JP2004067962A - 新規な高分岐環状デキストリンを含有する粉末香料及びその製造方法及びそれを利用した飲食物 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造される粉末香料が、含有する香気成分の種類に関わらず、乾燥前と殆ど変わらない力価と香気バランスをもち、しかも優れた保存安定性をもつものとすることである。
【解決手段】高分岐環状デキストリンを所定量配合することにより、含有する香気成分の種類に関わらず乾燥前と殆ど変わらない力価と香気バランスをもつ優れた粉末香料を製造でき、しかも保存中の安定性をもつものを得る。
【解決手段】高分岐環状デキストリンを所定量配合することにより、含有する香気成分の種類に関わらず乾燥前と殆ど変わらない力価と香気バランスをもつ優れた粉末香料を製造でき、しかも保存中の安定性をもつものを得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の飲食品、化粧品、医薬品等に利用することができ、香気バランス、保存安定性に優れ、香気の発現制御の可能な粉末状香料に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、動植物から搾取又は化学的に合成される香料は、食品、医薬品または化粧品の風味向上または素材臭のマスキングを目的として不可欠な成分である。通常、このような香料は、液状で取り扱われる場合も多いが、用途によっては利用し易い粉末の形態とすることが望ましい場合も多い。すなわち、粉末の方が混合や充填の作業がやり易い場合、使用に際して水に溶解するのであらかじめ乳化してある粉末香料の形態の方が水に溶解、分散し易く利用し易い場合、製品自体の形態が粉末状である場合等である。
粉末化する場合は(1)〜(3)の様な方法が用いられている。
【0003】
(1)香料と多糖類、庶糖、乳糖等の少糖類と澱粉もしくはその分解物またはセルロース等の水溶液にカゼインソーダ、ホエー、乳類、卵白等の蛋白質やアラヒ゛アカ゛ム、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、庶糖脂肪酸エステル等の乳化剤を加える事によりエマルションを調整し、これを噴霧乾燥する方法(スプレードライ法 特公開41−1415)
(2)香料類を澱粉加工品などに吸着させる方法
(3)前記(1)と同様にして、エマルジョンを調製した後、真空凍結乾燥装置、ベルト式連続真空乾燥装置またはドラム式真空乾燥装置等を用いて乾燥させる方法。
【0004】
以上述べた方法のうち、(1)の方法は、粉末香料の表面に賦型剤の被膜が形成される為、香料の品質安定性が比較的よく、製造コストも低く抑えることが出来るので、一般によく用いられる方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
粉末香料は、通常、香料をコーティングする基剤としてグルコース、乳糖、ショ糖、デキストリン、サイクロデキストリン、アラビアガム等の多糖類や化工澱粉等または/及びカゼインソーダ、ゼラチン、乳類等の蛋白質が用いられる。
また、粉末状香料に求められる主な品質上の特性として
1.元の香料素材と変わらない香気バランスが製造直後に得られる事(製造時に散逸しにくい)
2.元の香料素材と変わらない力価が長期間保てる事(保管中に散逸しにくい)
3.保管中の香気成分の安定で酸化等により変質しない事
が挙げられる。
【0006】
粉末香料は、前項のような必要性から香気や香味を持続させるための種々の研究が、従来から行われてきた。一般的には、香料を乳化剤で乳化した後、デキストリン等の高分子多糖類で乳化粒子を被覆して乾燥することにより香料をなるべく強固に被覆する方法があった。しかし、従来のスプレードライヤーを用いて安価に製造した粉末香料では、噴霧乾燥時に揮発性の香気成分の散逸による損失が避けられず、元の香料素材の香気バランスと比較すると品質的にやや低下した物であり、力価も低くなっていた。また、保管中にも酸化安定性の低い成分の酸化による品質の劣化が生じるとともに、揮発性の香気成分の散逸による香気バランスの低下も観察され満足の行くものではなかった。その他の方法としては、ソルビトール、マンニトール及びサッカリンの混合物を溶解してその中にフレーバーを封じ込めたソルビトールカプセル化されたフレーバー(特開昭58−71866号公報)、或いは、キシリトール内部にフレーバーが含有されているフレーバー複合物(特開昭58−76062号公報)のように糖質の内部に香料成分を閉じ込める方法等が提案されている。しかし、何れの方法も保管中の香気の劣化、或は散逸を十分に防止できているとは言えなかった。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
すなわち、上記の課題を解決するため、この発明においては、香料もしくは香気成分を含む混合物100重量部に対して、高分岐環状デキストリンを10〜10,000重量部と賦型剤10〜10,000重量部とを配合した粉末状香料を構成したのである。
【0008】
