JP6756136B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

加飾シート及び加飾樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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本発明は、加飾シート、及びこれを用いた加飾樹脂成形品の製造方法に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。かかる成形法の代表的な例としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、当該加飾シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出することにより樹脂と加飾シートとを一体化するインサート成形法等が挙げられる。
このようなインサート成形法等に用いられる加飾シートにおいては、射出成形において射出される樹脂と直接接触する最裏面に、支持体シートが設けられることがある。支持体シートは、加飾シートに剛性を付与して形状を保持する機能の他、射出される樹脂との接着性に優れていることが求められる。さらに、インサート成形法などにおいて、加飾シートは、射出成形に先立つ予備成形において、所望の形状に成形されることが求められる。このため、支持体シートを形成する樹脂としては、予備成形時の加熱や、射出成形時の加熱によって、軟化しやすいものが選択されている。
特開2009−132145号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、熱によって軟化しやすい支持体シートを用いると、樹脂成形品の形状によっては、射出成形時において、射出成形型の温度や、射出される樹脂(射出樹脂)の温度によって、加飾シートの端部にたるみが生じ、当該たるみよって形成された隙間から、射出樹脂が、加飾シートと射出成形型との間に流れ込むという問題が発生しやすいことを見出した。
このような状況下、本発明は、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込む問題が発生し難い加飾シートを提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、第1の支持体層と、第2の支持体層を備える加飾シートであり、第1の支持体層が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されており、150℃の環境下における50%延伸時の引張強度が4.0N/25mm以上である加飾シートは、例えばインサート成形法などに供された場合にも、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込む問題が発生し難く、好適に加飾樹脂成形品を製造できることを見出した。
さらに、本発明者らは、少なくとも、第1の支持体層と、第2の支持体層を備える加飾シートであり、第1の支持体層が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されており、20℃〜50℃における線膨張係数が1×10-4/K以下である加飾シートについても、同様に、例えばインサート成形法などに供された場合にも、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込む問題が発生し難く、好適に加飾樹脂成形品を製造できることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、第1の支持体層と、第2の支持体層を備える加飾シートであり、
前記第1の支持体層は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されており、
前記加飾シートは、150℃の環境下における50%延伸時の引張強度が、4.0N/25mm以上である、加飾シート。
項2. 20℃〜50℃における線膨張係数が1×10-4/K以下である、項1に記載の加飾シート。
項3. 少なくとも、第1の支持体層と、第2の支持体層を備える加飾シートであり、
前記第1の支持体層は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されており、
前記加飾シートは、20℃〜50℃における線膨張係数が1×10-4/K以下である、加飾シート。
項4. 意匠層をさらに備える、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記第2の支持体層が、熱可塑性樹脂により形成されている、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記第1の支持体層の厚みが、300μm〜500μmであり、前記第2の支持体層の厚みが、50μm〜200μmである、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記第1の支持体層とは反対側の表面に、表面保護層をさらに備える、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記表面保護層の厚みが、2μm〜6μmである、項7に記載の加飾シート。
項9. 自動車内装用である、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを、真空成形型により真空成形して成形シートを得る工程と、
前記成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、前記第1の支持体層側から流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に前記成形シートを一体化させる工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明によれば、インサート成形法などの射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に、射出樹脂が流れ込む問題が発生し難い加飾シートを提供することができる。さらに、本発明によれば、当該加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の製造方法を提供することもできる。
