JP7000199B2 - 雨水排水システム - Google Patents
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Description
このようなのり面の上部にある路面排水やのり面排水は、開水路(U字溝等)で排水する排水設備であることが多く、とくに集水マス部分で大雨時の跳水や溢水により土壌崩壊を引き起こすおそれがある。このような問題に対応するために、例えば特許文献1に示されるような雨水からのり面を保護するための雨水排水システムが知られている。
そして、本発明では、排水管路が管状であるので、のり面内における例えば縦排水溝に沿わない方向等の様々な方向で、かつ長距離で排水管路を設置することができる。そのため、集水マスの設置箇所に制限されることがなく、のり面全体としてバイパスでき、跳水や溢水を防ぐことが可能となり、土壌崩壊を引き起こす要因を小さく軽減することができる。
さらに、本発明では、導水部の長さを短くすることが可能なため、その排水断面積を排水設備の断面積と排水管路の断面積の中間程に設定することで導水がし易くなる。
さらに、本発明では、サイフォン現象を発生させることで、排水を高流速化し、排水管路の口径を小さくしても排水処理量を得ることができる利点もある。
さらに、本発明では、地中に埋設される部分の排水管路を紫外線から保護することでき、排水管路の耐久性を向上させることが可能となる。
図1に示すように、第1の実施の形態による雨水排水システム1は、盛土して上方に道路を設ける際に形成されるのり面2に設置されている。ここで、本実施の形態では、排水設備を備えた既設ののり面2に対して雨水排水システム1を設ける場合に適用される。
本実施の形態では、のり面2が高さ方向を複数段(図1では三段)に区分され、各段ののり面2同士の間の段状部分には略水平方向に延びる小段部Bが形成されている。また、のり面2の最上部には路面Cが設けられており、のり尻には側道Dが設けられている。
小段部Bに設けられる集水マス24に雨水を流入させる上流側の横排水溝21に対して集水マス24を挟んで反対側に設けられる下流側の横排水溝21は、当該集水マス24から離れる方向に下り勾配となっており、当該集水マス24に雨水が流れ込まないようになっている。この下流側の横排水溝21の内面には、集水マス24寄りの位置において集水マス24内の水位を高めるための堰(図示省略)が設けられている。
また、排水管路10に耐光性樹脂を外層に被覆した樹脂管路として、例えば、AESを被覆した塩ビ管、耐光性塩ビを被覆した塩ビ管、耐光性塗料を塗布した塩ビ管、黒顔料を配合したPE樹脂を被覆したPE管、耐光性塗料を塗布した強化プラスチック管等が挙げられる。
また、最上段の小段部Bに位置する集水マス24内に流入する雨水の多くは排水管路10によりのり尻排水溝22まで排水される。そのため、縦排水溝25内の排水量は大幅に減少することになる。つまり、集水マス24に縦排水溝25から合流する排水量が減少され、集水マス24が溢れにくくなる。
すなわち、導水溝30の上流端30a側の底部形状が集水マス23の底部形状と同形状の場合は、隙間Sをゼロ(隙間なし)とすると、呑込み量は100%となる。また、隙間Sをあけることで、導水溝30の呑込み量を減らした設定にすることができる。
この斜めに配置された蓋部材12Bは、下流側の壁としての機能と、サイフォン作用を発生させる蓋の機能と、を有している。そして、サイフォン作用が生じ易くなる角度の設定条件として、例えば排水配管径(排水管路10の管径)、導水溝30の幅D、上面視で開口穴34から端板33までの距離、排水量、排水流速等に応じて選定することができ、例えば45度の角度に設定することができる。
また、蓋部材12A、12Bは、水流で蓋の機能を有すればよいので、メッシュやスリットが形成された部材を採用することも可能である。
図6(a)~(c)に示す蓋部材12Cは、円板状に形成され、底面31aに対して平行に、かつ底面31aから上方に所定の間隔をあけて配置されている。蓋部材12Cは、開口穴34よりも大径で開口穴34と略同軸上に設けられ、開口穴34の開口縁から上方に延びる複数(ここでは4つ)の柱材121によって下方から支持されている。つまり、開口穴34は、上面視で蓋部材12Cによって覆われた状態となっている。
なお、合流用管路11は、排水管路10と別体であっても一体に設けられていてもよい。
本実施の形態による雨水排水システム1では、図1に示すように、のり面2の上部にある路面排水を導水溝30で集水マス23から導水し、その排水を排水管路10に通過させて、導水溝30からのり尻排水溝22へ直接、排水することができる。
