JP7061223B1 - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

水中油型乳化組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP7061223B1
JP7061223B1 JP2021175319A JP2021175319A JP7061223B1 JP 7061223 B1 JP7061223 B1 JP 7061223B1 JP 2021175319 A JP2021175319 A JP 2021175319A JP 2021175319 A JP2021175319 A JP 2021175319A JP 7061223 B1 JP7061223 B1 JP 7061223B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
mass
protein
oil
emulsified composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021175319A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022074064A (ja
Inventor
祐也 上田
琢磨 松倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by San Ei Gen FFI Inc filed Critical San Ei Gen FFI Inc
Application granted granted Critical
Publication of JP7061223B1 publication Critical patent/JP7061223B1/ja
Publication of JP2022074064A publication Critical patent/JP2022074064A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Abstract

【課題】飲食品等の物品に適用した場合に香り立ちが良好な新規の乳化香料組成物を提供する。【解決手段】(A)香料成分を含有する油相成分並びに(C)タンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子に加えて、(B)HLB値が1以上11未満の乳化剤及び/又はショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)を含有する水中油型乳化組成物を調製する。【選択図】なし

Description

本発明は、香料成分を含有する油相成分を含む水中油型乳化組成物及びその応用に関する。より詳細には、香料成分を含有する油相成分とタンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子を含有する水中油型乳化組成物及びそれを含有する飲食品に関する。
従来、香料成分を種々の物品に添加する際の分散性や安定性を向上させるために、種々の香料成分の乳化手段が検討されてきた。例えば、特許文献1には、低分子ガティガム、粉末成分、油相成分、及び水を含有する、乳化組成物が開示されている。
一方、被乳化物の種類を問わず経時安定性に優れた乳化剤及び/又は乳化方法として、特許文献2には、乳化剤として機能する水溶性又は水分散性の微粒子として、タンパク質とアニオン性の多糖類とを含み、前記タンパク質の等電点より高いpHを有する溶液又は分散液を準備し、該溶液又は分散液を混合して、該液のpHを前記等電点により近い値とすることを含む、水溶性又は水分散性微粒子の製造方法が開示されている。
特許文献3には、乳化性が改善された天然の高分子系乳化剤として、プロリンが10%以上のアミノ酸組成である大豆中に含まれる蛋白質と、大豆由来の多糖類からなる複合体が開示されている。
特許文献4には、安全性が高く機能活性が改質された乳化剤としてカルボキシル基を有する酸性糖を構成糖として含む多糖とタンパク質又はタンパク加水分解物とをpH2から5の酸性化で加熱することにより精製する酸性多糖・タンパク質複合体が開示されている。
特開2021-122217号公報 国際公開第2019/087666号公報 国際公開第2006/006521号公報 国際公開第2004/078334号公報
近年、消費者に商品の印象を強く与えるとともに嗜好性を上げる観点などから、香り立ちに優れた香料組成物のニーズが高まっている。しかし、乳化香料組成物は飲食品への添加が容易であるという利点があるものの、乳化によって香り立ちが悪くなる傾向がある。
また、本発明者らの検討過程において、特許文献2の構成では、香料成分を十分に乳化安定化することができないことが判明した。
そこで、本発明は、飲食品等の物品に適用した場合に香り立ちが良好な新規の乳化香料組成物を提供することを課題とした。
本発明者らは、(A)香料成分を含有する油相成分並びに(C)タンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子に加えて、(B)HLB値が1以上11未満の乳化剤及び/又はショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)を含有する水中油型乳化組成物が、飲食品等の物品に適用した場合に香り立ちが良好であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の乳化組成物を提供する。
[1]
下記(A)~(C)を含有する水中油型乳化組成物;
(A)香料成分を含有する油相成分、
(B)(B1)HLB値が1以上11未満の乳化剤及び/又は(B2)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、並びに
(C)タンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子。
[2]
前記乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である、[1]に記載の水中油型乳化組成物。
[3]
前記タンパク質が、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、乳清タンパク質、大豆タンパク質、酸性可溶大豆タンパク質、エンドウマメタンパク質、ヒヨコマメタンパク質及びソラマメタンパク質からなる群より選ばれる1種以上である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物。
[4]
前記アニオン性多糖類が、キサンタンガム、ウェランガム、カラギナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ラムザンガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、サクシノグリカン、セルロース誘導体、デンプン誘導体及び大豆多糖類からなる群より選ばれる1種以上である、[1]~[3]のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
[5]
更に(D)多価アルコールを含有する、[1]~[4]のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
[6]
前記香料成分が、バター香料、コーヒー香料、チョコレート香料、メープル香料、抹茶香料、ミルク香料、カニ香料及びピーチ香料からなる群より選ばれる1種以上である、[1]~[5]のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
また、本発明は、以下の飲食品を提供する。
[7]
[1]~[6]のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物を含む、飲食品。
本発明の構成の水中油型乳化組成物は、飲食品等の物品に適用した場合に香り立ちが良好である。
[水中油型乳化組成物]
本発明の水中油型乳化組成物は、以下の成分を含有する。
(A)香料成分を含有する油相成分、
(B)(B1)HLB値が1以上11未満の乳化剤及び/又は(B2)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、並びに
(C)タンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子。
((A)香料成分を含有する油相成分)
本発明の(A)成分は、香料成分を含有する油相成分である。(A)成分の油相成分が香料成分のみからなっていてもよいし、他の成分を含有してもよい。
本明細書中、「油相成分」とは、水と互いに混じりあわない液相(油相)を構成する成分全体を表す。
本明細書中、「香料成分」は、単一化合物のみならず、調合香料のように複数の化合物の混合物を含む概念として定義される。香料成分は、好ましくは、飲食品に配合可能な可食性香料の成分であるか、又は化粧料として人体に適用可能な香料の成分である。本発明の(A)成分に含まれる香料成分としては、油相に含まれ得る成分であれば特に限定されない。
上記香料成分のオクタノール/水分配係数(logP)は、例えば、5以下、4以下、3.5以下、3以下又は2.5以下であり、例えば、-2以上又は-1.5以上である。
当該logP値の決定は、JIS Z 7260-117(2006)に準拠して、高速液体クロマトグラフィー法により実施することができる。logP値は、次式により定義される。
logP=log(Coc/Cwa)
Coc:1-オクタノール層中の被験物質濃度(mol/L)
Cwa:水層中の被験物質濃度(mol/L)
上記香料成分としては、例えば非イオン性の極性化合物が挙げられる。より具体的には、例えば、テルペノイド、ステロイド、カロテノイド等のイソプレノイド、フラボノイド、アルカロイド、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、含窒素化合物及び含硫化合物等から選ばれる1種又は2種以上の非イオン性の極性化合物が挙げられる。
上記の化合物の更に具体的な例として、「合成香料 化学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、含窒素化合物、含硫化合物等を挙げることができる。
エステル類としては、限定はされないが、例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シス-3-ヘキセニル、酢酸トランス-2-ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸スチラリル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4-ジメチル-3-シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アニシル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、2-メチル吉草酸2-メチルペンチル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチル、3-ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、2-ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2-エチル酪酸アリル、3-ヒドロキシ酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、2-メチル酪酸メチル、N-メチルアントラニル酸メチル、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル、2,4-デカジエン酸エチル、2,4-デカジエン酸プロピル、アントラニル酸メチル及びリナリル、N-メチルアントラニル酸エチル等を挙げることができる。
アルコール類としては、限定はされないが、例えば、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、3-ヘプタノール、1-ノナノール、1-ウンデカノール、2-ウンデカノール、1-ドデカノール、プレノール、10-ウンデセン-1-オール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、ホートリエノール、3-ツヤノール、ベンジルアルコール、β-フェニルエチルアルコール、α-フェニルエチルアルコール、3-メチル-1-ペンタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、2-ノナノール、2,6-ジメチルヘプタノール、1-デカノール、トランス-2-ヘキセノール、シス-4-ヘキセノール、メチルトリメチルシクロペンテニルブテノール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、プレゴール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、ペリラアルコール、4-ツヤノール、ミルテノール、α-フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、アニスアルコール、ヒドロトロパアルコール、3-フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコール等を挙げることができる。