本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートを用いて製造される加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、第1の支持体層と、第2の支持体層を備える加飾シートであり、第1の支持体層は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されている。さらに、本発明の加飾シートの第1の態様においては、加飾シートの150℃の環境下における50%延伸時の引張強度が、4.0N/25mm以上であることを特徴とする。また、本発明の加飾シートの第2の態様においては、加飾シートの20℃〜50℃における線膨張係数が1×10-4/K以下であることを特徴とする。
本発明の第1の態様及び第2の態様の加飾シートにおいては、このような構成を備えていることにより、インサート成形法などの射出成形に供された際に、加飾シートと射出成形型との間に、射出樹脂が流れ込むことを効果的に抑制することができる。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
加飾シートの積層構造及び物性
本発明の加飾シートは、例えば、図1〜5に示されるように、第1の支持体層11と、第2の支持体層12とが積層された積層構造を有する。また、例えば図2に示されるように、本発明の加飾シートにおいては、第1の支持体層11と第2の支持体層12との接着性を向上させることなどを目的として、必要に応じて、これらの層の間に接着層2を設けてもよい。また、例えば図3〜図5に示されるように、加飾シートを用いた加飾樹脂成形品に装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、意匠層3を設けてもよい。意匠層3は、第2の支持体層12の第1の支持体層11とは反対側に設けてもよいし、第1の支持体層11と第2の支持体層12との間に設けてもよい。また、例えば図5に示されるように、本発明の加飾シートは、加飾樹脂成形品の耐傷性や耐薬品性などを向上させることを目的として、必要に応じて、表面保護層4を設けてもよい。また、図示を省略するが、表面保護層4は、プライマー層を介して積層されていてもよい。また、第1の支持体層11または第2の支持体層12の色の変化やバラツキを抑制することなどを目的として、必要に応じて、隠蔽層を設けてもよい。本発明の加飾シートには、加飾シートまたは加飾樹脂成形品に付与する機能に応じて、その他の層を1層以上積層してもよい。
本発明の加飾シートの積層構造として、第1の支持体層/第2の支持体層が積層された積層構造;第1の支持体層/接着層/第2の支持体層が積層された積層構造;第1の支持体層/第2の支持体層/意匠層が積層された積層構造;第1の支持体層/意匠層/第2の支持体層が積層された積層構造;第1の支持体層/第2の支持体層/意匠層/表面保護層が積層された積層構造;第1の支持体層/意匠層/第2の支持体層/表面保護層が積層された積層構造;第1の支持体層/第2の支持体層/意匠層/プライマー層/表面保護層が積層された積層構造;第1の支持体層/意匠層/第2の支持体層/プライマー層/表面保護層が積層された積層構造;第1の支持体層/第2の支持体層/隠蔽層/意匠層/プライマー層/表面保護層が積層された積層構造;第1の支持体層/隠蔽層/意匠層/第2の支持体層/プライマー層/表面保護層が積層された積層構造などが挙げられる。図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、第1の支持体層/第2の支持体層が積層された積層構造がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、第1の支持体層/接着層/第2の支持体層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図3に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、第1の支持体層/第2の支持体層/意匠層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図4に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、第1の支持体層/意匠層/第2の支持体層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図5に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、第1の支持体層/第2の支持体層/意匠層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
本発明の加飾シートにおいては、後述の通り、第1の支持体層は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されている。さらに、本発明の加飾シートの第1の態様においては、加飾シートの150℃の環境下における50%延伸時の引張強度が4N以上である。第1の態様の加飾シートにおいては、このような特定の引張強度を備えているため、インサート成形法などの射出成形に供された際に、加飾シートと射出成形型との間に、射出樹脂5が流れ込むことを効果的に抑制されている。すなわち、加飾シートがインサート成形法の射出成形に供される場合には、加飾シートは予め立体形状に成形されており、第1の支持体層側から樹脂が射出される。このとき、射出樹脂の温度は、180℃〜320℃程度であるが、射出樹脂が第1の支持体層に接触した際に、およそ100℃〜150℃程度まで温度が低下する。このとき、加飾シートは、射出樹脂によって100℃〜150℃程度の温度にまで加熱されることになるが、第1の態様の加飾シートは、150℃環境下での50%延伸時の引張強度が4.0N/25mm以上に設計されているため、射出樹脂の温度による加飾シートの伸びが抑えられ、端部たるみが生じ難く、当該たるみよって形成された隙間から、射出樹脂が、加飾シートと射出成形型との間に流れ込むことが、効果的に抑制されている。
