JP2024003289A - 水中油型乳化物およびそれを用いたアルコール飲料 - Google Patents

水中油型乳化物およびそれを用いたアルコール飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】乳化性・安定性の高い水中油型乳化物、特に低pHのアルコール飲料に適した水中油型乳化物および乳化香料を提供する。【解決手段】油性素材を0.5~30質量%、下記(A)及び(B)の性質を有するたん白素材を粗蛋白質量として0.1~20質量%、豆科植物由来の水溶性多糖類を0.01~20質量%、並びに水を5~50質量%を含んだ、水中油型乳化物を用いる。(A)粗蛋白質量 20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。(B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型乳化物およびそれを用いたアルコール飲料に関する。
食品の製造に際し、安定な水中油型乳化物を添加することがある。例えば、レモンやオレンジなどの柑橘類の精油や、油溶性の香気成分などを、その嗜好性を高めるために添加することがあるが、これらの油溶性成分は水には溶けないため、直接飲料に添加することができない。そこで、予め保護コロイド物質や乳化剤により水分散を可能としたものが乳化香料である。
乳化香料はアルコール飲料に独特の呈味感を付与できるばかりでなく、乳化粒子の光散乱効果による濁りを付与し、果汁感を印象付けることも可能であり、近年、スポーツドリンクや果汁飲料などの他、チューハイやカクテル飲料などの低濃度アルコール飲料にも使用されている。また、その独特の呈味感は、エッセンス香料で賦香することが難しいことから、乳化粒子径を調整し透明性を有した乳化香料を、外観が透明なチューハイやリキュール類に使用する場合もある。一方で、油溶性の香気成分を含まず/または含んだものを、濁り付与を目的に飲料に使用する場合もある。
チューハイやカクテル飲料などの低濃度アルコール飲料の製造は、予め調製した高濃度含アルコール液糖を希釈して、最終商品とする方法が知られており、この高濃度含アルコール液糖に対し、乳化香料が配合される場合がある。例えば、7容量%アルコール飲料の場合は、3~5倍濃縮品である21~35容量%アルコール飲料に乳化香料を添加したものを一時的に調製し、これを希釈して最終商品とする。また、近年、飲料業界においては、流通におけるエネルギーコスト及びCO2排出量の削減から、最終消費者が希釈して喫食する、いわゆる濃縮物が製品として流通する事が増加している。また、これらの飲料は総じて酸性である。つまり、高アルコール・低pHの溶液中で安定な乳化物が所望されている。
乳化香料等の長期間の安定を必要とする水中油型乳化物については、その安定に寄与する保護コロイド成分としてアラビアガムや大豆多糖類(特許文献1)が知られているが、長期保存の際に、沈殿を生じたり乳化の安定性に問題を生じることがあり、さらに優れた保護コロイド成分が望まれていた。特に、対象とする飲料がアルコール飲料の場合、従来の保護コロイド成分では耐アルコール性が強いとは言えず、アルコール飲料用に適した、乳化力が高く、安定性にも優れた乳化香料及び香料に用いる、改良された保護コロイド成分が望まれている。
乳化香料についての研究で特にアルコール飲料用への改良として、酵素分解レシチンを含ませた低分子の合成乳化剤の配合剤による技術(特許文献2)、ポリグリセリン脂肪酸エステルとリゾレシチンもしくはレシチンの配合による技術(特許文献3,特許文献4)等が開示されている。しかし、低分子成分のみでは保護コロイド機能が不充分であるし、合成乳化剤の使用は消費者に忌避される等の問題が残っている。
また、ガディガムを配合する技術(特許文献5)も開示されているが、1週間の安定性しか担保されていない上に、製造には強いせん断力を必要とする。
一方保護コロイド成分である大豆多糖類について、精製処理により品質を高め乳化力の向上や、製品に用いた場合の濁りや沈殿を少なくする工夫も種々行われており、活性炭処理、アミラーゼ処理、プロテアーゼ処理、沈殿物を除外する(特許文献6,7,8)などの技術が開示されている。しかし、実用性まで考えた場合に、耐アルコール性が強いとは言えず、必ずしも満足できるものが得られていないのが現状である。
特開平7-107927号公報 特開2008-136487号公報 特開2015-000044号公報 特開2017-112915号公報 特開2014-195477号公報 特開2001-252092号公報 特開平10-36405号公報 特開2012-200190号公報
本発明は、乳化性・安定性の高い水中油型乳化物、特に低pHのアルコール飲料に適した水中油型乳化物および乳化香料を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の性質を有したたん白素材と豆科植物由来の水溶性多糖類を用いることで、合成乳化剤や有機溶剤等を使用しなくとも、乳化性、保存安定性、耐光性、アルコール耐性、耐酸性の高い水中油型乳化物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は
(1)油性素材を0.5~30質量%、下記(A)及び(B)の性質を有するたん白素材を粗蛋白質量として0.1~20質量%、豆科植物由来の水溶性多糖類を0.01~20質量%、並びに水を5~50質量%を含んだ、水中油型乳化物。
(A)粗蛋白質量 20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。
(B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。
(2)pH7以下でエタノールを20容量%以上含有する、希釈用アルコール飲料に用いるものである、(1)に記載の水中油型乳化物。
(3)(1)に記載の水中油型乳化物、およびエタノールを含有する、pH7以下のアルコール飲料。
(4)(1)に記載の水中油型乳化物、および20容量%以上のエタノールを含有したpH7以下の原料液、並びに溶媒を混合する、アルコール飲料の製造方法。
(5)さらに油溶性香料を含む、(1)記載の水中油型乳化物。
(6)(5)の水中油型乳化物を含有する乳化香料。
(7)pH7以下でエタノールを20容量%以上含有する、希釈用アルコール飲料に用いるものである、(6)に記載の乳化香料。
(8)(6)に記載の乳化香料、およびエタノールを含有する、pH7以下のアルコール飲料。
(9)(6)に記載の乳化香料、および20容量%以上のエタノールを含有したpH7以下の原料液、並びに溶媒を混合する、アルコール飲料の製造方法。
である。
本発明によれば、低pHのアルコール飲料に加えても安定性の高い、水中油型乳化物および乳化香料を提供するものである。
以下に本発明を詳しく説明する。
(油性素材)
