JP6994187B2 - ろう付装置及びろう付方法 - Google Patents

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本発明は、ろう付装置及びろう付方法に関する。
近年、熱源にレーザを用いてろう付を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。熱源にレーザを用いたろう付装置の用途としては、例えば、自動車用のボディを構成する外板同士の接合が挙げられる。
特開2006-320961号公報
熱源にレーザを用いたろう付装置では、ろう材が溶解する温度となるようにレーザ光の強度の調整が行われる。その調整は、例えば、自動車用ボディの外板に使われる高張力鋼板(ハイテン材とも呼ばれる)のような高温に耐える素材同士を接合する場合には、熱による素材の変質を憂慮する必要性に乏しいので粗調整で済ますことも可能である。しかし、例えば、切削工具等に用いられるダイヤモンドのような高温に耐えない素材を接合する場合には、熱による素材の変質を可及的に抑制するべく、高度な調整が必要とされる。
そこで、レーザ光が照射される部位の温度を計測する温度計を併用し、当該温度計の指示値が設定値になるようにレーザ光の強度をPID制御(Proportional-Integral-Differential Control)することが考えられる。しかし、レーザ光は素材を局部的に加熱するものであるため、レーザ光の強度変化による照射箇所の温度変動が著しい。また、ろう材として使われるものには溶融温度が1000℃に達するものもあるため、生産性を考慮すると、常温から溶融温度への速やかな到達を可能にする必要がある。したがって、これらの要求をPID制御で実現するには、高度なゲイン調整が必要となるが、ゲインの設定値は接合する素材にも依存するため、PID制御を使ったレーザ光の強度調整は事実上、実現が困難であった。
そこで、本発明は、ろう付の熱源として用いられるレーザ光の照射箇所の温度制御を可能にする技術を提供する。
上記課題を解決するため、本発明では、温度測定手段によって得られるろう付対象の部材の温度の測定値に応じてレーザ光の照射と非照射が行われるようにレーザ光源を制御することにした。
詳細には、本発明は、ろう付装置であって、ろう付対象の部材に照射するレーザ光を出射するレーザ光源と、ろう付対象の部材の温度を測定する温度測定手段と、温度測定手段によって得られるろう付対象の部材の温度の測定値に応じてレーザ光の照射と非照射が行われるようにレーザ光源を制御する制御手段と、を備える。
上記のろう付装置では、ろう付対象の部材の温度が温度測定手段で測定されており、レーザ光の照射と非照射が測定値に応じて行われるようにレーザ光源が制御される。よって、上記のろう付装置では、測定値が目標温度を上回ればレーザ光が非照射となり、測定値
が目標温度を下回ればレーザ光が照射される。したがって、上記のろう付装置では、例えば、測定値が目標温度を大幅に下回っている加熱初期の段階においてはレーザ光の連続的な照射が行われ、ろう付対象の部材が速やかに昇温される。また、例えば、測定値が目標温度の付近にある場合は、レーザ光の照射と非照射が繰り返され、或いは、レーザ光の非照射状態が継続されることにより、ろう付対象の部材が適正な温度に維持される。
すなわち、上記のろう付装置においては、レーザ光の強度を制御するのではなく、測定値に応じたレーザ光の照射と非照射の切り替えにより、ろう付対象の部材を適正な温度に維持することにしている。よって、上記のろう付装置では、光の強度に応じて著しい温度変化を招きやすいレーザ光を使ったろう付において、例えば、PID制御におけるゲインの設定ミス等に起因する過度な強度のレーザ光の照射といった著しく不安定な温度変動を与える要素もなく、安定的な温度制御が可能である。
なお、制御手段は、ろう付対象の部材の温度の設定値を経過時間に応じて定めた設定情報を参照し、測定値が各経過時間で設定情報の定める設定値となるようにレーザ光源を制御するものであってもよい。また、設定情報には、レーザ光源が出射するレーザ光の強度が経過時間に応じて更に定められており、制御手段は、レーザ光源が出射するレーザ光の強度が各経過時間で設定情報の定める強度となるようにレーザ光源を制御するものであってもよい。また、設定情報には、ろう付対象の部材の性状が維持され且つろう材が溶融する温度が設定値として定められていてもよい。また、設定情報には、設定値がろう付対象の部材の種類毎に定められていてもよい。
上記のろう付装置がこのような制御手段を備えていれば、ろう付の際の条件を予め設定することが可能となり、例えば、ろう付対象の素材に応じたろう付を容易に行うことができる。
