が大きく低減される。
【選択図】図1
【解決手段】厚さ方向に通気性を有する第1層1と、厚さ方向に通気性を有する第2層3と、第1層1と第2層3との間に形成された連結層2を厚さ方向に少なくとも一層備える。
連結層2は、第1層1と第2層3とを厚さ方向で連結する多数の柱状体20と多数の空孔21とよりなり、空孔21どうしが厚さ方向に対して垂直方向に互いに連通し、成形体全体の厚さ方向に通気性を有する。この連結層2の存在により、通気抵抗が大きく低減される。
【選択図】図1
Description
本発明は、半硬質ウレタン製の成形体と、それを用いた吸音体に関する。本発明の半硬質ウレタン成形体は、剛性を備えながら高い吸音特性を備えているので、自動車のダッシュサイレンサやパッケージトレイ、フードサイレンサなどに好適に用いることができる。
近年、自動車車室内の静粛性の改善が求められ、エンジンルームからの騒音、風切り音、タイヤからの騒音などが車室内へ侵入するのを抑制する手段が種々採用されている。例えばエンジンルームからの騒音の車室内への伝搬を抑制する一つの手段として、ダッシュパネルの車室側表面に沿ってダッシュサイレンサを配置することが行われている。
このダッシュサイレンサは、例えばフェルト層とPVC製などのシート層が積層されたものであり、フェルト層がダッシュパネルに対向して配置され、シート層が車室側に配置されて用いられる。そしてフェルト層が騒音を吸音する吸音層として作用し、シート層が意匠表面を構成する意匠層として積層されている。
ところがフェルト層はダッシュパネルの凹凸形状への追従性に劣り、ダッシュパネルとの間に隙間が生じて防音性能が低下するという問題がある。そこで近年では、実開平07−005966号公報に記載されているように、軟質発泡ウレタンからなる吸音層をシート層の裏面側に型成形によって一体的に形成することで、ダッシュパネルの凹凸形状に沿う形状とし、隙間を生じないようにして密着性を高めたものも採用されている。
しかし軟質発泡ウレタンからなる吸音層をシート層と積層した吸音体は、全体が軟らかく形状保持性が低い。そのため確実な自動搬送がし難いだけでなく、車両への取付け時に変形し易いといった問題が発生する。
そこで、軟質発泡ウレタンに換えて軽量かつ硬質の発泡ウレタンを用いることが考えられている。例えば特開2005−060414号公報には、独泡率が10%以下の連続気泡構造を有する硬質ポリウレタンフォームとその製造方法が提案されている。この硬質ポリウレタンフォームは、消泡剤成分の含有によりセル径を 0.5〜10mmとし、かつ独泡率が10%以下であるため、一般的な硬質ポリウレタンフォームに比べて流れ抵抗が低く、吸音部材として用いることができる。
また特開2006−017983号公報には、硬度が5N/cm2 以上、密度が0.03〜0.15g/cm3 であって、連泡率が50%以上の連続気泡構造を有し、1〜2KHz の音の平均吸音率が防音部材全体で45%以上となるように構成された基材層をもつダッシュパネル用防音部材が提案されている。
これらの技術によれば、基材が上記特性をもつ硬質発泡ウレタンから形成されているので、十分な形状保持性を備えている。したがって車両への取付け時に変形しにくいので、容易に取付けることができ組付工程の自動化がしやすくなる。そして上記特性をもつことで、吸音特性にも優れている。
しかしながら上記公報に記載の連続気泡構造を有する硬質ポリウレタンフォームあるいは防音部材であっても、気泡の連通性がまだ不足し、吸音体としての特性が不十分であった。
実開平07−005966号
特開2005−060414号
特開2006−017983号
上記したように、連続気泡率が高い硬質ポリウレタンフォームが提案されているものの、それのみでは流れ抵抗が高すぎて吸音特性が十分とは云えなかった。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、形状保持に必要な剛性を備えつつ、流れ抵抗をさらに低減することで、それのみで高い吸音特性が発現する半硬質ウレタン成形体とすることを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明の硬質ウレタン成形体の特徴は、厚さ方向に通気性を有する第1層と、厚さ方向に通気性を有する第2層と、第1層と第2層との間に形成された連結層と、よりなる成形体であって、
連結層は、成形体の厚さ方向に少なくとも一層存在し、
連結層は、第1層と第2層とを厚さ方向で連結する多数の柱状体と、第1層と第2層と柱状体とで区画された多数の空孔と、よりなり、
空孔どうしが厚さ方向に対して垂直方向に互いに連通し、成形体全体の厚さ方向に通気性を有することにある。
連結層は、成形体の厚さ方向に少なくとも一層存在し、
