JP2019111684A - 造形物の製造方法 - Google Patents

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元毅 沖仲
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耕治 木谷
三木 勉
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Abstract

【課題】 炭化珪素の粉末を用いた積層造形において、作製した造形物を比較的短時間で容易にベースプレートから分離することを可能とする。【解決手段】 ベースプレートの上に、昇華性材料と、融点をもつ材料と、を含む粉末を敷いて粉末層を形成し、レーザーを照射して下地部を形成する工程と、前記下地部の上に前記粉末を敷いて粉末層を形成し、レーザーを照射して造形物を形成する工程と、を有する造形物の製造方法であって、前記下地部を形成する工程が、前記造形物よりも強度の低い構造を有する破断部を形成する工程を含む。【選択図】 図2

Description

本発明は、積層造形法を用いて造形物を製造する方法に関するものである。
複雑な形状を有する試作品や少量多品種の製造部品を作る手段として、積層造形装置、いわゆる3Dプリンターが活用されつつある。積層造形方式の1つである粉末焼結法(SLS:Selective Laser Sinteringともいう)は、粉末状の材料にレーザーを照射して焼結させて造形する方法であり、金属、セラミックス、樹脂などさまざまな材料を用いた造形が可能である。
粉末焼結法では、ベースプレートと呼ばれる板材の上に粉末層を形成する工程と、造形モデルの形状データに基づいてレーザー照射して粉末を溶融しその後固化させる工程と、を繰り返すことにより、造形物を作製する。粉末を溶融する際、レーザーが照射される領域の粉末層の直下にある層の表面部分が溶融する強度でレーザーを照射するため、材料層ごとにレーザーを照射しても一体となった造形物を得ることができる。
ベースプレート上に形成された第1層目の粉末に照射されたレーザーの熱は、ベースプレートの表面部分を溶融し、造形物がベースプレートと一体となった造形物が得られる。多くの場合、最終的にはベースプレートは不要であるため、ワイヤーカッターなどの加工機を使って、造形物はベースプレートから切り離される。しかし、このような方法は、非常に時間がかかってしまう上に、加工時の発熱による材質の変性や変形も問題となる。
そこで、特許文献1には、100W/m・K程度の高い熱伝導度を有するベースプレートを用いて造形を行うことが開示されている。このような高い熱伝導度を有するベースプレートの場合、レーザーによる熱が伝達してもすぐに放散される。このため、従来のようにレーザーの熱によってベースプレートの表面が溶融し、ベースプレートの表面と造形物の最下層部分とが一体化することがないと記されている。
また、近年、3Dプリンターを用いて、加工が難しいセラミックス材料を造形する検討が行われている。特に炭化珪素は、機械強度、軽量性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、化学安定性などに優れ、幅広い分野での活用が期待されているが、加工が難しい材料であるため、従来は用途が限られていた。しかし、3Dプリンターにより、炭化珪素の粉末を用いて任意の形状に造形ができるようになると、これまで活用できなかった分野やアプリケーションに応用できる可能性がある。
特許文献2では、粉末状の珪素(Si)と炭化珪素とを混合した粉末にレーザーを照射し、Siを溶融しながら造形する方法が提案されている。この方法は、SiCの昇華点よりもSiの融点が低いことを利用し、Siをバインダーとして焼結させる方法である。
特開2017−88992号公報 特開2003−53847号公報
特許文献1によれば、ベースプレートと造形物が一体化しないため、ベースプレートを造形物から分離させる必要がない点で有利である。しかし、造形物がベースプレートに固定されないため、粉末層を形成する工程中に造形物が移動してしまい、造形が適切に行えない可能性がある。
