[香料成分の保留性向上剤]
本発明の香料成分の保留性向上剤は、セルロース類を有効成分として含有する。
(セルロース類)
本明細書において、「セルロース類」とは、セルロース、セルロース誘導体(例えば、セルロースのエーテル誘導体「セルロースエーテル類」)、及び、これらの塩をいう。
セルロースエーテル誘導体又はその塩は、エーテル結合のほか、必要に応じて更にエステル化、架橋形成等、更なる修飾がなされていてもよい。
セルロース類において、塩の種類は特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第2族元素の金属との塩等が挙げられる。
また、セルロース類の平均重合度や性状(結晶形)等は特に限定されないが、平均重合度は好ましくは50〜10000である。
セルロース類としては、限定はされないが、例えば、セルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース、発酵セルロース等が挙げられる。
これらのセルロース類の中でも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、及び、発酵セルロースからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、及び、発酵セルロースからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
これらのセルロース類は、いずれも公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販品を用いてもよい。
セルロース類の粘度は、限定はされないが、当該セルロース類の2%水溶液(20℃)において、例えば、1.0〜120mm2/sとすることができ、1.5〜110mm2/sであることが好ましく、2.0〜100mm2/sであることがより好ましく、2.5〜90mm2/sであることが更に好ましく、3.0〜80mm2/sであることが特に好ましい。
発酵セルロースは、セルロース生産菌が生産するセルロースであればよく、特に限定されない。通常、発酵セルロースは、セルロース生産菌を既知の方法、例えば特開昭61−212295号公報、特開平3−157402号公報、特開平9−121787号公報等に記載される方法に従って培養し、得られた培養物からセルロース生産菌を単離するか、又は所望に応じて適宜精製することによって製造することができる。
ここでセルロース生産菌としては、アセトバクター属、シュードモナス属、アグロバクテリウム属等に属する細菌が挙げられるが、好適にはアセトバクター属である。発酵セルロースを生産するアセトバクター属の細菌として、より具体的には、アセトバクター・パスツリアヌス株(例えば、ATCC10245等)、アセトバクター・エスピーDA株(例えば、FERM P−12924等)、アセトバクター・キシリナム株(例えば、ATCC23768、ATCC23769、ATCC10821、ATCC1306−21等)を挙げることができる。好ましくは、アセトバクター・キシリナム株である。
かかるセルロース生産菌を培養する培地及び条件としては、特に限定されず、常法に従うことができる。例えば、培地は、基本的に窒素源、炭素源、水、酸素及びその他の必要な栄養素を含有しており、上記微生物が増殖して目的の発酵セルロースを産生することができるものであればよく、例えばHestrin−Schramm培地を挙げることができる。なお、セルロースの生産性を向上させるために、培地中にセルロースの部分分解物、イノシトール、フィチン酸等を添加することもできる(特開昭56−46759号公報、特開平5−1718号公報)。培養条件としては、例えばpH5〜9、培養温度20〜40℃の範囲が採用され、発酵セルロースが十分産生されるまで培養が続けられる。培養方法は、静置培養、撹拌培養、通気培養のいずれでもよいが、好適には通気撹拌培養である。
発酵セルロースを大量生産するためには、多段階接種法が好ましい。この場合、通常、2段階の予備接種プロセス、一次接種発酵プロセス、二次接種発酵プロセス及び最終発酵プロセスからなる5段階の発酵プロセスが採用され、各プロセスで増殖された細菌について細胞の形態及びグラム陰性であることを確認しながら、次プロセスの発酵器に継代される。
発酵後、産生された発酵セルロースは培地から分離処理され、洗浄されて、適宜精製される。精製方法は特に限定されないが、通常、培地から回収した発酵セルロースを洗浄後、脱水し、再度水でスラリー化した後に、アルカリ処理によって微生物を除去し、次いで該アルカリ処理によって生じた溶解物を除去する方法が用いられる。具体的には、次の方法が例示される。
まず、微生物の培養によって得られる培養物を脱水し、固形分約20%のケーキとした後、このケーキを水で再スラリー化して固形分を1〜3%にする。これに水酸化ナトリウムを加えて、pH13程度にして撹拌しながら数時間、系を65℃に加熱して、微生物を溶解する。次いで、硫酸でpHを6〜8に調整し、該スラリーを脱水して再度水でスラリー化し、かかる脱水・スラリー化を数回繰り返す。精製された発酵セルロースは、必要に応じて乾燥処理を施すことができる。乾燥処理としては特に制限されることなく、自然乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、スプレードライ、ドラムドライ等の公知の方法を用いることができる。好ましくはスプレードライ法、ドラムドライ法である。
かくして得られる発酵セルロースは、白色から黄褐色の物質であり水に急速に分散できる非常に繊細な繊維性粒子からなる。なお、本発明で用いられる発酵セルロースは、上記方法で調製される発酵セルロースと同一若しくは類似の性質を有し、本発明の目的を達成しえるものであれば、その調製方法によって限定されるものではない。
そして本発明における発酵セルロースは、他の高分子物質と組み合わせ、複合化した状態(複合体)にて用いる。発酵セルロースを高分子物質と複合化させる方法としては、特開平9−121787号公報に記載される2種類の方法を挙げることができる。
第一の方法は、微生物を培養して発酵セルロースを産生させるにあたり、培地中に高分子物質を添加して培養を行い、発酵セルロースと高分子物質とが複合化した発酵セルロース複合化物として得る方法である。
また第二の方法は、微生物の培養によって生産された発酵セルロースのゲルを高分子物質の溶液に浸漬して、高分子物質を発酵セルロースのゲルに含浸させて複合化する方法である。発酵セルロースのゲルは、そのままか、あるいは常法により均一化処理を行ったのちに高分子物質の溶液に浸漬する。均一化処理は、公知の方法で行えばよく、例えばブレンダー処理や500kg/cm2で40回程度の高圧ホモジナイザー処理、1000kg/cm2で3回程度のナノマイザー処理などを用いた機械的解離処理が有効である。浸漬時間は、制限されないが、30分以上24時間程度、好ましくは一晩を挙げることができる。また、浸漬終了後は遠心分離や濾過などの方法で浸漬液を除去することが望ましい。更に、水洗いなどの処理を行って過剰の高分子物質を除去すると、高分子物質と複合化された状態の発酵セルロースを取得することができ、複合化に利用されないで残存する高分子物質の影響を抑えることができる。
発酵セルロースとの複合化に使用される高分子物質としては、例として、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、カシアガム、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、ペクチン、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティガム、マクロホモプシスガム、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、微結晶セルロース、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工でん粉(生でん粉)といった各種高分子物質を挙げることができる。これらは一種単独で使用してもよいし、又は、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明において発酵セルロースは、前述する高分子物質のグァーガム又はキサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)若しくはその塩からなる群から選択される少なくとも1種を複合化させた状態で用いられる。なお、所望により、発酵セルロース複合体を乾燥させて、乾燥粉末を得ることもできる。
かかる発酵セルロース複合体の乾燥粉末は商業上入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンアーティスト[登録商標]H−PN」、「サンアーティスト[登録商標]PN」、「サンアーティスト[登録商標]H−PG」、及び「サンアーティスト[登録商標]PG」等が挙げられる。
