以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置の一構成例を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、4連タンデム型中間転写方式のフルカラー機の構成例であるが、後述の4連タンデム型直接転写方式のフルカラー機、1ドラム型中間転写方式のフルカラー機、1ドラム型直接転写方式等のモノクロ機等、他の構成の画像形成装置でも、本発明は適用可能である。
図1に示す画像形成装置100は、像担持体としての中間転写体である中間転写ベルト1と、中間転写ベルト1の展張面あるいは張架面に沿って並設された、像担持体としての潜像担持体である回転体たる感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kとを有している。符号に付記したY、M、C、Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色を示している。
イエローの作像ステーションを代表して説明すると、感光体ドラム2Yの周りにはその回転方向順に、帯電手段としての帯電装置である帯電チャージャ3Y、感光体ドラム2Yの基準回転位置(ホームポジション)を検知する基準回転位置検知手段を構成するフォトインタラプタ18Y、感光体ドラム2Yに露光を行って静電潜像を書き込む潜像形成手段としての光書込手段である露光手段たる光書込ユニット4Y、感光体ドラム2Yの表面電位を検出する電位検出手段としての表面電位センサ19Y、現像手段としての現像装置である現像ユニット5Y、一次転写手段としての一次転写ローラ6Y、図示しないブレード及びブラシ等を備えた潜像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニングユニット7Y、除電手段としてのクエンチングランプ(QL)である8Yが配置されている。
中間転写ベルト1にトナー像を形成するトナー像形成手段は、感光体ドラム2Y、帯電チャージャ3Y、光書込ユニット4Y、現像ユニット5Y、一次転写ローラ6Y等を用いて構成されている。他の色の作像ステーションにおいても同様である。
中間転写ベルト1は、複数の支持部材としてのローラ11,12,13で回転可能に支持されており、ローラ12に対向する部位には、図示しないブレード及びブラシ等を備えたベルトクリーニングユニット15が設けられている。これら中間転写ベルト1、ローラ11,12,13、ベルトクリーニングユニット15は中間転写ユニット33を構成している。ローラ13に対向する部位には、二次転写手段としての二次転写ローラ16が設けられている。
光書込ユニット4の上方には、画像読み取り手段としてのスキャナ部9、自動原稿供給手段としてのADF10等が設けられている。装置本体99の下部には、複数の給紙部としての給紙トレイ17が設けられている。各給紙トレイ17に収容された記録材としての記録紙20は、ピックアップローラ21、給紙ローラ22で給紙され、搬送ローラ対23で搬送され、レジストローラ対24により所定のタイミングで中間転写ベルト1と二次転写ローラ16とが互いに対向した二次転写領域である二次転写ニップ部N2へ送られる。二次転写ニップ部N2の用紙搬送方向下流側には、定着手段としての定着ユニット25が設けられている。
感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面にトナー像を形成してそのトナー像を最終的に記録紙20へ転写させる画像形成手段は、4つの作像ステーション、光書込ユニット4、中間転写ユニット33、二次転写ローラ16など、画像形成に関わる各部材によって構成されている。
図1において、符号26は排紙トレイを、符号27はスイッチバックローラ対を、符号37は図示しないCPU並びに不揮発性メモリおよび揮発性メモリを搭載した制御手段としての制御部を示している。
現像ユニット5Y,5C,5M,5Kはそれぞれ、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面に現像ギャップを介して近接配置された現像剤担持体としての回転体である現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaを有している。現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaは、現像ユニット5Y,5C,5M,5K内の、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持し、担持した二成分現像剤中のトナーを感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに対向する現像ニップで感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに付着させ、感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上に画像を形成する。
各感光体ドラムの回転軸上に1箇所欠けの入った検出板が固定されており、この検出板は感光体ドラムと一体的に回転する。感光体ドラムが一回転するたびに、検出板が一回転して、検出板の欠けが透過型のフォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kの検出領域を通過する。検出板の欠け以外の部分が検出領域に存在するときにはフォトインタラプタの光路が遮蔽されて出力信号がオフになり、検出板の欠けが検出領域に存在するときにはフォトインタラプタの光路が遮蔽されず、出力信号がオンになる。これにより、フォトインタラプタの検出信号から、感光体ドラムが一回転するたびに、感光体ドラムの基準回転位置であるホームポジションを検知することができる。なお、この具体的な構成は、後述する現像ローラのホームポジションを検知する構成と同様である。
なお、本実施形態においては、基準回転位置検知手段としてフォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kを採用した例であるが、ロータリーエンコーダなど、回転位置を検出できるものであれば、他の構成を採用してもよい。これは、後述するように、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの基準回転位置を検知する手段についても同様である。
表面電位センサ19Y,19C,19M,19Kは、光書込ユニット4Y,4C,4M,4Kにより書き込まれた感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上の静電潜像の電位すなわち現像ユニット5Y,5C,5M,5Kによってトナーが付着されて現像される前の感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面電位を検出する。検出された表面電位は、帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kの帯電バイアス、光書込ユニット4Y,4C,4M,4Kのレーザーパワーなどの画像形成条件の設定情報にフィードバックされ、画像濃度の安定性を保つのに用いられる。
光書込ユニット4Y,4C,4M,4Kは、画像情報に基づいて、図示しないレーザー制御部によって4つの図示しない半導体レーザーを駆動し、帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kにより暗中にて一様に帯電された感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面それぞれに向けて書込光を出射する。光書込ユニット4は、この書込光により、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのそれぞれを暗中にて走査して、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面にY、C、M、K用の静電潜像を書き込む。本実施形態では、光書込ユニット4Y,4C,4M,4Kとして、図示しない半導体レーザーから出射したレーザー光を図示しないポリゴンミラーによって偏向せしめながら、図示しない反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで光走査を行うものを用いている。光書込ユニット4は、かかる構成のものに代えて、LEDアレイによって静電潜像を書き込むものを用いてもよい。
図1に示す構成において、画像形成動作を一通り説明する。
プリント開始命令が入力されると、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周辺、中間転写ベルト1の周辺、給紙搬送経路等にある各ローラが既定のタイミングで回転し始め、給紙トレイ17から記録紙の給紙が開始される。一方、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kは、帯電チャージャ3Y、3M、3C、3Kによってその表面を一様な電位に帯電され、光書込ユニット4Y,4C,4M,4Kから照射される書込光によってその表面を画像データに従って露光される。露光された後の電位パターンを静電潜像と呼ぶが、この静電潜像を担持した感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面に、現像ユニット5Y,5M,5C,5Kからトナーを供給されることにより、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに担持されている静電潜像が現像される。
図1の構成においては、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kが4色分あるので、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(色順はシステムによって異なる)のトナー像が各感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上に現像されることになる。各感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上に現像されたトナー像は、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kと中間転写ベルト1との対向領域である一次転写領域としての一次転写ニップ部N1において、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに対向して設置された一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kに印加される一次転写バイアス及び押圧力によって、中間転写ベルト1上に転写される。この一次転写動作について、タイミングを合わせながら4色分繰り返すことにより、中間転写ベルト1上にフルカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト1上に形成されたフルカラートナー像は、二次転写ニップ部N2において、レジストローラ対24によってタイミングを合わせて搬送されてくる記録紙20に転写される。このとき、二次転写ローラ16に印加される二次転写バイアス及び押圧力によって二次転写が行われる。フルカラートナー像が転写された記録紙20は、定着ユニット25を通過することにより、その記録紙20の表面に担持されているトナー像が加熱定着される。
片面プリントならばそのまま直線搬送されて排紙トレイ26へ搬送され、両面プリントならば搬送方向を下向きに変えられ用紙反転部へ搬送されていく。用紙反転部へ到達した記録紙20は、ここでスイッチバックローラ対27により搬送方向を逆転されて紙の後端から用紙反転部を出て行く。これをスイッチバック動作と呼び、この動作によって記録紙20の表裏が反転される。表裏反転された記録紙20は定着ユニット25の方には戻らず、再給紙搬送経路を通過して本来の給紙経路に合流する。この後は表面プリントの時と同じ様にトナー像を転写されて、定着ユニット25を通過して排紙される。これが両面プリント動作である。
また各部の動作を最後まで説明すると、一次転写ニップ部N1を通過した感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kはその表面に一次転写残トナーを担持しており、これを感光体クリーニングユニット7Y,7M,7C,7Kにより除去される。その後、クエンチングランプ8Y,8M,8C,8Kによってその表面を一様に除電されて次の画像のための帯電に備える。また、二次転写ニップ部N2を通過した中間転写ベルト1に関しても、その表面に二次転写残トナーを担持しているが、こちらもベルトクリーニングユニット15によってこれを除去され、次のトナー像の転写に備える。この様な動作の繰り返しで、片面プリント若しくは両面プリントが行われる。
