JP6991730B2 - 床材 - Google Patents
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Description
病院や福祉施設で使用される床材では、患者や高齢者等が転倒した際のけがを防ぐ衝撃吸収性を備えることが床材の要求性能の一つとされ、比較的軟らかい床材が用いられる。一方、病院や福祉施設では、車いすやキャスター付きのベッドやキャスター付きの配膳車などが床材上を走行するため、車輪やキャスターの沈み込みなどのない走行性(キャスター走行性)が要求され、比較的硬い床材の要求がある。また、患者や高齢者が床材上を歩く際には、床材が軟らかすぎると歩行の妨げになり、硬すぎるとひざ等に負荷をかけてしまい、好ましくない。
このような床材として、衝撃吸収性を確保する軟らかさと、キャスター走行性を確保する硬さとを備えた床材として、例えば特許文献1に開示された床材がある。
この床材では、ゴムとコルクチップをウレタン樹脂バインダーで結合させて圧縮した緩衝シートを中間層として設けたものである。
塩化ビニル樹脂層と、
発泡層と、
前記発泡層の裏面の基材層と、が積層された床材であって、
前記発泡層は、ポリウレタンフォーム層で構成され、
前記ポリウレタンフォーム層は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、触媒および整泡剤を含むポリウレタン原料を反応させて得られるもので、前記ポリオール成分は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、分子量500以下の低分子ジオールおよび/またはポリプロピレン系ポリオールと、が含まれ、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、分子量500以下の低分子ジオールおよび/またはプロピレン系ポリオールの配合は、重量比で90:10~50:50 であり、
前記基材層は、ガラス繊維質基材層であり、
前記床材としての転倒衝突時の硬さがJIS A 6519による最大加速度GSで100~140Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.3~1.0であり、キャスター走行性が引張荷重の最大値が5.0kgf以下である、
ことを特徴とする。
ここで、UFは、床材の変形エネルギー、DRは、床材の変形が最大に達した後の復元量、TRは、変形が最大に達した後、復元するまでに要する時間をいう。
前記プレポリマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、イソシアネート基の含有率を3~10質量%として反応させて得られるものであり、数平均分子量が500~2000、平均官能基数が2~3のものである、ことが好ましい。
本発明の床材10は、塩化ビニル樹脂層11と、発泡層12と、発泡層12の裏面の基材層13と、が積層された床材10であって、発泡層12は、ポリウレタンフォーム層で構成され、床材10としての転倒衝突時の硬さがJIS A 6519による最大加速度GSで100~140Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.3~1.0であり、キャスター走行性が引張荷重の最大値Fが5.0kgf以下、とされて構成される。
すなわち、床材10では、塩化ビニル樹脂層11と基材層13との間の発泡層12として所定のポリウレタンフォーム層を設けることで、発泡層による衝撃吸収性の確保と同時に、発泡層を反発弾性率の高いポリウレタンフォーム層とすることで、衝撃吸収性と反発弾性に加えて軟らかく歩行性に優れたシート状の床材10としている。
通常、最表面層は、厚さが0.2~0.4mm程度とされ、通常の業務用クッションフロアでは、厚さが0.3mm程度とされるが、重歩行用として使用する場合の耐摩耗層では、厚さが0.5mm以上とされ、高耐久な耐磨耗性が要求される。
塩化ビニル樹脂層11には、最表面層の裏面に印刷基材層に絵柄模様等の意匠が印刷された印刷層が設けられても良い。塩化ビニル樹脂層11には、印刷層の絵柄模様などに合わせた凹凸加工などとして、メカニカルエンボス加工が施されたり、メカニカルエンボス加工に加えて、あるいは、単独で表面処理が施される。表面処理は、例えば、塩化ビニル樹脂層11の表面に汚れなどをつきにくくするための防汚処理や耐傷性、防滑性などを付与するための処理などがある。また、表面処理として、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂などからなる塗料を塗布し、電子線や紫外線などで架橋強化された樹脂層を表面処理層として設けるようにすることもできる。
なお、塩化ビニル樹脂層11は、上記の構成に限定するものでなく、床材10の表面の特性としての必要に応じて適宜定めれば良いものである。さらに、本発明の効果を損ねない限り、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂層を設けても良い。
