JP4579103B2 - 金属調化粧シート及び化粧金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、キッチン扉、収納扉などの住宅内装材や、冷蔵庫などの家電製品などの表面に金属調の意匠を付与するために用いられる金属調化粧シート及びこの金属調化粧シートを用いた化粧金属板に関するものである。
従来から、キッチン扉や収納扉などの住宅内装材、冷蔵庫扉などの家電製品などの表面材としては、金属板に塗装が施された塗装鋼板、金属粉が充填されたポリ塩化ビニルフィルムにポリエステルフィルムが貼り合わせられてなる化粧シートが接着剤を介して鋼板に貼り付けられた化粧金属板などがある。
上記塗装鋼板は、加工時に塗膜が剥がれたり、塗膜にクラックが入ったりして加工性に問題があったり、塗膜に傷が付きやすいという問題があった。又、金属粉が充填されたポリ塩化ビニルフィルムにポリエステルフィルムが貼り合わせられてなる化粧シートは、目的とする金属調の意匠性を充分発揮することができないといった問題点があった。
又、金属調の意匠性を備えた金属調化粧シートとしては、例えば、最外層となる合成樹脂シートの裏面にヘアライン加工が施され、更に、金属薄膜と合成樹脂層とが積層された化粧シートが開示されている(特許文献1)。この化粧シートにおいては、合成樹脂シートの裏面にヘアライン加工を施す場合に、ひっかき傷が発生したりゴミが付着したりするため外観品質が低下し易いという問題があった。
更に、基材層、金属薄膜層、印刷層及び透明フィルム層を、この順に積層し、前記透明フィルム層の表面に、前記印刷層の絵柄に同調した凸部印刷層を設けた金属調印刷物が開示されている(特許文献2)。この化粧シートは、各種家電製品、AV機器の表面材に用いられる鋼板に積層してステンレス調の意匠を与えるものとして各部位に使用されるが、基材層としてカード紙や板紙が使われており、鋼板へ応用した場合には、折り曲げ加工や打抜きなどの加工性が悪いといった不具合があった。更に、上記化粧シートを鋼板などに貼り合わせる際には接着剤を用いる必要があり、そのため、化粧シートの表面に接着剤塗工むらが浮きでてしまい、外観上好ましくないといった問題もあった。
そして、ステンレス箔の片面に合成樹脂フィルムが貼着されてなるシートが、合成樹脂フィルム側を内側にして成形基材の表面に積層された構造のステンレス箔積層品が開示されている(特許文献3)。このステンレス箔積層品は、ステンレス調の意匠を与えるものとして店舗用柱材、サッシやその他の用途に使用されるが、基材層としてポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂などがドライラミネート法により接着剤を介して貼着積層することが開示されており、実施例においては、PVCとポリエチレンテレフタレートが使われており、化粧シート積層の際や、鋼板などの被着体への接着のためには接着剤を用いる必要がある。そのため接着剤による塗りむらがシート表層に現れることが不可避であり、外観が本物の金属とは似て非なるものになるといった外観的な不具合があった。
特開昭61−10415号公報 特開2000−153665号公報 特開平6−91804号公報
本発明は、金属に対する接着性に優れ且つ打抜き、曲げ、深絞りなどの二次加工によっても金属板などの被着体上から剥離することがない金属調化粧シート、及び、切断加工や打抜き加工時に切断面から樹脂の流れ出しやボタ落ちがなく糊塗工むら模様のない外観上美麗な化粧金属板を提供する。
本発明の金属調化粧シートAは、図1に示したように、第一変性ポリオレフィン系樹脂層1、金属薄膜層2、第二変性ポリオレフィン系樹脂層3及び透明フィルム層4とがこの順序で積層一体化されてなる金属調化粧シートであって、上記第一変性ポリオレフィン系樹脂層1及び第二変性ポリオレフィン系樹脂層3はそれぞれ、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン−プロピレンゴム系樹脂からなる群から選ばれた一種以上のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体で変性してなる変性ポリオレフィン系樹脂を合計50重量%以上含有していることを特徴とする。
上記第一、第二変性ポリオレフィン系樹脂層1,3を構成する変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又は、エチレン−プロピレンゴム系樹脂のそれぞれが、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体で変性されてなるものである。なお、第一、第二変性ポリオレフィン系樹脂層1,3を構成する変性ポリオレフィン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、第一、第二変性ポリオレフィン系樹脂層1,3を構成する変性ポリオレフィン系樹脂は、同一であっても異なっていてもよい。
ここで、ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体で変性する方法としては、例えば、有機過酸化物の存在下に、結晶性ポリプロピレンと、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体とを、溶媒中若しくは溶媒の不存在下で結晶性ポリプロピレンの融点以上に加熱処理する方法や、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂又はエチレン−プロピレンゴム系樹脂を重合する際に、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体を共重合させることが挙げられる。
