以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
図1に示す画像形成装置は、4連タンデム型中間転写方式のフルカラー機の構成例であるが、後述の4連タンデム型直接転写方式のフルカラー機、1ドラム型中間転写方式のフルカラー機、1ドラム型直接転写方式等のモノクロ機等、他の構成の画像形成装置でも、本発明は適用可能である。
図1に示す画像形成装置100は、像担持体としての中間転写体である中間転写ベルト1と、中間転写ベルト1の展張面あるいは張架面に沿って並設された、像担持体としての潜像担持体である回転体たる感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kとを有している。符号に付記したY、M、C、Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色を示している。
まず、イエローの作像ステーションを代表して説明すると、感光体ドラム2Yの周りにはその回転方向順に、帯電部材としての帯電装置である帯電チャージャ3Y、感光体ドラム2Yの基準回転位置(ホームポジション)を検知する位相検出部材である基準回転位置検知手段18Yを有する。帯電部材としては、帯電チャージャに替えて帯電ローラでもよい。基準回転位置検知手段18Yは一例として公知のフォトインタラプタと遮光板による検知を採用できる。ただしそれに限らず、ロータリーエンコーダなど、回転位置を検出できるものであれば、他の構成を採用してもよい。なお、基準回転位置検知手段は基準回転位置を検知することにより回転位相を特定できるため、位相検出手段ということもできる。これは、後述するように、現像部材である現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの基準回転位置を検知する手段についても同様である。
さらに、感光体ドラム2Yに露光を行って静電潜像を書き込む潜像形成部材としての光書込手段である光書込ユニット50、感光体ドラム2Yの表面電位を検出する電位検出部材としての表面電位センサ19Y、現像部材としての現像装置である現像ユニット5Y、一次転写手段としての一次転写ローラ6Y、ブレード及びブラシ等を備えた潜像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニングユニット7Y、除電部材としてのクエンチングランプ(QL)である8Yが配置されている。
中間転写ベルト1にトナー像を形成する作像部材としての作像ステーションは、感光体ドラム2Y、帯電チャージャ3Y、光書込ユニット50、現像ユニット5Y、一次転写ローラ6Y等を用いて構成されている。他の色、つまりマゼンタ、シアン、ブラックの各作像ステーションにおいても同様である。
中間転写ベルト1は、複数の支持部材としてのローラ11,12,13で回転可能に支持されている。中間転写ベルト1を挟んでローラ12と反対側には、ブレード及びブラシ等を備えたベルトクリーニングユニット15が設けられている。これら中間転写ベルト1、ローラ11,12,13、ベルトクリーニングユニット15は中間転写ユニット33を構成している。ローラ13に対向する部位には、二次転写部材としての二次転写ローラ16が設けられている。
光書込ユニット50の上方には、画像読み取り部材としてのスキャナ部9、自動原稿供給部材としてのADF10等が設けられている。装置本体99の下部には、複数の給紙部としての給紙トレイ17が設けられている。各給紙トレイ17に収容された記録材としての記録紙20は、ピックアップローラ21、給紙ローラ22で給紙され、搬送ローラ対23で搬送され、レジストローラ対24により所定のタイミングで中間転写ベルト1と二次転写ローラ16とが互いに対向した二次転写領域である二次転写ニップ部N2へ送られる。二次転写ニップ部N2の用紙搬送方向下流側には、定着部材としての定着ユニット25が設けられている。
感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面にトナー像を形成してそのトナー像を最終的に記録紙20へ転写させる画像形成部材は、4つの作像ステーション、光書込ユニット50、中間転写ユニット33、二次転写ローラ16など、画像形成に関わる各部材によって構成されている。
図1において、符号26は排紙トレイを、符号27はスイッチバックローラ対を示している。
現像ユニット5Y,5C,5M,5Kはそれぞれ、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面に現像ギャップを介して近接配置された現像剤担持体としての回転体である現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaを有している。現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaは、現像ユニット5Y,5C,5M,5K内の、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持し、担持した二成分現像剤中のトナーを感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに対向する現像領域で感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに付着させ、感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上に画像を形成する。
表面電位センサ19Y,19C,19M,19Kは、光書込ユニット50により書き込まれた感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上の静電潜像の電位すなわち現像ユニット5Y,5C,5M,5Kによってトナーが付着されて現像される前の感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面電位を検出する。検出された表面電位は、帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kの帯電バイアス、光書込ユニット50の光書込みのパワーなどの画像形成条件の設定情報にフィードバックされ、画像濃度の安定性を保つのに用いられる。感光体自体の劣化や画像形成装置100の置かれた環境変化により帯電、露光の性能が変化することがあるため、印刷中も含め表面電位センサ検知のフィードバックによる画像濃度の安定性を保っている。
光書込ユニット50は、画像情報に基づいて、帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kにより暗中にて一様に帯電された感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面それぞれに向けて書込光を出射する。光書込ユニット50は、この書込光により、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのそれぞれを暗中にて走査して、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面にY、C、M、K用の静電潜像を書き込む。光書込ユニット50より出射される書込光は、一例として後述するような半導体レーザーによる光でもよいし、他の例としてLEDアレイによる光でもよいがこれらに限られない。
符号37は、コントローラボードを示している。コントローラボード37にはCPU(Central Processing Unit)38、RAM(Random Access Memory)39、ROM(Read Only Memory)40、HDD41(Hard Disk Drive)、I/F(Interface)42が搭載されている。CPU38は、RAM39を作業領域としてROM40又はHDD41に保存されている画像形成動作プログラムを実行することで画像形成装置100内の各部材を制御し、画像形成動作を行う。またROM40又はHDD41には画像形成動作に用いる各種設定を保存することが可能である。CPU38は公知の各種外部記録媒体に保存された画像形成動作プログラム、各種設定に基づき画像形成装置100を制御することも可能である。
HDD41は、CPU38の制御にしたがってデータの保存・読み出し・書き込みを行う。I/F42は、CPU38の制御にしたがって画像形成装置100と外部装置との通信や画像形成装置100内の各部材間のデータ受け渡しを行う。
図1に示す構成において、画像形成動作を一通り説明する。プリント開始命令がコントローラボード37に入力されると、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周辺、中間転写ベルト1の周辺、給紙搬送経路等にある各ローラが既定のタイミングで回転し始め、給紙トレイ17から記録紙の給紙が開始される。一方、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kは、帯電チャージャ3Y、3M、3C、3Kによってその表面を一様な電位に帯電する帯電工程の後に、光書込ユニット50から照射される書込光によってその表面を画像データに従って露光される露光工程へと移る。露光された後の電位パターンを静電潜像と呼ぶが、この静電潜像を担持した感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面に、現像ユニット5Y,5M,5C,5Kからトナーを供給されることにより、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに担持されている静電潜像が現像される現像工程となる。