アルデヒド類としては、限定はされないが、例えば、アセトアルデヒド、n-ヘキサナール、n-ヘプタナール、n-オクタナール、n-ノナナール、2-メチルオクタナール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、トランス-2-ヘキセナール、(E)-2-デセナール、トランス-4-デセナール、シス-4-デセナール、トランス-2-デセナール、10-ウンデセナール、トランス-2-ウンデセナール、トランス-2-ドデセナール、3-ドデセナール、トランス-2-トリデセナール、2,4-ヘキサジエナール、2,4-デカジエナール、2,4-ドデカジエナール、5,9-ジメチル-4,8-デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタナール、α-メチレンシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ミルテナール、ネラール、α-あるいはβ-シネンサール、マイラックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2-メチルウンデカナールジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、n-バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2-メチルブタナール、2-ペンテナール、トランス-2-ヘプテナール、トランス-2-ノネナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、2,4-ウンデカジエナール、トリメチルデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、サフラナール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p-メチルヒドロトロパアルデヒド、フェニルプロピオンアルデヒド、2-メチル-3-(4-メチルフェニル)プロパナール、シクラメンアルデヒド、シンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、p-メチルフェノキシアセトアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、シトロネリルメチルアセタール、アセトアルデヒド 2-フェニル-2,4-ペンタンジオールアセタール、2-ヘキセナールジエチルアセタール、シス-3-ヘキセナールジエチルアセタール、ヘプタナールジエチルアセタール、2-ヘキシル-5-メチル-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’,4’-ジヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’-メトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’-エトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-フェニル-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(2’-ヒドロキシ-3’-メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシ-メチル)-2-(4’メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’,4’-メチレンジオキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等を挙げることができる。
ケトン類としては、限定はされないが、例えば、エチルメチルケトン、2-ペンタノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、2-ウンデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、ファルネシルアセトン、2,3,5-トリメチル-4-シクロヘキセニル-1-メチルケトン、ネロン、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、アセトフェノン、4,7-ジヒドロ-2-イソペンチル-2-メチル-1,3-ジオキセピン、2-ペンタノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2,3-ヘキサジオン、3-ノナノン、エチルイソアミルケトン、ジアセチル、アミルシクロペンテノン、2-シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、シス-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、2-(2-(4-メチル)-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピルシクロペンタノン、ダマスコン、α-ダイナスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン、ヨノン、β-ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、プリカトン、カシュメラン、l-カルボン、メントン、カンファー、p-メチルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、フルフラールアセトン、ホモフロノール、マルトール、エチルマルトール、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタール等を挙げることができる。
フェノール類としては、限定はされないが、例えば、チモール、カルバクロール、β-ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β-ナフトールメチルエーテル、β-ナフトールエチルエーテル、クレオゾール、ベラトロール、ヒドロキノンジメチルエーテル、2,6-ジメトキシフェノール、4-エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert-ブチルヒドロキノンジメチルエーテル等を挙げることができる。
エーテル類としては、限定はされないが、例えば、デシルビニルエーテル、α-テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン、2,2-ジメチル-5-(1-メチル-1-プロペニル)-テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4-シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6-トリメチル-6-ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5-イソプロペニル-2-メチル-2-ビニルテトラヒドロフラン、ネロールオキサイド、ローズオキサイド等を挙げることができる。
ラクトン類としては、限定はされないが、例えば、γ-ウンデカラクトン、δ-ドデカラクトン、γ-ヘキサラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、ジャスミンラクトン(δ-ジャスモラクトン)、メチルγ-デカラクトン、7-デセノラクトン、γ-ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ-ヘキサラクトン、δ-2-デセノラクトン、ε-ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリン等を挙げることができる。
含窒素化合物又は含硫化合物としては、限定はされないが、例えば、アントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N-メチルアントラニル酸メチル、N-2’-メチルペンチリデンアントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニトリル、2-トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、3,7-ジメチル-2,6-ノナジエノニトリル、インドール及びその誘導体、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、リモネンチオール、1-P-メンテン-8-チオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸シス-3-ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8-メルカプトメントン等を挙げることができる。
香料成分は、例えば、(1)動物性又は植物性の天然原料から、不揮発性溶剤による抽出、揮発性溶剤による抽出、超臨界抽出などの方法により得られる抽出物;(2)水蒸気蒸留又は圧搾法などにより得られる精油又は回収フレーバー等の天然香料;(3)化学的手法で合成された合成香料;及び(4)これらの香料を油脂又は溶媒に添加又は溶解させたものである香料ベースからなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料に由来するものであり得る。
前記「天然香料」の形態の例としては、アブソリュート、エキストラクト、及びオレオレジン等の抽出物;コールドプレス等の精油;及びチンキと呼ばれるアルコール抽出物などが挙げられる。
前記香料の具体例としては、(1)オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、及びマンダリン油等の柑橘系精油類;(2)ラベンダー油等の花精油又はアブソリュート類;ペパーミント油、スペアミント油、及びシナモン油等の精油類;(3)オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、ガーリック、ジンジャー、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、及びブラックペパー等のスパイス類の、精油又はオレオレジン類;リモネン、リナロール、ゲラニオール、メントール、オイゲノール、バニリン、ネロール、シトロネロール、シトラール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、γ-ウンデカラクトン等の合成香料類;(4)コーヒー、カカオ、バニラ、及びローストピーナッツ等の豆由来の抽出油;(5)紅茶、緑茶、及びウーロン茶等のエキストラクト類;並びにその他合成香料化合物又はその混合物を挙げることができる。
上記の香料成分としては、例えば日本国特許庁編集の「特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料」(平成12年1月14日発行)に記載されている天然香料及び合成香料などを挙げることができる。具体的には、シトラス系果実(オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ・スダチ等)の香りを有するシトラス系香料(88~135頁)、シトラス系果実以外の果実(アップル、グレープ、イチゴ、バナナ、ピーチ、メロン、アンズ、ウメ、サクランボ、ベリー類等)の香りを有するフルーツ系香料(136~257頁)、乳製品の香りを有するミルク系香料(ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、ヨーグルトフレーバー等)(258~347頁)、バニラビーンズの香りを有するバニラ系香料(348~366頁)、緑茶、烏龍茶、紅茶などの香りを有する茶系香料(367~426頁)、ココアやチョコレートの香りを有するココア・チョコレート香料(427~446頁)、コーヒーの香りを有するコーヒー香料(447~475頁)、ペパーミントやスペアミントなどの香りを有するミント系香料(476~495頁)、香辛料の香りを有するスパイス系香料(496~580頁)、アーモンドなどのナッツ類の香りを有するナッツ系香料(581~608頁)、洋酒(例えばワイン、ウイスキー、ブランデー、ラム酒、ジン、リキュール等)の香りを有する洋酒系香料(759~825頁)、花の香りを有するフラワー系香料(826~836頁)、野菜(例えばオニオン、ガーリック、ネギ、人参、ゴボウ、椎茸、松茸、三つ葉等)の香りを有する野菜系香料(837~907頁)などを例示することができる。
一実施態様では、上記の香料成分としては、例えば、バター香料、コーヒー香料、チョコレート香料、メープル香料、抹茶香料、ミルク香料、カニ香料及びピーチ香料からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
(A)成分の油相成分中における上記の香料成分の含有量は、油相成分全量に対して、例えば、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上であり、5質量%以上であることが好ましい。また、油相成分中における上記の香料成分の含有量は、油相成分全量に対して、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下又は10質量%以下であってもよい。
(A)成分の含有量は、水中油型の乳化組成物を構成する範囲内であれば特に限定されない。(A)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、例えば、0.1質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上又は40質量%以上であり得る。また、(A)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、例えば、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下又は10質量%以下であり得る。
((B)HLB値が1以上11未満の乳化剤及び/又はショ糖酢酸イソ酪酸エステル)
本発明の(B)成分は、(B1)HLB値が1以上11未満の乳化剤、(B2)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)又はそれらの組み合わせである。
本明細書中、HLB値は、特に限定されず、計算値であってもよく、実験的に求めた値であってもよい。計算値は、例えば、グリフィン法(20×親水部の式量の総和/分子量)に基づく計算値であってもよい。
