JP4648869B2 - 熱および光に安定なシトラール含有酸性飲料 - Google Patents

熱および光に安定なシトラール含有酸性飲料 Download PDF

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Description

本発明は熱および光に安定なシトラール含有酸性飲料に関する。
シトラールはミカン科に属するレモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジなどの果皮に含まれている重要な香気成分で、新鮮なレモン様の香りを持っている。シトラールは食品香料として果実飲料、果汁飲料などの各種飲食品に柑橘類の風味を付与増強するために広く使用されているが、熱および光に対して不安定であることが欠点である。酸性飲料中においては特に不安定で酸触媒反応により環化または酸化反応を起こし、レモン様のフレッシュ感が消失するとともに、これらの環化、酸化生成物がオフフレーバーとなり、フレーバーの寿命が短くなることが知られている(非特許文献1)。
シトラールの熱劣化によるオフフレーバーの生成機構は、化1に示すように、まず、環化反応によりp−メンタジエン−8−オールとなり、ついで酸化によりp−サイメン−8−オールとなり、さらにα−p−ジメチルスチレンを経て、p−メチルアセトフェノンが生成することが知られている(非特許文献2)。これらの生成物の中でも閾値が低く、アーモンド様の、シトラスとは異質の香気を有するp−メチルアセトフェノンの生成はフレーバーにとって好ましくないものである。
Figure 0004648869
また、シトラールは光劣化では化2に示すようにフォトシトラールAおよびBが生成することが知られている。フォトシトラールAおよびBは互いに異性体であるが、フォトシトラールBがオフフレーバー成分と推定されている。
Figure 0004648869
従来、こうした香味、香気の劣化を抑制するために、アスコルビン酸等の各種の酸化防止剤や光劣化防止剤の添加が提唱されている(非特許文献3)。さらに、種々の検討がなされ、例えば、アオチリメンジソから抽出されるプロペン酸エステルからなる食品フレーバーの劣化防止剤(特許文献1)、ユーカリ、丁字、ミノバラン、イチゴ、サンシュウ、ゲンノショウコ、ザクロ、ヒシ、五倍子及びアカメガシワからの溶媒抽出物を含有する香味劣化抑制剤(特許文献2)、エリオシトリンを有効成分とするフレーバー劣化防止剤(特許文献3)などが提案されている。これら従来提案されている柑橘系フレーバーの劣化防止においては、シトラールの残存率に着目して検討されている。
また、シトラールの劣化生成物であるp−メチルアセトフェノンの生成を抑制する提案としては、例えば、カフェ酸誘導体を有効成分とするシトラスフレーバーの安定化方法(特許文献4)、茶ポリフェノールを香味劣化防止剤とする方法(特許文献5)、テアフラビン類を有効成分とする方法(特許文献6)等が提案されている。
一方、サイクロデキストリンを用いて香気物質を包接錯体とし安定化する技術が従来より知られている。例えば、オニオン油、ジル油、当帰油、燻煙アロマ、ラズベリーアロマ、タラゴン油、からし油、オイゲノール、マジョラン油、カラウエー油、チモール油等のシクロデキストリン包接錯体(特許文献7)、 サイクロデキストリンに水を加えてペースト状にした後香料を加えて混練して香料を包接錯体とした後乾燥させ、食用油脂に添加した香料含有油脂(特許文献8)等が開示されている。またシトラールに関しても包接化合物およびその製造方法が開示されており、その保存安定性が良好であることが記載されている(特許文献9)。
Perfumer & Flavorist,Vol.19,July/August,pp.23−32(1994) Z.Lebensm.Unters.Forsch.,Vol.187,pp.35−39(1988) 特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第1部 1999年1月29日 p141〜147 特開平9−227456号公報 特開平11−137224号公報 特開2001−61461号公報 WO98/58656号公報 特開2003−96486号公報 特開2005−171116号公報 特開昭54−35251号公報 特開昭53−18775号公報 特開昭55−38338号公報
しかしながらアスコルビン酸等の酸化防止剤等の光劣化防止剤の添加では酸性飲料におけるシトラールの劣化に対しては満足のいく効果が得られず、アオチリメンジソ抽出物やユーカリ、丁字、ミノバラン、イチゴ、サンシュウ、ゲンノショウコ、ザクロ、ヒシ、五倍子及びアカメガシワからの抽出物、エリオシトリン等の添加も十分な効果とはいえない上、酸性飲料に使用した場合、呈味に影響が出てしまうという問題点が見られた。また茶ポリフェノールの添加は呈味に影響を与え、テアフラビン類は精製しなければ効果が低いため精製の手間とコストがかかるという欠点があった。