連結層は、第1層と第2層とを厚さ方向で連結する多数の柱状体と、第1層と第2層と柱状体とで区画された多数の空孔と、よりなり、
空孔どうしが厚さ方向に対して垂直方向に互いに連通し、成形体全体の厚さ方向に通気性を有することにある。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、液状のウレタン樹脂を金型キャビティへ注入し発泡成形により形成された型成形品であることが望ましい。また密度が0.05g/cm3 〜0.25g/cm3 であり、ヤング率が500MPa 〜 2000MPa であり、成形体全体の厚さ方向の流れ抵抗値が 500〜5000Ns/cm3 であることが望ましい。
そして本発明の吸音体の特徴は、本発明の半硬質ウレタン成形体からなり、半硬質ウレタン成形体の厚さが10mmの場合の1KHz 〜5KHz における平均吸音率が 0.5以上であることにある。
また本発明の製造方法の特徴は、本発明の半硬質ウレタン成形体の製造方法であって、平均分子量が異なる少なくとも二種のポリオール成分と、イソシアネート成分とを、発泡剤の存在下かつ整泡剤の不存在下で金型キャビティへ注入し、発泡成形することにある。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、第1層、第2層及び連結層からなる極めて低密度の成形体であって、厚さ方向に連結層を少なくとも一層備えている。第1層及び第2層は、共に厚さ方向に通気性を有している。連結層は、第1層と第2層とを厚さ方向で連結する多数の柱状体と、第1層と第2層と柱状体とで区画された多数の空孔と、よりなる。空孔どうしは厚さ方向に対して垂直方向に互いに連通し、厚さ方向に対して垂直方向には液体すら流通可能である。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、このような連結層を厚さ方向に少なくとも一層有し、しかも全体の厚さ方向に通気性を有しているので、きわめて低い流れ抵抗値を実現することができ、高い吸音特性が発現される。
そして本発明の半硬質ウレタン成形体は、半硬質ポリウレタンフォームから形成されているので、十分な剛性を備えている。したがって、それのみでダッシュサイレンサなどの吸音体として利用することができ、安価である。また自動で精度良く組付けることができるので、組付工数を大きく低減できる。
半硬質ウレタン成形体とは、軟質ポリウレタンフォームより硬質ポリウレタンフォームに近い硬度を有するものであり、従来の硬質ポリウレタンフォームと同様に、比較的低分子量のポリオールとポリイソシアネートとの架橋反応によって製造されたものである。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、共に厚さ方向に通気性を有する第1層及び第2層と、連結層とを有している。第1層及び第2層の通気性は、少しでも通気性がある場合を含む。
第1層又は第2層は、共に型面によって形成された表面をもつ層とすることができる。一般の硬質ウレタン発泡成形においては、型面と接触する表面に非通気性のスキン層が形成され、ゲル化が早いことからスキン層は厚くなりがちである。しかし型面にワックス系離型剤あるいはシリコーン系離型剤を塗布しておくことにより、スキン層のセルどうしが連通し、通気性を有するスキン層を形成することができる。したがって通気性を有する第1層又は第2層を形成することができる。なおワックス系離型剤としては、天然ワックス、石油系ワックス、合成ワックスなどが例示される。
第1層と第2層のうち一層は、他の一層より厚くすることが好ましい。このようにすれば、厚い層の剛性によって半硬質ウレタン成形体全体の剛性がより向上する。したがってダッシュサイレンサなどの吸音体として利用した場合に、取付精度がさらに向上する。しかし厚い層は、その厚さが厚い分だけ流れ抵抗が大きくなる。したがって吸音体として用いる場合には、薄い層が音源に対向するように配置することが好ましい。
連結層は、セル構造ではなく、多数の柱状体と空孔とからなり、空孔は厚さ方向に対して垂直方向に互いに連通している。柱状体どうしの間隔(空孔の径)はmmオーダーにもなり、厚さ方向に対して垂直方向には液体すら流通可能である。柱状体は、両端が第1層及び第2層に連続し、第1層及び第2層とほぼ同等の密度を有している。すなわち、連結層は密度がきわめて低く、流れ抵抗がきわめて小さいものとなる。したがって本発明の半硬質ウレタン成形体は、半硬質ポリウレタンフォームとしての剛性を保ちつつ特許文献2あるいは特許文献3に記載のものより高い吸音特性を示す。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、密度が0.05g/cm3 〜0.25g/cm3 であり、ヤング率が500MPa 〜 2000MPa であり、厚さ方向の流れ抵抗値が 500〜5000Ns/m3以下であることが望ましい。