本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2016年3月17日に出願された米国仮特許出願第62/309624号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
ここで、その例が添付図面に示されている、実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部品を称するために、図面に亘り、同じ参照番号が使用される。範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値まで、とここに表すことができる。そのような範囲が表された場合、別の実施の形態は、その1つの特定の値から、および/または他方の特定の値まで、を含む。同様に、値が、先行詞「約」を用いて、近似として表されている場合、その特定の値は別の実施の形態を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、その他方の端点とは関係なくの両方で有意であることが理解されよう。
他の特徴および恩恵の中で、本開示の曲げられる電子デバイスモジュールおよび物品(並びにその製造方法)は、小さい曲げ半径での機械的信頼性(例えば、静的伸張および疲労における)並びに高い穿刺抵抗を与える。これらのデバイスモジュールおよび物品の構成は、これらのデバイスモジュールおよび物品を折り畳むまたは別なふうに曲げるための比較的低い曲げ力によっても特徴付けられる。機械的信頼性に関して、本開示の曲げられるモジュールは、そのモジュール内の様々な構成部材の間の界面(例えば、接着剤とカバー要素の界面)での剥離関連破壊およびガラスを含有するカバー要素への結合における凝集破壊を避けるように加工するまたは別なふうに構成することができる。曲げられるモジュールが折り畳み式電子デバイスディスプレイに使用される場合、例えば、ディスプレイの一部がそのディスプレイの別の部分の上に折り重ねられる実施の形態において、穿刺抵抗能力および小さい曲げ半径が有益である。例えば、曲げられるモジュールは、穿刺抵抗が特に有益な位置である、折り畳み式電子表示装置のユーザに面する部分のカバー;電子部品が配置される、装置自体の内部に配置される基板モジュール;または折り畳み式電子表示装置内の他の場所;の1つ以上として使用してよい。あるいは、本開示の曲げられるモジュールは、ディスプレイを持たないデバイスであるが、ガラスまたはガラス含有層がその有益な性質のために使用され、きつい曲げ半径に、折り畳み式ディスプレイにおけるのと同様の様式で折り畳まれるまたは別なふうに曲げられるデバイスに使用してもよい。穿刺抵抗は、ユーザがデバイスとやり取りする位置で、そのデバイスの外部に曲げられるモジュールが用いられる場合に特に有益である。さらにまた、これらのデバイスモジュールおよび物品の特定の構造を折り畳むかまたは別なふうに曲げるための比較的低い曲げ力は、これらのモジュールおよび物品が手で曲げられる場合(例えば、折り畳める財布状の可撓性表示装置内またはその他の部分)、ユーザにとって特に有益である。
より詳しくは、本開示における折り畳み式電子デバイスモジュールは、接着剤で積層体に接合されたカバー要素の一部に屈曲結合残留応力領域を生じさせることによって、先の利点の内のいくつかまたは全てを得ることができる。一例として、これらの折り畳み式モジュールは、接着剤で積層体に接合されたカバー要素の主面に最大圧縮応力を有するカバー要素内の残留応力領域の存在または作製により、その主面に減少した接線応力(例えば、モジュールの用途に関連する曲げまたは折り畳みの際の張力の)を示すことができる。1つの実施の形態において、屈曲結合過程を使用することにより、ガラスカバー要素に残留応力領域が発生する。一般に、カバー要素および積層体は、カバー要素の第2の主面にある第1の接着剤により貼り付けられる。次に、貼り付けられたモジュールは、典型的に約5mmから約50mmの屈曲半径に屈曲され、接着剤が硬化され、次に、そのモジュールは曲がっていない形態に戻される。モジュールが曲がっていない形態に戻るときに、残留応力領域が発生する。さらに、この残留応力領域は、カバー要素の第2の主面(カバー要素の中央領域内)の圧縮応力により、カバー要素の第2の主面での用途に関連する引張応力を低下させる働きをする。その結果、カバー要素における残留応力領域の存在が、改善されたモジュールの信頼性、モジュールの曲げ半径の可能性(すなわち、より小さい半径に曲げられるモジュールの能力)、および/またはカバー要素の主面に圧縮応力を発生させる他の手法(例えば、イオン交換により主導される圧縮応力領域の発生による)に対する低下した依存性に結果としてなり得る。
本開示における折り畳み式電子デバイスモジュールは、そのモジュール内に用いられる接着剤の各々の材料特性および厚さの制御によっても、先の利点の内のいくつかまたは全てを得ることができる。これらの折り畳み式モジュールは、モジュール内に用いられる接着剤の厚さの減少、および/またはカバー要素とその下にある積層体との間に用いられる接着剤の剛性率の増加により、カバー要素の主面で低下した接線応力(例えば、モジュールの用途に関連する曲げまたは折り畳みの際の張力の)も示すことができる。別の例として、これらの折り畳み式モジュールは、この接着剤の剛性率を低下させることによって、パネルと、そのパネルを積層体に接合する接着剤との間の界面で低下した用途に関連する接線応力を示すことができる。これらのより低い引張応力は、特にパネルと積層体との間の剥離に対する抵抗に関して、改善されたモジュールの信頼性をもたらすことができる。別の例では、モジュールに用いられる接着剤のいずれかまたは全ての剛性率の減少により、および/またはモジュールに用いられる接着剤のいずれかまたは全ての厚さの適切な範囲を選択することにより、モジュール全体の剛性(例えば、モジュールを曲げるために印加される力に対する抵抗)を低下させることができる。
さらに、本開示の実施の形態および概念は、カバー要素/積層体の界面での接線応力を低下させ、パネル/積層体の界面での接線応力を低下させ、曲げに対するモジュールの抵抗を低下させる(その全てが、異なる程度と量の曲げおよび折り畳みを有する様々な用途に使用するためのこれらのモジュールの信頼性、製造可能性および適合性に寄与し得る)ように折り畳み式電子デバイスモジュールを加工し設計するための構成を当業者に与える。
図1を参照すると、カバー要素50、第1の接着剤10a、積層体90a、積層体要素75、電子デバイス102、およびパネル60を備えた、本開示の第1の態様による、折り畳み式電子デバイスモジュール100aが示されている。カバー要素50は、厚さ52、長さ52l、幅w(図示されていないが、図1に示された頁の面の中に延在する)、第1の主面54および第2の主面56を有する。厚さ52は、約25μmから約200μm、例えば、約25μmから約175μm、約25μmから約150μm、約25μmから約125μm、約25μmから約100μm、約25μmから約75μm、約25μmから約50μm、約50μmから約175μm、約50μmから約150μm、約50μmから約125μm、約50μmから約100μm、約50μmから約75μm、約75μmから約175μm、約75μmから約150μm、約75μmから約125μm、約75μmから約100μm、約100μmから約175μm、約100μmから約150μm、約100μmから約125μm、約125μmから約175μm、約125μmから約150μm、および約150μmから約175μmに及び得る。他の態様において、厚さ52は、約25μmから150μm、約50μmから100μm、または約60μmから80μmに及び得る。カバー要素50の厚さ52は、先の範囲の間の他の厚さに設定しても差し支えない。
図1に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、約20GPaから約140GPa、例えば、約20GPaから約120GPa、約20GPaから約100GPa、約20GPaから約80GPa、約20GPaから約60GPa、約20GPaから約40GPa、約40GPaから約120GPa、約40GPaから約100GPa、約40GPaから約80GPa、約40GPaから約60GPa、約60GPaから約120GPa、約60GPaから約100GPa、約60GPaから約80GPa、約80GPaから約120GPa、約80GPaから約100GPa、および約100GPaから約120GPaのカバー要素弾性率を有するカバー要素50を備える。カバー要素50は、ガラス組成を有する構成部材であっても、ガラス組成を有する少なくとも1つの構成部材を含んでもよい。後者の場合、カバー要素50は、ガラス含有材料を含む1つ以上の層を含むことができる、例えば、要素50は、高分子マトリクス中の第二相のガラス粒子により構成された高分子/ガラス複合体であり得る。1つの態様において、カバー要素50は、約50GPaから約100GPaの弾性率、またはこれらの限界の間の任意の弾性率値により特徴付けられるガラス要素である。他の態様において、そのカバー要素弾性率は、例えば、約20MPa、30MPa、40MPa、50MPa、60MPa、70MPa、80MPa、90MPa、100MPa、110MPa、120MPa、130MPa、または140MPa、もしくはこれらの値の間の任意の弾性率値である。
再び図1を参照すると、折り畳み式モジュール100aは、約50μmから600μmの厚さ92aを有する積層体90a;およびカバー要素50の第2の主面56に積層体90aを接合するように構成された第1の接着剤10aであって、約0.01MPaから約1000MPa、例えば、約0.1MPaから約800MPa、約0.1MPaから約600MPa、約0.1MPaから約400MPa、約0.1MPaから約200MPa、約0.1MPaから約1MPa、約1MPaから約800MPa、約1MPaから約600MPa、約1MPaから約400MPa、約1MPaから約200MPa、約200MPaから約800MPa、約200MPaから約600MPa、約200MPaから約400MPa、約400MPaから約800MPa、約400MPaから約600MPa、および約600MPaから約800MPaの剛性率および厚さ12aにより特徴付けられる第1の接着剤10aをさらに備える。折り畳み式モジュール100aの第1の態様の実施によれば、第1の接着剤10aは、約0.01MPa、0.02MPa、0.03MPa、0.04MPa、0.05MPa、0.06MPa、0.07MPa、0.08MPa、0.09MPa、0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPa、0.5MPa、0.6MPa、0.7MPa、0.8MPa、0.9MPa、1MPa、5MPa、10MPa、20MPa、30MPa、40MPa、50MPa、60MPa、70MPa、80MPa、90MPa、100MPa、200MPa、300MPa、400MPa、500MPa、600MPa、700MPa、800MPa、900MPa、1000MPa、またはこれらの剛性率値の間の任意の量の剛性率により特徴付けられる。さらに、本開示の特定の態様において、積層体90aは、50μm未満、例えば、約10μmと同じくらい小さい厚さ92aを有すると考えられ、本開示で解明される概念は、そのような積層体90aを含有する折り畳み式モジュール100aに同様に適用する。
さらに図1を参照すると、折り畳み式モジュール100aのいくつかの態様は、カバー要素50内の、50cと50tの組合せにより示される、屈曲結合残留応力領域を備える。また、この屈曲結合残留応力領域は、概して、カバー要素50の全長52lの一部52l’内に配置されている。このように、屈曲結合残留応力領域50c、50tは、概して、寸法:厚さ52×中央部分52l’の長さ×幅wにより与えられるカバー要素50の中央領域により画成される。より詳しくは、屈曲結合残留応力領域50c、50tは、モジュール100aおよびカバー要素50を通る中心曲げ軸210での、第2の主面56の最大圧縮応力から第1の主面54での最大引張残留応力に及ぶ、カバー要素50の厚さ52を通じて存在する。モジュール100aは、特定の態様において、圧縮残留応力領域成分50cが第1の主面54に隣接し、引張残留応力領域成分50tが第2の主面56に隣接する(図1に示されていない)ように、屈曲結合残留応力領域50c、50tを有し得ることも理解すべきである。
図1に示されたような特定の態様において、屈曲結合残留応力領域50c、50tは、厚さ52cを有する圧縮残留応力領域成分50cおよび厚さ52tを有する引張残留応力領域成分50tにより特徴付けることができる。屈曲結合残留応力領域50c、50tを有する折り畳み式モジュール100aのいくつかの実施の形態において、中心曲げ軸210でのカバー要素50の第2の主面56での最大圧縮残留応力は、300MPaまで、275MPaまで、250MPaまで、225MPaまで、200MPaまで、175MPaまで、150MPaまで、125MPaまで、100MPaまで、75Mpaまで、50MPaまで、40MPaまで、30MPaまで、20MPaまで、または10MPaまで、および(中心曲げ軸210での)そのカバー要素50の第2の主面56でのこれらの最大圧縮残留応力レベルの間の全ての値に到達し得る。当業者に分かるように、カバー要素50(モジュール100a内に組み込まれるような)内の圧縮残留応力は、例えば、ここに全てが引用される、Aben等の「Modern Photoelasticity for Residual Stress Measurements」, Strain, 44(1), 40〜48頁(2008年)に記載されているような、標準的な光弾性技術により測定することができる。例えば、カバー要素50の主面内またはその上での残留応力は、以下に限られないが、表面応力偏光計(例えば、Strainoptics,Inc.社製のGASP Polarimeter)および表面応力計(例えば、有限会社折原製作所社製のFSM−6000)を含む市販の機器を使用して測定できる。カバー要素50を組み込んだモジュールの態様は、複屈折および光弾性技術を使用してカバー要素50内の残留応力を測定するのに十分には透過性ではない限りにおいて、当業者は、他の技術によりカバー要素50において残留応力を測定できるとも認識するであろう。例えば、カバー要素50をモジュール100aから分離することができ、残留応力に関連するカバー要素50のずれを測定して、モジュール100aから分離する前にカバー要素50に存在した残留応力を計算することができるであろう。
再び図1を参照すると、屈曲結合残留応力領域50c、50tは、中央部分52l’内のカバー要素50の厚さ52を通じて変動する残留応力により特徴付けることができる。いくつかの実施の形態において、中央部分52l’は、カバー要素50の長さ52lの約1/5の長さ寸法を有する。特定の態様において、残留応力は、中心曲げ軸210でカバー要素50の厚さ52を通じて実質的に線形関数で、例えば、そのカバー要素の第2の主面56での最大圧縮残留応力(例えば、−200MPa)から第1の主面54での最大引張残留応力(例えば、+100MPa)まで、連続的に変動する。いくつかの実施の形態において、その屈曲結合残留応力領域成分は、中央部分52l’の端まで完全には延在しておらず;その結果、残留応力は、曲げ軸210から離れているが、中央部分52l’内で、主に圧縮であることも理解すべきである。その結果、そのカバー要素の第2の主面56での引張である用途により推進される接線応力(例えば、第1の主面54が凹面であり、第2の主面56が凸面であるようにカバー要素を上向きに曲げることにより)は、屈曲結合残留応力領域の存在により、特に、圧縮残留応力領域52cに関連する圧縮応力レベルにより効果的に減少させられる。当業者にこれも理解されるように、そのカバー要素の第1の主面54での引張である用途により推進される接線応力は、圧縮残留応力領域成分50cが第1の主面54に隣接して位置している場合(図1には示されていない)、屈曲結合残留応力領域の存在により効果的に低下させることができる。
ここに用いたように、「残留応力領域」という用語は、加工中のモジュールの構成部材間の機械的で熱によらない相互作用から主に生じる残留応力状態の、折り畳み式モジュールの加工されたままのカバー要素内の存在に関連する。またここに用いたように、「屈曲結合残留応力領域」という用語は、カバー要素の中心曲げ軸での、カバー要素の第2の主面(すなわち、接着剤により積層体に接着されたような)での最大圧縮残留応力から、そのカバー要素の第1の主面(すなわち、モジュール内の構成部材に直接接着されていない)での最大引張残留応力までに及ぶ残留応力状態の、折り畳み式モジュール内の加工されたままのカバー要素の厚さを通じた、その中央部分内の存在に関する。その折り畳み式モジュールのカバー要素内の「屈曲結合残留応力領域」は、屈曲結合過程により生じさせることができる。詳しくは、そのカバー要素および積層体は、カバー要素の第2の主面での第1の接着剤により貼り付けることができる。次に、貼り付けられたモジュールを、二点構造で、典型的に約5mmから約50mmの屈曲半径に屈曲する。次に、接着剤を硬化させ、次に、モジュールを曲がっていない形態に戻す。ここに用いたように、モジュールが曲がっていない形態に戻るときに、カバー要素内に「屈曲結合残留応力領域」が発生する。