床材10では、塩化ビニル樹脂層11と基材層13との間の発泡層12として後述する所定のポリウレタンフォーム層を設けることで、衝撃吸収性と歩行性、キャスター走行性とを確保する。
GSが140Gより大きいと、衝撃吸収性が小さくなり、怪我をする可能性が高くなる。
また、100G未満であると衝撃吸収性は大きくなるが、歩行性、またはキャスター走行性が悪くなる可能性がある。
日常動作時の硬さは、重量40kgの錘を、ゴムばねを介して落下・衝突させ、衝突時の荷重―変位曲線から変形が最大に達するまでの床材10の変形エネルギーUFを変位―時間曲線から得るとともに、床材10の変形が最大に達した後の復元量DR及び変形が最大に達した後、復元するまでに要する時間TRを得る。その後、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)に測定値を代入することで、日常動作時の硬さを算出することができる。なお、DR/TRは、復元速度を表すことになる。
日常動作時の硬さは、その数値が1.0よりも大きいと床材10としては、靴を履いた歩行時は軟らかく歩きにくいものとなり、また、0.3未満であると床材10としては、硬く疲れやすくなる。その値を0.3~1.0の範囲とすることで、各種動作時に快適で長時間動作し続けても疲れにくい歩行性を良くすることができる。
すなわち、床材10では、塩化ビニル樹脂層11と基材層13との間の発泡層12としてポリウレタンフォーム層を設けることで、発泡層12による衝撃吸収性を付与すると同時に、発泡層12を反発弾性率の高いポリウレタンフォームとすることで、衝撃吸収性と歩行性、キャスター走行性に優れたシート状の床材10としている。
なお、発泡層12を構成するポリウレタンフォームの構成についての詳細は、後述する。
なお、ガラス繊維質の基材層13は、ガラス不織布を用いて構成する場合に限らず、ガラス繊維の織布を用いたガラス繊維質の基材層13であっても良く、バインダー樹脂などを用いて平滑性があり、表面に積層される発泡層12や必要に応じて裏面に積層される塩化ビニルの裏面層との接着性を確保できるものであれば良い。
本発明の床材10の発泡層12のポリウレタンフォーム層は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、触媒および整泡剤を含むポリウレタン原料を反応させて得られるものである。このポリウレタンフォーム層は、JIS K 7222による密度が0.3~0.7g/cm3であり、JIS K 6255による反発弾性率が50~80%であり、C硬度が40~65、最大衝撃荷重が0.6~1.0kNであるものが用いられる。
ポリウレタンフォーム層は、密度が0.3~0.7g/cm3とされる。より好ましくは、0.4g/cm3程度とされる。密度が0.7g/cm3より大きい場合には、非常に硬い材質となり、床材にすると、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が小さくなる。一方、密度が0.3g/cm3未満の場合には、逆に非常に軟らかい材質となり、床材としての反発弾性率が小さくなる。
反発弾性率は、50~80%とされる。反発弾性率が50%未満の場合には、衝撃が吸収される割合が大きくなり、キャスターを動かす力が床材10に吸収されてしまいキャスター走行性を表す引張荷重の最大値Fが大きくなる。一方、反発弾性率が50%より大きくなる場合には、キャスター走行性を確保することができる。さらに、反発弾性率が80%より大きいとキャスター走行性は良くなるが、床材としての衝撃吸収性が低くなってしまう。
C硬度は、40~65とされる。C硬度が40未満の場合には、床材とした場合、軟らかくなり、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが大きくなり、また、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が大きくため、床材として衝撃吸収性が低く、歩行性が悪くなる。一方、C硬度が65以上になる場合には、床材とした場合、硬くなり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が小さくなり過ぎ、歩行性の悪化を招いてしまう。
また、C硬度が40以上の場合には、床材の硬さと反発弾性により、よりキャスター走行性を高めることができる。
最大衝撃荷重は0.6~1.0Nとされる。最大衝撃荷重が0.6N未満の場合には、衝撃吸収性が高くなり、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが小さくなるが、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)は低く歩行性が悪くなる。最大衝撃荷重が1.0Nより大きい場合には、衝撃吸収性が低く、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが大きくなり、転倒衝突時に怪我をする可能性がある。
〔ポリオール成分〕