また、上記のろう付装置は、ろう付対象の部材が格納される容器と、容器内を真空引きするポンプと、を更に備えるものであってもよい。ろう付が真空引きされた容器内で行われれば、ろう付対象の部材の酸化を抑制することができる。
また、上記のろう付装置は、容器内へ不活性ガスを供給するガス供給手段を更に備えるものであってもよい。ろう付が行われる真空引きされた容器内に不活性ガスが供給されれば、真空引きが不足していてもろう付対象の部材の酸化を抑制することができ、且つ、ろう付対象の部材の冷却を速やかに行うことができる。
ところで、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、ろう付方法であって、レーザ光源から出射されるレーザ光をろう付対象の部材に照射する工程と、ろう付対象の部材の温度を測定する工程と、ろう付対象の部材の温度の測定値に応じてレーザ光の照射と非照射が行われるようにレーザ光源を制御する工程と、を有するものであってもよい。
上記のろう付装置及びろう付方法であれば、ろう付の熱源として用いられるレーザ光の照射箇所の温度制御を可能である。
図1は、ろう付装置のシステム構成図である。 図2は、ろう付装置の真空チャンバ付近を示した図である。 図3は、真空チャンバの内部構造を示した第1の図である。 図4は、真空チャンバの内部構造を示した第2の図である。 図5は、ろう付装置を使って行われるろう付のフローチャートを示した図である。 図6は、コントロールユニットの操作画面の一例を示した図である。 図7は、ろう付が完了した被加熱物の一例を示した図である。 図8は、ろう付装置において実現される被加熱物の温度とレーザ光の強度の変化の一例を示したグラフである。 図9は、温度制御を行わない比較例における被加熱物の温度とレーザ光の強度の変化の一例を示したグラフである。 図10は、試験片の形状および寸法を示した図である。 図11は、評価で用いた活性銀ろうの化学成分と溶融温度範囲を示した表である。 図12は、レーザ照射位置、放射温度計の測定位置を示した図である。 図13は、評価において作成した試験片の接合部分のSEM像を示した図である。 図14は、ろう付の保持時間と接合部のせん断強度の関係を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
図1は、ろう付装置1のシステム構成図である。ろう付装置1は、真空チャンバ2に格納された被加熱物をレーザ光照射装置3のレーザ光で加熱することにより、被加熱物のろう付を行う装置であり、真空チャンバ2やレーザ光照射装置3、その他の周辺機器を備える。すなわち、ろう付装置1は、被加熱物が格納される真空チャンバ2、被加熱物に照射するレーザ光を発生させるレーザ光照射装置3、真空チャンバ2に格納されている被加熱物の温度を測る放射温度計4、真空チャンバ2内を真空引きする真空排気ポンプ5、真空チャンバ2内へ不活性ガス(例えば、アルゴンガス)を供給するガスボンベ6、レーザ光照射装置3を制御するコントロールユニット7を備える。
レーザ光照射装置3は、真空チャンバ2に格納されている被加熱物へ向けてレーザ光を出射するガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32、ガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32へ送るレーザ光を発振するレーザ発振器34、レーザ発振器34を冷却する冷却ユニット35、ガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32やレーザ発振器34を制御するレーザ制御PC36、レーザ光の矩形波を生成するファンクションジェネレータ37を有する。ろう付装置1では後述するように放射温度計4を使ったフィードバック制御を行っているため、ファンクションジェネレータ37は、発振周波数が最小値に設定されており、デューティー比も最大値に設定されている。したがって、ファンクションジェネレータ37は、実質的に連続波(CW:continuous wave)を発振する。
ろう付装置1では、被加熱物が真空チャンバ2内へ格納された後、真空排気ポンプ5を使って真空チャンバ2内の真空引きが行われる。真空チャンバ2内は、例えば、ろう材等の被加熱物の酸化現象において支配的な役割を果たす酸素の濃度を測定可能なピラニー真空計によって測定される真空度が、レーザ光による加熱中に被加熱物が酸化しない程度の真空度となるように調整される。また、真空チャンバ2内には、ガスボンベ6から不活性ガスが適当な流量で供給される。そして、ろう付装置1では、レーザ発振器34や冷却ユニット35が起動されてレーザ光による加熱の準備が整うと、コントロールユニット7やレーザ制御PC36の制御信号に従ってガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32やレーザ発振器34、ファンクションジェネレータ37が作動し、真空チャンバ2内の被加熱物へレーザ光が照射される。
