JP7312524B2 - 加飾シート、その製造方法、加飾シート原反、及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

加飾シート、その製造方法、加飾シート原反、及び加飾樹脂成形品 Download PDF

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Description

本発明は、加飾シート、その製造方法、加飾シート原反、及び加飾樹脂成形品に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。係る成形法の代表的な例としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、当該加飾シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出することにより樹脂と加飾シートとを一体化するインサート成形法や、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させる射出成形同時加飾法が挙げられる。また、射出成形による成形法以外には、真空圧着法のように予め成形された成形体上に加熱や加圧を伴いながら貼着される加飾方法においても加飾シートが用いられている。
例えば、加飾樹脂成形品に高い質感を付与する手法として、基材上に、絵柄層、第1の保護層、及び該第1の保護層上に部分的に第2の保護層を設けた加飾シートを用いる手法が知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。これらの文献に開示された手法によれば、加飾シートの第1及び第2の保護層間で艶を変化させると共に、絵柄層と第2の保護層を同調させることにより、加飾樹脂成形品に高い質感を与えることができる。
特開2009-113387号公報 特開2014-193535号公報
前述の通り、例えば、インサート成形法や射出成形同時加飾法に用いられる加飾シートは、射出成形の際に金型内に挿入され、キャビティ内に射出される樹脂(成形樹脂層を構成する樹脂)と一体化される。この際、加飾シートの裏面を構成している樹脂(例えば、基材層を構成している樹脂)と、射出樹脂とが同じ樹脂であれば、加飾シートと成形樹脂層とが密着した加飾樹脂成形品となる。ところが、加飾シートの裏面を構成している樹脂と、射出注入される溶融樹脂とが異なる樹脂である場合には、加飾シートと成形樹脂層との密着性が不十分となる場合がある。
また、例えば、インサート成形法に用いられる加飾シートには、基材だけでは剛性が不足している場合、射出樹脂と直接接触する裏面側に、さらに支持体シートが設けられ、支持体シートと射出樹脂とが一体化されることがある。この支持体シートは、加飾シートに剛性を与えて形状を保持する機能の他、射出樹脂と接着する必要がある。このため、支持体シートとしては、射出成形時やそれに先立つ予備成形時の熱によって、軟化しやすい熱可塑性樹脂シートが選択されている。このようなインサート成形に用いられる加飾シートにおいては、支持体シートが積層される前の状態での巻き取り時のブロッキングを防止するために、一般に、ブロッキング防止剤としての微粒子を含む硬化樹脂層(例えば、2液硬化型樹脂によって形成された層)が、支持体シートと積層される面に設けられている。
しかしながら、このような加飾シートの微粒子を含む硬化樹脂層と、熱可塑性樹脂により構成された支持体シートとは、密着性が低いという問題がある。
このような状況下、本発明は、製造工程におけるブロッキングを効果的に抑制することができ、さらに、成形樹脂層や支持体シートとの密着性に優れる加飾シート、加飾シート原反、及び加飾シートの製造方法を提供することを主な目的とする。さらに、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することも目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備える積層体からなり、ブロッキング防止層が、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されている加飾シートは、製造工程におけるブロッキングを効果的に抑制することができ、さらに、成形樹脂層や支持体シートとの密着性に優れることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備える積層体からなり、
前記ブロッキング防止層は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されている、加飾シート。
項2. 前記ブロッキング防止層の厚みが、10μm以下である、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記微粒子の粒子径が、0.5μm以上である、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂である、項1~3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記基材層が、アクリル樹脂またはABS樹脂により構成されている、項1~4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記基材層と前記保護層との間に絵柄層を有する、項1~5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記保護層は、前記基材層側から順に、第1の保護層、及び該第1の保護層上に部分的に設けられた第2の保護層を有する、項1~6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記ブロッキング防止層側の表面に、さらに支持体シートが積層されている、項1~7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 射出成形同時加飾法またはインサート成形法に用いるための、項1~8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、未硬化の保護層とをこの順に備える積層体からなり、
前記ブロッキング防止層は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されている、加飾シート原反。
項11. 少なくとも、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されているブロッキング防止層と、基材層と、未硬化の保護層とがこの順となるように積層して加飾シート原反を得る工程1と、
前記加飾シート原反を巻き取って巻取体を得る工程2と、
前記巻取体から加飾シート原反を巻き出して、前記未硬化の保護層を硬化させる工程3と、
を備える、少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備える加飾シートの製造方法。
項12 少なくとも、成形樹脂層と、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備える積層体からなり、
前記ブロッキング防止層は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されている、加飾樹脂成形品。
本発明によれば、製造工程におけるブロッキングを効果的に抑制することができ、さらに、成形樹脂層や支持体シートとの密着性に優れている加飾シート及び加飾シート原反を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該加飾シートの製造方法、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することもできる。
本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートを利用して製造される加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備える積層体からなり、ブロッキング防止層が、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されていることを特徴とする。また、本発明の加飾シート原反は、少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、未硬化の保護層とをこの順に備える積層体からなり、ブロッキング防止層が、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されていることを特徴とする。すなわち、本発明の加飾シートは、本発明の加飾シート原反の未硬化の保護層を硬化させたものである。本発明の加飾シート及び加飾シート原反においては、このような構成を備えていることにより、製造工程におけるブロッキングを効果的に抑制することができ、さらに、成形樹脂層や支持体シートとの密着性に優れている。
