JP6996841B2 - アルコール飲料の香味向上方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルコール飲料の香味向上方法に関する。
消費者の多様なニーズに応えるべく、様々なRTD(Ready to Drink)アルコール飲料が開発されている。RTDアルコール飲料は、酸味を付与したり、酸味を調整したり、味の調和を図ったり、酸化防止を図ったりすることを目的として、酸味物質を含有させることがある。酸化防止を図る場合、酸味物質の含有量が多いほどその効果が得られ易い。
また、酸味物質を含有させると、すっきりと切れのある爽やかな味わいとなり、消費者の受けが良いことから、酸味物質を含有させた多様な製品が販売されている。その一方で、酸味を苦手とし、酸味を抑えたアルコール飲料を欲する消費者もいる。そのような消費者のニーズに応え得る技術が幾つか提案されている。
例えば、特許文献1には、酸味を呈する可食性製品に、モルトエキスを添加することを特徴とする酸味のマスキング方法が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、セロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする酸味マスキング剤が記載されている。
特開2011-254809号公報 特開2008-199997号公報
前記したように、消費者のニーズが多様化する中、より酸味の強いRTDアルコール飲料の登場を望む声があった。本発明者は、より酸味の強いRTDアルコール飲料の開発にあたり、酸味物質の含有量を多くすれば酸味を強くすることができるものの、酸味物質による渋味も強くなることが分かった。なお、渋味とは、味を分類する概念のひとつと考えられているものであり、例えば、タンニンやカテキンなどの物質が舌や口腔粘膜のタンパク質と結合して変性させることによって感じられる収斂味をいう。酸味物質による渋味は、アルコール飲料を飲用した後に口中に残る収斂味が代表的であり、分かり易い。
酸味物質による渋味を低減するため種々試行錯誤する中で特許文献1、2に記載の発明を試したところ、特許文献1に記載の発明には、モルトエキス特有の臭いが残ってしまうという問題があるため、適用が困難であることが分かった。また、特許文献2に記載の発明には、酸味をマスキングする効果は得られるものの、酸味物質による渋味を十分に低減することができないという問題があった。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、酸味物質による渋味を低減させたアルコール飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。
本発明者は、より酸味の強いRTDアルコール飲料を開発するにあたり、酸味物質の含有量を多くするとともに、酸味物質による渋味を低減するため、様々な物質を用いて数多くの実験を行った。その結果、コラーゲンに着目し、このコラーゲンの含有量を制御することにより、前記した課題を解決できることを見出し、本発明を創出した。
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1アルコール飲料に含有される酸味物質による渋味を低減させる香味向上方法であって、前記アルコール飲料について、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとし、酸度をクエン酸換算で0.35~1.50g/100mLとする工程を含むアルコール飲料(ただし、サポニンを含むアルコール飲料を除く)の香味向上方法。
発明に係るアルコール飲料の香味向上方法は、コラーゲンの含有量を所定範囲内とすることによって、アルコール飲料に含有される酸味物質による渋味が低減されており、これによってアルコール飲料の香味が向上している。
本発明の実施形態に係るアルコール飲料の製造方法の内容を説明するフローチャートである。
以下、本発明に係るアルコール飲料及びその製造方法、並びにアルコール飲料の香味向上方法を実施するための形態(実施形態)について説明する。
[アルコール飲料]
本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質を含有するとともに、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとしている。
(アルコール)
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、種類、製法、原料などに限定されることはないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー、ラム等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒、清酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記した様々な酒類に果実等を漬け込んだ浸漬酒を使用してもよい。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
(アルコール度数)
