JP6946629B2 - 加飾シート、加飾樹脂成形品、及び加飾樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

加飾シート、加飾樹脂成形品、及び加飾樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加飾シート、加飾樹脂成形品、及び加飾樹脂成形品の製造方法に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。このような加飾樹脂成形品の製造方法の代表的な例としては、例えばインサート成形法などが知られている。インサート成形法は、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、当該加飾シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出することにより、樹脂と加飾シートとを一体化する方法である。
近年、自動車の内装を始めとして、加飾樹脂成形品の高意匠化がますます進んでおり、加飾シートには、外観を目視で観察した際に立体感が認識でき、高い質感の表出が求められている。従来、加飾樹脂成形品に高い質感を付与する方法としては、加飾シートにおいて、部分的に設けられた低艶層と、シート全面に形成された表面保護層との組合せによる意匠の表現を用い、射出成形に適したものとする技術が提案されている(例えば特許文献1,2)。また、更に高い質感を表現するための手法として、表面保護層(低艶)及び部分的に設けられたパターン形成樹脂層(高艶)の組み合わせによる意匠の表現手法も開発されている(例えば、特許文献3,4)。しかしながら、近年の意匠の多様化や高級化に伴い、従来の加飾シートでは、消費者の要求に応じきれない場合が生じてきた。
特開2009−132145号公報 特開2010−30277号公報 特開2001−138469号公報 国際公開2015/046568号
本発明は、高い質感を有する加飾シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、金属薄膜層と、絵柄層と、第1の保護層と、第2の保護層とをこの順に有する積層体からなり、絵柄層が、金属薄膜層の一部の上に設けられており、第2の保護層が、絵柄層の上であり、かつ、第1の保護層の一部の上に設けられている加飾シートは、高い質感を表出することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、金属薄膜層と、絵柄層と、第1の保護層と、第2の保護層とをこの順に有する積層体からなり、
前記絵柄層は、前記金属薄膜層の一部の上に設けられており、
前記第2の保護層は、前記絵柄層の上であり、かつ、前記第1の保護層の一部の上に設けられている、加飾シート。
項2. 前記金属薄膜層が、金属蒸着層、金属スパッタリング層、金属イオンプレーティング層、高輝度インキ層、または金属めっき層である、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記第1の保護層が、前記加飾シートの片面の全面に設けられている、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記金属薄膜層と前記絵柄層との間に、透明樹脂層を有する、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記第1の保護層が、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記第2の保護層が、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記加飾シートを前記第2の保護層側から観察距離1mで平面視した際に、前記金属薄膜層を目視で視認することができる、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記加飾シートの厚み方向の断面において、前記第2の保護層と前記絵柄層とが共に設けられていない領域Aの幅xが、1mm以上である部分を有する、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 前記第1の保護層上において、前記第2の保護層が設けられた部分と設けられていない部分とによって形成された凹部形状が、前記絵柄層の模様と同調している、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 少なくとも、成形樹脂層と、金属薄膜層と、絵柄層と、第1の保護層と、第2の保護層とをこの順に有する積層体からなり、
前記絵柄層は、前記金属薄膜層の一部の上に設けられており、
前記第2の保護層は、前記絵柄層の上であり、かつ、前記第1の保護層の一部の上に設けられている、加飾樹脂成形品。
項11. 項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを射出成形型に挿入し、前記射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を前記射出成形型内に射出して前記樹脂と前記加飾シートとを一体化する一体化工程、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
項12. 前記加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程を前記一体化工程の前に供える、項11に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明によれば、高い質感を有する加飾シートを提供することができる。さらに、本発明によれば、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品、当該加飾樹脂成形品の製造方法を提供することもできる。
本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートを平面視した際の一例の模式図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、少なくとも、金属薄膜層と、絵柄層と、第1の保護層と、第2の保護層とをこの順に有する積層体からなり、記絵柄層が、金属薄膜層の一部の上に設けられており、第2の保護層が、絵柄層の上であり、かつ、第1の保護層の一部の上に設けられていることを特徴とする。本発明の加飾シートは、このような特定の構成を備えていることにより、従来の加飾シートでは表現できなかった、優れた質感を発揮することができる。特に、本発明の加飾シートを第2の保護層側から平面視(観察距離としては、例えば、1m程度)した際に、金属薄膜層を目視で視認することができるように設計されている場合、例えば図5の模式図に示されるように、目視で視認できる金属薄膜層の光沢領域Pと、部分的に設けられた第2の保護層と絵柄層とによって表現された優れた意匠(優れた立体感)を備える絵柄領域Q(例えば、木目柄)との組み合わせによって、優れた質感を発揮することができる。
以下、本発明の加飾シートについて詳述する。なお、本明細書において、数値範囲については、「以上」、「以下」と明記している箇所を除き、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、少なくとも、金属薄膜層と、絵柄層と、第1の保護層と、第2の保護層とがこの順に積層された積層構造を有する。例えば図1に示されるように、絵柄層3は、金属薄膜層4の一部の上に設けられている。また、第2の保護層2は、絵柄層3の上であり、かつ、第1の保護層1の一部1aの上に設けられている。第1の保護層1の表面上においては、第2の保護層2が設けられた部分1aと、当該第2の保護層2が設けられていない部分1bとによって、凹凸形状が形成されている。