高分岐環状デキストリンとは、アミロペクチンにブランチングエンザイムを作用させて創られるものであり、分子量が均一で、かつ環状構造を有する新規な糖質であり、内分岐構造と外分岐構造とを有する、重合度50以上であるグルカンを言う。ここでグルカンという用語にはグルカンの誘導体が含まれる。内分岐環状構造部分とは、本願明細書においては、α−1,4グルコシド結合とα−1,6グルコシド結合とで形成される環状構造部分を言う。外分岐構造部分とは、本願明細書においては、上記内分岐環状構造に結合した非環状構造部分を言う。高分岐環状デキストリンおよびその製造方法は、特許第3107358号に詳細に記載される。
【0009】
本発明で言う香料は、粉末香料製造に際して既に用いられているものであればどのようなでも採用可能である。すなわち、シトラール、ゲラニオール、1−メントール、バニリンなどの合成香料、ミートや水産物の抽出物などの動物性香料、精油やオレオレジンなどの植物性香料など、またはそれら香料の中から適宜選択・混合して得られる調合香料など粉末香料製造に用いられているものであればどのようなものでも使用できる。また、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツなどのシトラス系香料、アップル、バナナ、グレープ、ピーチ、ストロベリー、メロン、パイナップルなどのフルーツ系香料、ペパーミント、スペアミントなどのミント系の香料、ペパー、シンナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイス系香料、バニラ、コーヒー、ココア、ヘーゼルナッツなどのナッツ系香料、ビーフ、ポーク、チキン、サーモン、カニ、エビなどの畜肉・水産系香料、紅茶、緑茶などの茶系香料、ミルク、チーズなどのディリー香料なども使用可能である。なお、当然のことながら、これらに限定されるものではない。
【0010】
上記した高分岐環状デキストリンの配合割合は、香料100重量部に対して、10〜10,000重量部である。
なぜなら、10重量部未満の少量では目的とする香気バランスや保存安定性の改善に効果がなく、10,000重量部を超える多量では相対的に香料含量が低下して好ましくないからである。
【0011】この発明に用いられる高分岐環状デキストリン以外の賦型剤としては、カゼインソーダ、ホエー、ゼラチン、乳類、卵白等の蛋白質、庶糖、乳糖等の少糖類、アラビアガム等の多糖類、澱粉またはその分解物等が良好な物性の粉末状香料を得るために好ましい。
【0012】
なお、粉末状香料には、この発明の効果を阻害しない限りにおいて、一般の食品製造に用いられる周知の乳化剤、酸化防止剤、香料、着色料などを適宜配合してよいのは勿論である。
【0013】
なお、前記乳化剤の具体的例としては、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、庶糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、各種蛋白質、アラビアガムなどが挙げられ、これらの乳化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
また、上述のようにして得られる粉末状香料は、例えばガム、錠菓、粉末スープ、飲料、粉末飲料、デザート類、キャンデー、キャラメル、チョコレート、スナック類などの飲食品をはじめとして、化粧品、医薬品、室内芳香剤などの香粧品などの分野にも利用することができる。本発明は、特にチューイングガム、キャンディ、キャラメルなど香気の持続性が要求される食品に使用される場合に好適である。また、粉末化されることにより耐熱性などの加工適性が改善される為に、加熱処理により香料が散逸するおそれのあるスナック類やレトルト食品などへの利用も可能である。
【0014】
本発明で用いられる乾燥法は、一般的に用いられる乾燥法であれば特に限定されるものではなく、噴霧乾燥法、凍結真空乾燥法、真空乾燥法、ドラムドライ乾燥法などが用いられる。特に好ましくは、噴霧乾燥法が用いられる。
【0015】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によりなんら限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
粉末香料の製造・保管テスト
50℃の温水とethyl caproate(香気成分)を除く表1に示した原材料を同欄に示した配合割合(重量部)で混合し溶解して、水相部を調製した。
次いで、香料成分を加えて水相部と混合乳化し、さらにホモゲナイザーで均質化した後、150℃の温度条件で噴霧乾燥し、表面に賦型剤の被膜を形成した粉末状香料を得た。
噴霧乾燥直後及び保管後の香料成分の保持状況を見る為に、官能評価を15名のパネルで行った。
【0017】
【表1】
【0018】
官能評価の結果を表2及び表3に示した。粉末香料に高分岐環状デキストリンを使用すると、市販のデキストリンを使用した時よりもはるかに、製造時及び長期保管後の香気成分の散逸が抑えられている事が分かった。これにより、粉末化する前とあまり変わらない香気バランスで粉末化できて品質が向上するとともに、保管中も香気バランスが損なわれず、力価も高いままの高品質を長期間にわたって保持できる事が分かった。力価が経時的に低下しにくい為、少ない添加量でも十分効果を得られる事がわかった。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
(実施例2)粉末香料の揮発試験
表4で示す組成の粉末香料5gをシャーレにとり、110℃の恒温器にいれ、2時間後の重量を測定し減量を求めた。
【0022】
