JP7001500B2 - 球状焼成食品の製造方法及び球状焼成食品製造装置 - Google Patents
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Description
中でもたこ焼きは、小麦粉、野菜、だし汁、卵、水などを混練した流動性を有する液状生地を、上部が開放した半球形の凹部を有する焼型に投入し、ぶつ切りにしたタコ、ネギ、揚げ玉、紅ショウガなどの具材を加えた後、焼成することで得られる。
また、球状焼成食品としてたこ焼きを例にとると、好まれる食感は多様である。特に最近では、中は柔らかく、外が「カリッ」とした歯切れのよい食感が好まれる傾向にある。
特許文献1には焼き型の凹部に生地を投入し、該生地を該凹部の内壁面に沿って広げるとともに焼成することにより外皮を成形する工程と、該凹部にさらに生地を投入して焼成することにより該外皮で覆われた焼成食品を得る工程とを含む、焼成食品の製造方法が記載されている。
しかしながら、この方法も見栄えのよい球形型の形状とするのは容易ではない。さらに、焼成後の表皮にしわができること、焼成完了までに中身用生地を投入してから時間がかかることで、中身のトロッとした食感が失われるという課題がある。
[1]略半球状の凹部を備えた開放焼型の凹部に第1の外生地用組成物を充填し、焼成と反転を行って、内側に空洞を有する略球状の第1の外生地を製造する工程と、前記第1の外生地の内側の空洞部に第2の外生地用組成物を注入して焼成し、第1の外生地の内側に第2の外生地層を形成する工程と、前記第2の外生地層の内側の空洞部に中生地用組成物を注入し焼成する工程と、を有する球状焼成食品の製造方法。
[2]前記中生地用組成物は、前記第1の外生地用組成物とは異なる組成である、[1]に記載の球状焼成食品の製造方法。
[3]前記第1の外生地を製造する工程は、開放焼型の凹部に第1の外生地用組成物を充填した後、開放焼型の下方から加熱して半焼け状態とし、略半球状の凹部を備えた空の開放焼型の凹部に移し替えて反転させ、開放焼型の凹部底の球面形状に沿わせて丸めることにより、内側に空洞を有する略球状の第1の外生地を製造する工程である、[1]又は[2]に記載の球状焼成食品の製造方法。
[4]前記第1の外生地用組成物を前記開放焼型の凹部に充填した後、具材を投入する工程を備える、[1]~[3]のいずれか1つに記載の球状焼成食品の製造方法。
[5]前記第2の外生地用組成物を注入する注入箇所と同一の注入箇所から、前記中生地用組成物を注入する、[1]~[4]のいずれか1つに記載の球状焼成食品の製造方法。
[6]前記中生地用組成物を、調製後注入する前に加熱する工程を備える、[1]~[5]のいずれか1つに記載の球状焼成食品の製造方法。
[7]さらに冷凍工程を備える、[1]~[6]のいずれか1つに記載の球状焼成食品の製造方法。
[8]前記球状焼成食品がたこ焼きである、[1]~[7]のいずれか1つに記載の球状焼成食品の製造方法。
[9]略半球状の凹部を有する開放焼型と、前記開放焼型を反転させる反転手段と、開放焼型の開口部下方から加熱可能である加熱手段と、第1の外生地用組成物を注入するための第1の注入手段と、第2の外生地用組成物を注入するための第2の注入手段と、中生地用組成物を注入するための第3の注入手段とを備えた、球状焼成食品製造装置。
本発明により提供される球状焼成食品は、焼成直後、又は焼成後に冷凍した後に解凍した後の内部の食感が柔らかくトロッとした食感を達成できる。
本実施形態により提供される球状焼成食品は、小麦粉をベースとする生地を焼成する食品であることが好ましい。例えば、たこ焼き、明石焼き、今川焼、ベビーカステラ、ドーナツ等が挙げられる。本実施形態においては、球状焼成食品はたこ焼きであることが好ましい。
以下、本発明の球状焼成食品製造装置の構成を説明しつつ、本発明の球状焼成食品の製造方法について説明する。
本実施形態の球状焼成食品製造装置は、略半球状の凹部を有する開放焼型と、前記開放焼型を反転させる反転手段と、開放焼型の開口部下方から加熱可能である加熱手段と、第1の外生地用組成物を注入するための第1の注入手段と、第2の外生地用組成物を注入するための第2の注入手段と、中生地用組成物を注入するための第3の注入手段とを備える。
