JP2002144058A - レーザ加工方法及びレーザ加工装置 - Google Patents

レーザ加工方法及びレーザ加工装置

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JP2002144058A
JP2002144058A JP2000347201A JP2000347201A JP2002144058A JP 2002144058 A JP2002144058 A JP 2002144058A JP 2000347201 A JP2000347201 A JP 2000347201A JP 2000347201 A JP2000347201 A JP 2000347201A JP 2002144058 A JP2002144058 A JP 2002144058A
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JP2000347201A
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English (en)
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Shingen Kinoshita
真言 木下
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Ricoh Microelectronics Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Microelectronics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工部位のクラックの発生を防止するととも
に、レーザ加工時間の短縮を図ることができるレーザ加
工方法及びレーザ加工装置を提供する。 【解決手段】 ワークWを電熱ヒータ21でプリヒート
してから、YAGレーザ装置1でレーザ光Lを照射す
る。ワークWをプリヒートしてからレーザ照射面にレー
ザ光を照射することで、室温と同程度の温度のワークW
に対してレーザ光Lを照射する場合に比べ、レーザ光L
の照射前と照射時との温度差を小さくすることができ
る。これにより、ワークWの加工部位に掛かる熱的スト
レスを低減し、クラックの発生を低減することができ
る。また、ワークWをあらかじめ加熱してからレーザ光
Lを照射することにより、入熱過程を省略、あるいは、
入熱過程に要する時間を短縮し、レーザ加工時間の短縮
を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を用いた
レーザ加工方法及びレーザ加工装置に関し、特にレーザ
光の照射によって生じるクラックの防止、及びレーザ加
工時間の短縮に適したレーザ加工方法及びレーザ加工装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミックスやポリマー等の加工
対象物(以下、ワークという)にレーザ光を照射して、
アブレーションもしくは熱溶融により加工を行う方法が
知られている。このレーザ光としてはYAGレーザやエ
キシマレーザ等が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レーザ
光によってセラミックスやポリマー等のワークを加工す
ると、加工部位にクラックが発生するという問題があ
る。この理由としては、レーザ加工においては、レーザ
光の照射によってワークを急速かつ瞬時に加熱し、その
加熱部分を溶融し排除するため、加工部位が室温(例え
ば20[℃])から1500乃至3500[℃]まで急激に
加熱される。このため、ワークの加工部位において、レ
ーザ光の照射前と照射時との温度差が極めて大きく、こ
の温度差による熱的ストレスで加工部位にクラックが発
生するものと考えられる。
【0004】また、レーザ光によってワークを加工する
場合、レーザ照射によってワークの加工部位を所定温度
まで加熱する過程、いわゆる入熱過程を経てから、加工
が開始する。よって、レーザ光を照射しても直ぐに加工
が開始するわけではなく、入熱過程に時間を要するた
め、レーザ加工に時間がかかるという問題があった。
【0005】本発明は上記問題に鑑みなされたものであ
り、その目的とするところは、加工部位のクラックの発
生を防止するとともに、レーザ加工時間の短縮を図るこ
とができるレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、レーザ光が照射される被加工表
面を有する加工対象物を準備する工程と、該加工対象物
