JP6998181B2 - マスクブランク、位相シフトマスクおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層の窒素含有率が36atm%以上とされることにより上記課題を解決した。
本発明のマスクブランクは、位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層において、波長405nmでの屈折率が2.4以上に設定されることにより上記課題を解決した。
本発明のマスクブランクは、位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層と前記低反射率層とが、シリサイドからなることにより上記課題を解決した。
本発明のマスクブランクは、位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記低反射率層において、波長405nmでの屈折率が2.2以下に設定されることにより上記課題を解決した。
本発明のマスクブランクは、位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層の膜厚が15nm以下とされることにより上記課題を解決した。
本発明において、前記低反射率層の酸素含有率が前記耐薬層の酸素含有率より高く設定されることがより好ましい。
本発明は、前記耐薬層と前記低反射率層とにおいて、分光反射率が400nm近傍で下凸となるプロファイルを有することが可能である。
また、前記低反射率層の窒素含有率が35atm%以下、酸素含有率が30atm%以上とされることができる。
また、前記位相シフト層において、波長405nmでの屈折率が2.4以上に設定されることができる。
また、前記位相シフト層の窒素含有率が36atm%以上とされることができる。
また、本発明の位相シフトマスクは、上記のいずれか記載のマスクブランクから製造されることができる。
また、本発明のマスクブランクの製造方法は、上記のいずれか記載のマスクブランクの製造方法であって、
前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、窒素ガスの分圧を異ならせることができる。
また、前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、酸素含有ガスの分圧を異ならせることができる。
また、本発明の位相シフトマスクの製造方法は、上記の位相シフトマスクの製造方法であって、
前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、窒素ガスの分圧を異ならせることができる。
本発明においては、前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、酸素含有ガスの分圧を異ならせることができる。
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層より高く設定されることにより、所定の範囲に低減した反射率を有し、かつ、洗浄等の工程において使用される薬剤耐性と、所望の位相シフト効果とを有するマスク層を有する位相シフトマスクとすることのできるマスクブランクを提供することが可能となる。
ここで、薬剤としては、アルカリ性のもの、あるいは、酸性のものを適用でき、例として、現像液、剥離液、洗浄液などがあり、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、硫酸(H2SO4)、硫酸と過酸化水素(H2O2)の混合液等を挙げることができるが、特に、水酸化ナトリウム溶液を挙げることができる。
また、本願発明のマスクブランクとして、FPD製造の多色波露光に用いられる大型のマスクを想定することができる。
ここで、位相種とマスクとして適応可能なシリサイド膜としては、MoとSiで構成されるMoSi系材料に限らず、金属及びシリコン(MSi、M:Mo、Ni、W、Zr、Ti、Cr等の遷移金属)、酸化窒化された金属及びシリコン(MSiON)、酸化炭化された金属及びシリコン(MSiCO)、酸化窒化炭化された金属及びシリコン(MSiCON)、酸化された金属及びシリコン(MSiO)、窒化された金属及びシリコン(MSiN)、などが挙げられ、また、Ta、Ti、W、Mo、Zrなどの金属や、これらの金属どうしの合金又はこれらの金属と他の金属との合金(他の金属としてはCr、Niが挙げられる)や、これらの金属又は合金とシリコンとを含む材料、が挙げられる。特に、MoSi膜を挙げることができる。
前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、窒素ガスの分圧を異ならせることにより、所定の窒素含有率として耐薬層と低反射率層とを成膜して、所定の膜特性を有するマスクブランクを製造することができる。
前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、窒素ガスの分圧を異ならせることにより、それぞれの層で、所望の膜特性を有する位相シフトマスクを製造することができる。
図1は、本実施形態におけるマスクブランクを示す断面図であり、図2は、本実施形態における位相シフトマスクを示す断面図であり、図において、符号10Bは、マスクブランクである。
なお、本実施形態に係るマスクブランク10Bは、位相シフト層12と低反射率層13と耐薬層14以外に、保護層、遮光層、エッチングストッパー層、等を積層した構成とされてもよい。
また、低反射率層13としては、位相シフト層12と耐薬層14と同様に、窒素を含有するシリサイド膜とされるが、さらに、酸素を含有することができる。
また、低反射率層13の窒素濃度が35atm%以下とされてよく、低反射率層13の窒素濃度が30atm%以下がより好ましい。