【表4】
【0023】
試験の結果を表5に示した。粉末香料に高分岐環状デキストリンを使用すると、市販のデキストリンを使用した時よりもはるかに、香料の散逸が抑えらる事が分かった。これにより、粉末化する前とあまり変わらない香気バランスで粉末化できて品質が向上するとともに、歩留まりが良くなるので製造コストを大幅に削減することもできる。
【0024】
【表5】
【0025】
(実施例3)
粉末香料の保存試験
50℃の温水とオレンジピールオイルを除く表6に示した原材料を同欄に示した配合割合(重量部)で混合し溶解して、水相部を調製した。
次いで、オレンジピールオイルを加えて水相部と混合乳化し、さらにホモゲナイザーで均質化した後、150℃の温度条件で噴霧乾燥し、表面に賦型剤の被膜を形成した粉末状香料を得た。製造した粉末香料の経時的な安定性を調べるために、官能評価を15名のパネルで行った。
【0026】
【表6】
【0027】
表7に官能評価の結果を示した。粉末香料に高分岐環状デキストリンを使用すると、市販のデキストリンを使用した時よりも、はるかに保管中の品質の変化が少ない事が分かった。オレンジピールオイルの主成分であるd−リモネンは、酸化されやすい成分である事が知られている。品質が長期間にわたって保持できるのは、保管中に酸化等によるこのd−リモネンの変化が少なくなるためであると考えられた。
【0028】
【表7】
【効果】
この発明は、以上説明したように、高分岐環状デキストリンを限定使用し、かつこれを所定量配合した粉末状香料としたので、力価と香気バランスが良く、しかも保存安定性の優れたものとなる利点がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の飲食品、化粧品、医薬品等に利用することができ、香気バランス、保存安定性に優れ、香気の発現制御の可能な粉末状香料に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、動植物から搾取又は化学的に合成される香料は、食品、医薬品または化粧品の風味向上または素材臭のマスキングを目的として不可欠な成分である。通常、このような香料は、液状で取り扱われる場合も多いが、用途によっては利用し易い粉末の形態とすることが望ましい場合も多い。すなわち、粉末の方が混合や充填の作業がやり易い場合、使用に際して水に溶解するのであらかじめ乳化してある粉末香料の形態の方が水に溶解、分散し易く利用し易い場合、製品自体の形態が粉末状である場合等である。
粉末化する場合は(1)〜(3)の様な方法が用いられている。
【0003】
(1)香料と多糖類、庶糖、乳糖等の少糖類と澱粉もしくはその分解物またはセルロース等の水溶液にカゼインソーダ、ホエー、乳類、卵白等の蛋白質やアラヒ゛アカ゛ム、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、庶糖脂肪酸エステル等の乳化剤を加える事によりエマルションを調整し、これを噴霧乾燥する方法(スプレードライ法 特公開41−1415)
(2)香料類を澱粉加工品などに吸着させる方法
(3)前記(1)と同様にして、エマルジョンを調製した後、真空凍結乾燥装置、ベルト式連続真空乾燥装置またはドラム式真空乾燥装置等を用いて乾燥させる方法。
【0004】
以上述べた方法のうち、(1)の方法は、粉末香料の表面に賦型剤の被膜が形成される為、香料の品質安定性が比較的よく、製造コストも低く抑えることが出来るので、一般によく用いられる方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
粉末香料は、通常、香料をコーティングする基剤としてグルコース、乳糖、ショ糖、デキストリン、サイクロデキストリン、アラビアガム等の多糖類や化工澱粉等または/及びカゼインソーダ、ゼラチン、乳類等の蛋白質が用いられる。
また、粉末状香料に求められる主な品質上の特性として
1.元の香料素材と変わらない香気バランスが製造直後に得られる事(製造時に散逸しにくい)
2.元の香料素材と変わらない力価が長期間保てる事(保管中に散逸しにくい)
3.保管中の香気成分の安定で酸化等により変質しない事
が挙げられる。
【0006】
粉末香料は、前項のような必要性から香気や香味を持続させるための種々の研究が、従来から行われてきた。一般的には、香料を乳化剤で乳化した後、デキストリン等の高分子多糖類で乳化粒子を被覆して乾燥することにより香料をなるべく強固に被覆する方法があった。しかし、従来のスプレードライヤーを用いて安価に製造した粉末香料では、噴霧乾燥時に揮発性の香気成分の散逸による損失が避けられず、元の香料素材の香気バランスと比較すると品質的にやや低下した物であり、力価も低くなっていた。また、保管中にも酸化安定性の低い成分の酸化による品質の劣化が生じるとともに、揮発性の香気成分の散逸による香気バランスの低下も観察され満足の行くものではなかった。その他の方法としては、ソルビトール、マンニトール及びサッカリンの混合物を溶解してその中にフレーバーを封じ込めたソルビトールカプセル化されたフレーバー(特開昭58−71866号公報)、或いは、キシリトール内部にフレーバーが含有されているフレーバー複合物(特開昭58−76062号公報)のように糖質の内部に香料成分を閉じ込める方法等が提案されている。しかし、何れの方法も保管中の香気の劣化、或は散逸を十分に防止できているとは言えなかった。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