加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込むことをより一層効果的に抑制する観点からは、当該引張強度としては、好ましくは4.0N/25mm以上、より好ましくは4.5N/25mm以上が挙げられる。
また、本発明の加飾シートの第2の態様においては、加飾シートの線膨張係数が1×10-4/K以下である。第2の態様の加飾シートにおいては、このような特定の線膨張係数を備えているため、インサート成形法などの射出成形に供された際に、加飾シートと射出成形型との間に、射出樹脂が流れ込むことを効果的に抑制されている。すなわち、加飾シートがインサート成形法の射出成形に供される場合には、加飾シートは予め立体形状に成形されており、成形された加飾シートが挿入される射出成形型の温度は、40℃〜60℃程度に温められている。このとき、加飾シートは、金型に長時間挿入されると50℃程度まで温められた状態で固定されることになるが、第2の態様の加飾シートは、1×10-4/K以下という特定の線膨張係数に設計されているため、射出成形型の温度による加飾シートの伸びが抑えられることで端部たるみが生じ難く、当該たるみよって形成された隙間から、射出樹脂が、加飾シートと射出成形型との間に流れ込むことが、効果的に抑制されている。
なお、本発明において、加飾シートの線膨張係数は、熱機械分析(TMA)により測定された値であり、具体的には、次の測定条件により測定された値である。
装置:TMA−60(島津製作所(株)製)
雰囲気ガス:窒素
試験モード:引張モード
初期荷重:4g/mm2定速荷重モード
昇温速度:10℃/分
サンプルサイズ:巾5mm×長さ(引張方向)10mm
引張り方向:流れ方向
温度範囲:20〜50℃
加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込むことをより一層効果的に抑制する観点からは、加飾シートの線膨張係数としては、好ましくは1×10-4/K以下、より好ましくは6×10-5/K以下が挙げられる。また、線膨張係数の下限値としては、特に限定されないが、例えば1×10-6/K程度が挙げられる。
加飾シートを形成する各層の組成
[第1の支持体層11]
第1の支持体層11は、加飾シートに剛性を付与して形状を保持する他、射出される樹脂との高い密着性を担保する層である。第1の支持体層11は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある)により形成されている。
第1の支持体層11を形成しているABS樹脂の荷重たわみ温度としては、特に制限されないが、インサート成形法などによる射出成形に適したものとしつつ、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込むことを効果的に抑制する観点からは、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下が挙げられる。なお、ABS樹脂の物性は、アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの割合を変えることによって調整することができる。また、本発明において、荷重たわみ温度は、JIS K7191−2:2007(フラットワイズでの試験、A法)によって測定した値である。
第1の支持体層11の厚みとしては、特に制限されないが、インサート成形法などによる射出成形に適したものとしつつ、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込むことを効果的に抑制する観点からは、好ましくは200μm〜500μm程度、より好ましくは300μm〜400μm程度が挙げられる。
第1の支持体層11は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。第1の支持体層11の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、第1の支持体層11の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、第1の支持体層11を構成する樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、第1の支持体層11には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
[第2の支持体層12]
第2の支持体層12は、第1の支持体層11と同様、加飾シートに剛性を付与して形状を保持する他、必要時応じて設けられる意匠層3、表面保護層4などの印刷による形成を容易にするために設けられる層である。例えば、本発明の加飾シートを製造する際、第2の支持体層12の表面に、必要に応じて設けられる意匠層3、表面保護層4など印刷により積層し、その後、第2の支持体層12の裏面側と第1の支持体層11とを積層することにより、好適に加飾シートを製造することができる。
第2の支持体層12は、インサート成形法などによる射出成形に適したものとしつつ、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込むことを効果的に抑制する観点から、熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂;アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;等が挙げられる。これらの中でも、特にアクリル樹脂が好ましい。第2の支持体層12を形成している樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
第2の支持体層12を形成している樹脂の荷重たわみ温度としては、特に制限されないが、インサート成形法などによる射出成形に適したものとしつつ、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込むことを効果的に抑制する観点からは、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上が挙げられる。
