JP6988699B2 - 回転電機のロータ、及び回転電機 - Google Patents

回転電機のロータ、及び回転電機 Download PDF

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Description

本発明は、回転電機のロータ、及び回転電機に関する。
例えば特許文献1に開示されているように、高速回転可能な回転電機のロータとして、繊維強化材料から構成される筒部材の内側に磁性体(永久磁石)が設けられるとともに筒部材の軸方向両側に第1軸部材及び第2軸部材がそれぞれ設けられたロータが知られている。磁性体、第1軸部材、及び第2軸部材は、筒部材の内周面に圧入されることにより筒部材と締結されている。筒部材は、ロータの回転によって遠心力を受ける磁性体の変形を抑制する。
特開2004−112849号公報
ところで、このようなロータにおいては、第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方は、磁性体が筒部材の内周面に圧入された後に筒部材に圧入されることになる。よって、磁性体が筒部材の内周面に圧入された後に筒部材に圧入される第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方と磁性体との間に空気溜まりによる隙間が生じてしまう。第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方と磁性体との間に隙間が生じると、ロータ全体における筒部材の軸方向に対する曲げ方向の剛性が低くなる。その結果、ロータに共振が発生し易くなり、回転電機としての危険回転速度(共振回転数)が低下して、ロータ全体が筒部材の軸方向に対して撓み易くなってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ロータ全体が筒部材の軸方向に対して撓んでしまうことを抑制することができる回転電機のロータ、及び回転電機を提供することにある。
上記課題を解決する回転電機のロータは、筒部材と、前記筒部材の内周面に圧入された磁性体と、前記筒部材の軸方向両側にそれぞれ設けられるとともに前記筒部材の内周面に圧入される第1軸部材及び第2軸部材と、を備えた回転電機のロータであって、前記第1軸部材及び前記第2軸部材の少なくとも一方には、前記磁性体に向けて開口するとともに前記磁性体から遠ざかる方向へ延びる凹部が形成されている。
これによれば、磁性体が筒部材の内周面に圧入された後に筒部材に圧入される第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方と磁性体との間の空気を凹部に逃がすことができ、磁性体が筒部材の内周面に圧入された後に筒部材に圧入される第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方と磁性体との間に空気溜まりによる隙間が生じなくなる。その結果、磁性体が筒部材の内周面に圧入された後に筒部材に圧入される第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方を磁性体に接触させることができ、ロータ全体における筒部材の軸方向に対する曲げ方向の剛性が高まる。したがって、ロータに共振が発生し難くなり、回転電機としての危険回転速度(共振回転数)が低下してしまうことが抑制され、ロータ全体が筒部材の軸方向に対して撓んでしまうことを抑制することができる。
上記回転電機のロータにおいて、前記第1軸部材における前記磁性体との対向面、及び前記第2軸部材における前記磁性体との対向面の少なくとも一方には、前記凹部として、穴が形成されているとよい。
これによれば、第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方に形成された穴は、磁性体から穴が形成された第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方へ洩れ出して第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方を通過しようとする磁束を妨げる。よって、磁性体から第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方へ洩れ出す磁束が第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方を通過し難くなり、ロータの性能低下を抑制することができる。
