JP6530616B2 - 化粧料及び加齢臭抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、酢酸菌又はその粉砕物とシクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを含有した、アルデヒド脱水素酵素活性が高く維持され、加齢臭が抑制できる化粧料に関する。
また、酢酸菌又はその粉砕物とシクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを有効成分とする、アルデヒド脱水素酵素活性が高く維持され、加齢臭が抑制できる加齢臭抑制剤に関する。
近年のデオドラントブーム下では、匂いに対する意識が高まっており、特に中高年齢者の体臭に認められる「加齢臭」は最も嫌われる匂いの一つである。
さらに、日本人は外的自己意識の高い国民性が知られており、男女問わず中高年齢者の間では「加齢臭」をケアしようとする傾向が高まっている。
この傾向から、外的自己意識の高い中高年齢者は、自認の有無に関わらず、自らが加齢臭を発しているかもしれないという見えない不安感を感じている。
「加齢臭」が発生するメカニズムとしては、中高年以降は皮脂中の過酸化脂質量が増え、皮膚上に分泌された皮脂中の脂肪酸が、老化による抗酸化防御機構の低下に伴って酸化され易くなるため、オクタナール又はノネナール等といった不飽和アルデヒドが生成され易くなることがわかっている。そして、この不飽和アルデヒドが「加齢臭」の原因物質であることが明らかとされている。
「加齢臭」の原因となるオクタナール又はノネナール等と同様に不飽和アルデヒドであるヘキサナールやヘプタナールは、米や大豆等の食糧から発せられる劣化臭成分として従来から知られており、グルコノバクター属及びアセトバクター属から選ばれる酢酸菌のアルデヒド脱水素酵素を活用してこの不飽和アルデヒドによる不快臭を低減することが試みられている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、酢酸菌のアルデヒド脱水素酵素を化粧料として含有させ、皮膚から発せられる体臭である「加齢臭」を低減することについては、十分な効果が得られておらず、化粧料として含有させた際にアルデヒド脱水素酵素活性が高く維持され、加齢臭を抑制できる化粧料については検討の余地があった。
特許第2521460号公報 特公平6−97959号公報
そこで、本発明の目的は、アルデヒド脱水素酵素活性が高く維持され、加齢臭を抑制できる化粧料及び加齢臭抑制剤を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酢酸菌又はその粉砕物と、シクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを含有することで、意外にも、アルデヒド脱水素酵素活性が高く維持され、加齢臭が抑制できる化粧料及び加齢臭抑制剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)酢酸菌又はその粉砕物と、
シクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを含有する化粧料、
(2)(1)の化粧料において、
酢酸菌又はその粉砕物がシクロデキストリン及び/又はポリフェノールによってコーティングされていることを特徴とする化粧料、
(3)(1)又は(2)の化粧料において、
グルタミン酸及びアスパラギン酸の少なくともいずれか1種の酸性アミノ酸、又はそれらの塩と、
リジン及びアルギニンの少なくともいずれか1種の塩基性アミノ酸、又はそれらの塩とを組み合わせて配合する化粧料、
(4)酢酸菌又はその粉砕物と、
シクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを含有する加齢臭抑制剤、
(5)(4)の加齢臭抑制剤において、
グルタミン酸及びアスパラギン酸の少なくともいずれか1種の酸性アミノ酸、又はそれらの塩と、
リジン及びアルギニンの少なくともいずれか1種の塩基性アミノ酸、又はそれらの塩とを組み合わせて配合する加齢臭抑制剤、
である。
本発明によれば、アルデヒド脱水素酵素活性が高く維持され、加齢臭を抑制できる化粧料及び加齢臭抑制剤を提供することができる。したがって、「加齢臭」をケアしようとする中高年のニーズに応えることで、中高年の不安感を拭い、中高年市場のさらなる活性化に貢献できる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