第2の支持体層12の厚みとしては、特に制限されないが、インサート成形法などによる射出成形に適したものとしつつ、射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に射出樹脂が流れ込むことを効果的に抑制し、さらに、必要に応じて設けられる意匠層3、表面保護層4など印刷により好適に積層させる観点からは、好ましくは50μm〜200μm程度、より好ましくは100μm〜150μm程度が挙げられる。
第2の支持体層12は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。第2の支持体層12の表面処理として行われる酸化法及び凹凸化法としては、前述の第1の支持体層11と同様である。これらの表面処理は、第2の支持体層12を構成する樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、第2の支持体層12には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
[接着層2]
接着層2は、第1の支持体層11と第2の支持体層12との密着性を向上させることなどを目的として、これらの層間に必要に応じて設けられる層である。接着層2を形成する樹脂としては、これらの層の密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層2の厚みとしては、特に制限されず、例えば1μm〜10μm程度とすることができる。
[意匠層3]
意匠層3は、本発明の加飾シートを用いた加飾樹脂成形品に装飾性を与える層であり、第1の支持体層11と第2の支持体層12との間、第2の支持体層12の第1の支持体層11とは反対側などに、必要に応じて設けられる。意匠層3は、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。意匠層3によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
意匠層3に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤としては、特に制限されず、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
意匠層3の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度が挙げられる。
[隠蔽層]
隠蔽層は、第1の支持体層11または第2の支持体層12の色の変化やバラツキを抑制することなどを目的として、必要に応じて設けられる層である(図示を省略する)。隠蔽層は、例えば、意匠層3を設ける場合であれば、意匠層3の第1の支持体層11側などに設けることができる。
隠蔽層は、第1の支持体層11または第2の支持体層12が加飾シートの色調や絵柄に悪影響を及ぼすのを抑制するために設けられるため、一般には不透明色の層として形成される。
隠蔽層は、バインダーに、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したインキ組成物を用いて形成される。隠蔽層を形成するインキ組成物は、前述の意匠層3に使用されるものから適宜選択して使用される。
隠蔽層は、通常、厚みが1〜20μm程度に設定され、所謂ベタ印刷層として形成されることが望ましい。
[表面保護層4]
表面保護層4は、本発明の加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の耐傷性や耐薬品性などを高めることなどを目的として、必要に応じて、加飾シートの表面(第1の支持体層11とは反対側)に設けられる層である。表面保護層4は単層であってもよいし、複層であってもよい。また、表面保護層4は、パターン状(模様状)に形成されていてもよい。パターン状に形成されている場合、当該パターンと意匠層による模様とが同調していてもよい。さらに、表面保護層4は、艶消しであってもよく、艶を調整した表面保護層4をパターン状に設けることで、表面保護層4の形成部と非形成部との艶差によって、立体感のある意匠を表現することもできる。
本発明において、表面保護層4を形成する樹脂としては、特に制限されず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加飾シートの耐傷性を高め、優れた表面特性を付与する観点からは、電離放射線硬化性樹脂が好ましいが、表面保護層4を形成する樹脂は、加飾シートの用途に応じて適宜選択することができる。例えば湿熱環境下などにおける表面保護層4の密着性を高める観点からは、特に電離放射線硬化性樹脂が好ましい。
表面保護層4を形成する熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、アクリルポリオール;ポリエステルポリオール;ポリエステルウレタンポリオール、アクリル−ウレタンポリオールなどのウレタンポリオール;ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィンポリオール;などのポリオール樹脂と硬化剤とを含む樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
表面保護層4を形成する熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(電離放射線硬化性樹脂)
表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層4の形成において好適に使用される。
なお、本発明の加飾シートにおいて、表面保護層の形成に電離放射線硬化性樹脂を用いる場合、加飾シートの状態での表面保護層は硬化したものであってもよいし、未硬化または半硬化であってもよい。加飾シートの状態での表面保護層が未硬化または半硬化である場合には、加飾シートを加飾樹脂成形品に加工した後、表面保護層を硬化させる。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートとは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの電離放射線硬化性樹脂は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾シートにおいては、これらの電離放射線硬化性樹脂の中でも、成形性を向上させつつ、外観及び密着性の両観点からの耐薬品性をより一層向上させるという観点から、好ましくはポリカーボネート(メタ)アクリレートが好ましい。また、加飾シートの状態での表面保護層を硬化する場合にも、成形性に優れる観点から、ポリカーボネート(メタ)アクリレートが好ましい。