上記ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレン成分を50重量%以上含有するエチレンとα−オレフィンなどの他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。なお、α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ネオヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
又、上記ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン、プロピレン成分を50重量%含有するプロピレンとα−オレフィンなどの他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。なお、α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ネオヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
そして、エチレン−プロピレンゴム系樹脂とは、エチレン−プロピレン共重合体や、エチレンとプロピレンとジエン化合物との共重合体などのエチレンとプロピレンとを主成分とする共重合体であってゴム弾性を有するものをいう。なお、ジエン化合物としては、例えば、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネンなどが挙げられる。
上記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸などが挙げられる。そして、不飽和カルボン酸誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミド又は金属塩などを例示でき、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N、N−ジエチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウムなどを挙げることができ、無水マレイン酸が好ましい。
上記変性ポリオレフィン系樹脂中における不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体の含有量(以下「変性率」という)は、小さいと、第一、第二変性ポリオレフィン系樹脂層の粘着力が低下することがあることがある一方、大きいと、金属調化粧シートの製造時に、押出ムラを生じ或いはゲル化を生じる虞れがあるので、0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜1重量%がより好ましい。
特に、第一変性ポリオレフィン系樹脂層1を構成する変性ポリオレフィン系樹脂の変性率が上記範囲内であることが好ましいのは、小さいと、金属調化粧シートの金属板に対する接着性が低下して二次加工の際に金属調化粧シートが金属板上から剥離することがある一方、大きいと、金属調化粧シートがブロッキングを生じ易くなるからである。
そして、第一、第二変性ポリオレフィン系樹脂層1,3を構成する変性ポリオレフィン系樹脂としては、金属調化粧シートの耐熱性が重要な場合は、変性率が0.05〜1重量%のマレイン酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。又、第一変性ポリオレフィン系樹脂層1を構成する変性ポリオレフィン系樹脂としては、金属調化粧シートの金属板に対する接着強度が重要な場合は、変性率が0.1重量%以上のマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム系樹脂が好ましく、変性率が0.1〜0.5重量%のマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム系樹脂がより好ましい。
そして、第一変性ポリオレフィン系樹脂層1及び第二変性ポリオレフィン系樹脂層3における5%伸張時の引張応力は、小さいと、金属調化粧シートを多数枚、積層させた際に金属調化粧シートが円弧状に湾曲する一方、大きいと、金属調化粧シートに打抜き、曲げ、深絞りなどの二次加工を施した時に層間剥離を生じる虞れがあるので、25〜500MPaが好ましい。
なお、変性ポリオレフィン系樹脂層における5%伸長時の引張応力は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、変性ポリオレフィン系樹脂層を構成している変性ポリオレフィン系樹脂からなる厚さが70μmの試験フィルムを作製する。そして、この試験フィルムにおける5%伸張時の引張応力をJIS K7127に準拠して測定し、この測定された値を変性ポリオレフィン系樹脂層における5%伸長時の引張応力とする。
又、第二変性ポリオレフィン系樹脂層3の光線透過率は、低いと、金属薄膜層が第二変性ポリオレフィン系樹脂層を透して視認できなくなり、金属調化粧シートの金属調が低下することがあるので、70%以上が好ましい。
なお、第二変性ポリオレフィン系樹脂層3の光線透過率は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、第二変性ポリオレフィン系樹脂層を構成している変性ポリオレフィン系樹脂からなり且つ第二変性ポリオレフィン系樹脂層と同一厚さを有する試験シートを用意する。
次に、紫外・可視・近赤外分光光度計を用いて、380〜800nmの波長領域において、波長を380nmから800nmに連続的に上げていき、380〜800nmの波長領域における試験シートの光線透過率を連続的に測定する。そして、380〜800nmの波長領域における最小の光線透過率を、第二変性ポリオレフィン系樹脂層の光線透過率とする。
上記第一、第二変性ポリオレフィン系樹脂層1,3には、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の熱可塑性エラストマーが添加されてもよく、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム、エチレン−1−ブテンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−ブタジエンゴム、ポリ(4−メチル1−ペンテン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。
