本発明は、シクロデキストリンおよび増粘性多糖類を含む、香気または香味増強用組成物に関するものである。
また、本発明は、上記香気または香味増強用組成物を対象物に添加する工程を含む、
香気又は香味改善方法に関するものである。
<香気または香味増強用組成物>
本発明の香気または香味増強用組成物は、シクロデキストリンおよび増粘性多糖類を含む。
(シクロデキストリン)
本発明の香気または香味増強用組成物において、シクロデキストリンを含む。
本発明で使用できるシクロデキストリンは、一般に入手可能なものであれば限定はされない。シクロデキストリンは、澱粉の酵素転換によって生成された環状構造を有するデキストリンであることが知られており、環状デキストリンとも呼ばれている。構成するグルコースの単位により、α、βまたはγタイプが存在することが知られているが、本発明で使用されるシクロデキストリンは、これらのいずれか或いは組み合わせたものであってもよい。厳密に区別することは困難であり、限定はされないが、好ましいのはαタイプのシクロデキストリンを主に含み、βタイプおよび/またはγタイプと組み合わせられたシクロデキストリンである。
本発明の香気または香味増強用組成物における上記シクロデキストリンの総含有量は、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、上記組成物中0.1〜99.8質量%であることが好ましく、より好ましくは、1〜50質量%であり、また、たとえば、2.0〜30.0質量%であり、3.0〜20.0質量%であり、4.0〜10.0質量%であり得る。
本発明の香気または香味増強用組成物に上記香料成分を含める場合、上記香料の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、上記香気または香味増強用組成物におけるシクロデキストリンの含有割合は、上記香料成分1質量部に対して、上記シクロデキストリン0.1〜99.9質量部、より好ましくは、1.0〜50.0質量部であり、また、たとえば、2.0〜30.0質量部であり、3.0〜20.0質量部であり、4.0〜10.0質量部であり得る。この範囲内の割合であれば、香気または香味増強用組成物の使用に際して、香料成分の香気を効果的に付与することができると共に、本発明の効果を十分発揮することができる。
(増粘性多糖類)
本発明の香気または香味増強用組成物において、増粘性多糖類を含む。
本発明の香気または香味増強用組成物に含まれる増粘性多糖類は、限定はされないが、飲食品または経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘多糖類が好ましく用いられる。
上記増粘多糖類としては、たとえば、キサンタンガム、ガラクトマンナン(たとえば、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガムなど)、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン(たとえば、カッパ型、イオタ型、ラムダ型など)、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン(たとえば、HMペクチン、LMペクチンなど)、アルギン酸、アルギン酸塩(たとえば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムなど)、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、デンプン類(たとえば、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、α化デンプン、リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプンなど)、デキストリン類(たとえば、ポリデキストロース、難消化性デキストリンなど)および大豆多糖類などをあげることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明では、上記増粘多糖類の中でも、特にキサンタンガム、およびグァーガムからなる群より選択される少なくとも1種以上が好適に用いられる。
上記増粘性多糖類の2種以上の組み合わせとしては、制限されないものの、キサンタンガムとグァーガムの組み合わせ、キサンタンガムとローカストビーンガムの組み合わせ、キサンタンガムとカラギナンの組み合わせ、キサンタンガムとグァーガムとローカストビーンガムの組み合わせなどをあげることができる。
本発明の香気または香味増強用組成物における上記増粘性多糖類の総含有量は、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中0.1〜99.8質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜40.0質量%であり、また、たとえば、0.3〜20.0質量%であり、1.0〜10.0質量%であり、2.0〜5.0質量%であり得る。
また、本発明の香気または香味増強用組成物において、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、上記シクロデキストリンに対する上記増粘性多糖類の含有割合は、上記シクロデキストリン1質量部に対して、上記増粘性多糖類0.01〜10.0質量部、より好ましくは、0.02〜5.0質量部であり、また、たとえば、0.03〜1.0質量部であり、0.04〜0.5質量部であり、0.05〜0.4質量部であり得る。この範囲内の割合であれば、香気または香味増強用組成物の使用に際して、香料成分の香気を効果的に付与することができると共に、本発明の効果を十分発揮することができる。
また、本発明の香気または香味増強用組成物に香料成分を含める場合、上記香料成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、上記香気または香味増強用組成物における上記増粘性多糖類の配合割合は、上記香料成分1質量部に対して、好ましくは上記増粘性多糖類0.1〜99.9質量部、より好ましくは、0.15〜50.0質量部であり、また、たとえば、0.2〜10.0質量部であり、0.25〜5.0質量部であり、0.3〜2.0質量部であり得る。この範囲内の割合であれば、香料組成物の使用に際して、香料成分の香気を効果的に付与することができると共に、本発明の効果を十分発揮することができる。
(香料成分)
本発明の香気または香味増強用組成物において、さらに香料成分を含むことができる。
なお、本発明の香気または香味増強用組成物として、香料成分を含まない場合には、上記香気または香味増強用組成物を添加する対象物中の香料成分の香気または香味を増強することが可能となる。本発明の香気または香味増強用組成物として、香料成分を含む場合には、上記香料成分、もしくは、上記香気または香味増強用組成物を添加する対象物中の香料成分、またはその両方の香気または香味を増強することが可能となる。また、本発明の香気または香味増強用組成物および本発明の香気または香味改善方法において、香気および香味の両方を増強または改善する場合も含まれる。
なお、本発明における香気または香味増強用組成物とは、香気もしくは香味またはその両方を強め得る組成物をいい、香気もしくは香味またはその両方を付加、向上させ得る場合のみならず、本発明を用いない場合よりも香気もしくは香味またはその両方が失われにくくし得る場合も含み、また、香料成分の揮散や変性、分解、失活の程度を抑制または遅らせ得る場合も含む。