再び図1を参照すると、折り畳み式モジュール100aの第1の接着剤10aは、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、少なくとも200℃、少なくとも210℃、少なくとも220℃、少なくとも230℃、少なくとも240℃、および少なくとも250℃のガラス転移温度、並びにこれらの値の間の全てのガラス転移温度の下限により特徴付けることができる。折り畳み式電子デバイスモジュール100aの特定の態様において、第1の接着剤10aのガラス転移温度は、接着剤10aがモジュール100a内で硬化された後のモジュール加工に関連する温度、および/または利用環境内の折り畳み式電子デバイスモジュール100aの動作温度(例えば、80℃以上)に曝された際に、その接着剤が剛性率の著しい変化を経験しないことを確実にするように選択することができる。より詳しくは、そのモジュール100aの用途関連および/または加工関連の温度を超えるガラス転移温度を有する第1の接着剤10aを選択することにより、第1の接着剤10aが温度依存性の応力緩和を経験しないことが確実になる。モジュール100a内の接着剤10aのどのような応力緩和も、例えば、屈曲結合過程により発生したカバー要素50内の残留応力領域50c、50t内の残留応力の大きさの損失または低下をもたらし得る。
本開示の折り畳み式モジュール100aの他の態様は、本開示の一般分野による電子デバイス用途に用いられる少なくともいつくかの従来の接着剤の剛性率と比べると、比較的高い剛性率、例えば、約0.1MPaから約100MPaの剛性率を有する接着剤10aを伴う。比較的高い剛性率値を有するそのような接着剤10aを使用すると、予期せぬことに、第2の主面56から離れる方向に折り畳み式電子デバイスモジュール100aを曲げた際に−すなわち、第2の主面56が凸形状を示すようにモジュール100aを曲げることにより−カバー要素50の第2の主面56に観察される引張応力が著しく低下する。特に、より高い剛性率の接着剤は、モジュールが上向き形態(図4B参照)に曲げられたときに、カバー要素50とモジュール100aの残りとの間の結合をより強くする。このように、接着剤10aの剛性を制御することにより、カバー要素50内の最終的な残留応力を制御することができる。実際には、モジュール100a内に剛性率のより高い接着剤10aを使用すると、カバー要素50の第2の主面56から中立軸がシフトし、それにより、この面での引張応力の大きさが低下する傾向にある。対照的に、同じ懸念に直面する分野の、本開示の恩恵のないものは、典型的に、モジュールの可撓性を改善するために、より柔軟な接着剤が一般に考えられるであろうから、剛性が小さいまたは剛性率が低い接着剤を典型的に選択したであろう。
まだ図1を参照すると、折り畳み式モジュール100aの特定の態様は、モジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することができる。より詳しくは、比較的低い剛性率値(例えば、0.01MPaから0.1MPa)を有する第1の接着剤10aを使用すると、第1の主面54が、それぞれ、凹形状または凸形状を示すように上向きまたは下向き方向にモジュール100a全体を折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する全体の曲げ力を、予期せぬことに、低下させることができる。0.1MPaを超える剛性率を有する、カバー要素と積層体との間の接着剤(例えば、第1の接着剤10a)を有する折り畳み式モジュール(例えば、折り畳み式モジュール100a)に対して、比較的低い弾性剛性率値を有する第1の接着剤10aの使用により、折り畳み式モジュール100aの特定の態様に関連するこれらの曲げ力の低下が得られる。
図1に示された折り畳み式モジュール100aの別の実施の形態において、第1の接着剤10aは、約5μmから約60μm、例えば、約5μmから約50μm、約5μmから約40μm、約5μmから約30μm、約5μmから約20μm、約5μmから約15μm、約5μmから約10μm、約10μmから約60μm、約15μmから約60μm、約20μmから約60μm、約30μmから約60μm、約40μmから約60μm、約50μmから約60μm、約55μmから約60μm、約10μmから約50μm、約10μmから約40μm、約10μmから約30μm、約10μmから約20μm、約10μmから約15μm、約20μmから約50μm、約30μmから約50μm、約40μmから約50μm、約20μmから約40μm、および約20μmから約30μmの厚さ12aにより特徴付けられる。他の実施の形態は、約5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μmの厚さ12a、またはこれらの厚さの値の間の任意の厚さにより特徴付けられる第1の接着剤10aを有する。1つの態様において、第1の接着剤10aの厚さ12aは約10μmから20μmである。折り畳み式モジュール100aのいくつかの態様は、そのような電子デバイス用途に用いられる従来の接着剤の厚さよりも比較的小さい厚さ(例えば、約10μmから約20μm)を有する接着剤10aを含む。比較的小さい厚さ値を有するそのような接着剤10aを使用すると、第2の主面56から離れる方向に折り畳み式電子デバイスモジュール100aを曲げた際に−すなわち、第2の主面56が凸形状を示すようにモジュール100aを曲げることにより−カバー要素50の第2の主面56での引張応力が著しく低下する。接着剤の厚さを減少させることによって、曲げた状態にある(例えば、図4Bに示されるように)カバー要素50とモジュール100aとの間の結合がより強くなる。それゆえ、カバー要素50近くの接着剤10aの厚さを制御することにより、第2の主面56でより少量の引張応力が生じる。対照的に、同じ懸念に直面する分野の、本開示の恩恵のないものは、典型的に、モジュールの全厚と比べて、比較的薄い接着剤の厚さは、カバー要素50の第2の主面56での引張応力の大きさにそのような重大な役割を果たすことができると認識しなかったであろう。その上、接着剤10aの厚さ12aをさらに減少させると、その要素50の第2の主面56での引張応力がさらに低下するであろうと考えられる一方で、厚さ12aは、モジュール100aの用途の要件に応じて、下にある積層体90aに要素50を接合するための結合強度により制限され得る。
さらに図1を参照すると、折り畳み式モジュール100aの特定の態様は、第1の接着剤10aの厚さを制御することによりモジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することができる。より詳しくは、ある範囲の厚さ12a(例えば、約10μmから約40μm)を有する第1の接着剤10aを使用すると、第1の主面54が、それぞれ、凹形状または凸形状を示すように上向きまたは下向き方向にモジュール100a全体を折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する全体の曲げ力を低下させることができる。規定の範囲内の厚さを有する第1の接着剤10aの使用により、折り畳み式モジュール100aの特定の態様に関連するこれらの曲げ力の低下が、比較的小さい厚さ(例えば、10μm未満)または比較的大きい厚さ(例えば、40μm超)を有する、カバー要素と積層体との間の接着剤(例えば、第1の接着剤10a)を有する折り畳み式モジュール(例えば、折り畳み式モジュール100a)に対して得られる。
図1に示された折り畳み式モジュール100aのいくつかの実施の形態において、第1の接着剤10aは、約0.1から約0.5、例えば、約0.1から約0.45、約0.1から約0.4、約0.1から約0.35、約0.1から約0.3、約0.1から約0.25、約0.1から約0.2、約0.1から約0.15、約0.2から約0.45、約0.2から約0.4、約0.2から約0.35、約0.2から約0.3、約0.2から約0.25、約0.25から約0.45、約0.25から約0.4、約0.25から約0.35、約0.25から約0.3、約0.3から約0.45、約0.3から約0.4、約0.3から約0.35、約0.35から約0.45、約0.35から約0.4、および約0.4から約0.45のポアソン比によりさらに特徴付けられる。他の実施の形態は、約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5のポアソン比、またはこれらの値の間の任意のポアソン比により特徴付けられる第1の接着剤10aを含む。1つの態様において、第1の接着剤10aのポアソン比は、約0.1から約0.25である。
再び図1を参照すると、折り畳み式モジュール100aの積層体90aは、第1と第2の主面64、66、および約300MPaから約10GPa、例えば、約300MPaから8000MPa、約300MPaから6000MPa、約300MPaから4000MPa、約300MPaから2000MPa、約300MPaから約1000MPa、約300MPaから500MPa、約500MPaから8000MPa、約500MPaから6000MPa、約500MPaから4000MPa、約500MPaから2000MPa、約500MPaから約1000MPa、約1000MPaから8000MPa、約1000MPaから6000MPa、約1000MPaから4000MPa、約1000MPaから2000MPa、約2000MPaから8000MPa、約2000MPaから6000MPa、約2000MPaから4000MPa、約4000MPaから8000MPa、約4000MPaから6000MPa、および約6000MPaから8000MPaのパネル弾性率を有するパネル60をさらに備える。積層体90aは、パネル60に結合された1つ以上の電子デバイス102も備える。また図1に示されるように、積層体90aは、積層体要素75も備え得る。積層体要素75は、その最終用途に応じて、折り畳み式電子デバイスモジュール100aに関連する様々な特徴を含むことができる。例えば、積層体要素75は、タッチセンサ、偏光子、他の電子デバイス、およびこれらの特徴をパネル60に接合するための接着剤または他の化合物の内の1つ以上を含んでよい。
図1において、折り畳み式モジュール100aのカバー要素50は、そのカバー要素の第1の主面54に直径1.5mmの炭化タングステン球で荷重を加えた場合、少なくとも1.5kgf(約14.7N)の穿刺抵抗によりさらに特徴付けられる。典型的に、本開示の態様による穿刺試験は、0.5mm/分のクロスヘッド速度での変位制御下で行われる。いくつかの態様において、カバー要素50は、ワイブルプロット内の5%以上の破壊確率で約1.5kgf(約14.7N)超の穿刺抵抗(すなわち、穿刺試験データに基づいて、1.5kgf(約14.7N)の穿刺荷重がカバー要素に印加されたときの5%以上の破壊確率がある)により特徴付けられる。カバー要素50は、ワイブル特徴強度で3kgf(約29.4N)(すなわち、63.2%以上)超の穿刺抵抗により特徴付けることもできる。特定の態様において、折り畳み式電子デバイスモジュール100aのカバー要素50は、約2kgf(約19.6N)以上、2.5kgf(約24.5N)以上、3kgf(約29.4N)以上、3.5kgf(約34.3N)以上、4kgf(約39.2N)以上、またさらに高い範囲(例えば、許容できる用途に関連する破壊確率内)で穿刺に抵抗することができる。カバー要素50は、8H以上の鉛筆硬度によっても特徴付けることができる。
折り畳み式モジュール100aの特定の他の態様において、カバー要素50は、0.5mm/分のクロスヘッド速度での変位制御下で行われる、直径200μmの平底を有するステンレス鋼製のピン(炭化タングステン球ではなく)を利用する代わりの試験方法による穿刺抵抗により特徴付けることができる。特定の態様において、ステンレス鋼製のピンは、より高い弾性率を有する材料(例えば、カバー要素50)の試験に関連するその金属ピンの変形から生じ得るバイアスを避けるために、所定量の試験(例えば、10回の試験)後に新たなピンと交換される。これらの態様において、カバー要素50は、その要素50の第2の主面56が、(i)約0.01MPaから約1MPaの弾性率を有する約25μm厚の粘着剤(「PSA」)および(ii)約10GPa未満、例えば、約2GPaから約4GPaの弾性率を有する約50μm厚のポリエチレンテレフタレート層(「PET」)により支持されており、その要素50の第1の主面54に直径200μmの平底を有するステンレス鋼製のピンで荷重が加えられる場合、少なくとも1.5kgf(約14.7N)の穿刺抵抗を有する。折り畳み式モジュール100aの他の態様によれば、カバー要素50は、0.5mm/分のクロスヘッド速度での変位制御下で行われる、PSA/PET支持構造で直径1.5mmの炭化タングステン球を利用する試験方法による穿刺抵抗により特徴付けることができる。これらの態様において、その要素50は、要素50の第2の主面56が、(i)約0.01MPaから約1MPaの弾性率を有する約25μm厚の粘着剤(「PSA」)および(ii)約10GPa未満、例えば、約2GPaから約4GPaの弾性率を有する約50μm厚のポリエチレンテレフタレート層(「PET」)により支持されており、その要素50の第1の主面54に直径1.5mmの炭化タングステン球で荷重が加えられる場合、少なくとも1.5kgf(約14.7N)の穿刺抵抗を有する。直径200μmの平底を有するステンレス鋼製のピンによる先の手法による穿刺試験によっても、直径1.5mmの炭化タングステン球に関する同じ手法(例えば、PSA/PET支持構造)および試験条件の使用と一貫する結果が生じることも考えられる。
再び図1を参照すると、本開示の第1の態様による折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、第1の主面54が圧縮状態にある(すなわち、図4Bに示されるような点「C」で)ように、そのモジュールを二点構造で約20mmから約1mmの曲げ半径220(図4B参照)に曲げた際に、引張で1000MPa以下のカバー要素50の第2の主面56(すなわち、図4Bに示されるような点「T」で)での接線応力により特徴付けられ、その曲げ半径220は、カバー要素50の第1の主面54の上方の中心点からパネル60の第2の主面66まで測定される。特定の実施において、カバー要素50の第2の主面56での接線応力(引張)は、二点構造で約20mmから約1mm、例えば、20mm、19.75mm、19.5mm、19.25mm、19mm、18.5mm、17.5mm、17mm、16.5mm、16mm、15.5mm、15mm、14.5mm、14mm、13.5mm、および13mm、12.5mm、12mm、11.5mm、11mm、10.5mm、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3.25mm、3mm、2.75mm、2.5mm、2.25mm、2mm、1.75mm、1.5mm、1.25mm、または1mm、もしくは例えば、約20mmから約1mm、約20mmから約2mm、約20mmから約3mm、約20mmから約4mm、約20mmから約5mm、約20mmから約6mm、約20mmから約7mm、約20mmから約8mm、約20mmから約9mm、約20mmから約10mm、約20mmから約11mm、約20mmから約12mm、約20mmから約13mm、約20mmから約14mm、約20mmから約15mm、約20mmから約16mm、約20mmから約17mm、約20mmから約18mm、約20mmから約19mm、約19mmから約1mm、約18mmから約1mm、約17mmから約1mm、約16mmから約1mm、約15mmから約1mm、約14mmから約1mm、約13mmから約1mm、約12mmから約1mm、約11mmから約1mm、約10mmから約1mm、約10mmから約2mm、約9mmから約2mm、約8mmから約2mm、約7mmから約2mm、約6mmから約2mm、約5mmから約2mm、約4mmから約2mm、約3mmから約2mm、約19mmから約3mm、約18mmから約4mm、約17mmから約5mm、約16mmから約6mm、約15mmから約7mm、約14mmから約8mm、約13mmから約9mm、約12mmから約10mmの半径にそのモジュールを曲げた際に、約1000MPa、950MPa、925MPa、900MPa、875MPa、850MPa、825MPa、800MPa、775Mpa、750MPa、725MPa、700MPa以下、またはこれらの接線応力上限の間の任意の量である。二点構造で約20mm超から約100mmまでの曲げ半径に曝される折り畳み式モジュールの特定の他の態様において、カバー要素50の第2の主面56での接線応力は、そのモジュール内の接着剤の1つ以上の弾性率および/または厚さを注意深く選択することによって、大幅に減少させることができる。
