JP2011142868A - 調味料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】醤油粕や酒粕、ソース残渣等の副産物が時には製品以上に生み出され、利用法もなく廃棄され、廃棄方法が問題となっていたのを調味料への有効利用を図るものであり、微生物及び酵素を併用することにより、酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突といった副産物である低未利用資源を迅速且つ低分子まで分解することで、呈味性、機能性を高めることができる。
【解決手段】酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突から選択される食品関連低未利用資源を50〜90度まで加熱し、残存する酵素活性等を失活させた後、温度を30〜50度、pHを4〜7に調整し、微生物及び酵素を添加する。
【選択図】 図1
【解決手段】酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突から選択される食品関連低未利用資源を50〜90度まで加熱し、残存する酵素活性等を失活させた後、温度を30〜50度、pHを4〜7に調整し、微生物及び酵素を添加する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、食品素材として調味料の製造方法に関するものである。
食品リサイクル法の施行により、食品製造業は食品廃棄物の発生抑制、減量化、又は食品循環資源の再利用への取組みが規定された。これに伴い食品製造業では自社で発生する食品加工副産物を、未利用資源ととらえ、有効利用しようとするニーズが顕著である。
例えば、醤油は、日本固有の調味料であり、年間消費量120万キロリットルと安定的に生産されているもので食文化の基盤を成してきた。
そして、その製造は、原料である大豆と小麦および食塩により醸造し、諸味を搾汁することで得られるもので、一般的には、搾汁後は、必ず未消化物である醤油の原料、すなわち、醤油粕が未利用のまま残され、これは、通常は塩分含量が高いのでそのままでは食品として利用されることはほとんどなく、一部で家畜などの飼料として用いられるが、この場合も、家畜の微妙な嗜好性に適合させるためにはかなりの工夫が必要であり、この醤油粕の大量消費とはならない。
下記特許文献では、豆腐や醤油の製造時に派生する副原料、例えば、醤油粕や醤油オリ、オカラをより有効に活用し、大豆資源の完全利用を計ると共に、食品素材として減塩と食味嗜好性を改良した大豆加工食品からの残滓による食品素材の製造方法が提案されている。
特開平8−33457号公報
この特許文献1は、粉末にしたオカラへ、醤油粕を加えて混合し、その食塩濃度を1〜5%に調製する大豆加工食品からの残滓による食品素材の製造方法である。
また、粉末にしたオカラへ、醤油粕を加えて混合し、その食塩濃度を1〜5%に調製して得た混合物へ、醤油オリを加えてペースト状とする大豆加工食品からの残滓による食品素材の製造方法である。
納豆製造過程において副生する大豆煮汁は、通常、活性汚泥処理後、廃棄処分されている。また、焼酎の製造過程で副生する焼酎粕についても産業廃棄物として廃棄されているが、大豆煮汁や焼酎粕は大量に副生されるため、その処分が問題となっている。
下記特許文献2は、味噌や納豆の製造工程において副生する大豆煮汁を有効活用することを目的として、味噌や納豆の製造工程において副生する大豆煮汁に麹と酵母を添加してエタノール発酵を行い、その後、酢酸菌を添加して酢酸発酵を行う醸造酢の製造方法である。
特開2003−47456号公報
下記非特許文献1には、食品加工副産物のなかで、菓子製造業の製餡工程で排出される小豆、手亡豆(インゲン豆)煮汁と種皮及び味噌製造業の蒸煮工程で排出される大豆煮汁等の有効利用のニーズを取り上げ、これら副産物の機能性検索、微生物による有用物質の生産等付加価値化を行い、食品素材として有効利用を図ることを目的としたもので、初年度としてこれら素材の成分分析、抗酸化性の機能性検索、乳酸発酵等について検討を行った報告が記載されている。
福岡県工業技術センター研究報告No.15(2005) 目次15.食品関連未利用資源の機能性付加による素材化に関する研究・・・・古田正範、黒田理恵子、塚谷忠之、樋口智子、廣藤祐史 −豆類煮汁及び種皮の有効利用−
福岡県工業技術センター研究報告No.15(2005) 目次15.食品関連未利用資源の機能性付加による素材化に関する研究・・・・古田正範、黒田理恵子、塚谷忠之、樋口智子、廣藤祐史 −豆類煮汁及び種皮の有効利用−
一方、調味料として、農産物・畜産物等を微生物による発酵もしくは酵素による分解で製造したものがある。例えば、日本においては、古来より醤油や酒等の微生物による発酵や酵素を利用した調味料が利用されている。
前記食品加工副産物(食品未利用資源)の有効利用において、調味料としての利用はまだ見出すことがない。