また、本発明における香気または香味改善方法とは、香気もしくは香味またはその両方を改善し得る方法をいい、香気もしくは香味またはその両方を付加、向上させ得る場合のみならず、本発明を用いない場合よりも香気もしくは香味またはその両方が失われにくくし得る場合も含み、また、香料成分の揮散や変性、分解、失活の程度を抑制または遅らせ得る場合も含む。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味が増強される香料成分は、香りまたは味を形成し得るものであれば、特に限定はされず、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料、その他の通常香料組成物を調製する際に使用される成分であり得る。
本発明の香料成分には、香辛料抽出物、香辛料中の香味成分、および香味成分の合成品から生ずる香味成分も含まれる。すなわち、スパイスやハーブなどを含む、香辛料自体、香辛料抽出物、香辛料中の香味成分、および香味成分の合成品をもすべて含む。
上記スパイスとは、食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、または果皮をいう。スパイスは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アサの種子、アサフェチダの根、アサフェチダの根茎、アジョワンの種子、アニスの種子、ウイキョウの種子、ウコンの根、ウコンの根茎、オールスパイスの果実、オールスパイスの未成熟果実、オレンジの果皮、ガジュツの根、ガジュツの根茎、カショウの果皮、カショウの果実、カショウの未成熟果実、カシアの樹皮、カフィアライムの果実、カフィアライムの未成熟果実、ガランガルの根、ガランガルの根茎、カルダモンの種子、カルダモンの果実、カルダモンの未成熟果実、カンゾウの根、カンゾウの根茎、キャラウェイの種子、クチナシの果実、クミンの種子、クローブの蕾、ケシの種子、ケーパーの蕾、コショウ(黒コショウを含む)の果実、コショウ(黒コショウを含む)の未成熟果実、ごまの種子、コリアンダーの種子、サフランのめしべ、サンショウの果実、サンショウの未成熟果実、シソの種子、シナモンの樹皮、ジュニパーベリーの果実、しょうが、スターアニスの果実、スターアニスの未成熟果実、西洋わさび、セロリの種子、タマリンドの果実、ディルの種子、とうがらし、ナツメグの種子の仁、ナツメグの種皮(メースをいう。)、ニジェラの種子、ニンニク、バジルの種子、パセリの種子、バニラの果実、バニラの未成熟果実、パプリカ、パラダイスグレインの種子、バラの果実(ローズヒップをいう。)、フェネグリークの種子、ピンクペッパーの果実、マスタードの種子、みかんの果皮、ゆずの果皮、レモンの果皮、ロングペッパーの果実、ロングペッパーの未成熟果実およびわさびの根茎等があげられる。
上記ハーブとは、食品に風味付けの目的で薬味として比較的少量使用される種々の主に草本植物の葉、茎、根および花からなり、生のまま、または乾燥したものが使用されるものをいう。ハーブは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アニスの葉、アニスの茎、アンゼリカ、ウイキョウの葉、ウイキョウの茎、エシャロット、オレガノ、カフィアライムの葉、カモミール、カレープラント、カレーリーフ、キャットニップ、キャラウェイの葉、キャラウェイの茎、クレソン、コリアンダーの葉、コリアンダーの茎、サッサフラス、サボリー、サラダバーネット、サンショウの花、サンショウの葉、シソの葉、シソの花穂、ジャスミン、ステビア、スペアミント、セージ、セロリの葉、セロリの茎、センテッドゼラニウム、ソレル、タイム、タデ、タマネギ、タラゴン、ダンディライオン、チャイブ(あさつきを含む。)、チャービル、ディルの葉、ディルの茎、ドクダミ、ナスタチウム、ニガヨモギ、にら、ハイビスカス、バジルの葉、バジルの茎、パセリの葉、パセリの茎、ハッカ、バラの花(ローズをいう。)、ヒソップ、ペパーミント、ベルガモット、ホースミント、ボリジ、マーシュ、マスタードの葉、マスタードの茎、マジョラム、ミョウガ、ヤロウ、ユーカリプタス、ヨモギ、ラベンダー、リンデン、ルッコラ、ルバーブ、レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、ローズマリー、ローレル、わさびの葉およびわさびの葉柄等があげられる。
上記香味成分は、上述した成分以外であっても、食用可能である限り限定はされない。香味成分としては、具体的には、バター香料、コーヒー香料;α−サンショオール、β−サンショオール、サンショアミド、スピラントールなどのアミド系辛味物質;カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、バニリルペラルゴアミドなどのカプサイシン類;ピペリン、イソピペリン、イソシャビシン、シャビシン、ピペラニン、ピペリジンなどのピペリン類;ジンゲロン、ショーガオール、ジンゲロールなどのジンゲロール類;アリルイソチオシアネート、β−フェネチルイソチオシアネート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアネート、ω−ペンテニルイソチオシアネート、p−ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、4−メチルチオブテニルイソチオシアネート、ブチルイソチオシアネートなどのイソチオシアネート類;(−)−ポリゴジアールなどのポリゴジアール類等があげられる。
さらに、香味成分としては、ノニル酸バニリルアミドなどのアルカン酸バニリルアミド(アルカン酸の炭素数が7〜12)、バニリンプロピレングリコールアセタールなどのバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3〜6)、エチルバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3〜6)、3−L―メントキシプロパン―1,2―ジオール、N―アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−L―メントキシ−2−メチルプロパン―1,2―ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−L−メントキシエタン−1−オール、3−L−メントキシプロパン−1−オール、4−L−メントキシブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントールグリセリンケタール、2−(2−L−メンチルオキシエチル)エタノール、グリオキシル酸メンチル、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、2−ピロリドン−5−カルボン酸メンチル、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩、コハク酸モノメンチルのアルカリ土類金属塩、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、カビシン等、(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ジメチルスルホニウム塩化物、α−アミルシンナムアルデヒド、アンモニウムイソバレレート、イオノン、イソアミルアルコール、イソキノリン、イソブタノール、イソブチルアルデヒド、イソプロパノール、イソペンチルアミン、イソ酪酸エチル、2―エチル―3,5―ジメチルピラジンおよび2―エチル―3,6―ジメチルピラジンおよびそれらの混合物、エチルバニリン、2−エチルピラジン、3−エチルピリジン、2―エチル―3―メチルピラジン、2―エチル―5―メチルピラジン、2−エチル−6−メチルピラジン、5−エチル−2―メチルピリジン、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、クエン酸三エチル、クミンアルデヒド、ゲラニアール、酢酸シクロヘキシル、酢酸シンナミル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸ボルニル、酢酸l−メンチル、サリチル酸メチル、2,3−ジエチルピラジン、2,3−ジエチル−5−メチルピラジン、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、1,8−シネオール、ジヒドロアクチンジオライド、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピリジン、(Z)−ジャスモン、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、ディルエーテル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン、2,3,5,6―テトラメチルピラジン、サビネン、ジンギベレン、セリネン、ターピネン、ターピノレン、α−フムレン、テルペン系炭化水素類、2,3,5‐トリメチルピラジン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、4−ビニルグアイアコール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェネチルアミン、フェノールエーテル類、ブタノール、ブチルアミン、ブチルアルデヒド、フルフラールおよびその誘導体、プロパノール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、(Z)−3−ヘキセナール、(Z)−3−ヘキセノール、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、2−ペンタノール、1−ペンテン−3−オール、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、5―メチルキノキサリン、6−メチルキノリン、5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピラジン、1−メチルナフタレン、メチルβ―ナフチルケトン、2−メチルピラジン、上記以外のピラジン類、上記以外のピリジン類、メチオナール、2―メチルブタノール、2−メチルブチルアルデヒド、(E)−2−メチル−2−ブテナール、3−メチル−2−ブテナール、3−メチル−2−ブテノール等があげられる。
別の観点から、本発明の香気または香味増強用組成物に用いられる合成香料としては、たとえば、「合成香料 化学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素化合物、含硫化合物類、または酸類等をあげることができる。
上記エステル類としては、限定はされないが、たとえば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸スチラリル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アニシル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、2−メチル吉草酸2−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、2−メチル酪酸メチル、N−メチルアントラニル酸メチル、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル、2,4−デカジエン酸エチル、2,4−デカジエン酸プロピル、アントラニル酸メチルおよびリナリル、N−メチルアントラニル酸エチル等をあげることができる。
上記アルコール類としては、限定はされないが、たとえば、3−ヘプタノール、1−ノナノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセン−1−オール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、ホートリエノール、3−ツヤノール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−フェニルエチルアルコール、3−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、2,6−ジメチルヘプタノール、1−デカノール、トランス−2−ヘキセノール、シス−4−ヘキセノール、メチルトリメチルシクロペンテニルブテノール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、プレゴール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、アニスアルコール、ヒドロトロパアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコール等をあげることができる。
上記アルデヒド類としては、限定はされないが、たとえば、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、トランス−2−ヘキセナール、(E)−2−デセナール、トランス−4−デセナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、トランス−2−トリデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、5,9−ジメチル−4,8−デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタナール、α−メチレンシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ミルテナール、ネラール、α−あるいはβ−シネンサール、マイラックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブタナール、2−ペンテナール、トランス−2−ヘプテナール、トランス−2−ノネナール、2,6−ジメチル−5−ペプテナール、2,4−ウンデカジエナール、トリメチルデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、サフラナール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−メチルヒドロトロパアルデヒド、フェニルプロピオンアルデヒド、2−メチル−3−(4−メチルフェニル)プロパナール、シクラメンアルデヒド、シンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、シトロネリルメチルアセタール、アセトアルデヒド 2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、2−ヘキセナールジエチルアセタール、シス−3−ヘキセナールジエチルアセタール、ヘプタナールジエチルアセタール、2−ヘキシル−5−メチル−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’−エトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(2’−ヒドロキシ−3’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシ−メチル)−2−(4’メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等をあげることができる。