<本発明の特徴>
本発明の化粧料及び加齢臭抑制剤は、酢酸菌又はその粉砕物と、シクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを含有することにより、アルデヒド脱水素酵素活性が高く維持され、加齢臭を抑制することに特徴を有する。
<酢酸菌>
本発明に用いる酢酸菌とは、糖や糖アルコールを利用して生育し、エタノールを酸化して酢酸を生成する微生物である。ここで、酢酸菌としては、特に限定されず、例えば、熟れた果実や花等の自然界から単離したものや、既に工業的に醸造酢製造に用いているもの等が挙げられる。
代表的な酢酸菌の種類として、グルコンアセトバクタ−(Gluconacetobacter)属、アセトバクタ−(Acetobacter)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属等を挙げることができる。酸耐性が高い点から、グルコンアセトバクター属の酢酸菌を使用することができる。
グルコンアセトバクター属の菌としては、
グルコンアセトバクター・コンブチャ(Gluconacetobacter kombuchae)、
グルコンアセトバクター・スウィングシ(Gluconacetobacter swingsii)、
グルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)、
グルコンアセトバクター・ユーロペウス(Gluconacetobacter europaeus)、
グルコンアセトバクター・マルタセティ(Gluconacetobacter maltaceti)、
グルコンアセトバクター・ディアゾトロフィカス(gluconacetobacter diazotrophicus)、
グルコンアセトバクター・アゾトカプタンス(gluconacetobacter azotocaptans)、
グルコンアセトバクター・ハンゼニイ(Gluconacetobacter hansenii)、及び
グルコンアセトバクター・リックウェフェシエンス(Gluconacetobacter liquefaciens)等を挙げることができ、中でも高いアルデヒド脱水素酵素活性を得られることから、グルコンアセトバクター・コンブチャ、グルコンアセトバクター・スウィングシ、グルコンアセトバクター・キシリヌス、グルコンアセトバクター・ユーロペウス、及びグルコンアセトバクター・マルタセティ等を挙げることができる。これらの一種を用いてもよく、複数種を用いてもよい。
<酢酸菌の粉砕物>
本発明に用いる酢酸菌の粉砕物は、酢酸菌を粉砕したものであればいずれのものでもよく、撹拌機によるせん断、フレンチプレスによる押圧、超音波処理等の方法によって粉砕すればよい。
<酢酸菌又はその粉砕物を本発明に添加するときの形態>
本発明に用いる酢酸菌又はその粉砕物は、酢酸菌をそのままあるいは粉砕した形態、酢酸菌をそのままあるいは粉砕したものにアミノ酸又はその塩、デキストリン、又は乳糖等を加えて造粒した形態、炭酸カルシウムやシリカ等といった多孔質素材のマクロ孔の中に吸着させたもの等の粉末化した形態として化粧料あるいは加齢臭抑制剤に添加することができる。
前記酵素の活性が安定し易く、本発明の効果を発揮し易いことから、酢酸菌又はその粉砕物をシクロデキストリン及び/又はポリフェノールによってコーティングするとよい。
<酢酸菌又はその粉砕物を粉末化したときの形態>
酢酸菌又はその粉砕物が粉末である場合、酵素の活性が安定し易く、本発明の効果を発揮し易いことから、後述するシクロデキストリン及び/又はポリフェノール、もしくはアミノ酸又はその塩と共に噴霧乾燥、凍結乾燥あるいは造粒することによって、酢酸菌をシクロデキストリン及び/又はポリフェノールでコーティングし、化粧料及び加齢臭抑制剤に添加することができる。
この場合、その平均粒径は、5μm以上600μm以下とすると良く、さらに20μm以上400μm以下とすると良い。
<酢酸菌又はその粉砕物の配合量>
本発明の化粧料において、酢酸菌又はその粉砕物の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、化粧料全体に対し乾燥させた酢酸菌換算量で0.001%以上5%以下配合されればよい。
<酢酸菌由来のアルデヒド脱水素酵素>
酢酸菌はアルデヒド脱水素酵素(アルデヒドデヒドロゲナーゼ,ALDH)を有しており、前記酵素はアルデヒド変換反応を触媒する。