前記製剤中、「サンアーティスト[登録商標]H−PN」及び「サンアーティスト[登録商標]PN」は、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びキサンタンガムの発酵セルロース複合体を含有する製剤であり、「サンアーティスト[登録商標]H−PG」及び「サンアーティスト[登録商標]PG」は、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びグァーガムの発酵セルロース複合体を含有する製剤である。
本明細書において、結晶セルロースは、例えば木材パルプ、精製リンターなどのセルロース系素材を、酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解などにより解重合処理して得られる平均重合度30〜400、結晶性部分が10%を超えるものをいう。
本発明で使用する微結晶セルロースは、微結晶セルロース単独のもの、好ましくは微結晶セルロースと分散剤や崩壊剤を特定の割合で含有する複合体とした微結晶セルロース製剤を好適に使用することが出来る。
微結晶セルロース製剤の製法としては、例えば、パルプを磨砕して得られた微細セルロースを分散剤や崩壊剤と均一に混合して均質なスラリーとしてこれを乾燥することにより得られる方法を挙げることができるが、具体的には、特公昭40−14174号公報、特公昭62−43661号公報、特開平6−335365号公報などに記載のものが使用できる。分散剤や崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ガラクトマンナン(グァーガム、酵素分解グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸及びその塩、カードラン、ガティガム、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ゼラチン、トラガントガム、プルランなどを使用することが出来る。中でも、好ましいのは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラヤガム、キサンタンガムである。
かかる結晶セルロース及び/又は微結晶セルロースは、商業上入手可能であり、微結晶セルロースとしては、例えば、旭化成工業株式会社製のセオラス製品や、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のビストップ[登録商標]D−4091、ホモゲン[商標]No.2210、ホモゲン[商標]No.1610、ホモゲン[商標]No.1855等が挙げられる。
セルロース類の含有量は、他の成分の種類やその含有量等により適宜調整され、特に制限されないが、例えば、製剤全量に対して、1質量%以上とすることができ、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、特に好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5質量%以上である。
セルロース類の含有量は、例えば、製剤全量に対して、20質量%以下とすることができ、好ましくは18質量%以下、より好ましくは16質量%以下、更に好ましくは14質量%以下、特に好ましくは12質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。
セルロース類の含有量は、例えば、製剤全量に対して、1〜20質量%、1〜18質量%、1〜16質量%、1〜14質量%、1〜12質量%、1〜10質量%、1.5〜20質量%、1.5〜18質量%、1.5〜16質量%、1.5〜14質量%、1.5〜12質量%、1.5〜10質量%、2〜20質量%、2〜18質量%、2〜16質量%、2〜14質量%、2〜12質量%、2〜10質量%、3〜20質量%、3〜18質量%、3〜16質量%、3〜14質量%、3〜12質量%、3〜10質量%、4〜20質量%、4〜18質量%、4〜16質量%、4〜14質量%、4〜12質量%、4〜10質量%、5〜20質量%、5〜18質量%、5〜16質量%、5〜14質量%、5〜12質量%、5〜10質量%とすることができる。
(香料成分)
本発明の保留性向上剤は、上記構成を有することにより、香料組成物中、ないし、飲食品等の添加対象物中における香料成分の、香気及び/又は香味の優れた保留性を奏する。後述の実施例にて示されるように、本発明を用いることにより、香料成分の種類に限定されず、香料成分の保留性向上効果が得られる。
本発明によって香気及び/又は香味の保留性が向上される香料成分は、香り、又は、味を形成し得るものであれば、特に限定はされず、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料、その他の通常香料組成物を調製する際に使用される成分であり得る。
香料成分には、香辛料抽出物、香辛料中の香料成分、及び、香料成分の合成品も含まれる。すなわち、スパイスやハーブなどを含む、香辛料自体、香辛料抽出物、香辛料中の香料成分、及び、香味成分の合成品をもすべて含む。
上記スパイスとは、食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、又は、果皮をいう。スパイスは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アサの種子、アサフェチダの根、アサフェチダの根茎、アジョワンの種子、アニスの種子、ウイキョウの種子、ウコンの根、ウコンの根茎、オールスパイスの果実、オールスパイスの未成熟果実、オレンジの果皮、ガジュツの根、ガジュツの根茎、カショウの果皮、カショウの果実、カショウの未成熟果実、カシアの樹皮、カフィアライムの果実、カフィアライムの未成熟果実、ガランガルの根、ガランガルの根茎、カルダモンの種子、カルダモンの果実、カルダモンの未成熟果実、カンゾウの根、カンゾウの根茎、キャラウェイの種子、クチナシの果実、クミンの種子、クローブの蕾、ケシの種子、ケーパーの蕾、コショウ(黒コショウを含む)の果実、コショウ(黒コショウを含む)の未成熟果実、ごまの種子、コリアンダーの種子、サフランのめしべ、サンショウの果実、サンショウの未成熟果実、シソの種子、シナモンの樹皮、ジュニパーベリーの果実、しょうが、スターアニスの果実、スターアニスの未成熟果実、西洋わさび、セロリの種子、タマリンドの果実、ディルの種子、とうがらし、ナツメグの種子の仁、ナツメグの種皮(メースをいう。)、ニジェラの種子、ニンニク、バジルの種子、パセリの種子、バニラの果実、バニラの未成熟果実、パプリカ、パラダイスグレインの種子、バラの果実(ローズヒップをいう。)、フェネグリークの種子、ピンクペッパーの果実、マスタードの種子、みかんの果皮、ゆずの果皮、レモンの果皮、ロングペッパーの果実、ロングペッパーの未成熟果実、及び、わさびの根茎等があげられる。
上記ハーブとは、食品に風味付けの目的で薬味として比較的少量使用される種々の主に草本植物の葉、茎、根、及び、花からなり、生のまま、又は、乾燥したものが使用されるものをいう。ハーブは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アニスの葉、アニスの茎、アンゼリカ、ウイキョウの葉、ウイキョウの茎、エシャロット、オレガノ、カフィアライムの葉、カモミール、カレープラント、カレーリーフ、キャットニップ、キャラウェイの葉、キャラウェイの茎、クレソン、コリアンダーの葉、コリアンダーの茎、サッサフラス、サボリー、サラダバーネット、サンショウの花、サンショウの葉、シソの葉、シソの花穂、ジャスミン、ステビア、スペアミント、セージ、セロリの葉、セロリの茎、センテッドゼラニウム、ソレル、タイム、タデ、タマネギ、タラゴン、ダンディライオン、チャイブ(あさつきを含む。)、チャービル、ディルの葉、ディルの茎、ドクダミ、ナスタチウム、ニガヨモギ、にら、ハイビスカス、バジルの葉、バジルの茎、パセリの葉、パセリの茎、ハッカ、バラの花(ローズをいう。)、ヒソップ、ペパーミント、ベルガモット、ホースミント、ボリジ、マーシュ、マスタードの葉、マスタードの茎、マジョラム、ミョウガ、ヤロウ、ユーカリプタス、ヨモギ、ラベンダー、リンデン、ルッコラ、ルバーブ、レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、ローズマリー、ローレル、わさびの葉、及び、わさびの葉柄等をあげることができる。
上記香料成分は、上述した成分以外であっても、食用可能である限り限定はされない。香料成分としては、具体的には、バター香料、ペパー香料、コンソメ香料、ミルク香料、コーヒー香料、コーン香料、ショウユ香料、アオノリ香料;α−サンショオール、β−サンショオール、サンショアミド、スピラントールなどのアミド系辛味物質;カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、バニリルペラルゴアミドなどのカプサイシン類;ピペリン、イソピペリン、イソシャビシン、シャビシン、ピペラニン、ピペリジンなどのピペリン類;ジンゲロン、ショーガオール、ジンゲロールなどのジンゲロール類;アリルイソチオシアネート、β−フェネチルイソチオシアネート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアネート、ω−ペンテニルイソチオシアネート、p−ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、4−メチルチオブテニルイソチオシアネート、ブチルイソチオシアネートなどのイソチオシアネート類;(−)−ポリゴジアールなどのポリゴジアール類;ワサビ香料類(アリルイソチオシアネート)等をあげることができる。
