JP6939921B2 - 加飾シート - Google Patents
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Description
本開示の加飾シートは、基材層と、上記基材層の一方の主面側に配置され、電離放射線硬化性樹脂を有する表面保護層とを備える加飾シートであって、上記表面保護層は、上記基材層側とは反対側の主面に凹凸構造を有し、上記凹凸構造の凹凸の間隔が0.5μm以上7.5μm以下であり、上記凹凸構造の凹凸の高低差が0.2μm以上である点に特徴を有する。
以下、本開示の加飾シートの各部材について、詳細に説明する。
(1)凹凸構造
本開示における表面保護層には、上記基材層側とは反対側の表面に、凹凸構造が設けられている。上記凹凸構造の凹凸の間隔は、0.5μm以上7.5μm以下である。このような範囲であれば、加飾樹脂成形品とした際に加飾シートが配置された平面部のみならず、曲面部においても、表面の虹柄の意匠が問題無く視認できる。一方、上記凹凸構造の凹凸の間隔が0.5μm未満の場合、平面部においても虹柄の意匠が視認できない可能性があり、7.5μmより大きいと、曲面部上に配置した際に目視により虹柄の意匠が確認できない可能性がある。
また、凸部は円錐形状、円錐台形状や、多角錐形状、多角錐台形状であってもよく、平面視上楕円もしくは長方形の形状をとるもの、具体的には、凸部が筋状に形成されたものであってもよい。
平坦部5の面積が大きいと、平坦部5による反射の影響が大きくなり、防眩性が低下する。そのため、平坦部5の面積は、小さいことが好ましい。特に、虹柄の意匠は、意匠性が高い反面、視認者が眩しさを感じ易い性質がある。これに対して、平坦部5の面積を小さくすることで、意匠性および防眩性を両立できる。ここで、平坦部5を含む凹凸構造の平面を仮定し、その平面の全面積に対する平坦部5の合計面積の比率を、平坦部5の面積率と定義する。平坦部5の面積率は、例えば10%以下であり、8%以下であってもよく、6%以下であってもよく、4%以下であってもよく、2%以下であってもよい。
側壁部6が延びる方向と、水平方向(厚さ方向に直交する方向)とのなす角度をθとした場合、θは、例えば45°以上であり、60°以上であってもよく、75°以上であってもよい。θが低すぎると、高い防眩性が得られない可能性がある。一方、θは、例えば90°以下である。また、図3(B)、(C)に示すように、凹凸構造の凸部は、第一側壁部61および第二側壁部62を有していてもよい。凹凸構造の凸部が、第一側壁部61および第二側壁部62を有する場合、少なくとも一方の角度θが、上述した範囲にあることが好ましく、両方の角度θが、上述した範囲にあることがより好ましい。また、図3(A)に示すように、側壁部6の断面形状は直線状であってもよく、図3(D)に示すように、側壁部6の断面形状は曲線状であってもよい。後者の場合、近似直線から側壁部6の角度θを求めることができる。
本開示における表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂を含むものであり、通常は電離放射線硬化性樹脂のみで形成される。ここで、電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合した電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。なお、本開示における「硬化性樹脂」には、硬化前の樹脂(未硬化樹脂)、半硬化樹脂、および、硬化後の樹脂(硬化樹脂)が含まれ得るが、中でも、半硬化樹脂または硬化樹脂が好ましい。
本開示における表面保護層の厚みについては、特に制限されないが、好ましくは2μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上15μm以下、さらに好ましくは2μm以上12μm以下である。このような範囲の厚みを満たしたものであれば、上記凹凸構造の凹凸の高低差よりも厚くなり、凹凸構造が形成可能であるからである。また、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、表面保護層を電離放射線硬化性樹脂を用いて作りやすいためである。ここで、表面保護層の厚みとは、表面保護層の基材層側の主面から凸部の頂点までの距離(すなわち、表面保護層の最大厚み)をいう。
なお、表面保護層は、樹脂の硬化性や意匠性の観点から、透明であることが好ましい。
本開示の加飾シートは、基材層を有する。基材層は、加飾シートの形状を保持し、表面保護層等を支持する支持体として機能する。また、加飾シートが、後述する樹脂成形品の表面に配置される場合、基材層は、樹脂成形品の表面と密着する機能を有することが好ましい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、三次元成形性を有するものが好ましく、加飾シートが配置される樹脂成形品の態様に応じて適宜選択することができ、通常、熱可塑性樹脂が選択される。
本開示の加飾シートに、良好な三次元成形性、形状保持性を付与することができるからである。
本開示の加飾シートは、少なくとも、基材層と、表面保護層とを有する。また、本開示の加飾シートは、隣接する層同士の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じてプライマー層を備えていてもよい。また、加飾シートに装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、装飾層を設けてもよい。また、加飾シートに紫外線耐久性等の耐久性を与える目的で、紫外線吸収剤等を含有させた表面保護層を別途設けることにより、表面保護層を2層以上からなるものとしてもよい。また、表面保護層を保護する目的で、表面保護層の凹凸構造側に保護フィルム層等を設けてもよい。この保護フィルムは使用する際に剥離するため、剥離性を有するものが好ましい。また、剥離性が乏しい場合には保護フィルムの表面保護層からの剥離性を向上させるため、保護フィルムと表面保護層の間に離型層を設けることもできる。図5に、基材層1/装飾層3/表面保護層2が順に積層された積層構造を有する、本開示の加飾シート10の概略断面図を示す。
基材層/装飾層/表面保護層が順に積層された積層構造;
基材層/プライマー層/表面保護層が順に積層された積層構造;
基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層が順に積層された積層構造;
基材層/表面保護層/保護フィルム層が順に積層された積層構造;
基材層/表面保護層/離型層/保護フィルム層が順に積層された積層構造;
基材層/装飾層/表面保護層/保護フィルム層が順に積層された積層構造;
基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層/保護フィルム層が順に積層された積層構造;
基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層/離型層/保護フィルム層が順に積層された積層構造;
基材層/装飾層/プライマー層/第1表面保護層/第2表面保護層/保護フィルム層が順に積層された積層構造等が挙げられる。
本開示における加飾シートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。図6に、図5で例示した基材層1/装飾層3/表面保護層2が順に積層された積層構造を有する加飾シートの製造工程を示す。
次いで、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを上記ベース部材4の凹凸構造上に塗布して硬化させ、凹凸構造を有する電離放射線硬化性樹脂からなる表面保護層2を形成する(図6(B))。
本開示の加飾シートは、基材層と、上記基材層の一方の主面側に配置され、電離放射線硬化性樹脂を有する表面保護層とを備える加飾シートであって、上記表面保護層は、上記基材層側とは反対側の主面に凹凸構造を有し、上記凹凸構造の頂部における平坦部の面積率が10%以下であり、上記凹凸構造の側壁部の角度が、45°以上90°以下である点に特徴を有する。
本開示における表面保護層には、上記基材層側とは反対側の表面に、凹凸構造が設けられている。上記凹凸構造の凹凸の間隔は、例えば0.5μm以上であり、1.0μm以上であってもよい。一方、上記凹凸構造の凹凸の間隔は、例えば100μm以下であり、75μm以下であってもよい。上記凹凸構造の凹凸の間隔が、所定の範囲にあることで、外観上は艶があるが、防眩性が高い加飾シートとすることができる。表面保護層に関する他の事項については、上記「A−1.加飾シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は書略する。
本開示における基材層、加飾シートの積層構造および加飾シートの製造方法については、上記「A−1.加飾シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は書略する。
本開示では、曲面部を有する樹脂成形品と、上記樹脂成形品の少なくとも上記曲面部上に配置された加飾シートとを有する加飾樹脂成形品であって、上記加飾シートが、上述した加飾シートであり、上記樹脂成形品と上記加飾シートの上記基材層側とが対向して配置されていることを特徴とする加飾樹脂成形品を提供する。
本開示における樹脂成形品は、所定の曲率半径を有する曲面部を有するものである。従来の加飾シートはこのような樹脂成形品の曲面部上に配置すると、加飾シートが最大3倍程度まで延伸するため、曲面部において虹柄の意匠が見えなくなっていた。本開示の加飾シートであれば、表面保護層が上記の所定の凹凸構造を有するため、このような樹脂成形品の曲面部にも、虹柄の意匠を付与することができる。