すなわち、上記の課題を解決するため、この発明においては、香料もしくは香気成分を含む混合物100重量部に対して、高分岐環状デキストリンを10〜10,000重量部と賦型剤10〜10,000重量部とを配合した粉末状香料を構成したのである。
【0008】
高分岐環状デキストリンとは、アミロペクチンにブランチングエンザイムを作用させて創られるものであり、分子量が均一で、かつ環状構造を有する新規な糖質であり、内分岐構造と外分岐構造とを有する、重合度50以上であるグルカンを言う。ここでグルカンという用語にはグルカンの誘導体が含まれる。内分岐環状構造部分とは、本願明細書においては、α−1,4グルコシド結合とα−1,6グルコシド結合とで形成される環状構造部分を言う。外分岐構造部分とは、本願明細書においては、上記内分岐環状構造に結合した非環状構造部分を言う。高分岐環状デキストリンおよびその製造方法は、特許第3107358号に詳細に記載される。
【0009】
本発明で言う香料は、粉末香料製造に際して既に用いられているものであればどのようなでも採用可能である。すなわち、シトラール、ゲラニオール、1−メントール、バニリンなどの合成香料、ミートや水産物の抽出物などの動物性香料、精油やオレオレジンなどの植物性香料など、またはそれら香料の中から適宜選択・混合して得られる調合香料など粉末香料製造に用いられているものであればどのようなものでも使用できる。また、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツなどのシトラス系香料、アップル、バナナ、グレープ、ピーチ、ストロベリー、メロン、パイナップルなどのフルーツ系香料、ペパーミント、スペアミントなどのミント系の香料、ペパー、シンナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイス系香料、バニラ、コーヒー、ココア、ヘーゼルナッツなどのナッツ系香料、ビーフ、ポーク、チキン、サーモン、カニ、エビなどの畜肉・水産系香料、紅茶、緑茶などの茶系香料、ミルク、チーズなどのディリー香料なども使用可能である。なお、当然のことながら、これらに限定されるものではない。
【0010】
上記した高分岐環状デキストリンの配合割合は、香料100重量部に対して、10〜10,000重量部である。
なぜなら、10重量部未満の少量では目的とする香気バランスや保存安定性の改善に効果がなく、10,000重量部を超える多量では相対的に香料含量が低下して好ましくないからである。
【0011】この発明に用いられる高分岐環状デキストリン以外の賦型剤としては、カゼインソーダ、ホエー、ゼラチン、乳類、卵白等の蛋白質、庶糖、乳糖等の少糖類、アラビアガム等の多糖類、澱粉またはその分解物等が良好な物性の粉末状香料を得るために好ましい。
【0012】
なお、粉末状香料には、この発明の効果を阻害しない限りにおいて、一般の食品製造に用いられる周知の乳化剤、酸化防止剤、香料、着色料などを適宜配合してよいのは勿論である。
【0013】
なお、前記乳化剤の具体的例としては、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、庶糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、各種蛋白質、アラビアガムなどが挙げられ、これらの乳化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
また、上述のようにして得られる粉末状香料は、例えばガム、錠菓、粉末スープ、飲料、粉末飲料、デザート類、キャンデー、キャラメル、チョコレート、スナック類などの飲食品をはじめとして、化粧品、医薬品、室内芳香剤などの香粧品などの分野にも利用することができる。本発明は、特にチューイングガム、キャンディ、キャラメルなど香気の持続性が要求される食品に使用される場合に好適である。また、粉末化されることにより耐熱性などの加工適性が改善される為に、加熱処理により香料が散逸するおそれのあるスナック類やレトルト食品などへの利用も可能である。
【0014】
本発明で用いられる乾燥法は、一般的に用いられる乾燥法であれば特に限定されるものではなく、噴霧乾燥法、凍結真空乾燥法、真空乾燥法、ドラムドライ乾燥法などが用いられる。特に好ましくは、噴霧乾燥法が用いられる。
【0015】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によりなんら限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
粉末香料の製造・保管テスト
50℃の温水とethyl caproate(香気成分)を除く表1に示した原材料を同欄に示した配合割合(重量部)で混合し溶解して、水相部を調製した。
次いで、香料成分を加えて水相部と混合乳化し、さらにホモゲナイザーで均質化した後、150℃の温度条件で噴霧乾燥し、表面に賦型剤の被膜を形成した粉末状香料を得た。
噴霧乾燥直後及び保管後の香料成分の保持状況を見る為に、官能評価を15名のパネルで行った。
【0017】
【表1】
【0018】
