JP2003096486A - 香味劣化の抑制された柑橘系フレーバー組成物 - Google Patents

香味劣化の抑制された柑橘系フレーバー組成物

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JP2003096486A
JP2003096486A JP2001295232A JP2001295232A JP2003096486A JP 2003096486 A JP2003096486 A JP 2003096486A JP 2001295232 A JP2001295232 A JP 2001295232A JP 2001295232 A JP2001295232 A JP 2001295232A JP 2003096486 A JP2003096486 A JP 2003096486A
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Akio Nakamura
明朗 中村
Osamu Inami
治 稲波
Akira Fujita
藤田  明
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T Hasegawa Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柑橘系フレーバー、特にその主要香気成分で
あるシトラールから、オフフレーバーの原因物質である
p−メチルアセトフェノンの生成を抑制することがで
き、香味劣化の抑制された柑橘系フレーバー組成物およ
び該組成物を含有する飲食品を提供すること。 【解決手段】 茶ポリフェノールを香味劣化抑制剤とし
て含有することを特徴とする柑橘系フレーバー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、香味劣化の抑制さ
れた柑橘系フレーバー組成物に関し、更に詳しくは、茶
ポリフェノールを香味劣化抑制剤として含有することを
特徴とする柑橘系フレーバー組成物および該組成物を含
有する飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】レモン、ライム、グレープフルーツおよ
びオレンジフレーバーなどの柑橘系フレーバーは、例え
ば、果実飲料、果汁飲料などの各種飲食品に柑橘類の風
味を付与増強するために用いられている。
【0003】シトラールは、柑橘系フレーバー、特にレ
モンフレーバー中の主要香気成分であり、レモン様のフ
レッシュな香気を付与するための重要な香気成分であ
る。しかしながら、シトラールは不安定で、酸性条件下
では酸触媒反応により環化または酸化反応を起こし、分
解される。それに伴い、レモン様のフレッシュ感が消失
するとともに、これらの環化、酸化生成物がオフフレー
バーとなり、フレーバーとしての寿命が短くなることが
知られている(Perfumer & Flavori
st,Vol.19,July/August,pp.
23−32(1994))。
【0004】シトラールの環化と酸化反応は、下記の分
解経路に示すように、まず、環化反応により化合物Bで
表されるp−メンタジエン−8−オールとなり、ついで
酸化されて化合物Cで表されるp−サイメン−8−オー
ルとなり、さらに化合物Dで表されるα−p−ジメチル
スチレンを経て、化合物Eで表されるp−メチルアセト
フェノンに分解されることが知られている(Z.Leb
ensm.Unters.Forsch.,Vol.1
87,pp.35−39(1988))。これらの分解
物の中でも閾値が低く、アーモンド様の、シトラスとは
異質の香気を有するp−メチルアセトフェノンの生成は
フレーバーにとって好ましくないものである。シトラールの分解経路
【0005】
【化1】
【0006】これまで、柑橘系フレーバーの劣化抑制に
ついては種々の検討がなされ、例えば、アオチリメンジ
ソから抽出されるプロペン酸エステルからなる食品フレ
ーバーの劣化防止剤(特開平9−227456号公
報)、ユーカリ、丁字、ミノバラン、イチゴ、サンシュ
ウ、ゲンノショウコ、ザクロ、ヒシ、五倍子及びアカメ
ガシワからの溶媒抽出物を含有する香味劣化抑制剤(特
開平11−137224号公報)、エリオシトリンを有
効成分とするフレーバー劣化防止剤(特開2001−6
1461号公報)などが提案されている。これら従来提
案されている柑橘系フレーバーの劣化防止においては、
シトラールの残存率に着目して検討されている。
【0007】また、シトラールの分解生成物であるp−
メチルアセトフェノンの生成を抑制する提案としては、
例えば、カフェ酸誘導体を有効成分とするシトラスフレ
ーバーの安定化方法(WO98/58656号公報)が
提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、柑橘
系フレーバー、特にその主要香気成分であるシトラール
から、オフフレーバーの原因物質であるp−メチルアセ
トフェノンの生成を抑制することができ、香味劣化の抑
制された柑橘系フレーバー組成物および該組成物を含有
する飲食品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、シトラー
ルの分解生成物の中で、オフフレーバーの主要原因物質
であるp−メチルアセトフェノンに着目し、該化合物の
生成を抑制することができる素材について鋭意研究を行
なった結果、今回、茶ポリフェノールが有効であること
を見出し本発明を完成した。
【0010】かくして本発明によれば、茶ポリフェノー
ルを香味劣化抑制剤として含有することを特徴とする柑
橘系フレーバー組成物が提供される。また、本発明は、
シトラールのp−メチルアセトフェノンへの分解を抑制
する茶ポリフェノール含有柑橘系フレーバー組成物およ