まだ図1を参照すると、別の実施による折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、そのモジュールが試験装置によって曲げ半径220まで内側に曲げられたときに、150ニュートン(N)以下の曲げ力(Fbend)により特徴付けることができ、その曲げ半径は、2つの試験プレート250の間の距離(D)の約半分である(図4Aおよび4B参照)。特定の実施において、その曲げ力は、そのモジュールを、約20mmから約3mmの半径(すなわち、約40から約6mmのプレート距離(D))、例えば、20mm、19.75mm、19.5mm、19.25mm、19mm、18.5mm、17.5mm、17mm、16.5mm、16mm、15.5mm、15mm、14.5mm、14mm、13.5mm、および13mm、12.5mm、12mm、11.5mm、11mm、10.5mm、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3.25mm、または3mmの半径に曲げた際に、約150N、140N、130N、120N、110N、100N、90N、80N、70N、60N、50N、40N、30N、20N、10N、5N以下、またはこれらの曲げ力上限の間の任意の量である。先に概説したように、これらの比較的低い曲げ力は、第1の接着剤10aの材料特性および/または厚さを調整することにより、折り畳み式電子デバイスモジュール100aに得ることができる。
図1に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100aの他の態様において、カバー要素50は、その要素が、約25℃および約50%の相対湿度で少なくとも60分間に亘り約1mmから約20mmの曲げ半径220(図4B参照)に保持された場合、破損のないことにより特徴付けることができる。ここに用いたように、「破損する」、「破損」などの用語は、割れ、破壊、剥離、亀裂伝搬、または本開示の折り畳み式モジュール、アセンブリおよび物品をその使用目的に適さなくする他の機構を称する。カバー要素50がこれらの条件下で曲げ半径220に保持されたときに(すなわち、モジュール100aに印加された曲げにより)、曲げ力が要素50の端部に印加される。折り畳み式電子デバイスモジュール100aのほとんどの(全てではなくとも)態様において、第1の主面54が凹形状に上向きに曲げられるように(図4B参照)折り畳み式モジュール100aに曲げ力を印加する最中に、要素50の第2の主面56に引張応力が生じ、第1の主面54に圧縮応力が生じる。他の態様において、曲げ半径220は、カバー要素50の破損を生じさせずに、約5mmから7mmの範囲に設定することができる。理論で束縛するものではないが、本開示の特定の態様において、カバー要素50は、その要素50(折り畳み式モジュール100a全体を含む)が、約25℃および約50%の相対湿度で少なくとも120時間に亘り約3mmから約10mmの曲げ半径220に保持されたときに、破損のないことによっても特徴付けることができると考えられる。図1に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100aに関連する曲げ試験の結果は、先の試験パラメータとは異なる温度および/または湿度レベルの試験条件下で変動し得ることも理解すべきである。
折り畳み式モジュール100aのいくつかの態様において、カバー要素50は、高サイクル疲労応力抵抗により特徴付けられる。詳しくは、カバー要素50は、少なくとも200,000回の曲げサイクルについて、そのモジュールを二点構造で緩和試験状態の形態から一定の規定の曲げ半径220(図4Aおよび4B参照)(すなわち、20mmから約1mmに及ぶ)に曲げた際に、凝集破壊がないことにより特徴付けることができる。当業者に理解されるように、その緩和試験状態の形態は、モジュール100aの平らな、平面のまたは実質的に平面の形態(例えば、100mmを超える曲げ半径)を反映することができる。これも当業者に理解されるように、緩和試験状態の形態は、カバー要素が、所望の曲げ半径でカバー要素に施される応力に対して最小の応力を経験するものである。本開示の他の態様において、カバー要素50は、約100,000サイクル、110,000サイクル、120,000サイクル、130,000サイクル、140,000サイクル、150,000サイクル、160,000サイクル、170,000サイクル、180,000サイクル、190,000サイクル、200,000サイクル、225,000サイクル、250,000サイクル、275,000サイクル、および300,000サイクル、またはこれらの値の間の曲げサイクルの任意の量について、そのモジュールを二点構造で緩和試験状態の形態から曲げ半径220に曲げた際に、凝集破壊がないことにより特徴付けられる。高サイクル(すなわち、100,000超のサイクル)で約20mm超から約100mmまでのそれほどきつくない曲げ半径220に曝される折り畳み式モジュール100aの特定の他の用途において、そのカバー要素の高サイクル疲労応力性能は、残留応力領域の発生、および/またはそのモジュール内の接着剤の弾性率および/または厚さの注意深い選択により、大幅に増加させることができる。
折り畳み式モジュール100aの特定の態様において、カバー要素50はガラス層を含むことができる。他の態様において、カバー要素50は、2つ以上のガラス層を含むことができる。このように、厚さ52は、カバー要素50を構成する個々のガラス層の厚さの合計を反映する。カバー要素50が2つ以上の個々のガラス層を含む態様において、個々のガラス層の各々の厚さは1μm以上である。例えば、モジュール100aに使用されるカバー要素50は、カバー要素50の厚さ52が約24μmとなるように、各々の厚さが約8μmの3つのガラス層を含むことができる。しかしながら、カバー要素50は、多数のガラス層の間に挟まれた他の非ガラス層(例えば、柔軟な高分子層)を含んでも差し支えないことも理解すべきである。モジュール100aの他の実施において、カバー要素50は、ガラス含有材料を含む1つ以上の層を含むことができる、例えば、要素50は、高分子マトリクス内の第二相のガラス粒子で構成された高分子/ガラス複合体であり得る。
図1において、ガラス材料を含むカバー要素50を備えた折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、無アルカリのアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸、アルミノホウケイ酸塩、およびケイ酸塩ガラス組成物から製造することができる。カバー要素50は、アルカリを含有するアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸、アルミノホウケイ酸塩、およびケイ酸塩ガラス組成物からも製造することができる。特定の態様において、カバー要素50は、ガラスセラミック組成物からも製造でき、特定の用途について、ガラスセラミック組成物により、光透過性であるカバー要素50が得られる。特定の態様において、アルカリ土類改質剤を、カバー要素50の先の組成物のどれに添加しても差し支えない。1つの例示の態様において、以下によるガラス組成物が、1つ以上のガラス層を有するカバー要素50に適している:64から69%(モル%)のSiO2、5から12%のAl2O3、8から23%のB2O3、0.5から2.5%のMgO、1から9%のCaO、0から5%のSrO、0から5%のBaO、0.1から0.4%のSnO2、0から0.1%のZrO2、および0から1%のNa2O。別の例示の態様において、以下の組成が、ガラス層50aに適している:約67.4%(モル%)のSiO2、約12.7%のAl2O3、約3.7%のB2O3、約2.4%のMgO、0%のCaO、0%のSrO、約0.1%のSnO2、および約13.7%のNa2O。さらなる例示の態様において、以下の組成も、カバー要素50に用いられるガラス層に適している:68.9%(モル%)のSiO2、10.3%のAl2O3、15.2%のNa2O、5.4%のMgO、および0.2%のSnO2。以下に限られないが、傷つくのを最小にしつつ低い厚さレベルに製造するのが容易なこと;屈曲結合残留応力領域の発生を促進するのに加工中にモジュール内での結合および屈曲が容易なこと;曲げ中に生じる引張応力を相殺するのに圧縮応力領域を発生させるのが容易なこと;光透過性;および耐腐食性を含む、様々な基準を使用して、ガラス材料を含むカバー要素50の組成を選択することができる。
折り畳み式モジュール100aに利用されるカバー要素50は、様々な物理的形態および形状を取ることができる。断面の視点から、単層または多層としての、要素50は、平らまたは平面であり得る。いくつかの態様において、要素50は、最終用途に応じて、非直線のシート状形態で製造することができる。一例として、楕円ディスプレイおよびベゼルを有する携帯型表示装置は、略楕円形のシート状形態を有するカバー要素50を用いることができる。
まだ図1を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100aのカバー要素50は、本開示の特定の態様において、第1および/または第2の主面54、56からカバー要素50の選択された深さまで延在する圧縮応力領域を1つ以上(図示せず)有するガラス層または部材を備えることができる。さらに、モジュール100aの特定の態様において、要素50のエッジ(例えば、主面54、56に対して垂直なまたは実質的に垂直なエッジ)から選択された深さまで延在するエッジ圧縮応力領域(図示せず)も発生させることができる。例えば、ガラスカバー要素50内に含まれる(1つまたは複数の)圧縮応力領域(および/またはエッジ圧縮応力領域)は、イオン交換(「IOX」)過程により形成することができる。ここに用いたように、IOX過程は、そのカバー要素内に1つ以上の「イオン交換済み圧縮応力領域」を発生させるために用いられる。別の例としては、ガラスカバー要素50は、その層および/または領域に関連する熱膨張係数(「CTE」)の不一致によりそのような圧縮応力領域を1つ以上発生させるために使用できる様々な調整されたガラス層および/または領域を備えることができる。ここに用いたように、そのような設計手法により、カバー要素内に「CTEにより誘発した圧縮応力領域」が生じる。
IOX過程により形成されたイオン交換済み圧縮応力領域を1つ以上有するカバー要素50を備えたデバイスモジュール100aの態様において、その圧縮応力領域は、複数のイオン交換可能な金属イオンおよび複数のイオン交換された金属イオンを含むことができ、そのイオン交換された金属イオンは、圧縮応力領域に圧縮応力を生じさせるように選択される。イオン交換済み圧縮応力領域を含有するモジュール100aのいくつかの態様において、イオン交換された金属イオンは、イオン交換可能な金属イオンの原子半径よりも大きい原子半径を有する。そのイオン交換可能な金属イオン(例えば、Na+イオン)は、イオン交換過程に施される前に、ガラスカバー要素50中に存在する。イオン交換するイオン(例えば、K+イオン)は、ガラスカバー要素50中に取り込まれて、最終的にイオン交換済み圧縮応力領域となる、要素50内の領域内のイオン交換可能なイオンのいくらかを置換する。カバー要素50中にイオン交換するイオン、例えば、K+イオンを取り込むことは、イオン交換するイオンを含有する溶融塩浴(例えば、溶融KNO3浴)中に要素50(例えば、完全なモジュール100aの形成前の)を沈めることによって行うことができる。この例では、K+イオンは、Na+イオンより大きい原子半径を有し、ガラスカバー要素50中、存在するところはどこでも、例えば、イオン交換済み圧縮応力領域中に局所的な圧縮応力を生じる傾向にある。
図1に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100aに使用されるカバー要素50に用いられるイオン交換過程の条件に応じて、イオン交換するイオンは、カバー要素50の第1の主面54から第1のイオン交換深さ(図示せず)まで与えられ、イオン交換の層の深さ(「DOL」)を確立することができる。同様に、第2のイオン交換済み圧縮応力領域が、第2の主面56から第2のイオン交換の深さまで要素50中に生じさせることができる。DOL内に、2000MPaまでの、100MPaをはるかに超える圧縮応力レベルを、そのようなIOX過程により達成できる。カバー要素50内のイオン交換済み圧縮応力領域における圧縮応力レベルは、折り畳み式電子デバイスモジュール100aの曲げの際にカバー要素50に生じる引張応力を相殺するように働くことができる。その上、イオン交換済み圧縮応力領域における圧縮応力レベルは、その折り畳み式電子デバイスモジュールの特定の実施の形態において、そのカバー要素内に存在する他の応力領域(例えば、CTEにより誘発した圧縮応力領域)の上に重畳することができる。
再び図1を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、いくつかの実施において、各々が少なくとも100MPaの圧縮応力により画成された、第1と第2の主面54、56に対して垂直なエッジでカバー要素50中に1つ以上のエッジイオン交換済み圧縮応力領域を含むことができる。そのようなエッジイオン交換済み圧縮応力領域を、カバー要素50の形状または形態に応じて、そのエッジまたはそれらの主面と異なる表面のいずれかで要素50内に発生させることができる。例えば、楕円形状のカバー要素50を有する折り畳み式モジュール100aの実施において、エッジイオン交換済み圧縮応力領域は、その要素の主面から垂直(または実質的に垂直)なその要素の外縁から内側に発生させることができる。主面54、56に近接してイオン交換済み圧縮応力領域を発生させるのに用いられるIOX過程と事実上類似のIOX過程を実施して、これらのエッジイオン交換済み圧縮応力領域を生じることができる。より詳しくは、カバー要素50におけるそのようなエッジイオン交換済み圧縮応力領域のいずれを使用して、例えば、そのエッジのいずれに亘るカバー要素50(およびモジュール100a)の曲げ、および/またはその主面54、56でのカバー要素50の不均一な曲げにより、その要素のエッジに生じる引張応力を相殺することもできる。あるいは、またはそれに対する追加として、理論に束縛されるものではなく、カバー要素50に用いられるそのようなエッジイオン交換済み圧縮応力領域のいずれも、モジュール100a内の要素50のエッジでのまたはエッジに対する衝撃または摩耗事象からの悪影響を相殺するであろう。
再び図1を参照すると、カバー要素50内の領域または層のCTEにおける不一致により形成された1つ以上のCTEにより誘発した圧縮応力領域を有する要素50を備えたデバイスモジュール100aのそれらの態様において、これらの圧縮応力領域は、要素50の構造を調整することによって発生させられる。例えば、要素50内のCTE差が、その要素内に1つ以上のCTEにより誘発した圧縮応力領域を生じることができる。一例において、カバー要素50は、各々がその要素の主面54、56に対して実質的に平行である、クラッド領域または層により挟まれたコア領域または層を備えることができる。さらに、そのコア層は、クラッド領域または層のCTEより大きいCTEに調整される(例えば、コアおよびクラッド領域または層の組成制御により)。カバー要素50がその製造過程から冷却された後、コア領域または層とクラッド領域または層との間のCTE差が、冷却の際に不均一な体積収縮を生じ、クラッド領域または層内の主面54、56の下にあるCTEにより誘発した圧縮応力領域の発生において現れたカバー要素50内の残留応力(CTEにより誘発した)の発生をもたらす。言い換えれば、コア領域または層およびクラッド領域または層は、高温で互いに密接に接触させられ;次に、これらの層または領域が、低CTEのクラッド領域(または層)に対する高CTEのコア領域(または層)のより大きい体積変化により、カバー要素50内のクラッド領域または層中にCTEにより誘発した圧縮応力領域が生じるように、低温に冷却される。
CTEにより誘発した圧縮応力領域を有する、図1に示されたモジュール100aにおけるカバー要素50をまだ参照すると、そのCTEにより誘発した圧縮応力領域は、それぞれ、第1の主面54から第1のCTE領域の深さまで、また第2の主面56から第2のCTE領域の深さまで到達し、それゆえ、クラッド層または領域内に、それぞれの主面54、56に関連するCTEにより誘発した圧縮応力領域の各々に関してCTE関連のDOLを確立する。いくつかの態様において、これらのCTEにより誘発した圧縮応力領域中の圧縮応力レベルは、150MPaを超え得る。コア領域(または層)とクラッド領域(または層)との間のCTE値の差を最大にすることによって、製造後の要素50の冷却の際に圧縮応力領域中に発生する圧縮応力の大きさを増加させることができる。そのようなCTEにより誘発した圧縮応力領域を有するカバー要素50を備えた折り畳み式電子デバイスモジュール100aの特定の実施において、カバー要素50は、クラッド領域の厚さの合計で割られたコア領域の厚さについて3以上の厚さ比を有するコア領域とクラッド領域を利用する。このように、クラッド領域のサイズおよび/またはCTEに対してコア領域のサイズおよび/またはそのCTEを最大にすることにより、折り畳み式モジュール100aのCTEにより誘発した圧縮応力領域中に観察される圧縮応力レベルの大きさを増加させるように働くことができる。