又、第一、第二変性ポリオレフィン系樹脂層1,3には、その機能を損なわない範囲内において、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、スリップ剤、難燃剤、帯電防止剤、無機質充填材などが含有されてもよい。
そして、金属調化粧シートAの金属薄膜層2によって金属調化粧シートAが金属調を呈し、このような金属薄膜層2としては、金属の薄膜を有する層であれば、特に限定されず、金属箔からなる層であってもよいし、真空蒸着、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法などの方法により形成された薄膜層であってもよい。
ここで、金属調とは、金属表面が呈する金属光沢又はこの金属光沢を模した光沢を呈していることをいい、金属光沢を模した光沢としては、パール(真珠)光沢などが挙げられる。
そして、金属とは、導電率、熱伝導性が大で、強度が大きく、延性、展性が大であり、比較的融解しにくいなどの性質を持った物質をいい、非金属とは、上記性質を持たない物質をいう。しかしながら、これらは大体の区別であって、上記の性質からいくらかはずれるものや、金属と非金属の中間的性質を有するものをも含めて一般的に金属としている。
金属としては、具体的には、原子番号が3のLiから6のCまで、原子番号が11のNaから15のPまで、原子番号が19のKから34のSeまで、原子番号が37のRbから52のTeまで、原子番号が55のCsから85のAtまで及び原子番号が87のFr以上の元素をいい、本発明において、金属には、上記金属単体の他に、一種又は二種以上の金属元素を50重量%以上含んだ化合物も含まれる。
具体的には、上記金属箔としては、例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、銅などからなる金属箔が挙げられ、意匠性、加工の容易さ、経済性などの点からアルミニウム箔が好ましい。上記薄膜層としては、例えば、アルミニウム、チタン、モリブデン、クロム、金、銀、銅などの金属、黄銅・ステンレスなどの合金、酸化珪素、酸化チタン、ITOなどの金属酸化物を、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法などを用いて、第一変性ポリオレフィン系樹脂層若しくは第二変性ポリオレフィン系樹脂層上、又は、他の基材上に薄膜状に形成して得られる層などが挙げられる。
上記金属薄膜層2における第二変性ポリオレフィン系樹脂層3に対向する面に、意匠性を向上させる目的で印刷又はエンボス加工の何れか一方或いは双方が施されてもよく、エンボス加工が施されていることが好ましく、ヘアライン加工が施されていることがより好ましい。
上記印刷は、絵柄印刷や文字印刷の何れであってもよく、そして、パターン印刷でも、ベタ印刷であってもよい。金属薄膜層2表面への印刷方法としては、オフセット印刷、グラビア輪転印刷、凸版印刷、スクリーン印刷などの公知の印刷方法が挙げられる。
使用するインキとしては、一般的に用いられているインキが用いられてよいが、金属調の効果を上げるために、光輝性インキや、透明性を有する色インキが好ましい。なお、金属薄膜層2に印刷層を形成する場合、透明フィルム層4側から金属薄膜層2が視認できるように調整する必要がある。
そして、上記光輝性インキは、溶剤にバインダーを溶解させて得られたビヒクルに光輝性顔料を分散させたものである。上記溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ類などの水溶性有機溶剤、水などが挙げられ、これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
又、上記溶剤に加えるバインダーとしては、金属薄膜層2の種類によって適宜選択されればよく、例えば、硝化綿・ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体、アクリル系樹脂などが挙げられる。
そして、上記光輝性インキに用いる光輝性顔料としては、光輝性インキを用いて得られた印刷層(以下「光輝性印刷層」ということもある)が、金属表面が呈する金属光沢又はこの金属光沢を模した光沢を呈した状態とすることができればよい。なお、金属光沢を模した光沢としては、パール(真珠)光沢などが挙げられる。
具体的に、光輝性印刷層に金属光沢を付与する光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、真鍮などの金属の鱗片状箔片又は微粉末や、アルミニウム蒸着フィルムの砕片などが挙げられ、鮮やかな色彩と金属調を備えていることから、アルミニウム蒸着フィルムの砕片が好ましい。
上記アルミニウム蒸着フィルムは、例えば、ポリエステルなどの合成樹脂からなる厚さが4〜15μmの二軸延伸樹脂フィルムに、厚さが50〜2000nmのアルミニウム蒸着を施し、このアルミニウム蒸着が施された二軸延伸フィルムを着色剤で着色することによって得ることができる。このアルミニウム蒸着フィルムを裁断して得られる砕片が光輝性顔料として用いられる。
上記アルミニウム蒸着フィルムに用いられる着色剤は、顔料又は染料の何れであってもよいが、顔料は、染料と比較して化学的に安定であり、耐候性、耐薬品性に優れていることから、金属調化粧シートについて耐候性や耐薬品性が重要となる場合には、着色剤として顔料を用いることが好ましい一方、染料は顔料と比較して透明性に優れており、金属調化粧シートの呈する金属光沢或いはこの金属光沢を模した光沢に透明感を付与したい場合には、着色剤として染料を用いることが好ましい。