上記回転電機のロータにおいて、前記第1軸部材の外周面の一部分、及び前記第2軸部材の外周面の一部分の少なくとも一方には、前記凹部として、切欠が形成されているとよい。
これによれば、磁性体が筒部材の内周面に圧入された後に筒部材に圧入される第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方と磁性体との間の空気を、切欠を介して筒部材の外部へ逃がしながら第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方を筒部材に圧入することができる。よって、磁性体が筒部材の内周面に圧入された後に筒部材に圧入される第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方を、筒部材に対してスムーズに圧入することができる。
上記課題を解決する回転電機は、ステータと、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の回転電機のロータと、を備える。
この発明によれば、ロータ全体が筒部材の軸方向に対して撓んでしまうことを抑制することができる。
第1の実施形態における回転電機を説明するための概略断面図。 ロータの一部分を拡大した断面図。 第1軸部材の正面図。 第1軸部材及び第2軸部材が筒部材に圧入されている状態を示す断面図。 第2の実施形態におけるロータの一部分を拡大した断面図。 第1軸部材の正面図。 第1軸部材及び第2軸部材が筒部材に圧入されている状態を示す断面図。
(第1の実施形態)
以下、回転電機のロータ、及び回転電機を具体化した第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、回転電機10は、筒状のハウジング11内に収容されている。ハウジング11は、有底筒状の第1ハウジング構成体12と、第1ハウジング構成体12に連結される板状の第2ハウジング構成体13と、を備えている。第1ハウジング構成体12及び第2ハウジング構成体13は金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。
第1ハウジング構成体12は、板状の底壁12aと、底壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有している。第2ハウジング構成体13は、周壁12bにおける底壁12aとは反対側の開口を閉塞した状態で第1ハウジング構成体12に連結されている。
第1ハウジング構成体12の底壁12aの内面には、円筒状のボス部12cが突設されている。ボス部12cの軸線は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの軸線と一致している。また、第2ハウジング構成体13の内面には、円筒状のボス部13cが突設されている。ボス部13cは、第1ハウジング構成体12の周壁12bの軸線と一致している。よって、両ボス部12c,13cの軸線は互いに一致している。
回転電機10は、ステータ14と、ロータ15と、を備えている。ステータ14は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの内周面に固定される円筒状のステータコア14aと、ステータコア14aに巻回されるコイル14bと、を有している。ロータ15は、ハウジング11内においてステータ14の径方向内側に回転可能に配置されている。
ロータ15は、筒部材16と、磁性体である永久磁石17と、第1軸部材18及び第2軸部材19と、を備えている。筒部材16は、繊維強化材料から構成される円筒状である。本実施形態において、筒部材16は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から構成されている。筒部材16は、筒部材16の軸線が直線状に延びる筒状である。永久磁石17は、中実円柱状である。永久磁石17は、永久磁石17の径方向に着磁されている。
図2に示すように、永久磁石17は、筒部材16の内周面16aに圧入されている。よって、永久磁石17の外周面17aと筒部材16の内周面16aとは圧接されている。永久磁石17の軸線は、筒部材16の軸線と一致している。永久磁石17における軸線が延びる方向(永久磁石17の軸方向)の長さは、筒部材16における軸線が延びる方向(筒部材16の軸方向)の長さよりも短い。永久磁石17の軸方向両側に位置する両端面17b,17cは、永久磁石17の軸方向に対して直交する方向に延びる平坦面状である。