具体的には、炭素数2から10かつ窒素原子を含有しないアルデヒドをカルボン酸に酸化(脱水素)させる反応であり、特に、炭素数8から10かつ窒素原子を含有しないアルデヒドを酸化させる反応である。
具体的には、例えば、オクタナール、ノネナール、デカナール、イソオクタナール、イソノネナール、又はイソデカナール等が挙げられる。
したがって、本発明の化粧料又は加齢臭抑制剤を皮膚に塗布すると、上述のアルデヒドに代表される不飽和アルデヒドがカルボン酸に変換され、中高年齢者特有の加齢臭を抑制できると考えられる。
<シクロデキストリン>
本発明に用いるシクロデキストリンは、数個のグルコースが環状につながったものであり、例えば、αシクロデキストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、メチルβシクロデキストリン等が挙げられる。
本発明においては、市販されているものを適宜用いればよい。
<シクロデキストリンの配合量>
本発明の化粧料において、シクロデキストリンの配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、化粧料全体に対し0.01%以上15%以下配合すればよい。
<ポリフェノール>
本発明に用いるポリフェノールは、市販されているものを適宜用いればよく、例えば、タンニン、アントシアニン、カテキン、ルチン、イソフラボン、クロロゲン酸、エラグ酸、リグナン、クルクミン、クマリン等が挙げられる。
<ポリフェノールの配合量>
本発明の化粧料において、ポリフェノールの配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、化粧料全体に対し0.01%以上25%以下配合すればよい。
<アミノ酸、又はそれらの塩>
本発明には、アルデヒド脱水素酵素の活性が維持され易くなることから、さらに特定のアミノ酸又はそれらの塩を配合するとよい。
ここで、特定のアミノ酸としては、グルタミン酸及びアスパラギン酸の少なくともいずれか1種のアミノ酸又はそれらの塩と、
リジン及びアルギニンの少なくともいずれか1種の塩基性アミノ酸又はそれらの塩とを組み合わせたものを指す。
<アミノ酸、又はそれらの塩の配合量>
本発明の化粧料において、アミノ酸、又はそれらの塩の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、化粧料全体に対し0.001%以上25%以下配合すればよい。
<酢酸菌とアミノ酸、又はそれらの塩の配合比率>
本発明に用いる酢酸菌と前述のアミノ酸、又はそれらの塩との配合比率は、酵素活性が維持され易いことから、
酢酸菌:酸性アミノ酸=20:1〜1:20とすることができ、さらに1:1〜1:10とすることができる。
同様に、酢酸菌:塩基性アミノ酸=20:1〜1:20とすることができ、さらに1:1〜1:10とすることができる。
なお、酢酸菌の粉砕物を配合する場合、上記配合比率は酢酸菌換算として算出し、アミノ酸塩を配合する場合は、遊離アミノ酸換算として算出する。
<化粧料>
化粧料とは、肌の保湿や清浄、外観を美しくする目的で、皮膚等に塗布して用いるものをいう。
例えば、制汗用スプレー、制汗用ウェットシート、又はロールオンスティック等のデオドラント化粧料、
洗顔料、化粧水、クリーム、乳液、美容液、パック、又はクレンジング等の基礎化粧料、
ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、ワックス、香水、又は練香水等のメイクアップ化粧料、
シェービングローション、アフターサンローション、ボディローション、ボディオイル、石鹸、ボディーソープ、入浴剤が挙げられる。
なお、本発明の化粧料に配合される酢酸菌又はその粉砕物とシクロデキストリン及び/又はポリフェノールは、部屋・衣服用の消臭剤や洗濯洗剤・柔軟剤に配合しても良い。
好ましい態様としては、スプレー容器入り化粧料、ウェットシート化粧料、ロールオンスティック、シャンプー、ボディーソープ等が挙げられる。また本発明の化粧料の生菌数は、化粧料として安定した品質を維持するために、酢酸菌に加熱や粉砕の処理を施して殺菌を行い、少なくとも100CFU/g以下とする。
<加齢臭抑制剤>
本発明の加齢臭抑制剤は、前記酢酸菌又はその粉砕物と前記シクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを有効成分とする、加齢臭を抑制させるものである。
本発明の加齢臭抑制剤の剤形は、前記化粧料に配合されれば、特に限定されるものではない。
<加齢臭抑制剤の配合量>