本発明の油性素材とは、水に不溶性または難溶性でかつ中性脂質に溶解しやすい物質を指す。すなわち、ダイズ油、ナタネ油、トウモロコシ油、サフラワー油、コメ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、落花生油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、豚脂、牛脂、魚油、中鎖脂肪酸油といったトリグリセリド類およびこれらをエステル交換や水素添加処理等で改質したもの、並びにこれらを分解した脂肪酸類が挙げられる。トリグリセリド類を構成する脂肪酸には多価不飽和脂肪酸(例えば、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸ならびにγ-リノレン酸および/またはエチルエステル)等も含まれる。より微小な乳化粒子を得るには、40℃以下の融点を有する油性素材が好ましく、同融点のトリグリセリドが更に好ましく、中鎖脂肪酸油(MCT)が最も好ましい。
また本油性素材には、生理機能の付与または着色等の目的で以下に挙げる油溶性物質を加えることもできる。すなわち、カロテノイドおよびカロテノイド誘導体(例えば、α-カロテンまたはβ-カロテン、8’-アポ-β-カロテナール、8’-アポ-β-カロテン酸エステル)、フラボノイド、ウコン、アナトー、アントシアニン、タール色素といった色素類、ビタミンA、D、E、K、コエンザイムQ10ならびにそれらの誘導体(ビタミンAエステルやビタミンEエステル。例えば、ビタミンA酢酸エステルおよびビタミンAパルミチン酸エステルならびに酢酸トコフェロール)といった脂溶性ビタミン類、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、カンゾウ油抽出物、ゴマ油不けん化物、γ-オリザノール、ナタネ油抽出物、L-アスコルビン酸エステルといった抗酸化剤が例示できるが、これらに限定されるものではない。
(たん白素材)
本発明に用いるたん白素材は、加熱後の粘度が低いものが必要である。すなわち、たん白素材を粗蛋白質量が20質量%となる水溶液を調製し、80℃,30分の加熱の後、25℃にて粘度測定する事により測定できる。加熱後粘度は10,000mPa・s以下であり、好ましくは5,000mPa・s以下、1,000mPa・s以下、500mPa・s以下であり、更に好ましくは200mPa・s以下、100 mPa・s以下である。
また、本たん白素材は一定サイズの分子量が必要となる。分子量は、TCA可溶化率で定義される。本発明においてTCA可溶化率は、総粗蛋白質量に対する0.22M TCA中で溶解する粗蛋白質量の比率で定義される。TCA可溶化率は30~95%であり、好ましくは35~90%、更に好ましくは40~85%、50~80%である。TCA可溶化率が低すぎると加熱後粘度が増加する傾向となり適切ではない、また、透過率が低下する。一方、TCA可溶化率が高すぎると、乳化性に寄与する蛋白質量が低下し、たん白素材を多く配合する必要が生じるため、配合の自由度が低下し、好ましくない。
本たん白素材は、蛋白質の溶解性の指標として用いられているNSI(Nitrogen Solubility Index:窒素溶解指数)が80以上のものであることが好ましい。より好ましくはNSIが85以上、90以上、95以上、又は97以上のものを用いることができる。たん白素材のNSIが高いことは、水への分散性が高いことを示し、本発明である水中油型乳化物の分散安定性に寄与し得る。NSIが低すぎると沈殿が生じやすくなり、好ましくない。また、たん白素材中の粗蛋白質含量についても、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が最も好ましい。粗蛋白質含量が多いたん白素材の方が、より少量で機能を出すことが可能となる。
このようなたん白素材は、一般的に市販されていないが、後述する変性および分子量調整処理等により得ることができる。また、市販の大豆たん白素材、例えばフジプロR、フジプロ748、フジプロCL、ハイニュートAM(以上、不二製油社製)等は、本要件に該当しない。
上記の調製を行う対象のたん白素材の由来は特に限定されないが、植物性、動物性または微生物由来の蛋白質が使用できる。植物性蛋白質としては、大豆、エンドウ、緑豆、ルピン豆、ヒヨコ豆、インゲン豆、ヒラ豆、ササゲ等の豆類、ゴマ、キャノーラ種子、ココナッツ種子、アーモンド種子等の種子類、とうもろこし、そば、麦、米などの穀物類、野菜類、果物類、藻類、微細藻類などに由来する蛋白質が挙げられる。一例として大豆由来のたん白素材の場合、脱脂大豆や丸大豆等の大豆原料からさらに蛋白質を濃縮加工して調製されるものであり、一般には分離大豆たん白質、濃縮大豆たん白質や粉末豆乳、あるいはそれらを種々加工したものなどが概念的に包含される。
また、動物性の蛋白質としては、卵白アルブミンを含む卵蛋白質、カゼイン、乳清、ラクトアルブミン、ラクトグロブリンなどの乳蛋白質、血漿、血清アルブミン、脱色ヘモグロビンなどの血液に由来する蛋白質、畜肉に由来する蛋白質、魚介類に由来する蛋白質等が挙げられる。更に、酵母、カビ、細菌類等の微生物由来の蛋白質が利用できる。水への溶解性に劣る蛋白質であっても、後述する処理により、本発明に使用できるたん白素材を調製することができる。
(変性および分子量調整処理)
本発明の水中油型乳化物に用いられるたん白素材は、蛋白質を分解及び/又は変性させる「分解/変性処理」と、蛋白質の分子量分布の調整する「分子量分布調整処理」を組み合わせて適用することにより得られる。上記「分解/変性処理」の例として、酵素処理、pH調整処理(例えば、酸処理、アルカリ処理)、変性剤処理、加熱処理、冷却処理、高圧処理、有機溶媒処理、ミネラル添加処理、超臨界処理、超音波処理、電気分解処理及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。上記「分子量分布調整処理」の例として、ろ過、ゲルろ過、クロマトグラフィー、遠心分離、電気泳動、透析及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。「分解/変性処理」と「分子量分布調整処理」の順序及び回数は特に限定されず、「分解/変性処理」を行ってから「分子量分布調整処理」を行ってもよいし、「分子量分布調整処理」を行ってから「分解/変性処理」を行ってもよいし、両処理を同時に行ってもよい。また、例えば2回以上の「分子量分布調整処理」の間に「分解/変性処理」を行う、2回以上の「分解/変性処理」の間に「分子量分布調整処理」を行う、各々複数回の処理を任意の順に行う、等も可能である。なお、「分解/変性処理」によって所望の分子量分布が得られる場合は、「分子量分布調整処理」を行わなくてもよい。これらの処理を組み合わせて、複数回行う際、原料から全ての処理を連続で行ってもよいし、時間をおいてから行ってもよい。例えば、ある処理を経た市販品を原料として他の処理を行ってもよい。なお、上記特性を満たす限り、分子量分布調整処理を経たたん白素材と、分子量分布調整処理を経ていないたん白素材を混合して、特定のたん白素材としてもよい。この場合、両者の比率(処理を経たたん白素材:処理を経ていないたん白素材)は上記特性を満たす範囲で適宜調整可能であるが、質量比で例えば1:99~99:1、例えば50:50~95:5、75:25~90:10等が挙げられる。ある実施形態では、本態様の水中油型乳化物に用いられるたん白素材は、「分解/変性・分子量分布調整処理」を経たたん白素材からなる。