(B1)成分の乳化剤は、HLB値が上記の範囲内であれば特に限定されない。乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物が好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されないが、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、有機酸モノグリセリド等が挙げられる。中でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、(a)平均重合度が2以上(好ましくは2~15、より好ましくは2~12)のポリグリセリンと、(b)炭素数8~18の脂肪酸(例、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸)とのエステルであることが好ましい。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、テトラグリセリンステアレート等が挙げられる。
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールモノベヘネート等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタントリオレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタントリステアレート等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数は、好ましくは10~22、より好ましくは12~18である。ショ糖脂肪酸エステルの好ましい具体例は、特に限定されず、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。
本発明において、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルの定量は、ガスクロマトグラフィー/質量分析法を用いて行われる。具体的には、食品衛生学雑誌第44巻第1号,2003年,p.19-25に記載される分析法を用いることができる。
本発明の乳化組成物の(B1)成分の総含有量は、乳化組成物の全量に対して、例えば、0.001質量%以上又は0.005質量%以上であり、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、本発明の乳化組成物の(B1)成分の総含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の全量に対して、好ましくは4質量%未満又は3質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
(B2)成分のショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)は、それ自体は乳化力を持たず、一般的には飲料用の比重調整、飲料の曇りの形成等に用いられる成分である。
本発明の乳化組成物の(B2)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、0.01質量%以上又は0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。また、本発明の乳化組成物の(B2)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、例えば、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下又は20質量%以下であってもよい。
本発明の乳化組成物中の(B1)成分の総含有量1質量部に対する(A)成分の含有量は、例えば、0.1~10000質量部、1~8000質量部又は10~5000質量部である。
本発明の乳化組成物中の(B2)成分の含有量1質量部に対する(A)成分の含有量は、例えば、0.01~1000質量部、0.1~500質量部又は0.5~100質量部である。
((C)タンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子)
本発明の(C)成分は、タンパク質とアニオン性多糖類が複合体化した微粒子であれば、その製造方法は特に限定されない。好ましくは、(C)成分の微粒子は、水溶性又は水分散性を有する。好ましくは、本発明の(C)成分は、タンパク質とアニオン性多糖類が静電的相互作用により複合体化した微粒子である。本発明の水中油型乳化組成物は、(C)成分の代わりに複合体化していない状態のタンパク質とアニオン性多糖類を含有する場合と比べて、より優れた乳化安定性を示す。
本明細書において、「複合体化」とは、元々天然では複合体ではない成分が複合体となることを表す。
(C)成分の微粒子は、例えば、10nm~1000μmの直径を有するものとすることができ、50nm~500μmの直径を有するものが好ましく、100nm~100μmの直径を有するものがより好ましい。得られる微粒子の大きさは、剪断力及びその負荷時間等によって調整することができる。
本明細書中、(C)成分の微粒子の直径は、電子顕微鏡像からランダムに10個の微粒子の直径を測定し、その単純平均をとることにより求められる。
(C)成分の微粒子を構成するタンパク質は、食品の分野に用いることができるタンパク質のみならず、種々のタンパク質を利用することができる。例えば、当該タンパク質は、単純タンパク質、複合タンパク質、誘導タンパク質等のいずれでもよい。当該タンパク質のより具体的な例としては、アルブミン、グロブリン、グルテリン、プロラミン、硬タンパク質(コラーゲン、エラスチン、ケラチン等)、糖タンパク質(オボムコロイド、ムチン)、リンタンパク質(カゼイン)、色素タンパク質(ヘモグロビン、ミオグロビン)、リポタンパク質(リポビテリン、リポプロテイン)、金属タンパク質(フェリチン、ヘモシアニン)、ゼラチン等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。中でも、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、乳清タンパク質、大豆タンパク質、酸性可溶大豆タンパク質、エンドウマメタンパク質、ヒヨコマメタンパク質及びソラマメタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(C)成分を構成するアニオン性多糖類は、分子構造中に負の電荷を有する多糖類であり、例えば次のような群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
微生物が産生する多糖類として、キサンタンガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ラムザンガム、サクシノグリカン、ウェランガム等;
植物由来の多糖類として、ペクチン(果皮由来)、トラガントガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、ガティガム、カラヤガム(樹液由来)、アルギン酸、アルギン酸塩、カラギナン(海藻由来)、大豆多糖類(種子由来)、セルロース誘導体及びデンプン誘導体(植物由来の半合成品)等。
ここでの誘導体とは、化合物の一部を他の原子又は原子団に置換した化合物を意味し、本願においては、多糖類中の原子又は原子団の一部を、アニオン性を示す原子団に置換した化合物全般を指す。アニオン性を示す原子団としては、例えば、カルボキシル基が挙げられる。
(C)成分の微粒子のタンパク質とアニオン性の多糖類との比は、質量比で、例えば2:98~95:5、10:90~90:10、20:80~80:20であってもよい。
本発明の水中油型乳化組成物中の(C)成分の微粒子のアニオン性の多糖類1質量部に対するタンパク質の量は、水中油型乳化組成物の長期(例えば調製後1ヶ月間)の乳化安定性を良好とする観点から、好ましくは0.034~66質量部、より好ましくは0.05~40質量部である。
上記の(C)成分の微粒子の製造方法は、特に限定されないが、少なくとも、
タンパク質とアニオン性の多糖類とを含み、そのタンパク質の等電点より高いpHを有する溶液又は分散液を準備すること、及び
この溶液又は分散液のpHを上記の等電点に近づけること
を含むことが好ましい。
これにより、上記の(C)成分の微粒子を容易に作製することができる。このような製造方法のより具体的な実施形態は、例えば、国際公報2019/087666号公報に記載されているものが挙げられる。以下に具体的な実施形態を示すが、当該実施形態に限定されるものではない。
<(C)成分の作製方法の具体的実施形態>
タンパク質とアニオン性の多糖類とを含み、そのタンパク質の等電点より高いpHを有する溶液又は分散液の準備においては、(a)タンパク質と多糖類とが共存する状態で混合液として準備してもよいし、(b)タンパク質の溶液と、多糖類の溶液又は分散液とを別々に調製し、これらを混合して混合液として準備してもよい。
タンパク質及びアニオン性の多糖類を含む溶液又は分散液において、タンパク質は、その溶液又は分散液が、そのタンパク質の等電点より高いpH、つまり、当初のpHを有していることから、完全に又は略完全に溶解している。また、アニオン性の多糖類は、溶液又は分散液として、完全に又は略完全に溶解していてもよいし、その一部又は全部が溶解せずに、浮遊又は懸濁していてもよい。
タンパク質及びアニオン性の多糖類を含む溶液又は分散液の溶媒は、水、有機溶媒及びこれらの組み合わせから適宜選択することができるが、水(例えば、イオン交換水、純水、蒸留水、超純水、水道水等)であることが好ましい。そして、上記のように、溶媒のpHを調整するために、pH調整剤、例えば、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、リン酸、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン等が含有されていてもよい。
タンパク質及びアニオン性の多糖類を含む溶液又は分散液において、タンパク質は、飽和溶液となる濃度以下の濃度であればよく、水中油型乳化組成物の長期(例えば調製後1ヶ月間)の乳化安定性を良好とする観点から、例えば、0.01~10質量%、好ましくは0.01~5質量%の濃度とすることが挙げられる。アニオン性の多糖類を含む溶液又は分散液の濃度は、水中油型乳化組成物の長期(例えば調製後1ヶ月間)の乳化安定性を良好とする観点から、例えば、0.005~5質量%、好ましくは0.005~3質量%の濃度とすることが挙げられる。
タンパク質及びアニオン性の多糖類を含む溶液又は分散液中のアニオン性の多糖類1質量部に対するタンパク質の量は、水中油型乳化組成物の長期(例えば調製後1ヶ月間)の乳化安定性を良好とする観点から、好ましくは0.034~66質量部、より好ましくは0.05~40質量部である。
タンパク質及びアニオン性の多糖類を含む溶液又は分散液を、タンパク質及びアニオン性の多糖類をそれぞれ含む溶液又は分散液を調製し、これらを混合した混合液として調製する場合、タンパク質の溶液は、タンパク質の等電点より高いpHに維持しているものが好ましい。タンパク質の等電点より高いpHは、1以上高いpHとするものが好ましく、1.4以上又は1.5以上高いpHとするものがより好ましい。一方、タンパク質の溶液は、一般的には使用するタンパク質が水に溶解するpHとすればよく、特に制限するものではないが、9.0よりも低いpHとするものが好ましく、7.0よりも低いpHとするものがより好ましい。タンパク質の種類によっては、上記溶液のpHの値を超える場合も生じるが、本発明ではそれらを排除するものではない。
なお、タンパク質及びアニオン性の多糖類の双方を含む混合液として調製する場合においても、その混合液のpHは、上記と同様に、タンパク質の等電点より高いpHに維持しているものが好ましい。
また、アニオン性の多糖類を含む溶液又は分散液を準備する際、アニオン性の多糖類が溶媒に溶解する場合には溶液とし、溶解しない場合には、適度の力を負荷して分散液とすることが好ましい。ここでの負荷する力は、例えば、加熱しながらのプロペラ撹拌、ホモミキサーによる撹拌、ホモジナイザーによる均質化等、多糖類の分散液を調製するための公知の方法が挙げられる。
タンパク質を溶解する溶媒と、アニオン性の多糖類を含む溶媒とは、同じであってもよい(溶液又は分散液のpHの調整)し、異なっていてもよいが、双方とも同じであることが好ましく、水であることがより好ましい。
これら2種の溶液又は分散液を混合する場合には、タンパク質の等電点より高いpH、つまり当初のpHに維持しながら混合して、混合液とすることが好ましい。混合は、双方が均一に混ざればよい。混合は、手動であってもよいし、当該分野で公知の混合機又は混合装置を用いてもよい。混合は、撹拌(剪断)、振盪、インジェクション、超音波処理等のいずれを利用してもよい。例えば、プロペラ撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いることが挙げられる。この場合の混合は、両者が均一に混じる程度以上の負荷をかければよい。例えば、5MPa~50MPa程度の圧力でのホモジナイザー処理又は5000rpm~35000rpmで、数十秒間~数時間程度の混合が挙げられる。この場合の温度は、溶液が凍結しない温度から、タンパク質が変性しない温度範囲、例えば、室温~80℃の範囲が挙げられる。
次に、上記のタンパク質の溶液と、アニオン性の多糖類の溶液又は分散液とのあるいはタンパク質及びアニオン性の多糖類を含む混合液の、pHをタンパク質の等電点により近い値とする。この場合、pH調整剤を添加してもよい。pHをタンパク質の等電点により近い値とする際、そのpHが液全体で一定となる程度に混合することが好ましい。
例えば、アニオン性の多糖類の溶液又は分散液のpHは、必ずしも、タンパク質の溶液のpHとは一致しないことがあるが、アニオン性の多糖類の溶液又は分散液のpHにかかわらず、両者を混合した混合液のpHが、タンパク質を析出させないpHであり、かつ、タンパク質の等電点に、つまり、当初のpHに対して、より近くなるようにpH調整剤を添加する。
また、タンパク質とアニオン性の多糖類とを含む混合液の場合には、そのpHは、そのタンパク質の等電点よりも高く設定されている、つまり当初のpHに設定されていることから、その混合液のpHを、タンパク質が析出しない程度に低くして、当初のpHよりもタンパク質の等電点により近づける。