本明細書において、バター香料とは、バター様の香味を有するフレーバーを言う。バター香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができる。限定はされないが、バター香料として、バター由来の精製したラクトン類あるいはジアセチル等を配合した香料製剤を用いることができ、市販品を用いることも可能である。
本明細書において、ペパー香料とは、コショウ様の香味を有するフレーバーを言う。ペパー香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができる。限定はされないが、ペパー香料として、コショウ由来の精製したテルペン類等を配合した香料製剤を用いることができ、市販品を用いることも可能である。
本明細書において、コンソメ香料とは、鶏肉や鶏骨を煮出した香味を有するフレーバーを言う。コンソメ香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができ、市販品を用いることも可能である。
本明細書において、ミルク香料とは、ミルク様の香味を有するフレーバーを言う。ミルク香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができる、市販品を用いることも可能である。
本明細書において、コーヒー香料とは、コーヒー様の香味を有するフレーバーを言う。コーヒー香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができる。
本明細書において、コーン香料とは、鶏肉や鶏骨を煮出した香味を有するフレーバーを言う。コーン香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができる。
本明細書において、ショウユ(醤油)香料とは、醤油様の香味を有するフレーバーを言う。ショウユ香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができる。
本明細書において、アオノリ(青のり)香料とは、青のり様の香味を有するフレーバーを言う。アオノリ香料としては、特に制限されず、天然香料、合成香料、いずれも利用することができる。
更に、香料成分としては、ノニル酸バニリルアミドなどのアルカン酸バニリルアミド(アルカン酸の炭素数が7〜12)、バニリンプロピレングリコールアセタールなどのバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3〜6)、エチルバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3〜6)、3−L―メントキシプロパン―1,2―ジオール、N―アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−L―メントキシ−2−メチルプロパン―1,2―ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−L−メントキシエタン−1−オール、3−L−メントキシプロパン−1−オール、4−L−メントキシブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントールグリセリンケタール、2−(2−L−メンチルオキシエチル)エタノール、グリオキシル酸メンチル、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、2−ピロリドン−5−カルボン酸メンチル、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩、コハク酸モノメンチルのアルカリ土類金属塩、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、カビシン等、(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ジメチルスルホニウム塩化物、α−アミルシンナムアルデヒド、アンモニウムイソバレレート、イオノン、イソアミルアルコール、イソキノリン、イソブタノール、イソブチルアルデヒド、イソプロパノール、イソペンチルアミン、イソ酪酸エチル、2―エチル―3,5―ジメチルピラジン、及び、2―エチル―3,6―ジメチルピラジン、及び、それらの混合物、エチルバニリン、2−エチルピラジン、3−エチルピリジン、2―エチル―3―メチルピラジン、2―エチル―5―メチルピラジン、2−エチル−6−メチルピラジン、5−エチル−2―メチルピリジン、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、クエン酸三エチル、クミンアルデヒド、ゲラニアール、酢酸シクロヘキシル、酢酸シンナミル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸ボルニル、酢酸l−メンチル、サリチル酸メチル、2,3−ジエチルピラジン、2,3−ジエチル−5−メチルピラジン、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、1,8−シネオール、ジヒドロアクチンジオライド、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピリジン、(Z)−ジャスモン、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、ディルエーテル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン、2,3,5,6―テトラメチルピラジン、サビネン、ジンギベレン、セリネン、ターピネン、ターピノレン、α−フムレン、テルペン系炭化水素類、2,3,5‐トリメチルピラジン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、4−ビニルグアイアコール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェネチルアミン、フェノールエーテル類、ブタノール、ブチルアミン、ブチルアルデヒド、フルフラール、及び、その誘導体、プロパノール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、(Z)−3−ヘキセナール、(Z)−3−ヘキセノール、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、2−ペンタノール、1−ペンテン−3−オール、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、5―メチルキノキサリン、6−メチルキノリン、5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピラジン、1−メチルナフタレン、メチルβ―ナフチルケトン、2−メチルピラジン、上記以外のピラジン類、上記以外のピリジン類、メチオナール、2―メチルブタノール、2−メチルブチルアルデヒド、(E)−2−メチル−2−ブテナール、3−メチル−2−ブテナール、3−メチル−2−ブテノール等をあげることができる。
別の観点から、本発明に用いられる合成香料としては、例えば、「合成香料 化学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素化合物、含硫化合物類、又は、酸類等をあげることができる。
上記エステル類としては、限定はされないが、例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸スチラリル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アニシル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、2−メチル吉草酸2−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、2−メチル酪酸メチル、N−メチルアントラニル酸メチル、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル、2,4−デカジエン酸エチル、2,4−デカジエン酸プロピル、アントラニル酸メチル、及び、リナリル、N−メチルアントラニル酸エチル等をあげることができる。