また、従来、粉末状態では安定性がよいとされていたシトラールのサイクロデキストリン包接錯体は酸性飲料中に添加したところ加熱殺菌、加温保存により容易に劣化臭が発生してしまうことが判明した。
そこでシトラールを含有する酸性飲料において殺菌、保存や光照射においてもシトラールが減少せず、また、p−サイメン−8−オールやp−メチルアセトフェノンなどのオフフレーバーが発生せず、しかも呈味に影響を与えないシトラールの安定化方法の開発が強く求められていた。
上記課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討を行った。その結果、シトラールを含有する酸性飲料においてサイクロデキストリン類をシトラールのモル量と比べ過剰量添加したところ、殺菌、保存、光照射においてもシトラール量が全く減少せず、また、p−サイメン−8−オールやp−メチルアセトフェノンなどのオフフレーバーが発生せず、しかも呈味には全く悪影響を与えないことを発見し、本発明の完成に至った。
かくして本発明は下記の(A)および(B)を含有する酸性飲料であって、
(A)シトラール
(B)サイクロデキストリン類
酸性飲料中における(A)の濃度が3〜100ppmであり、(B)成分の濃度が0.1%〜20%であり、かつ、(B)/(A)=34.7〜500(モル比)であることを特徴とする酸性飲料を提供するものである
また、本発明によれば前記サイクロデキストリン類がα−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン、マルトシル−β−サイクロデキストリンからなる群より選ばれる1種または2種以上である、前記のシトラール含有酸性飲料が提供される。
本発明によれば、シトラールを含有する酸性飲料において、p−メチルアセトフェノンなどのオフフレーバーの原因物質を生成せず、香味劣化の抑制されたフレッシュな柑橘系の香りを有する酸性飲料を提供することができる。また、本発明による酸性飲料は、さらに、殺菌、日光照射、長期保存を行った場合でもp−メチルアセトフェノンなどのオフフレーバーの原因物質を生成せず、きわめて安定に良好にシトラールの香りを保持することができる。
本発明でいう酸性飲料とは、pH4.6未満の清涼飲料を指す。具体的には各種天然果汁、野菜汁を使用した果実飲料や野菜飲料、クエン酸、乳酸、酢酸などの酸味料で酸味をつけたニアウォーター、スポーツ飲料、乳酸飲料、乳性飲料などが含まれる。さらにそれに炭酸を付加したものであってもよい。pHが4.6を越える飲料においてサイクロデキストリン類をシトラール安定化のために飲料中に用いても良いが、pHが4.6を越える飲料においてはシトラールの安定性が元々それほど悪くないため、あまり大きな効果は得られない。
本発明でいうシトラールとはネラールおよびゲラニアールの総称を意味し、天然品であっても、合成品であっても良い。天然品の場合は柑橘精油等から単離したものでも良いが、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘類、レモングラス、リッツァクベバ等の精油をそのまま、あるいはこれらの精油をエタノール水溶液等にてエッセンス化しもの等から由来するシトラールも本発明でいうシトラールに含まれる。
本発明の酸性飲料中におけるシトラールの濃度は3〜100ppmの範囲内、好ましくは6〜50ppmの範囲内である。シトラール濃度が3ppm以下では、飲料におけるシトラールの香気自体が弱く、また、そのためシトラールの劣化により発生するp−サイメン−8−オールやp−メチルアセトフェノンなども低濃度となるためオフフレーバーも弱く、シトラールの劣化を防止する必要性があまり高くない。シトラール濃度が100ppmを越えた場合は、シトラールの香気が強すぎて飲料として適当でないうえ、それに対応するサイクロデキストリンの量も多くなりすぎるため、サイクロデキストリンの溶解性、飲料の粘度の増加等によりサイクロデキストリンの添加が困難となる。
サイクロデキストリンは、6〜12個のグルコース分子がα−1,4グルコシド結合で環状に連なった非還元性マルトオリゴ糖であり、バチルス・マセランス(Bacillus macerans)等のサイクロデキストリン生成酵素をデンプンに作用させることによって製造される。一般的なサイクロデキストリンとしては、グルコース分子6個からなるα−サイクロデキストリン、7個のグルコース分子からなるβ−サイクロデキストリン及び8個のグルコース分子からなるγ−サイクロデキストリンが知られている。また、溶解度を向上させた分岐型やメチル型のサイクロデキストリンも知られている。