ポリオール成分としては、数平均分子量が300~3000、平均官能基数が2~3、及び平均水酸基価が50~200mgKOH/gのポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、数平均分子量、平均官能基数、平均水酸基価が上記範囲内のポリテトラメチレンエーテルグリコールを「ポリオールI」とも言う)を用いる。
なお、ポリオール成分としては、数平均分子量が異なるポリオールIを2種以上混合して用いても良い。
一方、数平均分子量が3000を超えたり、平均水酸基価が50mgKOH/g未満の場合では、ソフトセグメント(高分子鎖において結合が比較的軟らかい部分、例えば、ポリウレタンフォームの場合、アルキル鎖などをさす)の割合が多くなり、得られるポリウレタンフォームの衝撃吸収性は良くなるが、目的とする反発弾性が得られない。
好ましい範囲としては、数平均分子量が1000~2500、平均水酸基価が50~100mgKOH/g、及び平均官能基数が2~3である。
特に、低分子ジオールをポリオールIと併用することで、硬さを付与することができる。また、ポリプロピレン系ポリオールは低分子ジオールよりも分子量が大きく、官能基数が多いことから、ポリオールIと併用することで、適度な反発弾性と適度な硬さを付与することができる。これら2種類のポリオールは単独でも併用してポリオールIに配合しても良い。
低分子ジオールとして、炭素数2~33の2価アルコール、例えば、1,4ブタンジオールがある。また、ポリプロピレン系ポリオールとしては、数平均分子量500~5000程度のポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
架橋剤としては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ショ糖、ソルビトール、グルコース等のアルコール類が使用できる。特に、これらのうち、3官能以上のものが好ましい。
すなわち、ポリオールIに対するポリオールIIの配合が、これより多いと、ポリウレタンフォームの硬さが硬く、良好な反発弾性が得られない。なお、ポリオールIIの配合が、これより少ないと、ポリウレタンフォームの硬さが軟らかく、歩行性が悪くなるため、ポリオールIIを併用する効果がない。
ポリオール成分の配合量による各物性への影響は次のとおりである。
C硬度は、下記の関係があり、ポリオールII(低分子ジオール)が多いと硬く、また、ポリオールIが多いと軟らかくなる。
ポリオールII(低分子ジオール)>ポリオールII(ポリプロピレン系ポリオール)>ポリオールI
反発弾性は、下記の関係があり、ポリオールIが多いと反発弾性は大きく、ポリオールII(低分子ジオール)が多いと反発弾性は小さくなる。
ポリオールI>ポリオールII(ポリプロピレン系ポリオール)>ポリオールII(低分子ジオール)
最大衝撃荷重は、下記の関係があり、ポリプロピレン系ポリオールが多いと最大衝撃荷重は大きく、低分子ジオールが多いと最大衝撃荷重は小さくなる。
ポリオールII(ポリプロピレン系ポリオール)>ポリオールI>ポリオールII(低分子ジオール)
これらの関係に基づき、ポリウレタンフォーム層は、ポリオールIとポリオールIIの配合は、重量比で90:10~50:50と以下に示すイソシアネート端末プレポリマーとを反応させてなるポリウレタンフォームにすることで発泡層12として必要な物性を得ることができる。
ポリオールIとポリオールIIの配合でポリオールIの割合が90より大きい場合では反発弾性は大きくなるが、C硬度が低くなる。
また、ポリオールIの割合が50以下だと反発弾性が低くなり、ポリオールIIの割合が50より多いとC硬度は高くなるが、反発弾性は小さくなる。
ポリイソシアネート成分は、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(以下、「イソシアネート基末端プレポリマー」とも言う)を含む。
α)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、
β)平均分子量500以下の低分子ジオール、または、ポリプロピレン系ポリオール
γ)前記架橋剤の例として挙げたアルコール類のうち2官能以上のもの
などが使用できる。
これらは単独でまたは2種以上混合したものでも良いが、中でも、ポリエーテルポリオールが好ましく、より好ましくはポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)である。ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を用いたプレポリマーは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)部分の結晶性が高いため、反発弾性の高いポリウレタンフォームを得ることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできるが、中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)が好ましい。
