JP6967244B2 - 大豆アレルゲンと小麦アレルゲンを含まない醤油風味調味料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、大豆アレルゲンと小麦アレルゲンを含まない醤油風味調味料の製造方法に関するものである。
日本農林規格により、醤油には大豆を使用することが定められており、一般的な醤油には、小麦が使用されている。原料の大豆、小麦は発酵、熟成時にタンパク質が分解されて旨み成分となり、デンプンが分解されて甘み成分になる。
ところで、現在、日本の全人口の1〜2%が何らかの食物アレルギーを持っていると考えられており、醤油の原料である大豆と小麦もアレルギーの原因物質として知られている。そのため、大豆や小麦でアレルギー症状を発症する人は醤油を使用できず、また、醤油を使用した料理を食べることができなかった。
このような背景から、大豆や小麦でアレルギー症状を発症する人であっても醤油の風味を楽しめるように、大豆や小麦を使用せずに、醤油の風味を有する調味料を製造するためのさまざまな試みがなされている。例えば、特許文献1には、大豆や小麦の代わりに馬鈴薯を用いること、特許文献2、特許文献3、特許文献4には、エンドウマメを用いることが提案されている。しかし、馬鈴薯やエンドウマメを用いる場合、大豆や小麦を用いる場合と比較して大幅に原料コストが高くなってしまうという問題があった。
一方、酒粕には、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、100g当たり14.9gのタンパク質が含まれている。これは小麦のタンパク質の100g当たり約10gより多く、酒粕は醤油風味調味料の原料として十分なタンパク質を含んでいる。そして、酒粕は、酒造の副生成物であり、そのほとんどが産業廃棄物として処理されている。したがって、酒粕を代表とするみりん粕や焼酎粕のような米発酵残渣を原料に用いれば、醤油風味調味料を低コストで製造することができると考えられる。
なお、酒粕を用いた醤油風味調味料の製造方法について、例えば、非特許文献1には、小麦の一部の代替として蒸きょうした酒粕を使用する醤油様調味料の製造方法が、特許文献5には、醤油諸味に清酒粕を添加する醤油の製造方法が、特許文献6には、食塩水と酒粕と醤油麹を混合して製造する醤油風味調味料の製造方法が開示されている。
しかし、特許文献5に開示された方法は、従来の甘酒を用いる醤油製造を、簡便かつ低コストで製造することを目的としており、醤油諸味に酒粕を添加するため大豆や小麦が使用されている。また、非特許文献1や特許文献6に開示された方法は、酒粕の有効利用を主目的とした技術で、醤油麹の一部として使用したり醤油麹と混合して使用したりするものであり、やはり大豆や小麦が使用されている。このように、従来の酒粕を用いた醤油風味調味料の製造技術は、いずれも原料として大豆又は小麦を使用したものであり、大豆や小麦に対するアレルギーを考慮したものではなかった。
特開2018−57288号公報 特開2018−134106号公報 特許5702014号公報 特開2014−110771号公報 特開平7−23734号公報 特開2007−244262号公報
穂坂 賢、他7名、「清酒粕を用いた醤油様調味料の製造」、醸協 第92巻、p835−841(1997)
そこで、本発明は、大豆や小麦を使用せずに、米発酵残渣を原料として用いて醤油の風味を有する調味料を製造する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、米発酵残渣と食塩と水の混合物に米こうじを加え、発酵、熟成させることで、醤油の風味を有する調味料を製造することができることを見い出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の大豆アレルゲンと小麦アレルゲンを含まない醤油風味調味料の製造方法は、米発酵残渣と食塩と水を混合し、米こうじを加え、発酵、熟成させて醤油風味調味料を得ることを特徴とする。
また、米発酵残渣を熟成した後に、食塩と水に混合することを特徴とする。
また、米発酵残渣と食塩と水を混合し、米こうじを加え、発酵、熟成させることによって得られた醤油風味調味料を、食塩と水の一部に代えて用いることを特徴とする。