画像形成装置100は、中間転写ベルト1の外周面に形成されたトナー像の画像濃度(単位面積当たりのトナー付着量)を検知する画像濃度検知手段として、光学センサなどで構成された光学センサユニットである画像濃度検知センサ30を備えている。画像濃度検知センサ30の検出結果は、後述する画像濃度ムラ(副走査方向についての画像濃度ムラ。以下同じ。)を低減するための画像形成条件設定情報の補正制御に用いられる。
図1に示した構成例では、中間転写ベルト1の、ローラ11に巻き付いている部分に対向する位置である二次転写前の位置P1に、画像濃度検知センサ30が配置されている。画像濃度検知センサ30は、同図に示すように、N2の下流側の位置である二次転写後の位置P2に配置しても良い。画像濃度検知センサ30を位置P2のような二次転写ニップ部N2の下流側に配置する場合には、同図に示すように、中間転写ベルト1の内方に中間転写ベルト1の振れ止めのためのローラ14を設け、このローラ14に対向するように画像濃度検知センサ30を設けることが好ましい。
画像濃度検知センサ30の上述した2種類の配置位置のうち、二次転写前の位置P1は、二次転写工程前の中間転写ベルト1上のトナーパターンを検出する位置であり、マシンレイアウトの制約がなければ、この構成が採用されることが多い。また、二次転写前の位置P1は、画像濃度ムラ検出用のトナーパターン(補正用トナーパターン)を形成してすぐに検出できるため、待ち時間も少なく、また、補正用トナーパターンに二次転写ニップ部N2をすり抜けさせる必要がないため、そのための工夫が不要であるという利点もある。
ただし、4色目(図1の例ではブラック)の作像ステーションの直後が二次転写ニップ部N2のような二次転写位置になっている機種も多く、そのような場合には、上述の位置P1にセンサを設置するのはスペース的に困難である。このような場合は、二次転写後の位置である位置P2に画像濃度検知センサ30を設置し、中間転写ベルト1上に形成した画像パターンのトナー像を、二次転写ニップ部N2をスルーさせた後、そのトナー像の濃度を画像濃度検知センサ30で検出することになる。二次転写ニップ部N2をスルーさせる方式としては、二次転写ローラ16の中間転写ベルト1からの離間、二次転写ローラ16への逆バイアスの印加等が考えられるが、ここでは特に限定しない。
ここで、上述した図1に示す構成の異なる他の画像形成装置について説明する。
図2は、本発明を適用可能な画像形成装置の他の構成例を示す概略構成図である。
なお、図2において、図1に示した画像形成装置100と同様な部材や装置については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。図2に示す画像形成装置100’は、1ドラム型中間転写方式のフルカラー機であり、ドラム状の像担持体である感光体ドラム2と、これに対向する現像手段としてのリボルバ現像ユニット51とを備えている。リボルバ現像ユニット51は、回転軸を中心にして回転する保持体によって現像手段としての4つの現像器51Y,51M,51C,51Kを保持している。これらの現像器51Y,51M,51C,51Kは、感光体ドラム2上の静電潜像をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーによって現像するものである。
リボルバ現像ユニット51は、保持体を回転させることで、現像器51Y,51M,51C,51Kのうち、任意の色の現像器を感光体ドラム2に対向する現像位置に移動させて、感光体ドラム2上の静電潜像を任意の色に現像する。フルカラー画像を形成する場合には、例えば無端状の中間転写ベルト1を約4周させる過程で感光体ドラム2にY、M、C、K用の静電潜像を順次形成しながら、それらをY、M、C、K用の現像器51Y,51M,51C,51Kによって順次現像していく。そして、感光体ドラム2上で得られたY、M、C、Kトナー像を一次転写ニップ部N1において中間転写ベルト1に順次重ね合わせて転写していく。
中間転写ベルト1の支持部材であるローラ13と二次転写ユニット28の二次転写ローラ16とが対向している二次転写ニップ部N2は、中間転写ベルト1と二次転写ユニット28の転写搬送ベルト28aとが所定のニップ幅で接触した二次転写ニップであるニップ部となっている。この二次転写ニップ部N2を上述した中間転写ベルト1上の4色重ね合わせトナー像が通過するとき、その通過にタイミングを合わせて二次転写ユニット28の転写搬送ベルト28aで搬送されてきた記録紙20に対して、中間転写ベルト1上の4色重ね合わせトナー像が一括して二次転写される。
記録紙20の両面に画像を形成する場合は、定着ユニット25を通過した記録紙20が両面ユニット17’に搬送され、両面ユニット17’で表裏反転された記録紙20が再度、二次転写ニップ部N2に搬送され、その記録紙20の裏面に中間転写ベルト1上の4色重ね合わせトナー像が一括して二次転写される。図2に示した構成の画像形成装置100’では、中間転写ベルト1の、ローラ11に巻き付いている部分に対向する位置である二次転写前の位置P3に、画像濃度検知センサ30が配置されている。
図3は、本発明を適用可能な画像形成装置の更に他の構成例を示す概略構成図である。
なお、図3において、図1の画像形成装置100と同様な部材や装置については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
図3に示す画像形成装置100’’は、4連タンデム型直接転写方式のフルカラー機であり、4組の作像ステーションの下方に、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに形成されたトナー像を記録紙20に転写する転写ユニット29を備えている。この転写ユニット29は、複数の支持部材としてのローラ11a〜11dで回転可能に支持された無端状の転写搬送ベルト29aを有している。転写搬送ベルト29aは駆動ローラ11aと従動ローラ11b〜11dとに掛け回され、所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転駆動しながら、記録紙20を担持して各作像ステーションの転写位置Nを通過するように搬送する。転写搬送ベルト29aの内側には、各転写位置Nにおいて転写電荷を付与して各感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上のトナー像を記録紙20に転写するための転写ローラ6Y,6M,6C,6Kが設けられている。
図3に示す画像形成装置100’’において、例えば4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択されたときは、各色の作像ステーションの感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kそれぞれに各色のトナー像を形成する画像形成工程が記録紙20の搬送に同期させて実行される。一方、給紙トレイ17から給送された記録紙20は、レジストローラ対24により所定のタイミングで送り出されて転写搬送ベルト29aに担持され、各作像ステーションの転写位置Nを通過するように搬送される。各色のトナー像が転写され4色重ね合わせのカラー画像が形成された記録紙20は、定着ユニット25でトナー像が定着された後、排紙トレイ26上に排出される。
図3に示した構成の画像形成装置100’’では、転写ユニット29の記録紙搬送方向最下流側で転写搬送ベルト29aのローラ11aに巻き付いている部分に対向する位置である定着前の位置P4に、画像濃度検知センサ30が配置されている。
なお、図1から図3のそれぞれに示した画像形成装置100,100’,100’’の構成例において、補正用トナーパターンは感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kまたは感光体ドラム2上で形成されて下流側のベルトである中間転写ベルト1又は転写搬送ベルト28a,29aに転写されるため、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのそれぞれまたは感光体ドラム2の表面に対向するように画像濃度検知センサ30を設置してもよい。この場合の画像濃度検知センサ30の設置位置は、現像ユニット5Y,5M,5C,5Kまたはリボルバ現像ユニット51による現像位置から中間転写ベルト1又は転写搬送ベルト28a,29aへの転写位置である一次転写ニップ部N1又は転写位置Nに至るまでの間となる。
次に、本実施形態における画像形成装置100における画像濃度ムラを低減するための画像形成条件設定情報の補正制御について説明する。
この補正制御は、形成する画像の高画質化を図るため、後述する補正用トナーパターンを形成し、形成された補正用トナーパターンの画像濃度を検出して、画像濃度ムラを低減するものである。なお、以下の説明では、図1に示した画像形成装置100に適用した場合について説明するが、図2や図3に示した画像形成装置100’,100’’やその他の構成を有する画像形成装置についても同様に適用できる。
図4は、画像濃度検知センサ30の設置状況の一例を示す部分斜視図である。
図4に示す例は、画像形成装置100における二次転写前の位置P1に画像濃度検知センサ30を設置した例を示している。この画像濃度検知センサ30は、センサ基板32に4つの光学センサであるセンサヘッド31を搭載した4ヘッドタイプの画像濃度検知センサ30である。そのため、図4の例は、中間転写ベルト回転方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)、言い換えると感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの軸方向に、4つのセンサヘッド31が並べて設置されている。
この構成であれば、主走査方向における4箇所のトナー付着量を同時に測定可能であって、各センサヘッド31を各色専用に用いることが可能である。なお、画像濃度検知センサ30におけるセンサヘッドの数は4個に限定されるものではなく、たとえば、1〜3個のセンサヘッドを備えた画像濃度検知センサ30の構成であってもよいし、5個品以上の画像濃度検知センサ30の構成であってもよい。
各センサヘッド31は、中間転写ベルト1の外周面との間に、検出距離として5mm程度の距離を設けて対向するように配設されている。本実施形態では、画像濃度検知センサ30を中間転写ベルト1近傍に設け、中間転写ベルト1上のトナー付着量に基づいて画像形成条件の設定情報を補正するとともに、中間転写ベルト1上のトナー付着位置に基づいて作像タイミングを決定するが、画像濃度検知センサ30は感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに対向するように配設されていても構わないし、中間転写ベルト1から画像を転写された記録紙20に対向するように、例えば図2に示した転写搬送ベルト28aに対向する位置に配設されていても良い。
画像濃度検知センサ30からの出力信号は、制御部37において付着量変換アルゴリズムによってトナー付着量に変換され、制御部37に備えられた不揮発性メモリまたは揮発性メモリに画像濃度として記憶される。この点で、制御部37は、画像濃度検知センサ30とともに、画像濃度検知手段を構成する。制御部37は、かかる画像濃度を所定のサンプリング間隔の時系列データとして記憶する。付着量変換アルゴリズムについては従来技術と同様であるため省略する。制御部37に備えられた不揮発性メモリまたは揮発性メモリには、そのほか、表面電位センサ19Y,19C,19M,19K等の各センサの出力データ、補正用データ、制御結果などに関する様々な情報が記憶される。
補正用トナーパターンは、図5(a)や図5(b)に示すように、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の各色について、画像濃度が高いシャドウ部となるように形成する。補正用トナーパターンの画像濃度が高濃度であるほど、画像濃度の変動を検出しやすいため、本実施形態では、補正用トナーパターンとしてベタ画像(最大画像濃度のトナー像)を用いている。なお、補正用トナーパターンは、本実施形態ではベタ画像であるが、画像濃度の変動が検出されるのであれば、これよりも濃度の低い画像であっても良い。
補正用トナーパターンは、いずれの色についても、中間転写ベルト1の回転方向(副走査方向)に長い帯パターンとなるように形成される。補正用トナーパターンの副走査方向長さは、画像濃度ムラの周期成分と同じ回転周期若しくは整数分の1の回転周期をもつ回転体(本実施形態では、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kあるいは現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaとする。)の少なくとも1周長分とされる。本実施形態においては、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの3周長分としている。