び該組成物を含有する飲食品が提供される。さらに本発
明は、有効量の茶ポリフェノールを含有せしめることを
特徴とする柑橘系フレーバー含有飲食品の香味劣化防止
方法が提供される。
【0011】以下に、本発明の具体的態様について説明
する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、茶ポリフェノールを香
味劣化抑制剤として含有することを特徴とする柑橘系フ
レーバー組成物である。
【0013】本発明に用いられる茶ポリフェノールは、
例えば、紅茶、プアール茶などの発酵茶;ウーロン茶、
包種茶などの半発酵茶;緑茶、釜煎り緑茶、ほうじ茶な
どの不発酵茶並びにこれらの混合物を、水、熱水、含水
有機溶媒、有機溶媒などで抽出したもので、一般に茶抽
出物として知られている。また、本発明には上記の茶抽
出物を、例えば、有機溶媒分画や吸着樹脂などを用いて
所望の程度に精製した茶ポリフェノール高含有物として
使用することもできる。
【0014】このようにして得られた茶抽出物や茶ポリ
フェノール高含有物に含まれる茶ポリフェノールは、具
体的にはカテキン類、すなわち(+)−カテキン、
(−)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(+)−エ
ピガロカテキン、(+)−ガロカテキンガレート、
(+)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピカテ
キン、(−)−エピカテキンガレート、(−)−カテキ
ンガレート、(−)−エピガロカテキン、(−)−ガロ
カテキン、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)
−ガロカテキンガレートなど、テアフラビン類、すなわ
ちテアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレ
ートB、テアフラビンジガレート、遊離型テアフラビン
などが含まれ、これらを単独もしくは組み合わせて用い
る。
【0015】また、上記の茶ポリフェノールは市販品を
入手することもでき、例えば、ポリフェノン60(東京
フードテクノ(株)製、茶ポリフェノール含量60%以
上)、サンフェノンBG(太陽化学(株)製、茶ポリフ
ェノール含量70%以上)などを例示することができ
る。
【0016】本発明の柑橘系フレーバーは、例えば、オ
レンジ、グレープフルーツ、ブンタン、レモン、ライ
ム、ユズ、キンカンなどの柑橘類果実の特徴を有するフ
レーバーであり、例えば、オレンジオイル、グレープフ
ルーツオイル、レモンオイル、ライムオイル、ユズオイ
ルなどの果実から圧搾または水蒸気蒸留により得られる
精油類;該精油類を脱テルペン処理したターペンレスオ
イル;柑橘果汁を濃縮する際などに得られる回収香;柑
橘類の精油をアルコールに溶解したエッセンス類などの
天然香料、リモネン、ミルセンなどの炭化水素類;シト
ラール、シトロネラールなどのアルデヒド類;シトロネ
ロール、ゲラニオールなどのアルコール類;シトロネリ
ルアセテート、ゲラニルアセテートなどのエステル類;
カンファ、ヌートカトンなどのケトン類などからなる合
成香料などから選ばれる少なくとも1種または2種以上
を組み合わせたフレーバーからなる。本発明では、特に
シトラール含量の高いレモンフレーバーに対して有効に
適用することができる。
【0017】本発明の香味劣化の抑制された柑橘系フレ
ーバー組成物は、上記の柑橘系フレーバーに、前記茶ポ
リフェノールを配合してなる。茶ポリフェノールを配合
することにより、柑橘系フレーバー中のシトラールのp
−アセトフェノンへの分解を効果的に抑制することがで
きる。
【0018】本発明の柑橘系フレーバー組成物への茶ポ
リフェノールの配合方法は、特に制限されず、茶ポリフ
ェノールをそのまま柑橘系フレーバー組成物に配合する
ほか、使用目的に応じて、例えば、油脂、水、エタノー
ル、プロピレングリコール、グリセリン等の溶媒、ある
いは、アラビアガム、デキストリン、グルコース、界面
活性剤などを配合して、粉末状、顆粒状、液状、乳液
状、ペースト状その他適宜の形状の組成物のタイプで調
製することもできる。
【0019】本発明の柑橘系フレーバー組成物への茶ポ
リフェノールの配合量は、柑橘系フレーバーの種類、茶
ポリフェノールの濃度等により一概には言えないが、一
般に柑橘系フレーバー組成物に対して約0.001〜約
10重量%の範囲内を例示することができる。
【0020】またさらに、上述したように、柑橘系フレ
ーバー組成物に直接茶ポリフェノールを配合する以外
に、柑橘系フレーバーを配合した、例えば、果実飲料、
果汁飲料などの飲食品に、茶ポリフェノールを配合して
柑橘系フレーバー含有飲食品の香味劣化を効果的に抑制
することもできる。柑橘系フレーバー含有飲食品に対す
る茶ポリフェノールの配合量は、柑橘系フレーバーの種
類、茶ポリフェノールの濃度等により異なるが、一般に
は柑橘系フレーバー含有飲食品に対して約0.001〜
約10重量%を例示することができる。
【0021】本発明の香味劣化の抑制された柑橘系フレ
ーバー組成物は、広範囲の飲食品に使用することがで
き、例えば、清涼飲料、果汁飲料、果実飲料、炭酸飲料
などの飲料類;シャーベット、アイスクリームなどの冷
菓類;シロップ、キャンディー類;ジャム、フルーツプ
レザーブ類;ケーキ、ババロア、ムース等の洋菓子類;
ゼリー、ガムなどの菓子類などを挙げることができる。
【0022】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。
【0023】
【実施例】実施例1及び比較例1〜6 果糖ブドウ糖液160g、クエン酸1.5g、クエン酸
ナトリウム0.2gおよびシトラールの1%アルコール