上記顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ジスアゾエロー、クロモフタルエロー、イソインドリンエローなどの黄色系顔料、クロモフタルレッド、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンレッド、ペリノンレッドなどの赤色系顔料、フタロシアニンブルー、インダスロンブルーなどの青色系顔料、フタロシアニングリーンなどの緑色系顔料などの有機顔料;黄鉛、クロムバーミリオン、コバルトブルーなどの無機顔料が挙げられる。
又、上記染料としては、例えば、コチニールなどの天然染料や、ナフトールなどの合成染料などが挙げられる。
更に、光輝性印刷層にパール光沢を付与する光輝性顔料としては、例えば、オキシ塩化ビスマスや二酸化チタンで表面が被覆された雲母などの箔片又は微粉末、屈折率の異なる二種以上の樹脂フィルムを多層積層して干渉色を生じさせてなる厚さが数μm以下の樹脂積層フィルムの裁断片などが挙げられる。
又、光輝性インキに含有される光輝性顔料の大きさは、小さいと、光輝性インキを用いて得られる印刷層の金属調が鮮明にならないことがある一方、大きいと、光輝性インキを用いて得られる印刷層に金属調を付与することができないことがあることから、0.1〜100μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましい。
なお、光輝性顔料の大きさとは、光輝性顔料が粒子状の場合には、光輝性顔料を包囲し得る最小径の真球の直径をいい、光輝性顔料が箔片や裁断片などの微細片である場合には、光輝性顔料を包囲し得る最小径の真円の直径をいう。
又、光輝性インキ中における光輝性顔料の添加量は、少ないと、金属調化粧シートに充分な金属調を付与することができないことがある一方、多いと、光輝性インキの粘性が高くなってしまって印刷品質が低下してしまうことがあるので、バインダー100重量部に対して50〜600重量部が好ましく、150〜300重量部がより好ましい。
更に、光輝性インキを用いて得られた印刷層が、金属表面が呈する金属光沢又はこの金属光沢を模した光沢を呈した状態となる限り、光輝性インキを着色してもよい。光輝性インキを着色する方法としては、光輝性インキに顔料を添加する方法が挙げられる。なお、光輝性インキに添加する顔料は、光輝性顔料を製造する際に用いられる上記顔料と同様であるのでその説明を省略する。
なお、上記ビヒクルには、その機能を損なわない範囲内で、色調安定剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、乾燥剤、粘度調整剤、滑剤、防黴剤などの補助剤が含有されてもよい。
上記では、金属薄膜層2上に直接、光輝性インキを用いて印刷を施し、更に、必要に応じて光輝性インキを着色してもよい場合を説明したが、光輝性インキを着色する代わりに、金属薄膜層2上に、有色透明インキ及び光輝性インキをこの順序で用いて印刷を施した方が好ましく、即ち、金属薄膜層2上に、有色透明インキを用いた印刷による印刷層を形成し、この印刷層上に、光輝性インキを用いた印刷による印刷層を重ね合わせた状態に形成している方が好ましい。なお、有色透明インキを用いた印刷方法は、上述した公知の印刷方法を用いることができる。
これは下記の理由による。有色透明インキを用いる場合には、有色透明インキを用いた印刷層によって色調を、光輝性インキを用いた印刷層によって光輝性の調整を別々に行っており、性質の異なる色調と光輝性とを別々に調整することができ、金属光沢或いは金属光沢を模した光沢の微妙な調整を精度良く行うことができるからである。
上記有色透明インキは、溶剤にバインダーを溶解させて得られたビヒクルに、着色剤として、光輝性顔料を除いた顔料が添加されたものである。なお、この有色透明インキには、その機能を損なわない範囲内で補助剤を加えられていてもよく、又、有色透明インキに用いられる溶剤、バインダー及び補助剤については、光輝性インキの場合と同様であるので、その説明を省略する。
そして、有色透明インキに用いられる顔料としては、アルミニウム蒸着フィルムの製造に用いられる顔料と同様のものが用いられる。
なお、上記有色透明インキに用いられる顔料は、単独で用いられても二種以上を配合して所望の色調とした上で用いられてもよいが、有色透明インキを用いて得られた印刷層、透明フィルム層4及び第二変性ポリオレフィン系樹脂層3を透して金属薄膜層2が視認できるように調整する必要がある。
そして、有色透明インキを用いて得られた印刷層(以下「有色透明印刷層」ということもある)の色調としては、例えば、有色透明印刷層を黄色系の色調とすることによって、金属調化粧シートが黄金色や真鍮色を呈したものとすることができ、有色透明印刷層を赤褐色系の色調とすることによって、金属調化粧シートが赤銅色を呈したものとすることができ、有色透明印刷層を青色系の色調とすることによって、金属調化粧シートがブルーメタリック色を呈したものとすることができ、有色透明印刷層を緑色系の色調とすることによって、金属調化粧シートがグリーンメタリック色を呈したものとなる。
更に、金属薄膜層2上に、有色透明インキ、無色透明インキ及び光輝性インキをこの順序で用いて印刷を施した方が好ましく、即ち、金属薄膜層2上に、有色透明インキを用いた印刷による印刷層を形成すると共に、この有色透明印刷層上に、無色透明インキを用いた印刷による印刷層(以下「無色透明印刷層」ということもある)を形成し、更に、上記無色透明印刷層上に、光輝性インキを用いた印刷による印刷層(光輝性印刷層)を形成していることが好ましい。
上記無色透明インキとは、溶剤にバインダーを溶解させて得られたビヒクルに顔料や染料といった着色剤が添加されていないものをいう。そして、無色透明印刷層、有色透明印刷層、光輝性印刷層及び透明フィルム層4を透して金属薄膜層2が視認できるように調整する必要がある。又、無色透明インキは、その機能を損なわない範囲内で補助剤が加えられていてもよい。なお、無色透明インキに用いられる溶剤、バインダー、補助剤については光輝性インキの場合と同様であるので、その説明を省略する。