アルコール飲料のアルコール度数は、特に限定されないが、例えば、1v/v%以上であることが好ましく、3v/v%以上であることがさらに好ましい。また、アルコール飲料のアルコール度数は、20v/v%以下であることが好ましく、10v/v%以下であることがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以下であることにより、アルコール感や総合評価(アルコール飲料として好ましいバランスであるか否か)をより良い結果とすることができる。
アルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3-4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
(酸味物質)
本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質を含有しているため、酸味を呈している。酸味物質は、舌上にある味蕾細胞を介して酸っぱいと感じさせる物質をいい、本実施形態においては、アルコール飲料の飲用後に渋味を感じさせるものが含まれる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質の種類・含有量を問わずその渋味を低減できるため、酸味物質の種類・含有量は特定のものに限定されない。本実施形態で用いることのできる酸味物質としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸などが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。本実施形態においては、アルコール飲料に適用可能なものであればどのような酸味物質も用いることができる。
(酸度)
本実施形態に係るアルコール飲料の酸度は、飲料100mL中に含まれる酸の量をクエン酸に換算した場合のグラム数(g/100mLクエン酸換算、w/v%)で表すことができる。
本実施形態に係るアルコール飲料の酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
本実施形態の場合、用いる酸味物質の酸度によって酸味物質の含有量(添加量)が異なってくることから、酸味物質を特定してその含有量を直接特定するよりも、前記した中和滴定法によりアルコール飲料の酸度をクエン酸換算した値で特定する方が適切である。
また、本実施形態の場合、アルコール飲料の酸度は、クエン酸換算で例えば0.10~1.50g/100mLであるのが好ましい。アルコール飲料の酸度がこの範囲にあると、より酸味の強いアルコール飲料を具現しつつ、酸味物質による渋味を低減する効果を得ることができる。アルコール飲料の酸度が0.10g/100mL未満であると酸味が弱くなるため、より酸味の強いアルコール飲料を具現するという本実施形態に係るアルコール飲料のコンセプトにそぐわないものとなる。また、アルコール飲料の酸度が1.50g/100mLを超えると酸味が強くなり過ぎるため、呈味の点で劣る。なお、アルコール飲料の酸度を特定することによって奏される前記した効果をより確実に得る観点から、アルコール飲料の酸度は、クエン酸換算で、例えば、0.25g/100mL以上であるのがより好ましく、0.35g/100mL以上であるのがさらに好ましい。同様の観点から、アルコール飲料の酸度は、クエン酸換算で、例えば、1.00g/100mL以下であるのがより好ましい。
また、本実施形態の場合、後記するようにコラーゲンの含有量を所定範囲内とするので、アルコール飲料の酸度が前記下限未満であっても酸味物質による渋味を低減でき、アルコール飲料の酸度が前記上限を超えても酸味物質による渋味を低減できる。すなわち、本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質の含有量に関わりなく酸味物質による渋味を低減するという効果を得ることができる。
前記したように、本実施形態においてはアルコール飲料の酸度は特に限定されるものではないが、最終製品中に含有されているアルコール飲料の酸度がクエン酸換算で0.10~1.50g/100mLの範囲内に入っていれば好ましい態様として適用することができ、その由来は問わない。つまり、原料に果汁などを用いた場合は、果汁に由来する酸味物質を含めることができ、また、いわゆる酸味料などの添加剤として任意に添加された酸味物質も含めることができる。
(コラーゲン)
コラーゲンは、動物の結合組織を構成する主要タンパク質成分である。コラーゲンを含有することにより、美容と健康に配慮したアルコール飲料を提供することができる。
本実施形態で用いることのできるコラーゲンとしては、例えば、ウシ、ブタなどの家畜類や、サケ、ヒラメ、スズキなどの魚類の肉、骨、皮、鱗などを原料として得られるもの(煮凝りやコラーゲンと呼称されることがある)、コラーゲンを加熱して抽出・精製したゼラチン、ゼラチンを酵素分解したコラーゲンペプチドなどが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前記したように、コラーゲンペプチドはゼラチンを酵素分解して得られたものであるので、分子量が小さく、水に溶け易いだけでなく、ゲル化能を有していないため、飲料に用い易い。また、コラーゲンペプチドは体への吸収率も高いため、美容と健康を向上させる効果が期待できる。そのため、本実施形態に係るアルコール飲料はこれらの中でもコラーゲンペプチドを用いることが好ましい。なお、コラーゲンペプチドの分子量は、例えば、平均分子量が約300~10000であることが好ましく、約3000~7000であることがより好ましい。