本開示においては、中でも、基材層の樹脂が、ABS樹脂、アクリル樹脂であることが好ましい。良好な三次元成形性を有するからである。
これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本開示の加飾樹脂成形品に用いられる加飾シートの詳細、および効果については、上記「A−1.加飾シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示においては、凹凸構造の長手方向と、樹脂成形品の主延伸方向とが、平行関係にあることが好ましい。加飾シートが延伸されても、防眩性の低下を抑制できるからである。「主延伸方向」とは、加飾シートが最も伸ばされる方向をいう。また、「平行関係にある」とは、2つの方向のなす角度θαが、30°以下であることをいう。2つの方向が交差する場合、θαは鋭角側の角度である。θαは、15°以下であってもよく、10°以下であってもよく、5°以下であってもよく、0°(平行)であってもよい。
本開示の加飾樹脂成形品は、インサート成形法や、射出成形同時加飾法を用いて製造することができる。
また、射出工程における流動状態の樹脂の温度は、例えば、180℃以上、320℃以下であっても良く、好ましくは220℃以上、280℃以下であっても良い。
本開示の加飾樹脂成形品は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
本開示では、樹脂成形品と、上記樹脂成形品の一方の主面側に配置された加飾シートとを有する加飾樹脂成形品であって、上記加飾シートが、上述した加飾シートであり、上記樹脂成形品と上記加飾シートの上記基材層側とが対向して配置されていることを特徴とする加飾樹脂成形品を提供する。
本開示における樹脂成形品は、通常、平面部および曲面部の少なくとも一方を有する。
さらに、樹脂成形品は、曲面部を少なくとも有することが好ましい。従来の加飾シートはこのような樹脂成形品上に延伸されて配置すると、防眩性が低下する場合があった。本開示の加飾シートであれば、表面保護層が上記の所定の凹凸構造を有するため、延伸されても高い防眩性を発揮することができる。特に、樹脂成形品の曲面部においても、高い防眩性を発揮することができる。
本開示の加飾樹脂成形品に用いられる加飾シートの詳細については、上記「A−2.加飾シート」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。また、本開示の加飾樹脂成形品、加飾樹脂成形品の製造方法、および加飾樹脂成形品の用途については、上記「B−1.加飾樹脂成形品」の項で説明した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
1.加飾シートの製造
ナノインプリント法により、PET上に凹凸構造を有するUV硬化樹脂を形成し、表1、表2に示されるような深さ、間隔のV溝を有する一次元格子のフィルム(ベース部材)を作製した。上記フィルムの凹凸面側に、下記の組成を有する電子線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚みが10μmとなるようにバーコートにより塗工した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、硬化させて、凹凸構造を有する表面保護層を形成した。表面保護層の凹凸側とは反対側の表面上に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、グラビア印刷により装飾層(厚さ5μm)を形成した。装飾層の模様は木目模様とした。次いで、装飾層上に、ABS樹脂フィルム(厚み400μm)を熱ラミネート(120℃、10kgf/cm2、5分)することで、基材層を形成した。最後に、ベース部材を剥離し、基材層/装飾層/表面保護層が順に積層された積層構造を有する加飾シートを製造した。
3官能ペンタエリスリトールアクリレート(分子量300):30質量部
アクリルポリマー(重量平均分子量12万):70質量部
上記で得られた各加飾シートを赤外線ヒーターで加熱し、シート温度が160℃になるまで軟化させた。次いで、真空成形用型を用いて真空成形を行い、金型の内部形状に成形した。真空成形後の加飾シートを冷却後、金型から離型した。次に、真空成形した加飾シートを金型に入れ、射出樹脂を金型のキャビティ内に射出し、該加飾シートと射出樹脂とを一体化成形し、金型から取り出すと同時に加飾樹脂成形品を得た。
得られた加飾樹脂成形品について、平面部と角部(曲面部)の表面を目視で観察し、以下の基準により虹感を評価した。結果を表1、表2に示す。
(目視による虹感の評価)