さらに、本発明の加飾シートの製造工程においては、未硬化の保護層を形成した加飾シート原反を製造し、未硬化の保護層を硬化させることによって、保護層を形成する。この加飾シート原反は、未硬化の保護層を備えているため、加飾シート原反を一旦巻き取る工程において、ブロッキングが生じやすいという問題があるが、本発明の加飾シート原反においては、ブロッキング防止層によってブロッキングが効果的に抑制されている。さらに、当該ブロッキング防止層を備えていることにより、その後の射出樹脂や支持体シートとの密着性にも優れている。
以下、本発明の加飾シートについて詳述する。なお、本明細書において、数値範囲については、「以上」、「以下」と明記している箇所を除き、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、図1に示されるように、少なくとも、ブロッキング防止層2と、基材層1と、保護層3とがこの順に積層された積層構造を有する。
本発明の加飾シートにおいて、図2に示されるように、装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、基材層1と保護層3との間に絵柄層4を設けてもよい。また、図3に示されるように、保護層3とこれに隣接する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、プライマー層5を設けてもよい。また、加飾シートの成形性を高めることなどを目的として、絵柄層4と保護層3との間、プライマー層5を設ける場合であれば絵柄層4とプライマー層5との間などに、必要に応じて、透明フィルム層6などを設けてもよい。また、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と絵柄層4との間などに、必要に応じて、隠蔽層(図示しない)を設けてもよい。
さらに、例えば図3に示されるように、保護層3は、基材層1側から順に、第1の保護層31、及び該第1の保護層31上に部分的に設けられた第2の保護層32を有していてもよい。第2の保護層32は、第1の保護層31の表面の一部3aの上に設けられている。第1の保護層31の表面においては、第2の保護層32が設けられた部分3aと、当該第2の保護層32が設けられていない部分3bとによって、凹凸形状が形成されている。
本発明の加飾シートの積層構造として、ブロッキング防止層/基材層/保護層がこの順に積層された積層構造;ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/保護層がこの順に積層された積層構造;ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された積層構造;ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/プライマー層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された積層構造;ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/透明フィルム層/プライマー層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、ブロッキング防止層/基材層/保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図3に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/透明フィルム層/プライマー層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
加飾シートを形成する各層の組成
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす層である。基材層1としては特に限定されず、加飾シートの用途に応じて繊維質シート、樹脂シート、金属シート、木質系基材シート等を使用できるが、加飾樹脂成形品の製造に用いられる場合など、三次元成形性が要求される場合は、樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されていることが好ましい。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂またはABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これらの単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種のシートによる複層シートで形成されていてもよい。
基材層1は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層1の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層1の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、基材層1には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
基材層1の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、
通常50~500μm程度、好ましくは75~200μm程度、さらに好ましくは100~150μm程度が挙げられる。基材層1の厚みが上記範囲内であると、加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
[ブロッキング防止層2]
本発明の加飾シートにおいて、ブロッキング防止層2は、加飾シートの製造工程におけるブロッキングを効果的に抑制し、さらに、成形樹脂層や支持体シートとの優れた密着性を発揮させるために設けられる層である。ブロッキング防止層2は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されている。
熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂;などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
加飾シートの製造工程におけるブロッキングを効果的に抑制する観点から、これらの熱可塑性樹脂の中でも、アクリル樹脂が好ましい。特に、前述の基材層1として、アクリル樹脂またはABS樹脂を用いる場合、ブロッキング防止層2に用いる熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂であることが好ましい。さらに、成形樹脂層や支持体シートとの優れた密着性を発揮させる観点から、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を組み合わせて使用することが好ましい。
ブロッキング防止層2に含まれる熱可塑性樹脂の割合としては、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90~98質量%程度、さらに好ましくは95~97質量%程度が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂中のアクリル樹脂の割合は、好ましくは20~70質量%程度、より好ましくは30~60質量%程度、さらに好ましくは40~55質量%程度が挙げられる。
微粒子としては、特に制限されず、ブロッキング防止剤として公知のものを用いることができる。微粒子としては、例えば、無機粒子、樹脂粒子などの粒子が挙げられる。
無機粒子としては、無機化合物により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、アルミナ粒子、ガラスバルーン粒子が挙げられ、これらの中でも好ましくはシリカ粒子が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、樹脂粒子としては、樹脂により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ、スチレンビーズ、メラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。樹脂粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
微粒子の粒子径としては、例えば0.5μm以上、好ましくは0.5~20μm程度、より好ましくは1~10μm程度が挙げられる。なお、本発明において、微粒子の粒子径は、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD-2100を使用し、圧縮空気を利用してノズルから測定対象となる粉体を噴射し、空気中に分散させて測定する、噴射型乾式測定方式により測定される値である。