このように、本実施の形態では、導水する箇所に導水溝30を設けるといった簡単な構造により、のり面全体を効率よくバイパスすることができ、排水処理能力を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、導水溝30の排水断面積は集水マス23の断面積と排水管路10の断面積の中間程に設定することで導水がし易くなる。
さらに、本実施の形態では、サイフォン現象を発生させることで、排水を高流速化し、排水管路10の口径を小さくしても排水処理量を得ることができる利点もある。
次に、図7及び図8に示すように、本発明の第2の実施の形態による雨水排水システム1Aについて、図面を用いて説明する。
第2の実施の形態による雨水排水システム1Aは、導水溝30を縦排水溝25に設けた構成となっている。導水溝30は、上述した第1の実施の形態と同様の構成であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
導水溝30の上流端30aが、最上段の縦排水溝25の凹溝内に配置されている。導水溝30の底板31と、縦排水溝25の底面25aとの間には隙間Sが設けられている。すなわち、導水溝30の位置は、路面Cの集水マス23の近傍であり、集水マス23から縦排水溝25に流出した直後に、その排水の一部が導水溝30に流れ込むように配置されている。
次に、図9に示すように、本発明の第3の実施の形態による雨水排水システム1Bについて、図面を用いて説明する。
第3の実施の形態による雨水排水システム1Bは、導水溝30を最上段(1段目)の小段部Bの横排水溝21に設けた構成となっている。すなわち、雨水排水システム1Bでは、横排水溝21に流入した排水の一部を上下方向に延在する排水管路10を使用して、のり尻排水溝22に排水する構成である。排水管路10には、上述した第1の実施の形態と同様にのり尻排水溝22に合流する排水の合流部に合流用管路11が配設されている。
本実施の形態では、排水管路10を有する雨水排水システム1Bと、排水管路10とは別系統となる後述する縦排水溝25と、の2系統によりのり尻排水溝22に排水する構成となっている。
次に、図10に示すように、本発明の第4の実施の形態による雨水排水システム1Cは、既存の縦排水溝25と横排水溝21による排水機能をそのまま残した状態で、既存の集水マス23、23同士の間の略中間部分に新たに路面Cに集水マス23Aを新設するとともに、その新設した集水マス23Aに対して導水溝30を設けた構成である。本実施の形態の雨水排水システム1Cは、上述した図1に示す第1の実施の形態の雨水排水システム1と同様である。
次に、図11及び図12に示すように、本発明の第5の実施の形態による雨水排水システム1Dについて、図面を用いて説明する。
第5の実施の形態による雨水排水システム1D、1Eは、路面Cの集水マス23から最上段の小段部Bまでのみに配置された縦排水溝25に対して導水溝30を設けた構成となっている。ここで、本実施の形態の雨水排水システム1D、1Eは、最上段の小段部Bの集水マス24では路面排水が流入するが、排水できる縦排水溝25がなく、横排水溝21への排水となるため、流れが悪く集水マス24において逸水が起こり易いものを適用対象としている。
図12に示す雨水排水システム1Eは、のり尻排水溝22に直接排水できない場合の一例であって、排水管路10が上から2段目の小段部Bの横排水溝21まで延ばされている。
本実施の形態の雨水排水システム1D、1Eの基本的な構成は、上述した図7及び図8に示す第2の実施の形態の雨水排水システム1Aと同様である。
なお、図12に示す雨水排水システム1Eでは、排水管路10がのり尻排水溝22まで延ばされていないが、前述したような集水マス24における逸水のリスクを減らすことができる。
次に、図13に示すように、本発明の第6の実施の形態による雨水排水システム1Fについて、図面に用いて説明する。
第6の実施の形態による雨水排水システム1Fは、最上段の小段部Bの横排水溝21の延長方向の途中に窪み部21cが生じた場合に導水溝30を適用した構成となっている。のり面の新設時には、窪み部21cはなく、横排水溝21の上流側の集水マス24(上流部21a)から下流側の集水マス24が位置する下流部21bに向けて流れていたが、時間と共に横排水溝21の途中に窪み部21cが生じた例である。
次に、図14に示すように、本発明の第7の実施の形態による雨水排水システム1Gについて、図面に用いて説明する。
第7の実施の形態による雨水排水システム1Gは、上述したように小段部B、横排水溝21、縦排水溝25が設けられていないのり面2において、路面Cの集水溝23に導水溝30が設けられ、排水管路10が直接、のり尻排水溝22まで配設された構成となっている。
排水管路10は、導水溝30から下方に向けて延ばされて地中に入り、埋設された部分(符号10A)がのり面2に沿って埋設されている。埋設された排水管路10Aは、のり尻排水溝22の内側壁から側溝内に突出する合流用管路11に接続されている。