図1の構成においては、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kが4色分あるので、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(色順はシステムによって異なる)のトナー像が各感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上に現像されることになる。各感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上に現像されたトナー像は、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kと中間転写ベルト1との対向領域である一次転写領域としての一次転写ニップ部N1において、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに対向して設置された一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kに印加される一次転写バイアス及び押圧力によって、中間転写ベルト1上に転写される。この一次転写動作について、タイミングを合わせながら4色分繰り返すことにより、中間転写ベルト1上にフルカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト1上に形成されたフルカラートナー像は、二次転写ニップ部N2において、レジストローラ対24によってタイミングを合わせて搬送されてくる記録紙20に転写される。このとき、二次転写ローラ16に印加される二次転写バイアス及び押圧力によって二次転写が行われる。フルカラートナー像が転写された記録紙20は、定着ユニット25を通過することにより、その記録紙20の表面に担持されているトナー像が加熱定着される。
片面プリントならばそのまま直線搬送されて排紙トレイ26へ搬送され、両面プリントならば搬送方向を下向きに変えられ用紙反転部へ搬送されていく。用紙反転部へ到達した記録紙20は、ここでスイッチバックローラ対27により搬送方向を逆転されて紙の後端から用紙反転部を出て行く。これをスイッチバック動作と呼び、この動作によって記録紙20の表裏が反転される。表裏反転された記録紙20は定着ユニット25の方には戻らず、再給紙搬送経路を通過して本来の給紙経路に合流する。この後は表面プリントの時と同じ様にトナー像を転写されて、定着ユニット25を通過して排紙される。これが両面プリント動作である。
また各部の動作を最後まで説明すると、一次転写ニップ部N1を通過した感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kはその表面に一次転写残トナーを担持しており、これを感光体クリーニングユニット7Y,7M,7C,7Kにより除去される。その後、クエンチングランプ8Y,8M,8C,8Kによってその表面を一様に除電されて次の画像のための帯電に備える。また、二次転写ニップ部N2を通過した中間転写ベルト1に関しても、その表面に二次転写残トナーを担持しているが、こちらもベルトクリーニングユニット15によってこれを除去され、次のトナー像の転写に備える。この様な動作の繰り返しで、片面プリント若しくは両面プリントが行われる。
画像形成装置100は、中間転写ベルト1の外周面に形成されたトナー像の画像濃度(単位面積当たりのトナー付着量)を検知する画像濃度検知手段として、光学センサなどで構成された光学センサユニットである画像濃度検知センサ30を備えている。画像濃度検知センサ30の検出結果は、後述する画像濃度ムラ(副走査方向についての画像濃度ムラ。以下同じ。)を低減するための画像形成条件設定情報の補正制御に用いられる。
図1に示した構成例では、中間転写ベルト1の、ローラ11に巻き付いている部分に対向する位置である二次転写前の位置P1に、画像濃度検知センサ30が配置されている。画像濃度検知センサ30は、同図に示すように、N2の下流側の位置である二次転写後の位置P2に配置しても良い。画像濃度検知センサ30を位置P2のような二次転写ニップ部N2の下流側に配置する場合には、同図に示すように、中間転写ベルト1の内方に中間転写ベルト1の振れ止めのためのローラ14を設け、このローラ14に対向するように画像濃度検知センサ30を設けることが好ましい。
画像濃度検知センサ30の上述した2種類の配置位置のうち、二次転写前の位置P1は、二次転写工程前の中間転写ベルト1上のトナーパターンを検出する位置であり、マシンレイアウトの制約がなければ、この構成が採用されることが多い。また、二次転写前の位置P1は、画像濃度ムラ検出用のトナーパターン(補正用トナーパターン)を形成してすぐに検出できるため、待ち時間も少なく、また、補正用トナーパターンに二次転写ニップ部N2をすり抜けさせる必要がないため、そのための工夫が不要であるという利点もある。
ただし、4色目(図1の例ではブラック)の作像ステーションの直後が二次転写ニップ部N2のような二次転写位置になっている機種では、上述の位置P1にセンサを設置するのはスペース的に困難な場合もある。そのような場合は、二次転写後の位置である位置P2に画像濃度検知センサ30を設置し、中間転写ベルト1上に形成した画像パターンのトナー像を、二次転写ニップ部N2をスルーさせた後、そのトナー像の濃度を画像濃度検知センサ30で検出することになる。二次転写ニップ部N2をスルーさせる方式としては、二次転写ローラ16の中間転写ベルト1からの離間、二次転写ローラ16への逆バイアスの印加等が考えられるが、ここでは特に限定しない。
図1に示した画像形成装置の他に、感光体ドラムとこれに対向するリボルバ現像ユニットとを備える1ドラム型中間転写方式のフルカラー機や、4組の作像ステーションの下方に、4つの感光体ドラムに形成されたトナー像を記録紙に転写する転写ユニットを有する4連タンデム型直接転写方式のフルカラー機、モノクロ機などにも適用可能である。
なお、各構成例において、補正用トナーパターンは感光体ドラム上で形成されて下流側のベルトである中間転写ベルトまたは転写搬送ベルトに転写されるため、感光体ドラムの表面に対向するように画像濃度検知センサ30を設置してもよい。この場合の画像濃度検知センサ30の設置位置は、現像ユニットまたはリボルバ現像ユニットによる現像位置から中間転写ベルトまたは転写搬送ベルトへの転写位置に至るまでの間となる。
ここで図2および図3を用いて光書込ユニット50について詳述する。図2は、光書込ユニット50を側面から透視した説明図であり、図3は、光書込ユニット50を上面から透視した説明図である。
光書込ユニット50は、ポリゴンミラー51を用いて、ポリゴンミラー面の上方と下方で異なる色の光ビームを主走査方向に偏向走査させ、更に、ポリゴンミラー51を中心に対向振分走査させることで、4色分の光ビームが各色の感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上を走査する。
光書込ユニット50は、露光部材としての光源ユニットであるLDユニット64−1、64−2を有している。LDユニット64−1、64−2はそれぞれレーザー素子を有しており、画像データに応じて各レーザー素子が作動され、変調されることにより、選択的に光ビームを出射する。以下に、この光ビームにより各感光体ドラムの表面が露光されるまでの動作を説明する。
LDユニット64−1から出射された光ビームは、シリンダレンズ65−1を通り、ポリゴンモータによって回転するポリゴンミラー51に入射する。なお、LDユニット64−1は、上部と下部とにLD(Laser Diode)を有しており、上部のLDから出射されたM色用としての光ビームは、ポリゴンミラー51の上方面に入射し、下部のLDから出射されたY色用としての光ビームは、ポリゴンミラー51の下方面に入射するようになっている。
ポリゴンミラー51の上方面に入射したM色の光ビームは、ポリゴンミラー51が回転することにより偏向され、偏向されたM色の光ビームは、fθレンズ52−1を通り、ミラー53〜55によって折り返され、図1の感光体ドラム2M上を走査する。また、ポリゴンミラー51の下方面に入射したY色の光ビームは、ポリゴンミラー51が回転することにより偏向され、偏向されたY色の光ビームは、fθレンズ52−1を通り、ミラー56によって折り返され、図1の感光体ドラム2Y上を走査する。
また、主走査方向の非画像書き込み領域の画像書き出し位置より前方である主走査方向書出し側端部には、同期ミラー61−1、同期レンズ62−1、及び同期センサ63−1が備わっている。fθレンズ52−1を透過したM、Y各色の光ビームは、同期ミラー61−1によって反射され、同期レンズ62−1によって集光され、同期センサ63−1に入射する。同期センサ63−1は、M、Y各色の光ビームが入射されることで、当該色の主走査の書き出しタイミングを決定するための同期検知信号を出力する。
光源ユニットであるLDユニット64−2から出射された光ビームは、シリンダレンズ65−2を通り、ポリゴンモータによって回転するポリゴンミラー51に入射する。なお、LDユニット64−2は、上部と下部とにLDを有しており、上部のLDから出射されたC色の光ビームは、ポリゴンミラー51の上方面に入射し、下部のLDから出射されたK色の光ビームは、ポリゴンミラー51の下方面に入射するようになっている。
ポリゴンミラー51の上方面に入射したC色の光ビームは、ポリゴンミラー51が回転することにより偏向され、偏向されたC色の光ビームは、fθレンズ52−2を通り、ミラー57〜59によって折り返され、図1の感光体ドラム2C上を走査する。また、ポリゴンミラー51の下方面に入射したK色の光ビームは、ポリゴンミラー51が回転することにより偏向され、偏向されたK色の光ビームは、fθレンズ52−2を通り、ミラー60によって折り返され、図1の感光体ドラム2K上を走査する。