(コラーゲンの含有量)
酸味物質による渋味を低減するため、本実施形態に係るアルコール飲料は、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとしている。コラーゲンの含有量が50.0mg/100mL未満であると、酸味物質による渋味を低減できないおそれがある。その一方で、コラーゲンの含有量が700.0mg/100mLを超えると、コラーゲン臭が強くなり、好ましくない香味となるおそれがある。酸味物質による渋味をより確実に低減する観点から、コラーゲンの含有量は150.0mg/100mL以上とするのが好ましく、220.0mg/100mL以上とするのがより好ましい。また、コラーゲン臭を抑制し、好ましい香味とする観点から、コラーゲンの含有量は500.0mg/100mL以下とするのが好ましく、350.0mg/100mL以下とするのがより好ましい。
コラーゲンの含有量は、例えば、コラーゲン加水分解処理後に、ヒドロキシプロリンというアミノ酸の含有量を測定することにより測定することができる。
(発泡性)
本実施形態に係るアルコール飲料は、非発泡性であっても、発泡性であってもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2未満であることをいう。
(その他)
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、塩類、食物繊維、着色料など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。着色料としては、例えば、カラメル色素、アントシアニン、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。
また、本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で果汁を配合することもできる。
果汁は、果実を搾った汁である。果汁の由来となる果実としては、例えば、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライム、イヨカン、ウンシュウミカン、カボス、キシュウミカン、キノット、コウジ、サンボウカン、シトロン、ジャバラ、スダチ、ダイダイ、タチバナ、タンゴール、ナツミカン、ハッサク、ハナユズ、ヒュウガナツ、ヒラミレモン(シークヮーサー)、ブンタン、ポンカン(マンダリンオレンジ)、ユズ、セイヨウリンゴ(いわゆるリンゴ)、エゾノコリンゴ、カイドウズミ、ハナカイドウ、イヌリンゴ(ヒメリンゴ)、マルバカイドウ、ノカイドウ、ズミ(コリンゴ、コナシ)、オオウラジロノキ、ブドウ、イチゴ、モモ、メロン、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、スモモ、キウイフルーツ、カシス、ブルーベリー、ラズベリーなどが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。
果汁は、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり、裏ごししたりした半液体状のもの)、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。本実施形態に係るアルコール飲料に含有させる果汁の含有量は任意に設定することができる。
前記したコラーゲン、酸味物質、添加剤、果汁は、一般に市販されているものを使用することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料は、コラーゲンの含有量が所定範囲内となっていることから、酸味物質による渋味を低減できる。また、本実施形態に係るアルコール飲料は、コラーゲンの含有量を所定範囲内とすることによって、コラーゲン臭を抑制しているので香味がよく、アルコール飲料としてのバランスが好ましいものとなっている。さらに、本実施形態に係るアルコール飲料は、コラーゲンの含有量を所定範囲内としているので、アルコール感をほど良く抑えることもできる。なお、アルコール感とは、アルコール飲料を飲んだ時に感じる後味の苦さや、アルコール特有の味の厚みなどが口中に広がり、味わいを感じる状態をいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、RTD飲料として各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を入れることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
[アルコール飲料の製造方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