例えば図2に示されるように、本発明の加飾シートにおいて、加飾シートの耐傷付き性や耐候性を高めることや、保形性を高めることなどを目的として、金属薄膜層4と絵柄層3との間に、必要に応じて、透明樹脂層5を有していてもよい。また、加飾シートの保形性を高めることなどを目的として、金属薄膜層4の第1の保護層とは反対側には、必要に応じて、基材層6を有していてもよい。また、金属薄膜層4とこれに隣接する層との密着性を向上させる観点から、必要に応じて、プライマー層7を設けてもよい。また、図3に示されるように、基材層6や透明樹脂層5とこれらに隣接する層との密着性を高めることなどを目的として、必要時応じて、接着層8を設けてもよい。なお、基材層6の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層6と第1の保護層1との間、基材層6と絵柄層3との間などに、必要に応じて、隠蔽層(図示を省略する)を設けてもよい。
なお、図1〜4は、加飾シート及び加飾樹脂成形品の積層構造を示すため模式図であり、描画の都合により、部分的に形成された絵柄層3の間に、層が形成されていない空間が存在するかのように描写されているが、実際の加飾シートにおいては、このような箇所は実質的に存在せず、順に積層される層によって埋められている。
本発明の加飾シートの積層構造として、金属薄膜層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/プライマー層/金属薄膜層/透明樹脂層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された積層構造;基材層/接着層/金属薄膜層/プライマー層/接着層/透明樹脂層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、金属薄膜層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/プライマー層/金属薄膜層/透明樹脂層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図3に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/接着層/金属薄膜層/プライマー層/接着層/透明樹脂層/絵柄層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
本発明の加飾シートにおいては、加飾シートを平面視した際に、部分的に視認される金属光沢と、部分的に設けられた第2の保護層2と絵柄層3とによって表現された優れた立体感の意匠との組み合わせにより、高い質感を発揮することができる。具体的には、例えば図1の断面図に示すように、本発明の加飾シートは、金属薄膜層4と、金属薄膜層4の一部の上に設けられた絵柄層3と、第1の保護層1と、絵柄層3の上であり、かつ、第1の保護層1の一部の上に設けられた第2の保護層2とをこの順に有している。絵柄層3が金属薄膜層4の一部の上に設けられていることから、加飾シートを平面視した際に、絵柄層3が設けられてない部分を通して、金属薄膜層4を目視で視認することができる。
本発明の加飾シートにおいて、このような部分的に視認される金属光沢と、部分的に設けられた第2の保護層2と絵柄層3とによって表現された意匠との組み合わせにより、高い質感を好適に発揮する観点から、加飾シートの厚み方向の断面において、第2の保護層2と絵柄層3が共に設けられていない領域Aの幅xが、1mm以上である部分を有していることが好ましい。当該幅xの範囲としては、加飾シートに付与する意匠によっても異なるが、好ましくは1〜100mm程度、より好ましくは10〜30mm程度が挙げられる。なお、この時の断面は、例えば図5に示されるように、加飾シートを平面視した際に、領域Aにおいて、短い幅xの方向に沿った断面とする。
また、図1に示されるように、本発明の加飾シートにおいては、領域Aに隣接した絵柄層3が存在している部分において、第2の保護層2の凸部の領域B(1つの独立した凸部、幅y)と、第2の保護層2の凹部(第2の保護層が存在していない部分)の領域C(1つの独立した凹部、幅z)とが存在している。本発明の加飾シートが、高い質感を好適に発揮する観点から、幅xは、幅y及び幅zの合計よりも、好ましくは1倍以上大きい値を有しており、より好ましくは5倍以上大きい値を有している。なお、描画の都合上、図1においては、幅y、zを大きく描いている。
本発明において、幅yとしては、加飾シートに付与する意匠によっても異なるが、通常0.1〜10mm程度である。同様に、幅zとしては、通常0.1〜3mm程度である。
例えば、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等に用いて優れた質感を発揮する観点からは、本発明の加飾シートは、加飾シートを第2の保護層2側から観察距離1mで平面視した際に、金属薄膜層4を目視で視認することができるものであることが好ましい。
加飾シートを形成する各層
[金属薄膜層4]
金属薄膜層4は、加飾シートに部分的な金属光沢を付与する層である。本発明の加飾シートにおいては、金属薄膜層4と、金属薄膜層4の一部の上に設けられた絵柄層3と、第1の保護層1と、絵柄層3の上であり、かつ、第1の保護層1の一部の上に設けられた第2の保護層2とをこの順に有する積層体からなるため、本発明の加飾シートを平面視した際に、金属薄膜層4に基づく金属光沢が部分的に視認される。前述の通り、本発明の加飾シートにおいては、このような部分的に視認される金属光沢と、部分的に設けられた第2の保護層2と絵柄層3とによって表現された優れた立体感の意匠との組み合わせにより、高い質感を発揮することができる。
加飾シートに高い質感を付与する観点から、金属薄膜層4は、加飾シートの片面の全面に設けられていることが好ましい。
金属薄膜層4を形成する金属としては、加飾シートに金属調の意匠を付与できる金属であれば特に限定されないが、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。これらの中でも、伸展性に富むとの観点から、好ましくはスズ、インジウム、及びクロムが挙げられる。なお、伸展性に富む金属により金属薄膜層4が形成されていることにより、加飾シートを三次元成形した際にクラックが発生しにくいという利点を有する。金属薄膜層4は、1種類の金属により形成されていてもよく、2種類以上の金属により形成されていてもよい。
金属薄膜層4は、例えば、金属蒸着(例えば、真空蒸着法)によって形成可能な金属蒸着層、金属のスパッタリングによって形成可能な金属スパッタリング層、金属のイオンプレーティングによって形成可能な金属イオンプレーティング層、金属を含むインキによって形成可能な高輝度インキ層(金属含有高輝度インキ層)、または金属めっき層などにより構成することができる。特に、真空蒸着法は、低コスト、被蒸着体へのダメージが少ないため、金属蒸着層であることが好ましい。蒸着の条件は、用いる金属の溶融温度又は蒸発温度に応じて適宜設定すればよい。
金属薄膜層4の厚みとしては、特に限定されないが、加飾シートの質感を高める観点からは、好ましくは200nm以下、より好ましくは10〜100nm程度、さらに好ましくは20〜60nm程度が挙げられる。
[第1の保護層1]
第1の保護層1は、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高め、さらに後述の第2の保護層2と共に加飾シートに高い質感を付与するために設けられる層である。加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高めつつ、さらに後述の第2の保護層2と共に加飾シートに高い質感を付与する観点から、第1の保護層1は、加飾シートの片面の全面に設けられていることが好ましい。
第1の保護層1を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、特に制限されず、例えば、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、第1の保護層1は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されていることが好ましい。