特許文献2のような炭化珪素の粉末を用いた造形においても、適切な造形を行うためには、他の材料を用いて造形した場合と同様に、一旦ベースプレートに固定された造形物を作製し、その後に造形物をベースプレートから分離しなければならない。炭化珪素からなる造形物は、前述したように機械特性に優れた材料であるため、金属や樹脂の粉末を用いた造形物以上に、ベースプレートからの分離には多くの時間を要する。
上記課題を解決するため、本発明にかかる造形方法は、ベースプレートの上に、昇華性材料と、融点を有する材料と、を含む粉末を敷いて粉末層を形成し、レーザーを照射して下地部を形成する工程と、前記下地部の上に前記粉末を敷いて粉末層を形成し、レーザーを照射して造形物を形成する工程と、を有する造形物の製造方法であって、前記下地部を形成する工程が、前記造形物よりも強度の低い構造を有する破断部を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、炭化珪素の粉末を用いた積層造形において、作製した造形物を比較的短時間で容易にベースプレートから分離することが可能になる。
本発明が適用することのできる造形装置の概略図である。 本発明にかかる造形物の断面を表す図である。 ベースプレート上に作成した造形物のベースプレート近傍の断面SEM写真である。
図1に本発明を適用することのできる、粉末焼結法を用いた積層造形装置(以下、単に造形装置と記述する)の概略図を示す。
造形装置100は、ガス導入機構114、および排気機構113により、内部の雰囲気を制御することのできるチャンバー(造形室)101を有している。チャンバー101の内部には、立体物を造形するための造形容器120と、造形材料である粉末(以下、単に造形材料もしくは粉末と記述する場合がある)を造形容器120に敷き詰めて粉末層111を形成するための粉末層形成機構106を有している。
チャンバー101は、機密性の高い空間であることが望ましく、市販されている真空装置用のチャンバーを用いることができる。
排気機構113は、チャンバー内の圧力を調整する機構を有していてもよい。具体的には、バタフライバルブ等の圧力調整機構や、ガス供給とそれに伴う圧力上昇によるチャンバー内の圧力を調整する、いわゆるブロー置換が可能な機構を有していてもよい。造形中に、チャンバー内の圧力を細かく調整させる必要がある場合は、制御機構付きマスフローを設置するのが望ましい。
造形容器120の底部は、昇降機構108によって鉛直方向における位置を変えることができるステージ107で構成されている。昇降機構108の移動方向および移動量は、制御部115によって制御され、形成する粉末層111の層厚に応じてステージ107の移動量が決められる。通常、数10μmの高さで上下動させるため、高さ分解能は1μm以下であることが望ましい。
ステージ107の造形面側には、ベースプレート109を設置するための構造(不図示)が設けられている。ステンレスなどの溶融可能な材料からなるベースプレート109を用いることにより、1層目の粉末層が溶融される際にその表面も溶融され、造形物をベースプレートに固定して造形を行うことが可能となる。造形が完了した後、ベースプレート109は、造形物から機械的に切り離される。
粉末層形成機構106は、粉末材料を収容する粉末収容部と、粉末材料を造形容器120に供給する供給機構を有している。さらに、ベースプレート109上に粉末層を設定した厚さに均すために、スキージやローラーが用いられる。ローラーは鉛直下方向に粉を圧縮できるため、造形物の密度を高めることができるが、レーザー照射直後の造形物に凹凸が生じた場合には、ローラーが凸部に接触し、粉体の圧縮が難しくなってしまう。一方、スキージは平面方向に力を掛けながら粉を敷くため、粉自体を圧縮する効果は小さいが、造形物に凹凸が生じても、凹凸が粉末層の層厚内に収まる場合、凹凸を均す効果を期待できる。そのため、スキージとローラーを併用し、スキージで粉末層の厚さを調整した後、ローラーで圧縮して造形物の密度を上げる機構を有しているのが好ましい。なお、粉末材料が球状粉である場合は、スキージとローラーいずれを用いても問題なく膜を形成できるが、球状でない粉の場合は、ローラーの方が好適である。