を加熱する工程と、該被加工表面にレーザ光を照射し、
レーザ加工する工程とを含むことを特徴とするものであ
る。
【0007】この請求項1のレーザ加工方法では、上記
加工対象物を加熱して上記被加工表面にレーザ光を照射
するため、室温と同程度の温度の加工対象物に対してレ
ーザ光を照射する場合に比べ、レーザ光の照射前と照射
時との温度差を小さくすることができる。これにより、
上記加工対象物の加工部位に掛かる熱的ストレスを低減
でき、クラックの発生を低減することができる。また、
上記加工対象物をあらかじめ加熱してからレーザ光を照
射することにより、上記入熱過程を省略、あるいは、入
熱過程に要する時間を短縮できるので、レーザ照射を開
始してから加工完了するまでの時間が短くてすみ、レー
ザ加工時間の短縮を図ることができる。
【0008】請求項2の発明は、請求項1のレーザ加工
方法において、上記レーザ光の照射方向に対し垂直な面
内で上記加工対象物を平行移動させて、該加工対象物に
レーザ加工を行うことを特徴とするものである。
【0009】この請求項2のレーザ加工方法では、上記
レーザ光の照射方向に対し垂直な面内で上記加工対象物
を平行移動させて該加工対象物のレーザ加工を行うの
で、該加工対象物の複数の箇所を加工したり、切断した
りすることができる。
【0010】請求項3の発明は、加工対象物の被加工表
面にレーザ光を照射してレーザ加工を行うレーザ加工装
置において、上記加工対象物を加熱する加熱手段を有す
ることを特徴とするものである。
【0011】この請求項3のレーザ加工装置では、請求
項1に関して述べたように、上記加工対象物を加熱する
ことで、該加工対象物の加工部位に掛かる熱的ストレス
を低減でき、クラックの発生を低減することができる。
また、レーザ加工時間の短縮を図ることができる。
【0012】請求項4の発明は、請求項3のレーザ加工
装置において、上記加熱手段を、電熱ヒータを用いて構
成したことを特徴とするものである。
【0013】この請求項4のレーザ加工装置では、上記
電熱ヒータで上記加工対象物を加熱でき、簡易な構成で
該加工対象物の加工部位のクラックの発生を低減するこ
とができる。
【0014】請求項5の発明は、請求項3のレーザ加工
装置において、上記加熱手段が、上記加工対象物の被加
工表面もしくは該被加工表面と反対側の面のうち少なく
とも一方の面を、ガスの燃焼で加熱するガス燃焼手段を
有することを特徴とするものである。
【0015】この請求項5のレーザ加工装置では、上記
ガスの燃焼による高温の炎で、上記加工対象物を瞬時に
加熱することができるため、該加工対象物を加熱するの
に要する時間が短くてすみ、上記電熱ヒータによる加熱
に比べ、レーザ加工時間の短縮を図ることができる。ま
た、上記電熱ヒータによる加熱に比べ、上記加工対象物
をより高い温度で加熱することが可能となり、上記レー
ザ光の照射前と照射時との温度差をより小さくして加工
することができる。
【0016】請求項6の発明は、請求項3、4または5
のレーザ加工装置において、上記レーザ光の照射方向に
対し垂直な面内で上記加工対象物を平行移動させる移動
手段を有することを特徴とするものである。
【0017】この請求項6のレーザ加工装置では、請求
項2に関して述べたように、上記レーザ光の照射方向と
垂直な面内で上記加工対象物を平行移動させることで、
該加工対象物の複数の箇所を加工したり、切断したりす
ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】〔実施形態1〕以下、本発明を固
体レーザであるYAG(イットリウム・アルミニウム・
ガーネット)レーザを用いたレーザ加工装置に適用した
一実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る
レーザ加工装置の概略構成図である。
【0019】レーザ加工装置は、YAGレーザ装置1、
ワークを加熱するワーク加熱手段2、ワークを保持する
ワーク保持手段3、ワークをX−Y方向に移動させるた
めのX−Yテーブル4、メインコントローラ5から主に
構成されている。
【0020】図2は、上記YAGレーザ装置1の概略構
成図である。YAGレーザ装置1は、YAGレーザ発振
器10と加工ヘッド11とから構成されている。YAG
レーザ発振器10は、適量のNd(ネオジウム)が添加
されたYAGの棒状結晶体であるレーザロッド及びこれ
の励起用のランプを内蔵するレーザチャンバ12と、こ
れから発せられる誘導放出光の光路に沿って所定の距離
を隔てて対向配置されたフロントミラー13及びリアミ
ラー14を備えている。
【0021】レーザチャンバ12は、図中に一点鎖線に
