JP6996841B2 - アルコール飲料の香味向上方法 - Google Patents
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また、例えば、特許文献2には、セロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする酸味マスキング剤が記載されている。
(1) アルコール飲料に含有される酸味物質による渋味を低減させる香味向上方法であって、前記アルコール飲料について、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとし、酸度をクエン酸換算で0.35~1.50g/100mLとする工程を含むアルコール飲料(ただし、サポニンを含むアルコール飲料を除く)の香味向上方法。
本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質を含有するとともに、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとしている。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、種類、製法、原料などに限定されることはないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー、ラム等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒、清酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記した様々な酒類に果実等を漬け込んだ浸漬酒を使用してもよい。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
アルコール飲料のアルコール度数は、特に限定されないが、例えば、1v/v%以上であることが好ましく、3v/v%以上であることがさらに好ましい。また、アルコール飲料のアルコール度数は、20v/v%以下であることが好ましく、10v/v%以下であることがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以下であることにより、アルコール感や総合評価(アルコール飲料として好ましいバランスであるか否か)をより良い結果とすることができる。
アルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3-4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質を含有しているため、酸味を呈している。酸味物質は、舌上にある味蕾細胞を介して酸っぱいと感じさせる物質をいい、本実施形態においては、アルコール飲料の飲用後に渋味を感じさせるものが含まれる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質の種類・含有量を問わずその渋味を低減できるため、酸味物質の種類・含有量は特定のものに限定されない。本実施形態で用いることのできる酸味物質としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸などが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。本実施形態においては、アルコール飲料に適用可能なものであればどのような酸味物質も用いることができる。
本実施形態に係るアルコール飲料の酸度は、飲料100mL中に含まれる酸の量をクエン酸に換算した場合のグラム数(g/100mLクエン酸換算、w/v%)で表すことができる。
本実施形態に係るアルコール飲料の酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
また、本実施形態の場合、後記するようにコラーゲンの含有量を所定範囲内とするので、アルコール飲料の酸度が前記下限未満であっても酸味物質による渋味を低減でき、アルコール飲料の酸度が前記上限を超えても酸味物質による渋味を低減できる。すなわち、本実施形態に係るアルコール飲料は、酸味物質の含有量に関わりなく酸味物質による渋味を低減するという効果を得ることができる。
コラーゲンは、動物の結合組織を構成する主要タンパク質成分である。コラーゲンを含有することにより、美容と健康に配慮したアルコール飲料を提供することができる。
本実施形態で用いることのできるコラーゲンとしては、例えば、ウシ、ブタなどの家畜類や、サケ、ヒラメ、スズキなどの魚類の肉、骨、皮、鱗などを原料として得られるもの(煮凝りやコラーゲンと呼称されることがある)、コラーゲンを加熱して抽出・精製したゼラチン、ゼラチンを酵素分解したコラーゲンペプチドなどが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前記したように、コラーゲンペプチドはゼラチンを酵素分解して得られたものであるので、分子量が小さく、水に溶け易いだけでなく、ゲル化能を有していないため、飲料に用い易い。また、コラーゲンペプチドは体への吸収率も高いため、美容と健康を向上させる効果が期待できる。そのため、本実施形態に係るアルコール飲料はこれらの中でもコラーゲンペプチドを用いることが好ましい。なお、コラーゲンペプチドの分子量は、例えば、平均分子量が約300~10000であることが好ましく、約3000~7000であることがより好ましい。
酸味物質による渋味を低減するため、本実施形態に係るアルコール飲料は、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとしている。コラーゲンの含有量が50.0mg/100mL未満であると、酸味物質による渋味を低減できないおそれがある。その一方で、コラーゲンの含有量が700.0mg/100mLを超えると、コラーゲン臭が強くなり、好ましくない香味となるおそれがある。酸味物質による渋味をより確実に低減する観点から、コラーゲンの含有量は150.0mg/100mL以上とするのが好ましく、220.0mg/100mL以上とするのがより好ましい。また、コラーゲン臭を抑制し、好ましい香味とする観点から、コラーゲンの含有量は500.0mg/100mL以下とするのが好ましく、350.0mg/100mL以下とするのがより好ましい。
コラーゲンの含有量は、例えば、コラーゲン加水分解処理後に、ヒドロキシプロリンというアミノ酸の含有量を測定することにより測定することができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、非発泡性であっても、発泡性であってもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2未満であることをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、塩類、食物繊維、着色料など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。着色料としては、例えば、カラメル色素、アントシアニン、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。
果汁は、果実を搾った汁である。果汁の由来となる果実としては、例えば、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライム、イヨカン、ウンシュウミカン、カボス、キシュウミカン、キノット、コウジ、サンボウカン、シトロン、ジャバラ、スダチ、ダイダイ、タチバナ、タンゴール、ナツミカン、ハッサク、ハナユズ、ヒュウガナツ、ヒラミレモン(シークヮーサー)、ブンタン、ポンカン(マンダリンオレンジ)、ユズ、セイヨウリンゴ(いわゆるリンゴ)、エゾノコリンゴ、カイドウズミ、ハナカイドウ、イヌリンゴ(ヒメリンゴ)、マルバカイドウ、ノカイドウ、ズミ(コリンゴ、コナシ)、オオウラジロノキ、ブドウ、イチゴ、モモ、メロン、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、スモモ、キウイフルーツ、カシス、ブルーベリー、ラズベリーなどが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。