造形装置100は、さらに、造形材料を溶融させるためのエネルギービーム源102と、エネルギービーム112を2軸で走査させるための走査ミラー103A、103Bと、エネルギービームを照射部に集光させるための光学系104を備えている。エネルギービーム112をチャンバー101の外側から照射するため、チャンバー101には、エネルギービーム112を内部に導入するための導入窓105が設けられている。エネルギービームのパワー密度や走査位置は、制御部115が取得した造形対象物の三次元形状データや造形材料の特性に従って、制御される。また、粉末層111の表面でビーム径が焦点を結んで最小径となるよう、あらかじめ造形容器120、光学系104の位置を調整しておく。表面におけるビーム径は、造形精度に影響するため、30〜100μmとするのが好ましい。
走査ミラー103A、103Bには、ガルバノミラーが好適である。ガルバノミラーはエネルギービームを反射させながら高速で動作させるため、軽量かつ、線膨張係数の低い材質で作られていることが望ましい。
エネルギービームには、レーザーが広く用いられている。YAGレーザーを使うことが多いが、COレーザーや半導体レーザーであっても良い。駆動方式はパルス式でも良いし、連続照射方式でも良い。レーザーは、粉末の吸収波長に応じて選択することが好ましく、粉末による吸収が50%以上の波長を有していれば良く、吸収が80%以上の波長を有しているとより好ましい。
制御部115は、造形装置100の動作を制御するためのコンピュータで、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えている。ROMには、造形装置100の動作プログラムが記憶されている。I/Oポートは、外部機器やネットワークと接続され、たとえば造形に必要なデータの入出力を、外部コンピュータとの間で行うことができる。造形に必要なデータとは、作成する造形物の形状データ、作成に使用する材料の情報、レーザー照射条件、層毎にレーザーを照射する領域のデータ、すなわちスライスデータなどを含む。スライスデータは、外部のコンピュータから受け取っても良いし、造形物の形状データに基づいて制御部112内のCPUが作成してRAMに記憶しても良い。制御部115は、造形容器の底部の昇降機構108、粉末層形成機構106、レーザー光源102、走査ミラー103A、103B、集光レンズ104などの各部と接続され、これらの動作を制御して造形に係る処理を実行する。
レーザーを制御する方法として、面内レーザーパワー密度を制御する方法と、空間レーザーパワー密度を制御する方法がある。面内レーザーパワー密度は、単位面積当たりのレーザー照射強度であり、単位はJ/mmと表わされる。一方、空間レーザーパワー密度は、単位体積当たりのレーザー照射強度であり、J/mmと表わされる。3Dプリンターのように膜厚を制御して、造形物を形成する場合は、空間レーザーパワー密度で規定するのが適切である。空間レーザーパワー密度Jは次式で表わされる。
J=W/(P×V×D)
ここで、Wはレーザーの照射パワー、Pはレーザーの照射ピッチ、Vはレーザーの走査速度、Dは粉敷き厚である。レーザーパワーWは通常10〜1000Wであり、レーザーの照射ピッチPは通常5〜500μmであり、レーザーの走査速度は通常10〜10000mm/secであり、粉敷き厚Dは通常5〜500μmである。上記の範囲でW、P、V、Dのパラメーターを制御し、Jは10〜1000J/mmの範囲とすれば良い。下限の10J/mmは粉末を十分に溶融するのに必要なエネルギーであり、上限の1000J/mmは、粉末が揮発することにより造形が不可能となる領域である。
昇華性材料を含む粉末で造形を行う場合、造形中にヒュームと呼ばれる粉末由来の微小粉がチャンバー内に発生することが知られている。ヒュームはレーザー光の導入窓を汚染し、空間レーザーパワー密度(以下、単にレーザーパワー密度と記述する)を変化させるため同一条件での造形が困難となる。また、メルトプール付近から発生するヒュームが造形部近傍のレーザーパワー密度も変化させるため、チャンバー101内のヒュームの量を抑えるヒューム回収器の設置が必要となる。例えば、レーザー照射方向に対して、垂直な方向にガスによる流れを作り、このガスの流れにヒュームを載せてヒューム回収器につながれているポンプから排気するなどの方法を採用することができる。