第1の保護層1における熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの熱硬化性樹脂の硬化の態様としては、特に制限されず、例えば以下のような態様が例示できる。例えば、エポキシ樹脂であれば、アミン、酸触媒、カルボン酸、酸無水物、水酸基、ジシアンジアミド又はケチミンとの反応などが挙げられる。フェノール樹脂であれば、塩基触媒と過剰なアルデヒドとの反応などが挙げられる。ユリア樹脂であれば、アルカリ性または酸性下での重縮合反応などが挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂であれば、無水マレイン酸とジオールとの共縮合反応などが挙げられる。メラミン樹脂であれば、メチロールメラミンの加熱重縮合反応などが挙げられる。アルキド樹脂であれば、側鎖などに導入された不飽和基同士の空気酸化による反応などが挙げられる。ポリイミド樹脂であれば、酸または弱アルカリ触媒の存在下での反応、又はイソシアネート化合物との反応(2液型の場合) などが挙げられる。シリコーン樹脂であれば、シラノール基の酸触媒の存在下での縮合反応などが挙げられる。水酸基官能性アクリル樹脂であれば、水酸基と自身が持つアミノ樹脂との反応(1液型の場合)などが挙げられる。カルボキシル官能性アクリル樹脂であれば、アクリル酸またはメタクリル酸などのカルボン酸とエポキシ化合物による反応などが挙げられる。アミド官能性共重合体であれば、水酸基との反応または自己縮合反応などが挙げられる。ウレタン樹脂であれば、水酸基を含有するポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂とイソシアネート化合物又はその変性物との反応などが挙げられる。
また、第1の保護層1における熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第1の保護層2の形成に熱可塑性樹脂を用いる場合には、加熱により軟化した熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を層状に形成した後、冷却することで、第1の保護層1を形成する硬化物とすることができる。
(電離放射線硬化性樹脂)
第1の保護層1の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂である。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含む。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、第1の保護層1の形成において好適に使用される。
加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高め、さらに後述の第2の保護層2と共に加飾シートに高い質感を付与する観点から、第1の保護層は、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されていることが好ましい。
<多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート>
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有するものであれば、特に制限されず、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜6個が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールの水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリレート(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル)に変換して得られる。このエステル化反応は、通常のエステル化反応によって行うことができる。例えば、1)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとを、塩基存在下に縮合させる方法、2)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物とを、触媒存在下に縮合させる方法、或いは3)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸又はメタクリル酸とを、酸触媒存在下に縮合させる方法等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端又は側鎖に2個以上、好ましくは2〜50個、更に好ましくは3〜50個の水酸基を有する重合体である。当該ポリカーボネートポリオールの代表的な製造方法は、ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)の重縮合反応による方法が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるジオール化合物(A)は、一般式HO−R1−OHで表される。ここで、R1は、炭素数2〜20の2価炭化水素基であって、基中にエーテル結合を含んでいてもよい。R1は、例えば、直鎖、又は分岐状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基である。
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのジオールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリカーボネートポリオールの原料として用いられる3価以上の多価アルコール(B)の例としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトール等のアルコール類が挙げられる。また、当該3価以上の多価アルコールは、前記多価アルコールの水酸基に対して、1〜5当量のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、あるいはその他のアルキレンオキシドを付加させた水酸基を有するアルコール類であってもよい。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるカルボニル成分となる化合物(C)は、炭酸ジエステル、ホスゲン、又はこれらの等価体の中から選ばれるいずれかの化合物である。当該化合物として、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸ジエステル類;ホスゲン;クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル等のハロゲン化ギ酸エステル類等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネートポリオールは、前記ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とを、一般的な条件下で重縮合反応することにより合成される。ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)との仕込みモル比は、例えば、50:50〜99:1の範囲に設定すればよい。また、ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)とに対する、カルボニル成分となる化合物(C)の仕込みモル比は、例えば、ジオール化合物及び多価アルコールの持つ水酸基に対して0.2〜2当量の範囲に設定すればよい。
前記の仕込み割合で重縮合反応した後のポリカーボネートポリオール中に存在する水酸基の当量数(eq./mol)としては、例えば、1分子中に平均して3以上、好ましくは3〜50、更に好ましくは3〜20が挙げられる。このような等量数を充足すると、後述するエステル化反応によって必要な量の(メタ)アクリレート基が形成され、また多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート樹脂に適度な可撓性が付与される。なお、このポリカーボネートポリオールの末端官能基は、通常はOH基であるが、その一部がカーボネート基であってもよい。
以上説明したポリカーボネートポリオールの製造方法は、例えば、特開昭64−1726号公報に記載されている。また、このポリカーボネートポリオールは、特開平3−181517号公報に記載されているように、ポリカーボネートジオールと3価以上の多価アルコールとのエステル交換反応によっても製造することができる。