本発明では特にα−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリンまたはマルトシル−β−サイクロデキストリンの4種類を使用した場合、本発明における所望の効果を良好に発揮する。これらのサイクロデキストリンは、単独でまたは併用して使用することができる。
サイクロデキストリンはその環状の内側に各種の低分子物質を包接し、安定な包接化合物を作ることが知られている。サイクロデキストリンによるシトラールのモル比で1:1の包接物化合物粉末が特開昭55−38338に記載されており、この粉末が保存、熱、酸に安定であることが記載されている。しかしながら、特開昭55−38338の発明では酸性飲料に使用した場合の安定性については全く記載されていない。本発明者等はシトラールのサイクロデキストリンのモル比で1:1の包接物化合物粉末を製造し、酸性飲料に添加し加熱殺菌を行ったところ、シトラールの劣化およびp−メチルアセトフェノンやp−サイメン−8−オールやなどのオフフレーバー物質の生成が、未包接のシトラールを使用した場合と全く差がなく、シトラールのサイクロデキストリン包接体が、粉末としての安定性は高いにもかかわらず、酸性飲料においては全く安定化効果がないことを確認した。しかしながら、酸性飲料中にサイクロデキストリンをシトラールに対しモル比で5倍以上含有させた場合はシトラールの安定性がきわめて良好となることを確認した。
本発明の酸性飲料におけるサイクロデキストリンの添加量は0.1〜20%の範囲内、好ましくは0.2〜10%の範囲内である。サイクロデキストリンの添加量が0.1%未満の場合シトラールの劣化を充分抑えることができず、酸性飲料の殺菌、保存光照射等によりp−サイメン−8−オールやp−メチルアセトフェノンなどのオフフレーバーが発生してしまう。また、サイクロデキストリンが20%を越える量添加してもより大きな効果が得られないのみならず、サイクロデキストリンの溶解性、飲料の粘度の増加、サイクロデキストリン由来の風味等により好ましくない。また、サイクロデキストリン(B)とシトラール(A)の比は、モル比で(B)/(A)が34.7〜500倍の範囲内、好ましくは34.7〜250倍の範囲内である。(B)/(A)が34.7倍未満の場合、シトラールの劣化、p−メチルアセトフェノンおよびp−サイメン−8−オールの生成を充分抑えることができない。また、(B)/(A)が500を超えても、より大きな効果は得られない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
表1に示した処方にて酸性飲料基材を調製した。
Figure 0004648869
調製した酸性飲料基材にシトラールを30ppm添加し、さらに各種サイクロデキストリン(いずれも塩水港精糖(株)製)または劣化防止素材を表2に示す量添加した後、90℃、2分間加熱殺菌し、200ml透明ジュース瓶に90℃にて充填、冷却した。
なお、シトラールおよび使用した各サイクロデキストリンの分子量は以下の通りである。
シトラール:分子量 152
α−サイクロデキストリン(純度98%以上):分子量 973
β−サイクロデキストリン(純度98%以上):分子量 1135
γ−サイクロデキストリン(純度98%以上):分子量 1297
マルトシル−β−サイクロデキストリン(純度97%以上): 分子量 1459
イソエリート(サイクロデキストリン含量80%以上、マルトシルサイクロデキストリ ン50%以上):平均分子量約1400
なお、実施例における比較品としては以下のものを使用した。
1)エピガロカテキンガレート:栗田工業社製「(−)−エピガロカテキンガレート(商品名)」を使用した。
2)酵素処理ルチン:東洋精糖(株)製のα−グルコシルルチン(酵素処理ルチン)、商品名「αGルチンPS」(以下、酵素処理ルチンと略す)を使用した。
3)カキタンニン:カキ(Diospyros kaki)の未熟果1kgを洗浄した後ミキサーで破砕・搾汁し、バスケット式遠心濾過機で搾汁滓を分離することにより懸濁果汁600mlを得た。この懸濁果汁をケイソウ土を助剤としたヌッチェを使用し、吸引濾過し、清澄果汁を得た。得られた清澄果汁を多孔性樹脂SP−207を充填したカラムに通してタンニンを吸着させた後、カラムを水で洗浄、次いで、70重量%エタノール水溶液を通してカラムからタンニンを脱着させた。得られたタンニン溶液を減圧下で濃縮後、真空凍結乾燥して淡褐色の粉末としてカキタンニン10gを得た。
調製した飲料は加熱虐待化試験として、35℃の暗所にて2日および4日、光照射試験として、10000Lux、10℃にて2日および4日保存し、シトラール含量を測定した。
また、加熱虐待品はp−サイメン−8−オールおよびp−メチルアセトフェノン含量についても測定した。