密度及びヤング率がこの範囲にあることで、剛性と吸音特性のバランスが最適となる。また流れ抵抗が 500Ns/m3より低くても、5000Ns/m3より高くても吸音特性が低下する。なお密度は、0.10g/cm3 〜0.16g/cm3 であることがより好ましい。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、ヤング率が500MPa〜2000MPa であることが好ましい。一般に吸音体として用いられる軟質ポリウレタンフォームのヤング率は100MPa〜150MPaであるので、ヤング率を500MPa〜2000MPa とすれば、硬質ポリウレタンフォームとほぼ同等の剛性を確保することができる。
以上の条件を満たしたとき、本発明の半硬質ウレタン成形体は、主として吸音体として好適に用いることができる。この場合、半硬質ウレタン成形体の厚さが10mmの場合の1KHz 〜5KHz における平均吸音率が 0.5以上とする。吸音特性がこの条件を満たさない場合には、吸音体として実用的でない。
半硬質ウレタン成形体の厚さは、5mm以上とすることが望ましい。厚さが5mm未満では、所望の吸音特性が発現されない場合がある。半硬質ウレタン成形体の厚さは、スペース上あるいは強度上の制約などにより上限が決定される。なお半硬質ウレタン成形体の厚さが100 mmを超えると、製法上の不具合が発生する場合がある。
半硬質ウレタン成形体の連結層は、本発明の半硬質ウレタン成形体の厚さ方向に少なくとも一層含まれ、一層の連結層からなる半硬質ウレタン成形体としてもよいし、厚さ方向に二層あるいは三層の連結層が積層された半硬質ウレタン成形体としてもよい。後者の場合、それぞれの連結層の間に中間層が存在し、各々の連結層の第1層あるいは第2層の役目を果たす。
本発明の半硬質ウレタン成形体又は吸音体は、従来と同様の硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、原料樹脂液に整泡剤を添加せずに発泡成形を行うことで製造することができる。
本発明の半硬質ウレタン成形体を製造する際に必要な成分及び含有量は、下記のとおりである。
ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールなどが例示され、これらの単独あるいは2種以上の混合品を用いることができる。ポリオールの分子量は、一般の硬質ポリウレタンフォームの場合と同様に、数平均分子量で 300〜10000 のものが用いられる。
ポリイソシアネートは、芳香族系、脂肪族系及び脂環族系から選ばれる各種ポリイソシアネートを用いることができる。クルードMDIやTDIが特に好ましい。このポリイソシアネートの配合量は、イソシアネートインデックスとして50〜 500、好ましくは80〜 400、より好ましくは 100〜 300である。イソシアネートインデックスが50未満の場合、発泡が正常に行われず、割れが生じたり、泡体の崩落が発生することがある。
発泡剤は特に制限されないが、通常、水が用いられる。またメチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩化アルキレン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタンなどの炭化水素類を用いてもよい。なお、これらの発泡剤は併用してもよい。この発泡剤の配合量は特に限定されないが、ポリオール 100重量部に対して、通常、 0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
一般的な硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられ、本発明の半硬質ウレタン成形体の製造時には排除される整泡剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリエーテルジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサンなどのオルガノポリシロキサン、あるいはこれらオルガノポリシロキサンをエポキシ基含有化合物、アミノ基含有化合物、エステル結合含有化合物などによって変性した変性オルガノポリシロキサンなどのシリコーン系整泡剤、ラウリン酸、ステアリン酸、クロトン酸、オレイン酸、マレイン酸、グルタル酸、モンタン酸などの脂肪族カルボン酸のフルオロアルカンエステルを代表とするフッソ系整泡剤、有機ケイ素系界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物などのノニオン系界面活性剤などの界面活性剤系整泡剤が挙げられる。このような整泡剤を含めずに発泡成形することで、多数の柱状体と空孔とからなる連結層を形成することができる。