ろう付装置1の概要については以上の通りである。以下、ろう付装置1の詳細について説明する。
図2は、ろう付装置1の真空チャンバ2付近を示した図である。真空チャンバ2は、被加熱物が格納される筒状の容器21と、容器21を密閉する蓋22とを有する。蓋22には、真空チャンバ2の上方に設置されているガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32から放たれるレーザ光を容器21内へ透過させるためのレーザ光照射窓23が設けられている。
容器21は、レーザ光による加熱中に位置ずれが生じることの無いよう、台座25に固定されている。また、容器21の側面には、加熱中の被加熱物を観察するための覗き窓24が設けられている。また、容器21の側面には、加熱中の被加熱物から放たれる熱放射を放射温度計4で感知可能にするための温度測定窓28が設けられている。また、容器21の側面には、容器21の内部と真空排気ポンプ5とを連通する排気管26が接続されている。また、容器21の側面には、容器21の内部とガスボンベ6とを連通するガス供給管27が接続されている。排気管26とガス供給管27の途中には流量調整弁や仕切弁が設けられている。
真空チャンバ2の上方に設置されているガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32には、レーザ発振器34に繋がる光ファイバ31が接続されている。そして、ガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32は、光ファイバ31を通じてレーザ発振器34から送られるレーザ光を真空チャンバ2へ出射する。ガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32は、X軸とY軸に各々対応する2つのミラーの角度をモータで制御し、レーザヘッド33から真空チャンバ2へ向けて放たれるレーザ光の照射方向を調整する。ガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32が調整するレーザ光の照射方向は、レーザ制御PC36から指示された照射パターンに沿うように調整される。レーザヘッド33から真空チャンバ2へ向けて放たれたレーザ光は、蓋22のレーザ光照射窓23を透過し、容器21に格納されている被加熱物に照射される。
図3は、真空チャンバ2の内部構造を示した第1の図である。また、図4は、真空チャンバ2の内部構造を示した第2の図である。容器21の内部には、被加熱物Pを載せる台座29が設けられている。そして、台座29に搭載されている被加熱物Pには、レーザ光照射装置3から出射されたレーザ光が、レーザ光照射窓23を通じて真上から投射される。台座29に搭載されている被加熱物Pの加熱状態は、容器21の側方から覗き窓24を通じて目視で観察することができる。また、台座29に搭載されている被加熱物Pの温度は、被加熱物Pから斜め上方に放たれる熱放射を、温度測定窓28を通じて放射温度計4で感知することにより測定することができる。
以下、ろう付装置1を使ったろう付のプロセスについて説明する。図5は、ろう付装置1を使って行われるろう付のフローチャートを示した図である。
ろう付装置1の使用に際しては、まず、加熱温度や加熱時間といった加熱時に参照されるプロファイルの設定が行われる(S101)。ステップS101で行われるプロファイルの設定は、コントロールユニット7の操作画面を通じて行われる。図6は、コントロールユニット7の操作画面の一例を示した図である。コントロールユニット7の操作画面には、加熱を開始した場合にろう付装置1で実行される各加熱工程におけるプロファイルが表示される。例えば、図6では、第1番目に行われる「工程1」において、レーザ発振器34の出力電圧が5.1V、被加熱物Pの温度設定が251℃の状態で100秒間維持される旨の設定がなされている様子が示されている。ステップS101で設定されるプロフ
ァイルは、加熱する被加熱物Pの材質や形状、作業者が有する知見、その他の各種情報に基づいて、設定操作を行う作業者らによって設定される。
