JP6934721B2 - マイクロニードル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年4月24日出願の米国仮特許出願第61/983,593号の優先権を主張するものであり、参照により本明細書内に組み込まれる。
本出願は、概して、皮膚または他の組織壁の中へ、それから外へ、またはそれにわたって、治療用、診断用、化粧料、生物学的、または他の分子を移送するためのマイクロニードルの分野にある。
マイクロニードルは、サイズが小さいため、表面組織層(例えば、皮膚)を正確に標的とし、かつそれを行うにあたって比較的痛みを伴わないことを可能にする。しかしながら、それらの小さいサイズは、それらの機能性及び/または製造に重要な他の因子を妨げ得る。これは、経皮薬剤送達のためのマイクロニードルパッチを生成する場合に特に当てはまる。
例えば、マイクロニードルは、それが形成される、または添着されるベースまたは裏打ちと比較して長さが短いため、組織挿入が困難であり得る。これは、マイクロニードルが組織に十分に接触し貫通するように、それらを皮膚に投与するときに適用される力のほとんどが、マイクロニードルパッチ全体の下の皮膚を変形させるために使用されるため、標的組織(例えば、皮膚)の弾性特性から生じるものである。したがって、マイクロニードル挿入の成功に必要とされるパッチ適用力は、マイクロニードルを単独で挿入するための力よりも大きくなり得る。これが、衝撃を用いてマイクロニードルパッチを皮膚に適用する複雑かつ攻撃性のあるアプリケータの開発をもたらした。これは、望ましくない費用及び複雑性を追加する。
従来の成形法は、概して、簡便、迅速、再現性が高く、かつ正確な様式で、マイクロニードルアレイを作製するのに適していない。例えば、マイクロニードルの小さいサイズは、製造中にそれらの中に装填され得る物質の量(送達の場合)、または分析物サンプリング/モニタリングの場合に試料採取/抽出され得る物質の量を制限する。マイクロニードルは、それらが製造される型空洞と同様である、限られた容積を有する。これは、それらの中に装填され得る物質の量を制限する。これをより困難にするのは、多くの目的の分子が水(製造中に好まれるキャリア溶媒のうちの1つ)及び他の溶媒への限られた溶解度を有するという事実である。
小さい中実マイクロニードルの製造はまた、従来の流体分注システム及び従来の型の使用により生じる不正確さを問題とし得る。不正確さは、マイクロニードル空洞へ堆積された滴間のずれ、及び非常に変わりやすい充填容積に起因し得る。マイクロニードル型空洞の小さいサイズは、特に大量生産中に、直接堆積技術を用いて標的とすることを困難にする。標的堆積領域は、型内のマイクロニードル空洞の開口部によって画定され、それは非常に小さい。マイクロニードルの容積もまた、一般的には10ナノリットルのように非常に小さく、大量生産環境においてマイクロリットルまたはナノリットル分注システムを使用して再現性よく堆積することが困難である。マイクロニードル型の、高速で、再現可能な、正確な充填の必要性が依然としてある。
要するに、マイクロニードル設計を改善する必要性、特にそのような改善された設計のためにマイクロニードル生産方法を改善する必要性が依然としてある。
改善されたマイクロニードルアレイ及び薬剤送達パッチが、マイクロニードルアレイ作製の改善された方法と共に開発され、先述の必要性のうちの1つ以上に対処している。
一態様において、マイクロニードルアレイが、生体組織への目的の物質の投与のために提供される。ある実施形態において、本アレイは、マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、ベース基板のマイクロニードル面から延在する少なくとも1つの一次漏斗部と、少なくとも1つの一次漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルとを含み、2つ以上の中実マイクロニードルは、目的の物質を含む。一実施形態において、2つ以上の中実マイクロニードルのそれぞれは、少なくとも1つの一次漏斗から延在する二次漏斗部をさらに備える。
別の態様において、マイクロニードルパッチが、生体組織内への目的の物質の投与のために提供される。ある実施形態において、本装置は、マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、ベース基板のマイクロニードル面から延在する一次漏斗部と、一次漏斗部から延在する1つ以上の中実マイクロニードルとを含み、1つ以上の中実マイクロニードルは、目的の物質及び1つ以上のマトリックス材料を含み、目的の物質は、一次漏斗部内に存在するよりも1つ以上の中実マイクロニードル内に多く存在する。
依然として別の態様において、マイクロニードルパッチが、生体組織内への2つ以上の目的の物質の投与のために提供される。1つの場合において、本パッチは、マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、ベース基板のマイクロニードル面から延在する第1の漏斗部であって、ベース基板と平行の方向に延設される第1の漏斗部と、第1の漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルの第1のアレイであって、第1のアレイのマイクロニードルが第1の目的の物質を含む、第1のアレイと、ベース基板のマイクロニードル面から延在する第2の漏斗部であって、ベース基板と平行の方向に延設される第2の漏斗部と、第2の漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルの第2のアレイであって、第2のアレイのマイクロニードルが第1の目的の物質とは異なる第2の目的の物質を含む、第2のアレイとを含む。
さらに別の態様において、マイクロニードルを作製するための方法が提供される。一実施形態において、本方法は、(a)上面、対向の下面、及び上面内の開口部を有する型を提供することであって、開口部が、上面に対して近位の第1の空洞、及び第1の空洞の下の第2の空洞につながり、第1の空洞が一次漏斗部を画定し、第2の空洞が少なくとも1つのマイクロニードルを画定する、提供することと、(b)少なくとも第2の空洞に、型内の開口部を介して、第1の液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む第1の材料を充填することと、(c)第1の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、第2の空洞内のマイクロニードルの少なくとも先端部を形成するために、型内の第1の材料を乾燥させることであって、先端部が目的の物質を含む、乾燥させることと、(d)第1の空洞、ならびにステップ(b)及び(c)の後で占有されていないものがある場合は第2の空洞に、型内の開口部を介して、第2の液体ビヒクル中に溶解または懸濁されたマトリックス材料を含む第2の材料を充填することと、(e)第2の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、(i)一次漏斗部、ならびに(ii)ステップ(b)及び(c)の後で形成されていない少なくとも1つのマイクロニードルの任意の部分を形成するために、型内の第2の材料を乾燥させることであって、一次漏斗部がマトリックス材料を含む、乾燥させることと、(f)少なくとも1つのマイクロニードルをそれに接合された一次漏斗部と一緒に型から外すことと、を含み、目的の物質は、一次漏斗部内に存在するよりも少なくとも1つのマイクロニードル内に多く存在する。
別の態様において、マイクロニードルのアレイを作製するための方法が提供され、本方法は、(a)上面、対向の下面、及び上面内の複数の開口部を有する非多孔性かつ気体透過性の型を提供することであって、各開口部が、マイクロニードルを画定する空洞につながる、提供することと、(b)空洞に、開口部を介して、液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む流体材料を充填することと、(c)液体ビヒクルの少なくとも一部を除去し、目的の物質を含む複数のマイクロニードルを形成するために、型内の流体材料を乾燥させることと、(d)複数のマイクロニードルを型から外すことと、を含み、ステップ(b)の充填は、型の上面及び下面の間の圧力差の適用によって実施される。