また、永久磁石17は、永久磁石17の軸方向の一方に位置する端面17bと永久磁石17の外周面17aとを繋ぐ環状の面取り部17dを有している。したがって、永久磁石17の軸方向の一方の角部は、全周に亘って面取りされている。面取り部17dは、永久磁石17の端面17bから永久磁石17の軸方向の他方に位置する端面17c側へ離間するにつれて徐々に拡径していくテーパ形状である。また、永久磁石17は、永久磁石17の端面17cと永久磁石17の外周面17aとを繋ぐ環状の面取り部17eを有している。したがって、永久磁石17の軸方向の他方の角部は、全周に亘って面取りされている。面取り部17eは、永久磁石17の端面17cから永久磁石17の端面17b側へ離間するにつれて徐々に拡径していくテーパ形状である。
永久磁石17の端面17bは、筒部材16の内側に位置している。よって、筒部材16の軸方向の一方に位置する端部16bは、永久磁石17の端面17bよりも軸方向へ突出している。また、永久磁石17の端面17cは、筒部材16の内側に位置している。よって、筒部材16の軸方向の他方に位置する端部16cは、永久磁石17の端面17cよりも軸方向へ突出している。
第1軸部材18及び第2軸部材19は、筒部材16の軸方向両側にそれぞれ設けられている。第1軸部材18は、第1圧入部18a、第1フランジ部18b、及び第1軸部18cを有している。第1圧入部18aは、円柱状であるとともに筒部材16の内周面16aにおける軸方向の一端部に圧入されている。よって、第1軸部材18は、筒部材16の内周面16aに圧入されている。第1圧入部18aは、筒部材16の端部16bの内側に圧入されている。
第1フランジ部18bは、第1圧入部18aに連続するとともに第1圧入部18aよりも外径が大きい円環状である。第1軸部18cは、第1フランジ部18bにおける第1圧入部18aとは反対側の端部に連続する円柱状である。第1軸部18cの外径は、第1圧入部18aの外径と同じである。
第2軸部材19は、第2圧入部19a、第2フランジ部19b、及び第2軸部19cを有している。第2圧入部19aは、円柱状であるとともに筒部材16の内周面16aにおける軸方向の他端部に圧入されている。よって、第2軸部材19は、筒部材16の内周面16aに圧入されている。第2圧入部19aは、筒部材16の端部16cの内側に圧入されている。
第2フランジ部19bは、第2圧入部19aに連続するとともに第2圧入部19aよりも外径が大きい円環状である。第2軸部19cは、第2フランジ部19bにおける第2圧入部19aとは反対側の端部に連続する円柱状である。第2軸部19cの外径は、第2圧入部19aの外径と同じである。
第1圧入部18aの外径と第2圧入部19aの外径とは同じである。また、第1フランジ部18bの外径と第2フランジ部19bの外径とは同じである。さらに、第1軸部18cの外径と第2軸部19cの外径とは同じである。第1軸部材18及び第2軸部材19は、第1軸部材18の軸線及び第2軸部材19の軸線が筒部材16の軸線と一致した状態で、筒部材16の軸方向両側にそれぞれ設けられている。したがって、第1軸部材18の軸線及び第2軸部材19の軸線は、永久磁石17の軸線に一致している。
第1圧入部18aにおける第1フランジ部18bとは反対側の端面は、第1軸部材18における永久磁石17との対向面18dである。第1軸部材18の対向面18dは、第1軸部材18の軸線が延びる方向(第1軸部材18の軸方向)に対して直交する方向に延びる平坦面状である。第1軸部材18の対向面18dは、永久磁石17の端面17bに面接触している。
第1圧入部18aは、対向面18dと第1圧入部18aの外周面18fとを繋ぐ環状の面取り部18gを有している。したがって、第1圧入部18aにおける第1フランジ部18bとは反対側の角部は、全周に亘って面取りされている。面取り部18gは、対向面18dから第1フランジ部18b側へ離間するにつれて徐々に拡径していくテーパ形状である。
第2圧入部19aにおける第2フランジ部19bとは反対側の端面は、第2軸部材19における永久磁石17との対向面19dである。第2軸部材19の対向面19dは、第2軸部材19の軸線が延びる方向(第2軸部材19の軸方向)に対して直交する方向に延びる平坦面状である。第2軸部材19の対向面19dは、永久磁石17の端面17cに面接触している。