ブロッキング防止層2の微粒子の含有量としては、特に制限されないが、好ましくは1~15質量%程度、より好ましくは3~10質量%程度が挙げられる。
また、ブロッキング防止層2の厚みとしては、特に制限されないが、例えば10μm以下、好ましくは1~10μm程度、より好ましくは2~5μm程度が挙げられる。なお、本発明において、ブロッキング防止層2の厚みは、微粒子による凸部が存在していない部分における厚みを意味する。
微粒子の粒子径は、ブロッキング防止層2の厚みよりも大きいことが好ましい。例えば、微粒子の粒子径は、ブロッキング防止層2の厚みの1.1~5倍であることが好ましく、1.3~3倍であることがより好ましい。
[絵柄層4]
絵柄層4は、必要に応じて、基材層1の上に設けられ、加飾シートに装飾性を与える層である。絵柄層4は、例えば、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。絵柄層4によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層4に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤としては、特に制限されず、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
絵柄層4の厚みは、特に制限されないが、例えば1~30μm程度、好ましくは1~20μm程度が挙げられる。
[保護層3]
本発明の加飾シートにおいて、保護層3は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めることなどを目的として設けられる層である。本発明の加飾シートにおいて、保護層3は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されていることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂としては、後述のものと同じものが挙げられる。
保護層3が単層により構成されている場合、保護層3の厚みとしては、好ましくは2~30μm程度、より好ましくは3~15μm程度が挙げられる。
本発明の加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めつつ、加飾シートの質感を高める観点からは、保護層3は、下記の第1の保護層31と第2の保護層32によって構成されていることが好ましい。
[第1の保護層31]
第1の保護層31は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高め、さらに後述の第2の保護層32と共に加飾シートに高い質感を付与するために設けられる層である。第1の保護層31は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されていることが好ましい。第1の保護層31の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、第1の保護層31の形成において好適に使用される。
<電離放射線硬化性樹脂>
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加飾樹脂成形品の製造に用いられる場合など、加飾シートに三次元成形性が要求される場合は、上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。本発明の加飾シートにおいて、第1の保護層がポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されることで、後述の第2の保護層が熱硬化性樹脂組成物の硬化物であっても優れた三次元成形性を得ることができる。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂として多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合、優れた三次元成形性を得る観点からは、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂と組み合わせて使用することが好ましく、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂との質量比を25:75~75:25とすることがより好ましい。以下、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートについて、詳述する。
<多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート>
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有するものであれば、特に制限されない。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2~6個が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールの水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリレート(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル)に変換して得られる。このエステル化反応は、通常のエステル化反応によって行うことができる。例えば、1)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとを、塩基存在下に縮合させる方法、2)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物とを、触媒存在下に縮合させる方法、或いは3)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸又はメタクリル酸とを、酸触媒存在下に縮合させる方法等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端又は側鎖に2個以上、好ましくは2~50個、更に好ましくは3~50個の水酸基を有する重合体である。当該ポリカーボネートポリオールの代表的な製造方法は、ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とから重縮合反応による方法が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるジオール化合物(A)は、一般式HO-R1-OHで表される。ここで、R1は、炭素数2~20の2価炭化水素基であって、基中にエーテル結合を含んでいてもよい。R1は、例えば、直鎖、又は分岐状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基である。
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのジオールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリカーボネートポリオールの原料として用いられる3価以上の多価アルコール(B)の例としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトール等のアルコール類が挙げられる。また、当該3価以上の多価アルコールは、前記多価アルコールの水酸基に対して、1~5当量のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、あるいはその他のアルキレンオキシドを付加させた水酸基を有するアルコール類であってもよい。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるカルボニル成分となる化合物(C)は、炭酸ジエステル、ホスゲン、又はこれらの等価体の中から選ばれるいずれかの化合物である。当該化合物として、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸ジエステル類;ホスゲン;クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル等のハロゲン化ギ酸エステル類等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネートポリオールは、前記ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とを、一般的な条件下で重縮合反応することにより合成される。ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)との仕込みモル比は、例えば、50:50~99:1の範囲に設定すればよい。また、ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)とに対する、カルボニル成分となる化合物(C)の仕込みモル比は、例えば、ジオール化合物及び多価アルコールの持つ水酸基に対して0.2~2当量の範囲に設定すればよい。