また、加齢臭抑制剤の配合量としては、化粧料に対し前記酢酸菌又はその粉砕物が乾燥させた酢酸菌換算量で0.001%以上5%以下になるように配合すればよい。
<加齢臭抑制剤に対する酢酸菌又はその粉砕物の配合量>
本発明の加齢臭抑制剤において、酢酸菌又はその粉砕物の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、加齢臭抑制剤に対し0.004%以上20%以下配合されればよい。
<加齢臭抑制剤に対するシクロデキストリンの配合量>
本発明の加齢臭抑制剤において、シクロデキストリンの配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、加齢臭抑制剤に対し0.04%以上60%以下配合されればよい。
<加齢臭抑制剤に対するポリフェノールの配合量>
本発明の加齢臭抑制剤において、ポリフェノールの配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、加齢臭抑制剤に対し0.04%以上40%以下配合されればよい。
<加齢臭抑制剤に対するアミノ酸又はそれらの塩の配合量>
本発明の加齢臭抑制剤において、アミノ酸又はそれらの塩の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、加齢臭抑制剤に対し0.005%以上25%以下配合すればよい。
<その他の原料>
本発明の化粧料及び加齢臭抑制剤には、上述した酢酸菌又はその粉砕物、シクロデキストリン、及びポリフェノール以外の化粧料素材を本発明の効果が損なわれない範囲で適宜添加することができる。
具体的には、
ゼオライト、ミョウバン等のアルミニウム化合物、亜鉛化合物、銀化合物、マグネシウム化合物等の金属化合物、シリコーン又はタルク等のケイ素化合物、又は活性炭等の多孔質微粒子、
珪藻土、活性炭等の多孔質微粒子、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、又はデキストリン等の多糖類、
ユーカリエキス、茶カテキン、又はメマツヨイグサ抽出物等の植物抽出物、
イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、安息香酸、ベンジルグリセリルエーテル、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、ヒドロキサム酸誘導体、クララエキス、又はアルキルジエタノール、エタノール等の殺菌又は防腐剤、
ポリシロキサン、タルク、環状シロキサン等のシリコン油、
ミリスチン酸イソプロピル、スクワラン、又はパラフィン等の油脂、
グリセルリチン酸、尿素、オウゴンエキス、オウバクエキス等の抗炎症剤、
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の収斂剤、
ヒアルロン酸、コラーゲン、コエンザイムQ10、コンドロイチン、プラセンタ、セラミド、エラスチン、アスタキサンチン、ローヤルゼリー、アロエエキス、白金ナノコロイド、レチノイン酸、レチノール、加水分解コムギ、シカクマメエキス、ラクトフェリン、豆乳発酵液又はEGF等の美容成分、
アルブチン、フラーレン、トラネキサム酸、ハイドロキノン、又はヨクイニンエキス等の美白成分、
ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、又はメトキシ桂皮酸誘導体等の紫外線吸収剤、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、又はアデノシン等の保湿剤、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸塩、又はジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン界面活性剤、
ポリエチレングリコール硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等の非イオン界面活性剤、
アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、又は塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等の陽イオン界面活性剤、
アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、又は大豆レシチン等の両性界面活性剤、
各種アミノ酸、各種ビタミン、各種ペプチド、高級脂肪酸、多価アルコール、増粘剤、炭酸塩、乳化剤、香料等が挙げられる。