ここで、液のpHを等電点により近い値とするとは、当初のpHと用いたタンパク質の等電点との差よりも、得られた混合液のpHと等電点との差を小さくすることを意味する。例えば、当初のpHが等電点よりも高く、得られた混合液のpHが等電点よりも高いか同じであってもよいし、当初のpHが等電点よりも高く、得られた混合液のpHが等電点よりも低くてもよい。
当初のpHに対して、液のpHをタンパク質の等電点により近づける際に、液に、混合によって剪断力を与える。つまり、混合液に、より大きな剪断力を与えるように混合又は撹拌しながらpHをタンパク質の等電点により近い値としてもよいし、pHをタンパク質の等電点により近い値とした後、より大きな剪断力を与えるような混合又は撹拌を行ってもよい。ここでの剪断力は、上記のように、タンパク質の溶液と、アニオン性の多糖類の溶液又は分散液とを別個に調製し、両者を混合する際の均一に混じる程度の負荷より大きな負荷、例えば、高速撹拌、高剪断力を与えることが好ましい。そのために、例えば、羽根付きスクリューによる撹拌、ホモミキサー等の高剪断ミキサーによる循環撹拌、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の機器による均質化等を行うことが挙げられる。
例えば、5000rpm~35000rpmで、室温~タンパク質の変性温度以下、例えば、室温~80℃の温度範囲での数十秒間~数十時間程度の混合が挙げられる。
このような剪断とpHとを調整しながら、タンパク質とアニオン性の多糖類とを含む混合液として混合することにより、いわゆるビルトアップ型の本発明の(C)成分の微粒子を形成することができる。
また、溶液又は分散液を混合しながらpHを等電点に近づけてもよいし、pHを等電点に近づけた後に混合を行ってもよい。溶液又は分散液を混合し、この液のpHを、タンパク質の等電点に近づけることにより、タンパク質及び/又は多糖類の凝集物を生じさせることなく、均一でありかつ微細な状態の微粒子を得ることができる。
(C)成分の微粒子は、水に溶解又は分散した形態で乳化に使用してもよいし、水を含有していない形態で乳化に使用してもよい。水を含んでいない微粒子は、例えば、微粒子を含む水溶液又は分散液を、スプレードライ、凍結乾燥、エタノール沈殿等による微粒子を含む混合液を粉末化した形態のものが挙げられる。
(C)成分の微粒子のより特定の実施形態としては、例えば、アニオン性多糖類としてキサンタンガム、タンパク質として乳清タンパク質、ソラマメタンパク質、エンドウマメタンパク質及び大豆タンパク質からなる群より選ばれる1種以上を含有する微粒子が挙げられる。当該微粒子は、例えば、pHを4.5~6.0又は4.5~5.5、好ましくは4.8~5.2、より好ましくは5.0に調整することにより、それらが複合体化した微粒子を得ることができる。
本発明の乳化組成物の(C)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、例えば、0.001~5質量%、0.01~2質量%であり、本発明の効果を顕著に奏する観点から、0.05~1質量%、0.05~0.5質量%又は0.1~0.5質量%が好ましい。
本明細書中、(C)成分の含有量とは、(C)成分中の上記のタンパク質及びアニオン性多糖類の質量の合計を表す。
本発明の乳化組成物中の(C)成分1質量部に対する(A)成分の含有量は、例えば、0.01~1000質量部、0.1~800質量部、1~500質量部であり、好ましくは10~300質量部である。
((D)多価アルコール)
本発明の乳化組成物は、更に多価アルコールを含有してもよい。これにより、本発明の乳化組成物の乳化安定性を更に高めることができる。
(D)成分の多価アルコールは特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール(D-ソルビトール)、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、オリゴトース、果糖ブドウ糖液糖、及びシュクロースからなる群より選ばれる1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
本発明の乳化組成物中の(D)成分の含有量は、本発明の効果を更に高める観点から、乳化組成物の全量に対して、例えば1~99質量%、好ましくは3~80質量%、より好ましくは5~60質量%である。
((E)水)
本発明の乳化組成物は、水を含有することができる。当該水は、乳化組成物の水相を構成する水(純水、イオン交換水、水道水を含む)、又は水溶液であり得る。
(その他成分)
本発明の乳化組成物には、必要に応じて、レシチンを添加することもできる。レシチンは(A)成分に混合して用いられることが好ましい。
レシチンは、リン脂質を主成分として含有する脂溶性成分である。
当該レシチンの由来は、特に制限されず、当該レシチンは、油糧種子(例:大豆、菜種、及びヒマワリ)等の植物由来のレシチンであってもよく、又は卵黄などの動物由来のレシチンであってもよい。本発明で用いることができるレシチンは、好ましくは、飲食品に添加可能な可食性レシチンであるか、又は化粧料として人体に適用可能なレシチンである。
本発明で用いることができるレシチンは、分別レシチン、酵素分解レシチン、及び酵素処理レシチン等の加工レシチンを包含する。
当該加工レシチン等のレシチンは、商業的に入手することができる。その一例として、辻製油株式会社製のSLP-ホワイト(商品名)を挙げることができる。
当該レシチンは、好ましくは、(A)成分の100質量%に対して、0.5~50質量%、好ましくは2~30質量%、より好ましくは4~20質量%の割合で使用される。
当該レシチンは、好ましくは、前記乳化組成物の全量に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%、及びより好ましくは0.1~2質量%の割合で含有される。
本発明の乳化組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、(A)~(E)成分、レシチン以外に、栄養成分(アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル等);アルコール;酒類;塩類;呈味成分(塩味、うま味等を含む);果汁(濃縮物を含む);果肉;野菜;野菜汁(濃縮物を含む);ピューレ;エキス;甘味料;高甘味度甘味料(スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ソーマチン、ステビア、グリチルリチン、モネリン、アリテーム、グリチルリチン酸二ナトリウム等);苦味料(イソ-α酸、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ等);酸味料;香料;着色料(ベニバナ黄色素、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等);食品添加物(食物繊維、賦形剤、pH調整剤、保存料、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE、抽出トコフェロール等)、増粘剤、安定化剤、糊料等);医薬品、医薬部外品又は化粧品の有効成分又は添加剤、等を1種以上含有することができる。
(物性)
本発明の乳化組成物のD50粒子径は、例えば1~100μm、2~80μm、5~60μm、10~50μm、又は10~40μmであってもよい。本発明の乳化組成物は、D50粒子径が10~50μmのような比較的大きい径であっても乳化安定性が良好であることが特徴の一つである。そして、実施例にも示されるように、D50粒子径が40μm以下の場合は、乳化安定性がより良好となる。
また、本発明の乳化組成物のD50粒子径を例えば10~100μm、好ましくは10~50μm、より好ましくは10~40μmの粒子径とすることにより、飲食品に適用した場合の香り立ちが更に改善される。ただし、本発明の効果をもたらすメカニズムは、粒子径によるものに限定されるべきではない。
本明細書において、乳化組成物のD50粒子径は、25℃において、レーザー回折式粒度分布計によって測定される乳化組成物の粒度分布において、粒子の体積基準の頻度の累積が50%となる粒子径を表す。乳化組成物がそのままでは粒度分布測定に適さない場合は、水によって希釈して、均一に分散させて用いる。例えば、乳化物を適宜水で希釈を行い、ボルテックスで十分に懸濁してから粒度分布の測定を行う。
(効果)
実施例の記載から理解されるように、本発明の乳化組成物は、飲食品に適用した場合に香り立ちが優れ、更に長期(例えば製造後1ヶ月)にわたって優れた乳化安定性を示す。
更に、実施例の記載から理解されるように、本発明の乳化組成物を飲食品に適用すると、カニ、チョコレート、ピーチなどの多様な風味・香味を有する香料成分に対して、本来の風味・香味に近く、風味・香味の違和感を生じにくいという効果を発揮し得る。
(用途)
本発明の乳化組成物は、特に限定されないが、添加用の乳化製剤として、着色(濁り、曇りの付与を含む)、着香、栄養付与若しくは強化、又は風味・香味の付与若しくは改変等の用途に適用することができるが、風味・香味の付与に用いることが好ましい。
本発明の乳化組成物は、飲食品(飲料及び食品)、香粧品、医薬品、医薬部外品、日用品等の製造に用いることができる。中でも飲食品又は化粧品の製造に用いられることが好ましい。とりわけ、飲料の製造に用いられることがより好ましい。
本発明の乳化組成物を用いた飲料の製造には、工業的な飲料製造の他に、サーバーやカップベンダー(カップ式自動販売機)によって、あるいは消費者又は飲食品の提供者によって、本発明の乳化組成物が水、シロップ、炭酸水、アルコール類等又はこれらの混合物により希釈することが含まれる。
本発明において、食品としては、特に限定されず、例えば、ゼリー、プリン、ババロア、ケーキ、クッキー、マカロン等のパティスリー;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓等の冷菓;ヨーグルト、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳等の乳製品;調理食品(シチュー、パスタクリームコロッケ等);ソース、ドレッシング等の調味料;畜肉・水産物加工食品(かまぼこ等);パン類等を挙げることができる。
本発明において、飲料は、特に限定されず、例えば、清涼飲料、アルコール飲料、液剤、ドリンク剤等が挙げられる。
本明細書において、清涼飲料とは、特に限定されないが、例えば茶系飲料(緑茶、紅茶、烏龍茶、ほうじ茶、杜仲茶、麦茶、プーアール茶、玄米茶、ジャスミン茶、そば茶、雑穀茶、ルイボスティー、マテ茶等)、コーヒー飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜入り混合果汁飲料、果肉飲料、炭酸飲料、麦芽飲料、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、ゼリー飲料、ココア飲料、チョコドリンク、乳性飲料、エネルギー飲料、健康飲料(薬系ドリンク、健康サポート飲料、機能性清涼飲料、スポーツドリンク、ビネガードリンク、麦芽ドリンク等)、植物性飲料(米、豆乳、アーモンドを主原料とする穀物飲料等)、甘酒、しるこ、スープ飲料、粉末スープ飲料等の、アルコール度数1度未満の飲料を指す。
本明細書において、アルコール飲料は、飲料中のアルコール度数が1度以上の飲料であり、例えば、酒税法上の「酒」を指すアルコール飲料が挙げられる。具体的には、清酒類
(清酒、合成清酒)、焼酎、ビール、果実酒類(果実酒、梅酒等の甘味果実酒)、ウイスキー類(ウイスキー、ブランデー)、スピリッツ類(スピリッツ)、リキュール類、発泡酒、その他の醸造酒(マッコリ等)、雑酒(粉末酒、その他の雑酒)等を挙げることができる。
本発明において、香粧品としては、特に限定されないが、例えば、香水等のフレグランス製品、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし等)、仕上げ化粧品(ファンデーション、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバー等)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、ヘアワックス、バンドリン、養毛料、染毛料等)、日焼け化粧品(サンタン製品、サンスクリーン製品等)、ハンドクリーム、オーラルケア用品(洗口液、歯磨き等);ボディケア用品(固形石鹸、ハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、リンス、コンディショナー等)等が挙げられる。
本発明において、医薬品としては、特に限定されないが、例えば、錠剤(たとえば、糖衣錠)、顆粒剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、うがい薬等の経口医薬品、ハップ剤、軟膏剤等の皮膚外用剤等が挙げられる。
本発明において、医薬部外品としては、特に限定されないが、例えば、口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉、育毛剤(養毛剤)、除毛剤、染毛剤(染毛、脱色又は脱染に用いるものを含む)、パーマネント・ウェーブ用剤、衛生綿類(生理処理用ナプキン、脱脂綿、ガーゼ等)、浴用剤、薬用化粧品(シャンプー、リンス、化粧水、クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油、ひげそり用剤、日やけ止め剤、パック、薬用せっけん等)、薬用歯磨き類(洗口剤等を含む)、忌避剤、殺虫剤、殺そ剤、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤、のど清涼剤、健胃清涼剤、ビタミン剤、カルシウム剤、ビタミン含有保健剤等が挙げられる。
本発明において、日用品としては、特に限定されないが、例えば、アロマ用品(芳香剤、消臭剤、フレグランスオイル等);衣類用洗剤、台所用洗剤、トイレ用洗剤、浴室用洗剤、柔軟剤、衣類仕上げ剤等の洗剤類;ワックス類;クレンザー類;;入浴剤;オーラルケア用品(歯ブラシ、歯間清掃具等);ペーパー類(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、紙おむつ等);その他匂い付きグッズ、等が挙げられる。