さらなる態様において、マイクロニードルのアレイを作製するための方法が提供され、本方法は、上部及び下部を有する二つ割型を提供することであって、上部が、上面、対向の下面、及びそれらを通って延在する開口部を有し、開口部が上方空洞を画定し、下部が、上面、対向の下面、及び上方空洞と流体連通し、かつ下方空洞につながる上面内の開口部を有し、下方空洞がマイクロニードルを画定し、上部及び下部が分離可能に一緒に固定される、提供することと、少なくとも下方空洞に、上部内の開口部を介して、第1の液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む第1の材料を充填することと、第1の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、目的の物質を含むマイクロニードルを形成するために、型内の第1の材料を乾燥させることと、マイクロニードルを型から外すこととを含む。
追加の態様は、以下に続く説明において一部は明記されるか、一部は説明から明白であるか、または以下に記載される態様の実践により存知され得る。以下に記載される利点は、添付の特許請求の範囲内で具体的に指摘される要素及び組み合わせを用いて認識及び達成されるものとする。先述の一般的説明及び以下の詳細説明の両方は、例示的及び説明的のみであり、限定的ではないことが理解される。
マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 マイクロニードルアレイ、マイクロニードルパッチ、及び漏斗部を含むマイクロニードル構造体の様々な実施形態を例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載される方法及びシステムのうちのいくつかを使用して生成される、マイクロニードルアレイ及びその特性のいくつかの例示的な実施形態を示す。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載される方法及びシステムのうちのいくつかを使用して生成される、マイクロニードルアレイ及びその特性のいくつかの例示的な実施形態を示す。 本明細書に記載される方法及びシステムのうちのいくつかを使用して生成される、マイクロニードルアレイ及びその特性のいくつかの例示的な実施形態を示す。 本明細書に記載される方法及びシステムのうちのいくつかを使用して生成される、マイクロニードルアレイ及びその特性のいくつかの例示的な実施形態を示す。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。 本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製するための様々な方法、型、及びシステムを例証する。
改善されたマイクロニードルアレイ及び製造方法が開発された。実施形態において、本マイクロニードルは、活性医薬成分または他の目的の物質を含み、これらのマイクロニードルのアレイは、患者の皮膚への投与のためなど、薬剤送達パッチとして、または薬剤送達パッチにおける使用に特に適している。
実施形態において、マイクロニードルアレイは、ベース基板とマイクロニードル自体との間に1つ以上の漏斗部を有利に含む。漏斗部(時に、本明細書内では「漏斗」、「漏斗部」、「一次漏斗部」、「二次漏斗部」、または「漏斗引込み」と称される)の追加は、その使用、その製造、またはその使用及び製造の両方に特定の利点を与える。
第一に、漏斗をマイクロニードルパッチ内に組み入れることによって、マイクロニードルを長くする必要なしに、それらがマイクロニードルをそのベースまたは裏打ち層から持ち上げて、マイクロニードルがより簡便に標的組織に接触及び貫通することを可能にするため、組織挿入の困難性が軽減し得る。これによって、マイクロニードル挿入の効率性(例えば、マイクロニードル貫通の成功率)は増加し、マイクロニードルパッチの適用を成功させるために必要とされる力の量は減少する。つまり、マイクロニードルの集合体のより多くの数が組織を貫通するか(例えば、パッチ内のマイクロニードルの80%または90%または95%以上)、各マイクロニードルのより大きな割合が皮膚内に貫通する(例えば、平均してパッチ内のマイクロニードルの長さまたは容積の50%または75%または80%または90%または95%以上)。マイクロニードル貫通成功率のこれらの測定値のいずれかの最終結果は、マイクロニードルによって投与される目的の物質の大半が組織内に送達されることである。
マイクロニードル設計におけるこのようなアプローチはまた、最小限の力を適用した後、漏斗挿入がほとんどまたは全くなくマイクロニードル挿入を許すこと、許可することであり得る。つまり、漏斗付のマイクロニードルの結果として生じる挿入の深さは、漏斗区域の急速な拡張が挿入を妨げ、最大でもマイクロニードル−漏斗接合面までの挿入に終わるため、パッチ適用中の過度な力の適用に対して感受性が低い。これによって、簡単な親指の圧力のみ、最小の必要力が適用されたことを示す機序と共に親指の圧力、または衝撃に依存し得ないより簡便で攻撃性の低いアプリケータによって、マイクロニードルが挿入されることが可能になる。例えば、より長いマイクロニードルのアレイが皮膚に押し付けられる場合、マイクロニードルを部分的にのみ挿入して、依然として浅く貫通させる可能性がある。しかしながら、マイクロニードル挿入の実際の深さは、必要とされる最小限の力が個人(例えば、皮膚タイプ)及び適用部位(例えば、患者の身体上の場所)の違いに起因して様々であるため、制御するのが非常に困難である。したがって、より長いマイクロニードルのアレイを部分的に挿入するための挿入力は様々であり、短すぎるまたは長すぎる力を適用することによって、不適切なマイクロニードル挿入の深さをもたらす。これは、漏斗引込み付きマイクロニードルを使用すると、漏斗部の急速な拡張が挿入の深さを制限するため、緩和される。最小限の(またはより大きな)力が適用された場合、挿入の深さは一貫している。
第二に、マイクロニードル装置内に漏斗を含むことによって、それらが、製造中にマイクロニードル内に装填されることができる目的の物質の量を増加させるため、装填及び充填制限は著しく軽減し得る。漏斗を含む成形プロセスにおいて、装填されることができる物質の量は、マイクロニードル空洞の容積に装填される溶液中の物質の濃度を乗じたものよりも大きい。装填される量は、マイクロニードル及び漏斗の容積を合わせたものに充填溶液/懸濁液の濃度を乗じたものに充填ステップの数を乗じたものと同じくらい大きくなり得る。漏斗容積は、多くの場合、マイクロニードル容積よりも何倍も大きく、それによりマイクロニードル内に装填されることができる量を著しく増加させる。
第三に、漏斗を追加することによって、漏斗がマイクロニードル空洞から外へ拡張することから、型充填ステップ中に標的面積を大いに増加させるため、製造上の課題は著しく減少し得る。このより大きな面積標的(即ち、漏斗−ベース接合面)は、標的面積がマイクロニードル−ベース接合面となる漏斗を含まない型と比較して、堆積/充填システムに必要とされる位置精度を大いに緩和させる。加えて、漏斗付きマイクロニードルを充填する容積は、マイクロニードル自体よりも何倍も大きくなり得、それによりこの制約も軽減する。
開発されたマイクロニードルアレイ設計及び製造方法の他の利点及び利益は、本明細書の残りにわたって記載される。改善された製造方法が、漏斗部を含むマイクロニードルアレイ、ならびに漏斗部を含まないマイクロニードルアレイに適用可能であることは確かである。
本明細書内、または本明細書の残りの部分において以下に別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術または科学用語は、本開示が属する技術分野において当業者によって共通して理解される意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみであり、限定することを意図しないことも理解される。本実施形態の説明及び特許請求において、次の用語は、以下に示される定義に従って使用されるものとする。
本明細書及び添付の特許請求項の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」「1つの(an)」、及び「その(the)」は、別途明確に記述されない限り、複数指示物を含む。したがって、例えば、「1つの構成要素(a component)」への言及は、2つ以上の構成要素の組み合わせを含み、「1つの緩衝剤(a buffer)」は、緩衝剤の混合物を含み得る。