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、さらに説明する。
なお、本発明はこれに限定するものではない。
[調製例1](酢酸菌含有粉末の調製)
エタノール4%、酵母エキス0.2%、及び清水95.7%に酢酸菌(Gluconacetobacter swingsii, QPJ株)0.1%を添加し、品温30℃、培養液あたりの通気量を0.4L/minの条件で、24時間培養を行った。
得られた酢酸菌溶液に遠心濃縮処理を施し、清水で数回洗浄後、10%酢酸菌溶液を調製した。
この溶液について、入口品温170℃、出口品温65℃の噴霧乾燥処理を施し、酢酸菌100%、平均粒径1μmの粉末状の調製例1の酢酸菌含有粉末を調製した。
[調製例2](酢酸菌含有粉末の調製)
調製例1で調製した酢酸菌含有粉末とγシクロデキストリンとを粉体混合することによって、酢酸菌10%、γシクロデキストリン90%の粉末状の調製例2の酢酸菌含有粉末を調製した。調製例2の酢酸菌含有粉末の平均粒径測定の結果、1μmと20μmのピークが見られた。
[調製例3](酢酸菌含有粉末の調製)
エタノール4%、酵母エキス0.2%、及び清水95.7%に酢酸菌(Gluconacetobacter swingsii,QPJ株)0.1%を添加し、品温30℃、培養液あたりの通気量を0.4L/minの条件で、24時間培養を行った。
得られた酢酸菌溶液に遠心濃縮処理を施し、清水で数回洗浄後、10%酢酸菌溶液を調製した。
次に、10%酢酸菌溶液15%とγシクロデキストリン13.5%、清水71.5%とを撹拌混合後、入口品温170℃、出口品温65℃の噴霧乾燥処理を施し、酢酸菌10%、γシクロデキストリン90%、平均粒径20μmの粉末状のγシクロデキストリンにコーティングされた調製例3の酢酸菌含有粉末を調製した。
[調製例4](酢酸菌含有粉末の調製)
γシクロデキストリンをメチルβシクロデキストリンに変更した以外は調製例3と同様の方法で、酢酸菌10%、メチルβシクロデキストリン90%、平均粒径20μmの粉末状のメチルβシクロデキストリンにコーティングされた調製例4の酢酸菌含有粉末を調製した。
[調製例5](酢酸菌含有粉末の調製)
γシクロデキストリンをタンニンに変更した以外は調製例3と同様の方法で、酢酸菌10%、タンニン90%、平均粒径20μmの粉末状のタンニンにコーティングされた調製例5の酢酸菌含有粉末を調製した。
[試験例]
配合表1に基づいて、調製例1〜5の酢酸菌含有粉末をそれぞれ含有する比較例1及び実施例1〜4のスプレー入り化粧料を製造した。ただし、調製例1の酢酸菌含有粉末の配合量は酢酸菌含量を考慮して他の1/10の0.17%とした。
得られた化粧料のアルデヒド脱水素酵素活性を測定した。
また、加齢臭抑制効果について調べた。結果を表1に示す。なお、得られた化粧料の生菌数を測定したところいずれも1CFU/g以下であった。
[配合表1](スプレー入り化粧料)
2−エチルヘキサン酸セチル 6%
酸化亜鉛 1.7%
架橋型シリコーン 1%
硬化ヒマシ油 1%
グリセリン 0.2%
調製例2〜5の酢酸菌含有粉末 1.7%
(調製例1の酢酸菌含有粉末 0.17%)
液化石油ガス 残部
<アルデヒド脱水素酵素活性>
実施例1〜4及び比較例1の化粧料のアルデヒド脱水素酵素活性を次のように測定した。
マックルベリン緩衝液(pH5)0.125mL、0.1Mアセトアルデヒド0.2mL、実施例1〜4及び比較例1の化粧料(酢酸菌0.1mg/mL)0.1mLを混合し、蒸留水で総量0.8mLに調整した。これに、0.1Mフェリシアン化カリウム0.1mLを加え、37℃で20分間保温処理を施し、Dupanol液0.5mLを加えて酵素反応を停止した。次に、2.5mLの蒸留水を混合し、室温(1〜30℃)で20分間放置した後、生成したプルシアンブルーの呈色を吸光度660nmで測定した。この場合、ブランク試験として、酢酸菌分散液を配合していない試料を測定した。
<加齢臭抑制効果の確認>
加齢臭抑制効果の確認は、26歳から40歳の男性10名に、実施例1〜4、及び比較例1のスプレー入り化粧料を肌に塗布してもらい、以下の質問に回答してもらった。
使用した結果、加齢臭が抑制されたと実感し、若さに自信を持てるようになったか。
「加齢臭が非常に抑制され、若さに自信が持てるようになった」を2点
「加齢臭がやや抑制され、少し若さに自信が持てるようになった」を1点
「どちらともいえない」を0点
「加齢臭があまり抑制されず、あまり若さに自信が持てるようにならなかった」を−1点