次に、図1に示した造形装置にて、粉末を用いた造形を行う基本的なプロセスフローについて説明する。
まず、造形材料である粉末を粉末収容部に収容し、ベースプレート109をステージ107に設置し、チャンバー101の真空引きを行い、酸素を十分排気する。このとき、ターボ分子ポンプなどで十分排気した後、Arガスで造形室を置換し、再度真空引きをするという工程を複数回繰り返すことにより酸素分圧を下げても良い。その後、ガス導入機構114によりArなどの不活性ガスを所定の流量で導入し、一定圧になるのを待つ。その間、レーザー光源102の暖気運転を行い、レーザー照射状態が安定するのを待つ。
造形に用いる粉末(材料粉末)には、造形物を構成できる元素からなる粉末を選択すると良い。粉末の平均粒子径は、5〜500μm程度であれば良く、基本的には、積層したい構造物の分解能によって決めればよい。より微細な造形物を得たい場合は、細かな粉末を使用すべきであり、より高速に造形したい場合は、大きな粉末を使用すると良い。一般的には、細かい粉末は凝集しやすく、粉敷き(粉末層の形成)が困難となるため、100μm程度の粒径の粉末が好ましい。
ここで、本発明における、粉末の平均粒子径の測定方法について説明する。粉末に含まれる粒子径はある範囲に分布を持っており、中央値、最大粒子径が規定されている。SiCは、すでに業界で標準化された粒子径の評価方法に従い、JIS R6001−2「研削といし用研削材の粒度」に従って電気抵抗法により測定する。SiC以外の粒子径については、JISZ8832「粒子径分布測定方法−電気的検知帯法」に従って測定する。
粉末に含まれる粒子の形状は、粉敷き時の充填密度を上げるため球状に近いものが好ましい。また、均一な粒径からなる粉末を使用するよりは、粒径分布が複数のピークをもつ、もしくはなだらかなピークをもつような粉末を使用する方が充填率を高めやすく好ましい。
従って、球形の粒子からなる粉末が得やすく、粉末に含まれる水分が少ない点で、ガスアトマイズ法で作製した粉末が、造形には好適である。
粉末は、表面が酸化膜により被覆されていることが多いため、造形の直前に前処理を行っても良い。例えば、酸化膜を薄くしておくため事前に還元雰囲気に暴露しても良いし、酸溶液中でのウェットエッチにより表面酸化膜を取り除いておいても良い。
Arガスの圧力が一定値に達したら、制御部115により制御された粉末層形成機構によって、ベースプレート109の上に粉末を敷いて粉末層111を形成する。そして、制御部115により、立体モデル(造形対象物)の三次元形状データから生成したスライスデータに基づいて、レーザー(エネルギービーム)112を走査しながら粉末層111に照射することにより、粉末層を溶融し、その後固化させる。溶融した粉末層の固化は、レーザーの照射領域から外れた部分から順次自然冷却によって固化させてもよいし、積極的に冷却して固化させても良い。
粉末層を形成する工程と、レーザーを照射する工程とを必要な回数だけ繰り返すことにより、所望の形状の造形物を得ることができる。
次に、下地部203と造形物204との関係を、図2に示す。造形物204とは、ベースプレート209に造形した部分のうち、造形の対象である三次元モデルに対応する構造体を含む部分であって、造形が終了した後にベースプレート209(109)から分離される部分を指す。また、ベースプレート209から造形物が分離された後、ベースプレート上にそのまま残留する部分を固定部201と称する。固定部201は、造形物をベースプレートの上に固定するために設けられる。さらに、固定部201と造形物204との間に設けられ、固定部201と造形物204との分離を容易にするための構造を有する部分を破断部202と称する。固定部201と破断部202とをまとめて下地部203と呼ぶ。