この製造方法は、酸味物質とコラーゲンを含有するアルコール飲料を製造する方法であって、酸味物質とコラーゲンを含有させるとともに、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとする工程を含む。詳細には、本製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含んでおり、以下のようにしてアルコール飲料を製造する。
混合工程S1では、混合タンクに、水、酸味物質、コラーゲン、飲用アルコール、必要により添加剤などを投入して混合後液を製造する。なお、これらの原料は順不同で混合タンクに投入することができる。
この混合工程S1において、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとなるように混合し、調整する。なお、コラーゲンの含有量は150.0~500.0mg/100mLであるのが好ましく、220.0~350.0mg/100mLであるのがより好ましい。また、好ましくは、アルコール飲料の酸度をクエン酸換算で0.10~1.50g/100mLとなるように混合し、調整する。なお、アルコール飲料の酸度は、クエン酸換算で0.25~1.00g/100mLであるのがより好ましく、0.35~1.00g/100mLであるのがさらに好ましい。
そして、後処理工程S2では、例えば、ろ過、殺菌、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程S2のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程S2での各処理の順序は特に限定されない。
なお、混合工程S1及び後処理工程S2にて行われる各処理は、RTD飲料などを製造するために一般的に用いられている設備で行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、コラーゲンの含有量を所定範囲内とする工程を含むことから、酸味物質による渋味を低減させたアルコール飲料を製造することができる。
[アルコール飲料の香味向上方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法を説明する。
この香味向上方法は、アルコール飲料に含有される酸味物質による渋味を低減させる香味向上方法であって、アルコール飲料について、コラーゲンの含有量を所定範囲内とする工程を含むものである。
詳細には、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとし、150.0~500.0mg/100mLとするのが好ましく、220.0~350.0mg/100mLとするのがより好ましい。また、アルコール飲料の酸度をクエン酸換算で0.10~1.50g/100mLとするのが好ましく、0.25~1.00g/100mLとするのがより好ましく、0.35~1.00g/100mLとするのがさらに好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、アルコール飲料のコラーゲンの含有量を所定範囲内とすることから、酸味物質による渋味を低減させることができる。また、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、コラーゲンの含有量を所定範囲内とすることによって、コラーゲン臭を抑制しているので香味がよく、アルコール飲料としてのバランスが好ましいものとなっている。さらに、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、コラーゲンの含有量を所定範囲内としているので、アルコール感をほど良く抑えることもできる。つまり、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法によれば、アルコール飲料の香味を向上させることができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
[実施例1]
まず、実施例1では、サンプル液の酸度を一定とし、コラーゲンの含有量を変動させた場合における、酸味物質による渋味に対する影響を確認した。
(サンプルの準備)
コラーゲンとしてコラーゲンペプチド(ニッピ社製ニッピペプタイドPS-1)を用い、酸味物質としてクエン酸(磐田工業株式会社製)を用いた。そして、コラーゲンペプチド、酸味物質、原料アルコール、水を混合して、表1のNo.1~7に示す組成のサンプル液を準備した。
なお、各サンプルのアルコール度数(Alc.)は5v/v%とした。
(試験内容)
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された専門のパネル6名が下記評価基準に則って「酸味物質による渋味」、「アルコール感」、「コラーゲン臭」、「総合評価」について、1~5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価し、香りの評価については、サンプルを飲む前、飲んでいる際、及び、飲んだ後に感じられる香りを総合的に評価した。