また、ろう付装置1の使用に際しては、プロファイルの設定作業に前後して、容器21内に被加熱物Pがセットされる(S102)。被加熱物Pの接合部分には適宜のろう材が塗布されている。そして、容器21の開口部分が蓋22に閉鎖され、真空チャンバ2が密閉状態になる(S103)。なお、ろう材としては、例えば、金ろう、銀ろう、銅ろう、黄銅ろう、ニッケルろう、パラジウムろう等の適宜のろう材が挙げられる。また、被加熱物Pの部材としては、炭素鋼、合金鋼等の鉄鋼材料、タングステン、モリブデン等の非鉄金属材料、合金類、セラミックス、ダイヤモンド、その他、ろう材を介して互いに接合されるあらゆる異種素材同士の組み合わせを挙げることができる。
真空チャンバ2が密閉された後は、真空排気ポンプ5が起動され、真空チャンバ2内の真空引きが行われる(S104)。そして、真空チャンバ2内の真空引きが完了した後は、レーザ光照射装置3の起動操作やガスボンベ6からの不活性ガスの供給開始操作が行われ、レーザ加熱の準備が整う(S105)。レーザ加熱の準備が整ったら、作業者は、コントロールユニット7等を操作して加熱を開始する(S106)。
ステップS106で加熱開始操作が行われた場合にろう付装置1で実行される動作(S201~S209)の説明については後述することにし、先に加熱終了後のフローについて説明する。被加熱物Pの加熱が終了した後は(S107)、レーザ光照射装置3の停止操作やガスボンベ6からの不活性ガスの供給停止操作が行われる(S108)。また、真空排気ポンプ5が停止され、真空チャンバ2内の真空破壊が行われて真空チャンバ2内が大気圧にされる(S109)。真空チャンバ2内が大気圧になった後は、蓋22が外されて容器21の開口部分が開かれ、真空チャンバ2が開放される(S110)。真空チャンバ2が開放された後は、ろう付が完了した被加熱物Pの取り出しが行われる(S111)。
図7は、ろう付が完了した被加熱物Pの一例を示した図である。上記一連の処理(S101~S111)を経ることにより、母材に超硬材をろう付した被加熱物Pが完成する。
以下、ステップS106で加熱開始操作が行われた場合にろう付装置1で実行される動作(S201~S209)について説明する。
ステップS106で加熱開始操作が行われると、コントロールユニット7において、工程数のカウンタ値(n)を1にセットする内部処理が行われる(S201)。そして、コントロールユニット7では、ステップS101で設定されたプロファイルの参照が行われ、第n番目の工程の温度設定値や出力電圧の設定値、キープ時間の設定値が読み出される(S202)。ステップS101に続けてステップS102が実行される場合、当該ステップS102では第1番目の工程の設定情報の読み出しが行われることになる。
ステップS202の処理が行われた後は内部タイマーやレーザ発振器34が作動し、ステップS202で読み出された出力電圧の設定値でレーザ光が発振される。レーザ発振器34で発信されたレーザ光は、レーザヘッド33から出射され、レーザ光照射窓23を通じて被加熱物Pへ照射される(S203)。また、放射温度計4による被加熱物Pの温度測定が行われる。そして、被加熱物Pの温度が、ステップS202で読み出された温度設定値よりも所定値(α)だけ高い温度に達すると(S204)、レーザ発振器34によるレーザ光の発振が停止される(S205)。そして、被加熱物Pの温度が、ステップS202で読み出された温度設定値よりも所定値(α)だけ低い温度に達し(S206)、且つ、内部タイマーの経過時間がキープ時間の設定値を経過していなければ(S207)、
レーザ発振器34によるレーザ光の発振が再開される(S203)。また、内部タイマーの経過時間がキープ時間の設定値を経過した場合(S207)、ステップS101で設定されたプロファイルの参照が行われ、次工程の有無の判定が行われる(S208)。そして、ステップS208で肯定判定が行われれば、工程数のカウンタ値(n)が1カウント加算され(S209)、ステップS202以降の処理が再び実行される。また、ステップS208で否定判定が行われれば、既述したステップS107以降の処理が実行される。
図8は、ろう付装置1において実現される被加熱物Pの温度とレーザ光の強度の変化の一例を示したグラフである。ろう付装置1では、上述したように、ステップS101で設定された各工程において、被加熱物Pの温度が温度設定値から所定値(α)の範囲内となるようにレーザ光の照射と非照射が繰り返される。よって、ろう付装置1では、図8に示すような被加熱物Pの温度とレーザ光の発振強度の変化が実現される。図8に示すグラフは、各工程の温度設定値や出力電圧の設定値、キープ時間の設定値が図6のように設定され、被加熱物Pの温度が温度設定値から1℃(すなわち、α=1)の範囲内となるようにレーザ光の照射と非照射が繰り返された場合の被加熱物Pの温度とレーザ光の発振強度の変化を示している。