蛋白質を分解又は変性させる処理の条件、例えば酵素、pH、有機溶媒、ミネラル等の種類や濃度、温度、圧力、出力強度、電流、時間等は、当業者が適宜設定できる。酵素の場合、使用される酵素の例として、「金属プロテアーゼ」、「酸性プロテアーゼ」、「チオールプロテアーゼ」、「セリンプロテアーゼ」に分類されるプロテアーゼが挙げられる。反応温度は20~80℃、好ましくは40~60℃で反応を行うことができる。pH調整処理の場合、例えばpH2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12の任意の値を上限、下限とするpH範囲、例えばpH2~12の範囲で処理し得る。酸処理の場合、酸を添加する方法であっても、また、乳酸発酵などの発酵処理を行う方法であってもよい。添加する酸の例として、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。また、レモンなどの果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルト、醸造酢などの酸を含有する飲食品を用いて酸を添加してもよい。アルカリ処理の場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを添加し得る。変性剤処理の場合、塩酸グアニジン、尿素、アルギニン、PEG等の変性剤を添加し得る。加熱又は冷却処理の場合、加熱温度の例として、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃の任意の温度を上限、下限とする範囲、例えば60℃~150℃が挙げられる。冷却温度の例として、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-65℃、-70℃、-75℃の任意の温度を上限、下限とする範囲、例えば-10℃~-75℃が挙げられる。加熱又は冷却時間の例として、5秒、10秒、30秒、1分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、120分、150分、180分、200分の任意の時間を上限、下限とする範囲、例えば5秒間~200分間が挙げられる。高圧処理の場合、圧力の条件の例として、100MPa、200MPa、300MPa、400MPa、500MPa、600MPa、700MPa、800MPa、900MPa、1,000MPaの任意の圧力を上限、下限とする範囲、例えば100MPa~1,000MPaが挙げられる。有機溶媒処理の場合、用いられる溶媒の例として、アルコールやケトン、例えばエタノールやアセトンが挙げられる。ミネラル添加処理の場合、用いられるミネラルの例として、カルシウム、マグネシウムなどの2価金属イオンが挙げられる。超臨界処理の場合、例えば、温度約30℃以上で約7MPa以上の超臨界状態の二酸化炭素を使用して処理できる。超音波処理の場合、例えば100KHz~2MHzの周波数で100~1,000Wの出力で照射して処理し得る。電気分解処理の場合、例えば蛋白質水溶液を100mV~1,000mVの電圧を印加することにより処理し得る。具体的な実施形態において、蛋白質を分解及び/又は変性させる処理は、変性剤処理、加熱処理、及びそれらの組み合わせから選択される。
蛋白質の分子量分布を調整する処理の条件、例えばろ材の種類、ゲルろ過の担体、遠心分離回転数、電流、時間等は、当業者が適宜設定できる。ろ材の例として、ろ紙、ろ布、ケイ藻土、セラミック、ガラス、メンブラン等が挙げられる。ゲルろ過の担体の例として、デキストラン、アガロース等が挙げられる。遠心分離の条件の例として、1,000~3,000×g、5~20分間等が挙げられる。
(豆科植物由来の水溶性多糖類)
本発明に用いる豆科植物由来の水溶性多糖類は、水溶性酸性多糖類であり、大豆、エンドウ豆、小豆、ササゲ、インゲン豆、ソラ豆、ヒヨコ豆、レンズ豆等の豆科植物より得ることができ、これらは1種、または2種以上を併用して使用することができる。好ましくは、大豆、エンドウ豆由来のものである。
水溶性多糖類が大豆由来のものである場合の製造法の好ましい一例を示すと以下の通りである。おから等の大豆由来の原料を酸性乃至アルカリ性の条件下、好ましくはpH3~6で、温度として好ましくは80℃以上150℃以下、より好ましくは100℃を超え、130℃以下にて加熱分解して水溶性大豆多糖類を抽出し、これを遠心分離等で固液分離することで水溶性画分を得る。この水溶性画分をそのまま乾燥するか、例えば活性炭処理或いは樹脂吸着処理或いはエタノール沈澱処理して疎水性物質あるいは低分子物質を除去した後乾燥することによって、水溶性大豆多糖類を得ることができる。
また、水溶性多糖類がエンドウ豆由来のものである場合、例えば、国際公開WO2012/176852号や国際公開WO2014/103833号に記載の方法で水溶性エンドウ多糖類を得ることができる。
(油溶性香料)
本発明の「油溶性香料」とは、香気成分を含有する油溶性または脂溶性の物質であり、その限りにおいて特に制限されないが、食品に配合可能な可食性香料であることが好ましい。たとえば、動物性または植物性の天然原料から、不揮発性溶剤または揮発性溶剤による抽出、超臨界抽出等により得られる抽出物、水蒸気蒸留、熱水蒸留、アンフルラージュ、圧搾法等により得られる精油、回収フレーバー等の天然香料、精油等の天然物から単離精製操作により得られた単離香料、化学合成または発酵等微生物を利用して生成された合成香料、これらの香料を調合して得られた香料ベース等が例示される。
具体的には、天然香料としては、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ダイダイ等の柑橘類の果皮から得られる精油、バラ、ジャスミン、ダイダイ、カミツレ、イランイラン等の花、蕾から得られる精油、ゼラニウム、ユーカリ、ティートリー等の葉から得られる精油、シナモン、ビャクダン、マツ、ヒノキ等の樹皮から得られる精油、スパイス(オールスパイス、アニスシード、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、ガーリック、ジンジャー、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、ブラックペパー等)、ジュニバー、バニラ等の種子、果実から得られる精油またはオレオレジン、ラベンダー、レモングラス、バジル、ローズマリー、ペパーミント、スペアミント等の全草から得られる精油、紅茶、緑茶、ウーロン茶等の抽出物等が挙げられる。また、合成香料としては、単環式モノテルペン(d-リモネン、α-テルピネン、γ-テルピネン等)、複環式モノテルペン(α-ピネン、β-ピネン等)、テルペンアルコール(リナロール、l-メントール、シネオール等)、テルペンアルデヒド(シトロネラール、シトラール(ゲラニアールおよびネラール)、ペリラアルデヒド等)等のテルペン類、アネトール、オイゲノール等のフェニルプロパノイド、オクタナール、デカナール等の鎖状アルデヒド等、精油から単離された単離香料、エチルバニリン、エチルマルトール等の全合成香料等が挙げられる。