また架橋剤を配合すれば、架橋構造により強度に優れた硬質ウレタン吸音体を形成することができる。この架橋剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミンなどのトリオール、ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ペンタエリスリトールなどのテトラオールなどが挙げられる。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、それのみで用いてもよいし、従来の軟質ウレタン吸音体と積層して用いることもできる。従来の軟質ウレタン吸音体と積層して用いれば、軟質ウレタン吸音体による高い吸音特性を損なうことなく、半硬質ウレタン成形体による剛性を付与することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例の半硬質ウレタン成形体の要部斜視図を図1に、柱状体層の中央(図1のA−A断面)で切断した断面図を図2に示す。この硬質ウレタン成形品は、厚さ約 1.5mmの第1層1と、多数の柱状体20及び空孔21からなり厚さ約5mmの連結層2と、厚さ約5mmの第2層3と、からなる三層構造をなし、三層全体で本発明の半硬質ウレタン成形体が構成されている。またこの半硬質ウレタン成形体の実測密度は0.114g/cm3 である。
本実施例の半硬質ウレタン成形体の要部斜視図を図1に、柱状体層の中央(図1のA−A断面)で切断した断面図を図2に示す。この硬質ウレタン成形品は、厚さ約 1.5mmの第1層1と、多数の柱状体20及び空孔21からなり厚さ約5mmの連結層2と、厚さ約5mmの第2層3と、からなる三層構造をなし、三層全体で本発明の半硬質ウレタン成形体が構成されている。またこの半硬質ウレタン成形体の実測密度は0.114g/cm3 である。
第1層1は、径が数μmから数10μmの微細なセルを無数に有し、表面にスキン層10が形成されている。スキン層10には径が数μmから数10μmの貫通孔11が無数に開口し、貫通孔11は第1層1の内部のセルと連通している。
連結層2は多数の柱状体20からなり、長さ約5mmの柱状体20が第1層1と第2層3とを連結している。図2にその断面図を示すように、柱状体20は棒状、壁状など種々の形状をもち、第1層1と第2層3と柱状体20とで区画された各空孔21は、厚さ方向と直角方向で互いに連通している。柱状体20自身は、径が数μmから数10μmの微細なセルを無数に有している。
第2層3は、径が数μmから数mmのセルを無数に有し、表面にスキン層が形成されている。スキン層には、第1層1のスキン層10と同様に径が数μmから数10μmの貫通孔が無数に開口し、貫通孔は第2層3の内部のセルと連通している。
この半硬質ウレタン成形体の製造方法を以下に説明する。
図3に示すように、上型40と下型41との間に間隙10mmのキャビティ42をもつ金型4を用い、キャビティ42内に表1の組成のポリオール液とポリイソシアネート液とをインデックスが90〜110 (好ましくは100 〜105 )となるように混合し、3000rpm で10秒間撹拌後注入した。キャビティ42内における発泡前の原料樹脂液5の厚さは、平均1mmとなるように設定してある。上型40を上方に下型41を下方に、キャビティ42が水平となるように金型4を保持し、型温50〜52℃で20分間発泡成形した。なお上型40と下型41の型面には、ガソリンワックス系離型剤(中京油脂社製「F−512」)を予め塗布してある。
キャビティ42では、原料樹脂液5は発泡によって膨張して上型40の型面に圧接される。しかし整泡剤を含んでいないため、発泡セルは大きなものから破壊され、図3に示すように原料樹脂液5は体積が収縮して液面が下降し、上型40の型面に付着して残る部分50と液面との間に糸引き状の柱状体前駆体51が形成される。柱状体前駆体51どうしの間からは、奥方の柱状体前駆体51も見えている。こうして第1層1と、多数の柱状体20及び空孔21からなる連結層2と、第2層3とを有する半硬質ウレタン成形体が製造され、吸音体として利用することができる。
ここで、ポリオールA及びポリオールBはグリセリンにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールであり、ポリオールCはエチレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールであり、触媒は3級アミン触媒である。なお、整泡剤は全く使用していない。