上記ケトン類としては、限定はされないが、たとえば、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、ファルネシルアセトン、2,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メチルケトン、ネロン、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、アセトフェノン、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、3−ノナノン、エチルイソアミルケトン、ジアセチル、アミルシクロペンテノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、シス−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、2−(2−(4−メチル)−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピルシクロペンタノン、ダマスコン、α−ダイナスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン、ヨノン、β―ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、プリカトン、カシュメラン、l−カルボン、メントン、カンファー、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、フルフラールアセトン、ホモフロノール、マルトール、エチルマルトール、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタール等をあげることができる。
上記フェノール類としては、限定はされないが、たとえば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、クレオゾール、ベラトロール、ヒドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルヒドロキノンジメチルエーテル等をあげることができる。
上記エーテル類としては、限定はされないが、たとえば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、ネロールオキサイド、ローズオキサイド等をあげることができる。
上記ラクトン類としては、限定はされないが、たとえば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスンミラクトン、メチルγ−デカラクトン、7−デセノラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリン等をあげることができる。
上記炭化水素類としては、限定はされないが、たとえば、オシメン、リモネン、α−フェランドレン、テルピネン、3−カレン、ビサボレン、バレンセン、アロオシメン、ミルセン、ファルネセン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、テルピノーレン、p−サイメン、セドレン、β−カリオフィレン、カジネン等をあげることができる。
上記含窒素化合物または含硫化合物類としては、限定はされないが、たとえば、アントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N−メチルアントラニル酸メチル、N−2’−メチルペンチリデンアントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニトリル、2−トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、3,7−ジメチル−2,6−ノナジエノニトリル、インドールおよびその誘導体、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、リモネンチオール、1−P−メンテン−8−チオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸シス−3−ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8−メルカプトメントン等をあげることができる。
上記酸類としては、限定はされないが、たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、2−デセン酸、ゲラン酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、イソ酪酸、イソ吉草酸、3−メチル吉草酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、2−メチルヘプタン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シクロヘキサンカルボン酸等をあげることができる。
上記天然香料としては、限定はされないが、たとえば、スイートオレンジ、ビターオレンジ、ネロリ、マンダリン、オレンジ、プチグレン、ベルガモット、タンゼリン、温州ミカン、ダイダイ、ハッサク、イヨカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、カボス、スウィーティー等を例示することができる。
また、上記の天然香料以外に、たとえば、シトロネラ、エレミ、オリバナム、マジョラム、アンゲリカルート、スターアニス、バジル、ヘイ、カラマス、キャラウェイ、カルダモン、ペッパー、カスカリラ、ジンジャー、セージ、クラリセージ、クローブ、コリアンダー、ユーカリ、フェンネル、ピメント、ジュニパー、フェネグリーク、ローレル、メース、スギ、センキュウ、アーモンド、アップルミント、アニス、アルテミシア、アルファルファ、アンズ、アンブレット、イグサ、イチゴ、イチジク、イランイラン、ウインターグリーン、ウメ、エルダー、エンジュ、オークモス、オールスパイス、オリス、カーラント、カッシー、カモミール、ガランガ、カリン、ガンビア、グァバ、グーズベリー、クスノキ、クチナシ、クベバ、クミン、クランベリー、コーラ、サンショウ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シソ、シベット、ジャスミン、ショウガ、ジンセン、シンナモン、スターフルーツ、スチラックス、スペアミント、ゼラニウム、タイム、タバナ、タンジー、タンジェリン、チャンパカ、チュベローズ、ツバキ、ディタニー、トルーバルサム、トンカ、ナッツ、ナツメ、ナツメグ、ナンテン、ニアウリ、ニンジン、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、ハチミツ、ハッカ、パッションフルーツ、バニラ、バラ、ヒソップ、ヒノキ、フーゼル油、ブチュ、ペパーミント、ペピーノ、ベルベナ、ボアドローズ、ポポー、ボルドー、ボロニア、マツ、マンゴー、ミツロウ、ミモザ、ミルフォイル、ムスク、メープル、メリッサ、メロン、モモ、ヤラヤラ、ラベンダー、リキュール、リツェア、リンデン、ルー、レンブ、ローズマリー、ロベージ等を本発明の香料成分として使用することもできる。