また、米発酵残渣と食塩と水を混合し、加熱した後に、米こうじを加えることを特徴とする。
また、米発酵残渣を加熱した後に、食塩と水に混合することを特徴とする。
また、だしを添加することを特徴とする。
本発明の醤油風味調味料は、本発明の醤油風味調味料の製造方法によって得られたものである。
本発明の加工食品は、本発明の醤油風味調味料を用いて得られたものである。
本発明によれば、大豆や小麦を使用せずに、米発酵残渣を原料として用いて醤油の風味を有する調味料を製造することができる。本発明により得られた醤油風味調味料は、風味が一般的な醤油と比較しても全く遜色なく、大豆や小麦でアレルギー症状を発症する人であっても醤油の風味を楽しむことができる。
火入れをしない本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す工程図である。 火入れをした本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す工程図である。 火入れをした「だし入り」の本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す工程図である。 食塩と水の一部を図1の本発明の調味料に代替して、火入れをしない本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す工程図である。 食塩と水の一部を図1の本発明の調味料に代替して、火入れをした本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す工程図である。 食塩と水の一部を図1の本発明の調味料に代替して、火入れをした「だし入り」の本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す工程図である。
本発明の大豆アレルゲンと小麦アレルゲンを含まない醤油風味調味料の製造方法は、米発酵残渣と食塩と水を混合し、米こうじを加え、発酵、熟成させて醤油風味調味料を得るものである。なお、米発酵残渣とは、酒粕、焼酎粕、みりん粕のように米を主原料として発酵させた後に得られる残渣のことである。この本発明の方法によれば、風味が一般的な醤油と比較しても全く遜色ない醤油風味調味料を得ることができる。
図1に、火入れをしない本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す。この例は、米発酵残渣を熟成した後に、これと食塩と水と混合し、加熱、冷却の後、米こうじを混合し、発酵、熟成、圧搾・ろ過の各工程を経るものである。なお、これらの工程のうち、混合後の加熱、冷却の工程は必須ではなく、必要に応じて行うことができる。
図2に、火入れをした本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す。この例は、図1の工程に火入れ等の工程を加えたものであり、火入れをしない本発明の調味料に、塩分、アルコールを加えて調製し、火入れ、冷却、ろ過の各工程を経て、さらに場合によってアルコール等を加えて調製するものである。
図3に、火入れをした「だし入り」の本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す。この例は、図2の工程にだしを加えるものであり、火入れをしない本発明の調味料に、塩分、アルコールのほか、だし等を加えて調製するものである。
図4に、食塩と水の一部を図1の本発明の調味料に代替して、火入れをしない本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す。この例は、熟成をした米発酵残渣と食塩と水を混合する際、又は、米こうじを混合する際、或いは、その両方の際に、食塩と水の一部の代わりに本発明の調味料を加えるものである。
図5に、食塩と水の一部を図1の本発明の調味料に代替して、火入れをした本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す。この例は、図4の工程に火入れ等の工程を加えたものである。