このとき、位相シフト層12の酸素濃度が、7.0~10atm%、耐薬層14の酸素濃度が、7.0~10atm%とされることができる。
一例として、例えば、クロムを含む遮光層を挙げることができる。
図3は、本実施形態におけるマスクブランクの製造装置を示す模式図であり、図4は、本実施形態におけるマスクブランクの製造装置を示す模式図である。
ターゲットS12bは、ガラス基板11に成膜するために必要な組成を有する材料からなる。
ここで、酸素含有ガスとしては、CO2(二酸化炭素)、O2(酸素)、N2O(一酸化二窒素)、NO(一酸化窒素)等を挙げることができる。
なお、位相シフト層12、耐薬層14、低反射率層13との成膜で、必要であればターゲットS12bを交換することもできる。
ターゲットS22bは、ガラス基板11に成膜するために必要な組成を有する材料からなる。
ここで、酸素含有ガスとしては、CO2(二酸化炭素)、O2(酸素)、N2O(一酸化二窒素)、NO(一酸化窒素)等を挙げることができる。
なお、位相シフト層12、耐薬層14、低反射率層13との成膜で、必要であればターゲットS22bを交換することもできる。
本実施形態の低反射位相シフト膜である位相シフト層12と低反射率層13と耐薬層14とにおいては、位相シフト層12と耐薬層14との窒素濃度に比べて、低反射率層13における窒素濃度が低くなるように設定される。
耐薬層14は、スパッタリングによる成膜時のN2分圧を変化させて、例えば、窒素濃度40%以上のMoSi膜として成膜される。
位相シフト層12は、スパッタリングによる成膜時のN2分圧を変化させて、例えば、窒素濃度40%以上のMoSi膜として成膜される。なお、位相シフト層12は必要な位相シフターとして機能するために、耐薬層14と異なる窒素分圧とすることができる。
耐薬層14は、スパッタリングによる成膜時の酸素含有ガスとしてのCO2分圧を変化させて、例えば、酸素濃度30%以下のMoSi膜として成膜される。
位相シフト層12は、スパッタリングによる成膜時の酸素含有ガスとしてのCO2分圧を変化させて、例えば、酸素濃度30%以下のMoSi膜として成膜される。なお、位相シフト層12は必要な位相シフターとして機能するために、耐薬層14と異なる酸素含有ガス分圧とすることができる。
図5は、本実施形態の低反射位相シフト膜におけるNaOH処理後の透過率変化のN2/Arガス比依存性を示すグラフであり、図6は、本実施形態の低反射位相シフト膜におけるNaOH処理後の透過率変化の窒素濃度依存性を示すグラフであり、図7は、本実施形態の低反射位相シフト膜におけるNaOH処理後透過率変化のCO2濃度依存性を示すグラフである。
ここで、処理条件は、NaOH濃度は5%、温度40℃、浸漬時間15~60minとして変化させた。なお、成膜時のガス条件として、表1のN2分圧に対応して、N2:Arの流量比として示してある。
したがって、窒素濃度が40atm%以上であれば、405nmでの透過率変化がほぼ無視しうるような膜厚変化および窒素濃度依存性を有することがわかる。
ここで、処理条件は、NaOH濃度は5%、温度40℃、浸漬時間15~60minとして変化させた。
したがって、耐薬層14における酸素濃度は、少ない方が405nmでの透過率変化がほぼ無視しうるような膜厚変化および酸素濃度依存性を有することがわかる。
図8は、本実施形態の位相シフト膜における屈折率の波長依存性を示すグラフであり、図9は、本実施形態の位相シフト膜における消光係数の波長依存性を示すグラフである。
図10は、本実施形態の位相シフト膜における分光反射率と耐薬層/低反射率層の膜厚特性との関係を示すグラフであり、図11は、本実施形態の位相シフト膜における分光反射率と耐薬層/低反射率層の膜厚特性との関係を示すグラフである。
この結果を図10に示す。
図において、A;耐薬層膜厚/B;低反射率層膜厚を示している。
ここで、耐薬層14と低反射率層13との膜厚を変化させることで、反射率プロファイルの下凸となる波長が400nm付近から500nm付近までの範囲とすることができる。
この結果を図11に示す。
図において、A;耐薬層膜厚/B;低反射率層膜厚を示している。
このように、本発明を用いることで所望の波長領域において反射率を低減することができることがわかる。
遮光層は、ガラス基板11に対して、低反射位相シフト膜よりも外側となる上置きタイプ、または低反射位相シフト膜よりも内側となる下置きタイプとすることができる。さらに、このとき、遮光層と低反射位相シフト膜との間に、エッチングストップ層を設けることもできる。
大型ガラス基板(合成石英(QZ)10mm厚、サイズ850mm×1200mm)上に、大型インラインスパッタリング装置を使用し、低反射位相シフトマスク膜の成膜を行った。具体的には、Xの値が2.3のMoSiXターゲットを用い、ArガスとN2ガスとをスパッタリングガスとしてMoSi膜を成膜した。このとき、窒素ガス分圧を表1に示すように変化させて、窒素濃度を44.9atm%(実験例1)、40.8atm%(実験例2)、29.5atm%(実験例3)、7.2atm%(実験例4)、と段階的に変化させて、複数の試料を作製した。
ここで、処理条件は、NaOH濃度は5%、温度40℃、浸漬時間15~60minとして変化させた。なお、成膜時のガス条件として、表1のN2分圧に対応して、N2:Arの流量比として示してある。
次に、上記の実験例1~4と同様にして、ArガスとN2ガスとCO2ガスをスパッタリングガスとしてMoSi膜を成膜した。このとき、CO2ガス流量を図7に示すように変化させて、酸素濃度を9.9atm%(実験例5)、12.7atm%(実験例6)、18.0atm%(実験例7)、34.7atm%(実験例8)、47.1atm%(実験例9)、と段階的に変化させて、複数の試料を作製した。