「加齢臭が抑制されず、若さに自信が持てるようにならなかった」を−2点とした。
10名による採点の平均点を算出し、0.5点以上を◎、―0.1点以上0.5未満を〇、―0.1点未満を×と評価した。
結果を表1に示す。
Figure 0006530616

表1より、酢酸菌とシクロデキストリン及び/又はポリフェノールの少なくとも1種を含有した、実施例1〜4の化粧料は加齢臭抑制効果に優れていた。また、さらに酢酸菌がシクロデキストリン及び/又はポリフェノールによってコーティングされている実施例2〜4の化粧料はアルデヒド脱水素酵素活性が高く維持されている点でより優れていた。
[調製例6](酢酸菌含有粉末の調製)
10%酢酸菌溶液の酢酸菌をフレンチプレスで粉砕した以外は調製例5と同様の方法で、酢酸菌10%、タンニン90%、平均粒径20μmの粉末状のタンニンにコーティングされた調製例6の酢酸菌含有粉末を調製した。
この調製例6の酢酸菌含有粉末についても上記試験例と同様に配合表1に基づいて、スプレー入り化粧料を製造した。得られた化粧料のアルデヒド脱水素酵素活性及び加齢臭抑制効果について調べたところ、実施例2及び3と同等の効果が確認できた。
[調製例7](酢酸菌含有粉末の調製)
エタノール4%、酵母エキス0.2%、及び清水95.7%に酢酸菌(Gluconacetobacter kombuchae,NBRC14816)0.1%を添加し、品温30℃、培養液あたりの通気量を0.4L/minの条件で、24時間培養を行った。
得られた酢酸菌溶液に遠心濃縮処理を施し、清水で数回洗浄後、10%酢酸菌溶液を調製した。
次に、10%酢酸菌溶液10%とグルタミン酸ナトリウム0.5%、アスパラギン酸ナトリウム0.5%、リジン塩酸塩1%、γシクロデキストリン10%、清水78%とを撹拌混合後、入口品温170℃、出口品温65℃の噴霧乾燥処理を施し、酢酸菌とアミノ酸、又はそれらの塩の配合比率が、酢酸菌:酸性アミノ酸=1:1、酢酸菌:塩基性アミノ酸=1:1である、調製例7の酢酸菌含有粉末を調製した。
[調製例8](酢酸菌含有粉末の調製)
調製例7と同様の方法で、10%酢酸菌溶液を調製した。
次に、10%酢酸菌溶液10%とグルタミン酸ナトリウム2.5%、アスパラギン酸ナトリウム2.5%、L−アルギニン5%、アントシアニン10%、清水70%とを撹拌混合後、−30℃で急速凍結した後、減圧下、棚温15℃で乾燥処理を施し、酢酸菌とアミノ酸、又はそれらの塩の配合比率が、酢酸菌:酸性アミノ酸=1:5、酢酸菌:塩基性アミノ酸=1:5である、調製例8の酢酸菌含有粉末を調製した。
調製例7及び8の酢酸菌含有粉末についても上記試験例と同様に配合表1に基づいて、スプレー入り化粧料を製造した。
ただし、酢酸菌含有量を考慮して、調整例7の酢酸菌含有粉末の配合量は1.3%、調整例8の酢酸菌含有粉末の配合量は2.1%とした。
得られた化粧料のアルデヒド脱水素酵素活性及び加齢臭抑制効果について調べたところ、実施例2及び3と同等の効果が確認でき、さらに加齢臭抑制効果が長く持続している点でより優れていた。
[処方例1](スプレー入り化粧料)
γシクロデキストリンをαシクロデキストリンに変更した以外は調製例3と同様の方法で、酢酸菌10%、αシクロデキストリン90%、平均粒径20μmの粉末状のαシクロデキストリンにコーティングされた酢酸菌含有粉末を調製し、その調製物を用いて配合表1に基づいて処方例1の化粧料(スプレー入り化粧料)を製造した。
得られたスプレー入り化粧料を使用し、肌に塗布したところ、加齢臭を抑制することができた。
[処方例2](スプレー入り化粧料)
調製例4の酢酸菌含有粉末を用いて、配合表2に基づいて処方例2の化粧料(スプレー入り化粧料)を製造した。
得られたスプレー入り化粧料を使用し、肌に塗布したところ、加齢臭を抑制することができた。
[配合表2](スプレー入り化粧料)
2−エチルヘキサン酸セチル 6%
酸化亜鉛 1.7%
架橋型シリコーン 1%
硬化ヒマシ油 1%
グリセリン 0.2%
調製例4の酢酸菌含有粉末 1.7%
酸化銀 0.01%
液化石油ガス 残部
[処方例3](ウェットシート状化粧料)
配合表3に基づいて、処方例3の化粧料(ウェットシート状化粧料)を製造した。
まず、粉末状の調製例2の酢酸菌含有粉末(酢酸菌10%、γシクロデキストリン90%;平均粒径20μm)を清水に分散させ、50%酢酸菌含有物を調製した。
次に、エタノール10%、クロルヒドロキシアルミニウム2%、前記酢酸菌含有物3%、タルク1%、硬化ヒマシ油0.1%、メントール0.05%、清水を、常法に則り、10cm角のポリエステル製のシートに浸漬させた。