以下、表面保護層4の形成において、電離放射線硬化性樹脂として好適に使用されるポリカーボネート(メタ)アクリレートについて詳述する。
<ポリカーボネート(メタ)アクリレート>
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されず、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜6個が挙げられる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有する多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートであることが好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールの水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリレート(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル)に変換して得られる。このエステル化反応は、通常のエステル化反応によって行うことができる。例えば、1)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとを、塩基存在下に縮合させる方法、2)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物とを、触媒存在下に縮合させる方法、或いは3)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸又はメタクリル酸とを、酸触媒存在下に縮合させる方法等が挙げられる。また、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。
ポリカーボネートポリオールは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端又は側鎖に2個以上、好ましくは2〜50個、更に好ましくは3〜50個の水酸基を有する重合体である。当該ポリカーボネートポリオールの代表的な製造方法は、ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とから重縮合反応による方法が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるジオール化合物(A)は、一般式HO−R1−OHで表される。ここで、R1は、炭素数2〜20の2価炭化水素基であって、基中にエーテル結合を含んでいてもよい。R1は、例えば、直鎖、又は分岐状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基である。
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのジオールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリカーボネートポリオールの原料として用いられる3価以上の多価アルコール(B)の例としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトール等のアルコール類が挙げられる。また、当該3価以上の多価アルコールは、前記多価アルコールの水酸基に対して、1〜5当量のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、あるいはその他のアルキレンオキシドを付加させた水酸基を有するアルコール類であってもよい。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるカルボニル成分となる化合物(C)は、炭酸ジエステル、ホスゲン、又はこれらの等価体の中から選ばれるいずれかの化合物である。当該化合物として、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸ジエステル類;ホスゲン;クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル等のハロゲン化ギ酸エステル類等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネートポリオールは、前記ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とを、一般的な条件下で重縮合反応することにより合成される。ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)との仕込みモル比は、例えば、50:50〜99:1の範囲に設定すればよい。また、ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)とに対する、カルボニル成分となる化合物(C)の仕込みモル比は、例えば、ジオール化合物及び多価アルコールの持つ水酸基に対して0.2〜2当量の範囲に設定すればよい。
前記の仕込み割合で重縮合反応した後のポリカーボネートポリオール中に存在する水酸基の当量数(eq./mol)としては、例えば、1分子中に平均して3以上、好ましくは3〜50、更に好ましくは3〜20が挙げられる。このような等量数を充足すると、後述するエステル化反応によって必要な量の(メタ)アクリレート基が形成され、またポリカーボネート(メタ)アクリレート樹脂に適度な可撓性が付与される。なお、このポリカーボネートポリオールの末端官能基は、通常はOH基であるが、その一部がカーボネート基であってもよい。