また、主走査方向の非画像書き込み領域の画像書き出し位置より前方である主走査方向書出し側端部には、同期ミラー61−2、同期レンズ62−2、及び同期センサ63−2が備わっている。fθレンズ52−2を透過したC、K各色の光ビームは、同期ミラー61−2によって反射され、同期レンズ62−2によって集光され、同期センサ63−2に入射するような構成になっている。同期センサ63−2は、C、K各色の光ビームが入射されることで、当該色の主走査の書き出しタイミングを決定するための同期検知信号を出力する。
光書込ユニット50内の各部材がそれぞれ上述のように動作して、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面を光ビームで走査して潜像を書き込む。感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面を光ビームで走査して潜像を書き込むための部材からなるユニットを、それぞれ光書込ユニット50Y,50M,50C,50Kとする。
図4は、図1の画像濃度検知センサ30(P1)の設置状況の一例を示す部分斜視図である。図2に示す例は、画像形成装置100における二次転写前の位置P1に画像濃度検知センサ30を設置した例を示している。画像濃度検知センサ30は、センサ基板32に4つのLED(Light Emission Diode)光学センサを搭載した4ヘッドタイプの画像濃度検知センサ30である。中間転写ベルト回転方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)、言い換えると感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの軸方向に、4つのセンサヘッド31が並べて設置されている。なおLED光学センサは、一例として、発光素子と二つの受光素子からなる。
この構成であれば、主走査方向における4箇所のトナー付着量を同時に検知可能であって、各センサヘッド31を各色専用に用いることが可能である。なお、画像濃度検知センサ30におけるセンサヘッドの数は4個に限定されるものではなく、たとえば、1〜3個のセンサヘッドを備えた画像濃度検知センサ30の構成であってもよいし、5個以上の画像濃度検知センサ30の構成であってもよい。
各センサヘッド31は、中間転写ベルト1の外周面との間に、検出距離として5mm程度の距離を設けて対向するように配設されている。本実施形態では、画像濃度検知センサ30を中間転写ベルト1近傍に設け、中間転写ベルト1上のトナー付着量に基づいて画像形成条件の設定情報を補正する。また、画像濃度検知センサ30は感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに対向するように配設されていてもよいし、中間転写ベルト1から画像を転写された記録紙20に対向するように配設されていても良い。
画像濃度検知センサ30からの出力信号は、CPU38においてトナー付着量に変換され、RAM39またはROM40またはHDD41に画像濃度として記憶される。この点で、RAM39またはROM40またはHDD41は、画像濃度検知センサ30とともに、画像濃度検知手段を構成する。RAM39またはROM40またはHDD41は、かかる画像濃度を所定のサンプリング間隔の時系列データとして記憶する。RAM39またはROM40またはHDD41には、そのほか、表面電位センサ19Y,19C,19M,19K等の各センサの出力データ、補正用データ、制御結果などに関する様々な情報が記憶される。
図5は機能ブロック図である。画像形成装置100の機能ブロック図である。画像形成装置100は、入力受付部110と、制御部120と、記憶部130と、読出・書込処理部140とを備える。
入力受付部110は、画像形成装置100に対する操作者による各種入力を受け付ける機能を実行する。外部の端末からの印刷指示を受け付ける通信I/Fや、公知の操作パネル等でもよい。
制御部120は、CPU38がHDD41に記憶されたプログラムを実行することによって実現され、画像形成装置100全体の制御を実行する。
記憶部130は、RAM39またはROM40またはHDD41の処理によって実行され、プログラムや文書データ、画像形成装置100の動作に必要な各種設定情報、画像形成装置100の動作ログ等を格納する機能を実行する。
読出・書込処理部140は、CPU38の処理によって実行され、記憶部130に各種データを記憶したり、記憶部130に記憶された各種データを読み出したりする機能を実行する。濃度ムラ補正テーブル記憶部131については後述する。
ここで、画像濃度ムラの原因の一つとなる現像ギャップの変動について説明する。図6は、感光体ドラムの回転振れによる現像ギャップの変動を示す説明図である。同図は、感光体ドラムが偏心等により、現像ローラとの現像ギャップが最大値d1をとる感光体ドラムの回転位置1(実線)と、現像ローラとのギャップが最小値d2をとる感光体ドラムの回転位置2(破線)との間で、感光体ドラムの回転振れが生じる場合を図示したものである。印加される現像バイアスにより現像ローラの表面電位Vが一定であるとすると、感光体ドラムの回転位置が位置1であるときに現像電界Eは最小値をとる。このとき、画像濃度は相対的に薄くなる。一方、感光体ドラムの回転位置が位置2であるときに現像電界Eは最大値をとり、このときの画像濃度は相対的に濃くなる。
感光体ドラムは一定周期で回転しているため、感光体ドラムの回転周期で、画像濃度が相対的に薄くなるように現像されるトナー像部分と、相対的に濃くなるように現像されるトナー像部分とが繰り返し発生し、画像上に画像濃度ムラが生じる。本実施形態では、一例として、このような現像ギャップの変動が発生する場合でも、現像電界が一定になるように、画像濃度ムラの検出結果(補正用トナーパターンについてのトナー付着量検出信号)に応じて現像バイアスを変調制御し、画像濃度ムラが低減するように制御する。なお、現像ローラの回転振れについても、感光体ドラムの回転振れの場合と同様である。
また、画像濃度ムラは、現像ギャップの変動のみならず、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度ムラによっても発生する。環境変動、経時劣化等の要因によって、露光に対する感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度(感光特性)に副走査方向のばらつきが発生すると、同じ露光量で露光しても、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの露光後の電位である明電位(潜像部電位)に差が出るため、潜像部電位と現像ローラ表面との電位差に違いが出てくる。その結果、同じ露光量で露光されても異なる潜像部電位となり、トナー付着量に違いが出て、感光体ドラムの回転周期をもった画像濃度ムラを生じさせる。なお、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度ムラに関して、感度ムラを小さくするためにコストアップになるが高精度な製法を用いて感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kを製造するという方法もある。
上述のような画像濃度ムラを低減するための、本実施形態における画像形成装置100における画像形成条件設定情報の補正制御について説明する。この補正制御は、形成する画像の高画質化を図るため、後述する補正用トナーパターンを形成し、形成された補正用トナーパターンの画像濃度を検出して、画像濃度ムラを低減するものである。
補正用トナーパターンは、図7(a)や図7(b)に示すように、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の各色について、画像濃度が高いトナーパターンとなるように形成する。補正用トナーパターンの画像濃度が高濃度であるほど、画像濃度の変動を検出しやすいため、本実施形態では、補正用トナーパターンとしてベタ画像を用いている。なお、補正用トナーパターンは、本実施形態では高濃度ベタ画像であるが、画像濃度の変動が検出されるのであれば、これよりも濃度の低い低濃度ベタ画像であっても良い。
補正用トナーパターンは、いずれの色についても、中間転写ベルト1の回転方向(副走査方向)に長い帯パターンとなるように形成される。補正用トナーパターンの副走査方向長さは、画像濃度ムラの周期成分と同じ回転周期、若しくは整数分の1の回転周期をもつ回転体の少なくとも1周長分とされる。ここでの回転体とは、感光体ドラム2Yあるいは現像ローラ5Yaであり、本実施形態においては、整数分の1の回転周期の感光体ドラム2Yの3周長分としている。
本実施形態においては、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kと現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaとの間の現像ギャップが周期的に変動することによる画像濃度ムラを抑制するために、補正制御を実行する。この点についてより詳しく説明すると、かかる現像ギャップの変動要因の1つとして、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転振れが挙げられ、この回転振れは、たとえば感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転中心位置の偏心などが挙げられる。よって、現像ギャップの変動に基づく画像濃度ムラには、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期(当該回転周期の整数分の1の回転周期を含む。以下同様。)をもつ画像濃度ムラ成分が含まれている。そして、この画像濃度ムラ成分を検出するには、補正用トナーパターンの副走査方向長さとして、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの少なくとも1周長分の長さを要する。