無色透明インキを用いた印刷の印刷方法としては、無色透明印刷層の厚さが1〜10μmといった比較的薄い場合には、グラビア輪転印刷、グラビアコート、ロールコートなどの方法が好ましく、無色透明印刷層の厚さが10μmを越え且つ200μm以下といった比較的厚い場合には、コンマコート、ナイフコート、カーテンフローコート、ダイコートなどの方法が好ましい。
上記無色透明印刷層の厚さは、薄いと、有色透明印刷層と光輝性印刷層の間隔が短すぎて、着色された金属光沢が鮮明なものとならないことがある一方、厚いと、有色透明印刷層の色調が光輝性印刷層から浮いて見えてしまい不自然となる虞れがあるので、1〜200μmが好ましい。
又、無色透明印刷層は、無色透明インキを用いた印刷の代わりに、無色透明インキに用いられるバインダーを押出機に供給して溶融混練した上で、押出機から金属薄膜層2の有色透明印刷層上に押出ラミネートすることによって形成してもよい。
又、上記透明フィルム層4は、金属調化粧シートAに表面光沢と表面強度を持たせるために設けられる。この透明フィルム層4を構成するフィルムとしては合成樹脂フィルムが挙げられる。合成樹脂フィルムを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマーなどが挙げられ、透明性、平滑性、光沢性が良好な、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルが好ましい。透明フィルム層4の厚さは、10〜200μmが好ましく、12〜35μmがより好ましい。
更に、上記透明フィルム層4における第二変性ポリオレフィン系樹脂層3に対向する面に、金属調化粧シートの意匠性を向上させるために、印刷又はエンボス加工の何れか一方或いは双方が施されてもよい。なお、透明フィルム層4に施される印刷及びエンボス加工は、金属薄膜層2に施される印刷及びエンボス加工と同様であるので説明を省略する。
又、上記金属調化粧シートAに更なる表面光沢と表面強度を付与するために、図2に示したように、透明フィルム層4の表面に表面保護層5が積層一体化されていてもよい。この表面保護層5は、その目的から三次元架橋型の硬化樹脂層が好ましく、この硬化樹脂層を構成する硬化樹脂としては、熱硬化性樹脂であっても、電離放射線硬化性樹脂であってもよい。
そして、表面保護層5の光線透過率は、低いと、金属薄膜層が表面保護層を介して視認できなくなり、金属調化粧シートの金属調が低下することがあるので、70%以上が好ましい。なお、表面保護層5の光線透過率は、上述した第二変性ポリオレフィン系樹脂層の光線透過率と同様の要領で測定されたものをいう。
上記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられる。上記樹脂には、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤などの硬化剤、又は重合促進剤が添加されてもよい。例えば、硬化剤としてイソシアネートまたは有機スルホン酸塩などが、不飽和ポリエステル系樹脂やポリウレタン樹脂などに添加され、硬化剤として有機アミンなどがエポキシ樹脂に添加され、メチルエチルケトンパーオキサイドなどの過酸化物やアゾイソブチロニトリルなどが重合開始剤として不飽和ポリエステルに添加される。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に重合性不飽和結合若しくはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、又はモノマーが適宜混合された、電離放射線により硬化可能な組成物が挙げられる。なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいい、紫外線、電子線が挙げられる。
上記プレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物などの不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレートなどのメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレートなどのアクリレート類、カチオン重合型エポキシ化合物などが挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂に用いられるモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)プロピルなどの不飽和置酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能性化合物の他に、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコールなどが挙げられる。通常、上記の化合物を必要に応じて一種若しくは二種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常の塗工適性を付与するために、上記プレポリマー又はポリチオールを5重量%以上、上記モノマー又はポリチオールを95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂を硬化させるために紫外線を照射する場合には、電離放射線硬化性樹脂に光重合開始剤や光重合促進剤(増感剤)を添加してもよく、このような光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセンなどが挙げられる。更に、光重合促進剤(増感剤)としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィンなどが挙げられる。
三次元架橋型の硬化樹脂には、球状粒子が添加されていてもよい。球状粒子を添加することにより、上記表面保護層5にマット感を付与することができ、意匠的に表面の反射を抑えることができると共に、上記表面保護層5のスクラッチ性の向上も期待することができる。