凹部の開口部の直径は20mm以上であることが好ましく、30mm以上であることがより好ましい。また、70mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがより好ましい。上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態において開放焼型は、複数の凹部を備えていることが好ましい。
また、開放焼型は既知の反転手段によって回動し、隣接するもう一方の開放焼型と凹部が対向した状態で、生地を反転することができるプレートであることが好ましい。
反転手段は、第1の外生地用組成物を充填し、開放焼型の下方から加熱して半焼け状態とした後に第1の外生地を反転させるためのものである。好ましい実施形態においては、開放焼型の上方及び下方から加熱する。反転手段は、対合できる加熱プレートが回動軸の周りで回動可能に備えられ、回動軸の回りを回動させることにより凹部が対向する位置まで開放焼型を回動させる。
また、生地の入っている焼型が、反転装置によって回動し、隣接する生地の入っていない焼型の凹部と対合することにより、外生地を反転することもできる。このように反転させ、開放焼型の凹部底の球面形状に沿わせて丸めることにより、内側に空洞を有する略球状の第1の外生地を製造することができる。
本実施形態の球状焼成食品の製造方法は、略半球状の凹部を備えた開放焼型の凹部に第1の外生地用組成物を充填し、焼成と反転を行って、内側に空洞を有する略球状の第1の外生地を製造する工程と、前記第1の外生地の内側の空洞部に第2の外生地用組成物を注入して焼成し、第1の外生地の内側に第2の外生地層を形成する工程と、前記第2の外生地層の内側の空洞部に中生地用組成物を注入し焼成する工程と、を有する。
まず、図1(a)に示すように、略半球状の凹部を備える開放焼型1の凹部2に、注入手段3により第1の外生地用組成物4を充填する。その後、焼成と反転を行い、図1(b)に示す第1の外生地2aを製造する。
第1の外生地用組成物の充填後、加熱した後、外生地を反転させる。反転の方法は特に限定されるものではなく、既知の方法で実施してよい。例えば、半球型の凹部を有する焼型が反転装置によって回動することにより、外生地を反転することができる。
具体的には、生地の入っていない焼型が、反転装置によって回動し、隣接する外生地が投入された焼型の凹部と対合した後、反転装置によって2枚の焼型ごと反転させることで、外生地を反転することができる。また、生地の入っている焼型が、反転装置によって回動し、隣接する生地の入っていない焼型の凹部と対合することにより、外生地を反転することもできる。反転後、対合した焼型の上側の焼型を開き、固化した第1の外生地側から第2の外生地を注入することができ、注入後下方から加熱をすることにより、焼成食品の内部に空洞部を作ることが可能になり、中生地を注入することができるようになる。この際、上方からも同時に加熱することがより好ましい。
焼成温度は生地組成物の組成、目的とする食感、室温、時間、焼型の形状・素材などによって、最適なものに適宜調整できる。本実施形態においては、120℃~250℃が好ましく、150℃~220℃がより好ましい。
焼成工程においては、開放焼型の下部から継続して下火加熱される。さらに、開放焼型の開口部上方から、適切なタイミングで上火加熱されることが好ましい。その場合焼成温度は上下で同一でもよく、異なっていてもよい。
具材は、目的とする球状焼成食品によって、適宜選択される。具体的には、野菜類、果物類、畜肉類、魚介類等が挙げられる。
また、具材の投入に際しては、既知の充填機を使用すればよく、手作業で投入してもよい。
そこで、発明者らが鋭意検討を行った結果、第1の外生地を反転した後、第2の外生地用組成物を注入することにより、薄く破れやすい部分を強化し、隙間を埋めることができることを見出し、中生地の噴出という課題を解決した。
中生地用組成物の注入にあたり、注入手段7を突き刺す箇所は、第2の外生地用組成物を注入するために注入手段7を突き刺した箇所と同じ箇所であることが好ましい。注入手段7を突き刺す箇所が第2の外生地用組成物の注入箇所と異なる場合、中生地用組成物を注入した際に、第2の外生地用組成物の注入箇所から、中生地用組成物が漏れ出す可能性がある。
中生地用組成物を注入した後は反転と上下加熱を繰り返し行うことで、見栄えの良い球状に成型された球状焼成食品を得ることができる。
(1)たこ焼きの外側の生地と内側の生地の生地特性を変えることができる。