図7(a)に示す補正用トナーパターンの例は、各色のトナーパターンを、主走査方向の同位置に形成する例である。この位置は、主走査方向における画像濃度検知センサ30の検出領域、具体的にはセンサヘッド31の配設位置に一致する。なお、図7(a)の例では、補正用トナーパターンの主走査方向位置が中間転写ベルト1の中央部となっているが、これに限らず、例えば中間転写ベルト1の主走査方向端部付近であっても良い。一方、図7(b)に示す補正用トナーパターンの例は、各色のトナーパターンを、主走査方向の互いに異なる位置に形成する例である。この位置は、それぞれ、主走査方向における画像濃度検知センサ30の検出領域、具体的にはセンサヘッド31の配設位置に一致する。
図7(a)に示す例のような補正用トナーパターンを形成すると、各トナーパターンの画像濃度を検出するセンサヘッド31の数が1つで済むという利点がある。一方、図7(b)に示す例のような補正用トナーパターンを形成すると、各色のトナーパターンを並行して検出することが可能となり、全色の補正用トナーパターンの画像濃度検出を完了するまでの時間が短くて済むという利点がある。
なお、画像濃度検知センサは、すでに述べたように、感光体ドラムのそれぞれに対して設け、感光体ドラム上に形成された画像の濃度を検出するようにしても良く、このようにすれば、中間転写ベルトの走行変動による影響が回避される。また、画像濃度検知センサは、すでに述べたように、中間転写ベルトから画像を転写された記録紙に対向するように設け、記録紙上に形成された画像の濃度を検出するようにしても良い。
補正用トナーパターンを形成するときの画像形成条件、具体的には、例えば帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kにおける帯電条件、光書込ユニット50Y、50M,50C,50Kにおける露光条件(書き込み条件)、現像ユニット5Y,5M,5C,5Kにおける現像条件、一次転写ローラ6Y,6C,6M,6Kにおける転写条件等は、一定に維持される。ここでの帯電条件としては帯電バイアスが挙げられ、書き込み条件としては書込光の強度が挙げられ、現像条件としては現像バイアスが挙げられ、転写条件としては転写バイアスが挙げられる。なお、帯電チャージャ3Y,3C,3M,3K、光書込ユニット50Y、50M,50C,50K、現像ユニット5Y,5M,5C,5K、一次転写ローラ6Y,6C,6M,6K等は、補正用トナーパターンを作成するにあたって、画像形成動作時と同様、現像、帯電、露光等の一連の作像プロセスを担う。
現像ギャップの変動及びその他の画像濃度ムラ発生要因(感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度ムラ等)がなければ、画像形成条件を一定に維持してベタ画像からなる補正用トナーパターンを形成すると、その画像濃度は副走査方向において均一であり、画像濃度ムラは生じない。しかしながら、画像形成条件を一定に維持してベタ画像からなる補正用トナーパターンを形成しても、現像ギャップの変動等の画像濃度ムラ発生要因により、画像濃度ムラが生じる。この画像濃度ムラは、画像濃度検知センサ30によって、副走査方向に長いベタ画像の帯状パターンである補正用トナーパターンの画像濃度を連続的に検出することによって取得することができる。具体的には、画像濃度検知センサ30の出力信号は、所定のサンプリング間隔で、制御部120に時系列データとして入力されることで、制御部120は、各基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kからの回転位置検出信号に基づき、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジションを基準とした時系列の画像濃度として記憶する。
図8は、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kから出力される回転位置検出信号と、画像濃度検知センサ30によるトナー付着量検出信号(感光体ドラム回転周期成分)と、これらの信号をもとに作成される画像濃度の変動を打ち消す制御データである補正テーブル(補正情報)との関係の例を示すグラフである。なお、図8には、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの2周分の信号を示している。
図8において、補正用トナーパターンの画像濃度ムラは、トナー付着量検出信号のセンサ出力値の変動として示される。図8に示されているように、トナー付着量検出信号は、回転位置検出信号の周期と同じ周期で変動している。本実施形態においては、この画像濃度ムラと逆位相となる画像濃度ムラを生じさせるように、現像ユニット5Y,5M,5C,5Kや帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kの画像形成条件の設定情報を補正することで、当該画像濃度ムラをキャンセルするような補正テーブルを生成する。
ここで、画像形成条件設定情報である現像バイアス、露光パワー(露光出力)、帯電バイアス等は、符号がマイナスである場合や、その絶対値が大きくなると付着量が減る場合があるため、逆位相と表現するのが適切でない場合があるが、トナー付着量検出信号が示す画像濃度ムラを打ち消す方向の補正テーブルを生成する、つまりトナー付着量が示す画像濃度ムラとは逆位相の画像濃度ムラを作り出す補正テーブルを生成する。
この補正テーブルを決定する際のトナー付着量検出信号の変動量[V]に対しての補正テーブルの変動量は、理論値から求められる。本実施形態に際しては、理論値からゲインを用いて、トナー付着量検出信号から、その逆位相の画像濃度ムラを生じさせるような補正テーブルを生成する。その際、その補正テーブルは、例えば図8に示すタイミングとなるように、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kから出力される回転位置検出信号を基準にして生成される。図8に示されている例では、補正テーブルの先頭が、ホームポジション検出タイミング(回転位置検出信号の立ち上がりタイミング)となるように生成される。
このような補正テーブルを生成する際、例えば補正テーブルが現像バイアスを補正する現像バイアス補正テーブルは、現像領域から画像濃度検知センサ30までの間の補正用トナーパターン移動時間を考慮する。かかる移動時間が、感光体ドラム回転周期のちょうど整数倍であれば、補正テーブルの先頭を回転位置検出信号のタイミングに合わせる。かかる移動時間が感光体ドラム回転周期の整数倍からずれている場合は、ずれの時間分だけタイミングをずらして補正テーブルを生成する。同様に、露光パワーの補正テーブルは、露光位置から画像濃度検知センサ30までのトナーパターン移動時間を考慮して補正テーブルを適用する。同様に、帯電バイアスの補正テーブルであれば、帯電位置から画像濃度検知センサ30までのトナーパターン移動時間を考慮して補正テーブルを適用することになる。本実施形態に際しては、高圧電源の出力応答性の遅延や、部品精度のばらつき、組み付け精度のばらつき等によるレイアウト距離の誤差によって位相ずれが生じる場合がある。そのため、理論値をもとに位相ずれ分を調整して、補正テーブルを生成している。また適用する補正テーブルは、現像バイアス補正テーブル、露光パワー補正テーブル、帯電バイアス補正テーブルのうち少なくとも露光パワー補正テーブル、帯電バイアス補正テーブルに適用する。本実施形態では、帯電バイアス補正テーブルを用いている。
補正用トナーパターンの形成開始タイミングは、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジションが基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kによって検出されるタイミングに基づいて決定される。図8に示されている例では、補正用トナーパターンの先端位置がホームポジション検出タイミング(回転位置検出信号の立ち上がりタイミング)で画像濃度検知センサ30に検出されるように、ホームポジション検出タイミングに同期して補正用トナーパターンの形成が行われる。
このタイミングでの補正用トナーパターンの形成を可能とするため、制御部120には、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kからの回転位置検出信号が入力される。そして制御部120は、入力された回転位置検出信号からホームポジション検出タイミングを取得し、このタイミングに同期して、画像形成手段を制御し、補正用トナーパターンを作像する。
制御部120には、画像濃度検知センサ30からの出力信号(トナー付着量検出信号)が入力される。補正テーブルを生成する際、制御部120は、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kからの回転位置検出信号からホームポジション検出タイミングを取得し、このタイミングに同期して、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号のサンプリングを開始し、補正テーブルを作成する。作成した補正テーブルは濃度ムラ補正テーブル記憶部131に記憶される。なお、当該画像濃度ムラをキャンセルするような画像形成条件の例として現像バイアス、露光パワー、帯電バイアス等を挙げたが、これ以外にも現像ギャップや、現像領域の回転方向の幅、現像ローラまたは感光体の回転速度等でもよい。