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた値の10%以内、または任意にその値の5%以内、またはいくつかの実施形態においてはその値の1%以内にわたる量を含み得る所与の量の値を示す。
1.漏斗部付きマイクロニードルアレイ
本マイクロニードルアレイは、ベース基板、及びベース基板の表面から延在する2つ以上のマイクロニードルを含む。各マイクロニードルは、ベース基板に直接取り付けられるか、1つ以上の漏斗部を介して非直接的に取り付けられる近位端と、生体組織を貫通するために鋭くかつ効果的である遠位先端とを有する。マイクロニードルは、近位端と遠位端との間にテーパ状の側壁を有する。
漏斗部は、マイクロニードルと一体的に形成され得る。漏斗部の外表面は、突起構造体の異なる部分を画定する表面の角度における明確な変化/拡張によって、該構造体のマイクロニードル部と区別され得、それは、遠位端からマイクロニードルの近位端に向かって進むにつれて少なくとも1つの寸法(例えば、放射状に)において急速に拡張するものとして見られ得る。漏斗部は、その基端で、そのマイクロニードル端よりも幅広い。この拡張は、漏斗部が標的組織層または空間内にほとんどまたは全く挿入されないように設計され得る。
好ましい実施形態において、マイクロニードルアレイは、薬剤または他の目的の物質の皮膚などの生体組織への投与のために提供され、本アレイは、マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、ベース基板のマイクロニードル面から延在する一次漏斗部と、一次漏斗部から延在する1つ以上の中実マイクロニードルとを含み、1つ以上の中実マイクロニードルは、目的の物質及びマトリックス材料を含み、目的の物質は、一次漏斗部内に存在するよりも1つ以上の中実マイクロニードル内に多く存在する。例えば、一次漏斗部は、1つ以上の中実マイクロニードルと1つ以上の中実マイクロニードルが延在する一次漏斗部との組み合わせの中に存在する目的の物質を0%〜20%含み得る。この実施形態は、漏斗部内の薬剤を無駄にすることを有利に回避する。
ある実施形態において、マイクロニードルアレイは、薬剤または他の目的の物質の皮膚などの生体組織への投与のために提供され、本アレイは、マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、ベース基板のマイクロニードル面から延在する少なくとも1つの一次漏斗部と、少なくとも1つの一次漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルとを含み、2つ以上の中実マイクロニードルは、目的の物質を含む。2つ以上の中実マイクロニードルのそれぞれは、少なくとも1つの一次漏斗から延在する二次漏斗部をさらに含み得る。
図1〜2は、各マイクロニードル130が漏斗部125から延在する、マイクロニードルパッチ100の一部としてのマイクロニードルアレイ105の一例を示す。マイクロニードルアレイ105は、マイクロニードル面115及び反対の裏面120を有するベース基板110を含む。漏斗部125は、ベース基板110のマイクロニードル面115から延在する。マイクロニードルアレイ105は、ハンドリング層140に、その間に配置される粘着層135によって添着される。ハンドリング層140は、マイクロニードルアレイから離れる方向に延在するタブ部145を含む。タブ部145は、人がマイクロニードル130に接触する必要なしにマイクロニードルパッチ100を手で保持及び操作することを可能にする。粘着カバー150は、ハンドリング層140のタブ部145の上に重なる粘着層135の一部分に添着される。粘着カバー150は、人が粘着層135に接触する必要なしにマイクロニードルパッチ100を手で保持及び操作することを可能にする。
任意の機械力インジケータ155は、粘着層135とハンドリング層140との間に配置される。機械力インジケータは、その使用中にパッチに適用される力及び/または圧力の量を人に示すために使用され得る。例えば、一実施形態において、インジケータは、(1つ以上のマイクロニードルを患者の皮膚内に挿入するために患者の皮膚に対してパッチを適用する間に)人によってパッチに適用される力が、既定の閾値を満たすか、超過するときに、信号を提供するように構成される。既定の閾値は、最小限の力であるか、または特定のマイクロニードルパッチが患者の皮膚に効果的に適用されるために必要とされる最小限の力より大きいいくらかの量である。つまり、それは、マイクロニードルが適切に、例えば、完全に、患者の皮膚内に挿入されるために必要な力である。
漏斗部及びマイクロニードルの構造特性
漏斗部は、様々な異なる構成に形成され得る。漏斗部は、(険しいまたは浅い)テーパ状の壁、「段差」壁、その後垂直になるテーパ状の壁、半球状の壁、またはそれらの組み合わせを有し得る。漏斗部は、対称性または非対称性であり得る。これらの構成の一部は、図3A〜3Fに示される断面図に例証される。図3Aは、ストレートテーパ状の側壁及びそこから延在するマイクロニードル300を有する円錐形の漏斗部310を示す。図3Bは、段差側壁及びそこから延在するマイクロニードル300を有する漏斗部320を示す。図3Cは、テーパ状の部分及び非テーパ状の(垂直)部分の両方を有する側壁と、そこから延在するマイクロニードル300とを有する漏斗部330を示す。図3Dは、漏斗部の1つの側面341において漏斗部の別の(例えば、対向する)側面342と比較して異なる角度で細くなる側壁と、そこから延在するマイクロニードル301とを有する軸非対称の漏斗部340を示す。図3Eは、ストレートテーパ状の側壁及びそこから延在するマイクロニードル300を有する浅い円錐形の漏斗部350を示す。図3Fは、湾曲した側壁及びそこから延在するマイクロニードル300を有する半球状の形状の漏斗部360を示す。
単一のマイクロニードルアレイまたはパッチが、2つ以上の異なる幾何学的形状を有する漏斗部を有し得る。例えば、アレイは、第1のサイズまたは形状の漏斗部を有する1列のマイクロニードル、及び第2のサイズまたは形状の漏斗部を有する2列目のマイクロニードルを含み得る。例えば、この違いは、2つの異なる目的の物質を送達するために有益に設計され得る。
製造及び使用上の考慮は、漏斗部の幾何学的形状の選択にも影響する。例えば、アレイ内のマイクロニードル及び漏斗の密度(即ち、間隔)も、漏斗挿入がほとんどまたは全くない簡便なニードル挿入を可能にするために、マイクロニードル/漏斗の幾何学的形状と均衡がとられ得る(即ち、マイクロニードルの間隔が近くなるほど、概して、挿入がより困難になるため)。別の例として、製造中、ある体積の溶液が型の漏斗部内に堆積され、乾燥/硬化されると、溶質は型のマイクロニードル及びその先端部内に実質的に移動する。漏斗形状は、一実施形態において、この溶質移動を促進及び最大化するように設計される。
マイクロニードルの長さ(LMN)は、約50μm〜2mmであり得る。ほとんどの場合、それらは、約200μm〜1200μm、理想的には約500μm〜1000μmである。漏斗の長さ(高さ)(LFUN)は、約10μm〜1cmであり得る。ほとんどの場合、漏斗は、約200μm〜2000μm、及びより好ましくは約500μm〜1500μmである。比LFUN/LMNは、約0.1〜10、より典型的には約0.3〜4、及びより好ましくは約0.5〜2、または約0.5〜1であり得るが、約1〜2の比も有用である。比LFUN/LMNは、約1未満であり得るか、約1超であり得る。総計LMN+LFUNは、約60um〜1.2cm、より典型的には約300um〜1.5mm、及びより好ましくは約700um〜1.2mmであり得る。LMN+LFUNは、約1mm超、または約1.2mm超、または約1.5mm超であり得る。
マイクロニードルの容積(VMN)は、約1nl〜100nlであり得る。ほとんどの場合、それは約5nl〜20nlである。漏斗の容積(VFUN)は、約1nl〜20,000nl、より典型的には約5nl〜1000nl、及びより好ましくは約10nl〜200nlであり得る。比VFUN/VMNは、約0.1〜100、より典型的には約0.5〜20、及びより好ましくは約1〜10または約2〜5であり得る。