第2圧入部19aは、対向面19dと第2圧入部19aの外周面19fとを繋ぐ環状の面取り部19gを有している。したがって、第2圧入部19aにおける第2フランジ部19bとは反対側の角部は、全周に亘って面取りされている。面取り部19gは、対向面19dから第2フランジ部19b側へ離間するにつれて徐々に拡径していくテーパ形状である。
第1フランジ部18bにおける第1圧入部18a側の端面18eは、筒部材16の端部16bに当接している。第2フランジ部19bにおける第2圧入部19a側の端面19eは、筒部材16の端部16cに当接している。そして、第1フランジ部18bの端面18eにおける筒部材16の端部16bに対する当接、及び第2フランジ部19bの端面19eにおける筒部材16の端部16cに対する当接によって、筒部材16における軸方向の移動が規制されている。
図1に示すように、第1軸部材18の第1軸部18cは、ボス部13cの内側を通過するとともに第2ハウジング構成体13を貫通してハウジング11外へ突出している。ボス部13cの内周面と第1軸部18cの外周面との間には、第1軸受21が設けられている。そして、第1軸部材18は、第1軸部18cが第1軸受21を介してボス部13cに支持されることにより、ハウジング11に回転可能に支持されている。
第2軸部材19の第2軸部19cは、ボス部12cの内側に挿入されている。ボス部12cの内周面と第2軸部19cの外周面との間には、第2軸受22が設けられている。そして、第2軸部材19は、第2軸部19cが第2軸受22を介してボス部12cに支持されることにより、ハウジング11に回転可能に支持されている。
図3に示すように、第1軸部材18の対向面18dには、穴31が形成されている。穴31は、円孔状である。図2に示すように、穴31は、永久磁石17の端面17bに向けて開口するとともに永久磁石17の端面17bから遠ざかる方向へ延びている。よって、本実施形態において、第1軸部材18には、永久磁石17に向けて開口するとともに永久磁石17から遠ざかる方向へ延びる凹部として、穴31が形成されている。
穴31の内周面31aは、第1軸部材18の軸方向に延びている。穴31の底面31bは、第1軸部材18の軸方向に対して直交する方向に延びる平坦面状である。穴31における第1軸部材18の軸方向の長さL1は、第1圧入部18aにおける軸方向の長さL2よりも長くなっている。
第2軸部材19の対向面19dには、穴32が形成されている。穴32は、第1軸部材18に形成されている穴31と同じ形状である円孔状である。穴32は、永久磁石17の端面17cに向けて開口するとともに永久磁石17の端面17cから遠ざかる方向へ延びている。よって、本実施形態において、第2軸部材19には、永久磁石17に向けて開口するとともに永久磁石17から遠ざかる方向へ延びる凹部として、穴32が形成されている。
穴32の内周面32aは、第2軸部材19の軸方向に延びている。穴32の底面32bは、第2軸部材19の軸方向に対して直交する方向に延びる平坦面状である。穴32における第2軸部材19の軸方向の長さL11は、第2圧入部19aにおける軸方向の長さL12よりも長くなっている。
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、永久磁石17が筒部材16の内周面16aに圧入された後、第1軸部材18の第1圧入部18aが筒部材16の端部16bの内側に圧入されるとともに、第2軸部材19の第2圧入部19aが筒部材16の端部16cの内側に圧入される。
このとき、第1軸部材18は面取り部18gを有しているため、第1軸部材18の角部が面取りされていない場合に比べると、第1軸部材18が筒部材16の内側に挿入され易くなっている。また、第2軸部材19は面取り部19gを有しているため、第2軸部材19の角部が面取りされていない場合に比べると、第2軸部材19が筒部材16の内側に挿入され易くなっている。
第1軸部材18が筒部材16に圧入されるときには、第1軸部材18と永久磁石17との間の空気が穴31に逃げるため、第1軸部材18の対向面18dと永久磁石17の端面17bとの間に空気溜まりによる隙間が生じなくなる。その結果、第1軸部材18は、第1軸部材18の対向面18dが永久磁石17の端面17bに面接触した状態で筒部材16に圧入される。