また、古来より行われている微生物による調味料に製造において、発酵に時間を要し、酵素単体であると特定の反応のみ進み、それ以外の反応は行われない。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、醤油粕や酒粕、ソース残渣等の副産物が時には製品以上に生み出され、利用法もなく廃棄され、廃棄方法が問題となっていたのを調味料への有効利用を図るものであり、微生物及び酵素を併用することにより、酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突といった副産物である低未利用資源を迅速且つ低分子まで分解することで、呈味性、機能性を高めることができる調味料の製造方法を提供することにある。
請求項1記載の本発明は前記目的を達成するため、酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突から選択される食品関連低未利用資源を50〜90度まで加熱し、残存する酵素活性等を失活させた後、温度を30〜50度、pHを4〜7に調整し、微生物及び酵素を添加することを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、日本酒製造時の副産物である酒粕やソース製造時の副産物であるソース残渣、醤油製造時の副産物である醤油粕、キノコ類の石突といった低未利用資源に微生物と共に酵素を併用することにより、短時間で呈味、機能性を高めた調味料等の食品素材を製造することができる。
低未利用資源を50〜90度まで加熱することで、残存する酵素活性等を失活させることができ、pHを4〜7に調整することで微生物及び酵素を添加するのに最適な状態とすることができる。
請求項2記載の本発明は、微生物及び酵素の添加量は、基質に対して0.01〜0.1重量%添加することを要旨とするものである。
請求項2記載の本発明によれば、微生物及び酵素の添加割合を、酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突に含まれるタンパク質や炭水化物、食物繊維の成分量及び微生物、酵素の力価を基に設定することができる。
請求項3記載の本発明は、微生物及び酵素の作用時間は、12〜72時間であることを要旨とするものである。
請求項3記載の本発明によれば、微生物及び酵素の添加量及び温度、pHにより作用時間として12〜72時間で十分分解が可能であることを想定したものである。
請求項4記載の本発明は、微生物及び酵素の作用後は、微生物及び酵素を失活させるため、50〜90度まで加熱し、シフターやストレーナー、濾布等で濾過した後、マグネットを通すことを要旨とするものである。
請求項4記載の本発明によれば、微生物及び酵素を失活させることにより、基質の分解を制御し、また保存性を向上させることができる。
以上述べたように本発明の調味料の製造方法は、醤油粕や酒粕、ソース残渣等の副産物が時には製品以上に生み出され、利用法もなく廃棄され、廃棄方法が問題となっていたのを調味料への有効利用を図るものであり、微生物及び酵素を併用することにより、酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突といった副産物である低未利用資源を迅速且つ低分子まで分解することで、呈味性、機能性を高めることができるものである。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は食品関連低未利用資源として、日本酒製造時の副産物である酒粕やソース製造時の副産物であるソース残渣、醤油製造時の副産物である醤油粕、キノコ類の石突から1種ないし複数種を選択するものである。
本発明は食品関連低未利用資源として、日本酒製造時の副産物である酒粕やソース製造時の副産物であるソース残渣、醤油製造時の副産物である醤油粕、キノコ類の石突から1種ないし複数種を選択するものである。
本発明に使用される酒粕の種類は特に限定されない。清酒粕あるいは蒸留粕であってもよく、板粕あるいは踏み込み粕であってもよい。清酒粕とは、清酒製造時に、圧搾により清酒諸味を絞った際に残る酒粕をいい、蒸留粕とは、焼酎製造時に、焼酎諸味を蒸留した際に残る残渣、もしくは、酒粕を蒸留した際に残る残渣をいう。
ソース残渣とは、ソースの原料である玉葱や人参、セロリ、ニンニク、トマト、香辛料を漬け込んだ後、固液分離をした際の固形物である。
醤油粕とは、原料となる大豆や小麦を麹菌や乳酸菌、酵母で分解した後、圧搾布に諸味を包んで加重し、固液分離を行った際の固形物である。
キノコ類の石突とは、地面や樹木、菌床に触れているところから傘の付け根までの部分である。
これら酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突から選択される食品関連低未利用資源を50〜90度まで加熱し、残存する酵素活性等を失活させた後、必要に応じて、30〜50度まで冷却、pHを4〜7に調整する。
加熱方法は、ジャケット付きのニーダーやタンクにて蒸気を利用し昇温させる。
冷却方法は、これが必要ない場合もあるが、行うにはジャケット内に冷却水を循環させ冷却させる。
pHの調整は、微生物及び酵素の至適pHにするため、有機酸や炭酸ナトリウムを用いる。
添加する微生物としては、Saccharomyces