官能評価の結果を表2及び表3に示した。粉末香料に高分岐環状デキストリンを使用すると、市販のデキストリンを使用した時よりもはるかに、製造時及び長期保管後の香気成分の散逸が抑えられている事が分かった。これにより、粉末化する前とあまり変わらない香気バランスで粉末化できて品質が向上するとともに、保管中も香気バランスが損なわれず、力価も高いままの高品質を長期間にわたって保持できる事が分かった。力価が経時的に低下しにくい為、少ない添加量でも十分効果を得られる事がわかった。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
(実施例2)粉末香料の揮発試験
表4で示す組成の粉末香料5gをシャーレにとり、110℃の恒温器にいれ、2時間後の重量を測定し減量を求めた。
【0022】
【表4】
【0023】
試験の結果を表5に示した。粉末香料に高分岐環状デキストリンを使用すると、市販のデキストリンを使用した時よりもはるかに、香料の散逸が抑えらる事が分かった。これにより、粉末化する前とあまり変わらない香気バランスで粉末化できて品質が向上するとともに、歩留まりが良くなるので製造コストを大幅に削減することもできる。
【0024】
【表5】
【0025】
(実施例3)
粉末香料の保存試験
50℃の温水とオレンジピールオイルを除く表6に示した原材料を同欄に示した配合割合(重量部)で混合し溶解して、水相部を調製した。
次いで、オレンジピールオイルを加えて水相部と混合乳化し、さらにホモゲナイザーで均質化した後、150℃の温度条件で噴霧乾燥し、表面に賦型剤の被膜を形成した粉末状香料を得た。製造した粉末香料の経時的な安定性を調べるために、官能評価を15名のパネルで行った。
【0026】
【表6】
【0027】
表7に官能評価の結果を示した。粉末香料に高分岐環状デキストリンを使用すると、市販のデキストリンを使用した時よりも、はるかに保管中の品質の変化が少ない事が分かった。オレンジピールオイルの主成分であるd−リモネンは、酸化されやすい成分である事が知られている。品質が長期間にわたって保持できるのは、保管中に酸化等によるこのd−リモネンの変化が少なくなるためであると考えられた。
【0028】
【表7】
【効果】
この発明は、以上説明したように、高分岐環状デキストリンを限定使用し、かつこれを所定量配合した粉末状香料としたので、力価と香気バランスが良く、しかも保存安定性の優れたものとなる利点がある。
Claims (3)
- 香料成分又は香料成分を含む混合物100重量物に対して、高分岐環状デキストリンを10〜10,000重量部、かつ賦型剤10〜10,000重量部を配合した組成物からなる粉末状香料
- 粉末化方法が噴霧乾燥によることを特徴とする請求項1記載の粉末状香料の製造方法
- 請求項1〜2に記載の組成物及び製造方法を利用した飲食物
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002232709A JP2004067962A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 新規な高分岐環状デキストリンを含有する粉末香料及びその製造方法及びそれを利用した飲食物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002232709A JP2004067962A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 新規な高分岐環状デキストリンを含有する粉末香料及びその製造方法及びそれを利用した飲食物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004067962A true JP2004067962A (ja) | 2004-03-04 |
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ID=32018026
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002232709A Withdrawn JP2004067962A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 新規な高分岐環状デキストリンを含有する粉末香料及びその製造方法及びそれを利用した飲食物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004067962A (ja) |
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---|---|---|---|---|
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JP2015101807A (ja) * | 2013-11-25 | 2015-06-04 | ライオン株式会社 | 固形状繊維製品処理剤組成物 |
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-
2002
- 2002-08-09 JP JP2002232709A patent/JP2004067962A/ja not_active Withdrawn
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