ろう付装置1では各工程において被加熱物Pの温度が温度設定値から所定値(α)の範囲内となるようにレーザ光の照射と非照射が繰り返されるため、被加熱物Pの温度が温度設定値よりも大幅に低い加熱開始初期においては、ステップS204で否定判定が継続され、図8のグラフにおいて「※1」で示されるように連続的なレーザ照射が行われる。そして、被加熱物Pの温度が温度設定値から所定値(α)の範囲内になると、図8のグラフにおいて「※2」で示されるようなパルス状のレーザ照射が行われたり、或いは、図8のグラフにおいて「※3」で示されるようなレーザ光の非照射状態が継続されたりする。レーザ光のパルス幅や間隔は、被加熱物Pの大きさやレーザ光の出力電圧、被加熱物Pから台座29への熱移動量、真空チャンバ2内にガスボンベ6から供給される不活性ガスの供給量等に応じて変化する。
図8のグラフからも判るように、被加熱物Pの温度データに基づくフィードバック制御によって行われるレーザ光の照射および非照射の繰り返しにより、被加熱物Pの適正な温度制御を実現できることが判る。これは、コントロールユニット7に設定されたプロファイルに基づくレーザ光の照射と、真空チャンバ2内にガスボンベ6から供給される不活性ガスの供給による被加熱物Pの温度降下との相互作用によるものである。
図9は、温度制御を行わない比較例における被加熱物Pの温度とレーザ光の強度の変化の一例を示したグラフである。例えば、上記のろう付装置1においてステップS201からステップS209までの一連の処理が省略され、被加熱物Pの様子を監視しながらレーザ光の強度を徐々に上げて超硬材を母材にろう付する方法が採られる場合、図9のグラフに示されるように、被加熱物Pの温度は徐々に上昇し、レーザ光の強度はステップ状に上昇することになる。すなわち、温度制御を行わない比較例においては、超硬材が炭化しないように慎重な操作が行われることになる。よって、比較例においては、上記実施形態よりも多くの時間を費やすことになる。
また、上記実施形態のろう付装置1において、ガスボンベ6から真空チャンバ2内への不活性ガスの供給を停止した状態でろう付を試みたところ、ろう材の酸化が確認された。これは、真空チャンバ2内を真空引きする装置として現実的に選択可能なロータリーポンプを真空排気ポンプ5として用いたため、真空排気ポンプ5の排気能力の不足により真空チャンバ2内の酸素濃度が十分に低い値でなかった故である。また、上記実施形態のろう付装置1において、ガスボンベ6から真空チャンバ2内への不活性ガスの供給を停止した状態でろう付を試みたところ、加熱終了後の被加熱物Pの冷却に非常に長い時間がかかる
ことが判明した。これは、被加熱物Pの周囲を通過する不活性ガスの供給の停止により、真空の真空チャンバ2内に置かれている被加熱物Pが放熱されない故である。
上記実施形態のろう付装置1を用いて実際にろう付を行い、ろう付性を評価したので、その結果を以下に示す。
供試材料としては、母材に超硬合金(ISO使用分類K10相当材)を選択し、超硬材にPCD(多結晶ダイヤモンド)を選択した。図10は、試験片の形状および寸法を示した図である。試験片は、既製品を利用したため、切削工具のニアネットシェイプとなっている。PCDチップは、超硬合金が裏打ちされている一般的なものである。試験片の作製においては、ろう付面がPCDとなるようにした。これらの供試材はろう付前にアセトンで脱脂洗浄を行った。ろう材には東京ブレイズ株式会社製のペースト状の活性銀ろう「TB-629T」を使用した。TB-629Tの化学成分と溶融温度範囲を図11に示す。チップ側接合部全面に一定量のろう材を塗布後、超硬合金にセットし、約150℃でバインダーの乾燥を十分に施してから上記実施形態のろう付装置1でろう付を行った。
本評価においては、真空チャンバ2内を1.5Paまで真空排気した後、排気を継続した状態で不活性ガスを導入し、真空チャンバ2内の圧力を1.5×10Paにコントロールした状態でレーザ照射を行った。不活性ガスには高純度のAr(アルゴン)キャリアガスを用いた。ろう付温度は780℃で一定とし、保持時間を5秒、30秒、60秒と変化させた。図12は、レーザ照射位置、放射温度計の測定位置を示した図である。本評価では、PCDの周囲を周回しながら超硬合金が照射されるようにガルバノ駆動レーザ光出力ユニット32でレーザを円形状に描画し、500mm/秒の速度で移動させた。
また、本評価においては、比較のため、上記実施形態のろう付装置1ではない従来の一般的な真空炉による炉中ろう付試験片も作製した。ろう付条件は、炉内を1.0×10-1Paまで真空排気後、排気を継続した状態で高純度のArキャリアガスを導入し、チャンバ内を約50Paにコントロールした。ろう付温度は、上記実施形態のろう付装置1を用いて試験片を作成した際と同じ780℃とし、保持時間を600秒とした。