上記アルコール類としては、限定はされないが、例えば、3−ヘプタノール、1−ノナノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセン−1−オール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、ホートリエノール、3−ツヤノール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−フェニルエチルアルコール、3−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、2,6−ジメチルヘプタノール、1−デカノール、トランス−2−ヘキセノール、シス−4−ヘキセノール、メチルトリメチルシクロペンテニルブテノール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、プレゴール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、アニスアルコール、ヒドロトロパアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコール等をあげることができる。
上記アルデヒド類としては、限定はされないが、例えば、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、トランス−2−ヘキセナール、(E)−2−デセナール、トランス−4−デセナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、トランス−2−トリデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、5,9−ジメチル−4,8−デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタナール、α−メチレンシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ミルテナール、ネラール、α−あるいはβ−シネンサール、マイラックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブタナール、2−ペンテナール、トランス−2−ヘプテナール、トランス−2−ノネナール、2,6−ジメチル−5−ペプテナール、2,4−ウンデカジエナール、トリメチルデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、サフラナール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−メチルヒドロトロパアルデヒド、フェニルプロピオンアルデヒド、2−メチル−3−(4−メチルフェニル)プロパナール、シクラメンアルデヒド、シンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、シトロネリルメチルアセタール、アセトアルデヒド 2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、2−ヘキセナールジエチルアセタール、シス−3−ヘキセナールジエチルアセタール、ヘプタナールジエチルアセタール、2−ヘキシル−5−メチル−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’−エトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(2’−ヒドロキシ−3’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシ−メチル)−2−(4’メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等をあげることができる。
上記ケトン類としては、限定はされないが、例えば、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、ファルネシルアセトン、2,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メチルケトン、ネロン、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、アセトフェノン、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、3−ノナノン、エチルイソアミルケトン、ジアセチル、アミルシクロペンテノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、シス−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、2−(2−(4−メチル)−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピルシクロペンタノン、ダマスコン、α−ダイナスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン、ヨノン、β―ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、プリカトン、カシュメラン、l−カルボン、メントン、カンファー、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、フルフラールアセトン、ホモフロノール、マルトール、エチルマルトール、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタール等をあげることができる。
上記フェノール類としては、限定はされないが、例えば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、クレオゾール、ベラトロール、ヒドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルヒドロキノンジメチルエーテル等をあげることができる。
上記エーテル類としては、限定はされないが、例えば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、ネロールオキサイド、ローズオキサイド等をあげることができる。
上記ラクトン類としては、限定はされないが、例えば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスンミラクトン、メチルγ−デカラクトン、7−デセノラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリン等をあげることができる。
上記炭化水素類としては、限定はされないが、例えば、オシメン、リモネン、α−フェランドレン、テルピネン、3−カレン、ビサボレン、バレンセン、アロオシメン、ミルセン、ファルネセン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、テルピノーレン、p−サイメン、セドレン、β−カリオフィレン、カジネン等をあげることができる。
上記含窒素化合物、又は、含硫化合物類としては、限定はされないが、例えば、アントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N−メチルアントラニル酸メチル、N−2’−メチルペンチリデンアントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニトリル、2−トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、3,7−ジメチル−2,6−ノナジエノニトリル、インドール、及び、その誘導体、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、リモネンチオール、1−P−メンテン−8−チオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸シス−3−ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8−メルカプトメントン等をあげることができる。
上記酸類としては、限定はされないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、2−デセン酸、ゲラン酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、イソ酪酸、イソ吉草酸、3−メチル吉草酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、2−メチルヘプタン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シクロヘキサンカルボン酸等をあげることができる。
上記天然香料としては、限定はされないが、例えば、スイートオレンジ、ビターオレンジ、ネロリ、マンダリン、オレンジ、プチグレン、ベルガモット、タンゼリン、温州ミカン、ダイダイ、ハッサク、イヨカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、カボス、スウィーティー等を例示することができる。