図6に、食塩と水の一部を図1の本発明の調味料に代替して、火入れをした「だし入り」の本発明の調味料を得る製造工程の一例を示す。この例は、図5の工程にだしを加えるものである。
以下、主な工程について説明する。
(1)米発酵残渣の熟成(踏込)
食塩と水に混合する前に、米発酵残渣を熟成(以後、後工程の熟成と区別するために「踏込」と表記する。)させることで、得られる本発明の醤油風味調味料に醤油らしい色調と、より優れた香味が付与される。
米発酵残渣の踏込を行う場合は、米発酵残渣のY値が10%以下になるまで行うのが好ましい。ここで、米発酵残渣の種類は特に制限されない。なお、Y値はCIE表色系の数値の一つで、明るさを示す数値であり、その数値が小さいほど色が濃いことを示す。CIE表色系は、味噌の色調を示す数値としても用いられている。
(2)混合後の加熱
米発酵残渣と食塩と水を混合した後に、加熱することで、米発酵残渣に残存する酵母菌や乳酸菌などの微生物を殺菌するとともに、米発酵残渣に含まれるアルコール分を除去し、その後の発酵、熟成を円滑に進めることができる。また、米発酵残渣と食塩と水を混合した後に加熱するのではなく、その代わりに、踏込をした米発酵残渣を加熱してもよい。なお、この加熱は、米発酵残渣に残存する微生物やアルコール分が発酵、熟成に影響を及ぼさない程度であれば、実施しないこともできる。
(3)米こうじの混合
米発酵残渣と食塩と水を混合した後に加熱した場合は、冷却し、その後、米こうじを加える(米こうじを加えた後の混合物を、以後、「もろみ」と表記する)。米こうじを加える前の米発酵残渣と食塩と水の混合物の温度は、50℃以下、好ましくは30℃以下とする。もろみに対する米こうじの添加量は、もろみ中の米こうじ1重量部に対し米発酵残渣が1重量部〜5重量部となるようにする。このとき、もろみ中の米こうじに対する米発酵残渣の比率が多いほど、より醤油らしい色調、旨み成分、品質が得られるが、米発酵残渣の比率が多すぎると、米発酵残渣の分解や発酵、熟成が進まない。好ましくは、もろみ中の米こうじ1重量部に対し米発酵残渣が2重量部〜3重量部になるようにする。
(4)火入れ
火入れを行うことで、より高い品質の醤油風味調味料を得ることができる。
(5)本発明の調味料の添加
食塩と水の一部に代えて、火入れ前の本発明の調味料をもろみに加えて再発酵させることで、アミノ酸量が増加するとともに、さらに醤油らしい色調が得られる。もろみ中の食塩と水から火入れ前の本発明の調味料へ代替する割合(以後、「代替割合」と表記する。)は、100重量部中の25重量部〜100重量部、好ましくは25重量部〜50重量部である。
(6)「だし」の添加
火入れの際に、鰹節や昆布に代表されるアレルギー原因物質を含まない「だし」を加えることで、風味の良い「だし」入りの調味料を得ることができる。加えるだしの適量は、だしを加えた調味料100重量部中の1重量部〜10重量部、すなわち、本発明の調味料100重量部中の1重量部〜10重量部である。
以下、米発酵残渣として酒粕を使用した実施例を示し、本発明について具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[米発酵残渣の加熱及び食塩と水との混合物の冷却]
一般的な踏込後の酒粕のアルコール分は8.0%前後である。そのため、もろみの発酵、熟成がアルコールにより阻害されることがある。例えば、もろみ中の酒粕割合が30%の場合は、もろみ中のアルコール分は2.4%となり、発酵、熟成が阻害された。また、もろみ中の酒粕割合を20%未満にすることで、発酵、熟成が行われることを確認した。
そのため、もろみ中の酒粕割合を高めるためには酒粕からアルコールを除去する必要があった。例えば、酒粕1kgを品温85℃で15分加熱すると、アルコール分は1%未満となった。
具体的には、図1の製造方法で、酒粕と食塩と水の混合物を品温85℃で15分加熱し、冷却した後に米こうじを加え、酒粕12kg、米こうじ6kg、食塩5.46kg、水16.6kgとなるように調整した。30℃で発酵、熟成は良好に進んだ。しかし、図1から酒粕の冷却工程を除いた製造方法では発酵、熟成が全く進まなかった。酒粕を70℃と60℃まで冷却してから製造したもろみは、発酵、熟成が不十分になり、本発明の調味料の製造は困難であった。酒粕を50℃まで冷却すると、発酵、熟成はわずかに遅れるものの、調味料製造は可能であった。酒粕を30度以下にすると、発酵、熟成は良好に進み、得られた調味料は良好なものとなった。