て示す如く、誘導放出光を出射する。また、上記リアミ
ラー14とレーザチャンバ12との間に、シャッタ15
とQスイッチ16とが取り付けてある。
【0022】上記フロントミラー13は、一部の光の透
過が可能な反射率を有するミラーであり、レーザチャン
バ12から発せられる誘導放出光の光路にその鏡面の中
心を正対せしめて取り付けてある。上記リアミラー14
は、実質的な全反射が可能な鏡面を有しており、上記フ
ロントミラー13と対向するように取り付けてある。レ
ーザチャンバ12から発せられる誘導放出光は、フロン
トミラー13とリアミラー14との間での多重反射の間
に増幅される。
【0023】上記シャッタ15は、レーザチャンバ12
から発せられる誘導放出光の光路を遮断して、誘導放出
光の増幅を抑えるものである。上記Qスイッチ16は、
フロントミラー13とリアミラー14との間での共振器
としてのメリット数(Q値)を高め、励起原子の反転分
布を発生させ、高出力のレーザパルスを取り出す作用を
なすものである。なお、必要出力によっては、このQス
イッチ16を用いなくてもよい。
【0024】なお、上記YAGレーザ発振器10の構成
は一例であって、これに限られるものではない。他の構
成としては、例えばLD励起を用いたものがある。
【0025】前記加工ヘッド11は、アパーチャ111
と、ウイリアムスのビーム分割プリズムの原理を応用し
たレンズ(以下、「ビーム分割プリズム式レンズ」とい
う)112と、落射ミラー113と、fθレンズ114
とを備えている。
【0026】上記アパーチャ111は、開口の面積を変
えることができるシャッタ機構を有する遮光板であり、
該開口の中心を前記YAGレーザ発振器10から発せら
れるレーザ光の光路に合わせて取り付けてある。上記ビ
ーム分割プリズム式レンズ112は、レーザ光の進行方
向上流側が円錐形状で、下流側が円錐台形状を有してい
る。この円錐の頂部方向から、断面円状の平行なレーザ
光を入射すると、円錐台からリング状の平行なレーザ光
を出射することができる。入射するレーザ光の中心部も
利用できるので、レーザ光をリング状にしたときの光量
損失が少ないという特徴を有している。上記落射ミラー
113はレーザ光の光路を90度折り曲げるものであ
る。また、上記fθレンズ114はレーザ光をワークW
上に集光させて結像させるものである。
【0027】以上のように構成されたYAGレーザ装置
1において、レーザチャンバ12から発せられる誘導放
出光は、フロントミラー13とリアミラー14との間を
往復する間に、Qスイッチ16の作用を受け、フロント
ミラー13を経て前記アパーチャ111にレーザ光とし
て送り出される。アパーチャ111を通過したレーザ光
は断面円状の平行光となってビーム分割プリズム式レン
ズ112に入射する。断面円状のレーザ光は、ビーム分
割プリズム式レンズ112によって、リング状の平行な
レーザ光となって出射する。出射したリング状のレーザ
光は落射ミラー113で光路を90度折り曲げられfθ
レンズ114に入射する。fθレンズ114に入射した
リング状のレーザ光は、集光されて所定の幅Sを持った
リング状のレーザ光LとなってワークWに対し鉛直下向
きに照射される。
【0028】前記ワーク加熱手段2は、図1に示すよう
に、ワークWを加熱する電熱ヒータ21と、この電熱ヒ
ータのオンオフを制御する電熱ヒータ制御リレー22と
から構成されている。上記電熱ヒータ21はワークWの
被加工表面と反対側の面(以下、「裏側の面」という)
を加熱し、ワークWを400[℃]程度まで加熱すること
ができる。また、上記電熱ヒータ制御リレー22はAC
100Vの電源に接続されており、後述するメインコン
トローラ5からの制御信号に基づいて電熱ヒータ21に
電源供給のためのオンオフ制御を行う。
【0029】前記ワーク保持手段3は、一対のワーク保
持部材31,32と、一対のワーク押え33,34とか
らなる。一対のワーク保持部材31,32にワークWを
載置し、図中左側のワーク保持部材31の段差部31a
でワークWを位置決めした後、一対のワーク押え33,
34でワークWを固定して保持する。
【0030】前記X−Yテーブル4は、X−Yテーブル
本体41と、該X−Yテーブル本体を制御するX−Yテ
ーブルコントローラ42とから主に構成されている。X
−Yテーブル本体41には、上記電熱ヒータ21と、上
記ワーク保持手段3の一対のワーク保持部材31,32
とが固設されている。
【0031】前記メインコントローラ5は、レーザ加工
装置全体を制御するものであり、YAGレーザ装置1、
電熱ヒータ制御リレー22、及び、X−Yテーブルコン
トローラ42が接続されている。
【0032】次に、上記構成のレーザ加工装置によっ