(比較例1)
表2に示す組成で発泡成形したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の硬質ウレタン成形体を製造した。なお整泡剤には、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製「SF2932」)を用いた。得られた硬質ウレタン成形体は、均一なセル構造を備えている。なお、表層を薄くするための製造条件の見直し等は行っていない。
表2に示す組成で発泡成形したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の硬質ウレタン成形体を製造した。なお整泡剤には、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製「SF2932」)を用いた。得られた硬質ウレタン成形体は、均一なセル構造を備えている。なお、表層を薄くするための製造条件の見直し等は行っていない。
ここで、ポリオールaはグリセリンにアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールであり、ポリオールbはグリコールにアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールであり、ポリオールcはエチレンジアミンにアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールであり、ポリオールdは、グリセリンにアルキレンオキサイドを付加重合した活性ポリエーテルポリオール中でアクリロニトリル・スチレンをラジカル重合させたポリオールであり、触媒は3級アミン触媒であり、架橋剤はグリセリンである。
(比較例2)
表3に示す組成で発泡成形したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の軟質ウレタン成形体を製造した。なお整泡剤には、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製「SF2932」)を用いた。得られた軟質ウレタン成形体は、均一なセル構造を備えている。
表3に示す組成で発泡成形したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の軟質ウレタン成形体を製造した。なお整泡剤には、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製「SF2932」)を用いた。得られた軟質ウレタン成形体は、均一なセル構造を備えている。
ここで、ポリオールはグリセリンにアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールであり、触媒は3級アミン触媒であり、架橋剤はジエチレングリコールである。
(比較例3)
整泡剤としてシリコーン系整泡剤(GE東芝シリコーン(株)社製「 L5420」)を 0.1重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の半硬質ウレタン成形体を製造した。得られた半硬質ウレタン成形体は、均一なセル構造を備えている。
整泡剤としてシリコーン系整泡剤(GE東芝シリコーン(株)社製「 L5420」)を 0.1重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の半硬質ウレタン成形体を製造した。得られた半硬質ウレタン成形体は、均一なセル構造を備えている。
(実施例2)
キャビティへの原料樹脂液5の投入量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実測密度が0.146 、0.153 、0.202 の半硬質ウレタン成形体をそれぞれ製造した。
キャビティへの原料樹脂液5の投入量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実測密度が0.146 、0.153 、0.202 の半硬質ウレタン成形体をそれぞれ製造した。
<試験・評価>
実施例1の半硬質ウレタン成形体と、比較例1の硬質ウレタン成形体と、比較例2の軟質ウレタン成形体について、吸音特性をそれぞれ評価した。吸音特性は JIS A 1405 に規定された方法に従って各周波数で残響室吸音率を測定し、 100Hz〜6300Hz の周波数の音の残響室吸音率で比較した。結果を図4に示す。
実施例1の半硬質ウレタン成形体と、比較例1の硬質ウレタン成形体と、比較例2の軟質ウレタン成形体について、吸音特性をそれぞれ評価した。吸音特性は JIS A 1405 に規定された方法に従って各周波数で残響室吸音率を測定し、 100Hz〜6300Hz の周波数の音の残響室吸音率で比較した。結果を図4に示す。