上記球状粒子としては、アルミナ、シリカなどの無機物からなる球状無機粒子、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂などの有機物からなる球状有機粒子が挙げられる。無機粒子は分散性を向上させるために有機酸、界面活性剤、シランカップリング剤などで処理されていてもよい。球状粒子の粒子径は特に限定されず、通常は平均粒子径が3〜50μmの球状粒子が使用される。又、球状粒子の添加量は特に限定されず、通常は、樹脂成分100重量部に対して3〜30重量部が添加される。
三次元架橋型の硬化樹脂には、染料や顔料などの着色剤、その他のCaCO、BaSO、ナイロン樹脂の微粉末などの充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤などを添加してもよい。又、三次元架橋型の硬化樹脂には、粘度を調整するために、樹脂成分を溶解可能で且つ常圧における沸点が70〜150℃の溶剤を組成物中に50重量%以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加量が50重量%以下の範囲であれば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低下がない。
上記溶剤としては、塗料、インキなどに通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。三次元架橋型の硬化樹脂層を形成する方法としては、塗工組成物を直接塗工する直接コーティング法、又は、離型性の基材表面に、三次元架橋型の硬化樹脂層を予め形成した後、この硬化樹脂層を転写する、転写コーティング法などが用いられる。
上記直接コーティング法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコートなどを用いることができ、グラビアコートが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂を硬化させるために用いられる電離放射線照射装置としては、紫外線を照射する場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどの光源が用いられ、又、電子線を照射する場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器などが用いられる。
電子線は、通常100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射する。照射量が0.1Mrad未満の場合、硬化が不十分となる虞れがあり、又、照射量が30Mradを超えると、硬化した塗膜或いは基材が損傷を受ける虞れが生じる。又、紫外線により硬化させる場合の照射量は、好ましくは50〜1000mJ/cmである。紫外線の照射量が50mJ/cm未満では硬化が不十分となる虞れがあり、又、照射量が1000mJ/cmを超えると、硬化した塗膜が黄変する虞れがある。
そして、図3に示したように、上記金属調化粧シートAは金属板M上に該金属調化粧シートAの第一変性ポリオレフィン系樹脂層1が金属板Mに対向した状態に積層一体化されて化粧金属板Bを形成する。
上記金属板Mとしては、鉄、鋼、アルミニウム、銅、亜鉛、錫、ニッケル、チタンなどの金属及びこれらの一種または二種以上を主成分とする合金からなる板を挙げることができ、鉄板、鋼板が好ましい。又、金属板の表面はメッキが施されていることが多く、このようなメッキとしては、溶融亜鉛メッキ、電解亜鉛メッキなどが挙げられる。金属板の厚さは、0.05〜2mmが好ましく、0.15〜1.0mmがより好ましい。
そして、上記金属調化粧シートAを金属板M上に積層一体化させる方法としては、金属板M上に金属調化粧シートAを熱ラミネートする方法の他に、金属板M上に第一変性ポリオレフィン系樹脂層を押出ラミネートした後、金属薄膜層、第二変性ポリオレフィン系樹脂層及び透明フィルム層がこの順序に積層一体化されたシートを第一変性ポリオレフィン系樹脂層上に金属薄膜層が第一変性ポリオレフィン系樹脂層に対向した状態に熱ラミネートする方法などが挙げられる。
そして、得られた化粧金属板Bは、意匠性が高く、住宅内装、冷蔵庫扉、キッチン扉などの表面材や、ポスター、ラベル、パッケージ、ディスプレイなどに好適に利用することができる。
本発明の金属調化粧シートは、第一変性ポリオレフィン系樹脂層、金属薄膜層、第二変性ポリオレフィン系樹脂層及び透明フィルム層とがこの順序で積層一体化されてなる金属調化粧シートであって、上記第一変性ポリオレフィン系樹脂層及び第二変性ポリオレフィン系樹脂層はそれぞれ、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン−プロピレンゴム系樹脂からなる群から選ばれた一種以上のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体で変性してなる変性ポリオレフィン系樹脂を合計50重量%以上含有していることを特徴とするので、接着剤を用いることなく金属板上に積層一体化させることができると共に美麗な金属調を呈し、打抜き、曲げ、切断、深絞りなどの二次加工によっても金属板上から剥離することがない。
そして、上記金属調化粧シートが金属板上に積層一体化されてなる化粧金属板は、切断、打抜き、曲げ、深絞りなどの二次加工性に優れ、切断加工や打抜き加工時に、その切断面から樹脂の流れ出しやボタ落ちがなく、更に、糊塗工むら模様の外観不良がなく、優れた耐久性及び密着性を有する。
更に、透明フィルム層や金属薄膜層に印刷或いはエンボス加工を施すことにより、金属調化粧シートの意匠性をより向上させることができる。
(実施例1)