他の利点の中でも、圧縮応力領域(例えば、先の段落に概説した屈曲結合、IOXおよび/またはCTE関連の手法により発生したような)をカバー要素50内に用いて、折り畳み式モジュール100aの曲げの際にその要素に生じた引張応力、特に、曲げ方向に応じて、主面54、56の一方で最大値に到達する引張応力を相殺することができる。特定の態様において、その圧縮応力領域(例えば、屈曲結合残留応力領域、CTEにより誘発した圧縮応力領域およびイオン交換済み圧縮応力領域の内の少なくとも1つを含むような)は、カバー要素50の主面54、56での少なくとも約100MPaの圧縮応力を含むことができる。いくつかの態様において、主面での圧縮応力は、約600MPaから約1000MPaである。他の態様において、圧縮応力は、カバー要素50中に圧縮応力を生じるために用いられる過程に応じて、主面で1000MPaを超え、2000MPaまでに及び得る。圧縮応力は、本開示の他の態様における要素50の主面で、約100MPaから約600MPaにも及び得る。追加の態様において、モジュール100aのカバー要素50内の(1つまたは複数の)圧縮応力領域は、約100MPaから約2000MPa、例えば、約100MPaから約1500MPa、約100MPaから約1000MPa、約100MPaから約800MPa、約100MPaから約600MPa、約100MPaから約400MPa、約100MPaから約200MPa、約200MPaから約1500MPa、約200MPaから約1000MPa、約200MPaから約800MPa、約200MPaから約600MPa、約200MPaから約400MPa、約400MPaから約1500MPa、約400MPaから約1000MPa、約400MPaから約800MPa、約400MPaから約600MPa、約600MPaから約1500MPa、約600MPaから約1000MPa、約600MPaから約800MPa、約800MPaから約1500MPa、約800MPaから約1000MPa、または約1000MPaから約1500MPaの圧縮応力を示すことができる。
折り畳み式電子デバイスモジュール100aのカバー要素50に用いられるそのような圧縮応力領域内で、圧縮応力は、一定のままであっても、主面から1つ以上の選択された深さまでまたはそのカバー要素の全厚に渡る深さの関数として、減少しても、増加しても差し支えない。そのように、様々な圧縮応力プロファイル(例えば、線形、非線型、階段状など)を、1つ以上の応力領域(例えば、屈曲結合残留応力領域、CTEにより誘発した圧縮応力領域、およびイオン交換済み圧縮応力領域)の寄与に応じて、圧縮応力領域に用いることができる。さらに、いくつかの態様において、圧縮応力領域の各々の深さは、カバー要素50の主面54、56から約15μm以下に設定できる。他の態様において、圧縮応力領域の深さは、それらの領域が、第1および/または第2の主面54、56から、カバー要素50の厚さ52の約1/3以下、またはカバー要素50の厚さ52の20%以下であるように設定できる。
再び図1を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、第1および/または第2の主面54、56で5μm以下の最大傷サイズを有する1つ以上の圧縮応力領域を有するガラス材料を含むカバー要素50を備えることができる。その最大傷サイズは、約2.5μm以下、2μm以下、1.5μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、またさらに小さい傷サイズ範囲に保持することもできる。ガラスカバー要素50の圧縮応力領域の傷サイズを減少させると、折り畳み式モジュール100aへの曲げ力による引張応力の印加の際(図4B参照)の亀裂伝搬により要素50が破損する傾向をさらに低下させることができる。その上、折り畳み式電子デバイスモジュール100aのいくつかの態様は、1つ以上の圧縮応力領域を用いずに、制御された傷サイズ分布(例えば、第1および/または第2の主面54、56での0.5μm以下の傷サイズ)を有する表面領域を含むことができる。
図1および4Aを参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100aに印加される曲げ力Fbendにより、カバー要素50の第2の主面56に、例えば、概して中心曲げ軸210上またはそれに近接した、図4Bに示された点「T」に、引張応力が生じ得る。よりきつい(すなわち、小さい)曲げ半径220により、より高い引張応力が生じる。さらに、よりきつい曲げ半径220は、モジュール100aを所望の半径220に曲げるかまたは別なふうに折り畳むために、ますます高い曲げ力Fbendも必要とする。下記の式(1)を使用して、一定の曲げ半径220での曲げが施された、カバー要素50内の、特に、カバー要素50の第2の主面56での最大引張応力を予測することができる。式(1)は:
により与えられ、式中、Eはガラスカバー要素50のヤング率であり、νはカバー要素50のポアソン比であり(典型的に、νはほとんどのガラス組成物について約0.2〜0.3である)、hはそのカバー要素の厚さの反射であり、Rは曲げ曲率半径(曲げ半径220に匹敵する)である。式(1)を使用すれば、最大曲げ応力は、ガラスカバー要素50の厚さ52および弾性率に線形に依存し、ガラスカバー要素50の曲率の曲げ半径220に逆向きに依存することが明白である。
折り畳み式モジュール100aおよび特にカバー要素50に印加される曲げ力Fbendは、要素50内の瞬時のまたはより遅い疲労破損機構をもたらす亀裂伝搬の可能性も生じ得る。要素50の第2の主面56またはその面のわずかに下の傷の存在は、これらの潜在的な破損モードに寄与し得る。下記の式(2)を使用して、曲げ力Fbendに曝されるガラスカバー要素50中の応力拡大係数を予測することができる。式(2)は:
により与えられ、式中、αは傷サイズであり、Yは幾何学的係数(一般に、典型的に破損モードである、ガラスエッジから広がる亀裂について、1.12と仮定される)であり、σは、式(1)を用いて予測されるような、曲げ力Fbendに関連する曲げ応力である。式(2)は、亀裂面に沿った応力が一定であると仮定しており、これは、傷サイズが小さい(例えば、1μm未満)場合に妥当な仮定である。応力拡大係数Kがガラスカバー要素50の破壊靭性KICに到達したときに、瞬間破損が生じる。ガラスカバー要素50に使用するのに適したほとんどの組成について、KICは約0.7MPa√mである。同様に、Kが疲労閾値Kthreshold以上のレベルに到達したときにも、遅い周期的な疲労荷重条件により、破損が生じ得る。Kthresholdの妥当な過程は、約0.5MPa√mである。しかしながら、Kthresholdは、実験的に決定することができ、全体の用途要件に依存する(例えば、所定の用途についてのより高い疲労寿命により、Kthresholdが増加し得る)。式(2)に鑑みて、応力拡大係数は、ガラスカバー要素50の主面での、特に、曲げの際に高い引張応力に曝されそうな面での全体の引張応力レベルおよび/または傷サイズを減少させることによって、減少させることができる。
折り畳み式電子デバイスモジュール100aのいくつかの態様によれば、式(1)および(2)により予測した引張応力および応力拡大係数は、ガラスカバー要素50の第2の主面56での応力分布の制御により、最小にすることができる。具体的には、第2の主面56とその下の圧縮応力プロファイル(例えば、先の段落に概説した、CTEにより誘発した、イオン交換済み、および/または屈曲結合の残留圧縮応力領域の内の1つ以上による)は、式(1)において計算された曲げ応力から除算される。このように、全体の曲げ応力レベルは、都合よく減少し、これにより、転じて、式(2)により予測できる応力拡大係数も減少する。
再び図1を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100aの他の実施は、要素50内の傷分布を改善するおよび/または傷サイズを減少させるように調整される様々なエッチング過程に曝されたガラス材料を含むカバー要素50を備えることができる。これらのエッチング過程を使用して、主面54、56に近接した、および/またはそのエッジ(図示せず)に沿った、カバー要素50内の傷分布を制御することができる。例えば、約15体積%のHFおよび約15体積%のHClを含有するエッチング液を用いて、ガラス組成を有するカバー要素50の表面を軽くエッチングすることができる。軽いエッチングの時間と温度は、当業者に理解されるように、要素50の組成およびカバー要素50の表面からの材料の所望の除去レベルに応じて、設定することができる。要素50のいくつかの表面が、エッチング手順中にそのような表面にマスキング層などを用いることによって、エッチングされていない状態のままにできることも理解すべきである。より詳しくは、この軽いエッチングにより、カバー要素50の強度を都合よく改善することができる。具体的には、カバー要素50として最終的に使用されるガラス構造を分割するために使用される切断過程または1枚ずつにする過程により、要素50の表面内に傷や他の欠陥が残り得る。これらの傷および欠陥は、伝播し、要素50を含むモジュール100aに用途の環境および使用法により応力が印加される最中にガラスが破壊され得る。要素50の1つ以上のエッジを軽くエッチングすることによる、選択的なエッチング過程により、傷および欠陥の少なくともいくらかを除去し、それによって、例えば、式(1)および(2)に照らして先の段落で明示されたように、軽くエッチングされた表面の強度および/または破壊抵抗を上昇させることができる。
図1に示された折り畳み式モジュール100aに用いられるカバー要素50は、先の強度強化特徴の内のいずれか1つ以上を含むことができることも理解すべきである:(a)屈曲結合残留応力領域;(b)イオン交換済み圧縮応力領域;(c)CTEにより誘発した圧縮応力領域;および(d)欠陥サイズがより小さいエッチング済み表面。これらの強度強化特徴を使用して、折り畳み式電子デバイスモジュール100aの用途環境、使用法および加工に関連する、カバー要素50の表面に生じる引張応力を相殺するまたは部分的に相殺することができる。
先に概説したように、図1に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、特定の材料特性(例えば、約0.1MPaから100MPaの剛性率)を有する接着剤10aを備える。モジュール100aにおける接着剤10aとして使用できる例示の接着剤としては、光学的に透明な接着剤(「OCA」)(例えば、Henkel Corporation社製のLOCTITE(登録商標)液体OCA)、エポキシ、および積層体90aをカバー要素50の第2の主面56に接合するのに適した、当業者に理解されるような他の接合材料が挙げられる。モジュール100aのいくつかの態様において、接着剤10aは、その材料特性が、様々な温度(例えば、−40℃および約+85℃の各々での500時間)、湿度と高温(例えば、相対湿度95%で+65℃での500時間)、および折り畳み式電子デバイスモジュール100aの曲げによる摩擦によって生じるものを含む、用途環境における温度勾配(例えば、各サイクルが−40℃での1時間とその後の+85℃での1時間により与えられる200回の熱衝撃サイクル)に曝された際に、ほとんどまたは全く変化を受けないような高い耐熱性も有する。さらに、接着剤10aは、3M(商標)Companyの8211、8212、8213、8214および8215 OCAにより示されるものに匹敵する、紫外線暴露に対する高い耐性および高い引き剥がし粘着力を有することがある。
これも先に概説したように、図1に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、約300MPaから約10GPa、例えば、300MPaから約5000MPa、300MPaから約2500MPa、300MPaから約1000MPa、300MPaから約750MPa、300MPaから約500MPa、500MPaから約5000MPa、500MPaから約2500MPa、500MPaから約1000MPa、500MPaから約750MPa、750MPaから約5000MPa、750MPaから約2500MPa、750MPaから約1000MPa、1000MPaから約5000MPa、1000MPaから約2500MPa、および2500MPaから約5000MPaのパネル弾性率を有するパネル60を備える。いくつかの態様において、パネル60のパネル弾性率は、約350MPa、400MPa、450MPa、500MPa、550MPa、600MPa、650MPa、700MPa、750MPa、800Mpa、850MPa、900MPa、950MPa、1000MPa、2GPa、3GPa、4GPa、5GPa、6GPa、7GPa、8GPa、9GPa、10GPa、またはこれらの値の間の任意の弾性率値である。モジュール100a内のパネル60として利用できる適切な材料には、折り畳み式電子デバイスモジュール100aに関連する曲げに曝されたときに高い機械的完全性および可撓性を有し、電子デバイス102を取り付けるのに適した様々な熱硬化性および熱可塑性材料、例えば、ポリイミドがある。例えば、パネル60は、有機発光ダイオード(「OLED」)表示パネルであることがある。パネル60に選択される材料は、モジュール100aの用途環境および/またはその加工条件に関連する材料特性の変化および/または劣化に抵抗する高い熱安定性も示すことがある。パネル60に選択される材料としては、ガラス、ガラスセラミック、またはセラミック材料も挙げられるであろう。
いくつかの実施において、図1に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、ディスプレイ、プリント基板、筐体または最終製品の電子デバイスに関連する他の特徴において利用できる。例えば、折り畳み式モジュール100aは、数多くの薄膜トランジスタ(「TFT」)を含有する電子表示装置、または低温ポリシリコン(「LTPS」)バックプレーンを含有するLCDまたはOLEDに利用できる。折り畳み式モジュール100aが、例えば、ディスプレイに使用される場合、モジュール100aは実質的に透明であり得る。さらに、モジュール100aは、先の段落に記載されたような、鉛筆硬度、曲げ半径、穿刺抵抗および/または適切な曲げ力性能を有し得る。1つの例示の実施において、折り畳み式電子デバイスモジュール100aは、ウェアラブル電子デバイス、例えば、腕時計、財布またはブレスレットに利用される。ここに定義されるように、「折り畳み式」は、完全な折り畳み、部分的な折り畳み、曲げ、屈曲、個別の曲げ、および多重折り畳み能力を含む。
ここで図2を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100bに、折り畳み式電子デバイスモジュール100a(図1参照)と共通する多くの特徴が設けられている。特に明記のない限り、モジュール100aおよび100bの間に共通するどの特徴も(すなわち、同じ要素番号を有する)、同じまたは同様の構造、特徴および性質を有する。例えば、折り畳み式電子デバイスモジュール100bは、モジュール100a(図1参照)のように、カバー要素50の中央部分52l’内に、50cおよび50tの組合せにより示される屈曲結合残留応力領域を含むことができる。先に述べたように、屈曲結合残留応力領域50c、50tは、中心曲げ軸210で、第2の主面56での最大圧縮応力から第1の主面54での最大引張残留応力に及ぶ、中央部分52l’内のカバー要素50の厚さ52を通じて存在する。特定の態様において、屈曲結合残留応力領域は、厚さ52cを有する圧縮残留応力領域成分50cおよび厚さ52tを有する引張残留応力領域成分50tにより特徴付けることができる。これも図2に示されるように、モジュール100bは、約25μmから約200μmの厚さおよび約20GPaから約140GPaのカバー要素弾性率を有するカバー要素50を備える。そのカバー要素50は、ガラス組成、第1の主面54、および第2の主面56を有するガラス組成物または構成部材をさらに備える。中央部分52l’内に屈曲結合残留応力領域50c、50tを有する折り畳み式モジュール100bのいくつかの実施の形態において、中心曲げ軸210でのカバー要素50の第2の主面56での最大圧縮残留応力は、300MPaまで、275MPaまで、250MPaまで、225MPaまで、200MPaまで、175MPaまで、150MPaまで、125MPaまで、100MPaまで、75Mpaまで、50MPaまで、40MPaまで、30MPaまで、20MPaまで、または10MPaまで、およびそのカバー要素50の第2の主面56での(中心曲げ軸210での)これらの最大圧縮残留応力レベルの間の全ての値に到達し得る。
図2に示されたモジュール100bは、約100μmから約600μmの厚さ92bを有する積層体90b;および積層体要素75をカバー要素50の第2の主面56に接合するように構成された第1の接着剤10aをさらに備える。モジュール100bにおいて、第1の接着剤10aは、約0.01MPaと約1GPaの間、例えば、約0.01MPaから約800MPa、約0.01MPaから約600MPa、約0.01MPaから約400MPa、約0.01MPaから約200MPa、約0.01MPaから約1MPa、約1MPaから約800MPa、約1MPaから約600MPa、約1MPaから約400MPa、約1MPaから約200MPa、約200MPaから約800MPa、約200MPaから約600MPa、約200MPaから約400MPa、約400MPaから約800MPa、約400MPaから約600MPa、または約600MPaから約800MPaの剛性率により特徴付けられる。