前記の仕込み割合で重縮合反応した後のポリカーボネートポリオール中に存在する水酸基の当量数(eq./mol)としては、例えば、1分子中に平均して3以上、好ましくは3~50、更に好ましくは3~20が挙げられる。このような等量数を充足すると、後述するエステル化反応によって必要な量の(メタ)アクリレート基が形成され、また多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート樹脂に適度な可撓性が付与される。なお、このポリカーボネートポリオールの末端官能基は、通常はOH基であるが、その一部がカーボネート基であってもよい。
以上説明したポリカーボネートポリオールの製造方法は、例えば、特開昭64-1726号公報に記載されている。また、このポリカーボネートポリオールは、特開平3-181517号公報に記載されているように、ポリカーボネートジオールと3価以上の多価アルコールとのエステル交換反応によっても製造することができる。
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量が5千以上、好ましくは1万以上が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御するという観点から、例えば、10万以下、好ましくは5万以下が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量として、質感のある豊かな低艶感の表出効果と成形性をより一層向上させるという観点から、好ましくは1万~5万、更に好ましくは1万~2万が挙げられる。
なお、本明細書における多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
第1の保護層31の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物における多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの含有量としては、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、射出成形時などにおける熱と圧力によっても、第1の保護層31と後述の第2の保護層3によって形成された凹凸形状を保持し、加飾シートに表出されていた高い質感の劣化をより効果的に抑制する観点からは、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上が挙げられる。
<多官能(メタ)アクリレート>
多官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有するものであれば、特に制限されない。このような多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2~12個が挙げられる。また、多官能(メタ)アクリレートは、シリコーン変性されたものであってもよい。多官能(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
多官能(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量が2千以上、好ましくは5千以上が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御するという観点から、例えば、3万以下、好ましくは1万以下が挙げられる。
なお、本明細書における多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
第1の保護層31の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物における、多官能(メタ)アクリレートの含有量としては、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、射出成形時などにおける熱と圧力によっても、第1の保護層31と後述の第2の保護層3によって形成された凹凸形状を保持し、加飾シートに表出されていた高い質感の劣化をより効果的に抑制する観点からは、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下が挙げられる。
第1の保護層31の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物において、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用する場合、これらの質量比(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート:多官能(メタ)アクリレートとしては、好ましくは50:50~99:1程度、より好ましくは80:20~99:1程度、さらに好ましくは85:15~99:1程度が挙げられる。
第1の保護層31は、艶消し剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、保護層3の艶を低下させたり、耐傷付き性をより向上させるために使用される。
艶消し剤としては、例えば、無機粒子及び樹脂粒子が挙げられる。なお、第1の保護層31において、無機粒子及び樹脂粒子は、主に、第1の保護層31の艶を低下させる機能を有し、艶を低下させる機能は、一般には無機粒子の方が樹脂粒子よりも大きい傾向がある。第1の保護層31に無機粒子または樹脂粒子が含まれる場合、これらの粒子は、第1の保護層31中に分散されている。
無機粒子としては、無機化合物により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、ブロッキング防止層2で例示したものと同じものが挙げられ、好ましくはシリカ粒子が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。無機粒子の粒子径としては、例えば0.5~20μm程度、好ましくは1~10μm程度が挙げられる。
第1の保護層31が無機粒子を含む場合、無機粒子の含有量としては、特に制限されないが、上述の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは1~60質量部程度、より好ましくは10~40質量部程度が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、樹脂粒子としては、樹脂により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、ブロッキング防止層2で例示したものと同じものが挙げられ、加飾シートの耐傷付き性をより向上させる観点からは、好ましくはウレタンビーズが挙げられる。樹脂粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。樹脂粒子の粒子径としては、例えば0.5~30μm程度、好ましくは1~20μm程度が挙げられる。
第1の保護層31が樹脂粒子を含む場合、樹脂粒子の含有量としては、特に制限されないが、上述の電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは1~200質量部程度、より好ましくは10~150質量部程度が挙げられる。
なお、第1の保護層31において、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方が含まれる場合、第1の保護層31の表面からこれらの粒子の一部が突出していてもよいし、第1の保護層31の内部に粒子が埋没していてもよい。
第1の保護層31中には、第1の保護層31に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
第1の保護層31の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、0.1~20μm程度、好ましくは0.5~10μm程度、さらに好ましくは1~5μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性等の第1の保護層としての十分な物性が得られる。また、第1の保護層31を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物に対して電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。なお、第1の保護層31が上述の無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む場合、第1の保護層31の厚みとは、無機粒子または樹脂粒子が第1の保護層31の表面に位置していない部分の厚みをいう。