(2)焼成時間を各生地に適した時間とできる。
第1の外生地用組成物は、小麦粉を主体とする生地組成物であればよい。
例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラムセモリナ粉等が挙げられる。これらの小麦粉は、いずれか単独で使用してもよく、また2種類以上を適宜混合して使用してもよい。
また、第1の外生地用組成物と第2の外生地用組成物に配合する材料は同一であってもよく、異なっていてもよい。喫食時に外皮の外観や食感、香味に一体感が出ることから、同じ配合とすることが好ましい。
中生地用組成物は、小麦粉を主体とする生地であれば良く、外生地と同様の材料で調製することができるが、外皮の食感と内部の食感を変えるために、前記第1及び第2の外生地用組成物とは異なる特性を有する生地組成とすることが好ましい。
使用するタマネギは、生タマネギであってもよく、加熱したタマネギであってもよい。
本実施形態においては、タマネギの破砕物、切断物、摩砕物等が使用できる。
破砕物とは、砕かれたタマネギであって、その大きさが不均一なものをいう。破砕物の大きさは、一例を挙げると3mm以上10mm以下である。破砕手段を例示すると、ハンマーミル等である。
切断物とは、砕かれたタマネギであって、その大きさが均一なものをいい、例示すると、ダイスカットタマネギ、スライスタマネギ等である。切断物の大きさは、一例を挙げると3mm以上10mm以下である。切断手段を例示すると、ミクログレーダー、ダイスカッター、コミトロール、フードプロセッサー等である。
摩砕物とは、砕かれたタマネギであって、その性状がピューレ又はペースト状のものをいう。摩砕物の大きさは、0.5mm程度である。摩砕手段は、パルパー搾汁機、コロイドミル、コミトロール、フードプロセッサー等である。
生地組成物の流動性が向上する観点から、タマネギの切断物が好ましく、ダイスカットタマネギがより好ましい。
中生地用組成物を調製した後、当該生地組成物を加熱することにより、小麦粉等のデンプンがα化し、粘度が上昇する。これにより、中生地用組成物注入後に、注入箇所から中生地が漏れることを防ぎ、かつ、焼成後、中生地が硬くなるのを防ぎ、トロッとした食感を維持することができる。さらに、焼成後冷凍した後、レンジ調理した場合も同様にトロッとした食感を維持することができる。
本実施形態においては、中生地用組成物注入時の中生地用組成物生地の温度は0℃~80℃が好ましく、5℃~60℃がより好ましい。
球状焼成食品として、たこ焼きを製造した。
≪第1の外生地用組成物の調製≫
表1に記載の外生地原料のうち、水に卵を加えてミキサーで撹拌し、加工澱粉、調味料、増粘剤・膨張剤、小麦粉を投入した。これらを混合した後、サラダ油を加えさらにミキサーで撹拌した。そうして得られた生地にキャベツ、紅生姜、天かすを加え、軽く撹拌し、第1の外生地用組成物を調製した。
同様の手順で、表2に記載の原料を用いて中生地用組成物を調製した。得られた中生地用組成物を鍋に入れ、弱火で品温が90℃になるまで加熱した。
調製された第1の外生地用組成物13gから20gを、油を塗布し170℃から190℃に加熱した略半球状の凹部を備えた開放焼型の凹部に投入した後、具材としてぶつ切りにしたタコを凹部に投入した。投入した第1の外生地用組成物の表面が固化する程度に上下より加熱した。その後、略半球状の凹部を備えた空の開放焼型の凹部に第1の外生地を移し替えて反転させた。
反転させた第1の外生地の表面にシリンジを突き刺し、更に第2の外生地用組成物を8gから12g注入した。外生地注入後、上下より加熱した。第2の外生地用組成物は、前記第1の外生地用組成物と同一のものを使用した。
その後、第2の外生地用組成物を注入した箇所に、再度シリンジを突き刺し、中生地用組成物を5gから10g注入した。中生地用組成物を注入後、表面全面に適度な焼き色が付くまで反転と上下加熱を繰り返し、焼成済みたこ焼きを製造した。
焼成済みたこ焼きは急速凍結庫にて凍結し、-18℃で冷凍保存して、冷凍たこ焼きを製造した。
表3に記載の外生地用原料のうち、水に卵を加えてミキサーで撹拌し、加工澱粉、調味料、増粘剤・膨張剤、小麦粉を投入した。これらを混合した後、サラダ油を加えさらにミキサーで撹拌した。そうして得られた生地にキャベツ、紅生姜、天かすを加え、軽く撹拌した。このように調製された生地を、油を塗布し170℃から200℃に加熱した焼型の凹部に投入した後、具材としてぶつ切りにしたタコを凹部に投入した。その後、表面全面に適度な焼き色が付くまで反転と上火加熱を繰り返し、焼成済みたこ焼きを製造した。焼成済みたこ焼きは急速凍結庫にて凍結し、-18℃で冷凍保存して、冷凍たこ焼きを製造した。