モジュール100bのいくつかの態様において、第1の接着剤10aは、0.01MPa、0.02MPa、0.03MPa、0.04MPa、0.05MPa、0.06MPa、0.07MPa、0.08MPa、0.09MPa、0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPa、0.5MPa、0.6MPa、0.7MPa、0.8MPa、0.9MPa、1MPa、5MPa、10MPa、20MPa、30MPa、40MPa、50MPa、60MPa、70MPa、80MPa、90MPa、100MPa、200MPa、300MPa、400MPa、500MPa、600MPa、700MPa、800MPa、900MPa、1000MPa、またはこれらの剛性率値の間の任意の量の剛性率により特徴付けられる。折り畳み式モジュール100bの態様は、そのような電子デバイス用途に典型的に用いられている従来の接着剤の剛性率と比べて、比較的高い剛性率、例えば、約1MPaから約1000MPa(すなわち、1GPa)を有する接着剤10aを伴い得る。比較的高い剛性率値を有するそのような接着剤10aを使用すると、予期せぬことに、第2の主面56から離れる方向に折り畳み式電子デバイスモジュール100bを曲げた際に−すなわち、第2の主面56が凸形状を示すようにモジュール100bを曲げることにより−カバー要素50の第2の主面56に観察される引張応力が著しく低下する。
まだ図2を参照すると、折り畳み式モジュール100bの特定の態様は、モジュール100b内に用いられる接着剤の内の1つ以上の剛性率を制御することによって、モジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することができる。より詳しくは、比較的低い剛性率値(例えば、約0.01MPaから約0.1MPa)を有する第1の接着剤10aを使用すると、第1の主面54が、それぞれ、凹形状または凸形状を示すように上向きまたは下向き方向にモジュール100b全体を折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する全体の曲げ力を、低下させることができる。比較的低い弾性剛性率値を有する第1の接着剤10aの使用により、折り畳み式モジュール100bの特定の態様に関連するこれらの曲げ力の低下が、0.1MPaを超える剛性率を有する、カバー要素と積層体との間の接着剤(例えば、第1の接着剤10a)を有する折り畳み式モジュール(例えば、折り畳み式モジュール100b)に対して得られる。
図2に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100bを再び参照すると、積層体90bは、第1と第2の主面64、66および約300MPaから10GPaのパネル弾性率を有するパネル60をさらに備える。積層体90bは、パネル60に、またはその中に結合された1つ以上の電子デバイス102、および約1GPaから約5GPaの積層体要素弾性率を有する積層体要素75も備え、その積層体要素は積層体接着剤10bによりパネル60に貼り付けられている。モジュール100a(図1参照)に関して先に概説したように、積層体要素75は、以下に限られないが、タッチセンサ、偏光子、タッチセンサ部材(例えば、電極層)、薄膜トランジスタ、駆動回路、ソース、ドレーン、ドープ領域、および他の電子デバイス、並びに電子デバイス部材、他の接着剤、および接合材料を含む様々な構成要素を含むことができる。まとめて、これらの特徴は、折り畳み式電子デバイスモジュール100b内で約1GPaと約10GPaの間の弾性率を有する。パネル60と、積層体要素75と、電子デバイス102(例えば、パネル60内に配置されているような)との間の関係が、図2に概略で示されていることも理解すべきである。デバイスモジュール100bの用途に応じて、これらの要素は、互いに対して異なる向きを有してよいことも理解すべきである。例えば、パネル60は、電子デバイス102が2つのガラス層(図示せず)によりパネル60(例えば、図2に概略示されたような)内に挟まれている、または高分子基板が、例えば、ガラス密封層により被包されている、LCDパネルまたはOLEDディスプレイであり得る。別の例では、図3に概略示され、下記にさらに述べられているように、電子デバイス102は、パネル60と積層体接着剤10bの上にある積層体要素75内のより高い垂直位置に位置するタッチセンサの態様(例えば、透明導電体、例えば、インジウムスズ酸化物における電子トレースライン、銀ナノワイヤなど)であり得る。
折り畳み式電子デバイスモジュール100bに用いられる積層体接着剤10bに関して、その組成は、積層体要素75をパネル60に、モジュール100bを用いる用途に適した結合強度で接合するように選択できる。本開示の第2の態様の折り畳み式モジュール100bのいくつかの実施によれば、積層体接着剤10bは、約10kPaから約100kPa、例えば、約10kPaから約90ka、約10kPaから約80ka、約10kPaから約70ka、約10kPaから約60ka、約10kPaから約50ka、約10kPaから約40ka、約10kPaから約30ka、約10kPaから約30ka、約20kPaから約90ka、約20kPaから約80ka、約20kPaから約70ka、約20kPaから約60ka、約20kPaから約50ka、約20kPaから約40ka、約20kPaから約30ka、約30kPaから約90ka、約30kPaから約80ka、約30kPaから約70ka、約30kPaから約60ka、約30kPaから約50ka、約30kPaから約40ka、約40kPaから約90ka、約40kPaから約80ka、約40kPaから約70ka、約40kPaから約60ka、約40kPaから約50ka、約50kPaから約90ka、約50kPaから約80ka、約0kPaから約70ka、約50kPaから約60ka、約60kPaから約90ka、約60kPaから約80ka、約60kPaから約70ka、約70kPaから約90ka、約70kPaから約80ka、または約80kPaから約90kaの剛性率により特徴付けられる。この態様において、積層体接着剤10bは、約10kPa、20kPg、25kPa、30kPg、35kPa、40kPg、45kPa、50kPg、55kPa、60kPg、65kPa、70kPg、75kPa、80kPg、85kPa、90kPg、95kPa、100kPaの剛性率、またはこれらの値の間の任意の剛性率値によって特徴付けられることがある。折り畳み式モジュール100bの態様は、本開示の一般分野による電子デバイス用途に典型的に用いられる少なくともいくつかの従来の接着剤の剛性率と比べて、比較的低い剛性率、例えば、約10kPaから約100kPaの剛性率を有する積層体接着剤10bを含む。比較的低い剛性率値を有するそのような接着剤10bを使用すると、予期せぬことに、第2の主面66から離れる方向に折り畳み式電子デバイスモジュール100bを曲げた際に−すなわち、第2の主面66が凸形状を示すようにモジュール100bを曲げることにより−パネル60の第1の主面64に観察される引張応力が著しく低下する。対照的に、同じ懸念に直面する分野の、本開示の恩恵のないものは、典型的に、モジュールのより大きい態様(すなわち、カバー要素50、パネル60、および積層体要素75)の材料特性と比べて、積層体接着剤10bの材料特性は、パネル60の第1の主面64での引張応力の大きさにそのような重要な役割を果たし得ることを認識しないであろう。また先に述べたように、この態様は、予期せぬことに、機械的信頼性を改善するために、デバイスモジュールに剛性の少ないまたは剛性率のより低い接着剤がしばしば含まれるのであれば、第1の主面54での引張応力の著しい減少を与える。
再び図2を参照すると、折り畳み式モジュール100bの特定の態様は、モジュール100b内に用いられる接着剤の内の1つ以上の剛性率を制御することによって、モジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することができる。例えば、比較的低い剛性率値(例えば、約0.01MPaから約0.1MPa)を有する積層体接着剤10bを使用すると、第1の主面54が、それぞれ、凹形状または凸形状を示すように上向きまたは下向き方向にモジュール100b全体を折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する全体の曲げ力を、予期せぬことに、低下させることができる。さらに、折り畳み式モジュール100bの他の態様は、第1の接着剤10aの剛性率および積層体接着剤10bの剛性率を制御する(例えば、両方の接着剤は、約0.01MPaから約0.1MPaの剛性率を有する)ことによって、モジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することができる。比較的低い弾性剛性率値を有する第1の接着剤10aおよび/または積層体接着剤10bの使用により、折り畳み式モジュール100bの特定の態様に関連するこれらの曲げ力の低下が、0.1MPaを超える剛性率を有する1つ以上の接着剤(例えば、接着剤10a、10b)を有する折り畳み式モジュール(例えば、折り畳み式モジュール100b)に対して得られる。
本開示の第2の態様の折り畳み式モジュール100b(図2参照)の他の実施によれば、積層体接着剤10bは、約5μmから約60μm、例えば、約5μmから約50μm、約5μmから約40μm、約5μmから約30μm、約5μmから約20μm、約5μmから約15μm、約5μmから約10μm、約10μmから約60μm、約15μmから約60μm、約20μmから約60μm、約30μmから約60μm、約40μmから約60μm、約50μmから約60μm、約55μmから約60μm、約10μmから約50μm、約10μmから約40μm、約10μmから約30μm、約10μmから約20μm、約10μmから約15μm、約20μmから約50μm、約30μmから約50μm、約40μmから約50μm、約20μmから約40μm、および約20μmから約30μmの厚さ12bにより特徴付けられる。他の実施の形態は、約5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μmの厚さ12b、またはこれらの厚さの値の間の任意の厚さにより特徴付けられる積層体接着剤10bを有する。1つの態様において、積層体接着剤10bの厚さ12bは約30μmから60μmである。比較的大きい厚さ値を有するそのような接着剤10bを使用すると、パネル60の第2の主面66から離れる方向に折り畳み式電子デバイスモジュール100bを曲げた際に、そのパネルの第1の主面64に観察される引張応力が著しく低下する。対照的に、同じ懸念に直面する分野の、本開示の恩恵のないものは、典型的に、モジュールの全厚と比べて、比較的薄い接着剤の厚さは、パネル60の第1の主面64での引張応力の大きさにそのような重大な役割を果たすことができると認識しなかったであろう。その上、接着剤10bの厚さ12bをさらに増加させると、そのパネル60の第1の主面64に観察される引張応力がさらに低下するであろうと考えられる一方で、厚さ12bは、積層体90bの全厚92bを最小にすることを目的とする用途の要件により制限され得る。
さらに図2を参照すると、折り畳み式モジュール100bの特定の態様は、第1の接着剤10aおよび/または積層体接着剤10bの厚さを制御することによりモジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することができる。より詳しくは、ある範囲の厚さ12a(例えば、約10μmから約40μm)を有する第1の接着剤10aおよび/またはある範囲の厚さ12b(例えば、約10μmから約40μm)を有する積層体接着剤10bを使用すると、第1の主面54が、それぞれ、凹形状または凸形状を示すように上向きまたは下向き方向にモジュール100b全体を折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する全体の曲げ力を低下させることができる。規定の範囲内の厚さの第1の接着剤10aおよび/または積層体接着剤10bの使用により、折り畳み式モジュール100bの特定の態様に関連するこれらの曲げ力の低下が、比較的小さい厚さ(例えば、10μm未満)または比較的大きい厚さ(例えば、40μm超)を有する、1つ以上の接着剤(例えば、第1の接着剤10aおよび/または積層体接着剤10b)を有する折り畳み式モジュール(例えば、折り畳み式モジュール100b)に対して得られる。
再び図2を参照すると、別の実施による折り畳み式電子デバイスモジュール100bは、そのモジュールが試験装置によって曲げ半径220まで内側に曲げられたときに、150ニュートン(N)以下の曲げ力(Fbend)により特徴付けることができ、その曲げ半径は、2つの試験プレート250の間の距離(D)の約半分である(図4Aおよび4B参照)。特定の実施において、その曲げ力は、そのモジュールを、約20mmから約3mmの半径(すなわち、約40から約6mmのプレート距離(D))、例えば、20mm、19.75mm、19.5mm、19.25mm、19mm、18.5mm、17.5mm、17mm、16.5mm、16mm、15.5mm、15mm、14.5mm、14mm、13.5mm、および13mm、12.5mm、12mm、11.5mm、11mm、10.5mm、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3.25mm、および3mmの半径に曲げた際に、約150N、140N、130N、120N、110N、100N、90N、80N、70N、60N、50N、40N、30N、20N、10N、5N以下、またはこれらの曲げ力上限の間の任意の量である。先に概説したように、これらの比較的低い曲げ力は、第1の接着剤10aおよび/または積層体接着剤10bの材料特性および/または厚さを調整することにより、折り畳み式電子デバイスモジュール100bに得ることができる。
図2に示された折り畳み式モジュール100bのいくつかの実施の形態において、積層体接着剤10bは、約0.1から約0.5、例えば、約0.1から約0.45、約0.1から約0.4、約0.1から約0.35、約0.1から約0.3、約0.1から約0.25、約0.1から約0.2、約0.1から約0.15、約0.2から約0.45、約0.2から約0.4、約0.2から約0.35、約0.2から約0.3、約0.2から約0.25、約0.25から約0.45、約0.25から約0.4、約0.25から約0.35、約0.25から約0.3、約0.3から約0.45、約0.3から約0.4、約0.3から約0.35、約0.35から約0.45、約0.35から約0.4、または約0.4から約0.45のポアソン比によりさらに特徴付けられる。他の実施の形態は、約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5のポアソン比、またはこれらの値の間の任意のポアソン比により特徴付けられる積層体接着剤10bを含む。1つの態様において、積層体接着剤10bのポアソン比は、約0.4から約0.5である。
先に概説したように、図2に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100bは、特定の材料特性(例えば、約10kPaから約100kPaの剛性率)を有する積層体接着剤10bを含み得る。モジュール100bにおける積層体接着剤10bとして使用できる例示の接着剤は、概して、第1の接着剤10aに適したものと同じまたは類似である。それゆえ、積層体接着剤10bとしては、OCA、エポキシ、および積層体要素75をパネル60の第1の主面64に接合するのに適した、当業者により理解されるような他の接合材料が挙げられる。モジュール100bのいくつかの態様において、積層体接着剤10bは、その材料特性が、折り畳み式電子デバイスモジュール100bの曲げによる摩擦によって生じるものを含む、用途環境における様々な温度および温度勾配に曝された際に、ほとんどまたは全く変化を受けないような高い耐熱性も有する。
再び図2を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100bのカバー要素50は、そのカバー要素の第1の主面54に直径1.5mmの炭化タングステン球で荷重を加えた場合、少なくとも1.5kgf(約14.7N)の穿刺抵抗によりさらに特徴付けられる。さらに、デバイスモジュール100bは、第1の主面54が圧縮状態にあるように、そのモジュールを二点構造で約20mmから約1mmの曲げ半径2(図4B参照)に曲げた際に、引張で1000MPa以下のカバー要素50の第2の主面56での接線応力により特徴付けられ、その曲げ半径はカバー要素50の第1の主面54の上方の中心点からパネル60の第2の主面66まで測定される(図4B参照)。折り畳み式電子デバイスモジュール100b(図2)に関連するこれらの性能特徴は、折り畳み式電子デバイスモジュール100a(図1)により示されるものに匹敵する。より詳しくは、カバー要素50の第2の主面56でのこれらの低下した引張応力レベルは、カバー要素内での屈曲結合残留応力領域の発生、第1の接着剤10aの材料特性(例えば、剛性率および/またはポアソン比)および/または第1の接着剤10aの厚さ12aの調整、および/または1つ以上の他の圧縮応力領域(すなわち、屈曲結合残留、CTEにより誘発した、および/またはイオン交換済みの圧縮応力領域)の存在により達成される。このように、本開示のいくつかの態様は、1つ以上の圧縮応力領域を発生させるための本発明の概念および工程条件の使用に加え、モジュール内でカバー要素に積層体を接合する接着剤の材料特性および/または厚さの制御により、特にカバー要素で、折り畳み式電子デバイスモジュールに改善された機械的信頼性を与える。