本実施形態においては、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kと現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaとの間の現像ギャップが周期的に変動することによる画像濃度ムラを抑制するために、補正制御を実行する。この点についてより詳しく説明すると、かかる現像ギャップの変動要因の1つとして、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転振れが挙げられ、この回転振れは、たとえば感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転中心位置の偏心などが挙げられる。よって、現像ギャップの変動に基づく画像濃度ムラには、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期(当該回転周期の整数分の1の回転周期を含む。以下同様。)をもつ画像濃度ムラ成分が含まれている。そして、この画像濃度ムラ成分を検出するには、補正用トナーパターンの副走査方向長さとして、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの少なくとも1周長分の長さを要する。
図5(a)に示す補正用トナーパターンの例は、各色のトナーパターンを、主走査方向の同位置に形成する例である。この位置は、主走査方向における画像濃度検知センサ30の検出領域、具体的にはセンサヘッド31の配設位置に一致する。なお、図5(a)の例では、補正用トナーパターンの主走査方向位置が中間転写ベルト1の中央部となっているが、これに限らず、例えば中間転写ベルト1の主走査方向端部付近であっても良い。一方、図5(b)に示す補正用トナーパターンの例は、各色のトナーパターンを、主走査方向の互いに異なる位置に形成する例である。この位置は、それぞれ、主走査方向における画像濃度検知センサ30の検出領域、具体的にはセンサヘッド31の配設位置に一致する。
図5(a)に示す例のような補正用トナーパターンを形成すると、各トナーパターンの画像濃度を検出するセンサヘッド31の数が1つで済むという利点がある。一方、図5(b)に示す例のような補正用トナーパターンを形成すると、各色のトナーパターンを並行して検出することが可能となり、全色の補正用トナーパターンの画像濃度検出を完了するまでの時間が短くて済むという利点がある。
なお、画像濃度検知センサ30は、すでに述べたように、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのそれぞれに対して設け、感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上に形成された画像の濃度を検出するようにしても良く、このようにすれば、中間転写ベルト1の走行変動による影響が回避される。また、画像濃度検知センサ30は、すでに述べたように、中間転写ベルト1から画像を転写された記録紙20に対向するように設け、記録紙20上に形成された画像の濃度を検出するようにしても良く、このようにすれば、記録紙20の走行変動による影響が回避される。
補正用トナーパターンを形成するときの画像形成条件、具体的には、例えば帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kにおける帯電条件、光書込ユニット4Y,4M,4C,4Kにおける露光条件(書き込み条件)、現像ユニット5Y,5M,5C,5Kにおける現像条件、一次転写ローラ6Y,6C,6M,6Kにおける転写条件等は、一定に維持される。ここでの帯電条件としては帯電バイアスが挙げられ、書き込み条件としては書込光の強度が挙げられ、現像条件としては現像バイアスが挙げられ、転写条件としては転写バイアスが挙げられる。なお、帯電チャージャ3Y,3C,3M,3K、光書込ユニット4Y,4M,4C,4K、現像ユニット5Y,5M,5C,5K、一次転写ローラ6Y,6C,6M,6K等は、補正用トナーパターンを作成するにあたって、通常の画像形成動作時と同様、現像、帯電、露光等の一連の作像プロセスを担う。
現像ギャップの変動及びその他の画像濃度ムラ発生要因(感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度ムラ等)がなければ、画像形成条件を一定に維持してベタ画像からなる補正用トナーパターンを形成すると、その画像濃度は副走査方向において均一であり、画像濃度ムラは生じない。しかしながら、画像形成条件を一定に維持してベタ画像からなる補正用トナーパターンを形成しても、現像ギャップの変動等の画像濃度ムラ発生要因により、画像濃度ムラが生じる。この画像濃度ムラは、画像濃度検知センサ30によって、副走査方向に長いベタ画像の帯状パターンである補正用トナーパターンの画像濃度を連続的に検出することによって取得することができる。具体的には、画像濃度検知センサ30の出力信号は、所定のサンプリング間隔で、制御部37に時系列データとして入力されることで、制御部37は、各フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kからの回転位置検出信号に基づき、各感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジションを基準とした時系列の画像濃度として記憶する。
図6は、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kから出力される回転位置検出信号と、画像濃度検知センサ30によるトナー付着量検出信号(感光体ドラム回転周期成分)と、これらの信号をもとに作成される補正テーブル(補正情報)との関係の例を示すグラフである。なお、図6には、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの2周分の信号を示している。
図6において、補正用トナーパターンの画像濃度ムラは、トナー付着量検出信号のセンサ出力値の変動として示される。図6に示されているように、トナー付着量検出信号は、回転位置検出信号の周期と同じ周期で変動している。本実施形態においては、この画像濃度ムラと逆位相となる画像濃度ムラを生じさせるように、現像ユニット5Y,5M,5C,5Kや帯電チャージャ3Y,3C,3M,3Kの画像形成条件の設定情報を補正することで、当該画像濃度ムラをキャンセルするような補正テーブルを生成する。
ここで、画像形成条件設定情報である現像バイアス、露光パワー、帯電バイアス等は、符号がマイナスである場合や、その絶対値が大きくなると付着量が減る場合があるため、逆位相と表現するのが適切でない場合があるが、トナー付着量検出信号が示す画像濃度ムラを打ち消す方向の補正テーブルを生成する、つまりトナー付着量検出信号が示す画像濃度ムラとは逆位相の画像濃度ムラを作り出す補正テーブルを生成するという意味で、ここでは逆位相と表現している。
この補正テーブルを決定する際のゲイン、すなわちトナー付着量検出信号の変動量[V]に対して補正テーブルの変動量をどの程度にするかについては、原理的には理論値から求められるが、実機搭載に際しては、理論値をもとに実機検証して、最終的には実験データから決定するのが好ましい。このようにして決められるゲインを用いて、トナー付着量検出信号から、その逆位相の画像濃度ムラを生じさせるような補正テーブルを生成する際、その補正テーブルは、例えば図6に示すタイミングとなるように、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kから出力される回転位置検出信号を基準にして生成される。図6に示されている例では、補正テーブルの先頭が、ホームポジション検出タイミング(回転位置検出信号の立ち上がりタイミング)となるように生成される。
このような補正テーブルを生成する際、例えば補正テーブルが現像バイアスを補正する現像バイアス補正テーブルであるとすると、現像領域から画像濃度検知センサ30までの間の補正用トナーパターン移動時間を考慮することが必要となる。かかる移動時間が、感光体ドラム回転周期のちょうど整数倍であれば、補正テーブルの先頭を回転位置検出信号のタイミングに合わせればよい。かかる移動時間が感光体ドラム回転周期の整数倍からずれている場合は、ずれの時間分だけタイミングをずらして補正テーブルを生成すればよい。同様に、露光パワーの補正テーブルであれば、露光位置から画像濃度検知センサ30までのトナーパターン移動時間を考慮して補正テーブルを適用することになる。同様に、帯電バイアスの補正テーブルであれば、帯電位置から画像濃度検知センサ30までのトナーパターン移動時間を考慮して補正テーブルを適用することになる。実際には、高圧電源の出力応答性の遅延や、部品精度のばらつき、組み付け精度のばらつき等によるレイアウト距離の誤差によって位相ずれが生じる場合がある。そのため、理論値をもとに実機検証して、最終的には実験データからこれらの位相ずれ分を調整して、補正テーブルを生成するのが好ましい。
補正用トナーパターンの形成開始タイミングは、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジションがフォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kによって検出されるタイミングに基づいて決定される。図6に示されている例では、補正用トナーパターンの先端位置がホームポジション検出タイミング(回転位置検出信号の立ち上がりタイミング)で画像濃度検知センサ30に検出されるように、ホームポジション検出タイミングに同期して補正用トナーパターンの形成が行われるようになっている。
このタイミングでの補正用トナーパターンの形成を可能とするため、図7に示すように、制御部37には、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kからの回転位置検出信号が入力されるようになっている。制御部37は、入力された回転位置検出信号からホームポジション検出タイミングを取得し、このタイミングに同期して、画像形成手段を制御し、補正用トナーパターンを作像する。
また、図7に示されているように、制御部37には、画像濃度検知センサ30からの出力信号(トナー付着量検出信号)が入力される。補正テーブルを生成する際、制御部37は、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kからの回転位置検出信号からホームポジション検出タイミングを取得し、このタイミングに同期して、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号のサンプリングを開始し、補正テーブルを作成する。
図8は、制御部37に入力される感光体ドラムの回転位置検出信号と、画像濃度検知センサ30の出力信号(トナー付着量検出信号)との関係を示すタイミングチャートである。
本実施形態では、図6に示した逆位相の関係が得られるように、補正用トナーパターンの先端位置がホームポジション検出タイミング(回転位置検出信号の立ち上がりタイミング)で画像濃度検知センサ30に検出されるように、ホームポジション検出タイミングに同期して補正用トナーパターンの露光開始位置を決定している。本実施形態では、補正用トナーパターンの先端位置から、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号のサンプリングが開始されるが、補正用トナーパターンの先頭付近のトナー付着量は不安定になりやすい。そのため、補正用トナーパターンの先端位置ではなく、トナー付着量が安定する程度に後端側へずれた位置から、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号のサンプリングが開始されるように、光書込ユニット4Y,4M,4C,4Kによる補正用トナーパターンの露光開始位置を決めても構わない。
このような補正用トナーパターンの露光開始位置を決定するにあたっては、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kによって検出される感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジション検出タイミングと、光書込ユニット4Y,4M,4C,4Kによる露光位置から画像濃度検知センサ30の検出位置まで補正用トナーパターンが移動する時間とに関するデータが必要である。これらのデータは、制御部37に備えられた不揮発性メモリまたは揮発性メモリに記憶されており、これらのデータに応じて、補正用トナーパターンの露光開始位置を決定する。なお、光書込ユニット4Y,4M,4C,4Kによる露光位置から画像濃度検知センサ30の検出位置まで補正用トナーパターンが移動する時間は、光書込ユニット4Y,4M,4C,4Kによる露光位置から画像濃度検知センサ30の検出位置までのレイアウト距離と、プロセス線速とから算出できる。
補正用トナーパターンの後端位置も、上述のように決定される先端位置と同様にして決定しても良い。また、かかる先端位置が任意に決定される場合であっても、かかる後端位置を上述のデータに応じて決定しても良い。このような、かかる先端位置および/または後端位置の、上述のデータに応じた決定は、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kによる感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジションの検出からの経過時間に基づいて行っても良い。この場合にも、かかる先端位置および/または後端位置の決定は、実質的に上述のデータに応じて行われることとなる。またこの場合、補正用トナーパターンの書き出しは任意に行い、露光終了位置を感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周長の整数倍となるように決定しても良い。かかる経過時間は、たとえば制御部37のCPUによって計測することが可能である。この計測を行うとき、制御部37は、かかる経過時間を計測する経過時間計測手段として機能する。