(形態)
本発明の乳化組成物は、通常、液体状(溶液、乳化液、分散液を含む)又は半固形状(ペースト状やクリーム状を含む)の形状を有する。また本発明の乳化組成物を一旦、水性溶媒に分散又は溶解した後に、水性溶媒を蒸留又は乾燥等の定法に従って、減少又は除去することによって調製されるものを挙げることができる。このような方法により調製される乳化組成物は、ペースト状などの半固形状、又は粉末状や顆粒状などの固形状でありうる。
更に、本発明の乳化組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ソフトカプセル、ハードカプセル等のカプセルに封入されていてもよい。あるいは、本発明の乳化組成物は、錠剤状のものであってもよい。そのような錠剤状の乳化組成物は、上記の固形状の乳化組成物をそのまま又は賦形剤を添加した後で、圧縮して得られる。
[水中油型乳化組成物を含有する飲食品]
本発明の飲食品又は製剤は、上記の本発明の乳化組成物を含有する。飲食品の具体的な実施形態は上記の[水中油型乳化組成物]の用途の項に示した飲食品が挙げられる。
本発明の飲食品における本発明の乳化組成物の含有量は、その用途、形態等によって適宜設定され得るが、例えば、飲食品全量に対して、0.001質量%以上又は0.01質量%以上であり、また5質量%以下又は1質量%以下とすることができる。
[水中油型乳化組成物の製造方法]
本発明の乳化組成物の製造方法は、上記(A)~(C)成分、及び水を含有する混合物を調製する工程、並びに前記混合物を乳化処理する工程を含む。
(A)~(C)成分の例及び乳化組成物全量に対する含有量は、上記の[乳化組成物]の項に記載したものと同じである。
(混合物を調製する工程)
(A)~(C)成分を含有する混合物を調製する工程において、これらの成分、並びに、任意で上記のレシチン、多価アルコール及びその他成分を混合する場合、それらの混合の順序は、特に限定されない。中でも、本発明の製造方法には、(A)及び(B)成分を含有する混合物を準備する工程と、該混合物と(C)成分及び水を含有する混合物とを混合して乳化処理する工程を含むことが好ましい。
(乳化処理)
乳化処理は、公知又は慣用の混合方法を採用して実施すればよい。その例は、例えば、ホモジナイザー(例:高圧ホモジナイザー(ゴーリン式等)、ホモディスパー、ホモミキサー、ポリトロン式撹拌機、コロイドミル、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー等)、プロペラ撹拌機、又はパドル式撹拌機等の混合機を使用する方法を包含する。
乳化処理の条件は特に制限されないが、一例として、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー等を用いる場合の好ましい圧力条件(圧力)は5MPa以上であり、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは15MPa以上である。圧力の上限は特に制限されないが、例えば、200MPaである。
また、プロペラ撹拌機、ホモミキサー、ホモディスパー等を用いる場合の好ましい回転条件(回転数)は500rpm以上であり、より好ましくは800rpm以上、更に好ましくは2000rpm以上、更により好ましくは5000rpm以上である。回転数の上限は特に制限されないが、例えば12000rpmである。
((C)成分を調製する工程)
本発明の製造工程には、更に[水中油型乳化組成物]の項に記載した(C)成分の調製工程を含んでもよい。
(その他工程)
本発明の乳化組成物の製造工程には、製造する組成物の形態に応じて、更に水による希釈工程、加熱殺菌工程、乾燥工程(噴霧乾燥法、凍結乾燥法、共沸溶媒の使用、及び水除去剤の使用等の慣用の水除去方法等)、カプセル充填工程、圧縮工程、容器充填工程等を含んでいてもよい。
[乳化安定性の改善方法]
本発明は、以下の方法を含む。
(A)香料成分を含有する油相成分;及び
(C)タンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子
を含む組成物に、
(B)(B1)HLB値が1以上11未満の乳化剤及び/又は(B2)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)
を適用することを含む、乳化安定性の改善方法。
上記の方法の具体的な実施形態は、上記の水中油型乳化組成物及びその製造方法の記載に基づいて理解することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。表の処方の単位は特に記載がない限り質量%である。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。また、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であることを示し、文中「※」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
[材料及び方法]
実施例では、以下の材料、装置、及び測定方法を採用した。
(1)材料
(1-1)(A)香料成分を含有する油相成分
香料成分を含有する油相成分として、バター香料(バターフレーバーBH-466)、コーヒー香料(コーヒーフレーバーNE-2613)、チョコレート香料(チョコレートフレーバーNE-3184)、メープル香料(メープルフレーバーNE-3182)及び抹茶香料(マッチャフレーバーNE-3179)(以上、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、ミルク香料、カニ香料及びピーチ香料を使用した。これらの油溶性香料は、いずれも香料成分としてlogPが5.0以下の香料成分を、5%以上含有する。
(1-2)中鎖脂肪酸(MCT)オイル
MCTオイルは、中鎖脂肪酸100%であり、香料成分を含有しないものを使用した。下記の試験例では、MCTオイルと油溶性香料の両方を含有する処方では、それら両方が油相成分を構成することとなる。
(1-3)(C)タンパク質-アニオン性多糖類複合体化微粒子成分 タンパク質-アニオン性多糖類複合体化微粒子成分(以下、単に「微粒子成分」と呼ぶ)は、各試験例に記載した方法により調製した。
(2)装置及び分析方法
下記の方法によって得られる2週間の保存によるD50粒子径の変化率と、1ヶ月の保存による乳化物の分離の目視評価により、乳化安定性の評価を行った。
(2-1)粒度分布及びD50粒子径の測定
各試験例で調製した乳化組成物について、乳化粒子の粒子径を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2100(島津製作所(株)製)を用いて測定した。測定サンプルとして、各試験例で調製した直後、及び調製後2週間室温(25℃)で静置保存した乳化組成物をイオン交換水で適宜希釈したものを用いた。そして、25℃にて、それぞれのサンプルのD50粒子径(体積基準)を測定した。そして調製直後のD50粒子径rに対する、調製してから2週間保存した後のD50粒子径rの割合(変化率r/r)を求めた。なお、油相分離を起こして乳化粒子が測定できない場合は、表中に「分離」と記載した。
上記変化率r/rが1.5未満である場合、乳化組成物中の「乳化粒子が安定に保たれている」と判断した。
(2-2)目視による分離の確認
更に、各試験例で調製した乳化組成物を1ヶ月室温(25℃)で静置保存した後の乳化状態を目視で観察し、以下の基準により評価した。ここで、「分離」とは、乳化粒子の合一により油相の分離がみられる状態を意味しており、弱く撹拌しても再分散しない。「下透きあり」とは、油相と水層の比重差により油滴が浮上し、乳化物が濃縮化した状態(クリーミング)を意味し、弱く撹拌することで乳化粒子が再分散する。下透きが生じていてもクリーミングの状態の場合は、乳化物の層が安定であり、分離がない場合に比べて乳化安定性は劣るものの良好であるとみなした。「分離なし」とは、油相の分離もクリーミングによる下透きも生じず、油相が水相に均一に分散している状態を意味する。そして、油相が分離していると判断された場合、乳化組成物の安定性は不良であると判断した。
<目視による乳化状態の評価>
◎:分離なし
〇:クリーミングによる下透きが生じているが、分離は見られない
×:乳化粒子が合一して油相が分離している
[試験例1.種々の油相成分に対する微粒子成分の乳化効果の確認試験]
試験例1~4では、次の方法で作製した微粒子成分の懸濁液(0.15質量%キサンタンガム、0.2質量%タンパク質含有)を使用した。
(1)アニオン性多糖類として、キサンタンガム(商品名:サンエースC(*))を、80℃に加熱したイオン交換水に添加し、80℃のまま10分間撹拌溶解した後、室温まで冷却して、0.167質量%キサンタンガム水溶液を調製した(キサンタンガム水溶液のpHは6.5)。
(2)乳清タンパク質を2.0質量%含有するようにイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.5~7.0に調整して、タンパク質水溶液を調製した。
(3)(1)のキサンタンガム水溶液と(2)のタンパク質水溶液を質量比で9:1となるように混合し、4枚羽根のスクリューで均一になるまで400rpmで10分間撹拌混合した。
(4)得られた溶液を9000rpmで3分間ホモミキサーによって撹拌しながら、クエン酸水でpH5.0に調整した。
次に、以下の表1の組成で、油相成分としてMCTオイル又は種々の香料成分を含有する水中油型乳化組成物を調製し、得られた乳化組成物の乳化安定性の評価を行った。
Figure 0007061223000001
参考例1-1のように、油相成分としてMCTオイルのみを使用した場合は、微粒子成分によって安定した乳化粒子が形成された。しかし、比較例1-1~4のように、油相成分として香料成分を使用すると、微粒子成分のみでは安定な乳化組成物が得られないことが明らかとなった。そこで、微粒子成分にグリセリン脂肪酸エステル(HLB値3.5)を加えると、実施例1-1~4のように、十分な乳化安定性が得られることが分かった。
[試験例2.種々の乳化剤による乳化安定化の確認試験]
表2の組成の水中油型乳化組成物を調製し、種々のHLB値の乳化剤を微粒子成分と併用した場合の乳化安定性を比較した。
Figure 0007061223000002
表2の結果から、乳化剤と微粒子成分を併用する場合、HLB値が1以上11未満の乳化剤を用いると、香料成分を含有する油相成分の乳化安定性が良好となることが明らかとなった。一方、HLB値が11以上の乳化剤を使用した場合、乳化安定性が悪いことが判明した。
[試験例3.異なる乳化剤配合量による乳化安定化効果の確認試験]
表3の組成の水中油型乳化組成物を調製し、種々の量の乳化剤を微粒子成分と併用した場合の乳化安定性を比較した。
Figure 0007061223000003
表3の結果から、乳化剤と微粒子成分を併用した場合、香料成分を含有する油相成分の乳化には、乳化剤の含有量が0.01~3質量%の範囲で良好な乳化安定性が得られることが明らかとなった。中でも、乳化剤を0.05~1質量%の範囲で含有する場合は、2週間後のD50粒子径が30μm未満に保たれており、乳化安定性がより高いことが推察される。
[試験例4.乳化剤以外の成分を使用した場合の乳化安定化効果の確認試験]
表4の組成の水中油型乳化組成物を調製し、乳化剤以外の成分としてショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)を微粒子成分と併用した場合の乳化安定性を比較した。
Figure 0007061223000004
表4の結果から、SAIBと微粒子成分を併用した場合、香料成分を含有する油相成分の乳化安定性を向上させることが明らかとなった。また、少なくとも、0.5~20質量%の範囲のSAIB含有量で乳化安定性が良好となることが判明した。
更に、実施例4-3と実施例4-6及び実施例4-7を比較すると、SAIBに加えてHLB1以上11未満の乳化剤を微粒子成分と併用することで、乳化粒子のD50粒子径がより小さくなるため、乳化安定性が更に高まっていることが理解できる。
[試験例5.多価アルコールによる乳化安定化効果の確認試験]
表5の組成の水中油型乳化組成物を調製し、乳化剤、SAIB及び微粒子成分に、更に多価アルコール(プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール)を組み合わせた場合の乳化安定性を比較した。
Figure 0007061223000005
表5の結果から、微粒子成分の量を減少させても、乳化剤及びSAIBを併用すると乳化安定性は良好であった。そして、実施例5-2~5-9は、いずれも実施例5-1に比べて1ヶ月静置後の状態が良好であり、かつ乳化粒子のD50粒子径が小さいことから、微粒子成分、乳化剤及びSAIBに加えて多価アルコールを含有することによって、乳化安定性が更に高められることが明らかとなった。
[試験例6.異なる組成の微粒子成分による乳化安定性の確認試験1]
表6の処方及び製法に従って、表7に記載した量の乳清タンパク質とキサンタンガムを含有する微粒子成分懸濁液を用いた乳化香料組成物を調製した。ここで、微粒子成分懸濁液は、以下の方法により調製した。
(1)キサンタンガム(商品名:サンエースC(*))を、80℃に加熱したイオン交換水に添加し、80℃のまま10分間加熱攪拌溶解した後、室温まで冷却して、キサンタンガム水溶液を調製した。
(2)タンパク質をイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.5~7.0に調整して、タンパク質水溶液を調製した。
(3)(1)のキサンタンガム水溶液と、(2)のタンパク質水溶液を混合して、4枚羽根のスクリューで均一になるまで400rpmで10分攪拌混合した。この混合により、キサンタンガムとタンパク質の含有量が表7に記載の量に調整される。
(4)得られた溶液を9000rpmで3分間ホモミキサーによって攪拌しながら、クエン酸水でpH5.0に調整した。