本発明においては、油溶性香料として、上記した天然香料、合成香料、香料ベース等は、1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの香料は、前述した油性素材と任意の割合で混合したものを、流通し使用することができる。
(乳化香料)
本発明の水中油型乳化物の特に有利な用途は、乳化香料への使用である。乳化香料は一般的には、精製した精油や調合香料である油溶性香料を植物油に溶解し、これをアラビアガムや水溶性大豆多糖類等の乳化剤を用いて乳化した水中油型乳化物である。飲料等に特定の風味を付与することを目的に、微量を添加するものであり、大希釈された状態であっても乳化を壊すことなく、場合によっては1年以上も保持することができる。後述する本発明の水中油型乳化物は、乳化物調製時の油性素材に油溶性香料を添加することで、乳化香料として使用することができる。
(乳化剤)
本発明にて、前述したたん白素材以外にも、乳化剤を配合することができる。ここで乳化剤と称するものは、合成乳化剤や天然乳化剤を含む。具体的には、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、ポリオキシエチレン誘導体、脂肪酸塩、加工デンプンといった合成乳化剤の他、レシチン、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン、ヒドロキシレシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、アセチル化レシチンといった天然由来のレシチン類およびこれらを化学的あるいは酵素処理することで得られたレシチンの誘導体、ダイズサポニンやキラヤサポニン等の天然由来のサポニン類等が挙げられる。また、前述したたん白素材の要件に合致しない蛋白質類、例えば、本発明の処理を行っていない乳カゼインやラクトアルブミン等も、乳化性を有するものは乳化剤に含まれるものとする。例えば、水相および油相に、それぞれに溶解する各種の乳化剤を添加することも可能である。
(配合比率)
以下に配合を説明する。水相と油相を別々に調製するが、最終的には以下の配合比で、全量を100質量%となる様に行う。配合から外れると水中油型乳化物の調製が難しい一方、好ましい配合だと適切な水中油型乳化物を得ることができる。
油相は、油性素材として水中油型乳化物中の0.5~30質量%、好ましくは1~20質量%、更に好ましくは2~15質量%である。
乳化香料を調製するために油溶性香料を添加する場合は、乳化香料として有効な香気を有する量を添加する。使用する香料により大きく異なるが、仮にレモンオイルを用いる場合は、水中油型乳化物中の0.5~15質量%、好ましくは1~10質量%、更に好ましくは1~5質量%が例示できる。
水相は以下の組成となる。たん白素材は、粗蛋白質量として水中油型乳化物中の0.1~20質量%であり、好ましくは0.5~10質量%、更に好ましくは1~7質量%、最も好ましくは1.5~3質量%である。また、油性素材の1~500質量%が好ましく、5~300質量%がより好ましい。
豆科植物由来の水溶性多糖類は、水中油型乳化物中の0.02~10質量%であり、好ましくは0.05~5質量%、更に好ましくは0.1~3質量%である。また、たん白素材の1~300質量%が好ましく、5~100質量%が更に好ましい、最も好ましくは15~70質量%である。
水は水中油型乳化物中の5~50質量%、好ましくは10~40質量%、更に好ましくは15~30質量%である。
油性素材、たん白素材、豆科植物由来の水溶性多糖類以外にも、本発明に影響の出ない範囲で種々の物質を加えることが可能であり、以下に例示する。
糖類、栄養成分(アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル等)、酒類、塩類、呈味成分(塩味、うま味等を含む)、果汁(濃縮物を含む)、果肉、野菜、野菜汁(濃縮物を含む)、ピューレ、エキス、甘味料、高甘味度甘味料(スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ソーマチン、ステビア、グリチルリチン、モネリン、アリテーム、グリチルリチン酸二ナトリウム等)、苦味料(イソ-α酸、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ等)、酸味料、着色料(ベニバナ黄色素、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等)、食品添加物(食物繊維、賦形剤、pH調整剤、保存料、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE、抽出トコフェロール等)、増粘剤、安定化剤、糊料等)、医薬品、医薬部外品又は化粧品の有効成分又は添加剤、等が挙げられる。
さらに、本発明の水中油型乳化物または乳化香料を飲料、例えば果汁飲料、炭酸飲料、発酵乳飲料、アルコール飲料等に使用する場合、飲料中で安定な乳化粒子を得るために、油性材料に予め、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(SAIB)等の比重調整剤を添加して、乳化後の油相の比重を添加しようとする飲料の比重に合致するようにすることもできる。
なお、乳化香料を始めとした一部の水中油型乳化物には従来アラビアガムが良く用いられてきたが、本発明のたん白素材は、アラビアガムよりも少量の添加量で乳化粒子を安定化させることが可能である。このような乳化能の高さは従来のたん白素材や水溶性大豆多糖類等でも得られなかったものであり、添加量を減らせることによる原料コストの低減にも有利である。
本発明は、水分活性を一般的に微生物が増殖しにくいとされる0.6以下とすることが容易であり、微生物が増殖しないとされる0.5以下とする事も可能で、保存性を大きく改善できる。具体的には水を減らし、易水溶性物質を増やすことで水分活性を下げることができる。易水溶性物質としては、グリセリン、ソルビトール、フルクトース、スクロース等の添加が効果的であり、この際の水中油型乳化物中の水分量は20質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
(乳化物の原液の調製)