て、ワークWとして直径φ100[mm]、厚さ0.8
[mm]の円板状のセラミックス板に、内径φ600[μ
m]の貫通孔の加工を行う場合について説明する。
【0033】まず加工準備として、ワークWを一対のワ
ーク保持部材31,32に載置し、図中左側のワーク保
持部材31の段差部31aで位置決めした後、一対のワ
ーク押え33,34で押えて固定する。また、メインコ
ントローラ5に貫通孔の加工径、個数及び加工位置等の
加工情報を入力する。そして、メインコントローラ5の
図示しないプリヒートスイッチを押圧し、電熱ヒータ2
1に電源を供給して、ワークWをレーザ加工前にあらか
じめ加熱しておく(以下、「プリヒート」という)。以
上で加工準備が完了する。
【0034】ワークWの被加工表面(以下、「表側の
面」という)には、図示しない熱電対が接触しており、
ワークWの温度を計測している。ワークWが所定温度
(350〜400[℃])まで加熱されると、この熱電対
の温度計測結果に基づいてメインコントローラ5の図示
しないプリヒート完了ランプが点灯する。オペレータ
は、このプリヒート完了ランプの点灯を確認した後に、
メインコントローラ5の図示しない加工開始スイッチを
押圧する。これにより、ワークWへのレーザ加工が開始
する。
【0035】すると、上記加工ヘッド11のアパーチャ
111(図2参照)は、ワークW上にφ600[μm]の
リング状のレーザ光Lを照射するように自動的に調整さ
れる。また、上記X−Yテーブル4によって最初の貫通
孔を加工する位置にリング状のレーザ光Lが結像するよ
うにワークWが位置決めされる。そして、YAGレーザ
装置1によって、ワークWの表側の面に所定の幅Sを持
ったリング状のレーザ光Lがパルス状に断続的に照射さ
れる。そして、徐々に深く加工されていき、ついにはワ
ークWの裏側の面まで貫通する。これにより、リング状
にレーザ光が照射された部分の内側の部分がワークWか
ら分離し、ワークWに内径φ600[μm]の貫通孔を形
成することができる。
【0036】上記レーザ加工においては、レーザ光Lの
照射によってワークWを急速かつ瞬時に加熱し、その加
熱部分を溶融し排除するため、加工部位が1500〜3
500[℃]まで急激に加熱される。本実施形態に係るレ
ーザ加工装置では、上記電熱ヒータ21でワークWを3
50〜400[℃]までプリヒートしてからレーザ光Lを
照射するため、室温と同程度の温度(例えば20[℃])
のワークWに対してレーザ光Lを照射する場合に比べ、
レーザ光Lの照射前と照射時の温度差を小さくすること
ができる。これにより、ワークWの加工部位に掛かる熱
的ストレスを低減でき、クラックの発生を低減すること
ができる。また、ワークWをあらかじめ加熱してからレ
ーザ光Lを照射することにより、前記入熱過程を省略、
あるいは、入熱過程に要する時間を短縮できるので、レ
ーザ照射を開始してから加工完了するまでの時間が短く
てすみ、レーザ加工時間の短縮を図ることができる。
【0037】そして、最初の貫通孔の加工が終了する
と、次の加工部位の加工を行うためにX−Yテーブル4
を動作させてワークWを位置決めし、上記加工工程を繰
り返す。これにより、複数の貫通孔を効率よくレーザ加
工することができる。
【0038】以上説明したように、電熱ヒータ21を用
いてワークWをプリヒートしておくという簡単な方法
で、加工部位のクラックの発生を低減することができ
る。また、所定の幅Sを持ったリング状のレーザ光Lを
照射して加工することにより、貫通孔の断面積に相当す
るスポット径のレーザ光を照射して加工する場合に比
べ、レーザ照射して加工する部分の断面積が小さくてす
み、レーザ光源のパワーを小さくすることができる。さ
らに、リング状のレーザ光を照射することでレーザ光を
走査させる必要がなく、例えば加工予定孔の直径よりも
小さな直径のレーザ光を該加工予定孔の円周に沿って走
査しながら照射してレーザ加工する場合に比べ、レーザ
加工時間を短縮することができる。
【0039】なお、上記実施形態では、YAGレーザを
用いてワークWを加工する装置について説明したが、こ
れに限られるものではなく、COレーザやエキシマレ
ーザを用いることもできる。また、ワークWに複数箇所
の加工を行わない場合や、作業者がその都度ワークWの
位置決めを行って複数箇所の加工を行う場合には、上記
X−Yテーブル4を設けなくてもよい。また、ワークW
としてセラミックス板を加工した例について説明した
が、これに限られるものではなくレーザの照射により加
工部位にクラックが発生し易い材質のもの、例えばプラ
スチック材料や金属材料を加工することも可能である。
さらに、ワークWの板厚(0.8[mm])や貫通孔の径