このような補正用トナーパターンの形成タイミングを制御することで、不必要に長い補正用トナーパターンを形成する必要がなくなり、トナーイールドや制御時間の低減を図ることができる。なお、補正用トナーパターンが画像濃度検知センサ30の検出位置まで移動する時間は色ごとに異なるので、各色の作像ステーションごとに、補正用トナーパターンの露光開始位置等は適宜調整されるが、図5(b)に示したように、副走査方向における各色の補正用トナーパターンの形成位置が互いに異なってもよい。
以上の説明は、現像ギャップを形成する回転体である感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kと現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaとのうち、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転振れによって、現像ギャップが変動する場合を例に挙げたが、現像ギャップの変動は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転振れによっても生じる。そのため、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kとともにあるいはこれに代えて、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの場合と同様に、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの基準回転位置(ホームポジション)を基準回転位置検知手段で検出し、そのホームポジションに同期させて、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもつ画像濃度ムラ成分を低減させる補正テーブルを生成してもよい。
図9は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジションを検知する基準回転位置検知手段としてのフォトインタラプタ71を備えた現像回転位置検出装置70を示す模式図である。
この現像回転位置検出装置70は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのそれぞれに対して別個に設けられているが、互いに同構成であって、同図に示す構成となっている。また、同図に示されているように、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaはそれぞれ、その回転中心軸をなす軸76が、カップリング77を介して駆動モータ78の出力軸である軸79に接続されており、駆動モータ78の駆動によって回転駆動されるようになっている。
回転位置検出装置70は、フォトインタラプタ71の他に、軸79と一体に設けられ軸79の回転に伴って回転移動する遮光部材72を有している。遮光部材72は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転に従い、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaが所定の回転位置を占めたときにフォトインタラプタ71によって検出される。これにより、フォトインタラプタ71は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの基準回転位置(ホームポジション)を検出するようになっている。
図9に示した例では、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの駆動に関し、駆動モータ直結のダイレクトドライブ方式を用いているが、駆動モータ78からの動力伝達の間に減速機構が入っていても良い。但し、減速機構を採用する場合、遮光部材72は現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaと同じ回転数になるよう、軸76上に設置しておくことが望ましい。このことは、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの基準回転位置(ホームポジション)を検出する場合についても同様である。
図10は、フォトインタラプタ71の出力信号の一例を示すグラフである。
現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaと一体的に回転する遮光部材72がフォトインタラプタ71の光路を遮っているときに出力がほぼ0Vまで低下していることが分かる。このエッジを利用することで、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジションを検出することができる。現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもった画像濃度ムラ成分を低減させる補正テーブルを生成する場合、制御部37は、フォトインタラプタ71からの出力信号(現像ローラ回転位置検出信号)に基づき、上述した補正用トナーパターンのトナー付着量検出信号を現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジションに同期してサンプリングする。
図11は、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号に基づくトナー付着量の変動と、フォトインタラプタ71の出力信号(現像ローラ回転位置検出信号)との関係の一例を示すグラフである。
なお、このグラフは、横軸に時間をとり、縦軸に、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号を上述した付着量変換アルゴリズムでトナー付着量に換算した結果(トナー付着量[mg/cm2×1000])をとったものである。図11に示すように、補正用トナーパターンを画像濃度検知センサ30で検出したトナー付着量検出信号には、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期に対応した周期的な変動が発生していることがわかる。
画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号には、図11に示すように、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期成分のほかにも、例えば感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期成分も含まれている。そのため、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもった画像濃度ムラを低減するための補正テーブルを生成するために、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から、現像ローラの回転周期成分を抽出する処理が必要である。なお、上述した説明では省略したが、感光体ドラムの回転周期をもった画像濃度ムラを低減するための補正テーブルを生成する場合にも、画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から、感光体ドラムの回転周期成分を抽出する処理が必要である。
画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から現像ローラの回転周期成分を抽出する処理方法としては、例えば、フォトインタラプタ71の出力信号に含まれるホームポジション検出タイミングでトナー付着量検出信号を区分けし、区分けされた各信号区分を平均化処理して現像ローラの回転周期成分を抽出する方法が挙げられる。
図12は、フォトインタラプタ71の出力信号に含まれるホームポジション検出タイミングでトナー付着量検出信号を区分けして得られる複数の信号区分を重ねて示したグラフである。
本実施形態では、上述した補正用トナーパターン(感光体ドラムの3周長分)から、10個の信号区分N1〜N10が得られる。図中太線で示す波形は、これらの信号区分を平均化処理した結果を示すものである。本実施形態では、10個の信号区分N1〜N10の単純平均処理を施しているが、現像ローラの回転周期成分が抽出できれば、他の処理を施してもよい。
このような信号処理によって、補正用トナーパターンを検出する画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号から、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期成分と現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期成分とを独立して取得することができる。これらの回転周期成分を同じ補正用トナーパターンから取得する場合、その補正用トナーパターンの長さや形成位置等は、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周長と現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの周長のうち、周長が長い方の周長、回転位置、レイアウト距離、プロセス線速に基づいて設定される。本実施形態では、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの周長の方が長い例である。
一方、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期をもった画像濃度ムラを補正せず、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期をもった画像濃度ムラを補正する場合には、補正用トナーパターンの長さや形成位置等は、現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの周長、回転位置、レイアウト距離、プロセス線速に基づいて設定される。ここでのレイアウト距離は、現像領域と、画像濃度検知センサ30による補正用トナーパターンの検出位置との間の区間の副走査方向に沿った方向における距離を意味する。
また、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの回転周期成分と現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaの回転周期成分の両方を同じ補正用トナーパターンから取得する場合、補正用トナーパターンの形成タイミングは、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kによって検出される感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kのホームポジション検出タイミングと、フォトインタラプタ71によって検出される現像ローラ5Ya,5Ca,5Ma,5Kaのホームポジション検出タイミングのいずれか一方に基づいて決定される。したがって、補正用トナーパターンの形成タイミングを決定するという点においては、いずれかのホームポジションを検出できればよく、そのためには、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kとフォトインタラプタ71のいずれかが設けられれば良い。
図7に示す制御部37は、不揮発性メモリおよび/または揮発性メモリに、以上述べた制御や処理を実行するための画像形成条件補正プログラムが記憶されている。かかる画像形成条件補正プログラムは、制御部37に備えられた不揮発性メモリおよび/または揮発性メモリのみならず、半導体媒体(たとえば、RAM、不揮発性メモリ等)、光媒体(たとえば、DVD、MO、MD、CD−R等)、磁気媒体(たとえば、ハードディスク、磁気テープ、フレキシブルディスク等)その他の記憶媒体に記憶可能であり、かかるメモリ、他の記憶媒体は、かかる画像形成条件補正プログラムを記憶した場合に、かかる画像形成条件補正プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を構成する。
ここで、現像ギャップの変動と現像電界の関係について説明する。
図13は、感光体ドラムの回転振れによる現像ギャップの変動を示す説明図である。