ここで、処理条件は、上記の実験例1~4と同様にして、NaOH濃度は5%、温度40℃、浸漬時間15~60minとして変化させた。なお、成膜時のガス条件として、表1のN2分圧に対応して、N2:Arの流量比として示してある。
次に、実施例2と同様にして、膜厚方向に窒素濃度が49.5atn%酸素濃度が6.69atm%のMoSi膜と、窒素濃度が29.5atm%、酸素濃度が36.77atm%のMoSi膜と、窒素濃度が49.5atn%酸素濃度が6.69atm%のMoSi膜と、の3層を積層した。このとき、ガラス基板側の層の窒素濃度が高くなるとともに酸素濃度が低くなるように、成膜開始後、MoSi膜が所定の膜厚となった後に、導入ガスのN2ガス分圧およびCO2ガス分圧を切り替えて、最上層のN2ガス分圧濃度が、実施例2における耐薬性を有するように窒素分圧を高くして成膜した。
ここで、MoSi膜内の窒素濃度および酸素濃度を厚さ方向に変化させることで、反射率プロファイルの下凸となる波長が400nm付近から500nm付近までの範囲とすることができる。
また、MoSi膜内の窒素濃度および酸素濃度を厚さ方向に変化させ、膜厚を調整することで、反射率プロファイルの下凸となる波長が400nm付近に集まるように設定することができる。
10B…マスクブランク
11…ガラス基板(透明基板)
12…位相シフト層
13…低反射率層
14…耐薬層
12P,13P,14P…位相シフトパターン
S10,S20…成膜装置(スパッタ装置)
S11…ロード・アンロード室
S21…ロード室
S25…アンロード室
S11a,S21a,S25a…搬送装置(搬送ロボット)
S11b,S21b,S25b…排気手段
S12,S22…成膜室(チャンバ)
S12a,S22a…基板保持手段
S12b,S22b…ターゲット
S12c,S22c…バッキングプレート(カソード電極)
S12d,S22d…電源
S12e,S22e…ガス導入手段
S12f,S22f…高真空排気手段
Claims (15)
- 位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層の窒素含有率が36atm%以上とされる
ことを特徴とするマスクブランク。 - 位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層において、波長405nmでの屈折率が2.4以上に設定される
ことを特徴とするマスクブランク。 - 位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層と前記低反射率層とが、シリサイドからなる
ことを特徴とするマスクブランク。 - 位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記低反射率層において、波長405nmでの屈折率が2.2以下に設定される
ことを特徴とするマスクブランク。 - 位相シフトマスクとなる層を有するマスクブランクであって、
透明基板に積層された位相シフト層と低反射率層と、
前記位相シフト層および前記低反射率層よりも前記透明基板から離間する位置に設けられ耐薬品性を高めた耐薬層と、を有し、
前記耐薬層における窒素含有率が前記低反射率層の窒素含有率より高く設定され、
前記耐薬層の膜厚が15nm以下とされる
ことを特徴とするマスクブランク。 - 前記低反射率層の酸素含有率が前記耐薬層の酸素含有率より高く設定される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のマスクブランク。 - 前記耐薬層と前記低反射率層とにおいて、分光反射率が400nm近傍で下凸となるプロファイルを有する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか記載のマスクブランク。 - 前記低反射率層の窒素含有率が35atm%以下、酸素含有率が30atm%以上とされる
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか記載のマスクブランク。 - 前記位相シフト層において、波長405nmでの屈折率が2.4以上に設定される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか記載のマスクブランク。 - 前記位相シフト層の窒素含有率が36atm%以上とされる
ことを特徴とする請求項2から9のいずれか記載のマスクブランク。 - 請求項1から10のいずれか記載のマスクブランクから製造される
ことを特徴とする位相シフトマスク。 - 請求項1から10のいずれか記載のマスクブランクの製造方法であって、
前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、窒素ガスの分圧を異ならせる
ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。 - 前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、酸素含有ガスの分圧を異ならせることを特徴とする請求項12記載のマスクブランクの製造方法。
- 請求項11記載の位相シフトマスクの製造方法であって、
前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、窒素ガスの分圧を異ならせる
ことを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。 - 前記耐薬層と前記低反射率層との成膜時において、酸素含有ガスの分圧を異ならせることを特徴とする請求項14記載の位相シフトマスクの製造方法。
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