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量が5千以上、好ましくは1万以上が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御するという観点から、例えば、10万以下、好ましくは5万以下が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量として、質感のある豊かな低艶感の表出効果と成形性をより一層向上させるという観点から、好ましくは1万〜5万、更に好ましくは1万〜2万が挙げられる。
なお、本明細書における多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
電離放射線硬化性樹脂組成物における多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの含有量としては、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高め、さらに後述の第2の保護層2と共に加飾シートに高い質感を付与する観点からは、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上が挙げられる。
第1の保護層1の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物には、上記の多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートに加えて、電離放射線硬化性樹脂として多官能ウレタン(メタ)アクリレートをさらに含んでいてもよい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有するものであれば、特に制限されない。このような多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜12個が挙げられる。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量が2千以上、好ましくは5千以上が挙げられる。多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御するという観点から、例えば、3万以下、好ましくは1万以下が挙げられる。
なお、本明細書における多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
第1の保護層1の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物における、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量としては、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、加飾シートの耐傷付き性、耐候性などを高め、さらに後述の第2の保護層2と共に加飾シートに高い質感を付与する観点からは、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下が挙げられる。
第1の保護層1の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物において、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能ウレタン(メタ)アクリレートとを併用する場合、これらの質量比(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート:多官能ウレタン(メタ)アクリレート)としては、好ましくは50:50〜99:1程度、より好ましくは80:20〜99:1程度、さらに好ましくは85:15〜99:1程度が挙げられる。
また、他の電離放射線硬化性樹脂とは、上述の電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。
他の電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、他の電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの他の電離放射線硬化性樹脂は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの他の電離放射線硬化性樹脂の中でも、加飾シートの三次元成形性、耐傷付き性などをより一層高めるという観点から、好ましくはアクリルシリコーン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、第1の保護層1は、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含んでいてもよい。なお、第1の保護層1において、無機粒子及び樹脂粒子は、主に、第1の保護層1の艶を低下させる機能を有し、艶を低下させる機能は、一般には無機粒子の方が樹脂粒子よりも大きい傾向がある。第1の保護層1に無機粒子または樹脂粒子が含まれる場合、これらの粒子は、第1の保護層1中に分散されている。
無機粒子としては、無機化合物により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、アルミナ粒子、ガラスバルーン粒子が挙げられ、これらの中でも好ましくはシリカ粒子が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。無機粒子の粒子径としては、例えば0.5〜20μm程度、好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。なお、本発明において、無機粒子の粒子径は、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2100を使用し、圧縮空気を利用してノズルから測定対象となる粉体を噴射し、空気中に分散させて測定する、噴射型乾式測定方式により測定される値である。
第1の保護層1が無機粒子を含む場合、無機粒子の含有量としては、特に制限されないが、第1の保護層1に含まれる上記樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部程度、より好ましくは10〜40質量部程度が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、樹脂粒子としては、樹脂により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ、スチレンビーズ、メラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。これらの樹脂粒子の中でも、加飾シートの耐傷付き性をより向上させる観点からは、好ましくはウレタンビーズが挙げられる。樹脂粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。樹脂粒子の粒子径としては、例えば0.5〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度が挙げられる。なお、樹脂粒子の粒子径は、上記の無機粒子と同様の方法により測定される値である。
第1の保護層1が樹脂粒子を含む場合、樹脂粒子の含有量としては、特に制限されないが、第1の保護層1に含まれる上記樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜200質量部程度、より好ましくは10〜150質量部程度が挙げられる。
なお、第1の保護層1において、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方が含まれる場合、第1の保護層1の表面からこれらの粒子の一部が突出していてもよいし、第1の保護層1の内部に粒子が埋没していてもよい。
第1の保護層1中には、第1の保護層1に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