下地部203を造形するため、造形に用いられるデータに、下地部203のデータを付加する。一般に、造形に用いられる造形データには、造形対象の三次元形状データに必要に応じて、サポート体のデータが付加される。このようなサポート体が付加される場合は、サポート体のデータに下地部を造形するためのデータを付加してもよいし、従来のサポート体の一部が破断部となるように、サポート体を造形する際のレーザー照射条件を変更してもよい。サポート体が付加されない場合は、造形物204とベースプレート209(109)との間に、下地部203を造形するためのデータを付加する。
続いて、本発明にかかる造形方法について、図1、2を参照しながら説明する。
まず、造形材料として、昇華性材料と、融点を有する補助材料と、を含む粉末を用意する。補助材料は、昇華性材料と共晶を生じる共晶材料であっても良いし、昇華性材料の昇華点よりも低い融点を有し、昇華性材料同士を接合するバインダー材料であってもよい。昇華性材料と補助材料とを溶融させてできる液相状態を経ることで造形物の密度を向上させられる点で、補助材料は、昇華性材料とともに結晶を生じる共晶材料であることが望ましい。昇華性材料が炭化珪素である場合、共晶材料としては、硼化クロム、硼化バナジウム、硼化モリブデン、硼化タングステンなどの硼化金属が好適であり、バインダー材料としては、珪素が好適である。昇華性材料と、昇華性材料と共晶を形成する材料の具体的な組み合わせとしては、SiC−CrB、SiC−VB、SiC−MoB、SiC−Mo、SiC−W、Si−SiO、ZnO−SiO、BN−CrBなどが挙げられる。
続いて、ステージ上のベースプレート109の上に粉末を敷いて粉末層111を形成し、レーザー112を照射する。1層目の造形では、ベースプレート109に固定される固定部201を造形する。具体的には、昇華性材料の昇華点よりも低く、ベースプレート209の融点よりも高い温度となるようレーザーパワー密度を調整して照射することにより、固定部201を作製する。そのため、昇華性物質の昇華点よりも十分に低い融点をもつ材料からなるベースプレート109を使用することが望ましい。さらに、使用するレーザーの波長に対して、ある程度の吸収を有するものが好ましい。SiCを昇華性材料として使用する場合は、ベースプレートの材質としては、たとえば、Ti、Cr、Ni、Siなどが好適である。
固定部201は、ベースプレート209のみが溶融し粉末と混ざり合うことにより形成される層、あるいは、溶融した粉末と溶融したベースプレート101材料とが混ざり固化した層のいずれかで構成される。どちらの層で形成されるかは、レーザーの照射条件と、用いるベースプレート109の融点と粉末の融点、昇華温度との温度差と、によって決まる。固定部201は、少なくともベースプレート209の直上に粉末層1層分が形成されればよいが、複数層形成してもよい。
続いて、固定部201と造形物204との間に、破断部202を造形する。破断部202は、造形物204よりも機械的強度が低い構造を有している。造形物204の1cmを破壊するのに必要なせん断応力をSdes、破断部202の1cmを破壊するのに必要なせん断応力をSsep、としたとき、
des>>Ssep (1)
の関係を満たすと同時に、破断部202は、造形中に破壊されない程度の強度は有している必要がある。破断部202の高さにもよるが、破断部202のせん断応力は、造形物のせん断応力の0.1%以上50%以下とするのが好ましく、1%以上10%以下とするのがより好ましい。また、破断部202のせん断応力の絶対値としては、0.05MPa以上2MPa以下であるのが好ましい。
破断部202も、粉末層1層分で形成される必要はなく、複数層で形成しても良い。また、破断部202は、ベースプレートに沿って設けても良いが、造形物の表面に沿って連続して設けられているのが好ましい。図2に示すように、造形物204の形状に沿って連続する破断部202を形成することにより、ベースプレート209と造形物204とを分離した後に、造形物204に残留する余分な部分を少なくなり、後加工にかかる時間を低減することができる。