すなわち、本発明では、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)に、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応させてなるイソシアネート基末端プレポリマーを用いることが好ましい。また、イソシアネートとして、低分子量のジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)を添加すると、硬さの調整ができる。
発泡剤としては、水(イオン交換水)を用いることができる。添加量は、前述の〔ポリオール成分〕100重量部に対し、0.2~3重量部が好ましい。添加量が0.2重量部未満であれば、発泡が不十分で、高い反発弾性は発揮するものの、衝撃吸収性に劣ってしまう。添加量が3重量部を超えると、発泡しすぎて得られるポリウレタンフォームのセルが荒れ、フォーム内部が割れやすいなどフォーム状態が劣るほか、反発弾性に劣る傾向にある。
触媒としては、従来から使用されているものであれば良く、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミンなどのアミン系触媒、ビスマス触媒などの金属触媒が挙げられるが、特に限定されるものではない。
添加量は、前述の〔ポリオール成分〕100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましい。
整泡剤としては、従来から使用されているものであれば良く、例えば、粘度が300~2000mPa・s(25℃)のシリコーン系化合物を用いる。シリコーン系化合物としては、例えばポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどが使用できる。
粘度が300mPa・s未満であると、整泡作用が弱く、セルが粗大化してしまい、良好な反発弾性が得られない。一方、粘度が2000mPa・sを超えると、ポリウレタン原料中に均一に分散しづらくなり、得られるフォームのセルサイズが不均一となり、局部的に物性が変化してしまう(測定箇所によって物性値が変わってしまう)ので、好ましくは、粘度が800~1000mPa・s(25℃)のシリコーン系化合物である。
なお、粘度は、B型回転粘度計で測定された値である。
0.5重量部未満であると、整泡作用が弱く、得られるポリウレタンフォームのセルサイズは大きくなり、反発弾性が低く、所望の衝撃吸収性も得られない。
一方、9重量部を超えると、反発弾性が低くなり、フォーム表面から整泡剤が染み出すブリードアウトが生じ、他部材との接着を阻害するなど、取扱い性にも劣る。特に、5重量部を超えると、目的とする反発弾性、衝撃吸収性は得られるものの、使用には問題ない程度にタック感(ベタベタ感)が生じるので、好ましくは、0.5~5重量部である。
なお、発泡剤、触媒および整泡剤は、上記のものに限定するものでない。
例えば、可塑剤を添加する場合には、前述の〔ポリオール成分〕100重量部に対して、30~200重量部程度とすることが好ましい。
なお、ポリウレタンフォームからの発泡層12は、塩化ビニル樹脂層11と基材層13との間に積層されて固定・一体化にされる。三層を一体化する方法としては、接着剤で固定する場合のほか、ポリウレタンフォーム層の形成時の自己接着性を利用するものであっても良い。
なお、表1中の各成分の配合を示す数値の単位は、重量部である。
A:ポリオールI ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)
(重量平均分子量2000、水酸基価(OHV)=57mgKOH/g)
B:ポリオールII 低分子ジオール1.4BDO
(分子量90、水酸基価(OHV)=1244mgKOH/g)
C:ポリオールII ポリプロピレングリコール(PPG)
(水酸基価(OHV)=41mgKOH/g)
D:アミン触媒 トリエチレンジアミン
E:整泡剤 シリコーン系化合物(粘度1000mPa・s(25℃))
F:発泡剤 水(イオン交換水)
G:イソシアネ-ト成分 イソシアネート基末端プレポリマー 末端にイソシアネート 基を有するプレポリマー(PTMGに4,4'-MDIを反応させたもの。数平均分子 量1000、平均官能基数2、イソシアネート基含有率8質量%)
〈密度〉:15mm×15mm×10mmの立方体に切り出した試験片において、JIS K 7222に準拠して測定した。
なお、密度については、予備実験として、予めポリウレタンフォームの密度を0.2~0.7g/cm3の範囲で0.2,0.3,0.35,0.41,0.48,0.7g/cm3の6段階に変えた試験片を成形し、床材10として必要な物性を満たすポリウレタンフォームの密度として0.3~0.7g/cm3の範囲のものであれば良く、0.4g/cm3が好ましいことを確認した。予備実験に基づき、表1中に示すフォーム物性では、いずれも密度は、0.4g/cm3のものである。
〈C硬度〉:アスカーゴム硬度計で測定した。
〈反発弾性率〉:JIS K 6255に準拠して測定した。
〈最大衝撃荷重〉:厚さ12.5mmの切削した試験片において、5.1kgの錘を高さ50mmから落下し、衝突させたときの荷重の最大値を測定した。
〈転倒衝突時の硬さ〉
◎:100~120G ○:121~130G
△:131~140G ×:141G~
〈日常動作時の硬さ〉
◎:0.51~1.0 ○:0.3~0.5