第1の保護層1の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20μm程度、好ましくは0.5〜10μm程度、さらに好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性等の表面保護層としての十分な物性が得られる。また、第1の保護層1を電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物によって構成する場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物に対して電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。一方、加飾シートの耐摩耗性を特に高める観点からは、第1の保護層1の硬化後の厚みとしては、好ましくは4μm以上、より好ましくは5〜10μm程度が挙げられる。なお、第1の保護層1が上述の無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む場合、第1の保護層1の厚みとは、無機粒子または樹脂粒子が第1の保護層1の表面に位置していない部分の厚みをいう。
第1の保護層1の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、第1の保護層1に隣接する層上に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、第1の保護層1に隣接する層上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて第1の保護層1を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、第1の保護層1の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと第1の保護層1の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、第1の保護層1の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。また、照射線量は、保護層2の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が挙げられる。
[第2の保護層2]
第2の保護層2は、絵柄層3の上に設けられている。また、第2の保護層2は、第1の保護層1の一部の上に設けられている。本発明の加飾シートにおいては、このような構成によって形成された凹凸形状によって、加飾シートに高い立体感を付与している。また、第2の保護層2と第1の保護層1との間に艶差を設けることよって、加飾シートに高い立体感を付与することができる。例えば、第2の保護層2を高艶状態(グロス)とし、第1の保護層1を低艶状態(マット)とし、両層間、ひいては第2の保護層2の形成部と非形成部との間に艶差を発現させることにより、加飾シートに高い質感を付与することができる。なお、第1の保護層1と第2の保護層2とは、好ましくは互いに接面している。
また、第1の保護層1の表面上の第2の保護層2が設けられた部分1aと設けられていない部分1bとによって形成された凹部形状と、後述の絵柄層3によって形成される模様とを同調させることにより、加飾シートに高い立体感及び本物らしい意匠感を付与することができる。例えば後述の絵柄層3に形成された模様が木目柄である場合、その絵柄によって表現された導管部と、上記の凹凸形状の凹部とを同調させることによって、木目柄にリアル感を持たせることができる。さらに、本発明においては、第2の保護層2と絵柄層3とが部分的に設けられており、金属薄膜層4を加飾シートの表面から目視することができるため、第2の保護層2と絵柄層3とによって形成された優れた意匠感と、金属薄膜層4によって表出される金属光沢とが組み合わさり、従来にない高い質感を備えた加飾シートが得られる。
なお、第2の保護層2は、絵柄層3の上であり、かつ、第1の保護層1の一部の上に設けられていればよく、例えば、絵柄層3が設けられていない部分の上にも、第2の保護層2が設けられていてもよい。
第2の保護層2は、樹脂組成物により形成されている。具体的には、第2の保護層2は、当該樹脂組成物の硬化物により構成されている。第2の保護層2を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、特に制限されず、例えば、第1の保護層1で例示したものと同様の電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。第2の保護層2は、加飾シートの三次元成形性及び耐傷付き性などの観点からは、第1の保護層1と同じく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されていることが好ましいが、第2の保護層2を形成する樹脂としては、加飾シートの用途に応じて適宜選択することができる。
第2の保護層2は、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含んでいてもよい。無機粒子及び樹脂粒子としては、それぞれ、第1の保護層1で例示した無機粒子及び樹脂粒子と同じものが例示できる。なお、第2の保護層2において、無機粒子及び樹脂粒子は、主に、第2の保護層2の艶を低下させる機能を発揮する。上述の通り、第1の保護層1と第2の保護層2とに艶差を設けることによって、加飾シートに高い立体感を付与することができる。第2の保護層2に無機粒子及び樹脂粒子が含まれる場合、これらの粒子は、第2の保護層2に分散されている。
第2の保護層2に含まれる無機粒子の粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは0.5〜15μm程度、より好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。また、樹脂粒子の粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは0.1〜20μm程度、より好ましくは0.5〜15μm程度が挙げられる。
第2の保護層2が無機粒子を含む場合、第2の保護層2に含まれる無機粒子の含有量としては、特に制限されず、第2の保護層2に含まれる上記樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部程度、より好ましくは5〜30質量部程度が挙げられる。また、樹脂粒子の含有量としては、特に制限されず、第2の保護層2に含まれる上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜200質量部程度、より好ましくは10〜150質量部程度が挙げられる。
なお、第2の保護層2において、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方が含まれる場合、第2の保護層2の表面からこれらの粒子の一部が突出していてもよいし、第2の保護層2の内部に粒子が埋没していてもよい。
第2の保護層2の厚みは、特に制限されないが、加飾シートに立体感を与えるとともに、成形後においても、第2の保護層2によって形成された凹凸形状が保持され、加飾シートに表出されていた高い立体感の劣化を効果的に抑制する観点からは、好ましくは0.1〜20μm程度、より好ましくは0.5〜10μm程度、さらに好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。なお、第2の保護層2が上述の無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む場合、第2の保護層2の厚みとは、無機粒子または樹脂粒子が第2の保護層2の表面に位置していない部分の厚みをいう。
第2の保護層2は、上記の第1の保護層1と同様の方法により形成することができる。具体的には、第2の保護層2を形成する樹脂組成物を調製し、前記の厚みとなるように、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷方式、好ましくはグラビア印刷により第1の保護層1上の一部に樹脂組成物を塗布し、必要に応じて加熱や電離放射線の照射により樹脂組成物を硬化させることによって形成することができる。また、別途用意した基材上にパターン状に樹脂層を形成することで得られた転写シートを用いて、転写の手法により第1の保護層1上に第2の保護層2を形成することもできる。