破断部202は、粉末層が昇華性材料の昇華点以上の温度となるようにレーザーパワー密度を調整して照射することによって形成することができる。この方法によれば、レーザーを照射した部位の昇華性物質の一部が昇華するとともに、補助材料が溶融してその一部を蒸発し、その結果、空隙が多く造形物に比べて機械強度の低い多孔質状の構造が形成され、比較的小さな力で破壊することができる。
破断部202の上には、造形物204を作製する条件でレーザーを照射して造形を行う。昇華性材料を含む粉末を用いた造形の場合、温度が上がり過ぎると昇華により空隙が発生し、造形物の密度が低下する。これを防ぐため、種々の方法が用いられる。例えば、各層の造形の間に適切な時間のインターバルを設ける方法やレーザー照射領域を複数の領域に分け、これらの領域へのレーザー照射が離散的になるように、順次レーザーを照射する方法である。
破断部202を形成するために必要なレーザーパワー密度、および、造形物204を作製する際のレーザーパワー密度は、好ましい条件でレーザーが照射された時のメルトプールの発光輝度もしくは温度の範囲を、予め取得しておくのが好ましい。実際に造形を行う際には、メルトプールをモニターリングして、発光輝度もしくは温度を検出し、好ましい条件との差分を算出して装置にフィードバックし、照射条件を制御するのも好ましい。
造形物204の造形が終了した後、破断部202に力を加えて、ベースプレート209から造形物204を分離する。破断部202に力を加える方法としては、破断部202近傍に、側面からせん断力を加える方法や、破断部202の一端部から造形物204をベースプレート209から引き離す方向に力を加える方法、全体に超音波を加える方法など、を採用することができる。
<実施例1>
実施例1では、図1の造形装置を用いて破断部を有する造形を行った。
昇華性材料として、平均粒径は14.7μmのSiCの粉末(太平洋ランダム株式会社製、商品名 NC#800)を使用した。補助材料としては、平均粒径約5μmのCrB2(日本新金属株式会社製、商品名CrB2−O)を選択した。これらの粉末をモル比でSiC:CrB2=3:1に調合し、ボールミルで混合した。本実施例においては、CrB2の組成を約30%としたが、必要な物性に応じて組成を変更することが可能である。
ベースプレートの熱伝導度が高すぎると、造形粉とベースプレートの材質が相互拡散せず密着性が低下する場合があるため、ステンレス(融点:約1400℃、熱伝導度:20W/m・k)製のベースプレートを使用した。
造形を開始する前に、下地部203、造形物204それぞれを造形するためのレーザー照射条件を確認した。具体的には、粉末層の層厚を50μmとし、レーザー波長を1060nm、レーザーパワーを100W、ピッチ40μmで、走査速度250〜2000mm/secの範囲でレーザーを走査し、条件出しを行った。レーザー走査による温度の昇降温は数〜数10msecで終了するため厳密な温度評価と制御は困難である。そのため、事前にメルトプールの発光輝度と造形物内の空隙率の関係をグラフ化しておき、メルトプールの輝度が異常に高くなった場合をSiCの昇華状態と判断した。
レーザーパワー100W、走査速度200mm/sec以下の照射条件でメルトプールの輝度が異常に高くなり、SiCが昇華するのが確認された。得られた膜の組織を光学顕微鏡で観察すると、造形物内に大小の穴が見られ、SiCの昇華によりSiCだけでなく、CrB2も飛散した様子を確認することができた。そこで、レーザーパワー100W、走査速度150mm/secを、破断部202を造形する際の条件とした。
一方、レーザーパワー100W、走査速度285mm/secの照射条件では、メルトプールの輝度が異常に高くなる現象は観測されず、定常的なSiC−CrB2の造形が可能であると判断した。この照射条件で作製した造形物の組織を光学顕微鏡で観察すると、2つの状態が確認できた。一方が、SiC−Cr2組織が粉末状態よりも細かくなっている共晶状態であり、他方はCrB2が部分的に溶解することによりSiCを取り囲むバインダーになっている部分であった。また、この条件でベースプレートの上に造形したサンプルの断面を観察すると、ベースプレートのステンレスとSiC−CrB2が相互拡散し、十分な密着性が得られることが確認できた。従って、この照射条件を、固定部201および造形物204を造形する際の条件とした。