以下に調製方法の一例を記載する。まずは水相の調製を説明する。水相は水にたん白素材および豆科植物由来の水溶性多糖類を加え、攪拌等により溶解させる。使用する水の温度は特に限定しないが、温水が好ましく、40~80℃が適切である。温度が低いと粘度が増加して作業性が悪化し、温度が高いと配合する香料及び油溶性分が劣化する原因となる場合がある。本発明に用いるたん白素材は加熱後に低粘度であることが特徴であり、ここで調製する水相も粗蛋白質濃度が高いにも関わらず、低い粘度を示す。
次に油相の調製を説明する。油相は前述した油性素材及びまたは油溶性香料、必要によりこれらとSAIBとの混合物を用いる。油相も構成する脂肪酸等によっては加温が好ましく、多くはその融点以上で調製を行う。
(乳化装置)
水相および油相の2液を混合する。この際に予備乳化を行うことが好ましい。予備乳化は、ホモミキサー等で処理することで、粒径を10~100μm程度の水中油型乳化物に調製することである。回転数は機器により異なるが、例えばPRIMIX社製のHOMOGENIZING MIXER MARK II Model 2.5の場合、8,000rmpで10分間ほどの処理が例示できる。
続けて、主たる乳化を行う。乳化には特に限定されるものではないが、せん断力の高い乳化装置が好ましく、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、真空乳化機などが例示できる。具体的にはAPVゴーリンホモジナイザー(APV社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)又はナノマイザー(大和製罐社製)等を好ましく使用することができる。
これらの高圧乳化装置を用いて、10MPa以上の圧力で乳化を行うことが好ましい。マイクロフルイダイザーを例示すれば、好ましくは10MPa以上、更に好ましくは30MPa以上の圧力にて、2回以上の好ましくは4回以上の、更に好ましくは10回以上の、せん断処理を行うことが効果的である。
また、上記均質化処理機に代えて、例えば超音波乳化機等の均質化処理機を用いても良い。例としては、超音波ホモジナイザーUS-600、同US-1200T,同RUS-1200T、同MUS-1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP-2000,同UIP-4000、同UIP-8000,同UIP-16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの高出力超音波照射装置は25kHz以下、好ましくは15~20kHzの周波数で使用される。
(粒子径)
本発明の乳化物は、水に添加した場合、乳化粒子径は2μm以下、好ましくは1μm以下である。乳化粒子径が小さくなるほど、透明性が低下するが、用途に応じ、任意で選択される。
本発明の特長の1つは、乳化安定性が高い事であり、例えば弱酸性の含アルコール液糖溶液に配合された後に、乳化粒子径が増大しない事を意味する。
本発明の乳化物およびその原料については、以下の手順にてその評価を行う。
<水分>
常圧加熱減量法(105℃,12時間)にて求める。
<粗蛋白質含量>
ケルダール法により測定する。具体的には、たん白素材重量に対して、ケルダール法により測定した窒素の質量を、乾燥物中の粗蛋白質含量として「質量%」で表す。なお、窒素換算係数は6.25とする。基本的に、小数点以下第2桁の数値を四捨五入して求められる。
<NSI>
試料3gに60mlの水を加え、37℃で1時間プロペラ攪拌した後、1,400×gにて10分間遠心分離し、上澄み液(I)を採取する。次に、残った沈殿に再度水100mlを加え、再度37℃で1時間プロペラ撹拌した後、遠心分離し、上澄み液(II)を採取する。(I)液及び(II)液を合わせ、その混合液に水を加えて250mlとする。これをろ紙(No.5)にてろ過した後、ろ液中の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素量(水溶性窒素)の試料中の全窒素量に対する割合を質量%として表したものをNSIとする。基本的に、小数点以下第2桁の数値を四捨五入して求められる。
<TCA可溶率>
たん白素材の2質量%水溶液に、0.44M トリクロロ酢酸(TCA)を等量加え、0.22M TCA溶液とし、可溶性窒素の割合をケルダール法により測定した値とする。基本的に、小数点以下第2桁の数値を四捨五入して求められる。
<粘度(加熱後粘度)>
たん白素材の粘度は、B型粘度計(東機産業社製、タイプBM)を用い測定する。粗蛋白質量が20質量%となるようにたん白素材水溶液を調製し、測定容器に充填、ロータをセットし、密閉の後、湯浴中にて80℃,30分間の加熱を行う。次いで、25℃にて、任意の回転数で測定し、指針値を読み取り、ロータNo.と回転数に対応した換算乗数を掛けて、粘度を算出する。(単位:Pa・s)1分後の測定値とする。基本的に回転数は60rpmとする。高粘度のサンプルはロータNo.を1→4とし、6rpmまで回転数を低下させる。尚、本測定の測定上限粘度は100,000mPa・sとなる。ロータNo.4と回転数6rpmで測定レンジを超過する場合は、即時に加熱後粘度は100,000mPa・s以上と判定する。
<水分活性>
水分活性(Aw)は、メータージャパン社製水分活性測定装置AquaLab TDLを用い、25℃にて測定する。
(応用)
本発明の水中油型乳化物は、特に限定されないが、添加用の乳化製剤として、着色(濁り、曇りの付与を含む)、着香、栄養付与若しくは強化、又は風味・香味の付与若しくは改変等の用途に適用することができるが、風味・香味の付与に用いることが好ましい。
本発明の水中油型乳化物は、飲食品(飲料及び食品)、香粧品、医薬品、医薬部外品、日用品等の製造に用いることができる。中でも飲食品又は化粧品の製造に用いられることが好ましい。とりわけ、飲料の製造に用いられることがより好ましい。
本発明の水中油型乳化物を用いた飲料の製造には、工業的な飲料製造の他に、サーバーやカップベンダー(カップ式自動販売機)によって、あるいは消費者又は飲食品の提供者によって、本発明の水中油型乳化物が水、シロップ、炭酸水、アルコール類等又はこれらの混合物により希釈することが含まれる。
本発明において、食品としては、特に限定されず、例えば、ゼリー、プリン、ババロア、ケーキ、クッキー、マカロン等のパティスリー、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓等の冷菓、ヨーグルト、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳等の乳製品、調理食品(シチュー、パスタクリームコロッケ等)、ソース、ドレッシング等の調味料、畜肉・水産物加工食品(かまぼこ等)、パン類等を挙げることができる。
本発明において、飲料は、特に限定されず、例えば、清涼飲料、液剤、ドリンク剤、並びにアルコール飲料および希釈用アルコール飲料等が挙げられる。
(清涼飲料)