(酸味物質による渋味:評価基準)
5点:強過ぎる。
4点:やや強い。
3点:ちょうどよい。
2点:弱い。
1点:弱過ぎる。
(アルコール感:評価基準)
5点:強過ぎる。
4点:やや強い。
3点:ちょうどよい。
2点:弱い。
1点:弱過ぎる。
(コラーゲン臭:評価基準)
5点:かなり強い。
4点:強い。
3点:弱い。
2点:かなり弱い。
1点:感じない。
(総合評価:評価基準)
5点:非常に好ましいバランスである。
4点:かなり好ましいバランスである。
3点:好ましいバランスである。
2点:許容できるバランスである。
1点:不適なバランスである。
表1に、各サンプルの規格を示すとともに、各評価の結果を示す。
なお、表中の酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)でサンプル液の酸度を測定した値である。
Figure 0006996841000001
(結果の検討)
表1に示すように、No.1に係るサンプルは、コラーゲンを含有していなかったので、酸味物質による渋味が低減されていなかった(比較例)。そのため、No.1に係るサンプルは、総合評価が低くなった。
なお、No.1~7に係るサンプルから明らかなように、コラーゲンの含有量が増えるに従ってコラーゲン臭が強くなった。これらの中でも、No.7に係るサンプルは、コラーゲンの含有量が高かったので、酸味物質による渋味を最も低減できたが、コラーゲン臭が強いため、好ましくない香味となった。そのため、No.7に係るサンプルはアルコール飲料としてのバランスが好ましくない結果となった(比較例)。
これに対し、No.2~6に係るサンプルは、コラーゲンを所定範囲内で含有していたので、No.1に係るサンプルと比較して、酸味物質による渋味が低減されていた(実施例)。また、No.2~6に係るサンプルは、総合評価も良好であった。
さらに、No.2~6に係るサンプルは、コラーゲンを含有していたので、アルコール感をほど良く抑えることができた。
これらの実施例の中では、No.3~5に係るサンプルが、酸味物質による渋味が低減されており、総合評価も高く、好ましい態様であることが確認された。
特に、No.4に係るサンプルは、酸味物質による渋味が低減されており、総合評価が最も高く、より好ましい態様であることが確認された。
[実施例2]
次に、実施例2では、コラーゲンの含有量を一定とし、サンプル液の酸度を変動させた場合における、酸味物質による渋味に対する影響を確認した。
(サンプルの準備)
前記[実施例1]と同様の原料を用い、[実施例1]と同様にして、表2のNo.8~13に示す組成のサンプル液を準備した。
なお、各サンプルのアルコール度数(Alc.)は、[実施例1]と同様、5v/v%とした。
(試験内容、評価基準)
試験内容、及び、各試験の評価基準については、[実施例1]と同様とした。
表2に、各サンプルの規格を示すとともに、各評価の結果を示す。
なお、表中の酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)でサンプル液の酸度を測定した値である。
Figure 0006996841000002
(結果の検討)
表2に示すように、全てのサンプルがコラーゲンを含有していたので、実施例1のNo.1に係るサンプルと比較して、酸味物質による渋味が低減されていた(実施例)。
ただし、No.8、9に係るサンプルは、サンプル液の酸度が低かったので、酸味が弱くなり、より酸味の強いアルコール飲料を具現するという本発明に係るアルコール飲料のコンセプトにそぐわないものとなった。そのため、これらのサンプルは総合評価が低くなった。
また、No.13に係るサンプルは、サンプル液の酸度が高かったので、酸味が強くなり過ぎた。そのため、このサンプルは呈味の点で劣っており、アルコール飲料としてのバランスが好ましくない結果となった。
これらの実施例の中では、No.10~12に係るサンプルが酸味物質による渋味が低減されており、総合評価も高く、好ましい態様であることが確認された。
特に、No.12に係るサンプルは、酸味物質による渋味が低減されており、総合評価が最も高く、より好ましい態様であることが確認された。
[まとめ]
[実施例1]及び[実施例2]の結果から、コラーゲンの含有量が150.0~500.0mg/100mLであれば確実に酸味物質による渋味を低減でき、220.0~350.0mg/100mLであればより確実に酸味物質による渋味を低減できることが確認できた。また、今回の結果から、コラーゲンの含有量が50.0~700.0mg/100mLであれば酸味物質による渋味を低減できると考えられた。
S1 混合工程
S2 後処理工程

Claims (1)

  1. アルコール飲料に含有される酸味物質による渋味を低減させる香味向上方法であって、
    前記アルコール飲料について、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとし、酸度をクエン酸換算で0.35~1.50g/100mLとする工程を含むアルコール飲料(ただし、サポニンを含むアルコール飲料を除く)の香味向上方法。
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