また、第2軸部材19が筒部材16に圧入されるときには、第2軸部材19と永久磁石17との間の空気が穴32に逃げるため、第2軸部材19の対向面19dと永久磁石17の端面17cとの間に空気溜まりによる隙間が生じなくなる。その結果、第2軸部材19は、第2軸部材19の対向面19dが永久磁石17の端面17cに面接触した状態で筒部材16に圧入される。
上記構成のロータ15において、図示しない駆動回路によって制御された電力がコイル14bに供給されると、永久磁石17が回転しようとし、永久磁石17が圧入されている筒部材16が永久磁石17と一体的に回転する。そして、筒部材16と第1軸部材18との圧入部分においてトルクが筒部材16から第1軸部材18に伝達されるとともに、筒部材16と第2軸部材19との圧入部分においてトルクが筒部材16から第2軸部材19に伝達され、第1軸部材18及び第2軸部材19が筒部材16と一体的に回転する。このようにして、ロータ15が回転する。筒部材16は、ロータ15の回転によって遠心力を受ける永久磁石17の変形を抑制する。
第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1−1)第1軸部材18及び第2軸部材19には、永久磁石17に向けて開口するとともに永久磁石17から遠ざかる方向へ延びる凹部としての穴31,32がそれぞれ形成されている。これによれば、永久磁石17が筒部材16の内周面16aに圧入された後に筒部材16に圧入される第1軸部材18及び第2軸部材19と永久磁石17との間の空気をそれぞれ穴31,32に逃がすことができる。よって、第1軸部材18及び第2軸部材19と永久磁石17との間に空気溜まりによる隙間が生じなくなる。その結果、第1軸部材18及び第2軸部材19を永久磁石17に接触させることができ、ロータ15全体における筒部材16の軸方向に対する曲げ方向の剛性が高まる。したがって、ロータ15に共振が発生し難くなり、回転電機10としての危険回転速度(共振回転数)が低下してしまうことが抑制され、ロータ15全体が筒部材16の軸方向に対して撓んでしまうことを抑制することができる。
(1−2)第1軸部材18における永久磁石17との対向面18d、及び第2軸部材19における永久磁石17との対向面19dには、凹部として、穴31,32がそれぞれ形成されている。これによれば、第1軸部材18に形成された穴31は、永久磁石17から第1軸部材18へ洩れ出して第1軸部材18を通過しようとする磁束を妨げるとともに、第2軸部材19に形成された穴32は、永久磁石17から第2軸部材19へ洩れ出して第2軸部材19を通過しようとする磁束を妨げる。よって、永久磁石17から第1軸部材18及び第2軸部材19へ洩れ出す磁束が第1軸部材18及び第2軸部材19を通過し難くなり、ロータ15の性能低下を抑制することができる。
(1−3)永久磁石17が第1軸部材18の対向面18d及び第2軸部材19の対向面19dにそれぞれ面接触しているため、永久磁石17が筒部材16内において筒部材16の軸方向に移動してしまうことを規制することができる。その結果、永久磁石17が、ステータ14の径方向内側でステータ14に対して移動してしまうことが規制されるため、永久磁石17の位置がステータ14に対してずれてしまうことが規制され、回転電機10の性能低下を抑制することができる。
(1−4)第1軸部材18及び第2軸部材19は、穴31,32がそれぞれ形成されている分だけ肉抜きされており、軽量化されている。よって、ロータ15全体が軽量化されるため、ロータ15に共振が発生し難くなり、回転電機10としての危険回転速度(共振回転数)が低下してしまうことを抑制することができる。
(1−5)第1軸部材18及び第2軸部材19は、ステータ14において発生する渦電流によって発熱する場合がある。このとき、第1軸部材18の対向面18d及び第2軸部材19の対向面19dに穴31,32がそれぞれ形成されているため、永久磁石17と第1軸部材18の対向面18d及び第2軸部材19の対向面19dとの接触面積が小さくなっている。よって、第1軸部材18及び第2軸部材19からの熱が永久磁石17に伝達してしまうことを抑制することができ、永久磁石17の熱減磁によるロータ15の性能低下を抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下、回転電機のロータ、及び回転電機を具体化した第2の実施形態を図5〜図7にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