また、上記の天然香料以外に、例えば、シトロネラ、エレミ、オリバナム、マジョラム、アンゲリカルート、スターアニス、バジル、ヘイ、カラマス、キャラウェイ、カルダモン、ペッパー、カスカリラ、ジンジャー、セージ、クラリセージ、クローブ、コリアンダー、ユーカリ、フェンネル、ピメント、ジュニパー、フェネグリーク、ローレル、メース、スギ、センキュウ、アーモンド、アップルミント、アニス、アルテミシア、アルファルファ、アンズ、アンブレット、イグサ、イチゴ、イチジク、イランイラン、ウインターグリーン、ウメ、エルダー、エンジュ、オークモス、オールスパイス、オリス、カーラント、カッシー、カモミール、ガランガ、カリン、ガンビア、グァバ、グーズベリー、クスノキ、クチナシ、クベバ、クミン、クランベリー、コーラ、サンショウ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シソ、シベット、ジャスミン、ショウガ、ジンセン、シンナモン、スターフルーツ、スチラックス、スペアミント、ゼラニウム、タイム、タバナ、タンジー、タンジェリン、チャンパカ、チュベローズ、ツバキ、ディタニー、トルーバルサム、トンカ、ナッツ、ナツメ、ナツメグ、ナンテン、ニアウリ、ニンジン、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、ハチミツ、ハッカ、パッションフルーツ、バニラ、バラ、ヒソップ、ヒノキ、フーゼル油、ブチュ、ペパーミント、ペピーノ、ベルベナ、ボアドローズ、ポポー、ボルドー、ボロニア、マツ、マンゴー、ミツロウ、ミモザ、ミルフォイル、ムスク、メープル、メリッサ、メロン、モモ、ヤラヤラ、ラベンダー、リキュール、リツェア、リンデン、ルー、レンブ、ローズマリー、ロベージ等を香料成分として使用することもできる。
上記香料成分は、液状で使用してもよいが、必要に応じて、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理を行い、液体分を低減、又は、除去することにより、濃縮液状、半固形状、固形状、又は、粉末状にしたものを使用してもよい。
また、上記香料成分は、水溶性香料であっても、油溶性香料であってもよい。上記水溶性香料であっても、上記油溶性香料であっても、より効果的に香料成分の香気及び/又は香味の保留性を増強することが可能となる。
上記香料成分の総含有量は、上記香料成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、製剤全量に対して、例えば0.1〜99.8質量%とすることができ、好ましくは0.2〜50.0質量%、より好ましくは0.3〜40.0質量%、更に好ましくは0.4〜30.0質量%、特に好ましくは0.5〜20.0質量%である。
香料成分とセルロース類との配合比率は、上記香料成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、例えば、セルロース類1質量部に対して、香料成分の含有量が0.5〜50質量部とすることができ、好ましくは0.8〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部、更に好ましくは1〜20質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。別の実施態様において、香料成分とセルロース類との配合比率は、例えば、セルロース類1質量部に対して、香料成分の含有量が1〜8質量部、1〜6質量部、1〜5質量部、1〜4質量部、1〜3質量部とすることもできる。
[用途]
本発明は、セルロース類には、香料成分の保留性向上機能があることを見出したことに基づき、セルロース類の新たな用途を提供するものである。
本明細書において、「香料成分の保留性向上」とは、本発明が適用された香料組成物、飲食品等を使用、摂取等した際に感じられる、香料成分による香気もしくは香味、又は、その両方を失われにくくすることを言い、香料成分の揮散や変性、分解、失活の程度を抑制、又は、遅らせ得る場合も含む。
特に香料成分の揮散や変性、分解、失活は、飲食品の加工工程において生じることがあり、香料成分の保留性が課題となる。このような加工工程は、特に限定はされないが、加熱処理であることが好ましく、例えば、焼く、煮る、蒸す、炊く、炙る、茹でる、炒める、揚げる、保温する、電子レンジ加熱を行う等の加熱処理が挙げられる。
[香料組成物]
本発明を利用した香料組成物は、香料成分、及び、セルロース類を含有し、
該セルロース類の含有量が、香料組成物全量に対して、1〜20質量%の範囲内とすることができ、1.2〜19質量%が好ましく、2〜18質量%がより好ましく、5〜16質量%が更に好ましい。
セルロース類が、香料成分と組み合わされることにより、香料組成物を飲食品に適用した際に、香料成分の保留性向上機能を発揮させることが可能となる。よって、香料組成物中のセルロース類は、香料成分の保留性向上に有効な量が配合されており、セルロース類の含有量を、1〜20質量%とすることが好ましい。
セルロース類の種類、香料成分の種類や含有量、これら成分の配合比率、その他の配合可能な成分の種類や含有量等については、上記香料成分の保留性向上剤と同様である。
上記香料組成物は、乳化香料であってもよく、粉末(粉体状、又は、顆粒状)香料であってもよい。本明細書において、乳化香料とは、香料成分を水に乳化させ微粒子状態にしたものを言う。また粉末香料とは、香料成分と共に公知の賦形剤を配合し、粉末状のものを言う。
1つの実施形態において、香料成分、セルロース類、及び、アルコール類を含有する乳化香料組成物であって、前記セルロース類の含有量が、0.3〜10質量%である乳化香料組成物を調製することができる。
アルコール類としては、香料保留剤として公知の成分であれば特に限定はされないが、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリン、ソルビトール、ヘキシルグリコ−ル、エタノール等が挙げられ、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、及び、エタノールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
1つの実施形態において、香料成分、セルロース類、及び、賦形剤を含有する粉末香料組成物であって、前記セルロース類の含有量が、1〜20質量%である粉末香料組成物を調製することができる。
賦形剤としては、水溶性デキストリン、グルコース、フルクトース、ガラクトースなどの単糖類、ラクトース、マルトース、トレハロースなどの二糖類、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコール、オリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ等、パラチット、ゼラチン、ゼラチン加水分解物等が挙げられる。これらの中でも、賦形剤としては、水溶性デキストリン、及び、トレハロースからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
(他の成分)
本発明の香料組成物においては、上記セルロース類、上記香料成分以外の、他の成分を適宜含めることができる。
本発明の香料組成物は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、更に、カチオンを含有することができる。このようなカチオンとしては、例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウム等が挙げられる。
カチオンの含有量としては、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することが可能であるが、組成物中、例えば、0.01〜0.5質量%とすることができる。
また、その他の成分として、例えば、代表的には、酸化防止剤をあげることができる。このうち、油溶性酸化防止剤が好ましく、より好ましくは、トコフェロ−ル類、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテ−トなどの油溶性酸化防止剤をあげることができる。
上記酸化防止剤の含有量としては、例えば、0.0001〜10質量%、好ましくは、0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%であり得る。
また、上記その他の成分には、例えば、着色料、調味料、保存料などをあげることができる。
上記着色料としては、パプリカ色素、マリーゴールド色素、β−カロテンなどの油溶性の着色料のほか、アントシアニン色素等の水溶性色素をあげることができる。
この他にも、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、甘草抽出物、ステビア加工甘味料、羅漢果抽出物、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ズルチン、サイクラミン酸、ネオテームなどの甘味料、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、リン酸などの酸味料、カフェイン、香辛料抽出物、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物、ボラペット、メチルチオアデノシン、レイシ抽出物などの苦味料、食塩、塩化カリウムなどの塩味料、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸やそれらのナトリウムもしくはカリウム塩などの旨味料などを添加・混合してもよい。