第1の保護層31の形成は、例えば、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、第1の保護層31に隣接する層上に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、第1の保護層31に隣接する層上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて第1の保護層31を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、第1の保護層31の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと第1の保護層31の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、第1の保護層31の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。また、照射線量は、第1の保護層31の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~50kGy(1~5Mrad)の範囲で選定される。さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が挙げられる。
[第2の保護層32]
第2の保護層32は、本発明の加飾シートにおいて、第1の保護層31の一部の上に設けられており、これにより形成された凹凸形状によって、加飾シートに高い質感を付与している。また、第2の保護層32と第1の保護層31との間に艶差を設けることよって、加飾シートに高い質感を付与することができる。例えば、第2の保護層32を高艶状態(グロス)とし、第1の保護層31を低艶状態(マット)とし、両層間、ひいては第2の保護層32の形成部と非形成部との間に艶差を発現させることにより、加飾シートに高い質感を付与することができる。
また、本発明においては、第2の保護層32は、絵柄層4に同調するように部分的に設けられてもよい。より具体的には、第1の保護層31の表面上の第2の保護層32が設けられた部分3aと設けられていない部分3bとによって形成された凹部形状と、後述の絵柄層4によって形成される模様とを同調させることにより、加飾シートに高い質感や、本物らしい意匠感を付与することができる。例えば後述の絵柄層4に形成された模様が木目柄である場合、その絵柄によって表現された導管部と、上記の凹凸形状の凹部とを同調させることによって、木目柄にリアル感を持たせることができる。さらに、本発明において、第1の保護層31を上記の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成することにより、第1の保護層31と第2の保護層32によって加飾シートに表出されていた高い質感や本物らしい意匠感が加飾樹脂成形品の成形時に劣化することを効果的に抑制することができる。
第2の保護層32を構成する樹脂としては、特に制限されず、前述の電離放射線樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、第2の保護層32は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されていることが好ましい。第2の保護層32の形成に用いられる熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、アクリルポリオール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられ、これらのなかでも、水酸基官能性アクリル樹脂及びウレタン樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
水酸基官能性アクリル樹脂としては、好ましくはアクリルポリオール樹脂などが挙げられる。また、アクリルポリオール樹脂としては、特に制限されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるものが挙げられる。また、ウレタン樹脂としては、好ましくは2液硬化型ウレタン樹脂が挙げられる。
上記ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。
上記ウレタン樹脂の中でも、架橋後の密着性の向上等の観点から、好ましくは、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋材としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせ;さらに好ましくは、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせが挙げられる。
上記アクリル樹脂としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂として、より具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらのアクリル樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル-ウレタン共重合体樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル-ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が挙げられる。また、硬化剤としては、前述する各種イソシアネートが用いられる。アクリル-ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂におけるアクリルとウレタン比の比率については、特に制限されないが、例えば、アクリル/ウレタン比(質量比)として、9/1~1/9、好ましくは8/2~2/8が挙げられる。
当該熱硬化性樹脂の重量平均分子量としては、特に制限されないが、例えば、アクリルポリオール樹脂であれば、好ましくは30000~200000程度、より好ましくは70000~150000程度が挙げられる。なお、本明細書におけるアクリルポリオール樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
これらの熱硬化性樹脂の硬化の態様としては、特に制限されず、例えば以下のような態様が例示できる。例えば、エポキシ樹脂であれば、アミン、酸触媒、カルボン酸、酸無水物、水酸基、ジシアンジアミド又はケチミンとの反応などが挙げられる。フェノール樹脂であれば、塩基触媒と過剰なアルデヒドとの反応などが挙げられる。ユリア樹脂であれば、アルカリ性または酸性下での重縮合反応などが挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂であれば、無水マレイン酸とジオールとの共縮合反応などが挙げられる。メラミン樹脂であれば、メチロールメラミンの加熱重縮合反応などが挙げられる。アルキド樹脂であれば、側鎖などに導入された不飽和基同士の空気酸化による反応などが挙げられる。ポリイミド樹脂であれば、酸または弱アルカリ触媒の存在下での反応、又はイソシアネート化合物との反応(2液型の場合) などが挙げられる。シリコーン樹脂であれば、シラノール基の酸触媒の存在下での縮合反応などが挙げられる。水酸基官能性アクリル樹脂であれば、水酸基と自身が持つアミノ樹脂との反応(1液型の場合)などが挙げられる。カルボキシル官能性アクリル樹脂であれば、アクリル酸またはメタクリル酸などのカルボン酸とエポキシ化合物による反応などが挙げられる。アミド官能性共重合体であれば、水酸基との反応または自己縮合反応などが挙げられる。ウレタン樹脂であれば、水酸基を含有するポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂とイソシアネート化合物又はその変性物との反応などが挙げられる。
第2の保護層32は、添加剤として艶消し剤やワックスを含んでいてもよい。これらの添加剤は、第2の保護層32の艶を低下させたり、耐傷付き性をより向上させるために使用される。艶消し剤としては、特に制限されず、例えば、無機粒子、樹脂粒子などが挙げられる。無機粒子及び樹脂粒子としては、それぞれ、ブロッキング防止層2で例示した無機粒子及び樹脂粒子と同じものが例示できる。なお、第2の保護層32において、無機粒子及び樹脂粒子は、主に、第2の保護層32の艶を低下させる機能を発揮する。上述の通り、第1の保護層31と第2の保護層32とに艶差を設けることによって、加飾シートに高い質感を付与することができる。第2の保護層32に無機粒子及び樹脂粒子が含まれる場合、これらの粒子は、第2の保護層32に分散されている。
第2の保護層32に含まれる無機粒子の粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは0.5~15μm程度、より好ましくは1~10μm程度が挙げられる。また、樹脂粒子の粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは0.1~20μm程度、より好ましくは0.5~15μm程度が挙げられる。