図5及び図6に示すように、第1軸部材18の第1圧入部18aの外周面18fの一部分には、切欠41が形成されている。図6に示すように、本実施形態において、第1軸部材18には、切欠41が二つ形成されている。二つの切欠41は、第1圧入部18aの外周面18fの一部分に対してDカット加工を行うことにより形成されている。図5に示すように、各切欠41は、永久磁石17の端面17bに向けて開口するとともに永久磁石17の端面17bから遠ざかる方向へ延びている。よって、本実施形態において、第1軸部材18には、永久磁石17に向けて開口するとともに永久磁石17から遠ざかる方向へ延びる凹部として、切欠41が形成されている。
各切欠41は、第1軸部材18の軸方向に延びる平坦面状の延在面41aと、第1軸部材18の軸方向に対して直交する方向に延びる平坦面状の底面41bと、を有している。各切欠41の延在面41aにおける第1軸部材18の軸方向の一端部は、第1軸部材18の対向面18dにそれぞれ連続している。各切欠41の延在面41aにおける第1軸部材18の軸方向の他端部は、各切欠41の底面41bにそれぞれ連続している。各切欠41の延在面41aは、互いに平行に延びている。各切欠41の延在面41aにおける第1軸部材18の軸方向の長さL3はそれぞれ同じである。各切欠41の延在面41aの長さL3は、第1圧入部18aにおける軸方向の長さL2よりも短い。各切欠41の底面41bは、第1軸部材18の径方向において互いに離間する方向へ延びている。各切欠41の底面41bにおける第1軸部材18の径方向外側の端部は、第1圧入部18aの外周面18fにそれぞれ連続している。
第2軸部材19の第2圧入部19aの外周面19fの一部分には、切欠42が形成されている。第2軸部材19には、第1軸部材18と同様に、切欠42が二つ形成されている。二つの切欠42は、第2圧入部19aの外周面19fの一部分に対してDカット加工を行うことにより形成されている。各切欠42は、永久磁石17の端面17cに向けて開口するとともに永久磁石17の端面17cから遠ざかる方向へ延びている。よって、本実施形態において、第2軸部材19には、永久磁石17に向けて開口するとともに永久磁石17から遠ざかる方向へ延びる凹部として、切欠42が形成されている。
各切欠42は、第2軸部材19の軸方向に延びる平坦面状の延在面42aと、第2軸部材19の軸方向に対して直交する方向に延びる平坦面状の底面42bと、を有している。各切欠42の延在面42aにおける第2軸部材19の軸方向の一端部は、第2軸部材19の対向面19dにそれぞれ連続している。各切欠42の延在面42aにおける第2軸部材19の軸方向の他端部は、各切欠42の底面42bにそれぞれ連続している。各切欠42の延在面42aは、互いに平行に延びている。各切欠42の延在面42aにおける第2軸部材19の軸方向の長さL13はそれぞれ同じである。各切欠42の延在面42aの長さL13は、第2圧入部19aにおける軸方向の長さL12よりも短い。各切欠42の底面42bは、第2軸部材19の径方向において互いに離間する方向へ延びている。各切欠42の底面42bにおける第2軸部材19の径方向外側の端部は、第2圧入部19aの外周面19fにそれぞれ連続している。
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
図7に示すように、永久磁石17が筒部材16の内周面16aに圧入された後、第1軸部材18の第1圧入部18aが筒部材16の端部16bの内側に圧入されるとともに、第2軸部材19の第2圧入部19aが筒部材16の端部16cの内側に圧入される。
第1軸部材18が筒部材16に圧入されるときには、第1軸部材18と永久磁石17との間の空気が、各切欠41を介して筒部材16の外部へ逃がされる。このため、第1軸部材18の対向面18dと永久磁石17の端面17bとの間に空気溜まりによる隙間が生じなくなる。その結果、第1軸部材18は、第1軸部材18の対向面18dが永久磁石17の端面17bに面接触した状態で筒部材16に圧入される。
各切欠41の延在面41aの長さL3は、第1圧入部18aにおける軸方向の長さL2よりも短いため、第1フランジ部18bの端面18eが筒部材16の端部16bに当接するまで、第1軸部材18の第1圧入部18aが筒部材16の内周面16aに圧入されると、各切欠41は筒部材16の内周面16aによって閉塞される。これにより、筒部材16の外部から各切欠41に空気が流入してしまうことが回避されている。