さらに、この場合には、地中に埋設される部分の排水管路10Aを紫外線から保護することでき、排水管路10の耐久性を向上させることが可能となる。
次に、図15及び図16に示すように、本発明の第8の実施の形態による雨水排水システム1Hについて、図面に用いて説明する。
第8の実施の形態による雨水排水システム1Hは、上述した第1の実施の形態における排水管路10に縮径管12E(12)(サイフォン誘発部)を設けた構成となっている。縮径管12Eは、排水管路10の適宜な位置の一部に、排水管路10の内径よりも小さな内径を有する配管であり、本実施の形態ではのり面2の傾斜に沿う斜め部10Bの長さ方向の略中央部分に配置されている。縮径管12Eは、内径を絞る効果によりサイフォン現象を発生させる構成となっている。
なお、縮径管12Eに代えて、内径を絞る突起やリング状のプレートによる縮径等の効果を有するサイフォン誘発部を設けでもよく、このような構成であっても縮径管12Eと同様のサイフォン作用を生じさせることができる。そして、縮径管12Eを複数箇所に使用することで、サイフォン現象が途切れることがなく連続的に発生しやすくなる。
本第1実施例は、図17及び図18に示すように、上述の実施の形態の導水溝30(導水部)を模擬した試験体4A、4Bを用い、導水部の有無と、導水部の壁(端板)の排水に及ぼす影響について開口穴41からの排水状況より確認した。
表1及び図18(c)に示すように、導水部44を有する実施例1のケースでは、壁距離Lが12cmの場合において、開口穴41付近の水位H2が12~22cmとやや高くなり、渦Uが形成されるとともに水面が暴れた状態(以下、水面暴れと表現する)となった。また、実施例1で壁距離Lが8cmの場合において、開口穴41付近の水位H2が9~13cmとなり、壁距離Lが12cmの場合に比べると水位が低く、渦Uは発生していないが、水面暴れは大きい状態であった。
また、導水部44を有する実施例1、2において、壁距離が8cmのケースでは排水管42の内壁と導水部44の端板43との距離が近く、排水が排水管42に流れ込み易く、水面暴れが程よく封水状態を作りサイフォン現象になっている。
以上のことから、導水部44の排水管42(開口穴41)との接続部分の溝幅Dが排水管42の径の好ましくは1~5倍であり、略2.5倍であることが好適である。また、排水管42の内径が80mmのときに、導水部44の溝幅Dは20~40cmが好ましい。
第2実施例は、図19(a)~(c)に示すように、上述した第1実施例の実施例2における壁距離Lが8cmの試験体4Bにおいて排水管42の底板との接続部に曲線部45が形成されたものを使用し、曲線部45の曲率Rを変化させて第1実施例と同様の試験(実施例3)を行った。試験は、曲線部45の曲率RはR0が0mm(直角)、R5が5mm、R15が15mmの3ケースで行った。表2は、実施例3の試験結果を示している。
例えば、本実施の形態の雨水排水システム1、1A~1Gでは、導水溝30(導水部)、又は排水管路10にサイフォン誘発部を備えた構成としているが、サイフォン誘発部を設ける構成であることに限定されることはなく、サイフォン誘発部を省略することも可能である。
2 のり面
10、10A 排水管路
11 合流用管路
12、12A、12B、12C サイフォン誘発部
21 横排水溝
22 のり尻排水溝(のり尻側の側溝)
23、24 集水マス
25 縦排水溝
30 導水溝(導水部)
31 底板
32 側板
33 端板
34 開口穴
B 小段部
C 路面
D 側道
S 隙間
Claims (4)
- のり面の上部にある路面排水又はのり面の排水を、放流側施設であるのり尻側の側溝に排水する雨水排水システムであって、
集水マス、横排水溝、及び縦排水溝のうち少なくとも1つが設けられた排水設備と、
前記排水設備から前記のり尻側の側溝へ排水する管状の排水管路と、
前記排水管路に接続され、前記排水設備の排水を前記排水管路に導水するための導水部と、
を備え、
前記導水部の上流端側の底部は、前記排水設備の底部との間に上下方向の隙間をあけて配置されていることを特徴とする雨水排水システム。 - 前記導水部及び前記排水管路の少なくとも一方にサイフォン誘発部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の雨水排水システム。
- 前記排水管路の少なくとも一部が地中に埋設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の雨水排水システム。
- 前記排水管路は、耐光性を有する樹脂で構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の雨水排水システム。
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