さらには、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、又は、葉酸などの水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどの油溶性ビタミン;ベンジルベンゾエ−ト、トリエチルシトレ−ト、ジエチルフタレ−ト、ハ−コリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリドなどの香料保留剤;乳化剤等を加えることもできる。
また、水分含量は、各成分の種類、他成分の量や種類、製剤形態等に応じて適宜変更することも可能であるが、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、8質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、2質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。組成物の成分組成や添加対象物、添加後の加工過程等に応じて、適宜用いることができる。
[香料組成物の製造方法]
本発明の香料組成物の製造方法は、
香料成分と、セルロース類とを接触させる工程(1)を含む。
香料成分と、セルロース類とを接触させる方法は、公知の方法であれば特に制限されないが、香料成分と、セルロース類とを水等の溶媒において混合すること等が挙げられる。
本発明の香料組成物の製造方法は、上記構成を有することにより、上記香料組成物中、ないし、飲食品等の添加対象物中における香料成分の保留性向上に優れた香料組成物を簡便に得ることが可能となる。
香料組成物の製造方法において、上記工程(1)は、公知の方法が採用され、特に限定はされないが、例えば、乳化香料の形態として調製する場合は、上記セルロース類、及び、上記香料成分が含まれる溶液を、ホモジナイザー等で処理することで調製することができる。上記成分は適宜順次組み合わせて調製してもよい。この際の液温は、限定はされないが、50〜80℃、好ましくは55〜70℃、更に好ましくは60℃程度の状態である。限定はされないが、好ましくは、セルロース類を含む溶液を予め50〜80℃程度に加温し、そこへ香料成分を添加混合する方法等をあげることができる。
本発明の香料組成物を調製する際に、上記セルロース類は、予め調製したセルロース類の溶液の状態で添加されても良い。上記セルロース類の溶液は、水にセルロース類を添加し溶解させて得たものである。かかる溶解させる方法は、公知の方法に従えばよく、特別な条件等の設定は必要とされない。
本発明の香料組成物を調製する際に、ホモジナイザーを使用する場合、任意の条件(例えば、回転数:500〜9000rpm、時間:1〜90分)で処理することができる。
ホモジナイザー等による攪拌処理にかかる回転速度・処理時間の条件は、香料成分の量や質によって適宜調節し実施することができる。
香料組成物を乳化香料等の液状に製剤化する場合、その粘度は、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜調整することが可能であるが、20℃において、B型回転粘度計(東京計器株式会社製、モデルBM型)を用いて、回転数=30rpmで1分間回転させて粘度を測定した場合に、10mPa・s〜3,000mPa・sとすることができ、好ましくは15mPa・s〜2,500mPa・s、より好ましくは20mPa・s〜1,500mPa・s、更に好ましくは30mPa・s〜1000mPa・sである。
また、本発明の香料組成物の製造方法において、上記工程(1)の後、得られた混合物を用いて香料組成物を調製する工程(2)を更に有することが可能であるが、その工程は特に限定はされず、例えば、混合物が液体の場合、乾燥工程において粉末や顆粒状に処理する方法や、大きめの塊状物とした後に物理的に粉砕等により粉末等にする方法等を適宜用いることができる。
本発明の香料組成物は、更に必要に応じて、例えば、噴霧乾燥(スプレードライ)等によって粉末状とすることができる。更に、該粉末化した組成物を公知の技術によって凝集・固着させ、取扱いが容易な顆粒・固形物とすることもできる。
また、本明細書において、粉末状とは、粉体あるいは顆粒のいずれも含む。
本発明において、噴霧乾燥を行う際の機器としては、アトマイザー(噴霧器)として、加圧ノズル(一流体ノズル)、二流体ノズル、回転円盤式(ディスク式)を備えた噴霧乾燥機が使用されて得る。このような噴霧乾燥機のなかで、乾燥粉の平均粒径が1〜500μm、好ましくは10〜300μmであり得ることから、このような平均粒径を得ることができる噴霧装置として、加圧噴霧ノズルが好ましい。加圧噴霧乾燥に当たっては、モノノズルやマルチノズルなどいずれのノズルであっても使用が可能である。また、二流体ノズルを備えた噴霧乾燥機は、微細な粒子径の微粒子粉末を得るのに適しており、微細な粒子径の粉末を得る際には好ましい。
[飲食品等、香料組成物を用いた製品]
本発明の飲食品は、上記製剤又は香料組成物を含有する。また、上記製剤又は香料組成物は、飲食品以外の対象物に適宜添加して用いることもできる。
なお、本発明における飲食品とは、本発明の製剤又は香料組成物が適用された後、加熱等の加工処理によって飲食品となりうるものを含む。
本発明の製剤又は香料組成物を用いる対象物としては、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品等の製品であり得る。更に、本発明の製剤又は香料組成物は、香粧品、芳香剤、日用雑貨、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、身体洗浄剤、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、トイレタリー製品、医薬品、飲食品等の製品に配合して、各種製品中の香料成分の保留性向上に用いることもできる。
医薬品としては、例えば、錠剤(例えば、糖衣錠)、顆粒剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、及び、うがい薬等の経口医薬品、ハップ剤、軟膏剤などの皮膚外用剤などをあげることができる。
上記医薬部外品の例としては、栄養助剤、各種サプリメント、口臭予防剤、口中清涼剤、養毛剤、及び、育毛剤等をあげることができる。
飲食品としては、例えば、
飲料、及び、アルコール飲料等の飲料類;
冷菓(例えば、アイスキャンディ、アイスクリーム等)、砂糖菓子(例えば、キャンディ、ヌガー、グミ、マシュマロ、チューインガム、チョコレート等)、パティスリー(例えば、ケーキ、クッキー、マカロン、ゼリー、プリン、ババロア等)、スナック菓子、和菓子(例えば、団子、煎餅、ドーナツ、カステラ等)、等の菓子類;
乾燥野菜、及び、漬け物等の農産加工品;
蒲鉾等の海産物加工品;
麺類、米飯、パン等の穀類加工品;
調味料(例えば、しょうゆ、つゆ、ドレッシング、コンソメ、ブイヨン、たれ、ソース、ケチャップ、スパイス類、わさび、からし、レモン果汁、中華だし、ラーメンスープ、浅漬けの素、オイスターソース、豆板醤、キムチのたれ、ガラスープ、味噌等);
シロップ、ジャム等;並びに
畜肉加工品等をあげることができる。
香粧品としては、例えば、香水などのフレグランス製品、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど)、仕上げ化粧品(ファンデーション、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など)、日焼け化粧品(サンタン製品、サンスクリーン製品など)、薬用化粧品(制汗剤、アフターシェービングローション、及び、ジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料など)をあげることができる。
芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなどをあげることができる。
トイレタリー製品としては、例えば、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸などをあげることができる。
身体洗浄剤としてはボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなどをあげることができる。
ヘアケア製品としてはシャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、ヘアカラーなどをあげることができる。
スキンケア製品としてはリップクリーム、ハンドクリーム、シェービング製品(シェービングフォームなど)をあげることができる。
浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなどをあげることができる。