実施例1と比較例1で製造した冷凍たこ焼きについて、以下の方法で官能評価を実施した。
実施例1及び比較例1で製造した冷凍たこ焼きを7日間-18℃で冷凍保存した後、4個を皿に載せてラップをせずに電子レンジを用いて600Wで3分間加熱調理を行った。電子レンジ調理してから5分後に、ソースなどを塗布せずに、以下の評価基準で中生地の食感について官能評価を実施した。官能評価は事前に評価基準を統一する訓練を受けた6人で行った。
上記評価基準に基づき、評価した6人の評価点の平均値を以下に示す。
実施例1 平均値4.2
比較例1 平均値2.8
表1に記載の外生地原料のうち、水に卵を加えてミキサーで撹拌し、卵以外の副原料、小麦粉を投入した。これらを混合した後、サラダ油を加えさらにミキサーで撹拌した。そうして得られた生地にキャベツ、紅生姜、天かすを加え、軽く撹拌した。同様の手順で、表2に記載の原料を用いて中生地用組成物を調製した。得られた中生地用組成物を鍋に入れ、弱火で品温が90℃になるまで加熱した。
実施例1と比較例2で製造した冷凍たこ焼きについて、以下の方法で電子レンジ調理時の状態評価を実施した。
実施例と比較例2で製造した冷凍たこ焼きを7日間-18℃で冷凍保存した後、4個を皿に載せてラップをせずに電子レンジを用いて600Wで3分間加熱調理を行った。加熱調理直後のたこ焼きについて中生地の噴出の有無を目視で確認した。同様の試験を実施例、比較例2の冷凍たこ焼きにおいて、2回ずつ行った。
上記評価方法による結果を以下に示す。
実施例1 第2外生地注入あり(n=8):噴出有0、噴出無8
比較例2 第2外生地注入なし(n=8):噴出有7、噴出無1
Claims (9)
- 略半球状の凹部を備えた開放焼型の凹部に第1の外生地用組成物を充填し、焼成と反転を行って、内側に空洞を有する略球状の第1の外生地を製造する工程と、
前記第1の外生地の内側の空洞部に第2の外生地用組成物を注入して焼成し、第1の外生地の内側に第2の外生地層を形成する工程と、
前記第2の外生地層の内側の空洞部に中生地用組成物を注入し焼成する工程と、を有する球状焼成食品の製造方法。 - 前記中生地用組成物は、前記第1の外生地用組成物とは異なる組成である、請求項1に記載の球状焼成食品の製造方法。
- 前記第1の外生地を製造する工程は、開放焼型の凹部に第1の外生地用組成物を充填した後、開放焼型の下方から加熱して半焼け状態とし、略半球状の凹部を備えた空の開放焼型の凹部に移し替えて反転させ、開放焼型の凹部底の球面形状に沿わせて丸めることにより、内側に空洞を有する略球状の第1の外生地を製造する工程である、請求項1又は2に記載の球状焼成食品の製造方法。
- 前記第1の外生地用組成物を前記開放焼型の凹部に充填した後、具材を投入する工程を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の球状焼成食品の製造方法。
- 前記第2の外生地用組成物を注入する注入箇所と同一の注入箇所から、前記中生地用組成物を注入する、請求項1~4のいずれか1項に記載の球状焼成食品の製造方法。
- 前記中生地用組成物を、調製後注入する前に加熱する工程を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の球状焼成食品の製造方法。
- さらに冷凍工程を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の球状焼成食品の製造方法。
- 前記球状焼成食品がたこ焼きである、請求項1~7のいずれか1項に記載の球状焼成食品の製造方法。
- 略半球状の凹部を有する開放焼型と、前記開放焼型を反転させる反転手段と、開放焼型の開口部下方から加熱可能である加熱手段と、第1の外生地用組成物を注入するための第1の注入手段と、第2の外生地用組成物を注入するための第2の注入手段と、中生地用組成物を注入するための第3の注入手段とを備えた、球状焼成食品製造装置。
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