マイクロニードルが漏斗と接触する場所におけるマイクロニードルの断面積(AMN−FUN)は、約300μm〜800,000μmである。ほとんどの場合、それは約10,000μm〜500,000μm、及びより好ましくは約50,000μm〜200,000μmである。漏斗−ベース接合面の断面積(AFUN−BASE)は、約301μm〜8x10μm、より典型的には約10,000μm〜5x10μm、及びより好ましくは約100,000μm〜2x10μmである。比AFUN−BASE/AMN−FUNは、漏斗がマイクロニードルから外へ拡張するため、常に1より大きい。比AFUN−BASE/AMN−FUNは、約1.1〜2500、より典型的には約1.5〜100、及びより好ましくは約2〜10である。
1つ以上のマイクロニードルは、任意の好適な密度でベース基板上に配置され得る。例えば、複数のマイクロニードルが、アレイ内の一様または互い違いの列に配置され得、ここでは各マイクロニードルは、その最隣接マイクロニードルからマイクロニードルの高さとほぼ等しい距離だけ分離される。
マイクロニードル−漏斗接合面における幅(WMN−FUN)は、約20μm〜1000μmである。ほとんどの場合、それは約100μm〜500μm、及びより好ましくは約200μm〜400μmである。漏斗−ベース接合面の幅(WFUN−BASE)は、約30μm〜1cm、より典型的には約300μm〜1500μm、及びより好ましくは約500μm〜1000μmである。比WFUN−BASE/WMN−FUNは、漏斗がマイクロニードルから外へ拡張するため、常に1より大きい。比WFUN−BASE/WMN−FUNは、約1.1〜50、より典型的には約1.5〜10、及びより好ましくは約2〜5である。
漏斗部は、それが少なくとも1つの寸法においてマイクロニードルに接合する場所から拡張する。ほとんどの場合、それは放射状に拡張する。図4A〜4Cに示されるように、劣角αは、漏斗−マイクロニードル接合面から漏斗部がベースと接触する場所まで延在する線と、同じ場所から延在し、かつマイクロニードルの中心軸と直角である線との間に位置する。角度αは、約90°未満であるが、約10°より大きい。ほとんどの場合、それは約30°〜75°、及びより好ましくは約45°〜約60°である。
各マイクロニードルは、1つの漏斗と関連付けられ得、各漏斗は1つのマイクロニードルと関連付けられる。代替的に、1つのマイクロニードルは、1つを超える漏斗と関連付けられ得る。代替的に、1つの漏斗は、1つを超えるマイクロニードルと関連付けられ得る。一般に、パッチごとに、マイクロニードルの数は、漏斗の数以上である。しかしながら、漏斗の数は、漏斗が連続で使用されるときは、マイクロニードルの数を超過し得る。パッチごとのマイクロニードルは、概して、1〜10,000、ならびにほとんどの場合、約20〜1000、及びより好ましくは約50〜500である。パッチごとの漏斗の数は、概して、約1〜10,000、ならびにほとんどの場合、約5〜500、及びより好ましくは約10〜500である。漏斗のマイクロニードルに対する比は、約0.01〜10、より典型的には約0.05〜4、及びより好ましくは0.1〜1である。場合によっては、漏斗のマイクロニードルに対する比は約1である。他の場合において、漏斗のマイクロニードルに対する比は約2以上である。場合によっては、列内の複数のマイクロニードルすべてが、同じ漏斗に関連付けられる。場合によっては、マイクロニードルの一部は漏斗に関連付けられ、他のマイクロニードルは漏斗に関連付けられない。場合によっては、各マイクロニードルがパッチ内で関連付けられる漏斗の数は、すべてのマイクロニードルにおいて、またはすべての漏斗において同じではない。
漏斗はまた、連続で、即ち、第1の漏斗(即ち、一次漏斗部)(ベース端)がいくつかの他の漏斗(即ち、二次漏斗部)を供給する、漏斗の集合体で、使用され得る。例えば、各マイクロニードルは、独自の漏斗を有し得、マイクロニードル及び漏斗のパッチの列または区域は、より大きな細長漏斗に接合され得る。これは、何らかの理由で(例えば、活性物質が、安定性及び/または放出動態のために異なるやり方で製剤され、互いに非相溶性である)、マイクロニードルパッチに複数の活性物質を充填するときに特に有用である。例えば、一部のマイクロニードルは、活性物質を急速に放出し、それにより即時噴出を提供して活性物質の血中濃度を治療域まで素早く上昇させ得、他のマイクロニードルは、長期間にわたって治療範囲内の活性物質の血中濃度を維持するために活性物質を緩徐に放出するように設計され得る。代替的に、単一の大きな漏斗が、マイクロニードル(それら独自の別個の漏斗の有無を問わず)パッチ全体に接合され得る。これは、単一の活性物質の充填に有用であり得る。
図5〜8は、1つの漏斗部を有する複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイの様々な実施形態を例証する。
一実施形態において、図5及び6に例証されるように、マイクロニードル面515及び反対の裏面520を有するベース基板510を含むマイクロニードルアレイ505。マイクロニードルアレイ505は、マイクロニードル530の3つのセットも含み、各セットは、ベース基板510のマイクロニードル面515から延在する1つの漏斗部525を有する。示されるように、マイクロニードル先端部は、目的の物質を含むが、漏斗部525及びベース基板部510は、目的の物質をほとんどまたは全く含まない。各漏斗部425は、ベース基板510と平行する方向(D)に延設される。この実施形態において、3つすべての延設された漏斗部525のマイクロニードル530が、同じ目的の物質を含む。
他の実施形態において、例えば、図7及び8に例証されるように、マイクロニードルアレイの異なる区域は、異なる目的の物質及び/または賦形剤を含み得る。マイクロニードルアレイ705は、マイクロニードル面715及び反対の裏面720を有するベース基板710を含む。マイクロニードルアレイ705は、第1の目的の物質を含むマイクロニードル730aの3つのセット、及び第2の目的の物質を含む他のマイクロニードル730bの3つのセットも含み、各セットは、ベース基板710のマイクロニードル面715から延在する1つの漏斗部725を有する。各漏斗部725は、ベース基板710と平行する方向(D)に延設される。
図9〜12は、2つの漏斗部、一次漏斗部及び二次漏斗部を有する複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイの様々な実施形態を例証する。
一実施形態において、図9及び10に例証されるように、マイクロニードル面915及び反対の裏面920を有するベース基板910を含むマイクロニードルアレイ905。マイクロニードルアレイ905は、マイクロニードル930の3つのセットも含み、各セットは、ベース基板910のマイクロニードル面915から延在する一次漏斗部925、及び一次漏斗部925から延在する二次漏斗部935を有する。各一次漏斗部925は、ベース基板910と平行する方向(D)に延設される。この実施形態において、マイクロニードル930、及び漏斗部925、935は、それぞれ同じ目的の物質及び賦形剤を含む。
他の実施形態において、例えば、図11及び12に例証されるように、マイクロニードルアレイの異なる区域は、異なる目的の物質及び/または賦形剤を含む。マイクロニードルアレイ1105は、マイクロニードル面1115及び反対の裏面1120を有するベース基板1110を含む。マイクロニードルアレイ1105は、第1の目的の物質を含むマイクロニードル1130aの3つのセット、及び第2の目的の物質を含む他のマイクロニードル1130bの3つのセットも含み、各セットは、ベース基板1110のマイクロニードル面1115から延在する一次漏斗部925、及び一次漏斗部1125から延在する二次漏斗部1135を有する。各漏斗部1125、1135は、ベース基板1110と平行する方向(D)に延設される。
先述のようなマイクロニードルパッチはまた、異なる製剤を含むパッチのそれぞれ別個の領域が、別個に成形された後、粘着パッドまたは裏打ち上に組み付けられる、自動化ピックアンドプレース式製造によって製造され得る。
マイクロニードルパッチは、例えば、異なる活性物質及び/または賦形剤及び/または他の物質など、材料における異なる組成物を含む異なるマイクロニードルを含み得る。材料における同じ組成物を含むマイクロニードルが、共通の漏斗(複数可)に接合され得る。異なるマイクロニードル、列、領域の中に異なる材料が装填されることに加えて、マイクロニードル及び漏斗自体が、材料の分離層を有し得る。分離層は、図15に示されるように、積み重なった、または筋の入った形態にあるように見え得るか、分離層は、図16に示されるように、型内の空洞の側壁から内向きに始まるシェル層の形態にあり得る。