口腔用品としては歯磨き粉、口腔洗浄料、マウスウォッシュ、トローチ、チューインガム類などなどをあげることができる。
洗剤としては、例えば、洗剤(衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など)、柔軟仕上げ剤(ソフナー、ファーニチャーケアなど)、洗浄剤(クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など)、台所用洗剤(台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など)、漂白剤(酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤など)などをあげることができる。
日用雑貨としては、例えば、消臭・芳香剤(固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなど)、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどをあげることができる。
本発明の製剤又は香料組成物を用いて、各種製品において香料成分の保留性向上を行う方法は、製品の種類や製品の最終形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて適宜選択できる。
また、飲食品では、水分含量が、99質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、8質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、2質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。飲食品組成物の成分組成や添加対象物、その後の加工過程等に応じて、適宜用いることができる。
[飲食品の製造方法]
本発明において、香料成分の保留性が向上された飲食品の製造方法は、
上記製剤、又は、香料組成物を飲食品に適用する工程(3)を含む。
飲食品の製造方法では、上記構成を有することにより、上記飲食品における香料成分の保留性が向上された飲食品を簡便に得ることが可能となる。
上記工程(3)は、特に限定はされないが、上記製剤、又は、香料組成物を用いて飲食品を製造する工程であれば特に制限されず、例えば、上記製剤、又は、香料組成物を対象物に添加する工程、混合する工程等があげられる。
[香料成分の保留性向上方法]
本発明を用いた方法は、
香料成分と、セルロース類とを接触させる工程(1)を含む。
工程(1)については、[香料組成物の製造方法]の項目にて上述した通りである。
本発明について、以下に実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[乳化香料形態の香料組成物の調製1]
表1の処方に従い、バター香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた乳化香料組成物を調製した。具体的には、セルロース類(実施例)、又は、アラビアガム(比較例)と、イオン交換水、及び、プロピレングリコールとを混合撹拌した後、バター香料及びトコフェロールを添加して混合撹拌した。その後、ゴーリン式ホモジナイザーにて200kg/cm2の圧力、3回の条件にて均質化処理を行い、乳化香料形態の香料組成物を調製した(比較例1、実施例1〜4)。アラビアガムは、従来の香料組成物で頻用されている多糖類であるため、比較対象の成分として選定した。
表1で用いた各セルロース類は、当該セルロース類の2%水溶液(20℃)において、B型回転粘度計(東京計器株式会社製、モデルBM型)を用いて、回転数=30rpmで1分間回転させて粘度を測定した場合に、1.0〜120mm2/sの範囲内となるものを使用した(用いたセルロース類の粘度は、以下の実施例においても同様である)。
[マフィンの調製]
飲食品としてマフィンを調製し、上記香料組成物を適用し、下記の官能評価方法により香料成分の保留性を評価した。
表2の処方に従い、常法によりマフィンを調製した。具体的には、表2の各成分を混練し、200℃、20分の条件にて焼成した。
<官能評価試験1>
上記マフィンについて、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料分野の官能評価に精通した10名の分析型官能評価専門パネル(パネル1〜10、訓練期間:5年〜12年)により行った。マフィンを一口サイズ(約2cm角)に切り、各マフィンサンプルの形状や大きさは、ほとんど均等になるようにした。
各パネルは、マフィンサンプルを口に含んだ後の余韻として感じられる香りについて、表3の評価基準に基づいて評価し、平均点を算出して行った。表3の評価基準については、本評価前に試し評価用のマフィンサンプルを用いて各パネルの評価を訓練し、どの程度風味が維持されていれば、表3の各評価基準に適合するかをパネル間で共通化した。
官能評価結果のパネル個別評点、及び、平均点を表4に示す。
表4に示されるように、評価の結果、実施例1〜4の香料組成物を用いたマフィンについては、いずれにおいても、評価者全員が、非常に強く香料成分の香りを認め、香料成分の保留性について顕著な効果が実証された。一方、本発明の香料組成物を用いなかった比較例1においては、評価の結果、パネルのうち9名が評価2「香りを僅かに認める」と評価し、加熱工程後の香料成分の香りについて僅かにしか認められないという結果となった。このように、実施例1〜4のいずれにおいても、従来の香料組成物に比べて、香料成分の高い保留性が認められた。実施例1〜4は、用いたセルロース類の種類は異なるが、セルロース骨格の共通性から、いずれのセルロース類であっても同様に本発明の効果が得られることが認められた。
[乳化香料形態の香料組成物の調製2]
表5の処方に従い、バター香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた乳化香料組成物を調製した。具体的には、セルロース類(メチルセルロース)と、イオン交換水、プロピレングリコールとを混合撹拌した後、バター香料及びトコフェロールを添加して混合撹拌した。その後、ゴーリン式ホモジナイザーにて200kg/cm2の圧力、3回の条件にて均質化処理を行い、乳化香料形態の香料組成物を調製した(参考例1、実施例5〜8)。参考例では、セルロース類を低用量で配合する処方を調製した。
<官能評価試験2>
上記表2の処方のマフィンに、参考例1、実施例5〜8の香料組成物を適用し、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料分野の官能評価に精通した10名の分析型官能評価専門パネル(パネル1〜10、訓練期間:5年〜12年)により行った。マフィンを一口サイズ(約2cm角)に切り、各マフィンサンプルの形状や大きさは、ほとんど均等になるようにした。
各パネルは、マフィンサンプルを口に含んだ後の余韻として感じられる香りについて、上記表3の評価基準に基づいて評価し、平均点を算出して行った。表3の評価基準については、本評価前に試し評価用のマフィンサンプルを用いて各パネルの評価を訓練し、どの程度風味が維持されていれば、表3の各評価基準に適合するかをパネル間で共通化した。
官能評価結果のパネル個別評点、及び、平均点を表6に示す。
表6に示されるように、評価の結果、実施例5〜8の香料組成物を用いたマフィンについては、いずれにおいても、評価者全員が、香料成分の香りを認め、香料成分の保留性が実証された。
[粉末香料形態の香料組成物の調製1]
表7の処方に従い、バター香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた粉末香料組成物を調製した。具体的には、セルロース類(実施例)、又は、アラビアガム(比較例)と、適量のイオン交換水、デキストリンとを混合撹拌した後、バター香料及びトコフェロールを添加して混合撹拌することでよく分散させた。その後、スプレードライヤーにて粉末化処理を行い、粉末香料形態の香料組成物を調製した(比較例2、実施例9〜10)。
<官能評価試験3>
上記表2の処方のマフィンに、比較例2、実施例9〜10の香料組成物を適用し、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料分野の官能評価に精通した10名の分析型官能評価専門パネル(パネル1〜10、訓練期間:5年〜12年)により行った。マフィンを一口サイズ(約2cm角)に切り、各マフィンサンプルの形状や大きさは、ほとんど均等になるようにした。
各パネルは、マフィンサンプルを口に含んだ後の余韻として感じられる香りについて、上記表3の評価基準に基づいて評価し、平均点を算出して行った。表3の評価基準については、本評価前に試し評価用のマフィンサンプルを用いて各パネルの評価を訓練し、どの程度風味が維持されていれば、表3の各評価基準に適合するかをパネル間で共通化した。
官能評価結果のパネル個別評点、及び、平均点を表8に示す。