溶液3.0gを水で1Lに定容して、シトラール濃度3
0ppm、pH3、Bx12°のシロップ溶液を調製し
た。このシロップ溶液に下記に示す各種抗酸化剤を添加
し、200mlジュース瓶に95℃、30秒間ホットパ
ック充填し、35℃にて熱虐待試験を行った。
【0024】抗酸化剤の種類 実施例1:ポリフェノン60(東京フードテクノ(株)
製の茶ポリフェノール) 比較例1:抗酸化剤無添加 比較例2:αGルチンP(東洋製糖(株)製の酵素処理
ルチン) 比較例3:アップルフェノン50(ニッカウイスキー
(株)製のリンゴ抽出物) 比較例4:グラヴィノール(キッコーマン(株)製のブ
ドウ種子抽出物) 比較例5:没食子酸 比較例6:ビタミンC
【0025】シロップ溶液中の抗酸化剤濃度 実施例1:165ppm(ポリフェノールとして100
ppm) 比較例1:無添加 比較例2:250ppm(ポリフェノールとして100
ppm) 比較例3:200ppm(ポリフェノールとして100
ppm) 比較例4:250ppm(ポリフェノールとして100
ppm) 比較例5:100ppm(ポリフェノールとして100
ppm) 比較例6:200ppm (p−メチルアセトフェノンの生成量)虐待処理したジ
ュースをフィルターろ過(0.45μm)し、そのろ液
中のp−メチルアセトフェノンの生成量を高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)にて測定した。その結果を
図1に示した。
【0026】HPLC測定条件 Instrument:WATERS HPLC Sy
stem Column:TSKgel ODS−100S,4.
6×150mm(TOSOH) Mobile phase:A(H2O:H3PO4=
995:5),B(H2O:CH3CN:H3PO4=
95:900:5) 20min Linear gradient fro
m 30%B in A to 100%B Flow rate:0.7ml/min Detecter:Waters 484 Tunab
le Absorbance Detecter(20
0〜600nm) Injection Volume:20μl (官能評価)未虐待のジュースを対照として、実施例1
及び比較例1〜6の熱虐待日数12日のジュースについ
て、良く訓練された専門パネラー10名にて官能評価を
行った。その平均的な官能評価を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2 果糖ブドウ糖液160g、クエン酸1.5g、クエン酸
ナトリウム0.2gおよびシトラールの1%アルコール
溶液0.3gを水で1Lに定容して、シトラール濃度3
ppm、pH3、Bx12°のシロップ溶液を調製し
た。このシロップ溶液に実施例1で使用した茶ポリフェ
ノールを、ポリフェノール濃度として100ppm、5
0ppm、25ppmおよび0ppm(無添加)となる
ように添加し、200mlジュース瓶に95℃、30秒
間ホットパック充填し、40℃にて熱虐待試験を行っ
た。 (p−メチルアセトフェノンの生成量)虐待処理したジ
ュースをフィルターろ過(0.45μm)し、そのろ液
中のp−メチルアセトフェノンの生成量を、実施例1と
同様に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測
定した。その結果を図2に示した。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、柑橘系フレーバー、特
にその主要香気成分であるシトラールから、オフフレー
バーの原因物質であるp−メチルアセトフェノンの生成
を抑制することができ、香味劣化の抑制された柑橘系フ
レーバー組成物および該組成物を含有する飲食品を提供
することができる。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】各種の添加剤を使用した際の、p−メチルアセ
トフェノン生成量の経時変化を示すグラフである。
【図2】茶ポリフェノールの添加量と、p−メチルアセ
トフェノン生成量の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B017 LC10 LE10 LG02 LG14 LK06 LL07 4B047 LB03 LF07 LG12 LG38 LP01 4H059 BA17 BA24 BA38 BB04 BB14 BB15 BB18 BB22 BB45 BC23 DA09 EA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 茶ポリフェノールを香味劣化抑制剤とし
    て含有することを特徴とする柑橘系フレーバー組成物。
  2. 【請求項2】 柑橘系フレーバーがシトラールを含有す
    る請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 茶ポリフェノールがシトラールのp−メ
    チルアセトフェノンへの分解を抑制することを特徴とす
    る請求項1または2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の柑橘系フレーバー組
    成物を含有する飲食品。
  5. 【請求項5】 有効量の茶ポリフェノールを含有せしめ
    ることを特徴とする柑橘系フレーバー含有飲食品の香味
    劣化防止方法。
JP2001295232A 2001-09-27 2001-09-27 香味劣化の抑制された柑橘系フレーバー組成物 Pending JP2003096486A (ja)

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