シトラール、p−サイメン−8−オールおよびp−メチルアセトフェノン含量は下記に示す条件にてHPLCを用いて測定した。
(分析条件)
装置 :WATERS HPLC System
カラム :TSKgel ODS−100S、3.0×150mm(TOSOH)
移動相 :A液(水:リン酸=995:5)、
B液(水:アセトニトリル:リン酸=95:900:5)
30%B in A→100%B(20分、リニアグラジエント)
流速 :0.7ml/分
検出 :Waters 2996 Photodiode Array
Detector
シトラール(240nm)
p−サイメン−8−オール(220nm)
p−メチルアセトフェノン(257nm)
注入量 :20μl
シトラールの分析結果を表2に、p−メチルアセトフェノンの分析結果を表3に、p−サイメン−8−オールの分析結果を表4に示す。
Figure 0004648869
Figure 0004648869
Figure 0004648869
表2〜4に示した通り、いずれのサイクロデキストリンを添加した飲料も、加熱虐待、光照射のいずれの条件においても、無添加品に比べシトラールの残存量が多く、また加熱虐待においては異臭の原因物質であるp−メチルアセトフェノンおよびp−サイメン−8−オールの生成量が少なかった。特に、加熱虐待において、サイクロデキストリン無添加の場合4日間の保存ではシトラールが1.1ppmしか残存していないのに対し、サイクロデキストリンを添加した飲料は、5.1〜23.8ppmであり、無添加に対し5〜20倍のシトラール残存量であった。風味的にも、シトラール残存量が多いほど、シトラール特有のレモンのフレッシュな香気が強く感じられ、p−メチルアセトフェノンおよびp−サイメン−8−オール由来の劣化臭は弱かった。また、サイクロデキストリンの添加による風味上マイナスの影響(不自然な甘さ、粉っぽさ、喉ごしの悪さ等)は特に見られなかった。サイクロデキストリンを添加した飲料は、エピガロカテキンガレート、酵素処理ルチン、カキタンニンを添加した飲料との比較においても、高いシトラール残存量を示し、表2のサイクロデキストリン添加品の内では最もシトラール残存量の低いα−サイクロデキストリン1%添加においてもエピガロカテキンガレート、酵素処理ルチンを添加した飲料の2倍程度であった。また、サイクロデキストリンの添加量が多いほど、効果が大きく、サイクロデキストリンを10%添加した場合は、ほとんどシトラールの劣化が起こらなかった。また、サイクロデキストリン1%添加における、各種サイクロデキストリン類の比較では、β−サイクロデキストリンおよびマルトシル−β−サイクロデキストリンがシトラール残存量が特に多く良好であった。
参考例1(シトラールのβ−サイクロデキストリン包接化合物の製造)
β−サイクロデキストリン(塩水港株式会社製)113.5g(0.1モル)を水2000gに40℃で溶解させた後、攪拌しながらシトラール15.2g(0.1モル)を加えた。40℃にて2時間攪拌したところ、シトラールの香気が感じられなくなり、シトラールがサイクロデキストリンに包摂されたことが確認された。この溶液を20℃まで冷却し、生成した白色の沈殿物を濾別し、通気乾燥させ、77.8gの包接化合物を得た(参考品1)
実施例2
表1に示した処方にて調製した酸性飲料基材にシトラールおよびβ−サイクロデキストリンまたは劣化防止素材を表5〜7に示す量添加した後、90℃、2分間加熱殺菌し、200ml透明ジュース瓶に90℃にて充填、冷却した。
調製した飲料は熱劣化試験として、暗所、35℃にて2日および4日、光劣化試験として、10000Lux、10℃にて2日および4日保存し、前記条件にてシトラール含量を測定した。
シトラールの分析結果を表5に、p−メチルアセトフェノンの分析結果を表6に、p−サイメン−8−オールの分析結果を表7に示す。
Figure 0004648869
Figure 0004648869
Figure 0004648869
表5に示したとおり、シトラール濃度30ppmに対し、β−サキクロデキストリン0.022%(β−サイクロデキストリン(B)/シトラール(A)=1(モル比))ではシトラールの劣化防止効果は見られなかった。また、シトラールをβ−サイクロデキストリンで一旦包摂した包接化合物をシトラールとして30ppmとなるよう添加した場合も、それぞれを別々に添加した場合とほぼ同様にシトラールの劣化防止効果は見られなかった。一方、β−サイクロデキストリン(B)をシトラール(A)に対し過剰に添加した場合、β−サイクロデキストリン添加量が多い程シトラールの残存量が多く、特に(B)/(A)=5を越えると、シトラールの劣化は顕著に抑えられた。また、加熱虐待において異臭の原因物質であるp−メチルアセトフェノンおよびp−サイメン−8−オールの生成も顕著に抑えられた。