表8に示されるように、評価の結果、実施例9〜10の香料組成物を用いたマフィンについては、いずれにおいても、評価者全員が、非常に強く香料成分の香りを認め、香料成分の保留性について顕著な効果が実証された。一方、本発明の香料組成物を用いなかった比較例2においては、評価の結果、パネルのうち8名が評価2「香りを僅かに認める」と評価し、2名が評価1「香りが認められない」と評価し、加熱工程後の香料成分の香りについてほとんど認められないという結果となった。
[乳化香料形態の香料組成物の調製2]
表9の処方に従い、ペパー香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)、又は、コンソメ香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた乳化香料組成物を調製した。具体的には、セルロース類(実施例)、又は、アラビアガム(比較例)と、イオン交換水、及び、プロピレングリコールとを混合撹拌した後、各香料及びトコフェロールを添加して混合撹拌した。その後、ゴーリン式ホモジナイザーにて200kg/cm2の圧力、3回の条件にて均質化処理を行い、乳化香料形態の香料組成物を調製した(比較例3、4、実施例11〜14)。アラビアガムは、従来の香料組成物で頻用されている多糖類であるため、比較対象の成分として選定した。
[ポテトスナックの調製]
飲食品としてポテトスナックを調製し、上記香料組成物を適用し、下記の官能評価方法により香料成分の保留性を評価した。
表10の処方に従い、常法によりポテトスナックを調製した。具体的には、表10の各成分を混練し生地を得た後、圧延して一口サイズにカットした(厚さ約3mm、直径約3cmの円盤状)。各ポテトスナックの形状や大きさは、ほとんど均等となるようにした。135℃、80秒間の条件にて油調した。
<官能評価試験4>
上記ポテトスナックについて、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料分野の官能評価に精通した10名の分析型官能評価専門パネル(パネル1〜10、訓練期間:5年〜12年)により行った。
各パネルは、ポテトスナックを口に含んだ後の余韻として感じられる香りについて、上記表3の評価基準に基づいて評価し、平均点を算出して行った。表3の評価基準については、本評価前に試し評価用のポテトスナックを用いて各パネルの評価を訓練し、どの程度風味が維持されていれば、表3の各評価基準に適合するかをパネル間で共通化した。
官能評価結果のパネル個別評点、及び、平均点を表11に示す。
表11に示されるように、評価の結果、実施例11〜14の香料組成物を用いたポテトスナックについては、いずれにおいても、評価者全員が、非常に強く香料成分の香りを認め、香料成分の保留性について顕著な効果が実証された。一方、本発明の香料組成物を用いなかった比較例3においては、評価の結果、パネルのうち5名が評価1「香りが認められない」と評価し、加熱工程後の香料成分の香りが殆ど認められないという結果となった。また、比較例4においても、評価の結果、パネルのうち9名が評価2「香りを僅かに認める」と評価し、加熱工程後の香料成分の香りについて僅かにしか認められないという結果となった。このように、実施例11〜14のいずれにおいても、従来の香料組成物に比べて、香料成分の高い保留性が認められた。実施例11〜14は、用いたセルロース類の種類は異なるが、セルロース骨格の共通性から、いずれのセルロース類であっても同様に本発明の効果が得られることが認められた。
[乳化香料形態の香料組成物の調製3]
表12の処方に従い、ミルク香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた乳化香料組成物を調製した。具体的には、セルロース類(実施例)と、イオン交換水、及び、アルコール類(プロピレングリコール、グリセリン、エタノール)とを混合撹拌した後、ミルク香料及びトコフェロールを添加して混合撹拌した。その後、ゴーリン式ホモジナイザーにて200kg/cm2の圧力、3回の条件にて均質化処理を行い、乳化香料形態の香料組成物を調製した(実施例15〜17)。
<官能評価試験5>
上記表2の処方のマフィンに、実施例15〜17の香料組成物を適用し、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料分野の官能評価に精通した10名の分析型官能評価専門パネル(パネル1〜10、訓練期間:5年〜12年)により行った。マフィンを一口サイズ(約2cm角)に切り、各マフィンサンプルの形状や大きさは、ほとんど均等になるようにした。
各パネルは、マフィンサンプルを口に含んだ後の余韻として感じられる香りについて、上記表3の評価基準に基づいて評価し、平均点を算出して行った。表3の評価基準については、本評価前に試し評価用のマフィンサンプルを用いて各パネルの評価を訓練し、どの程度風味が維持されていれば、表3の各評価基準に適合するかをパネル間で共通化した。
官能評価結果のパネル個別評点、及び、平均点を表13に示す。
表13に示されるように、評価の結果、実施例15〜17の香料組成物を用いたマフィンについては、いずれにおいても、評価者全員が、非常に強く香料成分の香りを認め、香料成分の保留性について顕著な効果が実証された。
[粉末香料形態の香料組成物の調製2]
表14の処方に従い、コーン香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた粉末香料組成物を調製した。具体的には、セルロース類(実施例)と、適量のイオン交換水、デキストリンとを混合撹拌した後、コーン香料及びトコフェロールを添加して混合撹拌することでよく分散させた。その後、スプレードライヤーにて粉末化処理を行い、粉末香料形態の香料組成物を調製した(参考例2〜3、実施例18〜22)。
<官能評価試験6>
上記表10の処方のポテトスナックに、参考例2〜3、実施例18〜22の香料組成物を適用し、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料分野の官能評価に精通した10名の分析型官能評価専門パネル(パネル1〜10、訓練期間:5年〜12年)により行った。
各パネルは、ポテトスナックを口に含んだ後の余韻として感じられる香りについて、上記表3の評価基準に基づいて評価し、平均点を算出して行った。表3の評価基準については、本評価前に試し評価用のポテトスナックを用いて各パネルの評価を訓練し、どの程度風味が維持されていれば、表3の各評価基準に適合するかをパネル間で共通化した。
官能評価結果のパネル個別評点、及び、平均点を表15に示す。
表15に示されるように、評価の結果、実施例18〜22の香料組成物を用いたポテトスナックについては、いずれにおいても、評価者全員が、非常に強く香料成分の香りを認め、香料成分の保留性について顕著な効果が実証された。
[粉末香料形態の香料組成物の調製3]
表16の処方に従い、コーン香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)、又は、アオノリ香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた粉末香料組成物を調製した。具体的には、セルロース類(実施例)、又は、アラビアガム(比較例)と、適量のイオン交換水、デキストリンとを混合撹拌した後、各香料及びトコフェロールを添加して混合撹拌することでよく分散させた。その後、スプレードライヤーにて粉末化処理を行い、粉末香料形態の香料組成物を調製した(比較例5〜6、実施例23〜26)。
<官能評価試験7>
上記表10の処方のポテトスナックに、比較例5〜6、実施例23〜26の香料組成物を適用し、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料分野の官能評価に精通した10名の分析型官能評価専門パネル(パネル1〜10、訓練期間:5年〜12年)により行った。
各パネルは、ポテトスナックを口に含んだ後の余韻として感じられる香りについて、上記表3の評価基準に基づいて評価し、平均点を算出して行った。表3の評価基準については、本評価前に試し評価用のポテトスナックを用いて各パネルの評価を訓練し、どの程度風味が維持されていれば、表3の各評価基準に適合するかをパネル間で共通化した。
官能評価結果のパネル個別評点、及び、平均点を表17に示す。
表17に示されるように、評価の結果、実施例23〜26の香料組成物を用いたポテトスナックについては、いずれにおいても、評価者全員が、非常に強く香料成分の香りを認め、香料成分の保留性について顕著な効果が実証された。一方、本発明の香料組成物を用いなかった比較例5においては、評価の結果、香料成分の香りが僅かにしか認められないという結果となった。また、比較例6においても、評価の結果、香料成分の香りが僅かにしか認められないという結果となった。このように、実施例23〜26のいずれにおいても、従来の香料組成物に比べて、香料成分の高い保留性が認められた。実施例23〜26は、用いたセルロース類の種類は異なるが、セルロース骨格の共通性から、いずれのセルロース類であっても同様に本発明の効果が得られることが認められた。また、上述した各試験において各種の香料を用いているが、特に香料の種類にかかわらず、本発明の保留性向上効果を奏することが確認された。