第2の保護層32が無機粒子を含む場合、第2の保護層32に含まれる無機粒子の含有量としては、特に制限されず、第2の保護層32に含まれる上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは1~50質量部程度、より好ましくは5~30質量部程度が挙げられる。また、樹脂粒子の含有量としては、特に制限されず、第2の保護層32に含まれる上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは1~200質量部程度、より好ましくは10~150質量部程度が挙げられる。
ワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックスが使用できる。ワックスは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよいし、無機粒子や樹脂粒子と併用してもよい。
第2の保護層32がワックスを含む場合、第2の保護層32に含まれるワックスの含有量としては、特に制限されず、第2の保護層32に含まれる上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部程度、より好ましくは0.5~2質量部程度が挙げられる。
なお、第2の保護層32において、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方が含まれる場合、第2の保護層32の表面からこれらの粒子の一部が突出していてもよいし、第2の保護層32の内部に粒子が埋没していてもよい。
第1の保護層31の表面に占める第2の保護層32が形成されている部分の面積の合計割合としては、特に制限されないが、加飾シート原反を巻取体とした際のブロッキング等を効果的に抑制する観点からは、好ましくは5~95%、より好ましくは10~95%、さらに20~95%の範囲が挙げられる。
第2の保護層32の厚みは、特に制限されないが、加飾シートに質感を与えるとともに、成形後においても、第2の保護層32によって形成された凹凸形状が保持され、加飾シートに表出されていた高い質感の劣化を効果的に抑制する観点からは、好ましくは0.1~20μm程度、より好ましくは0.5~10μm程度、さらに好ましくは1~5μm程度が挙げられる。なお、第2の保護層32が上述の無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む場合、第2の保護層32の厚みとは、無機粒子または樹脂粒子が第2の保護層32の表面に位置していない部分の厚みをいう。
第2の保護層32は、上記の第1の保護層31と同様の方法により形成することができる。具体的には、第2の保護層32を形成する熱硬化性樹脂組成物を調製し、前記の厚みとなるように、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷方式、好ましくはグラビア印刷により第1の保護層31上の一部に樹脂組成物を塗布し、加熱により熱硬化性樹脂組成物を硬化させることによって形成することができる。前述の通り、本発明において、第2の保護層32の形成は、未硬化の第1の保護層31の上に熱硬化性樹脂組成物を塗布、加熱硬化することにより行うことができる。
[プライマー層5]
プライマー層5は、保護層3とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて含まれる層である。プライマー層5は、樹脂により形成することができる。
プライマー層5を形成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、(メタ)アクリル-ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、好ましくは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル-ウレタン共重合体樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ウレタン樹脂としては、第2の保護層32で例示したものと同様のものが使用できる。
プライマー層5の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.1~10μm程度、好ましくは1~10μm程度が挙げられる。プライマー層5がこのような厚みを充足することにより、保護層3の割れ、破断、白化などを効果的に抑制することができる。
プライマー層5は、プライマー層5を形成する樹脂を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
[透明フィルム層6]
透明フィルム層6は、本発明の加飾シートの耐傷付き性や耐候性を高めると共に、成形性を高める支持体としての役割を果たし、必要に応じて、基材層1や絵柄層4などの上に設けられる。透明フィルム層6は、樹脂フィルムにより形成される。透明フィルム層6を備えることで成形性が高まり、加飾シートを三次元成形した際に保護層3にクラックが生じ難くなる。透明フィルム層6を形成する樹脂フィルムとしては、加飾シートの成形性を高められると共に、絵柄層4の上に設けられる場合において絵柄層4による意匠を隠蔽しないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などのフィルムが挙げられる。
透明フィルム層6の厚みは、特に限定されないが、通常15~200μm程度、好ましくは30~150μm程度である。
透明フィルム層6を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、基材層1や絵柄層4など、隣接する層の表面上に上記の樹脂フィルムを熱ラミネート、ドライラミネートなどにより積層する方法などが挙げられる。
[隠蔽層]
隠蔽層は、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と保護層3との間、絵柄層4を設ける場合であれば基材層1と絵柄層4との間などに、必要に応じて設けられる層である。
隠蔽層は、基材層1が加飾シートの色調や絵柄に悪影響を及ぼすのを抑制するために設けられるため、一般には不透明色の層として形成される。
隠蔽層は、バインダーに、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したインキ組成物を用いて形成される。隠蔽層を形成するインキ組成物は、上述の絵柄層4に使用されるものから適宜選択して使用される。
隠蔽層は、通常、厚みが1~20μm程度に設定され、所謂ベタ印刷層として形成されることが望ましい。
本発明の加飾シートは、射出成形同時加飾法に用いるための加飾シートとして好適に使用することができる。また、本発明の加飾シートは、ブロッキング防止層2側の表面にさらに支持体シートが積層されて、インサート成形法に用いるための加飾シートとして好適に使用することができる。
支持体シートとしては、射出成形時やそれに先立つ予備成形時の熱によって、軟化しやすい熱可塑性樹脂シートであれば、特に制限されないが、好ましくはABS樹脂シートが挙げられる。
支持体シートの厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは100μm以上、より好ましくは150~400μm程度が挙げられる。
ブロッキング防止層2側の表面への支持体シートの積層は、熱ラミネートやドライラミネートにより行うことができる。ドライラミネートにより支持体シートを積層する場合、ポリエステル系、アクリル系等の公知の接着剤により形成される接着剤層を介してブロッキング防止層2側の表面に支持体シートを積層すればよい。
2.加飾シートの製造方法
前述した本発明の加飾シートは、以下の工程1~3を含む方法により製造することができる。
少なくとも、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されているブロッキング防止層2と、基材層1と、未硬化の保護層とがこの順となるように積層して加飾シート原反を得る工程1
加飾シート原反を巻き取って巻取体を得る工程2
巻取体から加飾シート原反を巻き出して、未硬化の保護層を硬化させる工程3。
加飾シートに、前述の絵柄層4、プライマー層5、透明フィルム層6、隠蔽層などを積層する場合には、工程1などにおいて、これらの層を積層すればよい。また、各層の形成に使用される成分、厚み、各層の形成方法の具体的条件等については、前記各層の組成の欄で述べた通りである。
本発明の加飾シートの製造工程においては、工程1で製造される加飾シート原反に、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されているブロッキング防止層2が設けられているため、その後の工程2、3において、ブロッキングが生じることが効果的に抑制されている。