本明細書において、清涼飲料とは、特に限定されないが、例えば茶系飲料(緑茶、紅茶、烏龍茶、ほうじ茶、杜仲茶、麦茶、プーアール茶、玄米茶、ジャスミン茶、そば茶、雑穀茶、ルイボスティー、マテ茶等)、コーヒー飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜入り混合果汁飲料、果肉飲料、炭酸飲料、麦芽飲料、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、ゼリー飲料、ココア飲料、チョコドリンク、乳性飲料、エネルギー飲料、健康飲料(薬系ドリンク、健康サポート飲料、機能性清涼飲料、スポーツドリンク、ビネガードリンク、麦芽ドリンク等)、植物性飲料(米、豆乳、アーモンドを主原料とする穀物飲料等)、甘酒、しるこ、スープ飲料、粉末スープ飲料等の、アルコール度数1度未満の飲料を指す。
(アルコール飲料)
本発明はアルコール飲料について有効であり、酸性のアルコール飲料について、特に有効である。本明細書において、アルコール飲料は、飲料中のアルコール度数が1度(1容量%)以上の飲料であり、例えば、酒税法上の「酒」を指すアルコール飲料が挙げられる。好ましくはアルコール度数が2度以上、3度以上、4度以上、5度以上であり、更に好ましくは50度以下、30度以下、20度以下、15度以下である。また、pHは7以下が好ましく、5以下が更に好ましく、4以下が最も好ましい。また2以上が好ましく、3以上が更に好ましい。
具体的には、清酒類(清酒、合成清酒)、焼酎、ビール、果実酒類(果実酒、梅酒等の甘味果実酒)、ウイスキー類(ウイスキー、ブランデー)、スピリッツ類(スピリッツ)、リキュール類、発泡酒、その他の醸造酒(マッコリ等)、雑酒(粉末酒、その他の雑酒)等を挙げることができる。中でも、チューハイやサワーと呼ばれる、焼酎等のスピリッツ、フレーバーおよび炭酸水で構成された飲料が特に好ましい。
(希釈用アルコール飲料)
希釈用アルコール飲料とは、炭酸水や水等の溶媒を用いて、希釈して飲用に用いるアルコール飲料を言う。前述のチューハイ等のアルコール飲料は、例えば濃厚な原液を調製した上で、水や炭酸水等で希釈することで、製造することもできる。この濃厚な原液を本明細書では希釈用アルコール飲料とする。例えば、35質量%の液糖を含む酸性の糖液23質量%に、アルコール濃度が35容量%となるよう高濃度アルコールを混合した液に本発明の乳化香料を0.5質量%添加することで、乳化香料が配合された希釈用アルコール飲料が製造できる。これを5倍希釈する事で、一般的に流通するようなアルコール飲料が製造できる。
希釈用アルコール飲料は、これを希釈し充填したアルコール飲料の工業的な生産だけでなく、家庭で希釈して使用する為の、濃縮飲料として流通することもできる。
上記に示した清涼飲料、アルコール飲料、希釈用アルコール飲料は何れも飲料であり、種々の栄養成分等を強化することも可能である。本発明では、特に油溶性成分の強化に適しており、油溶性ビタミン類等が例示できる。
(香粧品)
本発明において、香粧品としては、特に限定されないが、例えば、香水等のフレグランス製品、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし等)、仕上げ化粧品(ファンデーション、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバー等)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、ヘアワックス、バンドリン、養毛料、染毛料等)、日焼け化粧品(サンタン製品、サンスクリーン製品等)、ハンドクリーム、オーラルケア用品(洗口液、歯磨き等)、ボディケア用品(固形石鹸、ハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、リンス、コンディショナー等)等が挙げられる。
(医薬品および医薬部外品)
本発明において、医薬品としては、特に限定されないが、例えば、錠剤(たとえば、糖衣錠)、顆粒剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、うがい薬等の経口医薬品、ハップ剤、軟膏剤等の皮膚外用剤等が挙げられる。
本発明において、医薬部外品としては、特に限定されないが、例えば、口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉、育毛剤(養毛剤)、除毛剤、染毛剤(染毛、脱色又は脱染に用いるものを含む)、パーマネント・ウェーブ用剤、衛生綿類(生理処理用ナプキン、脱脂綿、ガーゼ等)、浴用剤、薬用化粧品(シャンプー、リンス、化粧水、クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油、ひげそり用剤、日やけ止め剤、パック、薬用せっけん等)、薬用歯磨き類(洗口剤等を含む)、忌避剤、殺虫剤、殺そ剤、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤、のど清涼剤、健胃清涼剤、ビタミン剤、カルシウム剤、ビタミン含有保健剤等が挙げられる。
(日用品)
本発明において、日用品としては、特に限定されないが、例えば、アロマ用品(芳香剤、消臭剤、フレグランスオイル等)、衣類用洗剤、台所用洗剤、トイレ用洗剤、浴室用洗剤、柔軟剤、衣類仕上げ剤等の洗剤類、ワックス類、クレンザー類、入浴剤、オーラルケア用品(歯ブラシ、歯間清掃具等)、ペーパー類(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、紙おむつ等)、その他匂い付きグッズ、等が挙げられる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。以下に記載の部または%は、特に記載のない場合は、それぞれ質量部または質量%とする。
(原料製造例)水溶性エンドウ多糖類の製造例
エンドウの種子50kgを脱皮した後、5倍量の水を加えて24時間浸漬した。ホモミキサー(5,000rpm,30分間)にて種子を砕き、蛋白質と澱粉を抽出した。遠心濾過機を用いて1,500×g,20分間で水に分散している蛋白質や澱粉などの成分を除去し、繊維質を回収した。更に、繊維質に5倍量の水を加えてホモミキサー(3,000rpm,30分間)で攪拌し、遠心濾過(1,500×g,20分間)により繊維質を回収した。この操作を2回繰り返し、凍結乾燥して10kgのエンドウ繊維を得た。エンドウ繊維80質量部を920質量部の水に分散し、塩酸を用いてpH5に調整した後、120℃にて90分間加熱して水溶性エンドウ多糖類を抽出した。エンドウ繊維100質量部に対して0.2質量部に相当するアミラーゼ(Fungamyl:ノボザイム社製)を抽出液に添加し、澱粉を分解した後、不溶性繊維を遠心分離(5,000rpm,30分間)にて除去して上清を回収した。この上清に60質量%になるようにエタノールを加えて水溶性エンドウ多糖類を沈殿させ、90質量%の含水エタノールで精製し、得られた沈殿を風乾して水溶性エンドウ多糖類を得た。
(たん白素材)
蛋白素材として以下を用いた。