目的の物質/活性医薬成分
幅広い物質が、本マイクロニードル及び方法を用いた生体組織への送達のために製剤化され得る。本明細書で使用される場合、「目的の物質」という用語は、活性医薬成分、アレルゲン、ビタミン剤、化粧料、薬用化粧品、診断剤、マーカ(例えば、着色染料または放射線染料もしくはマーカ)、及び生体組織内へ導入することが望ましい他の物質を含む。「目的の物質」は、時に、本明細書内では「活性物質」と称される。好ましい実施形態において、生体組織は、ヒトまたは他の哺乳動物の皮膚を含むがそれに限定されない、ヒトまたは他の哺乳動物の組織である。代替的な実施形態において、生体組織は、植物組織である。
一実施形態において、目的の物質は、医学的または獣医学的用途に有用な予防剤、治療剤、または診断剤である。一実施形態において、目的の物質は、本明細書内ではAPIと称され得る、予防または治療物質である。特定の実施形態において、APIは、天然に存在するか、合成されるか、または組み換え生成され得る好適なタンパク質、ペプチド、及びそれらの断片から選択される。送達のためのAPIの種類の代表例としては、抗生物質、抗ウイルス剤、鎮痛薬、麻酔薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗凝固剤、アレルゲン、ビタミン剤、抗腫瘍剤が挙げられる。
一実施形態において、目的の物質は、ワクチンを含む。ワクチンの例としては、伝染病のためのワクチン、癌、神経疾患、アレルギー、及び禁煙または他の嗜癖のための治療ワクチンが挙げられる。炭疽病、子宮頸癌(ヒトパピローマウイルス)、デング熱、ジフテリア、エボラ、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、ヘモフィルスインフルエンザb菌(Hib)、HIV/AIDS、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ(季節性及び新型)、日本脳炎(JE)、ライム病、マラリア、麻疹、髄膜炎菌性、サル痘、流行性耳下腺炎、百日咳、肺炎球菌、ポリオ、狂犬病、ロタウイルス、風疹、帯状疱疹(帯状ヘルペス)、痘瘡、破傷風、腸チフス、結核(TB)、水痘(水疱瘡)、西ナイル、及び黄熱病の予防のための現在及び将来のワクチンのいくつかの例。
別の実施形態において、目的の物質は、治療剤を含む。治療剤は、小分子、またはバイオテクノロジー生成もしくは精製されたより大きな分子から選択され得る(例えば、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA)。治療剤の例(それらの類似物及び拮抗薬を含み得る)としては、インスリン、インスリン様成長因子、インスルトロピン、副甲状腺ホルモン、酢酸プラムリンチド、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出因子、メカセルミン、第VIII因子、第IX因子、アンチトロンビンIII、プロテインC、プロテインS、β−グルコセレブロシダーゼ、アルグルコシダーゼ−α、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、ガルスルファーゼ(galsulphase)、アガルシダーゼ−β、α−1プロテアーゼ阻害剤、ラクターゼ、膵酵素、アデノシンデアミナーゼ、プール免疫グロブリン、ヒトアルブミン、エリスロポエチン、ダルベポエチン−α、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト卵胞刺激ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ルトロピン−α、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、アルデスロイキン、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、ウロキナーゼ、第VIIa因子、ドロトレコギン−α、サケカルシトニン、エクセナチド、オクトレオチド、ジボテルミン−α、組み換えヒト骨形成タンパク質7、酢酸ヒストレリン、パリフェルミン、ベカプレルミン、トリプシン、ネシリチド、ボツリヌス毒素(A型及びB型)、コラゲナーゼ、ヒトデオキシリボヌクレアーゼI、ヒアルロニダーゼ、パパイン、l−アスパラギナーゼ、peg−アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、レピルジン、ビバリルジン、ストレプトキナーゼ、アニストレプラーゼ、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、アバタセプト、アナキンラ、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、アレファセプト、エファリズマン(efalizuman)、ナタリズマブ、エクリズマブ、抗胸腺細胞グロブリン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ムロモナブ−CD3、オマリズマブ、パリビズマブ、エンフビルチド、アブシキシマブ、ペグビソマント、Crotalidene多価Fab(ヒツジ)、ジゴキシン免疫血清Fab(ヒツジ)、ラニビズマブ、デニロイキンジフチトクス、イブリツモマブチウキセタン、ゲムツズマブオゾガマイシン、トシツモマブ、I−トシツモマブ、抗アカゲザル(rh)免疫グロブリンG、デスモプレシン、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ブラジキニン、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、グルカゴン、エポプロステノール、コレシストキニン、オキシトシン、コルチコトロピン、プロスタグランジン、ペンチゲチド、チモシンアルファ1、α1アンチトリプシン、フェンタニル、リドカイン、エピネフリン、スマトリプタン、メタンスルホン酸ベンズトロピン、リラグルチド、フォンダパリヌクス、ヘパリン、ヒドロモルホン、オマセタキシンメペスクシナート、酢酸プラムリンチド、サイロトロピンアルファ、グリコピロレート、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、ボルテゾミブ、トリプトレリンパモ酸塩、テデュグルチド、臭化メチルナルトレキソン、パシレオチド、塩酸オンダンセトロン、ドロペリドール、トリアムシノロンヘキサセトニド、アリピプラゾール、吉草酸エストラジオール、硫酸モルヒネ、オランザピン、塩酸メサドン、及びメトトレキサートが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに別の実施形態において、目的の物質は、ビタミン剤、ハーブ、または当該技術分野で既知の栄養補助食品である。非限定的な例としては、5−HTP(5−ヒドロキシトリプトファン)、アサイーベリー、アセチル−L−カルチニン、活性炭、アロエベラ、アルファリポ酸、アップルサイダービネガー、アルギニン、アシタバ、アシュワガンダ、アスタキサンチン、大麦、ビーポーレン、ベータアラニン、ベータカロチン、ベータグルカン、ビオチン、ゴーヤ、ブラックチェリー、ブラックコホッシュ、ブラックカラント、紅茶、分岐アハインアミノ酸、ブロメライン(ブロメリン)、カルシウム、樟脳、カモミール、チェストベリー、キトサン、クロレラ、クロロフィル、コリン、コンドロイチン、クロム、シナモン、シチコリン、ココナッツジュース、コエンザイムQ10、共役リノール酸、冬虫夏草、クランベリー、クレアチン、D−マンノース、ダミアナ、ディアベルベット、DHEA、DMSO、エキナセア、EDTA、エルダーベリー、エミュー油、マツヨイグサ油、コロハ、ナツシロギク、葉酸、フォルスコリン、GABA(ガンマアミノ酪酸)、ゼラチン、生姜、イチョウ、チョウセンニンジン、グリシン、グルコサミン、グルコサミン硫酸塩、グルタチオン、壺草、ブドウ種子抽出物、グリーンコーヒー、ガラナ、グッグル、ギムネマ、サンザシ、ハイビスカス、ホーリーバジル、ホーニ―ゴートウィード、イヌリン、鉄、オキアミ油、L−カルニチン、L‐チトルリン、L−トリポトファン、ラクトバチルス、マグネシウム、モクレン、オオアザミ、MSM(メチルスルホニルメタン)、ニコチン酸、オリーブ、オメガ−3脂肪酸、ウーロン茶、オレガノ、トケイソウ、ペクチン、フェニルアラニン、ホスファチジルセリン、カリウム、プロバイオティクス、プロゲステロン、ケルセチン、リボース、赤麹、レイシマッシュルーム、レスベラトロール、ローズヒップ、サフラン、SAM−e、ノコギリヤシ、マツブサ属、シーバックソーン、セレン、センナ、アカニレ、セイヨウオトギリソウ、イラクサ、ティーツリー油、テアニン、ハマビシ、ターメリック(クルクミン)、チロシン、カノコソウ、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、乳清タンパク質、アメリカンマンサク、キサンタンガム、キシリトール、ヨヒンベ、及び亜鉛が挙げられる。