また、第2軸部材19が筒部材16に圧入されるときには、第2軸部材19と永久磁石17との間の空気が、各切欠42を介して筒部材16の外部へ逃がされる。このため、第2軸部材19の対向面19dと永久磁石17の端面17cとの間に空気溜まりによる隙間が生じなくなる。その結果、第2軸部材19は、第2軸部材19の対向面19dが永久磁石17の端面17cに面接触した状態で筒部材16に圧入される。
各切欠42の延在面42aの長さL13は、第2圧入部19aにおける軸方向の長さL12よりも短いため、第2フランジ部19bの端面19eが筒部材16の端部16cに当接するまで、第2軸部材19の第2圧入部19aが筒部材16の内周面16aに圧入されると、各切欠42は筒部材16の内周面16aによって閉塞される。これにより、筒部材16の外部から各切欠42に空気が流入してしまうことが回避されている。
第2の実施形態では、第1の実施形態の効果(1−1)、(1−3)、(1−4)、及び(1−5)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2−1)第1軸部材18の外周面18fの一部分、及び第2軸部材19の外周面19fの一部分には、凹部として、切欠41,42がそれぞれ形成されている。これによれば、第1軸部材18及び第2軸部材19と永久磁石17との間の空気を、切欠41,42を介して筒部材16の外部へ逃がしながら第1軸部材18及び第2軸部材19を筒部材16に圧入することができる。よって、第1軸部材18及び第2軸部材19を、筒部材16に対してスムーズに圧入することができる。
(2−2)例えば、面取り部18g,19gにおける端面17b,17cと外周面17aとの間の長さを長くすることにより、筒部材16の内側における面取り部18g,19gよりも外側の空間に、第1軸部材18及び第2軸部材19と永久磁石17との間の空気を逃がすことが考えられる。しかし、面取り部18g,19gは、環状であるため、面取り部18g,19gにおける端面17b,17cと外周面17aとの間の長さを長くするほど、筒部材16の内周面16aにおける第1軸部材18及び第2軸部材19に対する圧入部位の軸方向の長さが短くなる。すると、第1軸部材18及び第2軸部材19と筒部材16との間の締結力(スリップトルク)が小さくなるため、第1軸部材18及び第2軸部材19と筒部材16との間で滑りが生じ易くなってしまい、第1軸部材18及び第2軸部材19へトルクが伝達され難くなってしまう。
そこで、本実施形態では、第1軸部材18の外周面18fの一部分、及び第2軸部材19の外周面19fの一部分に、凹部として、切欠41,42をそれぞれ形成したため、筒部材16の内周面16aにおける第1軸部材18及び第2軸部材19に対する圧入部位の軸方向の長さが短くなってしまうことが無い。よって、第1軸部材18及び第2軸部材19と筒部材16との間の締結力を確保しつつも、第1軸部材18及び第2軸部材19と永久磁石17との間の空気を切欠41,42に逃がすことができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 上記各実施形態において、第1軸部材18及び第2軸部材19を、永久磁石17が筒部材16の内周面16aに圧入された後に、筒部材16の端部16bの内側に圧入しなくてもよい。例えば、第2軸部材19の対向面19dと永久磁石17の端面17cとを接触させた状態で、永久磁石17及び第2軸部材19を筒部材16に圧入し、その後、第1軸部材18を筒部材16の内側に圧入するようにしてもよい。この場合、第2軸部材19に、凹部として、穴32や切欠42を形成しなくてもよい。したがって、凹部は、第1軸部材18及び第2軸部材19の少なくとも一方に形成されていればよい。
○ 第1軸部材18の面取り部18g及び第2軸部材19の面取り部19gに、凹部が形成されていてもよい。
○ 第1軸部材18に穴31及び切欠41の両方が形成されていてもよい。また、第2軸部材19に穴32及び切欠42の両方が形成されていてもよい。
○ 第1の実施形態において、第1軸部材18の対向面18dに穴31が複数形成されていてもよい。また、第2軸部材19の対向面19dに穴32が複数形成されていてもよい。
○ 第1の実施形態において、穴31,32の内面が球面状であってもよい。
○ 第1の実施形態において、穴31,32内の一部を、炭素繊維強化プラスチックやチタン等の高剛性材料によって埋めてもよい。