◎:目視による虹感に優れていた
〇:目視により虹感が感じられた
△:視認し辛いが、虹感が確認できた
×:虹感が視認できなかった
1.加飾シートの製造
ナノインプリント法により、PET上に凹凸構造を有するUV硬化樹脂を形成し、間隔25μmの溝を有する一次元格子のフィルム(ベース部材)を作製した。UV硬化樹脂の凹凸構造は、表面保護層の凹凸構造の断面形状が、図3(B)に示すような二等辺三角形、または、図3(A)に示すような台形が得られる形状とした。平坦部の面積率および側壁部の角度については、表3、表4に示す。なお、平坦部の面積率が0.5%である場合、表面保護層の凹凸構造の断面形状は三角形であり、それ以外の面積率の場合、表面保護層の凹凸構造の断面形状は台形であった。上記フィルムの凹凸面側に、実施例1と同様の電子線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚みが40μmとなるようにバーコートにより塗工した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、硬化させて、凹凸構造を有する表面保護層を形成した。表面保護層の凹凸側とは反対側の表面上に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、グラビア印刷により装飾層(厚さ5μm)を形成した。装飾層の模様は木目模様とした。次いで、装飾層上に、ABS樹脂フィルム(厚み400μm)を熱ラミネート(120℃、10kgf/cm2、5分)することで、基材層を形成した。最後に、ベース部材を剥離し、基材層/装飾層/表面保護層が順に積層された積層構造を有する加飾シートを製造した。得られた加飾シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾樹脂成形品を得た。
得られた加飾樹脂成形品の平面部に対する、入射角45°および入射角50°の蛍光灯の正反射光を目視で観察し、以下の基準により眩しさを評価した。結果を表3、表4に示す。
(10名の目視による眩しさの評価)
◎:眩しさを感じた人数が1名以下
○:眩しさを感じた人数が2名または3名
△:眩しさを感じた人数が4名または5名
×:眩しさを感じた人数が6名以上10名以下
ナノインプリント法により、PET上に凹凸構造を有するUV硬化樹脂を形成し、間隔25μm、頂角50°のV溝を有する一次元格子のフィルム(ベース部材)を作製した。
上記フィルムの凹凸面側に、ABS樹脂フィルム(厚み400μm)を熱ラミネート(120℃、10kgf/cm2、5分)し、ベース部材を剥離することで、凹凸構造を表面に有する基材層を形成した。基材層の凹凸構造上に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、グラビア印刷により装飾層(厚さ5μm)を形成した。装飾層の模様は木目模様とした。さらに、装飾層の表面上に、実施例1と同様の電子線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚みが10μmとなるようにバーコートにより塗工した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、硬化させて、表面保護層を形成した。これにより、加飾シートを製造した。なお、図8に示すように、表面保護層2および装飾層3は、基材層1であるABS樹脂フィルムの凹凸構造に追従するように、表面に凹凸構造を有していた。得られた加飾シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾樹脂成形品を得た。
得られた加飾樹脂成形品の平面部に対する、入射角45°および入射角50°の蛍光灯の正反射光を目視で観察し、実施例6と同様の基準により眩しさを評価した。実施例6および実施例12の結果を表5に示す。
2 … 表面保護層
3 … 装飾層
4 … ベース部材
10 … 加飾シート
Claims (2)
- 基材層と、前記基材層の一方の主面側に配置され、電離放射線硬化性樹脂を有する表面保護層とを備える加飾シートであって、
前記表面保護層は、前記基材層側とは反対側の主面に凹凸構造を有し、
前記凹凸構造の凹凸の間隔が0.5μm以上7.5μm以下であり、前記凹凸構造の凹凸の高低差が0.2μm以上5μm以下であり、
前記凹凸構造は、表面が虹色に見える意匠を付与することが可能なものであり、
前記凹凸構造の頂部に平坦部を有し、前記平坦部の面積率が0.5%以上10%以下であり、
前記凹凸構造の側壁部の角度が、45°以上90°以下である、加飾シート。 - 前記基材層の前記表面保護層側の主面が平坦構造を有する、請求項1に記載の加飾シート。
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