マイクロニードルパッチは、単一の目的の物質を含み得るか、それは、2つ以上の目的の物質を含み得る。後者の場合、異なる物質がマイクロニードルのうちの1つ内に一緒に提供され得るか、または、マイクロニードルのアレイ内のいくつかのマイクロニードルが、1つの目的の物質を含み、他のマイクロニードルが別の目的の物質を含む。
APIは、望ましくは、安定した製剤または組成物で提供される(即ち、その中の生物学的に活性な材料が、保管時に実質的にその物理的安定性及び/または化学的安定性及び/または生物活性を保持するもの)。安定性は、選択された期間、選択された温度で測定され得る。傾向分析は、材料がその期間実際に保管場所に置かれる前に予想保存可能期間を見積もるために使用され得る。
実施形態において、目的の物質は、1つ以上のマイクロニードルを形成するために「乾いた」、または「乾燥された」固体として提供され、マイクロニードルの患者の生体組織内への挿入の後にインビボで可溶化される。本明細書で使用される場合、「乾いた」または「乾燥された」という用語は、任意の水の実質的部分が組成物の固体相を生成するために除去されている組成物を指す。この用語は、水分の完全な欠如を必要としない(例えば、APIは、約0.1重量%〜約25重量%の水分含有量を有し得る)。
目的の物質は、以下に詳述されるように、1つ以上の賦形剤及び他の添加剤と一緒に製剤に含まれ得る。
マトリックス材料/賦形剤
マトリックス材料は、マイクロニードル、漏斗部、及び裏打ち層の大部分を形成する。それは、典型的には、生体適合性ポリマー材料を、単独で、または他の材料と組み合わせて含む。実施形態において、マトリックス材料、少なくともマイクロニードルのマトリックス材料は、水溶性である。特定の好ましい実施形態において、マトリックス材料は、ポリビニルアルコール、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、スクロース、及び他の糖のうちの1つまたは組み合わせを含む。本明細書で使用される場合、「マトリックス材料」及び「賦形剤」という用語は、マイクロニードル、漏斗、及びベース基板の乾燥及び形成中に揮発されない任意の賦形剤を指すとき、同じ意味で使用される。
本明細書に記載される型充填プロセスで使用される流体溶液は、様々な賦形剤のうちのいずれかを含み得る。賦形剤は、医薬製剤に広く使用されるもの、または新規のものからなり得る。好ましい実施形態において、賦形剤は、FDAに承認された薬剤製品内にあるものである(http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/iig/index.Cfmにある承認医薬品の非活性成分検索を参照のこと)。以下のカテゴリーの賦形剤から1つまたは2つ以上の賦形剤が使用され得るか、全く使用されない:安定剤、緩衝剤、増量剤または充填剤、アジュバント、界面活性剤、崩壊剤、酸化防止剤、可溶化剤、凍結乾燥保護剤(lyo−protectants)、抗菌剤、粘着防止剤、着色料、滑沢剤、粘度増強剤、滑剤、防腐剤、送達を遷延させるまたは制御するための材料(例えば、生分解性ポリマー、ゲル、デポー形成材料など)。また、単一の賦形剤が、2つ以上の製剤の役割を果たし得る。例えば、糖は、安定剤として使用され得、増量剤または緩衝剤は、pHを緩衝すること、及び酸化から活性物質を保護することの両方のために使用され得る。賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、フルクトース、ガラクトース、デキストロース、キシリトール、マルチトール、ラフィノース、デキストラン、シクロデキストリン、コラーゲン、グリシン、ヒスチジン、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、血清アルブミン(ヒト及び/または動物起源)、ゼラチン、キトサン、DNA、ヒラルロン酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリエチレングリコール(PEG、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 3350、PEG 4000)、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アカシア、レシチン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プルロニックF−68、トリオレイン酸ソルビタン(スパン85)、EDTA、ヒドロキシプロピルセルロース、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリス塩基−65、トリス酢酸、トリスHCl−65、クエン酸緩衝剤、タルク、シリカ、脂肪、メチルパラベン、プロピルパラベン、セレン、ビタミン(A、E、C、パルミチン酸レチニル、及びセレン)、アミノ酸(メチオニン、システイン、アルギニン)、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、クロールブタノール、クレゾール、フェノール、チメロサール、EDTA、アセトン重硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸塩、ひまし油、綿実油、ミョウバン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、水酸化リン酸カルシウム、パラフィン油、スクアレン、Quil A、IL−1、IL−2、IL−12、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバンド、死滅した百日咳菌、マイコオバクテリウムボビス、及びトキソイドが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の選択された賦形剤は、マイクロニードル装置の乾燥または保管中に目的の物質の安定性を向上するために選択され得、同時にマイクロニードルアレイにバルク特性及び/または機械特性も提供する。
2.マイクロニードルパッチ
上記のマイクロニードルアレイは、患者の皮膚に手で適用することができるパッチなど、マイクロニードルパッチを生成するための1つ以上の他の構成要素と組み合わされ得る。例えば、マイクロニードルアレイは、目的の物質の投与期間中に患者の皮膚にパッチを固定することを促進するために使用され得る粘着層と組み合わされ得る。裏打ちまたはハンドル層が、上に記載されるように、ならびに図1及び2に例証されるように、パッチの操作を促進するためにさらに含まれ得る。
裏打ち層は、様々な材料から作製され得、タブ部と同じか、または異なり得る。いくつかの実施形態において、裏打ち層は、所望の特性及び機能を提供するために様々な特性を有する材料を含む複合材料または多層材料であり得る。例えば、裏打ち材料は、特定の用途によって、可撓性、半硬質、または硬質であり得る。別の例として、裏打ち層は、実質的に不透過性であり得、1つ以上のマイクロニードル(または他の構成要素)を水分、気体、及び汚染物質から保護する。代替的に、裏打ち層は、所望の保護の程度によって、他の透過性及び/または多孔性の度合いを有し得る。裏打ち層に使用され得る材料の非限定的な例としては、様々なポリマー、エラストマー、発泡材、紙ベースの材料、ホイルベースの材料、金属蒸着フィルム、ならびに不織布及び織布材料が挙げられる。