以上説明したポリカーボネートポリオールの製造方法は、例えば、特開昭64−1726号公報に記載されている。また、このポリカーボネートポリオールは、特開平3−181517号公報に記載されているように、ポリカーボネートジオールと3価以上の多価アルコールとのエステル交換反応によっても製造することができる。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、重量平均分子量が、5百以上であることが好ましく、1千以上であることがより好ましく、2千以上であることがさらに好ましく、5千以上であることが特に好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から10万以下が好ましく、5万以下がより好ましく、2万以下がさらに好ましく、1万以下が特に好ましい。耐傷付き性と三次元成形性とを両立させる観点から、1千〜2万が好ましく、2千〜1万がより好ましい。
なお、本明細書におけるポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いる場合、表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物におけるポリカーボネート(メタ)アクリレートの含有量としては、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、加飾シートの成形性をより高める観点からは、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上が挙げられる。
表面保護層4中には、上記の樹脂の他、表面保護層4に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
表面保護層4の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜20μm程度、さらに好ましくは3〜15μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、加飾シートの成形性に優れ、かつ耐傷付き性等の表面保護層としての十分な物性が得られる。また、表面保護層4を電離放射線硬化性樹脂により形成する場合、電離放射線硬化性樹脂組成物に対して電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。
表面保護層4の形成は、例えば、上記の樹脂等を含む樹脂組成物を調製し、これを塗布し、必要により、樹脂成分を架橋硬化することにより行われる。なお、樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、表面保護層4に隣接する層上に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、表面保護層4に隣接する層上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。表面保護層4の形成に電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて表面保護層4を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、表面保護層4の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層4の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、表面保護層4の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。また、照射線量は、保護層2の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈、紫外線発光ダイオード(LED−UV)等が挙げられる。
また、表面保護層4の形成に熱硬化性樹脂を用いる場合には、表面保護層4を加熱することにより硬化させることができる。熱可塑性樹脂を用いる場合には、加熱により軟化した樹脂の層を形成した後、冷却することで硬化させることができる。
[プライマー層]
プライマー層は、表面保護層4を設ける場合に、表面保護層4の延伸部に微細な割れや白化を生じ難くすること等を目的として、第2の支持体層12と表面保護層4との間、意匠層3を設ける場合には意匠層3と表面保護層4との間等に、必要に応じて設けられる層である(図示を省略する)。
表面保護層4とその下に位置する層との密着性を高める観点から、表面保護層4の直下にプライマー層が設けられていることが好ましい。
プライマー層を構成するプライマー組成物としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等をバインダー樹脂とするものが好ましく用いられ、これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂が好ましい。
ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が使用される。前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。また、ウレタン樹脂とブチラール樹脂を混ぜて構成することも可能である。
架橋後の表面保護層4との密着性、表面保護層4を積層後の相互作用の生じ難さ、物性、成形性の面から、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせることが好ましく、特にアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせて用いることが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が好適に用いられる。
(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂としては、例えばアクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が好ましい。硬化剤としては、上記の各種イソシアネートが用いられる。アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂は所望により、アクリル/ウレタン比(質量比)を好ましくは9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8の範囲で調整することが好ましい。