Figure 0007061223000006
Figure 0007061223000007
乳化安定性の結果を表7に示した。いずれの実施例も良好な乳化安定性を示したが、乳清タンパク質が0.01~5.0質量%、キサンタンガムが0.005質量%以上の微粒子成分懸濁液を用いた実施例は、乳化安定性が特に良好であった。また、キサンタンガム1質量部に対してソラマメタンパク質が0.05~40質量部の範囲の微粒子成分懸濁液を使用した場合に特に良好な乳化安定性を示した。
[試験例7.異なる組成の微粒子成分による乳化安定性の確認試験2]
表8の処方及び製法に従って、表9に記載した量のソラマメタンパク質とキサンタンガムを含有する微粒子成分懸濁液を用いた乳化香料組成物を調製した。ここで、微粒子成分懸濁液は、乳清タンパク質の代わりにソラマメタンパク質を用いた他は、試験例6と同様の方法で調製した。
Figure 0007061223000008
Figure 0007061223000009
乳化安定性の結果を表9に示した。試験例6と同様に、ソラマメタンパク質が0.01~5.0質量%、キサンタンガムが0.005質量%以上の微粒子成分懸濁液を用いた実施例は、乳化安定性が特に良好であった。また、キサンタンガム1質量部に対してソラマメタンパク質が0.05~40質量部の範囲の微粒子成分懸濁液を使用した場合に特に良好な乳化安定性を示した。
[試験例8.異なる組成の微粒子成分による乳化安定性の確認試験3]
表10の処方及び製法に従って、表9に記載した量のエンドウマメタンパク質とキサンタンガムを含有する微粒子成分懸濁液を用いた乳化香料組成物を調製した。ここで、微粒子成分懸濁液は、試験例6と同様の方法で調製した。
Figure 0007061223000010
Figure 0007061223000011
乳化安定性の結果を表11に示した。試験例6、7と同様に、エンドウマメタンパク質が0.01~5.0質量%、キサンタンガムが0.005質量%以上の微粒子成分懸濁液を用いた実施例は、乳化安定性が特に良好であった。また、キサンタンガム1質量部に対してソラマメタンパク質が0.05~40質量部の範囲の微粒子成分懸濁液を使用した場合に特に良好な乳化安定性を示した。
[試験例9.異なる組成の微粒子成分による乳化安定性の確認試験4]
表12の処方及び製法に従って、表13に記載した種々の多糖類と乳清タンパク質を含有する微粒子成分懸濁液を用いた乳化香料組成物を調製した。ここで、微粒子成分懸濁液は、試験例6と同様の方法で調製した。
Figure 0007061223000012
Figure 0007061223000013
乳化安定性の結果を表13に示した。微粒子成分の調製に酸性多糖類を使用した実施例は良好な乳化安定性を示したが、中性多糖類であるローカストビーンガムやグァーガムを使用して調製した乳化香料組成物は、2週間後には相分離し、乳化安定性が不良であった。
[試験例10.異なるpHで調製した微粒子成分による乳化安定性の確認試験]
表14の処方及び製法に従って、表15のように同じ組成であるが調製時のpHが異なる微粒子成分懸濁液を用いた乳化香料組成物を調製した。ここで、微粒子成分懸濁液は、(4)のステップでpHを表15に記載した値に調整した以外は、試験例6と同様の方法で調製した。
Figure 0007061223000014
Figure 0007061223000015
微粒子成分懸濁液の調製に乳清タンパク質を用いた場合、pHが4.5より大きく6.5以下に調整して乳化香料組成物に適用すると、乳化香料組成物が良好な乳化安定性を示した。一方、pH4に調整した微粒子成分懸濁液を使用した場合、乳化香料組成物は2週間後に相分離し、乳化安定性が不良であった。
試験例1~10の実施例の乳化香料組成物は、その香味に対して適切な食品に適用した場合、良好な香り立ちと高い嗜好性を示した。これらの実施例は、表1の比較例のようにグリセリン脂肪酸エステル及びSAIBを含有しない場合に比べて、香り立ちが顕著に優れることが予想される。
[試験例11.乳化香料組成物の風味に対する効果の確認試験1]
本試験例ではカニ香料を含む種々の香料組成物を調製し、それらを用いてカニカマ(カニ風味のかまぼこ)を調製して、カニの風味の香り立ちと嗜好性を評価した。
(香料組成物及びカニカマの調製)
まず、表16に記載の処方及び製法に従って香料組成物を調製した。実施例11-1に使用した微粒子成分懸濁液は、試験例6と同様の手順で乳清タンパク質0.2質量%、キサンタンガム0.15質量%を含有する水溶液を調製し、(4)でpHを5.00に調整して調製されたものを用いた。
Figure 0007061223000016
次に、表17の処方に従って、上記3種類の香料組成物のいずれかを0.05、0.2又は0.5質量%含有するカニカマを調製した。
Figure 0007061223000017
(官能評価)
下記の喫食方法及び評価方法に従って、得られたカニカマの香り立ち及び嗜好性を官能評価した。官能評価は、食品の研究開発に従事し、官能評価に熟練している10名からなる官能パネルにより行った。香り立ちの尺度に用いられる基準食品に添加される基準香料組成物には、比較例11-1を使用した。
<食品の喫食方法>
試験食品を2回/秒程度の速さで咀嚼した際、咀嚼し初めから5秒後に感じる風味・香味を以下の評価基準に従って点数付けした。
<評価方法>
(1)香り立ち
まず香料組成物として、表18の0.01~1.00質量%の基準香料組成物を含有する10種の基準食品を調製した。次に、パネリストに基準食品と試験食品を上記方法により喫食して、試験食品に最も近い香り立ちの基準食品を選び、その評点(表18に記載)をその試験食品の香り立ちの評点とした。表18から理解されるように、評点が高いほど香り立ちが良好であることを表す。10名のパネリストの評点の平均値を、その食品の香り立ちの評点とした。
Figure 0007061223000018
(2)嗜好性
食品の嗜好性は、試験対象となる食品(以下、対象食品と呼ぶ。例えば、本試験例の場合はカニカマ)の本来の風味を感じる度合いを表す。パネリストは、試験前に下記の評価尺度を理解し、パネリスト間で評点のすり合わせを行ったうえで、上記方法により試験食品を喫食して5段階で評価した。10名のパネリストの評点の平均値を、その食品の嗜好性の評点とした。
<<嗜好性の評価尺度>>
-2:対象食品の風味とは異なる風味を感じ、対象食品としては非常に好ましくない
-1:対象食品の風味が感じにくく、対象食品としては好ましくない
0:対象食品の風味が増強され、対象食品として違和感なく試食できる
1:自然な対象食品の風味が増強され、対象食品として好ましい
2:濃厚な対象食品の風味が増強され、対象食品として非常に好ましい
(結果)
表16の各香料組成物を種々の量含有するカニカマの官能評価結果を表19-1に示した。また、そのパネリスト別の評点を表19-2に示した。パネリスト間の評点のバラつきを考慮しても、実施例11-1の香料組成物を含有するカニカマは、比較例の香料組成物を含有するカニカマに比べて、いずれの添加量においても顕著に優れた香り立ちと嗜好性を示した。本食品で通常使用されるオイル香料や乳化香料では、香り立ちが悪く風味が良くないが、本発明品は、香り立ちが良く濃厚な風味を増強することができる。
Figure 0007061223000019
Figure 0007061223000020
[試験例12.乳化香料組成物の風味に対する効果の確認試験2]
本試験例ではチョコレート香料を含む種々の香料組成物を調製し、更にそれらを含有するフラワーシートを折り込んだ折り込みパンを調製して、そのチョコレートの風味の香り立ちと嗜好性を評価した。
(香料組成物及び折り込みパンの調製)
まず、表20に記載の処方及び製法に従って香料組成物を調製した。実施例12-1に使用した微粒子成分懸濁液は、試験例11と同じものを用いた。
Figure 0007061223000021
次に、表21の処方及び製法に従って、上記3種類の香料組成物のいずれかを0.05、0.2又は0.5質量%含有するフラワーシートを調製した。
Figure 0007061223000022
得られたフラワーシート100部をそれぞれパン生地(強力粉280部、バター50部、砂糖25.5部、スキムミルク12部、塩5部、全卵25部、水150部、ドライイースト2.8部:合計550.3部)に練り込み、成形した後で、オーブンで220℃30分焼成し、折り込みパンを調製した。
(官能評価)
官能評価は、基準香料組成物として比較例12-1を使用した以外は試験例11と同様の方法により行った。
(結果)
表20の各香料組成物を種々の量含有する折り込みパンの官能評価結果を表22-1に示した。また、そのパネリスト別の評点を表22-2に示した。パネリスト間の評点のバラつきを考慮しても、実施例12-1の香料組成物を含有する折り込みパンは、比較例の香料組成物を含有する折り込みパンに比べて、いずれの添加量においても顕著に優れた香り立ちと嗜好性を示した。本食品で通常使用されるオイル香料や乳化香料では、香り立ちが悪く風味が良くないが、本発明品は、香り立ちが良く濃厚な風味を増強することができる。
Figure 0007061223000023
Figure 0007061223000024
[試験例13.乳化香料組成物の風味に対する効果の確認試験3]
本試験例ではピーチ香料を含む種々の香料組成物を調製し、更にそれらを含有するピーチ風味のゼリーを調製して、そのピーチ風味の香り立ちと嗜好性を評価した。
(香料組成物及びゼリーの調製)
まず、表23に記載の処方及び製法に従って香料組成物を調製した。実施例13-1に使用した微粒子成分懸濁液は、試験例11と同じものを用いた。
Figure 0007061223000025
次に、表24の処方及び製法に従って、上記3種類の香料のいずれかを0.05、0.2又は0.5質量%含有するゼリーを調製した。
Figure 0007061223000026
(官能評価)
官能評価は、基準香料組成物として比較例13-1を使用した以外は試験例11と同様の方法により行った。
(結果)
表23の各香料組成物を種々の量含有するゼリーの官能評価結果を表25-1に示した。また、そのパネリスト別の評点を表25-2に示した。パネリスト間の評点のバラつきを考慮しても、実施例13-1の香料組成物を含有するゼリーは、比較例の香料組成物を含有するゼリーに比べて、いずれの添加量においても顕著に優れた香り立ちと嗜好性を示した。本食品で通常使用されるオイル香料や乳化香料では、香り立ちが悪く風味が良くないが、本発明品は、香り立ちが良く濃厚な風味を増強することができる。
Figure 0007061223000027
Figure 0007061223000028