図4より、実施例1の半硬質ウレタン成形体は、 100Hz〜6300Hz の周波数域において比較例2の軟質ウレタン成形体と同等以上の吸音特性を示し、比較例1の硬質ウレタン成形体に比べては吸気特性に著しく優れていることが明らかである。これらの効果は、整泡剤を除いて発泡成形することで形成された第1層1、連結層2、第2層3を有することによるものであることが明らかである。
また実施例1と、実施例2と、比較例3の各半硬質ウレタン成形体について、JIS A 1405に規定された方法に従って各周波数で垂直入射吸音率をそれぞれ測定し、 100Hz〜6300Hzの周波数の音の残響室吸音率で比較した。結果を図5及び図6に示す。
図5から、比較例3の半硬質ウレタン成形体では約 800Hz以上の周波数域で吸音特性が劣っているのに対し、実施例1及び実施例2の半硬質ウレタン成形体によれば、密度が上昇しても高い吸音特性が維持されることがわかる。
さらに実施例1、実施例2、比較例1及び比較例3の各ウレタン成形体について、IS009053に規定された方法に従って流れ抵抗値をそれぞれ測定した。結果を図6に示す。
図6から、各実施例の半硬質ウレタン成形体によれば密度と流れ抵抗値とはほぼ比例関係にあり、比較例1の硬質ウレタン成形体及び比較例3の半硬質ウレタン成形体に比べて流れ抵抗値が著しく小さいことがわかる。そして図4及び図5を参照すれば、流れ抵抗値が 500〜5000Ns/cm3 であれば、1600Hz以上の周波数域における吸音特性に特に優れることがわかる。
(実施例3)
実施例1の半硬質ウレタン成形体を製造する場合、キャビティの形状、成形体の密度、原料温度、成形温度、撹拌条件などの条件によっては、図7に示すような半硬質ウレタン成形体が得られる。
実施例1の半硬質ウレタン成形体を製造する場合、キャビティの形状、成形体の密度、原料温度、成形温度、撹拌条件などの条件によっては、図7に示すような半硬質ウレタン成形体が得られる。
この半硬質ウレタン成形体は、厚さ約 1.5mmの第1層1’と、多数の柱状体60及び空孔61からなり厚さ約 4.0mmの第1連結層6と、厚さ約2mmの中間層7と、多数の柱状体80及び空孔81からなり厚さ約 2.8mmの第2連結層8と、厚さ約 0.6mmの第2層3’と、からなる五層構造をなしている。またこの半硬質ウレタン成形体の実測密度は0.12g/cm3 であった。
すなわち本実施例の半硬質ウレタン成形体は、厚さ方向に二層の連結層を備えているため、実施例1と同様の高い吸音特性と低い流れ抵抗値を有していた。
本発明の半硬質ウレタン成形体は、ダッシュサイレンサばかりではなく、パッケージトレイ、フードサイレンサ、さらにエンジンカバー用吸音体、オイルパン用吸音体など、種々の吸音体に利用することができる。
1:第1層 2:連結層 3:第2層
10:スキン層 11:貫通孔 20:柱状体
21:空孔
10:スキン層 11:貫通孔 20:柱状体
21:空孔
Claims (5)
- 厚さ方向に通気性を有する第1層と、厚さ方向に通気性を有する第2層と、該第1層と該第2層との間に形成された連結層と、よりなる成形体であって、
該連結層は、成形体の厚さ方向に少なくとも一層存在し、
該連結層は、前記第1層と前記第2層とを厚さ方向で連結する多数の柱状体と、該第1層と該第2層と該柱状体とで区画された多数の空孔と、よりなり、
該空孔どうしが厚さ方向に対して垂直方向に互いに連通し、成形体全体の厚さ方向に通気性を有することを特徴とする半硬質ウレタン成形体。 - 液状のウレタン樹脂を金型キャビティへ注入し発泡成形により形成された型成形品である請求項1に記載の半硬質ウレタン成形体。
- 密度が0.05g/cm3 〜0.25g/cm3 であり、ヤング率が500MPa 〜 2000MPa であり、成形体全体の厚さ方向の流れ抵抗値が 500〜5000Ns/cm3 である請求項1又は請求項2に記載の半硬質ウレタン成形体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の半硬質ウレタン成形体からなり、該半硬質ウレタン成形体の厚さが10mmの場合の1KHz 〜5KHz における平均吸音率が 0.5以上であることを特徴とする吸音体。
- 請求項1に記載の半硬質ウレタン成形体の製造方法であって、
平均分子量が異なる少なくとも二種のポリオール成分と、イソシアネート成分とを、発泡剤の存在下かつ整泡剤の不存在下で金型キャビティへ注入し、発泡成形することを特徴とする半硬質ウレタン成形体の製造方法。
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