図13は、本評価において作成した試験片の接合部分のSEM(Scanning Electron Microscope)像を示した図である。ろう付後のろう材層の厚さは、保持時間の経過に関わらず一定にはならなかった。レーザろう付と真空炉による炉中ろう付の何れの場合においても、ろう材の厚みのギャップコントロールを行っていないのがろう材層の厚さに影響したものと推測される。ろう材の凝固組織は、図13に示されるように、保持時間の増加に伴い粗大化していく傾向が見られた。
図14は、ろう付の保持時間と接合部のせん断強度の関係を示したグラフである。レーザろう付で接合した場合、保持時間が5秒の場合に184MPaと最高強度を示し、ろう付時間が長くなるに従い接合部の強度は低下した。また、上記実施形態のろう付装置1ではない従来の一般的な真空炉によるろう付で600秒間のろう付時間だった試験片に至っては、接合部の強度は107MPaまで低下した。
本検証により、上記実施形態のろう付装置1によって精密な温度管理を行い、極短時間のろう付保持時間でも十分に接合を実現できることが確認された。したがって、上記実施形態のろう付装置1であれば、熱影響の大きい部材に対する適正なろう付の実現が可能になると言える。
P・・被加熱物:1・・ろう付装置:2・・真空チャンバ:3・・レーザ光照射装置:4
・・放射温度計:5・・真空排気ポンプ:6・・ガスボンベ:7・・コントロールユニット:21・・容器:22・・蓋:23・・レーザ光照射窓:24・・覗き窓:25・・台座:26・・排気管:27・・ガス供給管:28・・温度測定窓:29・・台座:31・・光ファイバ:32・・ガルバノ駆動レーザ光出力ユニット:33・・レーザヘッド:34・・レーザ発振器:35・・冷却ユニット:36・・レーザ制御PC:37・・ファンクションジェネレータ

Claims (6)

  1. ろう付対象の部材に照射するレーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記ろう付対象の部材の温度を測定する温度測定手段と、
    前記温度測定手段によって得られる前記ろう付対象の部材の温度の測定値に応じてレーザ光の照射と非照射が行われるように前記レーザ光源を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、レーザ光の強度を温度の設定値の大きさに応じて定めた設定情報を参照し、レーザ光の照射と非照射の繰り返しにより前記ろう付対象の部材の温度を前記設定値にする際の照射時のレーザ光の強度が前記設定情報に従うように、前記レーザ光源を制御し、
    前記設定情報には、前記設定値および前記レーザ光源が出射するレーザ光の強度が経過時間に応じて定められており、
    前記制御手段は、前記設定情報を参照し、前記測定値が各経過時間で前記設定情報の定める設定値となり且つ前記レーザ光源が出射するレーザ光の強度が各経過時間で前記設定情報の定める強度となるように前記レーザ光源を制御する、
    ろう付装置。
  2. 前記設定情報には、前記ろう付対象の部材の性状が維持され且つろう材が溶融する温度が前記設定値として定められている、
    請求項に記載のろう付装置。
  3. 前記設定情報には、前記設定値が前記ろう付対象の部材の種類毎に定められている、
    請求項1または2に記載のろう付装置。
  4. 前記ろう付対象の部材が格納される容器と、
    前記容器内を真空引きするポンプと、を更に備える、
    請求項1からの何れか一項に記載のろう付装置。
  5. 前記容器内へ不活性ガスを供給するガス供給手段を更に備える、
    請求項に記載のろう付装置。
  6. レーザ光源から出射されるレーザ光をろう付対象の部材に照射する工程と、
    前記ろう付対象の部材の温度を測定する工程と、
    前記ろう付対象の部材の温度の測定値に応じてレーザ光の照射と非照射が行われるように前記レーザ光源を制御する工程と、を有し、
    前記レーザ光源を制御する工程では、レーザ光の強度を温度の設定値の大きさに応じて定めた設定情報を参照し、レーザ光の照射と非照射の繰り返しにより前記ろう付対象の部材の温度を前記設定値にする際の照射時のレーザ光の強度が前記設定情報に従うように、前記レーザ光源を制御し、
    前記設定情報には、前記設定値および前記レーザ光源が出射するレーザ光の強度が経過時間に応じて定められており、
    前記レーザ光源を制御する工程では、前記設定情報を参照し、前記測定値が各経過時間で前記設定情報の定める設定値となり且つ前記レーザ光源が出射するレーザ光の強度が各経過時間で前記設定情報の定める強度となるように前記レーザ光源を制御する、
    ろう付方法。
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