プライマー層の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.5〜20μm程度であり、好ましくは1〜5μmが挙げられる。
プライマー層は、プライマー組成物を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法は、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
本発明の加飾シートは、インサート成形法などの射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に、射出樹脂が流れ込む問題が発生し難い。このため、例えば、インサート成形法によって好適に製造され、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等の用途に使用される加飾シートとして、好適に利用することができる。
2.加飾樹脂成形品の製造方法
本発明においては、前述の本発明の加飾シートを用いて、好適に加飾樹脂成形品を製造することができる。具体的には、加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに射出樹脂5(成形樹脂)を一体化させることにより成形されてなるものである。すなわち、図6に示されるように、加飾樹脂成形品は、少なくとも、樹脂の射出によって形成された成形樹脂層と、第1の支持体層11と、第2の支持体層12を備えており、必要応じて、前述の接着層2、意匠層3、表面保護層4、隠蔽層、プライマー層などが積層された積層構造を有している。
加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートを用いて、例えば、インサート成形法等の射出成形法により作製される。本発明の加飾シートでは、これらの成形法における射出成形時において、加飾シートと射出成形型との間に、射出樹脂が流れ込む問題が発生し難い。よって、本発明の加飾シートをインサート成形法に適用して、加飾樹脂成形品を製造することが好ましい。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、第1の支持体層11側から流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に成形シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、第1の支持体層11側から流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、通常120℃〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180℃〜320℃程度とすることができる。また、射出成形型の温度としては、通常、40℃〜70℃程度とすることができる。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層を形成する成形樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。本発明の加飾シートの第1の支持体層11との密着性に優れることから、これらの中でも、ABS樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<実施例1>
第2の支持体としてのアクリル樹脂フィルム(厚さ125μm、荷重たわみ温度105℃の一方側の表面に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂を含むインキによる木目柄の意匠層(厚み5μm)、後述する電離放射線硬化性樹脂組成物Aによる全面ベタの第1の保護層(厚み4μm)、及び後述する電離放射線硬化性樹脂組成物Bによる、意匠層の模様に同調したパターン状の第2の保護層(厚み2μm)をグラビア印刷により順次積層し、さらに電子線を照射(加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad))して第1の保護層及び第2の保護層を硬化した。ここで、第2の保護層は意匠層の木目柄における導管部分が非形成部分となるように印刷した。次に、アクリル樹脂フィルムの意匠層とは反対側の表面に、ポリエステルポリオール及びイソシアネート系硬化剤からなる接着剤をグラビア印刷し、第1の支持体としてのABS樹脂フィルム(厚さ350μm、荷重たわみ温度75℃)をドライラミネート法により貼り合わせ、第1の支持体層/接着層/第2の支持体層/意匠層/第1の保護層/第2の保護層がこの順に積層された加飾シートを得た。
(電離放射線硬化性樹脂組成物A)
・2官能ポリカーボネートウレタンアクリレート(重量平均分子量10,000) 95質量部
・4官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量6,000) 5質量部
・シリカ粒子(平均粒径1.3μm) 30質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物B)
・2官能ポリカーボネートウレタンアクリレート(重量平均分子量10,000) 95質量部
・4官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量6,000) 5質量部
・ウレタンビーズ(平均粒径3μm) 10質量部
<実施例2>
第2の支持体としてのアクリル樹脂フィルム(厚さ125μm、荷重たわみ温度105℃)の一方側の表面に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂を含むインキを用いて、グラビア印刷により、木目柄の意匠層(厚み10μm)を形成した。次に、意匠層の表面に、ポリエステルポリオール及びイソシアネート系硬化剤からなる接着剤をグラビア印刷し、第1の支持体としてのABS樹脂フィルム(厚さ350μm、荷重たわみ温度75℃)をドライラミネート法により貼り合わせ、第1の支持体層/意匠層/第2の支持体層がこの順に積層された加飾シートを得た。