図9は、制御部120に入力される感光体ドラムの回転位置検出信号と、画像濃度検知センサ30の出力信号(トナー付着量検出信号)との関係を示すタイミングチャートである。本実施形態では、図8に示した逆位相の関係が得られるように、補正用トナーパターンの先端位置がホームポジション検出タイミング(回転位置検出信号の立ち上がりタイミング)で画像濃度検知センサ30に検出されるように、ホームポジション検出タイミングに同期して補正用トナーパターンの露光開始位置を決定している。本実施形態では、補正用トナーパターンの先端位置から、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号のサンプリングが開始されるが、補正用トナーパターンの先頭付近のトナー付着量は不安定になりやすい。そのため、補正用トナーパターンの先端位置ではなく、トナー付着量が安定する程度に後端側へずれた位置から、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号のサンプリングが開始されるように、光書込ユニット50Y、50M,50C,50Kによる補正用トナーパターンの露光開始位置を決めてもよい。
このような補正用トナーパターンの露光開始位置を決定するにあたっては、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kによって検出される感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジション検出タイミングと、光書込ユニット50Y、50M,50C,50Kによる露光位置から画像濃度検知センサ30の検出位置まで補正用トナーパターンが移動する時間とに関するデータが必要である。これらのデータは、記憶部130に記憶されており、これらのデータに応じて、補正用トナーパターンの露光開始位置を決定する。なお、光書込ユニット50Y、50M,50C,50Kによる露光位置から画像濃度検知センサ30の検出位置まで補正用トナーパターンが移動する時間は、光書込ユニット50Y、50M,50C,50Kによる露光位置から画像濃度検知センサ30の検出位置までのレイアウト距離と、プロセス線速とから算出してもよい。
補正用トナーパターンの後端位置は、補正用トナーパターン長により決まるが、補正用トナーパターンの後端位置も、上述のように決定される先端位置と同様にして決定しても良い。また、かかる先端位置が任意に決定される場合であっても、かかる後端位置を上述のデータに応じて決定しても良い。このような、かかる先端位置および/または後端位置の、上述のデータに応じた決定は、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kによる感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジションの検出からの経過時間に基づいて行っても良い。この場合にも、かかる先端位置および/または後端位置の決定は、実質的に上述のデータに応じて行われることとなる。またこの場合、補正用トナーパターンの書き出しは任意に行い、露光終了位置を感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周長の整数倍となるように決定しても良い。かかる経過時間は、たとえば制御部120のCPUによって計測することが可能である。この計測を行うとき、制御部120は、かかる経過時間を計測する経過時間計測手段として機能する。
このような補正用トナーパターンの形成タイミングを制御することで、不必要に長い補正用トナーパターンを形成する必要がなくなり、トナーイールドや制御時間の低減を図ることができる。なお、補正用トナーパターンが画像濃度検知センサ30の検出位置まで移動する時間は色ごとに異なるので、各色の作像ステーションごとに、補正用トナーパターンの露光開始位置が一致するように調整され、同一検知タイミングによる検知時間の短縮が可能となる。一方、図7(b)に示したように、副走査方向における各色の補正用トナーパターンの形成位置が互いに異なってもよい。このように異ならせることで、中間転写ベルト1上のトナーをクリーニングするベルトクリーニングユニット15中のクリーニングブレード等の劣化を防止し長寿命化を図れる。
以上の説明は、現像ギャップを形成する回転体である感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kと現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaとのうち、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転振れによって、現像ギャップが変動する場合を例に挙げた。回転振れによる現像ギャップの変動は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転振れによっても生じる。そのため、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kとともにあるいはこれに代えて、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの場合と同様に、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの基準回転位置(ホームポジション)を基準回転位置検知手段で検出し、そのホームポジションに同期させて、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもつ画像濃度ムラ成分を低減させる補正テーブルを生成してもよい。本実施形態においては、感光体ドラムと現像ローラの画像濃度ムラ成分を低減させる補正テーブルを生成している。
図1の各感光体ドラムの基準回転位置検知手段(位相検出手段)18やこれと同様の現像ローラの基準回転位置検知手段(位相検出手段)に替えて、以降に説明する基準回転位置検知手段を用いてもよい。
図10は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジションを検知する基準回転位置検知手段としての現像回転位置検出装置70を示す模式図である。なお、基準回転位置を検知することにより回転の位相を特定できるため、現像回転位置検出装置70は、位相検出手段ということもできる。この現像回転位置検出装置70は、位相検出手段としてのフォトインタラプタ71を備えている。現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのそれぞれに対して別個に設けられているが、互いに同構成であって、同図に示す構成となっている。また、同図に示されているように、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaはそれぞれ、その回転中心軸をなす軸76が、カップリング77を介して駆動モータ78の出力軸である軸79に接続されており、駆動モータ78の駆動によって回転駆動されるようになっている。
回転位置検出装置70は、フォトインタラプタ71の他に、軸79と一体に設けられ軸79の回転に伴って回転移動する遮光部材72を有している。遮光部材72は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転に従い、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaが所定の回転位置を占めたときにフォトインタラプタ71によって検出される。これにより、フォトインタラプタ71は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの基準回転位置(ホームポジション)を検出するようになっている。
図10に示した例では、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの駆動に関し、駆動モータ直結のダイレクトドライブ方式を用いているが、駆動モータ78からの動力伝達の間に減速機構が入っていても良い。但し、減速機構を採用する場合、遮光部材72は現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaと同じ回転数になるよう、軸76上に設置しておくことが望ましい。このことは、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの基準回転位置(ホームポジション)を検出する場合についても同様である。
図11は、フォトインタラプタ71の出力信号の一例を示すグラフである。現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaと一体的に回転する遮光部材72がフォトインタラプタ71の光路を遮っているときに出力がほぼ0Vまで低下していることが分かる。このエッジを利用することで、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジションを検出することができる。現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもった画像濃度ムラ成分を低減させる補正テーブルを生成する場合、制御部120は、フォトインタラプタ71からの出力信号(現像ローラ回転位置検出信号)に基づき、上述した補正用トナーパターンのトナー付着量検出信号を現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジションに同期してサンプリングする。
図12は、図1の画像濃度検知センサ30(P1)からのトナー付着量検出信号に基づくトナー付着量の変動と、図10のフォトインタラプタ71の出力信号(現像ローラ回転位置検出信号)との関係の一例を示すグラフである。なお、このグラフは、横軸に時間をとり、縦軸に、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号をトナー付着量に換算した結果をとったものである。図1に示すように、補正用トナーパターンを画像濃度検知センサ30で検出したトナー付着量検出信号には、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期に対応した周期的な変動が発生する。