第2の保護層2を電離放射線硬化性樹脂組成物により形成する場合、第1の保護層1を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態で第2の保護層2を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を部分的に形成し、次いで第1の保護層1及び第2の保護層2の両層の電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化し得る条件によって電離放射線を照射することによって、一度の電離放射線照射工程により両層を形成することができる。また、第1の保護層1の形成時と第2の保護層2の形成時の2度に分けて電離放射線を照射してもよい。
[絵柄層3]
絵柄層3は、樹脂成形品に装飾性を与える層であり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。前述の通り、本発明の加飾シートにおいては、絵柄層は部分的に設けられており、加飾シートを平面視した際に、金属薄膜層4による金属光沢を視認できるように設けられる。なお、前述の幅xは、絵柄層が設けられていない部分の幅に対応している(図1を参照)。
絵柄層3によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層3に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤としては、特に制限されず、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
絵柄層3の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度が挙げられる。
[透明樹脂層5]
透明樹脂層5は、本発明の加飾シートの耐傷付き性や耐候性を高めると共に、成形性を高める支持体としての役割を果たし、必要に応じて、金属薄膜層4と絵柄層3との間に設けられる。また、透明樹脂層5は、金属薄膜層4を保護することを目的として設けることもできる。透明樹脂層5は、金属薄膜層4による意匠を隠蔽しないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などが挙げられる。
透明樹脂層5の厚みは、特に限定されないが、支持体としての役割を果たす観点からは、通常15〜200μm程度、好ましくは30〜150μm程度である。また、金属薄膜層4を保護する役割を果たす観点からは、通常0.3〜5μm程度、好ましくは0.5〜3μm程度である。透明樹脂層5を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、透明樹脂層5を構成するフィルムを熱ラミネート、ドライラミネートなどにより積層する方法や、透明樹脂層5を構成する樹脂を塗布する方法などが挙げられる。
[基材層6]
基材層6は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たすために、必要に応じて設けられる。基材層6に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や射出樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層6を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層6は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
基材層6は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層6の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層6の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層6を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、基材層6には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
基材層6の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、通常50〜800μm程度、好ましくは100〜600μm程度、さらに好ましくは200〜500μm程度が挙げられる。基材層6の厚みが上記範囲内であると、加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
[隠蔽層]
隠蔽層は、基材層6の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層6と第1の保護層1との間、基材層6と絵柄層3との間などに、必要に応じて設けられる層である。
隠蔽層は、基材層6が加飾シートの色調や絵柄に悪影響を及ぼすのを抑制するために設けられるため、一般には不透明色の層として形成される。
隠蔽層は、バインダーに、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したインキ組成物を用いて形成される。隠蔽層を形成するインキ組成物は、上述の絵柄層3に使用されるものから適宜選択して使用される。
隠蔽層は、通常、厚みが1〜20μm程度に設定され、所謂ベタ印刷層として形成されることが望ましい。
[プライマー層7]
プライマー層7は、金属薄膜層4と、これに隣接する層との密着性を高めることなどを目的として、これらの層間に必要に応じて含まれる層である。プライマー層7は、樹脂により形成することができる。
プライマー層7を形成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、好ましくは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。
上記ウレタン樹脂の中でも、架橋後の密着性の向上等の観点から、好ましくは、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋材としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせ;さらに好ましくは、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせが挙げられる。
上記アクリル樹脂としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂として、より具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらのアクリル樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が挙げられる。また、硬化剤としては、前述する各種イソシアネートが用いられる。アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂におけるアクリルとウレタン比の比率については、特に制限されないが、例えば、アクリル/ウレタン比(質量比)として、9/1〜1/9、好ましくは8/2〜2/8が挙げられる。
プライマー層7の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.1〜10μm程度、好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。プライマー層7がこのような厚みを充足することにより、第1の保護層1の割れ、破断、白化などを効果的に抑制することができる。
プライマー層7は、プライマー層7を形成する樹脂を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
[接着層8]