Claims (6)

  1. A)香料成分を含有する油相成分、
    (B)(B1)HLB値が1以上11未満の乳化剤及び/又は(B2)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、並びに
    (C)タンパク質及びアニオン性多糖類が複合体化した微粒子
    を含有し、
    前記(B1)成分を含有する場合、前記(B1)成分1質量部に対する前記(A)成分の含有量が、10~5000質量部であり、
    前記(B2)成分を含有する場合、前記(B2)成分1質量部に対する前記(A)成分の含有量が、0.5~100質量部であり、
    前記(C)成分1質量部に対する前記(A)成分の含有量が、1~800質量部であり、
    乳化粒子のD50粒子径が、1~100μmである、
    水中油型乳化組成物。
  2. 前記乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. 前記タンパク質が、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、乳清タンパク質、大豆タンパク質、酸性可溶大豆タンパク質、エンドウマメタンパク質、ヒヨコマメタンパク質及びソラマメタンパク質からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. 前記アニオン性多糖類が、キサンタンガム、ウェランガム、カラギナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ラムザンガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、サクシノグリカン、セルロース誘導体、デンプン誘導体及び大豆多糖類からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物。
  5. 更に(D)多価アルコールを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物を含む、飲食品。
JP2021175319A 2020-10-30 2021-10-27 水中油型乳化組成物 Active JP7061223B1 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020182100 2020-10-30
JP2020182100 2020-10-30
JP2021174405 2021-10-26
JP2021174405 2021-10-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7061223B1 true JP7061223B1 (ja) 2022-04-27
JP2022074064A JP2022074064A (ja) 2022-05-17