マイクロニードルパッチは、使用前に保護包装内に保管され得る。1つの場合において、マイクロニードルパッチは、保管トレイと組み合わせられる。1つ以上のトレイは、可撓性容器(例えば、ポーチ)及び/または硬質容器(例えば、箱)内に配置され得る。いくつかの実施形態において、使用前にマイクロニードルパッチを保護するため、蓋がトレイの上に配置され得る。そのような蓋は、トレイと同じか、または異なる材料によるものであり得、トレイの周囲を密閉され得る(即ち、熱密閉、冷却密閉、または感圧接着剤を使用して)。一実施形態において、乾燥剤が、凹部、またはトレイを収容する可撓性もしくは硬質容器内に提供され得る。乾燥剤は、代替的に、または追加で、トレイ自体の部分であり得る。例えば、乾燥剤材料が、トレイの構造を形成する材料に含まれ得る(例えば、その中に分散されるか、その上に被覆される)。例えば、トレイは、当該技術分野で既知の乾燥剤ポリマーで形成され得る。乾燥剤は、生成型から取り外した後にマイクロニードルの乾燥を完了するために使用され得る。
一実施形態において、マイクロニードルパッチは、いくつかのマイクロニードル、例えば、10〜1000個のマイクロニードル、のアレイを含む。好ましい実施形態において、マイクロニードルは、生体組織内、例えば、患者の皮膚内へのマイクロニードルへの挿入後にインビボで可溶化される活性医薬成分(API)などの目的の物質を含む中実マイクロニードルである。例えば、目的の物質は、ベース基板から延在する中実マイクロニードルを形成する水溶性マトリックス材料内に混合され得る。目的の物質は、本明細書内で「溶解可能」と称される製剤内に提供される。目的の物質、及び目的の物質が分散されるマトリックス材料がマイクロニードルの構造を形成する実施形態において、マトリックス材料はまた、マイクロニードル全体がインビボで溶解するように、好ましくはインビボで溶解可能である。
一実施形態において、所与のパッチ内のマイクロニードルはすべて、同じ活性物質及び賦形剤を含む。しかしながら、活性物質及び/または賦形剤は、各マイクロニードル、マイクロニードルの異なる列、またはマイクロニードルアレイの区域/領域において異なり得る。マイクロニードルパッチをそのような分離を用いて設計する有力な理由は、i)異なる活性物質は互いに非相溶性であること、ii)異なる活性物質は異なる安定化賦形剤を必要とすること、及びiii)異なる放出プロファイル(例えば、高速ボーラスに続く徐放の組み合わせ)が単一の活性物質または異なる活性物質に所望されること、である。異なるアレイ及びパッチである例は、図5〜12に記載される。
3.マイクロニードルアレイの作製方法
本明細書に記載される製造方法の実施形態は、概して記載されるように、ベース基板から延在する1つ以上のマイクロニードルを有するベース基板を含むマイクロニードルアレイを作製するために使用される。一般的に言えば、本方法は、有利に高度にスケーラブルである成形プロセスを含む。本プロセスは、好適な型を提供すること、型に好適な流動化材料を充填すること、マイクロニードル、含まれる場合は漏斗部、及びベース基板を形成するために、流動化材料を乾燥させること、ならびに、その後、形成された部品を型から外すことを伴う。これらの充填及び乾燥ステップは、本明細書では「キャスティング」と称され得る。
図13は、2回のキャスティングを含む成形プロセスの一実施形態を例証する。この実施形態において、型1301が提供され、次いで第1の流動化材料1302を充填され、続いて第1の流動化材料1302を乾燥させ、それによりマイクロニードルアレイ1306のマイクロニードルを形成する。その後、型1302は、第2の流動化材料1304を充填され、続いて第2の流動化材料1304を乾燥させ、それによりマイクロニードルアレイ1306の各マイクロニードルの対応する漏斗部を形成する。次いで、マイクロニードルアレイ1306は、型1301から外される。好ましい実施形態において、第1の流動化材料1302は、薬剤または他の目的の物質を含み、第2の流動化材料1304は、薬剤または他の目的の物質を含まない。本明細書に記載されるようなマイクロニードルアレイを作製する1つの方法のプロセスフロー図は、図25に示されるブロックフロー図に例証される。
好ましい実施形態において、マイクロニードルのアレイを作製するための方法が提供され、本方法は、(a)上面、対向の下面、及び上面内の開口部を有する型を提供することであって、開口部が、上面に対して近位の第1の空洞、及び第1の空洞の下の第2の空洞につながり、第1の空洞が一次漏斗部を画定し、第2の空洞が少なくとも1つのマイクロニードルを画定する、提供することと、(b)少なくとも第2の空洞に、型内の開口部を介して、第1の液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む第1の材料を充填することと、(c)第1の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、第2の空洞内のマイクロニードルの少なくとも先端部を形成するために、型内の第1の材料を乾燥させることであって、先端部が目的の物質を含む、乾燥させることと、(d)第1の空洞、ならびにステップ(b)及び(c)の後で占有されていないものがある場合は第2の空洞に、型内の開口部を介して、第2の液体ビヒクル中に溶解または懸濁されたマトリックス材料を含む第2の材料を充填することと、(e)第2の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、(i)一次漏斗部、ならびに(ii)ステップ(b)及び(c)の後で形成されていない少なくとも1つのマイクロニードルの任意の部分を形成するために、型内の第2の材料を乾燥させることであって、一次漏斗部がマトリックス材料を含む、乾燥させることと、(f)少なくとも1つのマイクロニードルをそれに接合された一次漏斗部と一緒に型から外すことと、を含み、目的の物質は、一次漏斗部内に存在するよりも少なくとも1つのマイクロニードル内に多く存在する。ステップ(e)におけるマトリックス材料は、少なくとも1つのマイクロニードルに対して遠位の一次漏斗部に接合されたベース基板をさらに形成し得る。好ましい実施形態において、少なくとも1つのマイクロニードル内に存在する目的の物質のパーセンテージは、少なくとも50%、より好ましくは60%、より好ましくは70%、より好ましくは80%、及びより好ましくは90%である。典型的には、このパーセンテージは、マイクロニードルパッチ内に目的の物質を装填されたマイクロニードル間の平均パーセンテージを表す。
別の好ましい実施形態において、マイクロニードルのアレイを作製するための方法が提供され、本方法は、(a)上面、対向の下面、及び上面内に複数の開口部を有する非多孔性かつ気体透過性の型を提供することであって、各開口部が、マイクロニードルを画定する空洞につながる、提供することと、(b)空洞に、開口部を介して、液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む流体材料を充填することと、(c)液体ビヒクルの少なくとも一部を除去し、目的の物質を含む複数のマイクロニードルを形成するために、型内の流体材料を乾燥させることと、(d)複数のマイクロニードルを型から外すことと、を含み、ステップ(b)の充填は、型の上面及び下面の間の圧力差の適用によって実施される。これによって、有利に、有用な速度で充填すること、特に粘性材料を充填することを可能にすることができる。例えば、圧力差は、上面に大気より大きい圧力を適用すること、下面に大気より小さい圧力を適用すること、または両方の組み合わせによって達成され得る。
別の実施形態において、マイクロニードルのアレイを作製するための方法が提供され、本方法は、上部及び下部を有する二つ割型を提供することであって、上部が、上面、対向の下面、及びそれらを通って延在する開口部を有し、開口部が上方空洞を画定し、下部が、上面、対向の下面、及び上方空洞と流体連通し、かつ下方空洞につながる上面内の開口部を有し、下方空洞がマイクロニードルを画定し、上部及び下部が分離可能に一緒に固定される、提供することと、少なくとも下方空洞に、上部内の開口部を介して、第1の液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む第1の材料を充填することと、第1の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、目的の物質を含むマイクロニードルを形成するために、型内の第1の材料を乾燥させることと、マイクロニードルを型から外すこととを含む。