画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号には、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期成分のほかにも、例えば感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期成分も含まれている。そのため、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもった画像濃度ムラを低減する補正テーブルを生成するために、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から、現像ローラの回転周期成分を抽出する処理が必要である。なお、説明では省略するが、感光体ドラムの回転周期をもった画像濃度ムラを低減するための補正テーブルを生成する場合にも、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から、感光体ドラムの回転周期成分を抽出する処理が必要である。
画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から現像ローラの回転周期成分を抽出する処理方法としては、例えば、現像ローラのフォトインタラプタ71の出力信号に含まれるホームポジション検出タイミングでトナー付着量検出信号を区分けし、区分けされた各信号区分を平均化処理して現像ローラの回転周期成分を抽出する。
図13は、フォトインタラプタ71の出力信号に含まれるホームポジション検出タイミングでトナー付着量検出信号を区分けして得られる複数の信号区分を重ねて示したグラフである。本実施形態では、上述した補正用トナーパターン(感光体ドラムの3周長分)から、現像ローラ10周長分の10個の信号区分N1〜N10が得られる。図中太線で示す波形は、これらの信号区分を平均化処理した結果Avgを示すものである。本実施形態では、10個の信号区分N1〜N10の単純平均処理を施しているが、現像ローラの回転周期成分が抽出できれば、他の処理を施してもよい。
このような信号処理によって、補正用トナーパターンを検出する画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期成分と現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期成分とを独立して取得する。これらの回転周期成分を同じ補正用トナーパターンから取得する場合、その補正用トナーパターンの長さや形成位置等は、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周長と現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの周長のうち、周長が長い方の周長、回転位置、レイアウト距離、プロセス線速に基づいて設定される。本実施形態では、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周長の方が長い。
一方、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期をもった画像濃度ムラを補正せず、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもった画像濃度ムラを補正する場合には、補正用トナーパターンの長さや形成位置等は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの周長、回転位置、レイアウト距離、プロセス線速に基づいて設定される。ここでのレイアウト距離は、現像領域と、画像濃度検知センサ30による補正用トナーパターンの検出位置との間の区間の副走査方向に沿った方向における距離を意味する。
なお、図1の感光体ドラム2Yの基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Yと、図10の現像ローラ5Yaの現像回転位置検出装置70のフォトインタラプタ71の双方を有する場合について説明する。感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期成分と現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期成分の両方を同じ補正用トナーパターンから取得する場合、補正用トナーパターンの形成タイミングは、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kによって検出される感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジション検出タイミングと、フォトインタラプタ71によって検出される現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジション検出タイミングのいずれか一方に基づいて決定される。したがって、補正用トナーパターンの形成タイミングを決定するという点においては、いずれかのホームポジションを検出できればよく、そのためには、基準回転位置検知手段(位相検出手段)18Y,18C,18M,18Kとフォトインタラプタ71のいずれかが設けられれば良い。
図14に画像形成装置100において上述の画像濃度ムラを低減する画像形成処理フローを示す。まず画像形成装置100の電源がONされると(S1)、制御部120は印刷前調整を実行する(S2)。この印刷前調整とは、画像濃度センサ30の出力調整、目標とするトナー付着量を得るために必要となる現像ポテンシャルの基準値の決定などを行う。なお、S2の印刷前調整は、画像形成装置100のON以外に、数百ページ印刷毎、電源ON後に数時間印刷が実行されず放置された後、または印刷終了し、次のジョブ受付が無い場合などにも実行してもよい。
印刷前調整完了後、制御部120は偏心濃度ムラ補正テーブルの更新タイミングに達しているかを判断する(S3)。達していれば上述の通り濃度ムラ補正テーブルを作成し、すでに濃度ムラ補正テーブルがあれば更新する(S4)。
ここで更新タイミングは、感光体の交換後である。感光体が異なると偏心が異なり、結果として画像濃度ムラの周期が変わるため補正テーブルを更新する。その他、感光体表面や組み付け箇所の経時劣化、回転位置のずれが検知された後など、偏心が変わる可能性がある条件を更新タイミングとして設定してもよい。なお、説明は、感光体の補正テーブルについて行ったが、本実施形態では、現像ローラの場合も同様に行い、現像ローラ用の補正テーブルを作成し、すでに濃度ムラ補正テーブルがあれば更新する。
その後、制御部120は、画像形成装置100に対する印刷ジョブを受け付けると(S5)、濃度ムラ補正テーブルを適用して印刷ジョブを実行する(S6)。このように、画像濃度ムラをキャンセルさせる(打ち消す)ための補正テーブルを画像形成条件に適用し画像形成条件を補正することで画像濃度ムラは低減できる。
S6の濃度ムラ補正テーブルを適用した印刷ジョブの実行とは、具体的には、制御部120が、画像形成動作時に、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングに同期して、濃度ムラ補正テーブル記憶部131から画像濃度ムラ成分の時系列データを順次読み出し、読み出した画像濃度ムラ成分データを打ち消すように各画像形成条件の設定値を補正する補正値を順次算出して、その補正値で補正した各画像形成条件を順次適用するという補正制御を実行する。なお、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングに同期した説明を行ったが、本実施形態では、現像ローラのホームポジション検出タイミングにも同期している。
図15を用いて、表面電位センサ19Y(19C,19M,19K)により検知される感光体表面電位について説明する。図13は、帯電バイアス、感光体ドラムの非画像部電位及び画像部電位、現像バイアスとの電位関係を示す説明図である。帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kにより印加される帯電バイアスV1で感光体ドラムの表面を一様に帯電する。この結果、感光体ドラムの表面電位はV2に帯電される。次に、光書き込みで画像部を露光する。これにより、非画像部電位はV3、低濃度画像部の感光体ドラム表面電位はV5、ベタ画像部の感光体ドラム表面電位はV6になる。
次に、現像ローラにより印加される現像バイアスV4で、現像ローラ上のトナーを感光体ドラムの画像部へ移動させて現像処理する。トナーは所定の帯電量を有しており、低濃度画像部とベタ画像部(高濃度画像部)には、図13中の斜線部分の電位差に応じた現像ポテンシャルの違いに応じた量のトナーが付着してトナー像が形成される。
ここで、感光体自体の性質や経時劣化、環境変化により、帯電バイアスに対する感光体の表面電位は変わったりする。またトナー自体の性質、経時劣化、環境変化により、トナーの帯電量が変わったりする。このような変化の結果、図15に示される各電位差が適切な範囲から外れると、画像不良の原因となる。したがって、例えば所定枚数印刷毎に、感光体上の画像領域(潜像領域)と画像領域との間の紙間に電位パターンを作成し、感光体の回転方向で感光体表面の露光と現像との間の感光体表面に対向された表面電位センサ19Yで検知して各電位差が適切に保たれるよう、帯電バイアス、現像バイアス、LDパワーを調整するようフィードバック制御されている。この調整は、帯電バイアス、現像バイアス、LDパワーすべてを調整することもあるし、いずれか一つを調整することで各電位差が適切に保たれることもある。