本発明の加飾シートの製造工程において製造される、加飾シート原反は、少なくとも、ブロッキング防止層2と、基材層1と、未硬化の保護層とをこの順に備える積層体からなり、ブロッキング防止層2は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されている。
前述の本発明の加飾シートの製造方法においても説明した通り、本発明の加飾シート原反は、少なくとも、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されているブロッキング防止層2と、基材層1と、未硬化の保護層とがこの順となるように積層する工程(加飾シートの製造方法の工程1)により製造することができる。
3.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層7と、ブロッキング防止層2と、基材層1と、保護層3とをこの順に備える積層体からなり、ブロッキング防止層2が、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されていることを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、前述の絵柄層4、プライマー層5、透明フィルム層6、隠蔽層などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい(図4を参照)。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。本発明においては、本発明の加飾シートを各種射出成形法に供して加飾樹脂成形品を作製することによって、加飾シートと成形樹脂層とが優れた密着性を発揮することができる。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。なお、本発明の加飾シートをインサート成形法に適用する場合には、ブロッキング防止層2側の表面にさらに支持体シートが積層されていることが好ましい。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。
この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層又は支持体シートとしてABS樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常120~200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180~320℃程度とすることができる。
また、射出成形同時加飾法では、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本発明の加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートのブロッキング防止層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常70~130℃程度とすることができる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180~320℃程度とすることができる。
また、本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層7)上に、本発明の加飾シートを貼着する加飾方法によっても作製することができる。真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材層1側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60~200℃程度とすることができる。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層7は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層7を形成する成形樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、ブロッキング防止層2との密着性に特に優れることから、これらの中でもABS樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品や化粧板は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
(加飾シートの作製)
<実施例1~2>
表1に記載のアクリル樹脂フィルム(厚み125μm)またはABS樹脂フィルム(厚み100μm)を基材層として用いた。基材層の一方側の表面に、表1に記載の組成を備える樹脂組成物を塗布して、ブロッキング防止層(微粒子を含む熱可塑性樹脂)を形成した。なお、3Sの含有量は、6質量%である。次に、基材層の他方側の表面に、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の混合樹脂(質量比50:50)を含むインキを用いて、グラビア印刷により絵柄層(厚み5μm)を形成した。絵柄層の模様は、木目模様とした。次に、絵柄層の上に電離放射線樹脂(ポリカーボネート系ウレタンアクリレート)を含む樹脂組成物を用いて、グラビア印刷により未硬化の第1の保護層(厚み3μm)を形成した。次に、未硬化の第1の保護層の上に、電離放射線樹脂:ペンタエリスリトールトリアクリレート30質量部と非架橋性のアクリル樹脂70質量部とを含む樹脂組成物を用いて、絵柄層の木目模様の導管部に対応する位置が非形成部となるように、木目模様と同調した第2の保護層(厚み3μm)をパターン状に形成して加飾シート原反を得た。次に、加飾シート原反(長さ500m)を円断面の直径が7cmの円柱状のコア管に巻き取った。得られた巻取体から、加飾シート原反を巻き出し、加飾シート原反の第2の保護層側から電子線を照射(加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad))して、第1の保護層及び第2の保護層を硬化させ、ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。なお、第1の保護層の表面に占める第2の保護層が形成されている部分の面積の合計割合は、約50%であった。
<比較例1~2>
表1に記載のアクリル樹脂フィルム(厚み125μm)またはABS樹脂フィルム(厚み100μm)を基材層として用いた。基材層の一方側の表面に、塩化ビニル樹脂/酢酸ビニル-アクリル系共重合体(質量比50:50)を含むインキを用いて、グラビア印刷により絵柄層(厚み5μm)を形成した。絵柄層の模様は、木目模様とした。次に、絵柄層の上に電離放射線樹脂(ポリカーボネート系ウレタンアクリレート)を含む樹脂組成物を用いて、グラビア印刷により未硬化の第1の保護層(厚み3μm)を形成した。次に、未硬化の第1の保護層の上に、電離放射線樹脂:ペンタエリスリトールトリアクリレート30質量部と非架橋性のアクリル樹脂70質量部とを含む樹脂組成物を用いて、絵柄層の木目模様の導管部に対応する位置が非形成部となるように、木目模様と同調した第2の保護層(厚み3μm)をパターン状に形成して加飾シート原反を得た。次に、加飾シート原反(長さ500m)を円断面の直径が7cmの円柱状のコア管に巻き取った。得られた巻取体から、加飾シート原反を巻き出し、加飾シート原反の第2の保護層側から電子線を照射(加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad))して、第1の保護層及び第2の保護層を硬化させた。次に、基材層の表面に、表1に記載の組成を有するヒートシール層(厚み4μm)を設けて、ヒートシール層/基材層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。なお、第1の保護層の表面に占める第2の保護層が形成されている部分の面積の合計割合は、約50%であった。
<比較例3~4>
表1に記載のアクリル樹脂フィルム(厚み125μm)またはABS樹脂フィルム(厚み100μm)を基材層として用いた。基材層の一方側の表面に、表1に記載の組成を備える樹脂組成物(微粒子を含む2液硬化型樹脂)を塗布して、ブロッキング防止層を形成した。なお、4Sの含有量は、25質量%である。次に、基材層の他方側の表面に、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の混合樹脂(質量比50:50)を含むインキを用いて、グラビア印刷により絵柄層(厚み5μm)を形成した。絵柄層の模様は、木目模様とした。次に、絵柄層の上に電離放射線樹脂(ポリカーボネート系ウレタンアクリレート)を含む樹脂組成物を用いて、グラビア印刷により未硬化の第1の保護層(厚み3μm)を形成した。次に、未硬化の第1の保護層の上に、電離放射線樹脂:ペンタエリスリトールトリアクリレート30質量部と非架橋性のアクリル樹脂70質量部とを含む樹脂組成物を用いて、絵柄層の木目模様の導管部に対応する位置が非形成部となるように、木目模様と同調した第2の保護層(厚み3μm)をパターン状に形成して加飾シート原反を得た。次に、加飾シート原反(長さ500m)を円断面の直径が7cmの円柱状のコア管に巻き取った。得られた巻取体から、加飾シート原反を巻き出し、加飾シート原反の第2の保護層側から電子線を照射(加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad))して、第1の保護層及び第2の保護層を硬化させ、ブロッキング防止層/基材層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。なお、第1の保護層の表面に占める第2の保護層が形成されている部分の面積の合計割合は、約50%であった。