上記のことから、酒粕のアルコールを加熱等により除去し冷却してから、もろみを配合することで本発明の調味料を得られることを見い出した。
[米発酵残渣の熟成]
図1の製造方法で本発明の調味料を製造した。具体的には、踏込をしたY値の異なる酒粕を用いて実施例1と同一の重量で調整し、30℃で3か月発酵、熟成させた。これを圧搾し、ろ過して得られた火入れをしていない本発明の調味料を得た。
使用したY値の異なる酒粕と色番を表1に示した。色度は醤油の標準色との比色で得られる数値で、数値が小さいほど色が濃いことを示す。「しょうゆの日本農林規格」で定められている「こいくちしょうゆ」の色度は、18番未満である。
Figure 0006967244
表1には、使用する酒粕のY値が低いと本発明の調味料の色が濃くなることが示されている。酒粕の踏込後のY値が8.3のとき、色番は19番となり、こいくち醤油の色番にほぼ近くなっている。また、熟成期間が長くなると、色番は小さくなることを確認しており、実用上では酒粕の踏込後のY値が10%以下であれば、より醤油らしい色の製品が得られることを見い出した。
また、専門パネル5名による官能評価では、試料A〜Cいずれも旨味が不十分という評価だった。一方で試料Aは味が単調で不快な塩辛さが目立ったが、試料Bは不快な塩辛さが若干目立たなくなり、試料Cは不快な塩辛さが殆ど感じられない特徴があった。このことから、踏込によるY値の低下により色だけでなく、味に対しても優れた製品が得られることを見い出した。
[米発酵残渣の割合と発酵方式]
踏込後のY値を8.3%とした酒粕と食塩と水の混合物を85℃で15分加熱し、30℃まで冷却した。製造工程は以下のように行った。
試料D:図2の製造工程
試料E:図2の製造工程
試料F:図5の製造工程
もろみの配合割合は、表2のように調整した。なお、試料Fについては食塩と水の合計重量の25%を表1の試料Cの配合で得られた本発明の調味料に代えた。
試料D、E、Fとも、もろみは30℃で2か月半発酵、熟成させた。それを圧搾し、ろ過した本発明の調味料を、85℃まで加熱し30℃まで冷却した。冷却後、再度ろ過をし、ろ過後に品質保持のためのアルコールを添加した。
Figure 0006967244
こうして得られた火入れ品の本発明の調味料を分析した結果を表3に示す。
Figure 0006967244
表3の中で、ホルモール窒素はアミノ酸を構成する窒素成分である。また、ORACは活性酸素吸収能力を示し、H-ORACは親水性のORAC値、L-ORACは親油性のORAC値を示す。
踏込を行なった酒粕のタンパク質やデンプンは米こうじにより分解され、発酵、熟成してから本発明の調味料となる。
このとき、酒粕と米こうじの適正配合比率を検討した結果、以下のことを見い出した。
酒粕1重量部に対し米こうじが1重量部未満であると醤油らしい色、旨み、香りに欠け、酒粕1重量部に対し米こうじが5重量部を超えると酒粕の分解、発酵、熟成が順調に進まず、良好な本発明の調味料が得られなかった。また、酒粕1重量部に対し米こうじが2〜3重量部の時は酒粕の分解、発酵、熟成が順調に進み、良好な本発明の調味料が得られた。
表3に酒粕と米こうじが適切な配合比で製造した本発明の調味料の分析結果を示した。酒粕1重量部に対し米こうじが2重量部の試料Dと酒粕1重量部に対し米こうじが3重量部の試料Eともに良好な品質になったが、試料Eが全窒素、アミノ酸含量が多く、色番が小さくなった。
専門パネル5名による官能評価では、もろみ中の酒粕の割合が低い試料Dよりも高い試料Eでまろやかな味になる特徴があり、醤油として優れていた。
また、試料Eでは抗酸化性の指標となるポリフェノール含量や親水性ORAC値が高くなり、酸化による品質劣化も抑えられると考えられた。以上より、酒粕1重量部に対し米こうじが2〜3重量部の時には米こうじに対する酒粕の量が多くなるとより醤油らしい特性の本発明の調味料を得られることを見い出した。