実施例3
表1に示した処方にて調製した酸性飲料基材にシトラールを3ppm、6ppmまたは100ppmとなるように添加し、さらに各シトラール濃度につきβ−サイクロデキストリンの添加量を数点ずつ変えた飲料を調製し、90℃、2分間加熱殺菌し、200ml透明ジュース瓶に90℃にて充填、冷却した。
調製した飲料は熱劣化試験として、暗所、35℃にて2日および4日、光劣化試験として、10000Lux、10℃にて2日および4日保存し、前記条件にてシトラール含量を測定した。
分析結果を表8〜10に示す。
Figure 0004648869
Figure 0004648869
Figure 0004648869
表8〜10より、シトラール濃度が3ppm、6ppmおよび100ppmいずれにおいてもβ−サイクロデキストリン(B)/シトラール(A)=1(モル比)ではシトラールの劣化防止効果は見られなかった。また、シトラールをβ−サイクロデキストリンで一旦包接した包接化合物をシトラールとして3ppm、6ppmおよび100ppmとなるよう添加した場合も、それぞれを別々に添加した場合とほぼ同様にシトラールの劣化防止効果は見られなかった。一方、β−サイクロデキストリン(B)をシトラール(A)に対し過剰に添加した場合、β−サイクロデキストリン添加量が多い程シトラールの残存量が多く、β−サイクロデキストリンの添加量として0.1%以上でありかつ、β−サイクロデキストリン(B)/シトラール(A)がモル比で5以上である範囲において顕著なシトラール劣化防止効果が認められた。
参考例2(シトラールのマルトシル−β−サイクロデキストリン包接化合物の製造)
マルトシル−β−サイクロデキストリン(塩水港株式会社製)145.9g(0.1モル)を水500gに40℃で溶解させた後、攪拌しながらシトラール15.2g(0.1モル)を加えた。40℃にて2時間攪拌したところ、シトラールの香気が感じられなくなり、シトラールがサイクロデキストリンに包摂されたことが確認された。この溶液を凍結乾燥し、粉砕し、161.1gの包接化合物を得た(参考品2)。
実施例4
表1に示した処方にて調製した酸性飲料基材にシトラールを3ppm、6ppm、30ppmまたは100ppmとなるように添加し、さらに各シトラール濃度につきマルトシル−β−サイクロデキストリンの添加量を数点ずつ変えた飲料を調製し、90℃、2分間加熱殺菌し、200ml透明ジュース瓶に90℃にて充填、冷却した。
調製した飲料は熱劣化試験として、暗所、35℃にて2日および4日、光劣化試験として、10000Lux、10℃にて2日および4日保存し、前記条件にてシトラール含量を測定した。
分析結果を表11〜14に示す。
Figure 0004648869
Figure 0004648869
Figure 0004648869
Figure 0004648869
表11〜14より、シトラール濃度が3ppm、6ppm、30ppmおよび100ppmいずれにおいてもβ−サイクロデキストリンのときと同様にマルトシル−β−サイクロデキストリン(B)/シトラール(A)=1(モル比)ではシトラールの劣化防止効果は見られず、また一旦包接した包接化合物を添加した場合も、それぞれを別々に添加した場合とほぼ同様にシトラールの劣化防止効果は見られなかった。マルトシル−β−サイクロデキストリンの添加量と劣化防止の傾向を比較すると、シトラールに対するモルでの添加倍率において実施例3におけるβ−サイクロデキストリンと、ほぼ同じ程度の劣化防止効果が見られた。すなわち、マルトシル−β−サイクロデキストリン(B)をシトラール(A)に対し過剰に添加した場合、マルトシル−β−サイクロデキストリン添加量が多い程シトラールの残存量が多く、マルトシル−β−サイクロデキストリンの添加量として0.1%以上でありかつ、β−サイクロデキストリン(B)/シトラール(A)がモル比で5以上である範囲において顕著なシトラール劣化防止効果が認められた。

Claims (2)

  1. 下記の(A)および(B)を含有する酸性飲料であって、
    (A)シトラール
    (B)サイクロデキストリン類
    酸性飲料中における(A)成分の濃度が3〜100ppmであり、(B)成分の濃度が0.1%〜20%であり、かつ、(B)/(A)=34.7〜500(モル比)であることを特徴とする酸性飲料。
  2. サイクロデキストリン類がα−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン、マルトシル−β−サイクロデキストリンからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載のシトラール含有酸性飲料。
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