25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製)の片面にヘアライン加工を施し、このヘアライン加工を施したフィルム面上に、透明性を有する青インキ(東洋インキ製造社製 商品名「PCシリーズ」)を用いてグラビア輪転印刷によりベタ印刷することによって印刷層を形成して、青みのある透明なヘアライン調のポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムと50μm厚のアルミニウム箔との間に、無水マレイン酸にて変性されたマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム(変性率:0.8重量%)を押出して、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔とを厚さが16μmのマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム層を介して積層一体化してシートAを作製した。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムの印刷層が内側となるようにした。
得られたシートAのアルミニウム箔上にマレイン酸変性ポリプロピレン(変性率:0.8重量%)を押出ラミネートして、アルミニウム箔上に厚さが20μmのマレイン酸変性ポリプロピレン層を積層一体化して金属調化粧シートを得た。
なお、得られた金属調化粧シートにおいて、マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム層の5%伸長時の引張応力は38MPaであり、マレイン酸変性ポリプロピレン層の5%伸長時の引張応力は250MPaであった。
更に、金属調化粧シートのポリエチレンテレフタレートフィルム上に下記に示す組成からなる電離放射線硬化型樹脂塗料をリバースコーターを用いて塗布しドライヤーで乾燥処理して膜厚10μmの塗膜を形成した。この塗膜に電子線放射装置を用いて175keV及び酸素濃度200ppm以下の条件下にて電子線を7Mrad照射して塗膜を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に表面保護層を積層一体化させた。なお、金属調化粧シートにおいて、表面保護層、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム層を透してアルミニウム箔を視認することができた。
次に、電解亜鉛メッキ鋼板を用意し、この電解亜鉛メッキ鋼板を200℃に加熱した上で、電解亜鉛メッキ鋼板上に上記金属調化粧シートをそのマレイン酸変性ポリプロピレン層が電解亜鉛メッキ鋼板に対向した状態に重ね合わせ、電解亜鉛メッキ鋼板上に金属調化粧シートを積層一体化して化粧鋼板を得た。
(電離放射線硬化型樹脂塗料の組成)
ウレタンアクリレートオリゴマー・・・50重量部
二官能アクリレートモノマー・・・40重量部
三官能アクリレートモノマー・・・10重量部
シリコーンアクリレート・・・3重量部
球状アルミナ・・・25重量部
酢酸エチル・・・100重量部
(実施例2)
片面にヘアライン加工が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、両面にエンボス加工及び印刷が施されていないポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと、アルミニウム箔として、片面にヘアライン加工が施されたアルミニウム箔を用い、このアルミニウム箔のヘアライン加工面がマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム層に対向した状態となるようにシートAを作製したこと以外は実施例1と同様にして金属調化粧シート及び化粧鋼板を得た。なお、金属調化粧シートにおいて、表面保護層、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム層を透してアルミニウム箔を視認することができた。
(実施例3)
厚さが0.25μmで且つ箔面積が20〜2000μmであるアルミニウムの鱗片状箔片を85重量%含有するアルミニウムの鱗片状箔片100重量部、ポリエステル樹脂40重量部、エステル系溶剤800重量部及びケトン系溶剤500重量部を均一に混合してなる光輝性インキ(帝国インキ製造社製 商品名「ミラーインキ」、粘度:80cps)を用意した。
次に、25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製)の片面にヘアライン加工を施した。このヘアライン加工を施したフィルム面上に上記光輝性インキを用いてグラビア輪転印刷によりベタ印刷することによって光輝性印刷を施して光輝性印刷層を形成した。
そして、ポリエチレンテレフタレートフィルムをその光輝性印刷層をアルミニウム箔に対向させた状態としたこと以外は、実施例1と同様にして金属調化粧シート及び化粧鋼板を得た。なお、金属調化粧シートにおいて、表面保護層、ポリエチレンテレフタレートフィルム、光輝性印刷層及びマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム層を透してアルミニウム箔を視認することができた。
(実施例4)
25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製)の片面にヘアライン加工を施し、このヘアライン加工を施したフィルム面上に、透明性を有する青色の有色透明インキ(東洋インキ製造社製 商品名「PCシリーズ」)を用いてグラビア輪転印刷によりベタ印刷することによって有色透明印刷層を形成した。
次に、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの有色透明印刷層上に、無色透明インキ(東洋インキ製造社製 商品名「PCシリーズ」)を用いてグラビア輪転印刷によりベタ印刷することによって厚さが1.5μmの無色透明印刷層を形成した。
続いて、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの無色透明印刷層上に、実施例3で用いられた光輝性インキを用いてグラビア輪転印刷によりベタ印刷することによって光輝性印刷を施して光輝性印刷層を形成した。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルム、有色透明印刷層及び無色透明印刷層を透して光輝性印刷層を視認することができた。