さらに、試料Fのように図1の製造工程で得られた火入れ前の本発明の調味料をもろみに加えて再発酵させることで、全窒素、アミノ酸量、ホルモール窒素、ブリックスが増加した。
専門パネル5名による官能評価では、試料Eよりも再発酵工程を加えた試料Fで旨味と発酵香が強く感じられる特徴があり、醤油として優れていた。以上より、仕込みの際に食塩と水の一部を本発明の調味料に代えることで、より醤油らしい特性の本発明の調味料が得られることを見い出した。
[だし入りの本発明の調味料]
踏込後のY値を8.3%とした酒粕と食塩と水の混合物を85℃で15分加熱し、30℃まで冷却した後に米こうじを加え、表4の配合になるように調整をした。
Figure 0006967244
表4の配合で420kgのもろみを作製し、図1の製造工程で自然の気温の変化に任せて天然醸造で約7か月間発酵、熟成、圧搾、過し、本発明の調味料の試料Gを得た。
また、試料Gを使い本発明の調味料に加えるだしの量を検討した。
専門パネル5名による官能評価の結果、昆布だしや鰹節だしの添加量は、本発明の調味料100重量部中の1重量部未満では風味が感じられず、10重量部を超えると醤油らしい風味が損なわれたため、添加量は本発明の調味料100重量部中の1重量部〜10重量部が適すると判断した。
試料Gから2つの試料を調整した。試料Hは、試料Gを85℃まで加熱し30℃まで冷却した後にろ過をして、品質保持のためのアルコールを添加した試料である。試料名Iは、試料G100重量部中にアレルギー原因物質を含まない、昆布だしを5重量部と鰹節だしを4重量部となるように添加した後に85℃まで加熱し30℃まで冷却をした後にろ過をして、品質保持のためのアルコールを添加した試料である。試料H、試料Iの分析結果を表5に示す。
Figure 0006967244
ほぼ同じ配合比である試料Hと試料Dの製造条件の違いは仕込み量の多少と熟成方式の違いであるが、分析結果を比較したところ、試料Hと試料Dとで同様の分析結果が得られ、専門パネル5名による官能評価では食味も良好であったことから、仕込み量が多く、自然に任せた熟成条件でも安定した品質を得られることを確認した。
また、だしを添加していない試料Hとだしを添加した試料Iを専門パネル5名による官能評価で比較すると、試料Iで香りが好ましく、味の調和がとれているという特徴があった。
さらに、試料Iの試食を行い、購買意欲調査を社外で実施し、77人から回答を得た。その結果、53人が「しょうゆの代わりとして使用したい又は使用できると思う。」、23人が「しょうゆとしてではなく新たな調味料として使用したいまたは使用できると思う。」との回答で、「使用したくない又は使用できない。」は1名のみであり、醤油の代替品としての高い評価を得た。このことから、本発明の調味料は醤油の代替商品として販売面からも有望であることを確認した。
[再発酵と色番]
踏込後のY値を8.3%とした酒粕を原料に、図4の工程で本発明の調味料を製造した。具体的には踏込後の酒粕と塩と水の混合物を85℃で15分加熱し、30℃まで冷却した。その後、もろみ中の食塩、水の代替として試料Cを加えた。これらを30℃で3か月発酵、熟成させた。それを圧搾し、ろ過して得られた火入れをしない本発明の調味料を得た。
代替割合が増えても風味に問題は無いが、本発明のもろみ中の塩、水合計100重量部中の代替割合が50重量部を越えると、調味料の色の濃化が鈍化した。このことから、50重量部までの代替が経済的であることを見い出した。また25重量部未満では調味料の色の濃化が十分に得られなかった。
また、表6に50重量部までの代替割合を変えた試料を示した。同試料の官能評価では、実施例3の試料Eと試料Jは同等の評価となったことから、試料Eと比べても試料KとLは優れた評価になる。このことから、再発酵でもろみ中の塩、水に代替する本発明の調味料を50重量部までにすることで、経済的で良好な本発明の調味料が得られることを見い出した。
Figure 0006967244
Figure 0006967244
本発明の調味料J、K、L分析結果を表7に示す。表7の試料J、K、Lを比較すると、本発明のもろみ中の塩、水から火入れをしていない本発明の調味料への代替割合が高い試料ほど、濃い色調を得ることができることが確認された。