<比較例1>
実施例1において、第2の支持体としてアクリル樹脂フィルムに替えてABS樹脂フィルム(厚さ100μm、荷重たわみ温度80℃)を用い、且つ第1の支持体としてのABS樹脂フィルムとの貼り合わせをドライラミネートに替えて熱ラミネート(フィルム予熱温度:150℃、貼り合わせスピード:5m/分、ラミネート用金属ロール温度:100℃)とした以外は、実施例1と同様にして、第1の支持体層/第2の支持体層/意匠層/第1の保護層/第2の保護層が順に積層された加飾シートを得た。
<150℃の環境下における50%延伸時の引張強度>
上記で得られた各加飾シートについて、それぞれ、以下の測定条件により、150℃の環境下における50%延伸時の引張強度を測定した。150℃のオーブン(恒温槽)の中に各加飾シートを入れ、1分間放置し、その状態で、引張速度:1000mm/分、引っ張り方向:流れ方向の条件で、加飾シートを引っ張り、50%延伸時の引張強度を測定した。なお、サンプルサイズは巾25mm×長さ(引っ張り方向)90mmの短冊型、チャック間距離は50mm、試験機としてオリエンテック(株)製のテンシロンRTC−1250Aを使用した。結果を表1に示す。
<線膨張係数の測定>
上記で得られた各加飾シートについて、それぞれ、以下の測定条件により、線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
装置:TMA−60(島津製作所(株)製)
雰囲気ガス:窒素
試験モード:引張モード
初期荷重:4g/mm2定速荷重モード
昇温速度:10℃/分
サンプルサイズ:巾5mm×長さ(引張方向)10mm
引張り方向:流れ方向
温度範囲:20〜50℃
<加飾樹脂成形品の製造>
上記で得られた各加飾シートを、それぞれ、180℃に加熱し、延伸倍率が100〜300%となる部分を有する真空成形型を用いて真空成形(予備成形)を行い、成形シートを得た。次に、得られた成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、第1の支持体層側から流動状態のABS樹脂を型内に射出し、そのまま冷却して固化させることにより、加飾樹脂成形品を得た。射出成形時の射出樹脂の温度は、260℃とした。また、射出成形型の温度は、50℃とした。また、今回製造した加飾樹脂成形品は、側面から観察した際に視認されるほぼ全領域が加飾シートによって加飾されるよう、加飾シートの端部と加飾樹脂成形品の端部がほぼ一致するような形状とした。
(加飾シートと射出樹脂との密着性評価)
上記で得られた各加飾樹脂成形品について、以下の方法により、加飾シートと射出樹脂との密着性を評価した。まず、加飾樹脂成形品の表面に、カッターナイフを用いて十字の傷を付けた。この傷の上から、ニチバン社製のセロテープ(登録商標)(No.405−1P)を圧着した後、90度方向に急激に剥離することによって、剥離が見られない又は僅かである場合をOK、著しい剥離が見られる場合をNGとして密着性を評価した。結果を表1に示す。
(加飾シートと射出成形型との間への射出樹脂の流れ込みの有無の確認)
上記で得られた各加飾樹脂成形品の端部及び表面を目視で観察し、加飾樹脂成形品を製造する際の射出成形において、加飾シートと射出成形型との間への射出樹脂の流れ込みの有無を確認した。結果を表1に示す。
11…第1の支持体層
12…第2の支持体層
2…接着層
3…意匠層
4…表面保護層
5…射出樹脂

Claims (10)

  1. 少なくとも、第1の支持体層と、第2の支持体層を備える加飾シートであり、
    前記第1の支持体層は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されており、
    前記第1の支持体層の厚みが、200μm〜500μmであり、
    前記第2の支持体層の厚みが、100μm〜150μmであり、
    前記加飾シートは、150℃の環境下における50%延伸時の引張強度が、4.0N/25mm以上である、加飾シート。
  2. 20℃〜50℃における線膨張係数が1×10-4/K以下である、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 少なくとも、第1の支持体層と、第2の支持体層を備える加飾シートであり、
    前記第1の支持体層とは反対側の表面に、表面保護層をさらに備え、
    前記第1の支持体層は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂により形成されており、
    前記第2の支持体層は、アクリル樹脂により形成されており、
    前記加飾シートは、20℃〜50℃における線膨張係数が1×10-4/K以下である、加飾シート。
  4. 意匠層をさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
  5. 前記第2の支持体層が、熱可塑性樹脂により形成されている、請求項1又は2に記載の加飾シート。
  6. 前記第1の支持体層の厚みが、300μm〜500μmであり、前記第2の支持体層の厚みが、50μm〜200μmである、請求項に記載の加飾シート。
  7. 前記第1の支持体層とは反対側の表面に、表面保護層をさらに備える、請求項1又は2に記載の加飾シート。
  8. 前記表面保護層の厚みが、2μm〜6μmである、請求項3又は7に記載の加飾シート。
  9. 自動車内装用である、請求項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを、真空成形型により真空成形して成形シートを得る工程と、
    前記成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、前記第1の支持体層側から流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に前記成形シートを一体化させる工程と、
    を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
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