・大豆たん白素材A:分離大豆蛋白質の分解/変性・分子量分布調整処理品。(不二製油株式会社テスト製造品、水分 1.2%、粗蛋白含量 79.3%、TCA可溶化率 61.8%、加熱後粘度 28mPa・s、NSI 98.1)原料 分離大豆蛋白質:フジプロR(不二製油社製、粗蛋白質含量 87.2%、TCA可溶化率 3.2%)
・大豆たん白素材B:(フジプロR・不二製油社製、粗蛋白質含量 87.2%、TCA可溶化率 3.2%、加熱後粘度 10万mPa・s以上、NSI 81.2)
大豆たん白素材C(フジプローCL・不二製油社製、粗蛋白質含量 88.0%、TCA可溶化率 23.0%、加熱後粘度 10万mPa・s以上、NSI 65.0)を用いた。
大豆たん白素材D(ハイニュートAM・不二製油社製、粗蛋白質含量 90.0%、TCA可溶化率100.0%、加熱後粘度 20mPa・s、NSI 100)を用いた。
・エンドウたん白素材A:エンドウ蛋白質の分解/変性・分子量分布調整処理品。(不二製油株式会社テスト製造品、水分 1.1%、粗蛋白含量 72.4%、TCA可溶化率 45.9%、加熱後粘度 43mPa・s、NSI 98.9)原料 エンドウ蛋白質:PP-CS(オルガノフードテック(株)社製、粗蛋白質含量 79.1%)
・乳清たん白素材A:乳清蛋白質の分解/変性処理品(不二製油株式会社テスト製造品、水分 1.1%、粗蛋白含量 56.8%、TCA可溶化率 58.2%、加熱後粘度 145mPa・s、NSI 99.6)原料 乳清たん白:WPC80(Warrnambool Cheese & Butter Pty Lftd.社製、粗蛋白質含量 78.9%)
・酵母たん白素材A:酵母蛋白質の分解/変性処理品(不二製油株式会社テスト製造品、水分 3.2 %、粗蛋白含量 59.8%、TCA可溶化率 63.2%、加熱後粘度 180mPa・s、NSI 98.2)原料 酵母たん白:酵母プロテイン(80)(株式会社 中原社製、粗蛋白質含量 82.1%)、パン酵母(S.cerevisiae)由来
(他の原料)
他の原料は、以下のものを用いた。
香料:レモンオイル(山桂産業製)
MCT:MCT73(不二製油製)
S.A.I.B:Eastman Sustane(TM) SAIB (Sucrose Acetate Isobutyrate), Food Grade(イーストマンケミカル製)
グリセリン:食添(キシダ化学製)グリセリン:食添(キシダ化学製)
アラビアガム:アラビックコールSS(三栄薬品貿易製)
ペクチン:JMJ-J (CP Kelco製)
レシチン:SLP-ペースト(辻製油製)
水溶性大豆多糖類:ソヤファイブ-S-DA100(不二製油製)
エタノール:発酵アルコール95容量%(第一アルコール株式会社製)
(尚、以降に記載するエタノール使用量は、100%エタノールに換算して記載した。)
異性化液糖:高果糖液糖(フジフラクトL-95、日本食品化工社製、固形分=Bx 75)
クエン酸:食添(扶桑化学工業株式会社製)
クエン酸3Na:食添(昭和化工株式会社製)
(水中油型乳化物調製方法)
乳化物の調製は、表1の配合に従って、以下の様に行った。即ち、
a)SAIBとMCTを混合し、60℃にて、緩慢な攪拌により均一化した。この混合液を45℃とし、香料を混合し、緩慢な攪拌により均一化し、油性素材から成る油相を調製した。
b)油性素材以外の物質、即ち、たん白素材、水溶性多糖類、グリセリンおよび水を表1の配合にて65℃の温度を有する水中に溶解させ、ホモミキサー(HOMOGENIZING MIXER MARK II Model 2.5,PRIMIX社製)を用いて水相を調製した。
c)工程b)の水相に表1の配合にて油性素材を加え、45℃にて5分間、ホモミキサーを用い、乳化粒子径10~60μmまで予備乳化させた。
d)工程c)の混合物を高圧ホモジナイザー(マイクロフルダイザー・マイクロフルィディクス社製)により、所定の圧力で、所定のパス回数の処理することで、水中油型乳化物を調製した。調製した水中油型乳化物は乳化粒子径および水分活性を測定した。
(乳化粒子径測定)
水中油型乳化物は以下の方法で乳化粒子径を測定し、1μm以下を合格とした。水中油型乳化物を、油性素材が0.03%となるようイオン交換水にて希釈した。Malvern社製 Zetasizer nano-ZS(MODEL ZEN3600)により水中の油滴の粒子径を、算出されるZ-average(nm)として測定した。測定は試料2gを光路1cmのガラスセルにて、25℃で3回行い、その平均値を平均乳化粒子径とした。尚、設定条件は以下の通りであった。
RI(Material)1.47、Absorption(Material)0、Temperature(Dispersant)25(℃)、Viscosity(Dispersant)0.887(cp)、RI(Dispersant)1.33、Equilobration time 60(sec)、Number of runs 10、Run duration 10、Number of measurements 1、Dela betwee measurements 0(sec)。
(希釈用アルコール飲料の調製方法)
5倍希釈、或いは8倍希釈にて喫食に適する希釈用アルコール飲料を調製した。
希釈用アルコール飲料は表2の配合に従い、エタノール、異性化液糖、必要によりクエン酸、クエン酸3ナトリウムに水を加え、Totalを100%とした。ここに、先の実施例3にて調製した水中油型乳化物を加え、スターラーにて10分間攪拌し均一化した。pHはクエン酸およびクエン酸3ナトリウムを用いたものはpH3.3、用いないものはpH7.0であった。
(希釈用アルコール飲料の評価方法)
希釈用アルコール飲料の調製直後及び25℃,7日間保存後の状態を比較し、目視観察、乳化粒子径の変化より、乳化安定性を評価した。
(1)目視観察
凝集物のサイズを評価した。1mm未満かつ保存前後にて変化無いものを合格とした。
(2)乳化粒子径
凝集物が1mm未満のサンプルを評価した。
希釈用アルコール飲料の調製直後、25℃,7日間保存後のサンプルを、前述した方法にて油性素材が0.005%となるようイオン交換水にて希釈し、乳化粒子径を測定した。保存後の乳化粒子径÷保存前の乳化粒子径=1.5以下であるものを合格とした。
(3)光劣化耐性及び劣化無での風味の評価
各酸性(pH3.3)5倍希釈用アルコール飲料をPET容器に入れ、20℃、20,000Lx、72hrの光照射を行った。本来の飲料としての濃度になるよう、水で5倍希釈し、この希釈した飲料について、風味(レモン香料の風味)を評価した。
ポジティブコントロールとして、暗所保存にて同様に保存したサンプルを評価した。
ネガティブコントロールとして、レモンオイル/エタノール/水=2/70/28(質量比)を同様に光照射を行い、5倍希釈用アルコール飲料を水で5倍に希釈したものに、0.1%配合し、コントロールの虐待サンプルを得た。この風味を評価すると、レモンの香りが損なわれ、酸敗したような風味が非常に強かった。これを0点とした。評価は下表にて行った。