同図は、感光体ドラムが偏心等により、現像ローラとの現像ギャップが最大値d1をとる感光体ドラムの回転位置1(実線)と、現像ローラとのギャップが最小値d2をとる感光体ドラムの回転位置2(破線)との間で、感光体ドラムの回転振れが生じる場合を図示したものである。印加される現像バイアスにより現像ローラの表面電位Vが一定であるとすると、感光体ドラムの回転位置が位置1であるときに現像電界Eは最小値をとる。このとき、画像濃度は相対的に薄くなる。一方、感光体ドラムの回転位置が位置2であるときに現像電界Eは最大値をとり、このときの画像濃度は相対的に濃くなる。
感光体ドラムは一定周期で回転しているため、感光体ドラムの回転周期で、画像濃度が相対的に薄くなるように現像されるトナー像部分と、相対的に濃くなるように現像されるトナー像部分とが繰り返し発生し、画像上に画像濃度ムラが生じる。本実施形態では、一例として、このような現像ギャップの変動が発生する場合でも、現像電界が一定になるように、画像濃度ムラの検出結果(補正用トナーパターンについてのトナー付着量検出信号)に応じて現像バイアスを変調制御し、画像濃度ムラが低減するように制御する。なお、現像ローラの回転振れについても、感光体ドラムの回転振れの場合と同様である。
また、画像濃度ムラは、現像ギャップの変動のみならず、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度ムラによっても発生する。環境変動、経時劣化等の要因によって、露光に対する感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度(感光特性)に副走査方向のばらつきが発生すると、同じ露光量で露光しても、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの露光後の電位である明電位(潜像部電位)に差が出るため、潜像部電位と現像ローラ表面との電位差に違いが出てくる。その結果、同じ露光量で露光された潜像部電位であってもトナー付着量に違いが出て、感光体ドラムの回転周期をもった画像濃度ムラを生じさせる。なお、感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度ムラに関して、感度ムラを小さくするために高精度な製法を用いて感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kを製造すると、コストアップとなるため、これは極力避けることが望ましい。
〔補正方法1〕
次に、感光体の回転振れに起因した画像濃度ムラを低減するために、画像形成条件としての現像バイアスを補正する場合の補正方法の一例(以下「補正方法1」という。)について説明する。
図14は、本補正方法1における制御流れを示すフローチャートである。
本補正方法1においては、まず、画像濃度ムラを低減させるための補正が必要であるか否かを判断する(S1)。この判断は、例えば、感光体ドラムを交換した場合、何らかの理由で感光体ドラムの回転位置がずれた場合などに、補正が必要であると判断される。補正が必要であると判断された場合、補正用トナーパターンを作成して、その画像濃度を画像濃度検知センサ30によって検出する(S2)。これにより得られる画像濃度検知センサ30の出力信号(トナー付着量検出信号)は、制御部37に入力される。制御部37では、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kのホームポジション検出タイミングでトナー付着量検出信号を感光体ドラムの回転周期で区分けし、各信号区分について平均化処理して、トナー付着量検出信号から感光体ドラムの回転周期成分をもった画像濃度ムラ成分を抽出する(S3)。
このように抽出した感光体ドラム一回転周期分の画像濃度ムラ成分のデータは、時系列でメモリ(画像濃度ムラデータ記憶手段)に保存される。そして、この画像濃度ムラ成分の時系列データに基づき、その画像濃度ムラ成分を打ち消すように現像バイアスの設定値(画像形成条件設定情報)を補正する(S4)。具体的には、制御部37は、以後の画像形成動作時に、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングに同期して、画像濃度ムラデータ記憶手段から画像濃度ムラ成分の時系列データを順次読み出し、読み出した画像濃度ムラ成分データを打ち消すように現像バイアスの設定値を補正する現像バイアス補正値を順次算出して、その現像バイアス補正値で補正した現像バイアスを現像ローラへ順次印加するという補正制御を実行する。これにより、感光体の回転振れによる感光体ドラムと現像ローラとの間の現像電界変動分がキャンセルされ、画像濃度ムラを低減することができる。
図15(a)は、本補正方法1における制御を実現する一構成例を示すブロック図である。
制御部37を構成するCPUは、画像形成制御を実行する際、画像濃度ムラデータ記憶手段の画像濃度ムラデータを時系列順に順次読み出し、現像バイアスの設定値を補正するための補正データに順次変換する処理を行う。この変換処理は、感光体ドラム回転位置検出信号から得られる感光体ドラムのホームポジション検出タイミングに同期して行われ、補正後の現像バイアス設定値は、順次、D/A変換器によってアナログ信号に変換されて、現像バイアス高圧電源に入力される。現像バイアス高圧電源は、入力される現像バイアス設定値に従った電圧を現像ローラへ出力する結果、感光体の回転振れによる感光体ドラムと現像ローラとの間の現像電界変動分がキャンセルされ、画像濃度ムラを低減することができる。
現像バイアス高圧電源をPWM制御する場合、図15(b)に示すように、CPUは、補正データからPWM制御信号を生成し、感光体ドラム回転位置検出信号から得られる感光体ドラムのホームポジション検出タイミングに同期して、そのPWM制御信号を現像バイアス高圧電源へ出力する。この場合も、感光体の回転振れによる感光体ドラムと現像ローラとの間の現像電界変動分がキャンセルされ、画像濃度ムラを低減することができる。
〔補正方法2〕
次に、感光体ドラム及び現像ローラの回転振れに起因した画像濃度ムラを低減するために、画像形成条件としての現像バイアスを補正する場合の補正方法の他の例(以下「補正方法2」という。)について説明する。
図16は、本補正方法2における制御を実現する一構成例を示すブロック図である。
本補正方法2においては、まず、感光体ドラムと現像ローラの回転周期成分を含む画像濃度ムラのデータを、補正用トナーパターンを画像濃度検知センサ30により検出した結果(トナー付着量検出信号)から取得する(画像濃度ムラ検出手段)。本補正方法2において、画像濃度ムラ検出手段は、感光体ドラム及び現像ローラの基準回転位置(ホームポジション)を検出する基準回転位置検知手段と、補正用トナーパターンの画像濃度を検知する画像濃度検知手段(画像濃度検知センサ30)と、画像濃度検知手段で検出した画像濃度を時系列で並べた画像濃度ムラデータを記憶する画像濃度ムラデータ記憶手段とから構成される。
また、このようにして得られる画像濃度ムラデータから、感光体ドラム回転周期成分をもった画像濃度ムラ成分と、現像ローラ回転周期成分をもった画像濃度ムラ成分とを抽出する(画像濃度ムラ情報取得手段)。本補正方法2において、画像濃度ムラ情報取得手段は、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶されている画像濃度ムラデータから、感光体ドラム及び現像ローラのそれぞれの回転周期成分をもった画像濃度ムラ成分を抽出する手段と、抽出した各画像濃度ムラ成分を記憶する画像濃度ムラデータ記憶手段とから構成される。
画像形成動作制御手段は、大きく分けて、現像バイアス用の補正テーブルを作成する補正情報生成手段と、現像バイアスを制御する手段とから構成される。補正情報生成手段は、画像濃度ムラ情報取得手段によって抽出された各画像濃度ムラ成分をもとに、現像バイアスを補正する補正テーブルを作成する補正テーブル作成手段と、作成した補正テーブルを記憶する補正テーブル記憶手段とから構成される。現像バイアスを制御する手段は、補正テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルのデータをもとに出力する電圧をD/A変換する手段と、現像バイアスを出力する高圧電源とから構成される。高圧電源の出力をPWM制御信号によって制御する場合、現像バイアスを制御する手段は、記憶した補正テーブルデータをもとに出力する電圧を制御するためのPWM制御信号を生成する手段と、現像バイアスを出力する高圧電源とから構成される。
CPUは、現像バイアス出力(D/A変換出力またはPWM制御信号出力)、濃度センサ検出信号入力(A/D変換)、回転体(感光体、現像ローラ)の回転位置検出信号入力、補正テーブル演算処理、記憶手段であるメモリへのリード/ライト、補正回数カウント、タイマによる時間計測、温湿度センサ検出信号入力(A/D変換)等の制御を実行している。
図17は、本補正方法2における制御流れを示すフローチャートである。
まず、一般的な画質調整制御(プロセスコントロール)により決定された画像形成条件に従ってベタ画像の補正用トナーパターンを作成し、これを画像濃度検知センサ30で検出して画像濃度ムラデータを取得し、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶する(S11)。その後、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶された画像濃度ムラデータから、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングを基準にして、感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分を抽出する(S12)。
図18(a)は、感光体ドラム数周分の画像濃度ムラデータの計測結果の一例を示すグラフである。図18(b)は、感光体ドラム回転周期をもつ画像濃度ムラの一例を示すグラフである。図18(c)は、現像ローラ回転周期をもつ画像濃度ムラの一例を示すグラフである。図18(a)に示す画像濃度ムラは、図18(b)に示す感光体ドラム回転周期をもつ画像濃度ムラと現像ローラ回転周期をもつ画像濃度ムラとの合成波に近い波形を示す。
図19(a)は、図18(b)に示す感光体ドラム回転周期をもつ画像濃度ムラを周波数解析して、感光体ドラム回転周波数のn次成分(n=1〜6)の正弦波に分解したグラフを示すものである。図19(b)は、図18(c)に示す現像ローラ回転周期をもつ画像濃度ムラを周波数解析して、現像ローラ回転周波数のn次成分(n=1〜6)の正弦波に分解したグラフを示すものである。
図20(a)は、図18(a)に示す画像濃度ムラデータの計測結果を感光体ドラム回転周期で周波数分析して得られるグラフである。図20(b)は、図18(a)に示す画像濃度ムラデータの計測結果を現像ローラ回転周期で周波数分析して得られるグラフである。図20(c)は、図20(a)に示す感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分と図20(b)に示す現像ローラ回転周期の画像濃度ムラ成分とを重ね合わせたグラフである。
図20(c)に示すように、感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分と現像ローラ回転周期の画像濃度ムラ成分とは互いに周波数成分が重複しないため、これらの成分を切り分けて抽出することができる。
感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分を抽出する方法としては、例えば、補正用トナーパターンから取得した画像濃度ムラデータについてFFT(高速フーリエ変換)あるいは直交検波等の演算処理を行って、感光体ドラム回転周波数のn次成分の振幅と位相を求め、感光体ドラム回転周期のn次成分の合成波形から、感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分を抽出する方法が挙げられる。なお、ここでいう「n」は、感光体ドラムの回転周期の周波数解析する次数である。
このようにして感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分を抽出したら、その画像濃度ムラ成分のうち、1からk倍成分(kは、1〜k次成分(k≦n)で作成する補正テーブルの次数)の画像濃度ムラ成分の合成波形から、現像バイアス用の補正テーブルを作成する(S13)。これにより感光体ドラムの一回転周期分の現像バイアス用補正テーブルが作成され、これが補正テーブル記憶手段に格納される(S14)。
次に、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶された画像濃度ムラデータから、現像ローラのホームポジション検出タイミングを基準にして、現像ローラ回転周期の現像ローラ回転周波数のn次成分の画像濃度ムラ成分を抽出する(S15)。そして、抽出した現像ローラ回転周期の画像濃度ムラ成分のうち、1からk倍成分の画像濃度ムラ成分の合成波形から、現像バイアス用の補正テーブルを作成する(S16)。これにより現像ローラの一回転周期分の現像バイアス用補正テーブルが作成され、これが補正テーブル記憶手段に格納される(S17)。