Family

ID=81390806

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021175319A Active JP7061223B1 (ja) 2020-10-30 2021-10-27 水中油型乳化組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7061223B1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114886785A (zh) * 2022-06-07 2022-08-12 美尚(广州)化妆品股份有限公司 一种三元冻干组合物及其在冻干制剂中的应用
CN115011517A (zh) * 2022-06-13 2022-09-06 华中农业大学 一种乳剂及其制备方法和在益生菌制剂中的应用

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013084518A1 (ja) 2011-12-09 2013-06-13 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 乳化組成物、及びそれを含有する組成物
CN107410829A (zh) 2017-03-30 2017-12-01 湖北工业大学 一种提高多糖/蛋白复合物乳化稳定性的方法
JP2018093868A (ja) 2016-12-08 2018-06-21 三菱ケミカルフーズ株式会社 水中油型乳化組成物、及び該水中油型乳化組成物の製造方法
JP2018143242A (ja) 2017-03-01 2018-09-20 三菱ケミカルフーズ株式会社 水中油型乳化組成物、及び該水中油型乳化組成物の製造方法
WO2019087666A1 (ja) 2017-11-02 2019-05-09 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 水溶性又は水分散性微粒子の製造方法、乳化機能代替物としての使用又は使用方法、乳化物の製造方法、食品の製造方法及び乳化物を含む食品

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013084518A1 (ja) 2011-12-09 2013-06-13 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 乳化組成物、及びそれを含有する組成物
JP2018093868A (ja) 2016-12-08 2018-06-21 三菱ケミカルフーズ株式会社 水中油型乳化組成物、及び該水中油型乳化組成物の製造方法
JP2018143242A (ja) 2017-03-01 2018-09-20 三菱ケミカルフーズ株式会社 水中油型乳化組成物、及び該水中油型乳化組成物の製造方法
CN107410829A (zh) 2017-03-30 2017-12-01 湖北工业大学 一种提高多糖/蛋白复合物乳化稳定性的方法
WO2019087666A1 (ja) 2017-11-02 2019-05-09 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 水溶性又は水分散性微粒子の製造方法、乳化機能代替物としての使用又は使用方法、乳化物の製造方法、食品の製造方法及び乳化物を含む食品

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114886785A (zh) * 2022-06-07 2022-08-12 美尚(广州)化妆品股份有限公司 一种三元冻干组合物及其在冻干制剂中的应用
CN115011517A (zh) * 2022-06-13 2022-09-06 华中农业大学 一种乳剂及其制备方法和在益生菌制剂中的应用
CN115011517B (zh) * 2022-06-13 2024-02-06 华中农业大学 一种乳剂及其制备方法和在益生菌制剂中的应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022074064A (ja) 2022-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN103391764B (zh) 有机化合物
JP7061223B1 (ja) 水中油型乳化組成物
JP3958885B2 (ja) 保存安定性に優れた粉末素材
JP6682130B2 (ja) 高甘味度甘味料の呈味改善剤
JP2004168936A (ja) シトラス様香料組成物
JP6334470B2 (ja) 4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5h)−フラノンを有効成分とする香料組成物
JP3469694B2 (ja) 粉末香料の製造方法
JP6790149B2 (ja) 香気または香味増強用組成物
TW201828823A (zh) 高度含有萜系烴香料化合物之水中油型乳化香料組成物
JP5738154B2 (ja) ミント風味香料組成物
JP2021016380A (ja) 乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は乳化安定性向上用剤
JP6975831B2 (ja) 香気保留性向上用組成物、及びその製造方法
JP2003176233A (ja) 水系対象物への甘草油性抽出物可溶化方法
JP2002371276A (ja) 抗酸化剤、それを用いた食品及び化粧品
JP2015050999A (ja) 液状飲食品、インスタント嗜好性飲料用組成物、液状飲食品の製造方法、液状飲食品の食感改善方法、及び食感付与剤
JPH01284333A (ja) 乳化液組成物
JP6754457B2 (ja) 香料組成物
JP6348555B2 (ja) 柑橘様香味増強剤
JP6605563B2 (ja) 2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを含有する香料組成物
JP7305702B2 (ja) 乳様香味付与組成物
JP2024003289A (ja) 水中油型乳化物およびそれを用いたアルコール飲料
WO2021230353A1 (ja) パプリカ乳化色素製剤及びその製造方法
JP2021122217A (ja) 粉末成分を含有する乳化組成物
JP2024008467A (ja) ユズ香味付与組成物
WO2020116092A1 (ja) モリンガ抽出物及び/又は粉砕物を含む組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211027

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20211027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220413

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7061223

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150