続いて実際に造形を行った。SiC−CrB2の混合粉をローラー式粉敷き機構により50μmの厚さの粉末層を形成した。ベースプレート上に形成した第1層目の粉末層には、レーザーパワー100W、走査速度285mm/secで、レーザーを照射し、第2層目の粉末層には、レーザーパワー100W、走査速度150mm/secで造形を行った。第3層目以降の粉末層には、レーザーパワー100W、走査速度285mm/secでレーザーを照射し、10層分の造形を行った。レーザー照射領域は、いずれも1cm×1cm角とした。
図3に、同様にベースプレート上に作成した造形物をベースプレートごと切断し、ベースプレート近傍の断面を観察したSEM写真を示す。観察した断面についてFeとSiの元素マッピングを行った。Feのみが検出された領域309と、Siのみが検出された領域302および304との間に、FeとSiとが検出された領域301が存在していることが確認された。また、領域302には、複数のボイド305が観察された。
以上のことから、領域309がベースプレート209、領域301が密着層201、領域302が破断部202、領域304が造形物204に相当すると考えられる。
その後、造形物をベースプレートごと造形装置から取り出し、造形物にベースプレートに対して0.1MPaのせん断方向に力をかけることにより、ベースプレートから造形物を分離することができた。
<比較例>
本比較例では全ての層をレーザーパワー100W、走査速度285mm/secで造形を行った。造形中、メルトプール近傍からの異常な発光は見られず、定常的な造形物が得られた。
その後、造形物をベースプレートごと造形装置より取り出し、造形物にベースプレートに対して1MPaのせん断方向力をかけたが、造形物を分離することができず、最終的にワイヤーカッターを使って切り離した。
109(209) ベースプレート
111 粉末層
201 固定部
202 破断部
203 下地部
204 造形物

Claims (8)

  1. ベースプレートの上に、昇華性材料と、融点を有する材料と、を含む粉末を敷いて粉末層を形成し、レーザーを照射して下地部を形成する工程と、
    前記下地部の上に前記粉末を敷いて粉末層を形成し、レーザーを照射して造形物を形成する工程と、
    を有する造形物の製造方法であって、
    前記下地部を形成する工程が、前記造形物よりも強度の低い構造を有する破断部を形成する工程を含むことを特徴とする造形物の製造方法。
  2. 前記破断部を形成する工程は、前記昇華性材料が昇華する温度となる条件でレーザーを照射することを特徴とする請求項1に記載の造形物の製造方法。
  3. 前記下地部を形成する工程は、前記造形物の形状に沿って前記破断部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の造形物の製造方法。
  4. 前記破断部のせん断応力は、前記造形物のせん断応力の0.1%以上50%以下の値を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
  5. 前記融点を有する材料が、前記昇華性材料と共晶を形成する材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
  6. 前記昇華性材料が、SiCであり、前記融点を有する材料が、硼化クロム、硼化バナジウム、硼化モリブデン、硼化タングステンのいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の造形物の製造方法。
  7. 造形物を形成する工程は、前記昇華性材料と前記融点を有する材料が共晶を形成する温度となる条件でレーザーを照射することを特徴とする請求項5または6に記載の造形物の製造方法。
  8. 前記造形物と前記ベースプレートとを、前記破断部に力を加えることにより分離する工程をさらに有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
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