なお、本補正方法2においては、感光体ドラム回転周期と現像ローラ回転周期の両方の画像濃度ムラ成分を取り除くために、両方の回転周期成分についての補正制御を行うが、それらの回転周期成分の画像濃度ムラ発生レベルや、市場の要求レベルに応じて、どちらか一方の補正制御のみでもよい。
また、本補正方法2においては、現像バイアスについて補正制御を行うが、帯電バイアスや書き込み露光量で制御を行っても構わない。
感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分のデータを用いて補正後の現像バイアスを求める演算式の一例を、下記の式(1)に示す。
Vb = Vbofs+{A1×sin(θ+φ1)+A2×sin(2θ+φ2)
+ ・・・ +An×sin(nθ+φn)} ・・・(1)
Vb:補正後の現像バイアスの設定値
Vbofs:画質調整制御により決定された基準の現像バイアス(オフセット)
An:n次成分の振幅
φn:n次成分の位相
θ:感光体ドラムの回転位置
感光体ドラム回転周波数のn次成分の正弦波に分解した各振幅Anは、高圧電源等の周波数特性により、各次数で減衰特性が異なるため、その分を補正して制御する必要がある。そこで、下記の式(2)に示すように、振幅制御ゲインGnを乗算した振幅制御を行うようにしてもよい。
Vb = Vbofs+{G1×A1×sin(θ+φ1)
+ G2×A2×sin(2θ+φ2)
+ ・・・ + Gn×An×sin(nθ+φn)} ・・・(2)
Gn:n次成分の振幅制御ゲイン
更に、補正成分全体の振幅を補正するために、下記の式(3)に示すように、現像バイアスゲインGbを乗算した振幅制御を行うようにしてもよい。
Vb = Vbofs+Gb×{G1×A1×sin(θ+φ1)
+ G2×A2×sin(2θ+φ2)
+ ・・・ + Gn×An×sin(nθ+φn)} ・・・(3)
Gb:現像バイアスゲイン
ここで、前記式(3)に示すように、感光体ドラム回転周波数のn次成分の正弦波に分解した各振幅および制御補正分全体にこの減衰分を補正するゲインを乗算して補正テーブルを算出することにより、最適な補正条件により現像バイアスを変調制御して画像濃度ムラを補正することができる。
〔補正方法3〕
次に、感光体ドラムの回転振れに起因した画像濃度ムラを低減するために、画像形成条件としての現像バイアス及び帯電バイアスを補正する場合の補正方法の一例(以下「補正方法3」という。)について説明する。
なお、本補正方法3では、説明を簡略化するために感光体ドラムの回転振れに起因した画像濃度ムラを低減する場合について説明するが、感光体ドラム及び現像ローラの両方の回転振れに起因した画像濃度ムラを低減する場合についても同様である。
図21は、本補正方法3における制御を実現する一構成例を示すブロック図である。
本補正方法3においては、まず、感光体ドラムの回転周期成分を含む画像濃度ムラのデータを、補正用トナーパターンを画像濃度検知センサ30により検出した結果(トナー付着量検出信号)から取得する(画像濃度ムラ検出手段)。本補正方法3において、画像濃度ムラ検出手段は、感光体ドラムの基準回転位置(ホームポジション)を検出する基準回転位置検知手段と、補正用トナーパターンの画像濃度を検知する画像濃度検知手段(画像濃度検知センサ30)と、画像濃度検知手段で検出した画像濃度を時系列で並べた画像濃度ムラデータを記憶する画像濃度ムラデータ記憶手段とから構成される。
また、このようにして得られる画像濃度ムラデータから、感光体ドラム回転周期成分をもった画像濃度ムラ成分を抽出する(画像濃度ムラ情報取得手段)。本補正方法3において、画像濃度ムラ情報取得手段は、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶されている画像濃度ムラデータから、感光体ドラムの回転周期成分をもった画像濃度ムラ成分を抽出する手段と、抽出した画像濃度ムラ成分を記憶する画像濃度ムラデータ記憶手段とから構成される。
画像形成動作制御手段は、大きく分けて、現像バイアス用及び帯電バイアス用の補正テーブルをそれぞれ作成する補正情報生成手段と、現像バイアス及び帯電バイアスを制御する手段とから構成される。補正情報生成手段は、画像濃度ムラ情報取得手段によって抽出された画像濃度ムラ成分をもとに、現像バイアス及び帯電バイアスをそれぞれ補正する補正テーブルを作成する補正テーブル作成手段と、作成した補正テーブルを記憶する補正テーブル記憶手段とから構成される。現像バイアス及び帯電バイアスを制御する手段は、補正テーブル記憶手段に記憶された補正テーブルのデータをもとに出力する電圧をD/A変換する手段と、現像バイアス及び帯電バイアスを出力する高圧電源とから構成される。高圧電源の出力をPWM制御信号によって制御する場合、現像バイアス及び帯電バイアスを制御する手段は、記憶した補正テーブルデータをもとに出力する電圧を制御するためのPWM制御信号を生成する手段と、現像バイアス及び帯電バイアスを出力する高圧電源とから構成される。
CPUは、現像、帯電バイアス出力(D/A変換出力またはPWM制御信号出力)、濃度センサ検出信号入力(A/D変換)、回転体(感光体ドラム)の回転位置検出信号入力、補正テーブル演算処理、記憶手段であるメモリへのリード/ライト、補正回数カウント、タイマによる時間計測、温湿度センサ検出信号入力(A/D変換)等の制御を実行している。
図22は、本補正方法3における制御流れを示すフローチャートである。
まず、一般的な画質調整制御(プロセスコントロール)により決定された画像形成条件に従ってベタ画像の補正用トナーパターンを作成し、これを画像濃度検知センサ30で検出して第1画像濃度ムラデータを取得し、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶する(S21)。その後、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶された第1画像濃度ムラデータから、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングを基準にして、感光体ドラム回転周期の第1画像濃度ムラ成分を抽出する(S22)。なお、感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分を抽出する方法は、上述した補正方法2と同様の方法を用いることができる。
このようにして感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分を抽出したら、その画像濃度ムラ成分のうち、1からk倍成分(kは、1〜k次成分(k≦n)で作成する補正テーブルの次数)の画像濃度ムラ成分の合成波形から、現像バイアス用の第1補正テーブルを作成し、補正テーブル記憶手段に格納する(S23)。
次に、今度は、補正後の現像バイアスと非補正の帯電バイアスとを用いてハーフトーン画像の補正用トナーパターンを作成する。そして、これを画像濃度検知センサ30で検出して第2画像濃度ムラデータを取得し、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶する(S24)。その後、画像濃度ムラデータ記憶手段に記憶された第2画像濃度ムラデータから、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングを基準にして、感光体ドラム回転周期の第2画像濃度ムラ成分を抽出する(S25)。
このようにして感光体ドラム回転周期の画像濃度ムラ成分を抽出したら、その画像濃度ムラ成分のうち、1からk倍成分(kは、1〜k次成分(k≦n)で作成する補正テーブルの次数)の画像濃度ムラ成分の合成波形から、帯電バイアス用の第2補正テーブルを作成し、補正テーブル記憶手段に格納する(S26)。
図23(a)は、感光体ドラム回転周期で発生している画像濃度ムラデータの一例を示す説明図である。図23(b)は、本補正方法3により作成した第1補正テーブル及び第2補正テーブルにより補正された現像バイアス及び帯電バイアスの波形を示す説明図である。
本補正方法3においては、第1の画像形成条件である現像バイアスを補正して一次的に画像濃度ムラを抑制した後、残留する画像濃度ムラを第2の画像形成条件である帯電バイアスの補正により抑制している。なお、第1の画像形成条件及び第2の画像形成条件は、これに限らず、画像濃度ムラを調整できるものであればよい。
ただし、帯電条件によって制御される地肌ポテンシャルが支配的な画像濃度領域が中間調やハイライト部であること、および、これに加えて、現像条件等によって制御される画像濃度領域は高濃度領域であって補正用トナーパターンが高濃度で形成されるが、これよりも低濃度の領域についても画像濃度ムラを制御する必要があること、という理由により、第2の画像形成条件は、当該補正用トナーパターンよりも低濃度の画像濃度ムラの補正に適した帯電バイアスであるのが好ましい。なお、画像濃度に応じた感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kの感度変化による感度ムラについての補正を考慮しなければ、第1の画像形成条件によって画像濃度ムラを補正する画像濃度領域と、第2の画像形成条件によって画像濃度ムラを補正する画像濃度領域との関係は、前者の方が低濃度領域であっても良い。
画像濃度ムラは、より高濃度領域において認識され易いため、高濃度領域の画像濃度ムラを補正するのに適した画像形成条件を先に決定する第1の画像形成条件とし、低濃度領域の画像濃度ムラを補正するのに適した画像形成条件を後の第2の画像形成条件として、残留する高濃度領域の画像濃度ムラについても第2の画像形成条件で二次的に補正するのがよい。
第1の画像形成条件(本補正方法3では現像バイアス)を補正したことによる中間調やハイライト部の画像への影響は、理論上推測することが可能である。第1の画像形成条件(本補正方法3では現像バイアス)の補正による、中間調やハイライト部の画像への影響量、およびこれに対応して調整すべき第2の画像形成条件の調整量も、実測に基づいたゲイン調整を用いた計算によって求めることが可能である。
次に、本発明の特徴部分に関わる補正テーブルの更新処理について説明する。
上述した補正方法1や2により補正テーブルを用いて現像バイアス及び帯電バイアスを制御することにより画像濃度ムラを低減する場合でも、何らかの原因で、ホームポジション基準に対して画像濃度ムラの周期がズレる位相ズレが生じることがある。この場合、適切な補正テーブルを用いていても画像濃度ムラを適切に低減できなくなり、場合によっては、かえって画像濃度ムラが大きくなることもある。
このような不具合は、上述した補正テーブルを生成する補正テーブル生成処理(補正情報生成処理)を再度実行して補正テーブルを更新すれば、解消することができる。しかしながら、補正テーブル生成処理の際には、感光体ドラム周長以上の連続した長い補正用トナーパターンを形成することになり、また、その補正テーブル生成処理の実行中は画像形成動作が実行できないダウンタイムを生じさせる。そのため、図24(b)に示すように補正テーブル生成処理の実行間隔を短くすると、ダウンタイムの増大、トナー消費量の増大などの弊害を招く。一方で、図24(a)に示すように補正テーブル生成処理の実行間隔が長いと、何らかの原因で位相ズレが生じてから補正テーブルが更新されるまでの長い期間、上述した不具合が生じたままとなる。
そこで、本実施形態においては、所定の更新判定タイミング(所定の補正情報生成タイミング)が到来したとき、補正テーブルに含まれる補正値の中で最も大きな差を示す2つの補正値のうちの最大補正値と最小補正値にそれぞれ対応する感光体ドラム表面上の各対応箇所に、トナーパッチを形成する。この二箇所に形成されるトナーパッチは、当該補正テーブルを用いて制御された現像バイアス及び帯電バイアスにより形成される画像濃度確認用のトナーパターンであり、ここでは、最大補正値に対応するトナーパターンを第1トナーパッチとし、最小補正値に対応するトナーパターンを第2トナーパッチとする。そして、これらの第1トナーパッチ及び第2トナーパッチの画像濃度を画像濃度検知センサ30で検知し、その検知結果が所定の補正情報生成条件を満たせば補正テーブル生成処理を実行し、その検知結果が所定の補正情報生成条件を満たさなければ補正テーブル生成処理を実行しない。
本実施形態では、所定の更新判定タイミングが到来した時点において、補正テーブル生成処理を実行して補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じているかどうかを判断する。この判断は、感光体ドラム表面上の上述した二箇所にそれぞれ形成される第1トナーパッチ及び第2トナーパッチの画像濃度に基づいて行う。このとき、これら二箇所以外にはトナーパッチを形成する必要がないので、トナー消費量は僅かで済む。
しかも、これらのトナーパッチの感光体ドラム表面移動方向長さは短く形成できるため、画像形成動作の開始前、画像形成動作の終了後、あるいは、連続画像形成動作中の画像間などの僅かな非画像領域へ形成することが可能である。これにより、ダウンタイムの増大は少なくて済むか、又はダウンタイムを生じさせないで済む。したがって、図24(b)に示すように所定の補正情報生成タイミングの頻度を高くして、補正テーブル生成処理の実行間隔(実行するか否かを判断する間隔)を短くしても、ダウンタイムの増大、トナー消費量の増大などの弊害は少ない。