△:0.1~0.29 ×:~0.09
〈キャスター走行性〉
◎:0~4.0kgf ○:4.1~5kgf
△:5.1~6kgf ×:6.1kgf~
表1に示すように、ポリテトラメチレンエーテルグリコール70部と1,4-ブタンジオール30部の混合物に対して、アミン触媒1部、整泡剤1部、発泡剤1からなるポリオール混合物と、イソシアネート基端末プレポリマー464部からなるウレタンペーストを基材(基材層13)となるガラス繊維(不織布)上に塗工し、オーブンで乾燥させて発泡層12となるポリウレタンフォーム層を得た。得られたポリウレタンフォームは、密度0.4g/cm3、C硬度58、反発弾性61%、最大衝撃荷重0.7kNであった。
床材10は、厚み2mmとした上記のポリウレタンフォーム層の表面に塩化ビニル樹脂層11とする厚み1mmの塩化ビニルシートを重ねて熱ラミネートして床材10とした。
床材10は、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが小さく衝撃吸収性のある◎であり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が大きく、軟らかい○であり、キャスター走行性は、引張荷重の最大値Fが小さく○であった。
AのポリオールI、Bおよび/またはCのポリオールII、およびイソシアネート基末端プレポリマーG、アミン触媒D、整泡剤E、発泡剤Fを表1に示すように、変更した以外は、実施例1と同様にポリウレタンフォームおよび床材10を作製した。
得られたポリウレタンフォーム、床材10の物性は表1のとおりであった。
CのポリオールIIのみを用い、アミン触媒D、整泡剤E、発泡剤F、イソシアネート基末端プレポリマーGを、表1に示すように、変更した以外は、実施例1と同様にポリウレタンフォームおよび床材10を作製した。
得られたポリウレタンフォームは、密度0.4g/cm3、C硬度38、反発弾性60%、最大衝撃荷重は1.2kNであった。
また、床材10は、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが大きく衝撃吸収性が少なく×であり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が大きく軟らかい○であり、キャスター走行性は、引張荷重の最大値Fが小さく○であった。
AのポリオールI、Bおよび/または、CのポリオールII、およびイソシアネート基末端プレポリマーG、アミン触媒D、整泡剤E、発泡剤Fを表1に示すように、変更した以外は、比較例1と同様にポリウレタンフォームおよび床材を作製した。
得られたポリウレタンフォーム、床材の物性は表1のとおりであった。
これにより、床材10の厚さを一般的に用いられる厚さとしても必要な衝撃吸収性と歩行性とキャスター走行性を確保することができる。
また、ポリウレタンフォーム層を構成する成分を、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、触媒および整泡剤を含み、ポリオール成分にポリテトラメチレンエーテルグリコールと、分子量500以下の低分子ジオールおよび/またはポリプロピレン系ポリオールとを含ませることで、硬さを調整して床材10としての衝撃吸収性と歩行性、キャスター走行性を確保することができる。
なお、表2中の反発弾性率は、床材としての値であり、表1に記載のポリウレタンフォームの反発弾性率とは異なるものである。
床材10として、ガラス繊維基材(オリベスト株式会社製)の基材層13、と厚さ2mmのポリウレタンフォームからなる発泡層12と厚さ1mmの塩化ビニル樹脂層11をラミネートして総厚みが約3mmのシート状の床材を作製した。
発泡層12のポリウレタンフォームは、JIS K 6255による反発弾性率が50~80%で、C硬度を40~65、最大衝撃荷重が0.6~1.0kNであることを確認した。
この床材10は、表2に示したように、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが135Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.53であり、キャスター走行性は引張荷重の最大値Fが3.5kgfであった。なお、床材10としての反発弾性率は22%であった。
床材として、厚さ1.8mmの塩化ビニル発泡体(クッションフロア)を用いた場合は、表2に示したように、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが145Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.53であり、キャスター走行性は引張荷重の最大値Fが6.0kgfであった。なお、床材としての反発弾性率は7%であった。
床材として、厚さ2.8mmの塩化ビニル発泡体(株式会社サンゲツ製重歩行用シート材料)を用いた場合は表2に示したように、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが122Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.21であり、キャスター走行性は引張荷重の最大値Fが6.0kgfであった。なお、床材としての反発弾性率は9%であった。