接着層8は、透明樹脂層5や基材層6と、これらと隣接する層との密着性を向上させることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。また、接着層8は、基材層6の裏面に設けられてもよい。
接着層8を形成する樹脂としては、加飾シートと射出樹脂との密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、接着層8としては、必要に応じて加熱及び加圧によって密着性を発現するヒートシール層であってもよい。
接着層8は、接着層8の形成に用いられる樹脂を塗布することにより形成することができる。接着層8の厚みは、特に制限されないが、好ましくは1〜20μm程度が挙げられる。
2.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、成形樹脂層10と、金属薄膜層4と、絵柄層3と、第1の保護層1と、第2の保護層2とをこの順に有する積層体からなり、絵柄層3が、金属薄膜層4の一部の上に設けられており、第2の保護層2が、絵柄層3の上であり、かつ、第1の保護層1の一部の上に設けられていることを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の透明樹脂層5、基材層6、プライマー層7、接着層8、隠蔽層などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。本発明においては、本発明の加飾シートを各種射出成形法に供して加飾樹脂成形品を作製することによって、射出成形の際に立体感が損なわれることを抑制するという上述の効果を発揮することができる。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層としてABS樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常120〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とすることができる。
また、射出成形同時加飾法では、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本発明の加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの金属薄膜層側の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常70〜130℃程度とすることができる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とすることができる。
また、本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層)上に、本発明の加飾シートを貼着する加飾方法によっても作製することができる。真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材層6側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60〜200℃程度とすることができる。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層を形成する成形樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、高い質感を有するので、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<実施例1>
(加飾シートの作製)
基材層6としてABSフィルム(厚さ475μm)を用い、基材層6の表面に、アクリル樹脂からなる蒸着密着のためのプライマー層7を、グラビアコートにより厚さが1μmとなるよう印刷した。その後、真空蒸着機を用いてスズ(Sn)を、50nm程度の厚みで積層し、金属薄膜層4とした。続いて、アクリル樹脂からなる透明樹脂層5を、グラビアコートにより、厚さが1μmとなるよう印刷した。次に、アクリル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む絵柄層形成用インキを用い、グラビアコートにより、木目柄の絵柄層3(厚さ1μm)をパターン状(部分的)に形成した。次に、絵柄層3の表面に、第1の保護層1を形成するための電子線硬化性樹脂(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート)を、厚さ1〜6μmの範囲でグラビアコートにより塗工した。続いて、前述の絵柄層3によって形成された木目の非導管部と同調するように、第2の保護層2を形成するための電子線硬化性樹脂(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート)を、厚さ2〜3μmの範囲で、グラビアコートによりパターン状(部分的)に形成した。最後に、第1の保護層1及び第2の保護層2を形成するための電子線硬化性樹脂に、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射し、電子線硬化性樹脂を硬化させて、第1の保護層1及び第2の保護層2を形成し、図2に示されるような積層構成を備える加飾シートを得た。なお、実施例1で得られた加飾シートは、厚み方向の断面において、第2の保護層と絵柄層とが共に設けられていない領域Aの幅xが、2〜10mmの部分が複数設けられており、例えば図5の模式図に示されるように、観察距離1mから平面視した場合に、金属薄膜層が模様として認識できる意匠を有している。
<実施例2>
(加飾シートの作製)
転写基材シートとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用いた。転写基材シートの表面に、アクリル樹脂からなる蒸着密着のためのプライマー層7を、グラビアコートにより、厚さが1μmとなるよう印刷した。その後、真空蒸着機を用いてスズ(Sn)を、50nm程度の厚みで積層し、金属薄膜層4とした。続いて、ポリエステルからなる接着層8(ヒートシール層)をグラビアコートにより印刷した後、熱ラミネートにより、基材層6としてのABSフィルム(厚さ400μm)に転写した。
一方、厚さ75μmのアクリルフィルム(透明樹脂層5)の片側に、アクリル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む絵柄層形成用インキを用い、グラビアコートにより、木目柄の絵柄層3(厚さ1μm)をパターン状(部分的)に形成した。次に、絵柄層3の表面に、第1の保護層1を形成するための電子線硬化性樹脂(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート)を、厚さ1〜6μmの範囲でグラビアコートにより塗工した。続いて、絵柄層3によって形成された木目の非導管部と同調するように、第2の保護層2を形成するための電子線硬化性樹脂(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート)を、厚さ2〜3μmの範囲で、グラビアコートによりパターン状(部分的)に形成した。最後に、第1の保護層1及び第2の保護層2を形成するための電子線硬化性樹脂に、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射し、電子線硬化性樹脂を硬化させて、第1の保護層1及び第2の保護層2を形成した。
次に、得られた積層体のアクリルフィルムの他方側に、ポリエステルポリオールからなる接着層8をグラビアコートにより印刷し、ドライラミネートにより、前述の金属薄膜層4を設けた積層体のプライマー層7側と貼り合わせることにより、図3に示されるような積層構成を備える加飾シートを得た。なお、実施例2で得られた加飾シートは、厚み方向の断面において、第2の保護層と絵柄層とが共に設けられていない領域Aの幅xが、2〜10mmの部分が複数設けられており、例えば図5の模式図に示されるように、観察距離1mから平面視した場合に、金属薄膜層が模様として認識できる意匠を有している。
<比較例1>
(加飾シートの作製)