表面電位センサ19Yで感光体の表面電位を得るには、感光体の回転に伴って、表面電位センサの有効検知範囲以上でかつ表面電位センサの整定時間以上の時間となる領域を検知し、その時間の平均値を出すことが知られている。したがって、一例として非画像部電位V3およびベタ画像部V6の表面電位を得るためには、感光体上に一様に帯電を行った後、部分的に露光(ベタ画像)を行い、露光を行っていない箇所と、ベタ画像部として露光を行った箇所が、それぞれ少なくとも上述の領域になるような電位パターンを感光体上に作成する。
図16を用いて、図15で説明した表面電位を検知して行う調整を、一例として印刷ジョブ中に行う場合について説明する。なお図16は、図14中のステップS6の詳細を表すフローである。またここでいう印刷ジョブは、連続して複数の用紙に印刷する内容(以降連続通紙と呼ぶことがある)とする。
制御部120は、まず印刷枚数をカウントする(S7)。次に複数枚のうち1頁目の画像形成条件(例えば帯電バイアス)について、偏心濃度ムラテーブルで補正を行った上で(S8)印刷を実行する(S9)。つまり、1頁目の画像印刷のために回転を開始した感光体ドラム2Y(2M,2C,2K)のホームポジション検出タイミングに同期して、濃度ムラ補正テーブル記憶部131から感光体偏心による画像濃度ムラ成分の時系列データを順次読み出し、読み出した画像濃度ムラ成分データを打ち消すように各画像形成条件の設定値を補正する補正値を順次算出して、その補正値で補正した各画像形成条件を順次適用するという補正制御を実行する。同様に、現像ローラ偏心による画像濃度ムラについても、現像ローラのホームポジション検出タイミングに同期して補正制御を開始する。
次に制御部120は、印刷中調整を実行するタイミングであるかどうかを判断する(S10)。印刷ジョブ中調整を実行する条件は、前回印刷ジョブ中調整を実行してから所定枚数、一例としては10頁の印刷を行った場合など適宜設定すればよい。印刷ジョブ中調整を実行するタイミングでなければ、次の頁の印刷動作に移行する(S16)。
印刷ジョブ中調整の実行タイミングであった場合は、制御部120は、連続通紙の紙と紙の間(以降紙間と呼ぶことがある。)に相当する感光体表面に、調整用の電位パターンを形成する。この電位パターンは、例えばあらかじめ記憶部130に保存しておいたものを使用できる。この電位パターン形成のための画像形成条件に対しても、引き続き偏心濃度ムラテーブルに基づく補正が順次開始され、補正表面電位形成工程として感光体表面に、補正された電位パターンを形成(S11)する。次に、予測電位生成工程として、補正分を予測した電位である予測電位の生成(S12)を行い、その後、補正表面電位検知工程として表面電位センサで感光体の表面電位検知(S13)を行う。そして、オリジナル表面電位算出工程として、表面電位センサで実際に検知した電位と予測電位から、補正が行われていない表面電位であるオリジナル表面電位を算出(S14)し、算出したオリジナル表面電位で、電位差を適切に保つための調整を実行(S15)する。
ここでいう調整は、各表面電位、表面電位同士の差等の変動をもとにした帯電バイアス、現像バイアス、LDパワー(露光出力)、転写バイアス等の画像形成条件の調整である。その他にも現像ギャップや、現像領域の回転方向の幅を調整する方法でもよい。
なお、生成した予測電位と検知した表面電位を記憶部130に記憶しておけば、オリジナル表面電位算出(S14)およびオリジナル表面電位での調整実行(S15)を、次の紙間で行うようにすることも可能である。
図16で示されるフローによる処理について、さらに説明する。前述のように本画像形成装置100においては、感光体、現像ローラの偏心による画像濃度ムラを補正するために、それぞれの回転周期をもった濃度ムラを打ち消すように画像形成条件を補正している。そのため、ステップS11で形成され、ステップS13において実際に表面電位センサで検知された電位(以降リアル表面電位と呼ぶことがある)には、電位全体にそれらの回転周期をもつ波形で表される補正分の電位が重畳されている。つまり、理想的には図15に示したように一定である各電位に、補正により周期ばらつき(電位変動)が生じている。したがってリアル表面電位をフィードバック制御される調整にそのまま使用すると、調整が正確に行えない可能性がある。
そこで本フローは、正確な調整を行うために、リアル表面電位のうち、偏心による画像濃度ムラ補正による制御データ分の電位、詳細には、制御データによりオリジナル表面電位に加えられた補正分の電位である補正分電位を差し引いて、本来取得したかったオリジナル表面電位を算出する。
つまり、ステップS12において、補正分電位を予測した電位である予測電位を予測波形として生成し、ステップS14においてリアル表面電位から予測波形を差し引くことで、オリジナル表面電位の算出を行っている。そしてステップS15において、算出したオリジナル表面電位を用いて調整を行うため、正確な調整を実行できる。
ここで、他の方法でのオリジナル表面電位取得との比較説明をする。上述のような予測電位(予測波形)を生成する方法ではなく、一例として重畳した合成正弦波1周期をタップ長とする移動平均フィルタをかけることが考えられる。しかし、そのためには少なくとも感光体1周分のパターンを計測する時間が必要である。またオリジナル表面電位取得のためのさらに他の例として、その時間だけ単一正弦波または合成正弦波の印加をとめることが考えられるが、正弦波印加のOFF/ONのスイッチングのための印加停止時間が必要となる。どちらもオリジナル表面電位取得のために特別の時間が必要となり、特に印刷中の制御の自由度が狭められ、画像形成装置の生産性を落とすことにつながる。
それに対し、本実施形態は、任意のタイミングで所望の範囲の予測電位(予測波形)を生成することによりオリジナル表面電位を算出することが出来るため、ダウンタイムとならず、調整に必要な感光体表面電位を正確に取得することができる。
次に、オリジナル表面電位の算出の例を説明する。偏心ムラ低減のために重畳された表面電位の周期的な波は、感光体、現像ローラその他各周期をもって繰り返される各周期的な波を単一の正弦波(単一正弦波s1、s2、s3…)で表し、それらを合成した波(合成正弦波)として、(式1)のように表すことができる。
S=s1+s2+s3+…=A1*sin(w1*t+B1)+A2*sin(w2*t+B2)+A3*sin(w3*t+B3)+… (式1)
このように、合成正弦波は単一正弦波の重ねあわせであるため、単一正弦波sから説明する。単一正弦波は(式2)で表わせる。
s=A*sin(w*t+B) (式2)
A:振幅
B:初期位相
w:(角)周波数
t:時間
このうち、振幅Aは感光体の電位特性を取得することで求める。詳細は後述する。時間t,(角)周波数w,初期位相Bは以下の方法で解析的に導出が可能である。まず、時間tは正弦波を印加するタイミングから規定できる。周波数wは以下の(式3)で求められる。ここで回転体周期の回転体とは、本実施形態では感光体、現像ローラであり、各々の単一正弦波を算出できる。
w=感光体線速/回転体周期 (式3)
また、初期位相Bは(式4)で表される。このうち帯電バイアス印加時b1は、帯電バイアス印加タイミングで取得できる。また、レイアウトによる位相遅れb2は(式5)であらわされる。
初期位相B=b1+b2+b3 (式4)
b1:帯電バイアス印加時位相
b2:レイアウトによる位相遅れ
b3:表面電位センサ検知特性による位相遅れ
b2=(帯電位置〜表面電位センサ位置間の距離)/感光体線速 (式5)
一方、表面電位センサの検知特性は表面電位センサがある区間における平均的な感光体表面電位を求めているため、移動平均フィルタにより近似できる。Nタップの移動平均フィルタの周波数特性は(式6)であらわされる。この時センサ検知特性による位相遅れは(式7)であらわされる。(式7)中のタップ長は(式8)であらわされる。
F=Σexp(−m×i×w×T)/N (式6)
b3=atan(F) (式7)
i:虚数単位
T:サンプリング周期
N:タップ長
atan(arctangent):逆正接関数
(Σはm=0〜N−1の和。wは(式3)で導出済み。)
N=センサが平均する区間の長さ/感光体線速 (式8)
次に先に記述した振幅Aは(式9)により求められる。またA_orgは印加時に取得することができる。さらに、a_2は(式10)とあらわされ、(式6)により求められる。
A=A_org*a_1*a_2 (式9)
A_org(入力信号振幅):印加した帯電バイアス振幅
a_1(ゲイン):帯電バイアスが感光体表面電位に与える影響
a_2(ゲイン):表面電位センサ検知による減衰
a_2=|F| (式10)
a_1は、あらかじめ実験的に求めることできる。なお求めるタイミングについては、後述する。a_1は露光部電位か非露光部電位かにより求め方が変わる。非露光部電位の求め方としては、帯電バイアス直流成分を複数水準振り、以下の(式11)の傾きaを最小二乗法などで算出し、これをa_1とできる。
Δ(表面電位)=aΔ(帯電バイアス直流成分) (式11)
一方、露光部電位については、aの算出後に、帯電バイアス、およびLDP(LDパワー)を複数水準振り、例えば、(式12)であらわされる非線形関数をおいて(式13)により求めればよい。(式13)の関数をパラメータに関して線形な形とすれば、最小二乗法によってパラメータを算出できる。
Δ(表面電位)=f(Δ(帯電バイアス直流成分),Δ(LDP)) (式12)
a_1=f(Δ(帯電バイアス直流成分),Δ(LDP)) (式13)
以上説明した(式2)〜(式13)を感光体ドラムと現像ローラについてそれぞれ求めると、それぞれ単一正弦波を求め、それを合成した合成正弦波が予測波形となる。つまり、予測電位が(式14)であらわせる。そしてリアル表面電位からこの予測電位を差し引くことで、オリジナル表面電位を算出する。
予測波形S=A1sin(w1*t+b1)+A2sin(w2*t+b2) (式14)