図25は、本実施形態における感光体回転周期の補正テーブルを更新する更新処理の流れを示すフローチャートである。
所定の更新判定タイミングが到来したら、まず、予め設定した画像濃度確認を行うタイミングになったかどうかを判定する(S31)。画像濃度確認を行うタイミングになったら、制御部37は、フォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kからの回転位置検出信号から感光体ドラムのホームポジション検出タイミングを取得する。このタイミングに同期して、現在の補正テーブルに含まれる補正値の中の最大補正値と最小補正値に対応するタイミングを把握する。
本実施形態においては、現在の補正テーブルを生成した際に、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングを基準にした最大補正値と最小補正値が適用されるタイミング(ホームポジション検出タイミングからの経過時間等)の情報が予めメモリに記憶されている。よって、制御部37は、メモリに記憶されている情報に基づき、最大補正値と最小補正値が適用されるタイミングを判断する(S32,S34)。
画像濃度確認を行うタイミングになった後、感光体ドラムのホームポジション検出タイミングを取得してから、最大補正値と最小補正値のいずれのタイミングが先に到来するかどうかは、当該補正テーブルによって異なる。例えば、最大補正値が適用されるタイミングが先に到来した場合(S32のYes)、当該補正テーブルによって補正されている帯電バイアスや現像バイアスを用いて、第1トナーパッチを形成する画像形成動作を実行する(S33−1)。このようにして形成された第1トナーパッチは、画像濃度検知センサ30によって検知され(S33−2)、この画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号が制御部37に入力される。制御部37は、第1トナーパッチについてのトナー付着量検出信号を取得したら、補正テーブル作成処理と同様の方法で、当該トナー付着量検出信号に対応する補正値を算出し(S33−3)、これを第1対応補正値としてメモリに記憶する。
続いて、最小補正値が適用されるタイミングが到来したら(S34のYes)、当該補正テーブルによって補正されている帯電バイアスや現像バイアスを用いて、第2トナーパッチを形成する画像形成動作を実行する(S35−1)。このようにして形成された第2トナーパッチは、画像濃度検知センサ30によって検知され(S35−2)、この画像濃度検知センサ30からのトナー付着量検出信号が制御部37に入力される。制御部37は、第2トナーパッチについてのトナー付着量検出信号を取得したら、補正テーブル作成処理と同様の方法で、当該トナー付着量検出信号に対応する補正値を算出し(S35−3)、これを第2対応補正値としてメモリに記憶する。
このようにして、第1トナーパッチと第2トナーパッチについての第1対応補正値及び第2対応補正値を算出した後(S36のYes)、制御部37は、第1対応補正値と第2対応補正値の差分値を算出する(S37)。そして、制御部37は、この差分値が予め設定した判定値を超えているか否かを判定する(S38)。
この判定において差分値が判定値を超えている場合(S38のYes)、上述した補正テーブルを生成する補正テーブル生成処理(補正情報生成処理)を実行し、新たな補正テーブルを作成して、補正テーブルを更新する。すなわち、差分値が判定値を超えている場合、補正テーブル生成処理を実行して補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じていると判断して、補正テーブルを更新する。
一方、この判定において差分値が判定値以下である場合(S38のNo)、補正テーブル生成処理は実行せず、現在の補正テーブルを維持する。すなわち、差分値が判定値以下である場合には、補正テーブル生成処理を実行して補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じていないと判断して、補正テーブルを維持し、無駄な補正テーブル生成処理の実行を抑制する。
図26(a)〜(d)は、位相ズレが生じていない状況における各種データとトナーパッチ形成タイミングとの関係を示す説明図である。
図27(a)〜(d)は、位相ズレが生じている(位相が180°ズレている)状況における各種データとトナーパッチ形成タイミングとの関係を示す説明図である。
なお、図26(a)及び図27(a)は、現在の補正テーブルを周波数分析して感光体ドラム周期の一次成分を抽出したものである。図26(b)及び図27(b)は、補正テーブルが適用されていない補正前の画像形成条件で作成される画像における画像濃度ムラにおいて、感光体ドラム周期の画像濃度ムラ成分を正弦波で示したものである。図26(c)及び図27(c)は、補正テーブルが適用された補正後の画像形成条件で作成される画像における画像濃度ムラにおいて、感光体ドラム周期の画像濃度ムラ成分を正弦波で示したものである。図26(d)及び図27(d)は、補正テーブルに含まれる補正値の中の最大補正値に対応する第1トナーパッチが形成されるタイミングと、最小補正値に対応する第2トナーパッチが形成されるタイミングとを示したものである。
図26及び図27に示すように、本実施形態において第1トナーパッチ及び第2トナーパッチを形成するタイミングは、補正テーブルに含まれる補正値の中で最も大きな差を示す2つの補正値である。
まず、位相ズレが生じていない状況について説明すると、図26(a)に示す補正テーブルは、図26(b)に示す補正前の画像濃度ムラに対して逆位相に対応したものである。これにより、図26(b)に示す補正前の画像濃度ムラが生じている状況下において、図26(a)に示す補正テーブルを適用することにより画像濃度ムラが打ち消されて、図26(c)に示すように、補正後の画像濃度ムラは小さいものとなる。
次に、位相ズレが生じている状況(位相が180°ズレている)について説明すると、図27(a)に示す補正テーブルは、図27(b)に示す補正前の画像濃度ムラに対して逆位相に対応したものではなくなっている。特に、本例では、説明のため位相ズレが最も深刻な状況であり、図27(b)に示す補正前の画像濃度ムラが生じている状況下において図27(a)に示す補正テーブルを適用すると、図27(c)に示すように、画像濃度ムラがかえって大きくなってしまう。
位相ズレにより最も画像濃度が変化する感光体ドラム表面上の箇所は、補正量が最も大きな補正値で補正される画像形成条件によって画像が形成される箇所である。したがって、この箇所にトナーパッチを形成し、その画像濃度が目標画像濃度からどの程度ズレたのかを確認することが、補正テーブル生成処理を実行して補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じているかどうかを、最も精度よく判断できる。ただし、必ずしも補正量が最も大きな補正値でなくても、その補正値に近い値をもった補正値であれば、十分な精度で判断することが可能である。
本実施形態においては、目標画像濃度(本実施形態では、補正テーブル作成時に取得した画像濃度ムラデータの平均画像濃度)に近づくように画像濃度ムラを低減するような補正テーブルを生成する。そのため、補正テーブルには、画像濃度を低くする補正値と画像濃度を高くする補正値とが存在する。このとき、補正量が最も大きな補正値は、画像濃度を低くする側のピーク値(最大補正値)か、又は、画像濃度を高くする側のピーク値(最小補正値)のいずれかとなる。よって、最大補正値及び最小補正値のいずれかと目標画像濃度(平均画像濃度)とを比較することで、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じているかどうかを精度よく判断できる。
ここで、図28に示すように、最大補正値に対応する箇所の画像濃度は位相ズレにより画像濃度が高まる一方で、最小補正値に対応する箇所の画像濃度は位相ズレにより画像濃度が低くなる。したがって、位相ズレにより最大補正値と最小補正値の差分値は広がっていくことになる。位相ズレに応じた差分値の変化量は、位相ズレに応じて補正量が最も大きな箇所に対応する画像濃度と目標画像濃度との差分値の変化量よりも大きい。
そのため、本実施形態では、最大補正値と最小補正値の差分値が所定の判定値を超えているか否かによって、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じているかどうかを判断する。これにより、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じているかどうかを、より高い精度で判断することができる。
ここで、現在の補正テーブルの作成後に画質調整制御(プロセスコントロール)が実行されて、現在の現像ポテンシャルが当該補正テーブルの作成時のものとは異なる場合がある。この場合、画像濃度ムラが多少変化するが、現在の現像ポテンシャルに対応して第1対応補正値や第2対応補正値の算出を修正することにより、現像ポテンシャルが変わっても、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じているかどうかの適切な判定を行うことができる。
なお、補正テーブルの中で最も大きな補正量に対応するトナーパッチの画像濃度に基づいて補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じているかどうかを判断する方法は、本実施形態の方法に限られない。例えば、上述したように、最大補正値に対応する第1トナーパッチについての第1対応補正値を算出し、算出した第1対応補正値と最大補正値との差分値が所定の判定値を超えたら、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じていると判断する。また、最小補正値に対応する第2トナーパッチについての第2対応補正値を算出し、算出した第2対応補正値と最小補正値との差分値が所定の判定値を超えたら、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じていると判断してもよい。あるいは、算出した第1対応補正値と最大補正値との差分値が所定の判定値を超え、かつ、算出した第2対応補正値と最小補正値との差分値が所定の判定値を超えたときに、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じていると判断してもよい。
また、例えば、補正テーブルを生成するたびに、第1対応補正値と最大補正値との差分値や第2対応補正値と最大補正値との差分値を算出して保持しておき、これらの差分値の経時変化に基づいて、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じていると判断してもよい。例えば、補正テーブルごとの当該差分値の累計が所定の判定値を超えたら、補正テーブルを更新する必要があるほどの画像濃度ムラが生じていると判断する。
また、上述した第1トナーパッチや第2トナーパッチを形成する箇所は、非画像領域であればどこでもよいが、連続画像形成動作中であれば、画像と画像の間の非画像領域(以下「画像間非画像領域」という。)内とするのがよい。このとき、第1トナーパッチ及び第2トナーパッチを形成する感光体ドラム表面上の各箇所間における感光体ドラム表面移動方向距離が、当該画像間非画像領域の感光体ドラム表面移動方向長さよりも長い場合がある。
このような場合、第1トナーパッチと第2トナーパッチの両方が当該画像間非画像領域内に形成されるように、連続画像形成動作の動作内容を変更してもよい。このとき、連続画像形成動作中のすべての画像間非画像領域の感光体ドラム表面移動方向長さが広がるように連続画像形成動作の動作内容を変更すると、画像の生産性が大きく低下するおそれがある。よって、図29に示すように、予め設定した画像濃度確認を行うタイミングになった後、第1トナーパッチと第2トナーパッチの両方を形成する画像間非画像領域だけについて、その感光体ドラム表面移動方向長さが広げるように連続画像形成動作の動作内容を変更するのがよい。この場合、画像の生産性の低下はわずかで済む。
また、この場合でも、図29に示すように、予め設定した画像濃度確認を行うタイミングになった直後の画像間非画像領域E1よりも、その次の画像間非画像領域E2の方が、第1トナーパッチと第2トナーパッチの両方を形成するために広げる長さが少なくて済む。よって、このような場合には、画像間非画像領域E2に第1トナーパッチと第2トナーパッチの両方を形成するようにすることで、画像の生産性の低下を更に軽減することができる。
なお、第1トナーパッチや第2トナーパッチの両方をどの画像間非画像領域に形成すれば画像の生産性の低下を軽減できるかについては、第1トナーパッチ及び第2トナーパッチの感光体ドラム表面移動方向長さ、プロセス線速、搬送方向の用紙長さ、感光体ドラムのホームポジション、補正テーブル、書き込み信号等から判断することができる。