10点:ポジティブコントロール同等
8点:レモンの香りが僅かに減少している。劣化臭は感じられない。
6点:レモンの香りがやや減少している。劣化臭は感じられない。
4点:レモンの香りが減少している。劣化臭は感じられない。
2点:レモンの香りが大きく減少しており、劣化臭等の異風味が感じられる。
0点:レモンの香りが大きく減少しており、劣化臭等の異風味が強く感じられる。
4点以上を合格とした。
(1)(2)(3)が合格の物について、総合評価を良とし、(2)の粒径がやや大きいものを可とした。
(表1)乳化物の組成と物性
Figure 2024003289000001
(表2)希釈用アルコール飲料の組成と状態変化
Figure 2024003289000002
○多糖類の影響(実施例1~7,比較例1~5)
表1の配合で、水中油型乳化物である乳化香料を調製した。得られた乳化香料は、表2の配合で希釈用飲料に添加し、保存試験を行った。また、保存の前後で粒子径を測定した。(実施例3-1の配合)
結果を表1下段に示した。大豆たん白素材Aに、水溶性大豆多糖類(実施例1~5,7)または水溶性エンドウ多糖類(実施例6)を併用したものを、5倍希釈用アルコール飲料(pH3.3)に添加したところ、何れも7日間の保存の前後で粒子径変化が抑えられ、光による風味劣化も抑制された。尚、水溶性大豆多糖類の配合が一番少ない実施例1および一番多い実施例5では、0.5mmほどの凝集物が目視され、測定された粒子径もやや大きい傾向にあった。
対して、大豆たん白素材Aを使用し、水溶性多糖類を併用しなかった比較例1~3は1~3mmの凝集が認められ、大豆たん白素材Aを使用しなかった比較例4,5は、粒子径の経時的な増大と光劣化が認められた。
○他の希釈用アルコール飲料での効果
表2に、5倍希釈用アルコール飲料および8倍希釈用アルコール飲料の、それぞれpH3.3およびpH7.0での効果を比較した。尚、水中油型乳化物は実施例3で調製したものを用いた。結果は表2下段に示した通り、4つの条件全てで凝集は認められず、粒子径の変化も低く抑えられていた。これらの飲料は、25℃にて更に2カ月間保存したが、凝集等は認められず、長期間の保存性が確認できた。
○他のたん白素材
表3に、エンドウたん白素材A(実施例8)、乳清たん白素材A(実施例9)、酵母たん白素材(実施例10)、大豆たん白素材B~D(比較例6~8)を用いて、実施例3と同様に乳化物を調製し、5倍希釈用アルコール飲料(pH3.3)にて保存試験を行った。結果を表3下段に示すが、従来大豆たん白素材である、比較例6~8の大豆たん白素材B~Dでは凝集や分離が発生し、良好な乳化物が調製できなかった。また、酵母たん白素材は水溶性大豆多糖類を併用しない場合も検証した(比較例9,10)。複数回の高圧乳化処理により乳化粒子径を微小に調製した比較例10であっても、飲料中の保存により凝集が認められた。
(表3)たん白素材の比較
Figure 2024003289000003
○組成比の検討
表4に示す配合にて、実施例3と同様に乳化物を調製し、5倍希釈用アルコール飲料(pH3.3)にて保存試験を行った。尚、SAIBを使用しない場合の油相は、45℃の油性素材に必要によりレシチンを混合し、緩慢な攪拌で均一化したものを用いた。結果を表4下段に示すが、ここで行った実施例11~17,20の条件では、何れも7日間の保存の前後で粒子径変化が抑えられ、光による風味劣化も抑制された。なお、実施例18は合格ではあるが光虐待試験で風味がやや減少しており、実施例19は、粒子径の経時的な増大が多少認められた。
(表4)各組成比での比較
Figure 2024003289000004
○栄養強化飲料の検討
表5に示す配合にて、実施例3と同様に乳化物を調製し、5倍希釈用アルコール飲料(pH3.3)にて保存試験を行った。10%カロテン含有油脂としては、β-カロテン30%懸濁液(β-カロテン30%懸濁液・DSM Nutritional Products 社製)10質量部と中鎖脂肪酸トリグリセリド20質量部を混合し、窒素雰囲気下にて120℃,10分の加熱を行い、β-カロテンを10%を含む濁りの無い混合液としたものを用いた。
結果を表5下段に示すが、10%カロテン含有油脂を0.5%含んだ、β-カロテン50ppmの5倍希釈用飲料は、7日間の保存の前後で粒子径変化が抑えられた。また、多糖類を使用しない比較例11は、経時的な粒子の増大が認められた。
(表5)β-カロテン飲料の比較
Figure 2024003289000005
○飲料の調製
実施例3で調製した5倍希釈用アルコール飲料(pH3.3)を2週間20℃で保管後に、水で5倍に希釈したものを、水希釈アルコール飲料、炭酸水で5倍に希釈したものを、炭酸水希釈アルコール飲料とした。それぞれを試飲したところ、いずれも強く良好なレモン風味を持った飲料であった。
実施例21で調製した5倍希釈用アルコール飲料(pH3.3)を、2週間20℃で保管後に、水で5倍に希釈したものを、水希釈アルコール飲料、炭酸水で5倍に希釈したものを、炭酸水希釈アルコール飲料とした。いずれもカロテンの分散が維持されて、風味にも問題がない飲料であった。
本発明の乳化香料を用いれば、缶チューハイ等の生産に於いて、高濃度含アルコール液糖や高濃度含アルコール濃縮果汁等の原液に着味を行い、そのまま長期間の保存が可能となる。

Claims (9)

  1. 油性素材を0.5~30質量%、下記(A)及び(B)の性質を有するたん白素材を粗蛋白質量として0.1~20質量%、豆科植物由来の水溶性多糖類を0.01~20質量%、並びに水を5~50質量%を含んだ、水中油型乳化物。
    (A)粗蛋白質量 20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。
    (B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。
  2. pH7以下でエタノールを20容量%以上含有する、希釈用アルコール飲料に用いるものである、請求項1に記載の水中油型乳化物。
  3. 請求項1に記載の水中油型乳化物、およびエタノールを含有する、pH7以下のアルコール飲料。
  4. 請求項1に記載の水中油型乳化物、および20容量%以上のエタノールを含有したpH7以下の原料液、並びに溶媒を混合する、アルコール飲料の製造方法。
  5. さらに油溶性香料を含む、請求項1記載の水中油型乳化物。
  6. 請求項5の水中油型乳化物を含有する乳化香料。
  7. pH7以下でエタノールを20容量%以上含有する、希釈用アルコール飲料に用いるものである、請求項6に記載の乳化香料。
  8. 請求項6に記載の乳化香料、およびエタノールを含有する、pH7以下のアルコール飲料。
  9. 請求項6に記載の乳化香料、および20容量%以上のエタノールを含有したpH7以下の原料液、並びに溶媒を混合する、アルコール飲料の製造方法。
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