そして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムをその光輝性印刷層をアルミニウム箔に対向させた状態としたこと以外は、実施例1と同様にして金属調化粧シート及び化粧鋼板を得た。なお、金属調化粧シートにおいて、表面保護層、ポリエチレンテレフタレートフィルム、有色透明印刷層、無色透明印刷層、光輝性印刷層及びマレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム層を透してアルミニウム箔を視認することができた。
(比較例1)
マレイン酸変性ポリプロピレンの代わりに、変性されていないポリプロピレンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属調化粧シート及び化粧鋼板を得た。
(比較例2)
マレイン酸変性ポリプロピレン(変性率:0.8重量%)を押出して厚さが30μmのマレイン酸変性ポリプロピレンシートを作成した。得られたマレイン酸変性ポリプロピレンシートの片側にコロナ処理(6KW、処理速度:20m/分)を施し、マレイン酸変性ポリプロピレンシート表面の表面張力が45×10−5N/cm以上となるように処理した。
しかる後、ポリエステル系接着剤(大日精化工業社製、セイカボンドE295)を用いて、上記マレイン酸変性ポリプロピレンシートと、片面にヘアライン加工を施した厚さ50μmのアルミニウム箔とをこのアルミニウム箔のヘアライン加工面が外側となるように積層一体化した。
次に、実施例1で用いた青みのある透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを上記アルミニウム箔上にポリエステル系接着剤(大日精化工業社製 商品名「セイカボンドE295」)を用いて積層一体化した。なお、印刷層が内側となるようにした。
更に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に実施例1と同様の要領で表面保護層を積層一体化して金属調化粧シートを得た。なお、得られた金属調化粧シートにおいて、マレイン酸変性ポリプロピレン層の5%伸長時の引張応力は80MPaであった。
この金属調化粧シートを電解亜鉛メッキ鋼板上に実施例1と同様の要領で積層一体化させて化粧鋼板を得た。
(比較例3)
マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴムの代わりに、変性されていないポリプロピレンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属調化粧シート及び化粧鋼板を得た。
(性能評価)
上記で得られた各化粧鋼板の性能を以下の方法で評価した。その結果は表1に示す通りであった。
1)エリクセン試験
各化粧鋼板の表面に、3mm間隔にてクロスカットの切り込みを施した後、該クロスカット部のエリクセン試験を行い、化粧シートの剥がれが発生するまでの押し込み距離の測定と、化粧シートの剥がれの様子を目視観察した。
2)外観
各化粧鋼板の金属調化粧シート面を目視観察し、ステンレス調の有無を判断すると共に、糊あとの有無を下記基準に基づいて評価した。
〔糊あと〕
糊あと有り・・金属調化粧シート表面に糊あとによる凹凸が生じていた。
糊あとなし・・金属調化粧シート表面に糊あとによる凹凸が生じていなかった。
Figure 0004579103
本発明の金属調化粧シートを示した縦断面図である。 本発明の金属調化粧シートを示した縦断面図である。 本発明の化粧金属板を示した縦断面図である。
符号の説明
1 第一変性ポリオレフィン系樹脂層
2 金属薄膜層
3 第二変性ポリオレフィン系樹脂層
4 透明フィルム層
5 表面保護層
A 金属調化粧シート
B 化粧金属板

Claims (6)

  1. 第一変性ポリオレフィン系樹脂層、金属薄膜層、第二変性ポリオレフィン系樹脂層及び透明フィルム層がこの順序で積層一体化されてなる金属調化粧シートであって、上記第一変性ポリオレフィン系樹脂層及び第二変性ポリオレフィン系樹脂層はそれぞれ、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン−プロピレンゴム系樹脂からなる群から選ばれた一種以上のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体で変性してなる変性ポリオレフィン系樹脂を合計50重量%以上含有していることを特徴とする金属調化粧シート。
  2. 金属薄膜層又は透明フィルム層の何れか一方の層における第二変性ポリオレフィン系樹脂層に対向する面に、印刷及び/又はエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の金属調化粧シート。
  3. 透明フィルム層における第二変性ポリオレフィン系樹脂層に対向する面に印刷が施されていることを特徴とする請求項1記載の金属調化粧シート。
  4. 透明フィルム層における第二変性ポリオレフィン系樹脂層に対向する面にエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の金属調化粧シート。
  5. 金属薄膜層における第二変性ポリオレフィン系樹脂層に対向する面にエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の金属調化粧シート。
  6. 金属板上に、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の金属調化粧シートをその第一変性ポリオレフィン系樹脂層が上記金属板に対向した状態に積層一体化させてなることを特徴とする化粧金属板。
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