cerevisiaeやZygosaccharomyces Rouxii、Pediococcus halophilus、Corynebacterium glutamicumATCC13869から選択される。
cerevisiaeやZygosaccharomyces Rouxii、Pediococcus halophilus、Corynebacterium glutamicumATCC13869から選択される。
Saccharomyces
cerevisiaeは、主にパンを作る際に用いられる酵母である。この酵母は出芽により増殖し、アルコール発酵を行う。
cerevisiaeは、主にパンを作る際に用いられる酵母である。この酵母は出芽により増殖し、アルコール発酵を行う。
Zygosaccharomyces Rouxiiは、醤油を作る際に用いられる酵母である。醤油の香りやまろやかさはこの酵母により生成される。
Pediococcus halophilusは、醤油を作る際に用いられる乳酸菌である。
Corynebacterium
glutamicumATCC13869は、一定の条件下でグルタミン酸を生産する菌である。
glutamicumATCC13869は、一定の条件下でグルタミン酸を生産する菌である。
微生物と共に添加する酵素としては、糖質分解酵素や蛋白質分解酵素、繊維分解酵素、細胞間物質分解酵素から選択する。
酵素は、Trichoderma属由来のセルラーゼやβ―1,3及びβ―1,6グルカナーゼ、キシラナーゼ、Aspergillus属由来のプロテアーゼやペプチダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、α―アミラーゼ、グルコアミラーゼ、Rhizopus属由来のペクチナーゼ、グルコアミラーゼ、β―1,3及びβ―1,6グルカナーゼ、Bacillus属由来のペクチナーゼ、α―アミラーゼ、プロテアーゼ等で、単体もしくは複数を使用する。
微生物および酵素の添加方法は、少量の水にて溶解し投入する。
微生物及び酵素の添加量は、酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突に含まれるタンパク質や炭水化物、食物繊維の成分量及び微生物、酵素の力価を基に0.01〜0.1重量%添加する。
作用時間は、微生物及び酵素の添加量及び温度、pHにより12〜72時間で十分分解が可能である。分解が進むと物性に変化が見られたり、屈折糖度計による糖度の上昇割合が穏やかになる。
作用後は、微生物及び酵素を失活させるため、50〜90度まで加熱し、シフターやストレーナーを通した後、マグネットを通す。シフター及びストレーナーとは篩であり、ダマや異物の除去を行う。マグネットも同様に金属異物の除去を目的とする。
必要に応じて精密ろ過膜や遠心分離機を用いて除菌する。精密ろ過膜の口径は0.01〜10μmで、この口径より大きい菌体は捕捉される。また、遠心分離機により比重の差を利用し、菌体を分離除去する。
冷蔵にて保管する際は、保存性を向上させるため、アルコールや食塩を添加する。アルコールにて殺菌をしたり、食塩を加え、水分活性を下げることで、雑菌の増殖を抑制する。
冷凍もしくは粉末化により、雑菌の増殖を制御し、2年は保存が可能となる。
このようにしてできた調味料は、呈味性、機能性を持ち、食品に好ましい味や風味、食感を付与することができる。
酒粕を加熱後冷却し、pH調整値および調整方法を行った。今回はpH5.2であり、pH4.5〜5.5内にあれば調整はせずに進める。pHが範囲外の際は、酵素の至適pHにするため、乳酸や炭酸ナトリウムを用いpHを調整する。
Trichoderma属のセルラーゼやグルカナーゼ、Aspergillus属及びBacillus属のアミラーゼやプロテアーゼを作用させ、Zygosaccharomyces rouxiiにて16時間発酵させる。その後50℃まで加温し、失活させ、アルコールを添加撹拌し、ストレーナー及びマグネットを通し異物を除去した。
Trichoderma属のセルラーゼやグルカナーゼ、Aspergillus属及びBacillus属のアミラーゼやプロテアーゼを作用させることにより、基質に対し酵素の力価を確認の後、0.01〜0.1%添加し、分解させることにより、固形物かペースト化、液化し、呈味性が増す。
Claims (4)
- 酒粕、ソース残渣、醤油粕、キノコ類の石突から選択される食品関連低未利用資源を50〜90度まで加熱し、残存する酵素活性等を失活させた後、温度を30〜50度、pHを4〜7に調整し、微生物及び酵素を添加することを特徴とした調味料の製造方法。
- 微生物及び酵素の添加量は、基質に対して0.01〜0.1重量%添加する請求項1記載の調味料の製造方法。
- 微生物及び酵素の作用時間は、12〜72時間である請求項1または請求項2記載の調味料の製造方法。
- 微生物及び酵素の作用後は、微生物及び酵素を失活させるため、50〜90度まで加熱し、シフターやストレーナー、濾布等で濾過した後、マグネットを通す請求項1ないし請求項3記載のいずれかに記載の調味料の製造方法。
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