図3を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100cに、性能特徴(すなわち、高い穿刺抵抗およびカバー要素の第2の主面での最小の接線応力(引張))を含む、折り畳み式電子デバイスモジュール100b(図2参照)と共通する多くの特徴が設けられている。特に明記のない限り、モジュール100bおよび100cの間に共通するどの特徴も(すなわち、同じ要素番号を有する)、同じまたは同様の構造、特徴および性質を有する。図3に示されるように、モジュール100cは、約25μmから約200μmの厚さ52および約20GPaから約140GPaのカバー要素弾性率を有するカバー要素50も備えている。
図3に示されたモジュール100cは、約100μmから約600μmの厚さ92cを有する積層体90c;および積層体要素75cをカバー要素50の第2の主面56に接合するように構成された第1の接着剤10aをさらに備える。積層体90cは、第1と第2の主面64、66および約300MPaから約10GPaのパネル弾性率を有するパネル60をさらに備える。積層体90cは、パネル60またはタッチセンサ80(図3に概略示されるような)に結合された1つ以上の電子デバイス102(例えば、タッチセンサの電極列、並びに他の電子デバイスおよび電子デバイス構成部材)、および約1GPaから約5GPaの積層体要素弾性率を有する積層体要素75cも備え、その積層体要素は積層体接着剤10bによりパネル60に貼り付けられている。パネル60と、積層体要素75cと、電子デバイス102(図3に示されたタッチセンサ80に結合されたような)との間の関係が、図3に例示の概略形態で示されていることも理解すべきである。デバイスモジュール100cの用途に応じて、これらの要素は、互いに対して異なる向きを有してよい。例えば、パネル60は、電子デバイス102が2つのガラス層によりパネル60内に挟まれている、または高分子基板が、例えば、ガラス密封層により被包されている、LCDパネルまたはOLEDディスプレイであり得る。図2参照のこと。別の例(図3に示さたような)では、電子デバイス102は、パネル60と積層体接着剤10bの上にある積層体要素75c内のより高い垂直位置に位置し、センサ80に結合されたタッチセンサの態様(例えば、透明導電体、例えば、インジウムスズ酸化物における電子トレースライン、銀ナノワイヤなど)であり得る。モジュール100cの用途に応じて、いくつかの電子デバイス102を、パネル60およびタッチセンサ80に結合した他のものの上またはその内部に配置しても差し支えないことも考えられる。
図3に示されたモジュール100cのいくつかの態様において、積層体要素75cは、約1GPaから約5GPa、例えば、約1GPaから約4.5GPa、約1GPaから約4GPa、約1GPaから約3.5GPa、約1GPaから約3GPa、約1GPaから約2.5GPa、約1GPaから約2GPa、約1GPaから約1.5GPa、約1.5GPaから約4.5GPa、約1.5GPaから約4GPa、約1.5GPaから約3.5GPa、約1.5GPaから約3GPa、約1.5GPaから約2.5GPa、約1.5GPaから約2GPa、約2GPaから約4.5GPa、約2GPaから約4GPa、約2GPaから約3.5GPa、約2GPaから約3GPa、約2GPaから約2.5GPa、約2.5GPaから約4.5GPa、約2.5GPaから約4GPa、約2.5GPaから約3.5GPa、約2.5GPaから約3GPa、約3GPaから約4.5GPa、約3GPaから約4GPa、約3GPaから約3.5GPa、約3.5GPaから約4.5GPa、約3.5GPaから約4GPa、または約4GPaから約4.5GPaの積層体要素弾性率を示す。
図3に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100cにおいて、積層体要素75cは、タッチセンサ80、偏光子70、およびタッチセンサ80を偏光子70に接合する接着剤10cを含む。一般に、接着剤10cの組成および厚さは、第1の接着剤10aおよび積層体接着剤10bに用いられるものに匹敵する。接着剤10aおよび10bが異なる材料特性および/または厚さを有する限りにおいて、接着剤10cは、第1の接着剤10aまたは積層体接着剤10bの特性および/または厚さと一致するように選択することができる。
本開示のいくつかの実施の形態によれば、図3に示された折り畳み式電子デバイスモジュール100cは、モジュール100a(図1参照)および100b(図2参照)のように、カバー要素50の中央部分52l’内の50cおよび50tの組合せにより示される、屈曲結合残留応力領域を含み得る。先に述べたように、残留応力領域50c、50tは、中心曲げ軸210で、第2の主面56での最大圧縮応力から第1の主面54での最大引張残留応力に及ぶ、中央部分52l’内のカバー要素50の厚さ52を通じて存在する。特定の態様において、その屈曲結合残留応力領域は、厚さ52cを有する圧縮残留応力領域成分50cおよび厚さ52tを有する引張残留応力領域成分50tにより特徴付けることができる。これも図3に示されるように、モジュール100cは、約25μmから約200μmの厚さおよび約20GPaから約140GPaのカバー要素弾性率を有するカバー要素50を備える。カバー要素50は、ガラス組成、第1の主面54、および第2の主面56を有するガラス組成物または構成部材をさらに備える。中央部分52l’内に屈曲結合残留応力領域50c、50tを有する折り畳み式モジュール100cのいくつかの実施の形態において、中心曲げ軸210でのカバー要素50の第2の主面56での最大圧縮残留応力は、300MPaまで、275MPaまで、250MPaまで、225MPaまで、200MPaまで、175MPaまで、150MPaまで、125MPaまで、100MPaまで、75Mpaまで、50MPaまで、40MPaまで、30MPaまで、20MPaまで、または10MPaまで、および(中心曲げ軸210での)そのカバー要素50の第2の主面56でのこれらの最大圧縮残留応力レベルの間の全ての値に到達し得る。
さらに図3を参照すると、折り畳み式モジュール100cの特定の態様は、モジュール100c内に用いられる接着剤の1つ以上の剛性率を制御することによって、モジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することもできる。より詳しくは、比較的低い剛性率値(例えば、0.01MPaから0.1MPa)を有する第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび/または接着剤10cを使用すると、第1の主面54が、それぞれ、凹形状または凸形状を示すように上向きまたは下向き方向にモジュール100c全体を折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する全体の曲げ力を、予期せぬことに、低下させることができる。対照的に、同じ懸念に直面する分野の、本開示の恩恵のないものは、典型的に、モジュールの他のずっと大きい態様の剛性率と比べて、比較的薄い接着剤の剛性率は、そのモジュールを上向きまたは下向き方向に折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する曲げ力の大きさにそのような重大な役割を果たすことができると認識しなかったであろう。比較的低い弾性剛性率値を有する第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび/または接着剤10cの使用により、折り畳み式モジュール100cの特定の態様に関連するこれらの曲げ力の低下が、0.1MPaを超える剛性率を有する、1つ以上の接着剤(例えば、接着剤10a、10bおよび10c)を有する折り畳み式モジュール(例えば、折り畳み式モジュール100c)に対して得られる。さらに、折り畳み式モジュール100cの特定の態様は、第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび/または接着剤10cの厚さを制御することによって、モジュール全体の曲げに関連する曲げ力を最小にするように構成することもできる。より詳しくは、ある範囲の厚さ12a(例えば、約10μmから約40μm)、ある範囲の厚さ12b(例えば、約10μmから約40μm)を有する積層体接着剤10bおよび/またはある範囲の厚さ(例えば、約10μmから40μm)を有する接着剤10cを使用すると、第1の主面54が、それぞれ、凹形状または凸形状を示すように上向きまたは下向き方向にモジュール100c全体を折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する全体の曲げ力を低下させることができる。対照的に、同じ懸念に直面する分野の、本開示の恩恵のないものは、典型的に、モジュールの全厚と比べて、比較的薄い接着剤の厚さは、そのモジュールを上向きまたは下向き方向に折り畳むまたは別なふうに曲げるのに要する曲げ力の大きさにそのような重大な役割を果たすことができると認識しなかったであろう。規定の範囲内の厚さの第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび/または接着剤10cの使用により、折り畳み式モジュール100cの特定の態様に関連するこれらの曲げ力の低下が、比較的小さい厚さ(例えば、10μm未満)または比較的大きい厚さ(例えば、40μm超)を有する、1つ以上の接着剤(例えば、第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび/または接着剤10c)を有する折り畳み式モジュール(例えば、折り畳み式モジュール100c)に対して得られる。
再び図3を参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100cは、そのモジュールが試験装置によって曲げ半径220まで内側に曲げられたときに、150ニュートン(N)以下の曲げ力(Fbend)により特徴付けることができ、その曲げ半径は、2つの試験プレート250の間の距離(D)の約半分である(図4Aおよび4B参照)。特定の実施において、その曲げ力は、そのモジュールを、約20mmから約3mmの半径(すなわち、約40から約6mmのプレート距離(D))、例えば、20mm、19.75mm、19.5mm、19.25mm、19mm、18.5mm、17.5mm、17mm、16.5mm、16mm、15.5mm、15mm、14.5mm、14mm、13.5mm、および13mm、12.5mm、12mm、11.5mm、11mm、10.5mm、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3.25mm、または3mmの半径に曲げた際に、約150N、140N、130N、120N、110N、100N、90N、80N、70N、60N、50N、40N、30N、20N、10N、5N以下、またはこれらの曲げ力上限の間の任意の量である。先に概説したように、これらの比較的低い曲げ力は、第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび/または接着剤10cの材料特性および/または厚さを調整することにより、折り畳み式電子デバイスモジュール100cに得ることができる。
これも図3に示されるように、3つの接着剤および多層を含有する折り畳み式電子デバイスモジュール100cは、折り畳み式モジュール100aおよび100b(図1および2参照)により示されるものに匹敵する性能特徴を示す。特に、カバー要素50の第2の主面56での低下した引張応力レベルは、そのカバー要素内の屈曲結合残留応力領域の発生、第1の接着剤10aの材料特性(例えば、剛性率および/またはポアソン比)および/または第1の接着剤10aの厚さ12a(図2参照)の調整および/または1つ以上の他の圧縮応力領域(すなわち、屈曲結合残留、CTEにより誘発した、および/またはイオン交換済みの圧縮応力領域)の存在により達成される。一般に、本開示は、1つ以上の圧縮応力領域を発生させるための本発明の概念および工程条件の使用に加え、モジュール内でカバー要素に積層体を接合する接着剤の材料特性および/または厚さの制御により、特にカバー要素で、折り畳み式電子デバイスモジュール100cに改善された機械的信頼性を与える。折り畳み式電子デバイスモジュール100cは、パネル60を積層体要素75cに接合する積層体接着剤10bの材料特性および/または厚さの制御により、そのパネルの第1の主面64で低い引張応力を示す高い機械的信頼性も示す。
図4Aおよび4Bを参照すると、折り畳み式電子デバイスモジュール100a〜c(図1〜3参照)が、本開示の態様による二点試験装置200内で、それぞれ、曲がっていない(または実質的に曲がっていない)形態と曲げられた形態で示されている。折り畳み式電子デバイスモジュール100a〜cに関連する特徴の内のいくつかは、明白にする目的のために、図4Aおよび4Bに示されていないことを理解すべきである。
図4Aにおいて、モジュール100a〜cは、二点試験装置200内で、曲がっていない形態で示されている(試験装置200を示す図4B参照)。2つの垂直なプレート250が、一定力Fbendで、曲げ試験中にモジュール100a、100bまたは100cに内側に押し付けられる。試験装置200に関する固定具(図示せず)により、Fbend力がプレート250によりモジュールに印加されるときに、モジュールが概して中心曲げ軸210の周りに上向き方向に曲げられることが確実になる。例えば、カバー要素50およびパネル60のみが示されているが、そのモジュールは、実際には、100a、100bおよび100cのモジュールにおけるようにそれらの間に他の要素を含むことができる。
図4Bを参照すると、プレート250が、特定の曲げ半径220が達成されるまで、互いに一致して動かされる。一般に、曲げ半径220は、プレート250の間の距離Dの約半分である。先に概説したように、折り畳み式電子デバイスモジュール100a〜cは、第1の主面54が圧縮状態にある(すなわち、点「C」で)ように、そのモジュールを二点装置200内で約20mmから約1mmの中心曲げ軸210の周りの曲げ半径220に曲げた際に、引張で(すなわち、点「T」で)1000MPa以下の、カバー要素50の第2の主面56(図1〜3参照)での接線応力により特徴付けられる。図4Bに示されるように、曲げ半径220は、カバー要素50の第1の主面54の上方の中心点からパネル60の第2の主面66まで測定される。この中心点は、モジュール100a〜cに関連する中心曲げ軸210上に位置している。特定の実施において、カバー要素50の第2の主面56(図1〜3参照)での接線応力(引張)は、約1000MPa、950MPa、925MPa、900MPa、875MPa、850MPa、825MPa、800MPa、775MPa、750MPa、725MPa、700MPa以下、またはこれらの接線応力の限界(引張)の間の任意の量である。さらに、本開示の他の実施において、モジュール100a、100bおよび100cは、そのモジュールが、プレート250を用いた試験装置200(図4Aおよび4B参照)によって内側に曲げられたときに、150ニュートン(N)以下の曲げ力(Fbend)により特徴付けることができる。特定の実施において、その曲げ力は、そのモジュールを、約20mmから約3mmの半径(すなわち、約40から約6mmのプレート距離(D))に曲げた際に、約150N、140N、130N、120N、110N、100N、90N、80N、70N、60N、50N、40N、30N、20N、10N、5N以下、またはこれらの曲げ力上限の間の任意の量である。
図5を参照すると、カバー要素50(例えば、折り畳み式モジュール100a〜cに用いられるような)中の屈曲結合残留応力領域の発生が示されている。図5の左手部分に示されるように、カバー要素50は、積層モジュール(図5において「曲げ、次いで結合」工程の前に示されるような)を画成するように、間に第1の接着剤10aを介して積層体90a、90b、90c(例えば、折り畳み式モジュール100a〜cに用いられるような)に隣接して配置されている。この段階で、積層モジュール内の接着剤10aは、積層体90およびカバー要素50が曲げられ、それらが互いに対して摺動できるように、まだ硬化されていない。カバー要素50は、約25μmから約200μmの厚さ52(図示せず)、約20GPaから約140GPaのカバー要素弾性率、ガラス組成、および第1と第2の主面54、56により特徴付けられる。その積層体は、約50μmから約600μmの厚さ92a、92b、92c(図1〜3参照)により特徴付けられ、第1と第2の主面64、66および約300MPaと約10GPaの間のパネル弾性率を有するパネル60(図1〜3参照)を備える。本開示の特定の態様において、厚さ92a、92b、92cは、約10μmと同じ位小さくて差し支えないことに留意のこと。第1の接着剤10aは、約0.01MPaと約1GPaの間の剛性率および少なくとも80℃のガラス転移温度により特徴付けられる。屈曲結合残留応力領域50c、50tを発生させる方法は、積層モジュールを屈曲半径Rflexに曲げて、屈曲モジュール(図5における「曲げ、次いで結合」矢印と「解放」矢印の間を参照)を画成する工程も含む。図5に示されるように、Rflexは、積層体90a、90b、90cの上方からカバー要素50の第1の主面54まで測定される。屈曲結合方法は、次に、屈曲半径Rflexで屈曲モジュール内の第1の接着剤10aを硬化させて、屈曲結合モジュールを画成する工程を含む。すなわち、第1の接着剤10aは、そのモジュールが屈曲半径Rflexで屈曲位置にある間に硬化させられる。この屈曲結合方法における次の工程は、屈曲結合モジュールを曲がっていない形態(または実質的に曲がっていない形態)に戻して、中央部分52l’(「解放」矢印の後の図5を参照)に亘るカバー要素50内に屈曲結合残留応力領域50c、50tを有する折り畳み式電子デバイスモジュール100a〜100cを提供することである。