(φ600[μm])は加工の一例であって、これらに限
られるものではない。
【0040】また、上記実施形態では、ワークWにリン
グ状のレーザ光Lを照射して加工したが、貫通孔の断面
積に相当するスポット径のレーザ光を照射して加工する
場合であっても、加工部位のクラックの発生を低減する
効果が得られることはもちろんである。また、加工予定
孔の直径(例えば、φ600[μm])よりも小さな直径
のレーザ光(例えば、φ100[μm])を加工予定孔の
円周に沿って走査しながら照射してレーザ加工する場合
も同様に、クラックの発生を低減する効果が得られる。
さらに、加工予定孔の直径(例えば、φ600[μm])
よりも小さな直径のレーザ光(例えば、φ100[μ
m])を、加工予定孔の円周に沿って照射されるように
ワークWをX−Yテーブルで移動させ、螺旋状に徐々に
深くレーザ加工する場合も同様に、クラックの発生を低
減する効果が得られる。
【0041】〔変形例1〕上記実施形態1では、ワーク
加熱手段として、電熱ヒータ21を用いてワークWを加
熱する構成について説明したが、ガスバーナを用いてワ
ークWの加工部位をスポット加熱する構成とすることも
できる。図3は、本変形例に係るレーザ加工装置の概略
構成図である。
【0042】本変形例に係るレーザ加工装置は、YAG
レーザ装置1、ワーク加熱手段としてのガス燃焼手段
6、ワークを保持するワーク保持手段3、ワークをX−
Y方向に移動させるためのX−Yテーブル4、メインコ
ントローラ5から主に構成されている。
【0043】上記ガス燃焼手段6は、ガスバーナ61
と、プロパンガスボンベ62と、該ガスバーナを保持す
るブラケット63とから構成されている。
【0044】次に、上記構成のレーザ加工装置によっ
て、ワークWとして直径φ100[mm]、厚さ0.8
[mm]の円板状のセラミックス板に、内径φ600[μ
m]の貫通孔の加工を行う場合について説明する。
【0045】ワークWをワーク保持手段3で保持し、メ
インコントローラ5に貫通孔の加工径等の加工情報を入
力する。そして、プロパンガスボンベ62のバルブを開
いた後、ガスバーナ61のコックを開いて、プロパンガ
スに点火する。すると、ワークWはプロパンガスの燃焼
による高温の炎によってスポット加熱され、瞬時にプリ
ヒートされる。プリヒートの温度は、例えば、ワークW
の融解温度が1400[℃]であれば、プリヒート温度を
1200〜1300[℃]となるように設定する。なお、
プリヒート温度が高すぎると、熱膨張や溶解が生じた
り、ひび割れが生じたりするおそれがある。
【0046】そして、メインコントローラ5の図示しな
い加工開始スイッチを押圧する。すると、YAGレーザ
装置1がワークWの表側の面に所定の幅Sを持ったリン
グ状のレーザ光Lをパルス状に断続的に照射する。ワー
クWはプリヒートされているため、室温と同程度の温度
(例えば20[℃])のワークWに対してレーザ光Lを照
射する場合に比べ、レーザ光Lの照射前と照射時の温度
差を小さくすることができる。これにより、ワークWの
加工部位に掛かる熱的ストレスを低減でき、クラックの
発生を低減することができる。特に、プロパンガスの燃
焼による高温の炎で加熱するので、上記電熱ヒータを用
いた場合に比べ、ワークWをより高い温度で加熱でき
る。これにより、レーザ光Lの照射前と照射時の温度差
をより小さくすることができ、クラックの発生をより低
減することができる。また、ワークWをあらかじめ加熱
してからレーザ光Lを照射することにより、前記入熱過
程を省略でき、あるいは、入熱過程に要する時間を短縮
できるので、レーザ照射を開始してから加工完了するま
での時間が短くてすみ、レーザ加工時間の短縮を図るこ
とができる。これにより、加工効率の向上を図ることが
できる。
【0047】なお、上記ワークWとして用いたセラミッ
クス材料の融解温度は、その組成により異なるが、一般
的に1400〜2400[℃]である。上記プロパンガス
の炎は1700〜1900[℃]であるため、該炎とワー
クWとの距離を調整することで、ワークWを1200〜
1900[℃]にプリヒートすることができる。ワークW
を1900[℃]よりも高い温度でプリヒートする場合に
は、上記プロパンガスに替えてアセチレンガス等を用い
ればよい。
【0048】以上説明したように、ガスバーナ61でワ
ークWの表側の面をスポット加熱するという簡単な方法
で、加工部位のクラックの発生を低減することができ
る。また、上記実施形態1の構成に比べ、ワークWをよ
り高い温度でプリヒートすることができるため、レーザ
光Lの照射前と照射時の温度差をより小さくすることが
でき、加工部位のクラックの発生をより低減することが