前記したコラーゲン、酸味物質、添加剤、果汁は、一般に市販されているものを使用することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
この製造方法は、酸味物質とコラーゲンを含有するアルコール飲料を製造する方法であって、酸味物質とコラーゲンを含有させるとともに、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとする工程を含む。詳細には、本製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含んでおり、以下のようにしてアルコール飲料を製造する。
この混合工程S1において、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとなるように混合し、調整する。なお、コラーゲンの含有量は150.0~500.0mg/100mLであるのが好ましく、220.0~350.0mg/100mLであるのがより好ましい。また、好ましくは、アルコール飲料の酸度をクエン酸換算で0.10~1.50g/100mLとなるように混合し、調整する。なお、アルコール飲料の酸度は、クエン酸換算で0.25~1.00g/100mLであるのがより好ましく、0.35~1.00g/100mLであるのがさらに好ましい。
なお、後処理工程S2のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程S2での各処理の順序は特に限定されない。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法を説明する。
この香味向上方法は、アルコール飲料に含有される酸味物質による渋味を低減させる香味向上方法であって、アルコール飲料について、コラーゲンの含有量を所定範囲内とする工程を含むものである。
まず、実施例1では、サンプル液の酸度を一定とし、コラーゲンの含有量を変動させた場合における、酸味物質による渋味に対する影響を確認した。
コラーゲンとしてコラーゲンペプチド(ニッピ社製ニッピペプタイドPS-1)を用い、酸味物質としてクエン酸(磐田工業株式会社製)を用いた。そして、コラーゲンペプチド、酸味物質、原料アルコール、水を混合して、表1のNo.1~7に示す組成のサンプル液を準備した。
なお、各サンプルのアルコール度数(Alc.)は5v/v%とした。
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された専門のパネル6名が下記評価基準に則って「酸味物質による渋味」、「アルコール感」、「コラーゲン臭」、「総合評価」について、1~5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価し、香りの評価については、サンプルを飲む前、飲んでいる際、及び、飲んだ後に感じられる香りを総合的に評価した。
5点:強過ぎる。
4点:やや強い。
3点:ちょうどよい。
2点:弱い。
1点:弱過ぎる。
5点:強過ぎる。
4点:やや強い。
3点:ちょうどよい。
2点:弱い。
1点:弱過ぎる。
5点:かなり強い。
4点:強い。
3点:弱い。
2点:かなり弱い。
1点:感じない。
5点:非常に好ましいバランスである。
4点:かなり好ましいバランスである。
3点:好ましいバランスである。
2点:許容できるバランスである。
1点:不適なバランスである。
なお、表中の酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)でサンプル液の酸度を測定した値である。
表1に示すように、No.1に係るサンプルは、コラーゲンを含有していなかったので、酸味物質による渋味が低減されていなかった(比較例)。そのため、No.1に係るサンプルは、総合評価が低くなった。
なお、No.1~7に係るサンプルから明らかなように、コラーゲンの含有量が増えるに従ってコラーゲン臭が強くなった。これらの中でも、No.7に係るサンプルは、コラーゲンの含有量が高かったので、酸味物質による渋味を最も低減できたが、コラーゲン臭が強いため、好ましくない香味となった。そのため、No.7に係るサンプルはアルコール飲料としてのバランスが好ましくない結果となった(比較例)。
さらに、No.2~6に係るサンプルは、コラーゲンを含有していたので、アルコール感をほど良く抑えることができた。
これらの実施例の中では、No.3~5に係るサンプルが、酸味物質による渋味が低減されており、総合評価も高く、好ましい態様であることが確認された。
特に、No.4に係るサンプルは、酸味物質による渋味が低減されており、総合評価が最も高く、より好ましい態様であることが確認された。
次に、実施例2では、コラーゲンの含有量を一定とし、サンプル液の酸度を変動させた場合における、酸味物質による渋味に対する影響を確認した。
前記[実施例1]と同様の原料を用い、[実施例1]と同様にして、表2のNo.8~13に示す組成のサンプル液を準備した。
なお、各サンプルのアルコール度数(Alc.)は、[実施例1]と同様、5v/v%とした。
試験内容、及び、各試験の評価基準については、[実施例1]と同様とした。
なお、表中の酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)でサンプル液の酸度を測定した値である。
表2に示すように、全てのサンプルがコラーゲンを含有していたので、実施例1のNo.1に係るサンプルと比較して、酸味物質による渋味が低減されていた(実施例)。
ただし、No.8、9に係るサンプルは、サンプル液の酸度が低かったので、酸味が弱くなり、より酸味の強いアルコール飲料を具現するという本発明に係るアルコール飲料のコンセプトにそぐわないものとなった。そのため、これらのサンプルは総合評価が低くなった。
また、No.13に係るサンプルは、サンプル液の酸度が高かったので、酸味が強くなり過ぎた。そのため、このサンプルは呈味の点で劣っており、アルコール飲料としてのバランスが好ましくない結果となった。
これらの実施例の中では、No.10~12に係るサンプルが酸味物質による渋味が低減されており、総合評価も高く、好ましい態様であることが確認された。
特に、No.12に係るサンプルは、酸味物質による渋味が低減されており、総合評価が最も高く、より好ましい態様であることが確認された。
[実施例1]及び[実施例2]の結果から、コラーゲンの含有量が150.0~500.0mg/100mLであれば確実に酸味物質による渋味を低減でき、220.0~350.0mg/100mLであればより確実に酸味物質による渋味を低減できることが確認できた。また、今回の結果から、コラーゲンの含有量が50.0~700.0mg/100mLであれば酸味物質による渋味を低減できると考えられた。
S2 後処理工程
Claims (1)
- アルコール飲料に含有される酸味物質による渋味を低減させる香味向上方法であって、
前記アルコール飲料について、コラーゲンの含有量を50.0~700.0mg/100mLとし、酸度をクエン酸換算で0.35~1.50g/100mLとする工程を含むアルコール飲料(ただし、サポニンを含むアルコール飲料を除く)の香味向上方法。
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