上記香料成分は、本発明の香気または香味増強用組成物を調製する際に、液状で使用してもよいが、必要に応じて、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理を行い、液体分を低減または除去することにより、濃縮液状、半固形状、固形状、または粉末状にしたものを使用してもよい。
また、本発明の香気または香味増強用組成物において、上記香料成分が、油溶性香料であることが好ましい。上記油溶性香料を用いることにより、より確実にまたはより効果的に香料成分の香気または香味の保留性を増強することが可能となる。
本発明の香気または香味増強用組成物における上記香料成分の総含有量は、上記香料成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中0.1〜99.8質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜50.0質量%であり、また、たとえば、0.3〜40.0質量%であり、0.4〜30.0質量%であり、0.5〜20.0質量%であり得る。
(他の成分)
本発明の香気または香味増強用組成物においては、上記シクロデキストリン、上記増粘多糖類、および上記香料成分の他の成分を適宜含めることができる。
本発明の香気または香味増強用組成物は、さらに、その他の成分を含むことができる。たとえば、代表的には、酸化防止剤があげられる。このうち、油溶性酸化防止剤が好ましく、より好ましくは、トコフェロ−ル類、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテ−トなどの油溶性酸化防止剤があげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物における上記酸化防止剤の含有量としては、0.0001〜10質量%、好ましくは、0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%であり得る。
本発明の香気または香味増強用組成物は、さらに、その他の成分を含むことができる。これらのその他の成分には、たとえば、着色料、調味料、保存料などがあげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物に含まれ得る上記着色料としては、パプリカ色素、マリーゴールド色素、β−カロテンなどの油溶性の着色料のほか、アントシアニン色素等の水溶性色素があげられる。
この他にも、たとえば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、甘草抽出物、ステビア加工甘味料、羅漢果抽出物、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ズルチン、サイクラミン酸、ネオテームなどの甘味料、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、リン酸などの酸味料、カフェイン、香辛料抽出物、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物、ボラペット、メチルチオアデノシン、レイシ抽出物などの苦味料、食塩、塩化カリウムなどの塩味料、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸やそれらのナトリウムもしくはカリウム塩などの旨味料などを添加・混合してもよい。
さらには、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、または葉酸などの水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどの油溶性ビタミン;エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリン、ヘキシルグリコ−ル、ベンジルベンゾエ−ト、トリエチルシトレ−ト、ジエチルフタレ−ト、ハ−コリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリドなどの香料保留剤;乳化剤等を加えることもできる。
また、本発明の香気または香味増強用組成物は、酵母細胞壁を含むことができる。
本発明の香気または香味増強用組成物に含まれる酵母細胞壁は、限定はされないが、飲食品または経口医薬品への使用が許可されている可食性の酵母細胞壁が好ましく用いられる。
本発明における「酵母細胞壁」は、酵母の自己融解プロセスまたは加水分解プロセスでの分離後に不溶性画分として得られる酵母細胞由来の不溶性細胞壁をいう。たとえば、酵母から水または極性溶剤に可溶性の菌体内成分を酵素処理により除去することにより得られる増粘多糖類をいい、上記不溶性細胞壁は、一般に、酵母細胞全体の乾燥重量の20〜25%を占める。好ましくは、この酵母細胞はサッカロマイセス(Saccharomyces)属を起源とし、より好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。あるいは、たとえば、この酵母細胞は、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、カンジダ(Candida)属またはトルラ(Torula)属を起源とするものも含まれる。。
上記酵母細胞壁としては、たとえば、生酵母を自己消化(自己融解)、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、エステラーゼ、グルカナーゼ、リパーゼ等を添加した酵素処理、または、いずれかを併用して細胞内の可溶性菌体内成分を除去した抽出残渣より得られるものをあげることができる。この際に使用する酵母は、たとえば、パン酵母、ビール酵母、アルコール酵母、清酒用酵母等、一般に食品工業で用いられるものを使用してもよい。原料入手の容易さの観点からは、たとえば、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母を使用することが好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
また、上記酵母細胞壁としては、市販品としては、たとえば、イーストラップ(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)等をあげることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
また、上記酵素処理を速やかに行うために、たとえば、ホモジナイザー等により物理的な破壊を細胞壁に施してから菌体残渣を得てもよい。また、必要に応じて、酵母の洗浄処理、pH、温度、または圧力の調整処理等を加えて、酵母細胞壁を得ることもできる。また、上記酵母細胞壁の調整品や市販品等を、添加しやすい濃度に水、エタノール、メタノール、アセトン等の溶媒で希釈して用いることもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明の香気または香味増強用組成物における上記酵母細胞壁の総含有量は、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜20.0質量%であり、また、たとえば、0.3〜10.0質量%であり、0.5〜5.0質量%であり、1.0〜4.0質量%であり、2.0〜3.0質量%であり得る。この範囲内の割合であれば、香気または香味増強用組成物の使用に際して、より効果的に香料成分の香気の保留性を付与することができると共に、本発明の効果をより十分発揮することができる。