また、表7から、本発明のもろみ中の塩、水の代替として生の本発明の調味料を多く添加した試料で、全窒素、アミノ酸量、ホルモール窒素、ブリックスが増加することが確認された。
専門パネル5名による官能評価では、再発酵工程がない試料Jよりも代替割合が100重量部中の25重量部とした試料Kで、試料Kよりも代替割合が100重量部中の50重量部とした試料Lで旨味が強くなり、芳醇な香りが増し、ふくよかで厚みのある味になるという特徴があった。
このことから、本発明の調味料の再発酵は色調だけでなく、旨みやコクの向上にも有効であることを見い出した。
以上より、本発明の調味料の色調調整と旨みやコクの向上には、本発明のもろみ中の塩、水の本発明調味料のへの代替が有効であり、その代替割合は本発明のもろみ中の塩、水100重量部に対し25〜50重量部が適切であると判断した。
また、試料K、Lそれぞれ100重量部中にアレルギー原因物質を含まない、昆布だしを5重量部と鰹節だしを4重量部となるように添加した後に、85℃まで加熱し30℃まで冷却をした後にろ過をして、品質保持のためのアルコールを添加した。
その結果でも、専門パネル5名による官能評価により、だしを添加することによって、旨味の調和がとれた味になるという特徴があった。このことから、アレルギー原因物質を含まないだしを添加することによって、醤油の代替品となる品質となることを確認した。
市販濃口醤油と実施例3で調製した試料Iを使用した料理を試作し、本発明の調味料を加工品に使用する際に市販濃口醤油と遜色なく使用できるかどうか官能評価により比較した。試作した料理のレシピを表8に示す。
Figure 0006967244
官能評価は、市販醤油を使用したものを3として、醤油風調味料を使用したものを5段階(5:良い、4:少し良い、3:同じ、2:少し悪い、1:悪い)で評価した。評価した8名の平均値を表9に示した。
Figure 0006967244
表9に示したように、市販醤油を使用した料理と醤油風味調味料を使用した料理とを比較すると、五目あんかけと海苔酢あえでは同等の評価を得た。かきたま汁では、醤油風味調味料を使用した料理のほうが高い評価となることが確認された。このことから、本発明の調味料は市販濃口醤油と遜色なく使用できると判断した。
試料Iについて、食品衛生法厚生労働大臣登録検査機関にてアレルゲン検査を実施した。小麦アレルゲン検査の結果を表10に、大豆アレルゲン検査の結果を表11に示す。
Figure 0006967244
検査の結果、本発明の調味料である試料Iに小麦のアレルゲンが検出されないことが表10で示されている。このことから、小麦アレルギーのある人でも本発明の調味料を安心して使用できると判断した。
Figure 0006967244
検査の結果、本発明の調味料である試料Iに大豆のアレルゲンが検出されないことが表11で示されている。このことから、大豆アレルギーのある人でも本発明の調味料を安心して使用できると判断した。

Claims (5)

  1. 米発酵残渣のY値が10%以下になるまで米発酵残渣を熟成した後に、熟成した米発酵残渣と食塩と水を混合し、米こうじを加え、発酵、熟成させて醤油風味調味料を得ることを特徴とする小麦アレルゲンと大豆アレルゲンを含まない醤油風味調味料の製造方法。
  2. 米発酵残渣のY値が10%以下になるまで米発酵残渣を熟成した後に、熟成した米発酵残渣と食塩と水を混合し、米こうじを加え、発酵、熟成させることによって得られた醤油風味調味料を、食塩と水の一部に代えて用いることを特徴とする請求項1記載の醤油風味調味料の製造方法。
  3. 熟成した米発酵残渣と食塩と水を混合し、加熱した後に、米こうじを加えることを特徴とする請求項1又は2記載の醤油風味調味料の製造方法。
  4. 熟成した米発酵残渣を加熱した後に、食塩と水に混合することを特徴とする請求項1又は2記載の醤油風味調味料の製造方法。
  5. だしを添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の醤油風味調味料の製造方法。
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