できる。また、ワークWをあらかじめ加熱してからレー
ザ光Lを照射することにより、前記入熱過程を省略で
き、あるいは、入熱過程に要する時間を短縮できるの
で、レーザ照射を開始してから加工完了するまでの時間
が短くてすみ、レーザ加工時間の短縮を図ることができ
る。さらに、上記ガスの燃焼による高温の炎で、上記ワ
ークWを瞬時に加熱することができ、ワークWを加熱す
るのに要する時間が短くてすみ、生産性の向上を図るこ
とができる。
【0049】なお、上記変形例1では、ワークWの表側
の面をガスの炎でスポット加熱する構成について説明し
たが、ワークWの裏側の面をガスの炎でスポット加熱し
ても同様の効果が得られる。また、ワークWの表側と裏
側との両面をスポット加熱してもよい。
【0050】
【発明の効果】請求項1乃至6の発明によれば、上記加
工対象物を加熱するという簡易な方法で加工部位のクラ
ックの発生を低減することができるという優れた効果が
ある。また、上記加工対象物をあらかじめ加熱してから
レーザ光を照射することにより、上記入熱過程を省略、
あるいは、入熱過程に要する時間を短縮できるので、レ
ーザ照射を開始してから加工完了するまでの時間が短く
てすみ、レーザ加工時間の短縮が図れるという優れた効
果もある。
【0051】特に、請求項2及び6の発明によれば、上
記レーザ光の照射方向に対し垂直な面内で上記加工対象
物を平行移動させることで、該加工対象物の複数の箇所
を加工したり、切断したりすることができるという優れ
た効果がある。
【0052】特に、請求項4の発明によれば、上記電熱
ヒータは取扱いが容易なので、操作性の向上を図ること
ができるという優れた効果がある。
【0053】特に、請求項5の発明によれば、上記ガス
の燃焼による高温の炎で、上記加工対象物を高い温度で
加熱することが可能となり、上記電熱ヒータによる加熱
に比べ、上記レーザ光の照射前と照射時との温度差をよ
り小さくして加工することができ、よりクラックの防止
を図ることができるという優れた効果がある。また、上
記ガスの燃焼による高温の炎で、上記加工対象物を瞬時
に加熱することができるため、上記電熱ヒータによる加
熱に比べ、レーザ加工時間の短縮を図ることができ、生
産性の向上を図ることができるという優れた効果もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成図。
【図2】YAGレーザ装置の概略構成図。
【図3】変形例に係るレーザ加工装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 YAGレーザ装置 2 ワーク加熱手段 3 ワーク保持手段 4 X−Yテーブル 5 メインコントローラ 6 ガス燃焼手段 10 YAGレーザ発振器 11 加工ヘッド 21 電熱ヒータ 22 電熱ヒータ制御リレー 61 ガスバーナ 62 プロパンガスボンベ W ワーク

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ光が照射される被加工表面を有する
    加工対象物を準備する工程と、該加工対象物を加熱する
    工程と、該被加工表面にレーザ光を照射し、レーザ加工
    する工程とを含むことを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 【請求項2】請求項1のレーザ加工方法において、上記
    レーザ光の照射方向に対し垂直な面内で上記加工対象物
    を平行移動させて、該加工対象物にレーザ加工を行うこ
    とを特徴とするレーザ加工方法。
  3. 【請求項3】加工対象物の被加工表面にレーザ光を照射
    してレーザ加工を行うレーザ加工装置において、上記加
    工対象物を加熱する加熱手段を有することを特徴とする
    レーザ加工装置。
  4. 【請求項4】請求項3のレーザ加工装置において、上記
    加熱手段を、電熱ヒータを用いて構成したことを特徴と
    するレーザ加工装置。
  5. 【請求項5】請求項3のレーザ加工装置において、上記
    加熱手段が、上記加工対象物の被加工表面もしくは該被
    加工表面と反対側の面のうち少なくとも一方の面を、ガ
    スの燃焼で加熱するガス燃焼手段を有することを特徴と
    するレーザ加工装置。
  6. 【請求項6】請求項3、4または5のレーザ加工装置に
    おいて、上記レーザ光の照射方向に対し垂直な面内で上
    記加工対象物を平行移動させる移動手段を有することを
    特徴とするレーザ加工装置。
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