また、本発明の香気または香味増強用組成物において、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、上記シクロデキストリンに対する上記酵母細胞壁の含有割合は、上記シクロデキストリン1質量部に対して、上記酵母細胞壁0.01〜10.0質量部、より好ましくは、0.02〜5.0質量部であり、また、たとえば、0.03〜1.0質量部であり、0.04〜0.5質量部であり、0.05〜0.4質量部であり得る。この範囲内の割合であれば、香気または香味増強用組成物の使用に際して、より効果的に香料成分の香気の保留性を付与することができると共に、本発明の効果をより十分発揮することができる。
(香気または香味増強用組成物の調製方法)
本発明の香気または香味増強用組成物の調製方法は、特に限定はされないが、上記シクロデキストリンおよび上記増粘性多糖類、ならびに上記香料成分が含まれる場合には上記香料成分を含有する溶液をホモジナイザー等で処理することで調製することができる。この際の液温は、限定はされないが、50〜80℃、好ましくは55〜70℃、さらに好ましくは60℃程度の状態である。限定はされないが、好ましくは、シクロデキストリンおよび増粘性多糖類を含む溶液を予め50〜80℃程度に加温し、そこへ香料成分を添加混合する方法;シクロデキストリン溶液を加温し、そこへ増粘性多糖類、その後に香料成分を添加混合する方法があげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物を調製する際に、上記シクロデキストリンは、予め調製したシクロデキストリン溶液の状態で添加されても良い。上記シクロデキストリン溶液は、水にシクロデキストリンを添加し溶解させて得たものである。かかる溶解させる方法は、公知の方法に従えばよく、特別な条件等の設定は必要とされない。
本発明の香気または香味増強用組成物を調製する際に、ホモジナイザーを使用する場合、任意の条件(例 回転数:500〜3500rpm、時間:1〜90分)で処理することができる。
ホモジナイザー等による攪拌処理にかかる回転速度・処理時間の条件は、包接する香料成分の量や質によって適宜調節し実施することができる。シクロデキストリンへの包接が困難な成分であれば、攪拌速度を速く処理時間を長めにし、包接が容易に進む油脂成分であれば、攪拌速度を遅くし処理時間を短くすればよい。
<香気または香味改善方法>
本発明の香気または香味改善方法は、上記香気または香味増強用組成物を対象物に添加する工程を含む。
上記香気または香味改善方法を用いることにより、上記香気または香味増強用組成物を添加する対象物中の香料成分、もしくは、上記香気または香味増強用組成物中の香料成分、またはその両方による香気または香味を簡便に保留性高く改善することが可能となる。
また、飲食品の香気または香味改善方法は、上記香気または香味増強用組成物を飲食品に添加する工程を含む。
上記香気または香味改善方法を用いることにより、上記飲食品中の香料成分、もしくは、上記香気または香味増強用組成物中の香料成分、またはその両方による香気または香味を簡便に保留性高く改善することが可能となる。
本発明の香気または香味増強用組成物は、さらに必要に応じて、たとえば、噴霧乾燥(スプレードライ)等によって粉末化することができる。さらに、該粉末化した組成物を公知の技術によって凝集・固着させ、取扱いが容易な顆粒・固形物とすることもできる。
本発明においては、たとえば、
増粘性多糖類とシクロデキストリンとを含む液を調製する工程;
該調製した液に香料成分を混合して香料組成物を得る工程;および
該香料組成物を噴霧乾燥する工程
を含む方法によって、粉末状の香気または香味増強用組成物を得ることができる。
また、本発明においては、たとえば、
香料成分とシクロデキストリンとを含む液を調製する工程;
該調製した液に増粘性多糖類を混合して香料組成物を得る工程;および
該香料組成物を噴霧乾燥する工程
を含む方法によって、粉末状の香気または香味増強用組成物を得ることができる。
また、本発明において、粉末状とは、粉体あるいは顆粒のいずれも含む。
本発明において、噴霧乾燥を行う際の機器としては、アトマイザー(噴霧器)として、加圧ノズル(一流体ノズル)、二流体ノズル、回転円盤式(ディスク式)を備えた噴霧乾燥機が使用されて得る。このような噴霧乾燥機のなかで、乾燥粉の平均粒径が1〜500μm、好ましくは10〜300μmであり得ることから、このような平均粒径を得ることができる噴霧装置として、加圧噴霧ノズルが好ましい。加圧噴霧乾燥に当たっては、モノノズルやマルチノズルなどいずれのノズルであっても使用が可能である。また、二流体ノズルを備えた噴霧乾燥機は、微細な粒子径の微粒子粉末を得るのに適しており、微細な粒子径の粉末を得る際には好ましい。
<香気または香味増強用組成物を用いた製品>
本発明の飲食品は、上記香気または香味増強用組成物を含む。また、上記香気または香味増強用組成物は、飲食品以外の対象物に適宜添加して用いることもできる。
本発明の香気または香味増強用組成物を用いる対象物としては、たとえば、医薬品、医薬部外品、飲食品等の製品であり得る。さらに、本発明の香気または香味増強用組成物は、香粧品、芳香剤、日用雑貨、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、身体洗浄剤、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、トイレタリー製品、医薬品、飲食品等の製品に配合して、各種製品の香気または香味付けに用いることもできる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味付けすることのできる医薬品としては、たとえば、錠剤(たとえば、糖衣錠)、顆粒剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、およびうがい薬等の経口医薬品、ハップ剤、軟膏剤などの皮膚外用剤などをあげることができる。
上記医薬部外品の例としては、栄養助剤、各種サプリメント、口臭予防剤、口中清涼剤、養毛剤、および育毛剤等があげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味付けすることのできる飲食品としては、たとえば、
飲料およびアルコール飲料等の飲料類;
冷菓(たとえば、アイスキャンディ、アイスクリーム等)、砂糖菓子(たとえば、キャンディ、ヌガー、グミ、マシュマロ、チューインガム、チョコレート等)、パティスリー(たとえば、ケーキ、クッキー、マカロン、ゼリー、プリン、ババロア等)、スナック菓子、和菓子(たとえば、団子、煎餅、ドーナツ、カステラ等)、等の菓子類;
乾燥野菜、および漬け物等の農産加工品;
蒲鉾等の海産物加工品;
麺類、米飯、パン等の穀類加工品;
調味料;
シロップ、ジャム等;並びに