一方、画像間非画像領域の感光体ドラム表面移動方向長さを広げず、第1トナーパッチ及び第2トナーパッチをそれぞれ異なる画像間非画像領域内に形成するようにしてもよい。これによれば、画像の生産性を落とすことはない。このとき、第1トナーパッチや第2トナーパッチがどの画像間非画像領域に形成できるかどうかは、第1トナーパッチ及び第2トナーパッチの感光体ドラム表面移動方向長さ、プロセス線速、搬送方向の用紙長さ、感光体ドラムのホームポジション、補正テーブル、書き込み信号等から判断することができる。
例えば、図30に示す例では、予め設定した画像濃度確認を行うタイミングになった後の1枚目と2枚目の間の画像間非画像領域E1には、第1トナーパッチは形成できるが、第2トナーパッチは形成できない。この場合、まずは、第1トナーパッチだけを当該画像間非画像領域E1に形成する。また、2枚目と3枚目の間の画像間非画像領域E2についても、第1トナーパッチは形成できるが、第2トナーパッチは形成できない。第1トナーパッチはすでに形成済みであるため、画像間非画像領域E2には、いずれのトナーパッチも形成されない。次に、3枚目と4枚目の間の画像間非画像領域E3には、第1トナーパッチは形成できないが、第2トナーパッチは形成できる。したがって、画像間非画像領域E3には第2トナーパッチが形成される。
図30に示す例では、感光体ドラムの一回転中における最大補正値と最小補正値との差分値は得られないが、近い時期の最大補正値と最小補正値との差分値が得られるので、感光体ドラムの回転周期が違う最大補正値と最小補正値との差をとることによる影響は小さい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。たとえば、本発明を適用する画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であってフルカラーの画像形成を行うことが可能なカラーデジタル複合機、その他、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタの単体、あるいは複写機とプリンタとの複合機等他の組み合わせの複合機であっても良い。近年では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラー画像を形成可能な画像形成装置が多くなってきているが、本発明を適用する画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。かかる画像形成装置は、一般にコピー等に用いられる普通紙のみならず、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをも記録シートであるシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能であることが望ましい。かかる画像形成装置は、記録媒体としての記録体である記録紙たる転写紙の片面に画像形成可能な画像形成装置であっても良い。このような画像形成装置に用いる現像剤は、二成分現像剤に限らず、一成分現像剤であっても良い。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
感光体ドラム2Y,2M,2C,2K等の像担持体の表面にトナー像を形成して該トナー像を最終的に記録紙20等の記録材へ転写させる4つの作像ステーション、光書込ユニット4、中間転写ユニット33、二次転写ローラ16などの画像形成手段と、前記像担持体の表面に形成されるトナーパターンの画像濃度を検知する画像濃度検知センサ30等の画像濃度検知手段と、前記画像形成手段を構成する感光体ドラムや現像ローラ等の回転体の基準回転位置(ホームポジション)を検知するフォトインタラプタ18Y,18C,18M,18Kやフォトインタラプタ71等の基準回転位置検知手段と、画像濃度ムラ検出用のトナーパターン(補正用トナーパターン)を前記像担持体の表面に形成し、該トナーパターンを前記画像濃度検知手段が検知した結果に基づいて、前記基準回転位置検知手段が検知した基準回転位置を基準とした画像濃度ムラ情報を取得し、前記回転体の回転周期で繰り返される画像濃度ムラが低減するように、前記画像濃度ムラ情報に基づき、前記基準回転位置を基準とする前記回転体の各回転位置に対応した補正量(補正値)で画像形成条件設定情報(現像バイアスや帯電バイアス)を補正するための補正テーブル等の補正情報を生成する補正情報生成処理を実行する制御部37等の補正情報生成手段と、前記補正情報による補正後の画像形成条件設定情報(帯電バイアスや現像バイアスの設定値等)に従って前記画像形成手段を制御する画像形成制御を前記基準回転位置検知手段の検知タイミングに基づいて実行する制御部37等の画像形成動作制御手段とを有する画像形成装置において、前記補正情報生成手段は、所定の補正情報生成タイミングが到来したとき、前記補正情報の中で最も大きな補正量又はこれに近い量となる前記像担持体の表面上の対応部分に、該補正情報による補正後の画像形成条件設定情報に従った画像形成制御で第1トナーパッチや第2トナーパッチ等の画像濃度確認用のトナーパターンを形成し、該トナーパターンを前記画像濃度検知手段により検知した結果が、所定の補正情報生成条件を満たせば前記補正情報生成処理を実行して前記補正情報を更新し、該所定の補正情報生成条件を満たさなければ前記補正情報生成処理を実行せず前記補正情報を更新しないことを特徴とする。
本態様によれば、所定の補正情報生成タイミングが到来したとき、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかを判断し、その判断結果に応じて補正情報を新たに生成して更新するか、補正情報を更新せずに現在の補正情報を維持するかを決める。上記判断では、現在の補正情報の中で最も大きな補正量又はこれに近い量となる像担持体表面上の対応部分に当該補正情報による補正後の画像形成条件設定情報に従った画像形成制御により画像濃度確認用のトナーパターンを形成する。そして、形成したトナーパターンの画像濃度が所定の補正情報生成条件を満たすか否かによって、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかを判断する。上記対応部分は、位相ズレの発生によって最も画像濃度が変化する箇所である。そのため、その対応部分では位相ズレが発生したときに画像濃度確認用のトナーパターンの画像濃度が感度よく変化するので、本態様によれば、位相ズレの発生により補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じたかどうかを適切に判断できる。そして、本態様では、補正情報の更新が必要なタイミングのみ補正情報の更新が実行されるので、所定の補正情報生成タイミングの頻度を高めて、発生した位相ズレによる画像濃度ムラを短期間のうちに解消しつつも、ダウンタイムの増大やトナー消費量の増大などの弊害を少なく抑えることができる。
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記補正情報生成手段は、平均画像濃度等の目標画像濃度に近づくように前記画像濃度ムラを低減する補正情報を生成するものであり、前記補正情報生成手段は、前記所定の補正情報生成タイミングが到来したとき、前記補正情報における画像濃度を低くする補正量の中で最も大きな補正量又はこれに近い量となる前記像担持体の表面上の対応部分に、該補正情報による補正後の画像形成条件設定情報に従った画像形成制御で第1トナーパッチ等の画像濃度確認用の第1トナーパターンを形成するとともに、前記補正情報における画像濃度を高くする補正量の中で最も大きな補正量又はこれに近い量となる前記像担持体の表面上の対応部分に、該補正情報による補正後の画像形成条件設定情報に従った画像形成制御で第2トナーパッチ等の画像濃度確認用の第2トナーパターンを形成するものであり、前記所定の補正情報生成条件は、前記第1トナーパターンと前記第2トナーパターンとの間における前記画像濃度検知手段により検知した結果の差分値が所定の判定値を超えているという条件であることを特徴とする。
位相ズレが大きくなるほど、第1トナーパターンの画像濃度は高くなる一方で、第2トナーパターンの画像濃度は低くなる。よって、位相ズレに対する第1トナーパターンと第2トナーパターンとの差分値の感度は、位相ズレに対する第1トナーパターンの感度(画像濃度の変化量)や、位相ズレに対する第2トナーパターンの感度(画像濃度の変化量)と比較して高いものである。よって、本態様によれば、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかをより高精度に判断することができる。
(態様C)
前記態様Bにおいて、前記補正情報生成手段は、前記第1トナーパターン及び前記第2トナーパターンを形成する前記像担持体の表面上の各対応部分が連続画像形成動作中における画像間の非画像領域内であるときに、該第1トナーパターン及び該第2トナーパターンを像担持体の表面上の当該各対応部分にそれぞれ形成することを特徴とする。
これによれば、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかの判断に必要な第1トナーパターン及び第2トナーパターンが、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域内に形成されるので、ダウンタイムの短縮化を図ることができる。
(態様D)
前記態様Cにおいて、前記補正情報生成手段は、前記第1トナーパターン及び前記第2トナーパターンを形成する前記像担持体の表面上の各対応部分間の像担持体表面移動方向距離が前記非画像領域の像担持体表面移動方向長さよりも長い場合、該第1トナーパターン及び該第2トナーパターンを、異なる非画像領域内における該像担持体の表面上の各対応部分にそれぞれ形成することを特徴とする。
これによれば、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域の像担持体表面移動方向長さを変更することなく、第1トナーパターン及び第2トナーパターンを形成するので、連続画像形成動作による画像の生産性を落とさずに、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかの判断を行うことができる。
(態様E)
前記態様Cにおいて、前記補正情報生成手段は、前記第1トナーパターン及び前記第2トナーパターンを形成する前記像担持体の表面上の各対応部分間の像担持体表面移動方向距離が前記非画像領域の像担持体表面移動方向長さよりも長い場合、当該非画像領域の像担持体表面移動方向長さが前記各対応部分間の像担持体表面移動方向距離よりも長くなるように、前記連続画像形成動作の動作内容を変更して、該第1トナーパターン及び該第2トナーパターンを、当該非画像領域内における該像担持体の表面上の各対応部分にそれぞれ形成することを特徴とする。
回転体の周回時期が異なれば画像濃度ムラの内容も僅かながら異なる場合がある。本態様によれば、第1トナーパターン及び第2トナーパターンを回転体の同一周回内に形成することができるので、第1トナーパターン及び第2トナーパターンを回転体の異なる周回にそれぞれ形成する場合よりも、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかを高精度に判断可能である。
(態様F)
前記態様A〜Eのいずれかの態様において、前記所定の補正情報生成条件は、前記画像濃度検知手段により検知した前記トナーパターンの画像濃度を目標の画像濃度にするための補正量が該トナーパターンを形成したときの補正量よりも規定量以上大きいという条件であることを特徴とする。
これによれば、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかを簡易に判断することができる。
(態様G)
前記態様Fにおいて、前記補正情報生成手段は、前記補正情報生成処理を実行して前記補正情報を更新したときの当該更新前の補正情報と当該更新後の補正情報との違いを示す指標値に応じて、前記所定の補正情報生成条件を変更することを特徴とする。
これによれば、経時において画像濃度ムラの変動レベルが悪化したときに、それに合わせて所定の補正情報生成条件を変更することができるので、経時においても、補正情報の更新が必要なほど画像濃度ムラが生じているかどうかの判断を適切に行うことができる。
(態様H)
前記態様A〜Gのいずれかの態様において、前記所定の補正情報生成タイミングは、画像形成数が予め設定した所定数に達するタイミングであることを特徴とする。
これによれば、所定の補正情報生成タイミングが到来したことを簡易に判断することができる。
(態様I)
前記態様A〜Hのいずれかの態様において、前記画像形成手段は、前記像担持体の表面を帯電させる帯電チャージャ3Y,3C,3M,3K等の帯電手段と、該帯電手段により帯電された該像担持体の表面に潜像を形成する光書込ユニット4Y,4C,4M,4K等の潜像形成手段と、該像担持体の表面に形成された潜像を現像剤により現像してトナー像化する現像ユニット5Y,5C,5M,5K等の現像手段とを有しており、前記補正情報により補正される画像形成条件設定情報は、前記帯電手段、前記潜像形成手段、前記現像手段のうちの少なくとも1つを制御するための設定情報(帯電バイアス、露光パワー、現像バイアス等)であることを特徴とする。
これによれば、前記回転体の回転周期の画像濃度ムラを比較的簡易な制御で低減させることができる。