基材層としてABSフィルム(厚さ475μm)を用いた。基材層の表面に、アクリル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む絵柄層形成用インキを用い、グラビアコートにより、木目柄の絵柄層(厚さ1μm)を形成した。次に、絵柄層の表面に、第1の保護層を形成するための電子線硬化性樹脂(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート)を、厚さ1〜6μmの範囲でグラビアコートにより塗工した。続いて、第1の保護層の表面に、絵柄層によって形成された木目の非導管部と同調するように、第2の保護層を形成するための電子線硬化性樹脂(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート)を、厚さ2〜3μmの範囲で、グラビアコートによりパターン状(部分的)に形成した。最後に、第1の保護層及び第2の保護層を形成するための電子線硬化性樹脂に、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射し、電子線硬化性樹脂を硬化させて、第1の保護層及び第2の保護層を形成して、加飾シートを得た。なお、比較例1で得られた加飾シートでは、絵柄層が実質的に全面に設けられており、観察距離1mから平面視した場合に、全体として優れた立体感の木目柄の意匠を有しているが、金属薄膜層を備えていないために金属調の意匠感は有していない。
<比較例2>
(加飾シートの作製)
転写基材シートとして、2軸延伸したマット化ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用い、表面保護層形成用樹脂として、硬化後の厚さが10μmとなるようにして、電子線硬化性樹脂(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート)を、転写基材シートの表面にグラビアコートにより印刷した。この未硬化樹脂層に、アクリル樹脂からなるプライマー層を、グラビアコートにより、厚さが1μmとなるよう印刷した。次に、アクリル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む絵柄層形成用インキを用い、グラビアコートにより、木目柄の絵柄層(厚さ1μm)をパターン状(部分的)に形成した。アクリル樹脂からなる蒸着密着のためのプライマー層を、グラビアコートにより、厚さが1μmとなるよう印刷した。次に、真空蒸着機を用いてスズ(Sn)を、50nm程度の厚みで積層し、金属薄膜層とした。続いて、ポリエステルからなる接着層(ヒートシール層)をグラビアコートにより印刷した後、熱ラミネートにより、基材層としてのABSフィルム(厚さ475μm)に転写して、加飾シートを得た。なお、比較例2で得られた加飾シートは、厚み方向の断面において、第2の保護層と絵柄層とが共に設けられていない領域Aの幅xが、2〜10mmの部分が複数設けられており、例えば図5の模式図に示されるように、観察距離1mから平面視した場合に、金属薄膜層が模様として認識できる意匠を有しているが、木目柄部分の立体感がない意匠となっている。
(加飾シートの質感の評価)
工業デザイナー20人をモニターとし、上記で得られた各加飾シートの質感が十分な質感を有するか否かの官能評価を行った。質感が優れているとの評価が、15人以上20以下の加飾シートを、質感が特に良好「〇」と評価し、5人以上15人未満の加飾シートを、質感が普通「△」と評価し、5人未満の加飾シートを、質感が良くない「×」と評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006946629
表1に示されるように、金属薄膜層と、当該金属薄膜層の一部の上に設けられた絵柄層と、第1の保護層と、当該第1の保護層の一部の上に設けられた第2の保護層とをこの順に有する積層体からなる実施例1,2の加飾シートは、加飾シートを平面視した際に、部分的に視認される金属光沢と、部分的に設けられた第2の保護層と絵柄層とによって表現された優れた立体感の意匠(木目柄)との組み合わせにより、優れた質感を備えていると評価された。
一方、比較例1の加飾シートは、優れた立体感の木目柄を備えているものの、質感は実施例1,2の加飾シートよりも劣った評価であった。また、比較例2の加飾シートは、部分的に視認される金属光沢の存在により、良好な質感を有しているものの、木目柄の立体感に欠け、全体として実施例1,2の加飾シートよりも劣った評価となった。
1…第1の保護層
2…第2の保護層
3…絵柄層
4…金属薄膜層
5…透明樹脂層
6…基材層
7…プライマー層
8…接着層
10…成形樹脂層

Claims (11)

  1. 少なくとも、金属薄膜層と、絵柄層と、第1の保護層と、第2の保護層とをこの順に有する積層体からなり、
    前記絵柄層は、前記金属薄膜層の一部の上に設けられており、
    前記第2の保護層は、前記絵柄層の上であり、かつ、前記第1の保護層の一部の上に設けられており、
    前記絵柄層が設けられていない部分の上には、前記第2の保護層が設けられておらず、
    前記第1の保護層上において、前記第2の保護層が設けられた部分と設けられていない部分とによって形成された凹部形状が、前記絵柄層の模様と同調していない、加飾シート。
  2. 前記金属薄膜層が、金属蒸着層、金属スパッタリング層、金属イオンプレーティング層、高輝度インキ層、または金属めっき層である、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記第1の保護層が、前記加飾シートの片面の全面に設けられている、請求項1または2に記載の加飾シート。
  4. 前記金属薄膜層と前記絵柄層との間に、透明樹脂層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
  5. 前記第1の保護層が、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
  6. 前記第2の保護層が、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
  7. 前記加飾シートを前記第2の保護層側から観察距離1mで平面視した際に、前記金属薄膜層を目視で視認することができる、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
  8. 前記加飾シートの厚み方向の断面において、前記第2の保護層と前記絵柄層とが共に設けられていない領域Aの幅xが、1mm以上である部分を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
  9. 少なくとも、成形樹脂層と、金属薄膜層と、絵柄層と、第1の保護層と、第2の保護層とをこの順に有する積層体からなり、
    前記絵柄層は、前記金属薄膜層の一部の上に設けられており、
    前記第2の保護層は、前記絵柄層の上であり、かつ、前記第1の保護層の一部の上に設けられており、
    前記絵柄層が設けられていない部分の上には、前記第2の保護層が設けられておらず、
    前記第1の保護層上において、前記第2の保護層が設けられた部分と設けられていない部分とによって形成された凹部形状が、前記絵柄層の模様と同調していない、加飾樹脂成形品。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の加飾シートを射出成形型に挿入し、前記射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を前記射出成形型内に射出して前記樹脂と前記加飾シートとを一体化する一体化工程、
    を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
  11. 前記加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程を前記一体化工程の前に供える、請求項10に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
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