畜肉加工品等があげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味付けすることのできる香粧品としては、たとえば、香水などのフレグランス製品、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど)、仕上げ化粧品(ファンデーション、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など)、日焼け化粧品(サンタン製品、サンスクリーン製品など)、薬用化粧品(制汗剤、アフターシェービングローションおよびジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料など)があげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味付けすることのできる芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなどがあげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気付けすることのできるトイレタリー製品としては、たとえば、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸などがあげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気付けすることのできる身体洗浄剤としてはボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなどがあげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気付けすることのできるヘアケア製品としてはシャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、ヘアカラーなどがあげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味付けすることのできるスキンケア製品としてはリップクリーム、ハンドクリーム、シェービング製品(シェービングフォームなど)があげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味付けすることのできる浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなどがあげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気または香味付けすることのできる口腔用品としては歯磨き粉、口腔洗浄料、マウスウォッシュ、トローチ、チューインガム類などなどがあげられる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気付けすることのできる洗剤としては、たとえば、洗剤(衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など)、柔軟仕上げ剤(ソフナー、ファーニチャーケアなど)、洗浄剤(クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など)、台所用洗剤(台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など)、漂白剤(酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤など)などをあげることができる。
本発明の香気または香味増強用組成物によって香気付けすることのできる日用雑貨としては、たとえば、消臭・芳香剤(固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなど)、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどをあげることができる。
本発明の香気または香味増強用組成物を用いて、各種製品を香気または香味付けする方法は、香気付けする製品の種類や製品の最終形態(たとえば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて適宜選択できる。
本発明について、以下に実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
〔実施例1〕
香料組成物の調製1
表1の処方の実施例1の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、アラビアガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、バター香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例2〕
香料組成物の調製2
表1の処方の実施例2の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、バター香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔比較例1〕
比較香料組成物の調製1
表1の処方の比較例1の項に記載の通り、アラビアガムを添加しなかった点以外は、実施例1と同様にして、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例3〕
香料組成物の調製3
表2の処方の実施例3の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、アラビアガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、コーヒー香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例4〕
香料組成物の調製4
表2の処方の実施例4の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、コーヒー香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔比較例2〕
比較香料組成物の調製2
表2の処方の比較例2の項に記載の通り、アラビアガムを添加しなかった点以外は、実施例3と同様にして、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
<試作品評価>
表3の処方に基づき、実施例1〜4および比較例1〜2で調製した各香料組成物および他の成分を、常法に従って混合し、適宜の大きさにして、180℃14分間焼成した。
このようにして作成したクッキーについて、官能評価を行った。官能評価は、香料の官能評価に精通した10名の評価者によるもので、表4の点数の基準を共通認識として確認し、平均点を算出して行った。
評価結果は、以下の通りである。
表5に示されるように、評価の結果、実施例1の香料組成物を用いたクッキーについては、評価者全員が、非常に強くバターの香りを認めるとして、顕著な効果が実証された。実施例2のクッキーについても、評価者全員が評点5をつけるなど、顕著な効果が実証された。一方、本発明の香気または香味増強用組成物を用いなかった比較例1においては、評価の結果、平均値が、加熱工程後のバターの香りについてわずかにしか認められないという結果となった。このように、実施例1、2いずれにおいても、従来の粉末香料組成物に比べて、香気の高い保留性が認められた。
表6に示されるように、評価の結果、実施例3の香料組成物を用いたクッキーについては、評価者5名が評点4をつけ、残りの評価者5名が評点3をつけるなど、顕著な効果が実証された。実施例4のクッキーについても、評価者5名が評点5をつけ、残りの評価者5名が評点4をつけるなど、顕著な効果が実証された。一方、本発明の香気または香味増強用組成物を用いなかった比較例2においては、評価の結果、評価者5名が評価1「香りが認められない」であり、残りの評価者5名が評価2「香りがわずかに認められる」のをつけるなど、加熱工程後のコーヒーの香りについてほとんど認められないという結果となった。このように、実施例3、4いずれにおいても、従来の粉末香料組成物に比べて、香気の高い保留性が認められた。