再び図5を参照すると、カバー要素50における応力状態は、屈曲結合残留応力領域を発生させる方法中にも示されている(図5の右手部分)。屈曲結合方法の簡潔さと説明のために、カバー要素50は、どのような追加の圧縮応力領域(例えば、イオン交換済み圧縮応力領域、CTEにより誘発した圧縮応力領域など)がない状態で、図5に示されている。図5に示された「曲げ、次いで結合」工程の前の方法の部分の最中に、積層モジュールのカバー要素50は、実質的に無の圧縮または引張応力により特徴付けられる。この工程後、カバー要素50に、「曲げ」工程および「硬化」工程が施される。これらの工程中、カバー要素50は、カバー要素50の中央部分52l’内において、中心曲げ軸210で、第1の主面54での最大引張応力(正の応力として示される)から第2の主面56での最大圧縮応力(負の応力として示される)までに及ぶ比較的均一な応力状態(非残留)により特徴付けられる。多くの実施の形態において、屈曲結合残留応力領域における残留応力は、中心曲げ軸210から離れたカバー要素の厚さを通じるが、中央部分52l’内で主に圧縮であることを留意のこと。これも図5の右手側に示されるように、カバー要素50内の応力状態は、中心曲げ軸210で、カバー要素50の厚さ52の中点当たりでは、実質的に無の圧縮または引張応力が存在するようなものである。最終的に、カバー要素50における残留応力状態は、折り畳み式モジュールが、曲がっていない形態または実質的に曲がっていない形態に戻されるまたは別なふうに解放された後に存在するときのものが、図5に示されている(右手側、最も下の図)。屈曲結合方法のこの時点で、屈曲結合残留応力領域50c、50tが、カバー要素50の中央部分52l’内に発生している。詳しくは、その屈曲結合残留応力領域は、厚さ52cの圧縮残留応力成分50cおよび厚さ52tの圧縮残留応力領域50tを含む。接着剤により配置されている間のモジュールの屈曲の性質を考えると、屈曲後に硬化させ、次に曲がっていない形態に戻されると、得られた屈曲結合残留応力領域は、中央部分52l’内においてカバー要素50の厚さ内で非対称であり得る。したがって、カバー要素50内のゼロ応力の地点は、一般に、中央部分52l’内のカバー要素の厚さ52の中点にはない。
いくつかの実施の形態において、前記屈曲結合方法は、折り畳み式電子デバイスモジュール(例えば、モジュール100a〜c)が屈曲結合残留応力領域を含むように行われる。先に述べたように、屈曲結合残留応力領域50c、50tは、中央部分52l’内でカバー要素50の厚さ52を通じ、中心曲げ軸210で、第2の主面56での最大圧縮残留応力から第1の主面54での最大引張残留応力までに及ぶ。特定の実施の形態において、Rflexは、約5mmから約50mm、約5mmから約40mm、約5mmから約30mm、約5mmから約20mm、約5mmから約10mm、約10mmから約50mm、約10mmから約40mm、約10mmから約30mm、約10mmから約20mm、約20mmから約50mm、約20mmから約40mm、約20mmから約30mm、約30mmから約50mm、約30mmから約40mm、または約40mmから約50mmの範囲内で、貼り付けられたモジュール(例えば、第1の接着剤10aにより積層されているが、接着剤10aが硬化される前の)を曲げる工程において選択される。
前記方法のいくつかのさらなる実施の形態によれば、中心曲げ軸210での中央部分52l’内でのカバー要素50の第2の主面56での最大圧縮残留応力が、300MPaに、275MPaに、250MPaに、225MPaに、200MPaに、175MPaに、150MPaに、125MPaに、100MPaに、75MPaに、50MPaに、40MPaに、30MPaに、20MPaに、10MPaに、およびカバー要素の第2の主面でのこれらの最大圧縮残留応力レベルの間の全ての値に到達できるように、硬化工程後であって、モジュール100c〜100cを曲がっていない形態または実質的に曲がっていない形態に戻された際に、そのモジュールに屈曲結合残留応力領域50c、50tが形成される。この屈曲結合残留応力領域は、中央部分52l’内でカバー要素50の厚さ52を通じて変動する残留応力によって特徴付けることができる。特定の態様において、その残留応力は、そのカバー要素の厚さを通じて、実質的に線形関数で、例えば、中心曲げ軸210で、カバー要素の第2の主面56での最大圧縮残留応力から、第1の主面54での最大引張残留応力まで、連続的に変動する(例えば、図5参照)。
図5A(左手部分)を参照すると、異なるガラス転移温度(Tg)、Tg1およびTg2(それぞれ、図5Aの左手のプロットにおける実線と点線)を有する2つの接着剤(例えば、折り畳み式モジュール100a、100b、100cにおける第1の接着剤10aの候補)に関する温度(X軸)の関数としての剛性率(Y軸)を示す概略プロットが示されている。さらに、任意の折り畳み式モジュールの動作温度が「Top」で図5に示されている。図5Aのこの部分により明白になるように、より低いガラス転移温度(Tg1)を有する接着剤は、動作温度(Top)より高いガラス転移温度(Tg2)を有する接着剤の剛性率(Gnom)と比べて、動作温度(Top)でより低い剛性率(Greduced)を示す。さらに、Tg1を有する接着剤の剛性率は、動作温度(Top)より高い周囲温度での公称剛性率(Gnom)より低い。折り畳み式モジュールの動作温度に暴露された際の接着剤の剛性率の著しい低下は、カバー要素内に応力緩和をもたらし、屈曲結合残留応力領域内の残留応力の大きさを効果的に減少させる(または屈曲結合残留応力領域の完全な消失をもたらす)ことがある。
図5A(右手部分)を参照すると、ガラス転移温度が異なる2つの接着剤(例えば、折り畳み式モジュール100a、100b、100cにおける第1の接着剤10aの候補)に関する動作温度での時間(X軸)の関数としての折り畳み式モジュールの残留応力(Y軸)を示す概略プロットが示されている。詳しくは、それらの接着剤の一方は、動作温度より低いガラス転移温度(Tg<Toperating)により特徴付けられ、他方の接着剤は、動作温度より高いガラス転移温度(Tg>Toperating)により特徴付けられる。図5Aの右手部分が示すように、より低いガラス転移温度を有するモジュールにおける残留応力は、接着剤中の応力緩和のために、動作温度がガラス転移を超える(Tg<Toperating)期間の後に低下する。反対に、より高いガラス転移温度を有するモジュールにおける残留応力は、動作温度がガラス転移温度を超えない(Tg>Toperating)期間の後に一定のままである。その結果、図5Aの左手と右手の部分は、屈曲結合残留応力領域の発生と維持の有益な態様を示す。具体的には、モジュールに用いられる接着剤(例えば、第1の接着剤10a)は、比較的高いガラス転移温度、好ましくは、屈曲結合残留応力領域を有するカバー要素を使用する折り畳み式モジュールの予測動作温度より高いガラス転移温度を有するものを選択すべきである。
ここで図5Bを参照すると、中心曲げ軸210で屈曲結合残留応力領域に発生した最大圧縮残留応力に対する屈曲半径Rflexの影響が、略式形態で示されている。詳しくは、図5Bは、屈曲結合過程中に用いられる屈曲半径(mm)Rflexの関数としての折り畳み式モジュールのカバー要素内に発生した最大残留圧縮応力(MPa)の略式プロットを与える。図5Bから明らかなように、貼り付けられたモジュールを約30mmの曲げ半径Rflexに屈曲し、その後、そのモジュールを硬化させ、曲がっていない形態に戻すことにより、中心曲げ軸210でのカバー要素50の第2の主面56で約75MPaの最大圧縮応力を有する屈曲結合残留応力領域が生じる。これも図5Bから明らかなように、貼り付けられたモジュールを約10mmのよりきつい曲げ半径Rflexに屈曲し、その後、そのモジュールを硬化させ、曲がっていない形態に戻すことにより、中心曲げ軸210でのカバー要素50の第2の主面56で約210MPaの最大圧縮応力を有する屈曲結合残留応力領域が生じる。このように、貼り付けられたモジュール(例えば、第1の接着剤10aにより積層されているが、接着剤10aが硬化される前の)を、10mmに近いか、またはそれより小さいきつい曲げ半径に屈曲させることによって、カバー要素50の第2の主面56で発生した残留圧縮応力の量を、中心曲げ軸210で200MPaを超えるレベルまで著しく増加させることができる。先に概説したように、これらの残留圧縮応力レベルは、ほぼ中心曲げ軸210の周りで、モジュールをカバー要素の第2の主面から離れるように曲げる際に、同じ位置での引張応力を相殺する働きをすることができる。
ここで、図5Cに移ると、折り畳み式モジュールのカバー要素に発生した最大残留圧縮応力(MPa)の略式プロットが、それぞれ、1MPaおよび10kPa(0.01MPa)の一定の剛性率(G)を示す2種類の接着剤に関する、第1の接着剤の全体の曲げ弾性率に対応する係数Dの関数として与えられている。図5Cにおいて、曲げ弾性率係数Dは、E×t3/(1−ν2)と等しく、式中、E、tおよびνは、それぞれ、接着剤の各々の材料特性の弾性率、厚さおよびポアソン比である。図5Cが概略示すように、剛性率を一定に保持しつつ、所定の接着剤の曲げ弾性率係数(D)を減少させると、中心曲げ軸210での屈曲結合残留応力領域内のカバー要素の第2の主面での最大残留圧縮応力の量が増加する傾向にある。具体的に、曲げ弾性率係数(D)は、接着剤の厚さを減少させることおよび/または接着剤のポアソン比を増加させることの任意の組合せによって減少させることができる。これも図5Cが示すように、剛性率(G)がより高い接着剤を選択することにより、カバー要素の第2の主面での屈曲結合残留応力領域における最大残留圧縮応力の量を著しく増加させることができる。図5Cは、接着剤における剛性率の低下に関連する、図5Aの左手側に示されたのと同じ影響を強調もしている。すなわち、接着剤(すなわち、カバー要素と積層体との間に接合されたような)を使用する折り畳み式モジュールの予測動作温度より低い、比較的低いガラス転移温度を有する接着剤を使用することによる応力緩和で剛性率(G)が低下すると、中心曲げ軸210でカバー要素の第2の主面での屈曲結合残留応力領域内の最大残留圧縮応力が著しく減少し得る。
折り畳み式モジュール100a、100bおよび100cに形状が相当する折り畳み式モジュールを入念に研究し、解析することにより、モジュール内に用いた接着剤の材料特性および/または厚さを制御することの重大性の理解も深めた。これらの研究は、一方の層がカバー要素に対応し、他方の層が積層体(例えば、パネル、電子デバイスおよび他の構成部材を含むと想定される)に対応する、従来の複合梁理論および方程式に基づく単純な二層モデルの作成を含んだ。それに加え、より高度な非線形有限要素解析(「FEA」)モデル(すなわち、従来のFEAソフトウェアパッケージを利用する)が、本開示の態様に寄与した。具体的に、FEAモデルを使用して、カバー要素の凝集破壊、剥離効果、および折り畳み式モジュール内の潜在的な座屈問題をもたらし得る応力を同時評価した。
これらの非線形FEAモデルの出力に、図6A、6Bおよび7に示されたプロットが含まれた。これらの図面の各々は、本開示に含まれるモジュール、例えば、モジュール100a〜cに設計が相当する折り畳み式電子デバイスモジュールの厚さを通る深さ(mm、Y軸)の関数としての予測接線応力(MPa、X軸)のプロットを含む。図が示すように、ゼロ深さはカバー要素50の第1の主面であり、深さの数は、カバー要素および積層体を通じて減少する。その折り畳み式電子デバイスモジュールを、EFAモデル内で3mmの曲げ半径(例えば、図4Bに示されるような、曲げ半径220)に施した。下記の表1に、それらの各々に関する想定される材料特性を含む、FEAモデルに用いた要素のリストが与えられている。さらに、FEAモデルを、以下の追加の想定で行った:(a)モジュール全体が、非線形幾何学的応答を有すると想定した;(b)接着剤が、非圧縮性超弾性材料であると想定した;(c)モデルにおけるカバー要素および他の非接着剤特徴が、弾性材料特性を有すると想定した;そして(d)曲げは室温で行った。
図6Aを参照すると、3種類の折り畳み式電子デバイスモジュールの厚さを通る深さの関数としての予測接線応力のプロットが与えられている。このプロットにおいて、3種類の曲げられるモジュールの各々は、それぞれ、10kPa、100kPaおよび1000kPaの異なる剛性率を有する、カバー要素を積層体に、積層体をパネルに接合するように構成された接着剤(例えば、図3に示された曲げられるモジュール100cに用いられる第1の接着剤10aおよび積層体接着剤10bに相当する)を含む。具体的に、所定のモジュールに用いた接着剤の各々が、10kPa、100kPaまたは1000kPaの同じ剛性率を有すると想定した。プロットにより明白になるように、カバー要素と第1の接着剤の間の界面(例えば、カバー要素50の第2の主面56)で観察された接線応力は、モジュールに含まれる接着剤の剛性率が10kPaから1000kPaに増加することによって、約400MPa(引張)だけ減少する。すなわち、図6Aは、所定の曲げられる電子デバイスモジュール内の接着剤の全ての剛性率を増加させると、カバー要素の第2の主面での引張応力を都合よく減少させることができることを示す。
またもや図6Aを参照すると、パネルと、そのパネルを積層体要素に接合する接着剤(例えば、図3に示された折り畳み式モジュール100cに用いられる積層体接着剤10b)との間の界面で観察される引張応力は、モジュールに含まれる接着剤の剛性率を1000kPaから10kPaに減少させると、約200MPaだけ減少する。すなわち、図6Aは、所定の曲げられる電子デバイスモジュール内の接着剤の全ての剛性率を減少させると、そのデバイスモジュール内に用いられるパネルの第1の主面での引張応力を都合よく減少させることができることを示す。
図6Bを参照すると、2種類の折り畳み式電子デバイスモジュールの厚さを通る深さの関数としての予測接線応力のプロットが与えられている。このプロットにおいて、その曲げられるモジュールの各々は、10kPaの剛性率を有する、カバー要素を積層体に、積層体をパネルに接合するように構成された接着剤(例えば、図3に示された曲げられるモジュール100cに用いられる第1の接着剤10aおよび積層体接着剤10bに相当する)を含む。これらのモジュールの内の一方において、そのモジュールに用いられる接着剤の各々の厚さを10μmに設定した。他方のモジュールにおいて、そのモジュールに用いられる接着剤の各々の厚さを36μmに設定した。プロットにより明白になるように、カバー要素と第1の接着剤の間の界面(例えば、カバー要素50の第2の主面56)で観察された引張応力は、モジュールに含まれる接着剤の厚さを36μmから10μmに減少させることにより、約80MPaだけ減少する。すなわち、図6Bは、所定の曲げられる電子デバイスモジュール内の接着剤の全ての厚さを減少させると、カバー要素の第2の主面での引張応力を都合よく減少させることができることを示す。
図7を参照すると、3種類の折り畳み式電子デバイスモジュールの厚さを通る深さの関数としての予測接線応力のプロットが与えられている。このプロットにおいて、「ケース(1)」は、接着剤の全てが10kPaの剛性率を示し、36μmの厚さを有する、曲げられるモジュールに対応する。「ケース(2)」は、カバー要素に隣接した接着剤の剛性率を1000kPaに増加させたことを除いて、ケース(1)と同じ構成の曲げられるモジュールに対応する。「ケース(3)」は、カバー要素に隣接した接着剤の厚さが12μmに減少していることを除いて、ケース(2)と同じ構成の曲げられるモジュールに対応する。プロットにより明白になるように、カバー要素と第1の接着剤の間の界面(例えば、カバー要素50の第2の主面56)で観察された引張応力は、カバー要素に隣接する第1の接着剤の剛性率が10kPaから1000kPaに(すなわち、ケース(1)からケース(2)に)増加することによって、約240MPaだけ減少する。さらに、カバー要素に隣接する第1の接着剤の厚さが36μmから12μmに(すなわち、ケース(2)からケース(3)に)減少することにより、引張応力にさらに48MPaの減少が観察される。すなわち、図7は、所定の曲げられる電子デバイスモジュール内の、カバー要素を積層体に接合する接着剤の厚さを減少させ、剛性率を増加させると、カバー要素の第2の主面での引張応力を都合よく減少させることができることを示す。