床材として、2.8mmの厚さの塩化ビニル発泡体(田島ルーフィング株式会社製重歩行用シート材料)を用いた場合は、表2に示したように、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが125Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.15であり、キャスター走行性は引張荷重の最大値Fが4.9kgfであった。なお、床材としての反発弾性率は9%であった。
床材として、2.8mmの厚さの塩化ビニル発泡体(東リ株式会社製重歩行用シート材料)を用いた場合は、表2に示したように、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが128Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.09であり、キャスター走行性は引張荷重の最大値Fが3.8kgfであった。なお、床材としての反発弾性率は10%であった。
床材として、コンクリートスラブを用いた場合は、表2に示したように、転倒衝突時の硬さを表す最大加速度GSが150Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が-0.2であり、キャスター走行性は引張荷重の最大値Fが2kgfであった。なお、床材としての反発弾性率は5%であった。
また、ポリウレタンフォーム層は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、触媒および整泡剤を含むポリウレタン原料を反応させて得られるもので、ポリオール成分は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、分子量500以下の低分子ジオールおよび/またはポリプロピレン系ポリオールとが含まれ、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、分子量500以下の低分子ジオールおよび/またはプロピレン系ポリオールの配合は、重量比で90:10~50:50とすることで、硬さを調整して床材10としての衝撃吸収性と歩行性とキャスター走行性を確保することができる。
これにより、床材10の厚さを一般的に用いられる厚さとしても必要な衝撃吸収性と歩行性とキャスター走行性を確保することができる。
これにより、より優れた衝撃吸収性と歩行性、キャスター走行性を確保することができる床材を提供することができ、床材10の厚さを一般的に用いられる厚さとしても必要な衝撃吸収性と、歩行性とキャスター走行性を確保することができる。
11 塩化ビニル樹脂層
12 発泡層
13 基材層
Claims (3)
- 塩化ビニル樹脂層と、
発泡層と、
前記発泡層の裏面の基材層と、が積層された床材であって、
前記発泡層は、ポリウレタンフォーム層で構成され、
前記ポリウレタンフォーム層は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、触媒および整泡剤を含むポリウレタン原料を反応させて得られるもので、前記ポリオール成分は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、分子量500以下の低分子ジオールおよび/またはポリプロピレン系ポリオールと、が含まれ、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、分子量500以下の低分子ジオールおよび/またはプロピレン系ポリオールの配合は、重量比で90:10~50:50 であり、
前記基材層は、ガラス繊維質基材層であり、
前記床材としての転倒衝突時の硬さがJIS A 6519による最大加速度GSで100~140Gであり、日常動作時の硬さを表す数値log(UF-8・DR・DR/TR)が0.3~1.0であり、キャスター走行性が引張荷重の最大値が5.0kgf以下である、
ことを特徴とする床材。 - 前記発泡層を構成するポリウレタンフォーム層は、最大衝撃荷重が0.6~1.0kNであり、JIS K 6255による反発弾性率が50~80%であり、C硬度が40~65である、
ことを特徴とする請求項1に記載の床材。 - 前記ポリイソシアネート成分は、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含み、
前記プレポリマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、イソシアネート基の含有率を3~10質量%として反応させて得られるものであり、数平均分子量が500~2000、平均官能基数が2~3のものである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の床材。
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