得られたウェットシート状化粧料を使用し、首筋を拭いたところ、加齢臭を抑制することができた。
[配合表3]
エタノール 10%
クロルヒドロキシアルミニウム 2%
50%酢酸菌含有物 3%
タルク 1%
硬化ヒマシ油 0.1%
メントール 0.05%
清水 残部
[処方例4](ウェットシート状化粧料)
γシクロデキストリンをアントシアニンに変更した以外は調製例3と同様の方法で、酢酸菌10%、アントシアニン90%、平均粒径50μmの粉末状のアントシアニンにコーティングされた酢酸菌含有粉末を調製し、その調製物を用いて配合表3に基づいて処方例4の化粧料(ウェットシート状化粧料)を製造した。
得られたウェットシート状化粧料を使用し、首筋を拭いたところ、加齢臭を抑制することができた。
[処方例5](皮膚洗浄料)
配合表4に基づいて、処方例5の化粧料(皮膚洗浄料)を製造した。
具体的には、グリセリン55%、ジプロピレングリコール8%、ジグリセリン(商品名「ジグリセリン801」、阪本薬品工業(株)社製)8%、エタノール2%、硬化ヒマシ油0.5%、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(商品名「Tween L120」、花王(株)社製)0.5%、香料0.2%、ショ糖脂肪酸エステル0.1%、クエン酸0.1%、クエン酸ナトリウム0.1%、水酸化カリウム0.1%、フェノキシエタノール0.1%、清水を混合した。次いで、酸化マグネシウム5%、調製例4で調製した粉末状の酢酸菌含有粉末1.5%、ビニルメチコン1%を添加し、混合した。
得られた皮膚洗浄料を使用し、腋の下を洗浄したところ、加齢臭を抑制することができた。
[配合表4]
グリセリン 55%
ジプロピレングリコール 8%
ジグリセリン 8%
酸化マグネシウム 5%
エタノール 2%
調製例4の酢酸菌含有粉末 1.5%
ビニルメチコン 1%
硬化ヒマシ油 0.5%
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.5%
香料 0.2%
ショ糖脂肪酸エステル 0.1%
クエン酸 0.1%
クエン酸ナトリウム 0.1%
水酸化カリウム 0.1%
フェノキシエタノール 0.1%
清水 残 部
[処方例6](皮膚洗浄料)
メチルβシクロデキストリンをカテキンに変更した以外は調製例4と同様の方法で、酢酸菌10%、カテキン90%、平均粒径50μmの粉末状のカテキンにコーティングされた酢酸菌含有粉末を調製し、その調製物を用いて配合表4に基づいて処方例6の化粧料(皮膚洗浄料)を製造した。
得られた皮膚洗浄料を使用し、腋の下を洗浄したところ、加齢臭を抑制することができた。
[処方例7](ウェットシート状化粧料)
調製例2の代わりに調製例7の酢酸菌含有粉末を使用した以外は、処方例3と同様の方法で、処方例7の化粧料(ウェットシート状化粧料)を製造した。
得られたウェットシート状化粧料を使用し、首筋を拭いたところ、加齢臭を抑制することができた。
[処方例8](皮膚洗浄料)
調製例4の代わりに調製例8の酢酸菌含有粉末を使用した以外は、処方例5と同様の方法で、処方例7の化粧料(皮膚洗浄料)を製造した。
得られた皮膚洗浄料を使用し、腋の下を洗浄したところ、加齢臭を抑制することができた。

Claims (5)

  1. 酢酸菌の粉砕物と、
    シクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを含有する化粧料。
  2. 請求項1の化粧料において、
    酢酸菌の粉砕物がシクロデキストリン及び/又はポリフェノールによってコーティングされていることを特徴とする化粧料。
  3. 請求項1又は2記載の化粧料において、
    グルタミン酸及びアスパラギン酸の少なくともいずれか1種の酸性アミノ酸、又はそれらの塩と、
    リジン及びアルギニンの少なくともいずれか1種の塩基性アミノ酸、又はそれらの塩と組み合わせて配合された化粧料。
  4. 酢酸菌の粉砕物と、
    シクロデキストリン及び/又はポリフェノールとを含有する加齢臭抑制剤。
  5. 請求項4記載の加齢臭抑制剤において、
    グルタミン酸及びアスパラギン酸の少なくともいずれか1種の酸性アミノ酸、又はそれらの塩と、
    リジン及びアルギニンの少なくともいずれか1種の塩基性アミノ酸、又はそれらの塩と組み合わせて配合された加齢臭抑制剤。
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