○ 第2の実施形態において、切欠41,42の数は特に限定されるものではない。
○ 第2の実施形態において、切欠41,42の加工方法は、Dカット加工に限らない。
○ 第2の実施形態において、各切欠41,42の延在面41a,42aが第1軸部材18及び第2軸部材19の軸方向に対して斜交する方向に延びていてもよい。
○ 上記各実施形態において、磁性体としては、永久磁石17に限らず、例えば、積層コア、アモルファスコア、又は圧粉コア等であってもよい。
○ 上記各実施形態において、筒部材16は、繊維強化材料から構成されていなくてもよく、例えば、金属製であってもよい。
○ 上記各実施形態において、永久磁石17が、例えば、中実四角柱状であってもよく、永久磁石17の形状は特に限定されるものではない。また、第1軸部材18の第1圧入部18a及び第2軸部材19の第2圧入部19aが、例えば、四角柱状であってもよく、第1軸部材18の第1圧入部18aの形状、及び第2軸部材19の第2圧入部19aの形状は特に限定されるものではない。そして、例えば、永久磁石17が中実四角柱状であるとともに、第1軸部材18の第1圧入部18a及び第2軸部材19の第2圧入部19aが四角柱状である場合、筒部材16が四角筒状に形成されている必要がある。したがって、筒部材16の形状は、永久磁石17、第1軸部材18の第1圧入部18a、及び第2軸部材19の第2圧入部19aそれぞれの形状によって適宜変更してもよい。
10…回転電機、14…ステータ、15…ロータ、16…筒部材、16a…内周面、17…磁性体である永久磁石、18…第1軸部材、18d,19d…対向面、18f,19f…外周面、19…第2軸部材、31,32…凹部としての穴、41,42…凹部としての切欠。

Claims (5)

  1. 筒部材と、
    前記筒部材の内周面に圧入された磁性体と、
    前記筒部材の軸方向両側にそれぞれ圧入される第1軸部材及び第2軸部材と、を備えた回転電機のロータであって、
    前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記筒部材の内周面に圧入される圧入部を備え、
    前記第1軸部材の前記圧入部における前記磁性体との対向面、及び前記第2軸部材の前記圧入部における前記磁性体との対向面の少なくとも一方には、前記磁性体に向けて開口するとともに前記磁性体から遠ざかる方向へ延びる凹部として、穴が形成され
    前記穴の底面は、前記磁性体と離間しており、
    前記圧入部の径方向の厚さは、前記筒部材の径方向の厚さよりも厚いことを特徴とする回転電機のロータ。
  2. 前記圧入部における前記磁性体との対向面と前記穴の底面との前記第1軸部材又は前記第2軸部材の軸方向における長さは、前記圧入部の前記軸方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の回転電機のロータ。
  3. 筒部材と、
    前記筒部材の内周面に圧入された磁性体と、
    前記筒部材の軸方向両側にそれぞれ圧入される第1軸部材及び第2軸部材と、を備えた回転電機のロータであって、
    前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記筒部材の内周面に圧接される圧入部を備え、
    前記第1軸部材の前記圧入部における前記磁性体との対向面、及び前記第2軸部材の前記圧入部における前記磁性体との対向面の少なくとも一方には、前記磁性体に向けて開口するとともに前記磁性体から遠ざかる方向へ延びる凹部として、切欠が形成され
    前記切欠は、前記筒部材の内周面に圧接される前記圧入部の外周面の一部分を、前記第1軸部材又は前記第2軸部材の軸方向に沿って切り欠いて形成されており、
    前記第1軸部材又は前記第2軸部材の軸方向における前記切欠の長さは、前記圧入部の前記軸方向における長さよりも短いことを特徴とする回転電機のロータ。
  4. 前記切欠は、前記第1軸部材又は前記第2軸部材の軸方向に延びる延在面と、前記軸方向に対して直交する又は斜交する方向に延びる底面と、を有している請求項3に記載の回転電機のロータ。
  5. ステータと、
    請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の回転電機のロータと、を備えることを特徴とする回転電機。
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