図8を参照すると、モジュール100cに対応する配置で構成された3種類の折り畳み式電子デバイスモジュールに関する、接着剤の厚さ(μm)の関数としての予測曲げ力(N)の略式プロットが与えられている。より詳しくは、3種類のモジュールの各々は、3つの接着剤(例えば、第1の接着剤10a、積層体接着剤10b、および接着剤10c)で構成されている。さらに、これらのモジュールの各々における3つの接着剤の全ては、単一の固有の剛性率を有する;したがって、第1のモジュールにおける接着剤は、「EPSA 1」の剛性率を有し、第2のモジュールにおける接着剤は、「EPSA 2」の剛性率を有し、第3のモジュールにおける接着剤は、「EPSA 3」の剛性率を有する。図8に示されるように、EPSA 1>EPSA 2>EPSA 3。これらの折り畳み式電子デバイスモジュールに用いられる接着剤の剛性率を低下させると、これらのモジュールを折り畳むまたは別なふうに曲げる(例えば、図4Aおよび4Bに示された二点試験構成におけるような)のに要する曲げ力が著しく減少することが図8から明白である。厚さの特定の範囲で、すなわち、「tPSA 1」と「tPSA 2」の間で、これらの電子デバイスモジュールについて、曲げ力(N)の適切な低下が生じることも図8から明白である。これらの電子デバイスモジュールのいくつかの態様は、図8に示されるように、それぞれ、tPSA 1およびtPSA 2の厚さに対応する、約10μmから約30μmの厚さ範囲において最低の曲げ力を示す。対照的に、tPSA 2より大きい接着剤の厚さ(μm)およびtPSA 1より小さい厚さは、曲げ力を増加させる傾向にある。
図9Aを参照すると、図6Aに示された折り畳み式電子デバイスモジュールについて、二点試験装置におけるプレート距離D(mm)の関数としての予測曲げ力Fbend(N)のプロットが与えられている。すなわち、図9Aに示された3種類の曲げられるモジュールの各々は、それぞれ、10kPa、100kPaおよび1000kPaの異なる剛性率を有する、カバー要素を積層体に、積層体をパネルに接合するように構成された接着剤(例えば、図3に示された曲げられるモジュール100cに用いられる第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび接着剤10cに相当する)を含む。具体的に、所定のモジュールに用いた接着剤の各々が、10kPa、100kPaまたは1000kPaのいずれかの、同じ剛性率を有すると想定した。図9Aに示されるように、プレート距離の関数としてのモジュールの曲げ力は、そのモジュール内に用いられる接着剤の剛性率に敏感である。例えば、6mmのプレート距離(すなわち、約3mmの曲げ半径)で、1000kPaの剛性率を示す接着剤を有するデバイスモジュールは、約140Nの曲げ力を経験し、10kPaの剛性率を示す接着剤を有するデバイスモジュールは、約30Nの曲げ力を経験した。したがって、折り畳み式電子デバイスモジュールは、比較的低い剛性率を有する接着剤を利用することによって、曲げ力を低下させるように設計することができる。しかしながら、モジュールの用途に応じて、接着剤の剛性率の制御による曲げ力のどのような低下も、図6Aに関して先に概説したように、モジュール内の接着剤の剛性率を増加させることにより得られる、カバー要素と第1の接着剤との間の接線応力の減少に鑑みて、相殺しても、または別なふうに釣り合わせても差し支えない。
図9Bを参照すると、図6Bに示された2種類の折り畳み式電子デバイスモジュールについて、二点試験装置におけるプレート距離D(mm)の関数としての予測曲げ力Fbend(N)のプロットが与えられている。すなわち、曲げられるモジュールの各々は、10kPaの剛性率を有する、カバー要素を積層体に、積層体をパネルに接合するように構成された接着剤(例えば、図3に示された曲げられるモジュール100cに用いられる第1の接着剤10a、積層体接着剤10bおよび接着剤10cに相当する)を含む。これらのモジュールの内の一方において、そのモジュールに用いられる接着剤の各々の厚さを10μmに設定した。他方のモジュールにおいて、そのモジュールに用いられる接着剤の各々の厚さを36μmに設定した。図9Bに示されるように、プレート距離の関数としてのモジュールの曲げ力は、厚さが約10μmと約36μmの間にある場合、モジュール内に用いられる接着剤の厚さにかなり鈍感である。例えば、6mmのプレート距離(すなわち、約3mmの曲げ半径)で、両方のデバイスモジュールは、約35Nと約40Nの間の、ほぼ同じ曲げ力を経験した。それにもかかわらず、36μmをかなり上回る接着剤の厚さレベルおよび10μmを下回る厚さレベルが、モジュールが経験する曲げ力の量の増加をもたらし得ることも図8から明白である。
図9Cを参照すると、図7に示された3種類の折り畳み式電子デバイスモジュールに関する二点試験装置におけるプレート距離D(mm)の関数としての予測曲げ力Fbend(N)のプロットが与えられている。先に述べたように、「ケース(1)」は、接着剤の全てが10kPaの剛性率を示し、36μmの厚さを有する、曲げられるモジュールに対応する。「ケース(2)」は、カバー要素に隣接した接着剤の剛性率を1000kPaに増加させたことを除いて、ケース(1)と同じ構成の曲げられるモジュールに対応する。それゆえ、ケース(2)において、カバー要素に隣接していない、モジュール内の他の接着剤の剛性率値は、10kPaに設定されている。「ケース(3)」は、カバー要素に隣接した接着剤の厚さが12μmに減少していることを除いて、ケース(2)と同じ構成の曲げられるモジュールに対応する。すなわち、ケース(3)において、カバー要素に隣接していない、モジュール内の他の接着剤の厚さは36μmに設定されており、剛性率は10kPaであるのに対し、カバー要素に隣接した接着剤は、1000kPaの剛性率、および12μmの厚さを有した。
図9Cに示されるように、6mmのプレート距離での曲げ力は、ケース(1)について、約40Nで最小であり、これは、その接着剤の全てが36μmの厚さおよび10kPaの剛性率を有する電子デバイスモジュールに対応する。しかしながら、ケース(3)の条件について、第1の接着剤の厚さおよび剛性率を、それぞれ、12μmおよび1000kPaに調節することによって(すなわち、モジュール内の他の接着剤の剛性率または厚さにどのような変更も行わずに)、約40Nの曲げ力の控えめな増加が実現される。曲げ力における約40Nの控えめな増加に関するケース(3)の条件が、図9Aに示されるようなモジュール内の接着剤の全ての剛性率の増加により生じる曲げ力のほぼ110Nの増加と対照をなす。さらに、図7において先に示したように、ケース(3)の条件は、ガラスカバー要素と第1の接着剤との間の接線応力の288MPaの減少を与える上で特に都合よい。それゆえ、第1の接着剤、すなわち、ガラスカバー要素に隣接した接着剤の剛性率を増加させ、厚さを減少させることによって、モジュールにおいて、曲げ力を控えめに増加させるだけで、接線応力の著しい減少を実現させることができる。
都合よくは、本開示における折り畳み式電子デバイスモジュールは、高い機械的信頼性および穿刺抵抗のために構成し、加工される。詳しくは、これらの折り畳み式モジュールは、圧縮応力領域(すなわち、屈曲結合残留応力領域、イオン交換済み圧縮応力領域、およびCTEにより誘発した圧縮応力領域の内の1つ以上を含む)の発生、モジュールに用いられる接着剤の材料特性および/または厚さの制御により、カバー要素および/またはパネルの主面での減少した接線応力(引張)を示す。特に、カバー要素を含むモジュールの用途に関連する曲げおよび屈曲の最中に高い引張応力を経験するカバー要素の表面および特定の位置で、これらのより低い引張応力は、モジュールに関するより良好な信頼性および/またはより小さい曲げ半径の能力になる。さらに、これらのより低い引張応力は、これらの折り畳み式モジュールを用いる電子デバイスの改善された設計余裕を提供できる。本開示の様々な態様に関連する折り畳み式モジュールにおける引張応力の低下に鑑みて、カバー要素において高い残留圧縮応力を生じる圧縮応力領域および/または他の強度強化手段は、特定の場合に低下させても差し支えない。したがって、カバー要素に関連する圧縮応力領域関連の加工費用は、本開示に述べられた概念の内のいくつかに鑑みて、減少させることができる。さらに、引張応力の低下に関してこれらの曲げられるモジュールにおける第1の接着剤の厚さを減少させる有益な効果は、そのモジュールの厚さの全体的な減少をさらに提供することができる。そのようなモジュールの厚さの減少は、薄型のこれらのモジュールに関する多くの最終製品用途にとって都合よいことがある。
本開示における折り畳み式電子デバイスモジュールは、ユーザがそのモジュールを曲げるかまたは別なふうに折り畳むのに必要な曲げ力を最小にするように構成できることも都合よい。詳しくは、これらのモジュールが経験する曲げ力は、そのモジュールに用いられる接着剤の剛性率を減少させる、および/または適切な厚さを選択することによって、減少させることができる。さらに、特定の例示の折り畳み式電子デバイスモジュールは、ガラスカバー要素で剛性率が比較的高い接着剤を使用し、モジュール内の他の位置で剛性率が比較的低い接着剤を使用することによって、機械的信頼性、穿刺抵抗および曲げ力の低下のために設計することができる。
請求項の精神または範囲から逸脱せずに、本開示の折り畳み式電子デバイスモジュールに様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
折り畳み式電子デバイスモジュールにおいて、
第1と第2の主面を有するガラスカバー要素であって、約25μmから約200μmの厚さおよび約20GPaから約140GPaのカバー要素弾性率を有するガラスカバー要素、
約50μmから約600μmの厚さを有する積層体であって、第1と第2の主面、および約300MPaと約10GPaの間のパネル弾性率を有するパネルを備えた積層体、および
前記積層体を前記カバー要素の第2の主面に接合する第1の接着剤であって、約0.01MPaと約1GPaの間の剛性率および少なくとも80℃のガラス転移温度を有する第1の接着剤、
を備え、
前記デバイスモジュールは、前記カバー要素の第1の主面が圧縮下にあるように、約20mmから約1mmの曲げ半径に該モジュールを二点構造で曲げる際に、張力で約1000MPa以下の、該カバー要素の第2の主面での接線応力を有し、前記曲げ半径は、該カバー要素の第1の主面の上方の中心点から前記パネルの第2の主面まで測定される、折り畳み式電子デバイスモジュール。
実施形態2
前記接線応力が、前記カバー要素の第1の主面が圧縮下にあるように、約20mmから約2mmの曲げ半径に該モジュールを二点構造で曲げる際に、張力で約800MPa以下であり、前記曲げ半径は、該カバー要素の第1の主面の上方の中心点から前記パネルの第2の主面まで測定される、実施形態1に記載のモジュール。
実施形態3
折り畳み式電子デバイスモジュールにおいて、
第1と第2の主面を有するガラスカバー要素であって、約25μmから約200μmの厚さおよび約20GPaから約140GPaのカバー要素弾性率を有するガラスカバー要素、
約50μmから約600μmの厚さを有する積層体であって、第1と第2の主面、および約300MPaと約10GPaの間のパネル弾性率を有するパネルを備える積層体、
前記積層体を前記カバー要素の第2の主面に接合する第1の接着剤であって、約0.01MPaと約1GPaの間の剛性率および少なくとも80℃のガラス転移温度を有する第1の接着剤、および
屈曲結合残留応力領域、
を備え、
前記残留応力領域は、前記カバー要素の厚さを通り、中央領域内にあり、該カバー要素の厚さを通って該カバー要素の中心曲げ軸に沿って、前記第2の主面での最大圧縮残留応力から前記第1の主面での最大引張残留応力まで及ぶ、折り畳み式電子デバイスモジュール。
実施形態4
前記カバー要素の第2の主面での接線応力が、引張で約600MPa以下である、実施形態1または3に記載のモジュール。
実施形態5
前記カバー要素が、少なくとも300,000回の曲げサイクルについて、前記モジュールを、二点構造で、実質的に曲がっていない形態から前記曲げ半径に曲げた際に、凝集破壊がないことによりさらに特徴付けられる、実施形態1から4いずれか1つに記載のモジュール。
実施形態6
前記カバー要素が、約50GPaから約100GPaのカバー要素弾性率を有するガラス要素である、実施形態1から5いずれか1つに記載のモジュール。
実施形態7
前記第1の接着剤が、少なくとも150℃のガラス転移温度によりさらに特徴付けられる、実施形態1から6いずれか1つに記載のモジュール。
実施形態8
前記カバー要素の第2の主面での最大圧縮残留応力が、少なくとも100MPaである、実施形態3に記載のモジュール。
実施形態9
前記カバー要素の第2の主面での最大圧縮残留応力が、少なくとも200MPaである、実施形態3に記載のモジュール。
実施形態10
前記カバー要素の第2の主面から選択された深さまで延在する、イオン交換済み圧縮応力領域であって、複数のイオン交換可能なイオンおよび複数のイオン交換されたイオンを含むイオン交換済み圧縮応力領域、
をさらに備える、実施形態8または9に記載のモジュール。
実施形態11
前記イオン交換済み圧縮応力領域が、前記カバー要素の第2の主面で700MPa以上の最大圧縮応力を有する、実施形態10に記載のモジュール。
実施形態12
前記デバイスモジュールが、前記カバー要素の第1の主面が圧縮下にあるように、約20mmから約2mmの曲げ半径に該モジュールを二点構造で曲げる際に、張力で約900MPa以下の、該カバー要素の第2の主面での接線応力によりさらに特徴付けられ、前記曲げ半径は、該カバー要素の第1の主面の上方の中心点から前記パネルの第2の主面まで測定される、実施形態11に記載のモジュール。
実施形態13
前記残留応力領域が、前記カバー要素の厚さを通じて変動する残留応力を有する、実施形態3に記載のモジュール。
実施形態14
前記残留応力が、前記カバー要素の厚さを通じて実質的に線形関数で連続的に変動する、実施形態13に記載のモジュール。
実施形態15
折り畳み式電子デバイスモジュールを製造する方法において、
第1の接着剤を間に介して積層体に隣接してカバー要素を配置して、積層モジュールを画成する工程であって、(a)前記カバー要素は、約25μmから約200μmの厚さ、約20GPaから約140GPaのカバー要素弾性率、ガラス組成、および第1と第2の主面を有し、(b)前記積層体は、約100μmから約600μmの厚さを有し、第1と第2の主面、および約300MPaと約10GPaの間のパネル弾性率を有するパネルを備え、(c)前記第1の接着剤は、約0.01MPaと約1GPaの間の剛性率および少なくとも80℃のガラス転移温度により特徴付けられ、(d)前記カバー要素の第2の主面は前記第1の接着剤に隣接している、工程、
前記積層モジュールを屈曲半径Rflexまで曲げて、屈曲モジュールを画成する工程であって、Rflexは、前記積層体の上方から前記カバー要素の第2の主面まで測定される、工程、
前記屈曲半径Rflexで前記屈曲モジュール内の前記第1の接着剤を硬化させて、屈曲結合モジュールを画成する工程、および
前記屈曲結合モジュールを曲がっていない形態に戻して、前記折り畳み式電子デバイスモジュールを画成する工程、
を有してなる方法。
実施形態16
前記折り畳み式電子デバイスモジュールが、前記カバー要素の第1の主面が圧縮下にあるように、約20mmから約2mmの曲げ半径に該モジュールを二点構造で曲げる際に、張力で約800MPa以下の、該カバー要素の第2の主面での接線応力を有し、前記曲げ半径は、該カバー要素の第1の主面の上方の中心点から前記パネルの第2の主面まで測定される、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
前記折り畳み式電子デバイスモジュールが、前記カバー要素の第1の主面が圧縮下にあるように、約20mmから約1mmの曲げ半径に該モジュールを二点構造で曲げる際に、張力で約1000MPa以下の、該カバー要素の第2の主面での接線応力を有し、前記曲げ半径は、該カバー要素の第1の主面の上方の中心点から前記パネルの第2の主面まで測定される、実施形態15に記載の方法。
実施形態18
前記折り畳み式電子デバイスモジュールが屈曲結合残留応力領域をさらに備え、該残留応力領域は、前記カバー要素の厚さを通り、中央領域内にあり、該カバー要素の中心曲げ軸に沿って、前記第2の主面での最大圧縮残留応力から前記第1の主面での最大引張残留応力まで及ぶ、実施形態15に記載の方法。
実施形態19
Rflexが、前記曲げる工程において、約5mmから約40mmの範囲内に選択される、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
Rflexが、前記曲げる工程において、約10mmから約20mmの範囲内に選択される、実施形態18に記載の方法。
実施形態21
前記カバー要素の第2の主面での最大圧縮残留応力が、少なくとも50MPaである、実施形態19に記載の方法。
実施形態22
前記カバー要素の第2の主面での最大圧縮残留応力が、少なくとも200MPaである、実施形態20に記載の方法。