なお、10名の評価者による個別の点数は、それぞれ以下表7、8の通りである。
〔実施例5〕
香料組成物の調製5
表9の処方の実施例5の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、アラビアガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、バター香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例6〕
香料組成物の調製6
表9の処方の実施例6の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、バター香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例7〕
香料組成物の調製7
表9の処方の実施例7の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、バター香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔比較例3〕
比較香料組成物の調製3
表9の処方の比較例3の項に記載の通り、アラビアガムを添加しなかった点以外は、実施例5と同様にして、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例8〕
香料組成物の調製8
表9の処方の実施例8の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガム、酵母細胞壁を添加し、混合溶解した。この混合液に、バター香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例9〕
香料組成物の調製9
表9の処方の実施例9の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガム、酵母細胞壁を添加し、混合溶解した。この混合液に、バター香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔比較例4〕
比較香料組成物の調製4
表9の処方の比較例4の項に記載の通り、ガティガムを添加しなかった点、および、酵母細胞壁を3質量%添加に変更した以外は、実施例8と同様にして、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例10〕
香料組成物の調製10
表10の処方の実施例10の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、アラビアガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、コーヒー香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例11〕
香料組成物の調製11
表10の処方の実施例11の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、コーヒー香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例12〕
香料組成物の調製12
表10の処方の実施例12の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガムを添加し、混合溶解した。この混合液に、コーヒー香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔比較例5〕
比較香料組成物の調製5
表10の処方の比較例5の項に記載の通り、アラビアガムを添加しなかった点以外は、実施例10と同様にして、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例13〕
香料組成物の調製13
表10の処方の実施例13の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガム、酵母細胞壁を添加し、混合溶解した。この混合液に、コーヒー香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔実施例14〕
香料組成物の調製14
表10の処方の実施例14の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、ガティガム、酵母細胞壁を添加し、混合溶解した。この混合液に、コーヒー香料を添加し、成分をよく分散させて、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
〔比較例6〕
比較香料組成物の調製6
表10の処方の比較例6の項に記載の通り、ガティガムを添加しなかった点、および、酵母細胞壁を2.5質量%添加に変更した以外は、実施例13と同様にして、スプレードライヤーにより粉末化した香料組成物を調製した。
<試作品評価>
上記の表3の処方に基づき、実施例5〜14および比較例3〜6で調製した各香料組成物および他の成分を、常法に従って混合し、適宜の大きさにして、180℃14分間焼成した。
このようにして作成したクッキーについて、官能評価を行った。官能評価は、香料の官能評価に精通した10名の評価者によるもので、上記の表4の点数の基準を共通認識として確認し、平均点を算出して行った。
評価結果は、以下の通りである。
表11に示されるように、評価の結果、実施例5の香料組成物を用いたクッキーについては、評価者2名が評点5、他の6名が4をつけるなど、強くバターの香りを認めるとして、顕著な効果が実証された。実施例6、7のクッキーについても、評価者全員もしくはほぼ全員が評点5をつけるなど、非常に強くバターの香りを認めるとして、顕著な効果が実証された。さらには、実施例8、9のクッキーについても、評価者全員もしくはほぼ全員が評点5をつけるなど、非常に強くバターの香りを認めるとして、顕著な効果が実証された。一方、本発明の香気または香味増強用組成物を用いなかった比較例3、4においては、評価の結果、平均値が、加熱工程後のバターの香りについてわずかにしか認められないという結果となった。このように、実施例5〜9のいずれにおいても、従来の粉末香料組成物に比べて、香気の高い保留性が認められた。
表12に示されるように、評価の結果、実施例10の香料組成物を用いたクッキーについては、評価者5名が評点4をつけ、残りの評価者5名が評点3をつけるなど、強くコーヒーの香りを認めるとして、顕著な効果が実証された。実施例11、12のクッキーについても、評価者の半数以上が評点5をつけ、残りの評価者も評点4をつけるなど、非常に強くコーヒーの香りを認めるとして、顕著な効果が実証された。さらには、実施例13、14のクッキーについても、各々評価者9名というほぼ全員が評点5をつけるなど、非常に強くコーヒーの香りを認めるとして、顕著な効果が実証された。一方、本発明の香気または香味増強用組成物を用いなかった比較例5においては、評価の結果、評価者5名が評価1「香りが認められない」であり、残りの評価者5名が評価2「香りがわずかに認められる」のをつけるなど、加熱工程後のコーヒーの香りについてほとんど認められないという結果となった。また、比較例6においても、評価の結果、平均値が、加熱工程後のコーヒーの香りについてわずかにしか認められないという結果となった。このように、実施例10〜14いずれにおいても、従来の粉末香料組成物に比べて、香気の高い保留性が認められた。
なお、10名の評価者による個別の点数は、それぞれ以下表13、14の通りである。