(加飾シートの製造工程におけるブロッキング評価)
前述の加飾シート製造工程において、加飾シート原反を巻き取った際のブロッキング防止性能を、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
〇:ブロッキングは見られず、巻き出し後の第1の保護層及び第2の保護層の状態に変化がない。
×ブロッキングが見られ、巻き出し後の第1の保護層及び第2の保護層の状態に変化がある。
(射出樹脂との密着性評価)
上記の加飾シートを射出成形同時加飾法に供して、射出樹脂との密着性を以下の基準により評価した。なお、射出樹脂としては、ABS樹脂を用い、射出成形同時加飾法の具体的な条件は以下の通りとした。結果を表1に示す。
射出樹脂温度:240~265℃射出熱圧:150MPa
評価方法:加飾樹脂成形品の表面にカッターナイフを用いて間隔1mmで縦11本、横11本の切れ込みを入れ、縦10マス×横10マスの碁盤目状の切れ込みを形成し、剥がれの発生の程度を観察した。
○:剥がれ発生無し
×:剥がれ発生有り(50マス未満)
××:剥がれ発生有り(50マス以上)
次に、得られた加飾樹脂成形品の加飾シート側からカッターで斜めに深く切れ込みを入れ、テープを密着させた後、テープを剥離した。
〇:加飾シートが射出樹脂から全く剥がれない
×:切れ込みを入れた時に僅かに剥がれが見られるが、テープでは剥がれない
××:切れ込みを入れただけで射出樹脂から加飾シートが剥がれる
(支持体シートとの密着性評価)
上記の加飾シートの裏面側に、接着剤層を介して支持体シートを積層して、以下の基準により、加飾シートと支持体シートとの密着性を評価した。なお、支持体シートとしては、ABS樹脂フィルム(厚さ350μm)を用い、具体的な積層条件は以下の通りとした。結果を表1に示す。加飾シートと支持体シートを、ポリエステルポリオール及びイソシアネート硬化剤からなるポリエステル系2液硬化型の接着剤を用いたドライラミネートにより、加飾シートの端部が密着しないようにして積層し、その後、40℃、72時間養生して、前記の端部から加飾シートを手で剥離させた。
〇:加飾シートと支持体シートが全く剥がれない
×:端部より剥離が生じる
Figure 0007312524000001
表1に示す各成分としては、以下のものを用いた。
(樹脂)
AE:塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の混合樹脂(質量比50:50)
AP:アクリルポリオール樹脂+イソシアネート化合物(硬化剤)
(微粒子)
3S:粒子径3μmのシリカ粒子
4S:粒子径4μmのシリカ粒子
表1に示されるように、ブロッキング防止層が微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されている実施例1~2の加飾シートでは、製造工程におけるブロッキングが効果的に防止されており、さらに、射出樹脂や支持体シートとの密着性にも優れていた。
一方、ブロッキング防止層の代わりにヒートシール層を設けた比較例1~2の加飾シートでは、射出樹脂や支持体シートとの密着性には優れていたが、製造工程におけるブロッキングを防止できなかった。特に、基材層にアクリル樹脂を用いた比較例1では、ブロッキング防止性能が非常に低かった。
また、ブロッキング防止層を2液硬化型樹脂により構成した比較例3~4の加飾シートでは、ブロッキングは効果的に防止できたが、射出樹脂や支持体シートとの密着性に劣っていた。特に、基材層にアクリル樹脂を用いた比較例3では、射出樹脂との密着性が特に劣っていた。
1…基材層
2…ブロッキング防止層
3…保護層
31…第1の保護層
32…第2の保護層
4…絵柄層
5…プライマー層
6…透明フィルム層
7…成形樹脂層

Claims (11)

  1. 少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備える積層体からなり、
    前記保護層は、前記基材層側から順に、第1の保護層、及び前記第1の保護層上に部分的に設けられ前記保護層の表面に凹凸形状を形成する第2の保護層を有し、
    前記ブロッキング防止層は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されており、前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含み、前記熱可塑性樹脂中の前記アクリル樹脂の割合は、20~70質量%である、加飾シート。
  2. 前記ブロッキング防止層の厚みが、10μm以下である、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記微粒子の粒子径が、0.5μm以上である、請求項1または2に記載の加飾シート。
  4. 前記基材層が、アクリル樹脂またはABS樹脂により構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の加飾シート。
  5. 前記基材層と前記保護層との間に絵柄層を有する、請求項1~4のいずれかに記載の加飾シート。
  6. 前記第1の保護層は、艶消し剤を含む、請求項1~5のいずれかに記載の加飾シート。
  7. 前記ブロッキング防止層側の表面に、さらに支持体シートが積層されている、請求項1~6のいずれかに記載の加飾シート。
  8. 射出成形同時加飾法またはインサート成形法に用いるための、請求項1~7のいずれかに記載の加飾シート。
  9. 少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、未硬化の保護層とをこの順に備える積層体からなり、
    前記保護層は、前記基材層側から順に、第1の保護層、及び前記第1の保護層上に部分的に設けられ前記保護層の表面に凹凸形状を形成する第2の保護層を有し、
    前記ブロッキング防止層は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されており、前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含み、前記熱可塑性樹脂中の前記アクリル樹脂の割合は、20~70質量%である、加飾シート原反。
  10. 少なくとも、微粒子と熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成されているブロッキング防止層と、基材層と、未硬化の保護層とがこの順となるように積層して加飾シート原反を得る工程1と、
    前記加飾シート原反を巻き取って巻取体を得る工程2と、
    前記巻取体から加飾シート原反を巻き出して、前記未硬化の保護層を硬化させる工程3と、
    を備えており、
    前記ブロッキング防止層に含まれる前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含み、
    前記熱可塑性樹脂中の前記アクリル樹脂の割合は、20~70質量%であり、少なくとも、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備え、
    前記保護層は、前記基材層側から順に、第1の保護層、及び前記第1の保護層上に部分的に設けられ前記保護層の表面に凹凸形状を形成する第2の保護層を有する加飾シートの製造方法。
  11. 少なくとも、成形樹脂層と、ブロッキング防止層と、基材層と、保護層とをこの順に備える積層体からなり、
    前記保護層は、前記基材層側から順に、第1の保護層、及び前記第1の保護層上に部分的に設けられ前記保護層の表面に凹凸形状を形成する第2の保護層を有し、
    前記ブロッキング防止層は、微粒子と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成されており、
    前記ブロッキング防止層に含まれる前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含み、
    前記熱可塑性樹脂中の前記アクリル樹脂の割合は、20~70質量%である、加飾樹脂成形品。
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