A1sin(w1*t+b1):感光体ドラム単一正弦波
A2sin(w2*t+b2):現像ローラ単一正弦波
なお感光体ドラム、現像ローラの他にも回転周期を持つ濃度ムラの要因があればそれぞれ単一正弦波を計算し、足し合わせてもよい。また予測波形の生成方法として合成正弦波を用いた方法を説明したが、これに限られない。
ここで、図17に画像形成処理フローの他の例を示す。画像形成装置100において上述の画像濃度ムラを低減する画像処理フローを示す。まず画像形成装置100の電源がONされると(S17)、制御部120は印刷前調整を実行する(S18)。この印刷前調整とは、画像濃度センサ30の出力調整、目標とするトナー付着量を得るために必要となる現像ポテンシャルの基準値の決定などを行う。なお、S18の印刷前調整は、画像形成装置100のON以外に、数百ページ印刷毎、電源ON後に数時間印刷が実行されず放置された後、または印刷終了し、次のジョブ受付が無い場合などにも実行してもよい。
印刷前調整完了後、制御部120は偏心濃度ムラ補正テーブルの更新タイミングに達しているかを判断する(S19)。達していれば上述の通り濃度ムラ補正テーブルを作成し、すでに濃度ムラ補正テーブルがあれば更新する(S20)。
ここで更新タイミングは、感光体の交換後である。感光体が異なると偏心が異なり、結果として画像濃度ムラの周期が変わるため補正テーブルを更新する。その他、感光体表面や組み付け箇所の経時劣化、回転位置のずれが検知された後など、偏心が変わる可能性がある条件を更新タイミングとして設定してもよい。なお、説明は、感光体の補正テーブルについて行ったが、本実施形態では、現像ローラの場合も同様に行い、現像ローラ用の補正テーブルを作成し、すでに濃度ムラ補正テーブルがあれば更新する。
次に、予測波形を作成するために必要な感光体電位特性を取得し、保存する(S21)。この感光体電位特性取得工程により前述の(式11)(式12)(式13)が取得される。
その後、制御部120は、画像形成装置100に対する印刷ジョブを受け付けると(S22)、濃度ムラ補正テーブルを適用して印刷ジョブを実行する(S23)。このように、画像濃度ムラをキャンセルさせる(打ち消す)ための補正テーブルを画像形成条件に適用し画像形成条件を補正する補正表面電位形成工程を行うことで、画像濃度ムラは低減できる。
S23の濃度ムラ補正テーブルを適用した印刷ジョブの実行とは具体的には、制御部120が、画像形成動作時に、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングに同期して、濃度ムラ補正テーブル記憶部131から画像濃度ムラ成分の時系列データを順次読み出し、読み出した画像濃度ムラ成分データを打ち消すように各画像形成条件の設定値を補正する補正値を順次算出して、その補正値で補正した各画像形成条件を順次適用するという補正制御として、感光体に補正表面電位形成を実行する工程である。なお、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングに同期した説明を行ったが、本実施形態では、現像ローラのホームポジション検出タイミングにも同期している。
図18を用いて、図17の感光体電位特性工程(S21)の詳細フローを示す。まず帯電バイアス、また露光部については帯電バイアスとLDパワーを複数水準動かして感光体表面電位を形成する(S24)。形成した表面電位を電位センサで検知する(S25)。測定結果に基づき、帯電バイアスと露光部のLDパワー変化に対する感光体表面電位変化を近似して各定数を算出(S26)する。取得した定数は、予測電位生成タイミングで使用するために保存される。一例としては記憶部130に記憶すればよい。
このように、予測波形の生成に必要なデータである感光体電位特性をあらかじめ、例えば印刷ジョブ実行(S23)前のウォームアップの時間で取得しておき、印刷ジョブ中の紙間で予測波形の生成とオリジナル表面電位の算出を行うため、さらにダウンタイム無しで正確な画像形成条件の調整を行うことができる。
次に、図19、図20を用いて、帯電バイアスに濃度ムラ補正テーブルによる補正を適用した場合に感光体表面に形成される表面電位の例を説明する。
まず図19は、感光体ドラムの回転の経過時間を横軸、表面電位センサで検知される感光体の表面電位を縦軸に示している。図20の横軸は、図19の横軸と対応している。そして図20(a)の縦軸は、現像ローラのフォトインタラプタ出力を表し、図20(b)の縦軸は感光体ドラムのフォトインタラプタ出力を表す。それぞれはじめにフォトインタラプタの出力があった時点以降、一定の速度で回転を続けている。
図20(b)の出力からわかるように、図19において感光体ドラムは回転を行っている。この回転している感光体ドラムに対し直流の帯電バイアスを印加し、感光体表面電位を約725Vに一様帯電させている。その状態で500ms付近からは、感光体の単一正弦波の帯電バイアスの補正テーブルで濃度ムラ補正を帯電バイアスに重畳している。さらに4500ms付近からは、露光により表面電位パターンを形成する。つまり表面電位パターンの一例として、少なくとも表面電位センサの検出範囲において、約4500msまでは露光を行わない。この部分を図19中で非露光部として示している。
その後、断続的に4カ所にベタ画像に対応する露光を行い、その結果として表面電位パターン形成が形成される。露光が行われた箇所を図19中で、露光部と示している。露光部と露光部の間の箇所は露光が行われていないため、この箇所も非露光部と呼ぶこともできる。そして、図20(a)の出力からわかるように、現像ローラは上述の4箇所のうち、初めの露光部から現像可能なタイミングで回転を開始している。
ここで、図20(b)の感光体のフォトインタラプタのHP検出と同期して濃度ムラ補正も実行されている。図19の非露光部のうち、矢印で示すタイミングが、画像濃度ムラ補正開始、つまり画像ムラ濃度を低減するための感光体の単一正弦波の帯電バイアスの補正テーブルによる補正が反映されたタイミングである。開始前は約725Vで一定の箇所が続いているが、開始後は周期的な電位の増減がある。この周期的な電位の増減が、濃度ムラ補正による波形である。
さらに、図20(a)の現像ローラの回転が開始すると、感光体のフォトインタラプタのHP検出に同期した補正に加え、現像ローラのフォトインタラプタ71のHP検出に同期して現像ローラの単一正弦波の帯電バイアスの補正テーブルによる濃度ムラ補正も実行される。つまり図19の各露光部(および各露光部の間の領域)には感光体偏心を要因とする濃度ムラ補正に加え、現像ローラHP検出に同期した現像ローラの偏心を要因とする濃度ムラ補正も重畳されている。
このように、感光体表面電位は図19に示されるような波形を形成しており、表面電位センサはこの波形を検出することになる。なお図19中は一例として露光部は全てベタ画像と想定しているが、ベタ画像に限らず、またベタ画像と低濃度画像からなる露光部からなるパターンでも良い。
次に、図21、図22を用いて、予測波形と、補正表面電位から予測波形を除いた波形の一例を説明する。
図21(a)は、一例として、4箇所の露光部のうち、約6000〜7000msの露光部の区間について補正テーブルから切り出され再生された予測波形を示す。図21(b)は、図21(a)の予測波形を図19に示した表面電位、つまり電位センサで検知されるリアル表面電位から除いた波形である。図21(b)中の矢印で示された区間が露光部のオリジナル表面電位、つまり帯電バイアスの補正テーブルによる画像濃度ムラ補正が重畳されていない露光部のオリジナル表面電位である。なお、露光パワーの補正テーブルによる画像濃度ムラ補正も重畳されている場合は、露光パワーの補正テーブルによる画像濃度ムラ補正が重畳されていない露光部のオリジナル表面電位を同等の方法でさらに得る。また露光パワーの補正テーブルのみの場合は、露光パワーの補正テーブルによる画像濃度ムラ補正が重畳されていない露光部のオリジナル表面電位を得る。
図22(a)は、一例として非露光部のうち、約1500〜4500msの間で再現された予測波形を示す。図22(b)は、図22(a)の予測波形を図19に示した表面電位、つまり電位センサで検知されるリアル表面電位からから除いた波形である。図22(b)中の矢印で示された区間が非露光部のオリジナル表面電位、つまり感光体の単一正弦波の 帯電バイアスの補正テーブルによる画像濃度ムラ補正が重畳されていない非露光部の電位(直流の帯電バイアスを印可したときの感光体の表面電位)である。
なお、あらかじめ予測波形の生成実施タイミングや、オリジナル表面ん電位測定の為に感光体表面に形成する電位パターンを記憶部130に設定しておくことで、制御部120がその設定を読み出し、図21のように露光部のオリジナル表面電位を測定したり、図22のように非露光部のオリジナル表面電位を測定したりすることができる。つまり図21、図22において任意の箇所、任意の周期分についてリアル表面電位から制御データによる補正分を除いてオリジナル表面電位を取得することができ、したがって例えば調整用パターンのすべてについてオリジナル表面電位を取得してもよいし、その一部について取得することも可能である。
なお、図16のフローのように、所定枚数連続通紙印刷ジョブの紙間で調整用パターンを作成して行う場合、例えば次のようなプログラムをあらかじめ記憶部130に保存しても良い。つまり、調整用パターン作成(S11)をトリガに、感光体の基準回転位置検知手段(位相検出手段)としてフォトインタラプタを使用した場合のフォトインタラプタによるHP検知した時点と、現像ローラのフォトインタラプタによるHP検知した時点とでそれぞれ露光部、非露光部について単一正弦波を生成する。そして光書込み手段に対する露光信号、例えば画像部はLow,非画像部がHighとなる信号によりタイミングを合わせ、露光部と非露光部それぞれについて、表面センサが検知した表面電位(S13)から予測波形を除く処理を行うプログラムである。