マイクロニードルアレイ及びパッチを製造するための方法は、好ましくは、最低限のISO 5(100)プロセス、ISO7プロセス、またはISO 8プロセスの下で実施される。最終滅菌は、活性物質との滅菌方法の適合性が示されたときに利用され得る。

実施形態において、マイクロニードルアレイを製造するために使用される型は、生成されるマイクロニードル、及び任意の漏斗部の凹である空洞を含む。いくつかの実施形態において、型は、マイクロニードル内の装填量を増加させるためのみに使用され、その後、完全なマイクロニードルアレイを加工する前に取り外される漏斗区域を含む。これらの実施形態において、型は、二つ割型であり得るか、別個の充填テンプレートを含み得る。本明細書に記載されるマイクロニードルを作製する新規方法の一部は、ベース基板から延在し、かつ漏斗部を含まないマイクロニードルを作製するために使用され得る。
型は、単一部品または複数部品から形成され得る。一実施形態において、二つ割型は、漏斗部を画定する1つ以上の空洞を有する上方型部と、1つ以上のマイクロニードルを画定する1つ以上の空洞を有する下方型部とからなる。型部は、永久または可逆的に、互いに固定され得る。2つ以上の部品からなる型は、整列され、圧力(例えば、空気、機械力、または締め金)、粘着剤、磁荷/電荷、表面張力、化学結合(即ち、共有結合、非共有結合)、または真空を適用することによって、可逆的または不可逆的に互いに接合され得る。
様々な型の例は、図14〜16の断面図に例証される。図14は、上面1405及び下面1410を有する単一部品型1400の実施形態を示す。上面1405は、開口部1415を有し、ここにおいて各開口部1415は、上面1405に対して近位の第1の空洞1420、及び上面1405から離れる方向に第1の空洞1420から延在する第2の空洞1425につながる。第1の空洞1420は、一次漏斗部1430を画定し、第2の空洞1425は、マイクロニードル1435を画定する。図15及び16は、二つ割型の実施形態を示す。図15は、下部1502に別個に固定される上部1501を有する二つ割型1500の一実施形態を示す。上部1501は、上面1505、対向の下面1506、及びそれらを通って延在する開口部1515を含み、ここにおいて開口部1515は、上方空洞1520を画定する。下部1502は、上面1509、対向面1510、及び上面1509内の開口部1522を含む。開口部1522は、上方空洞1520と流体連通し、各開口部1522は、マイクロニードル1535を画定する下方空洞1525につながる。
図16は、下部1602に別個に固定される上部1601を有する二つ割型1600の別の実施形態を例証する。上部1601は、上面1605、対向の下面1606、及びそれらを通って延在する開口部1615を含み、ここにおいて各開口部1615は、上方空洞1620を画定する。下部1602は、上面1609、対向面1610、及び上面1609内の開口部1622を含む。各開口部1622は、対応する上方空洞1620と流体連通し、マイクロニードル1635を画定する下方空洞1625につながる。
一実施形態において、上方空洞は、下方空洞の充填中に充填キャップとして機能する。つまり、上方空洞は、漏斗ではなく、乾燥プロセス中に少なくとも材料が十分に固化されて流れ出なくなるまで、液体材料を開口部上の所定位置に保持するのに有用な構造体として構成される。充填キャップは、マイクロニードルの形成後に廃棄され得る。
型は、再利用可能または使い捨てであり得る。従来の成形プロセスでは、型は、高価であり、一般的には、例えば何百万個もの部品を作成するために繰り返し使用することができる硬化鋼で構成される。型/器具費用は、多くの部品に分散されるため、そのプロセスは依然として経済的である。しかしながら、低費用の使い捨て型にも着目される。例えば、キャスティングまたは直接機械加工技術(例えば、レーザーアブレーション)によって製造されるエラストマー製の型は、安価に製造することができる。また、それらのエラストマー特性が、硬質型材料と比べてマイクロニードルアレイをより穏やかに型から外すことを可能にする。多くの場合、使い捨て製造器具は、無菌及び清潔性の観点から利点を有するため(例えば、活性物質が製造バッチ間に完全に除去されたことを確実にする厳格な洗浄方法または洗浄検証はない)、医薬及び/または無菌製造に好まれる。
型の幾何学的形状は、一般に、生成されるマイクロニードルアレイの逆位である。型は、本質的に、マイクロニードル及び漏斗について上に記載される幾何学的形状と同じ幾何学的形状(逆位の形態にある)を有する。
一般に、型は、キャスティングまたは同様のタイプの充填加工のために開いた状態にあり得るか(即ち、上部部分がない)、それらは、圧力駆動または射出成形タイプの充填プロセスと適合性のある別個の上部部分を有し得る。型は、順にパッチに組み付けられ得る、個々のマイクロニードル(即ち、単一の空洞)、シートまたはプレートの形態にある1つを超えるマイクロニードルアレイ(即ち、多空洞)、またはマイクロニードルの複数アレイを生成するようにサイズ決定され得る。1つの場合において、型は、図19に示される実施形態である、連続オープンリール式プロセスによって供給される可撓性ロールの形態であり得る。
図19は、連続充填プロセスでの使用のためのシステムの一例の断面図である。それは、離間したマイクロニードル空洞アレイ1902を含む可撓性型1901のループの部分を示す。型1901は、ローラ、またはリール1907によって、圧力/充填ヘッド1904を含む静止した充填ステーションを通って供給される。圧力/充填ヘッド1904は、圧力下でアレイ1902の空洞内に駆動される流体1905を含むリザーバ1904を含む。静止したプレート1906は、型1901の裏(「下」)側に接触し、充填されている空洞アレイ1902の周辺で型を固定/安定化し、型に対して反力を提供して、圧力/充填ヘッド1904と型1901との間に流体密封界面を提供する。実施形態において、静止したプレート1906は、真空プレートであり得、型の上部に対する押す力を補完するために型の底に対する引く力を提供する。次いで、充填されたマイクロニードルアレイは、さらなる加工のために、下流にある他の場所へ移動される。
型は、金属、ポリマー、セラミックス、エラストマー、複合材料など、またはこれらもしくは他の材料の組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な材料から製造され得る。型は、中実であり得、離散した細孔/穴を含み得、及び/または気体に対して透過性があるが、目的の加工溶媒(液体ビヒクル)などの液体に対する透過性は非常に低いか、有しない。好適な加工溶媒の例としては、水、及びポリマー成形の技術分野で既知の揮発性有機溶媒などの有機溶媒が挙げられる。
一実施形態において、型は、空気に対して透過性があるが、水及び他の溶媒に対して全く透過性がないシリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサン、PDMS)で作製される。これにより、型空洞の内側(高)から型の外側(低)への圧力勾配によって、空気が型壁を通って型のマイクロニードル/漏斗空洞から除去されることが可能になる。このプロセスは、有利に、例えば、文献に記載されるようなシステム全体にわたって真空を適用することに比べて、よりスケーラブルで、かつ無菌環境に好適である。PDMSは、有利に、多孔性金属または多孔性セラミック型のように離散した相互接合細孔を含まない。これらの離散した細孔は、乾燥された賦形剤で詰まり得、結果としてそれらを作業工程から外し、交換及び/または激しく洗浄することとなる。PDMS型はまた、エラストマーであり、それは、硬質型材料とは異なって、剥離剤/コーティングを必要としない非常に穏やかな離型プロセスを有益に提供する。マイクロニードル先端は、硬質型を使用した場合、離型プロセス中に型内で折れ得る。これが、粗悪なマイクロニードルを生成し、型を再利用の前に激しく洗浄することを必要とする。好適なエラストマー(例えば、PDMS)型では、マイクロニードルが折れる可能性はより低く、型は、安価に製造され得、所望の場合には、それらを使い捨て型にすることを可能にする。
特定の実施形態において、型は、水または他の液体溶媒に対するよりも空気に対してより大きな透過性を有し(そのため、それらは型壁にわたる圧力勾配よってマイクロニードル製造中に型からの空気の除去を可能にするように構成される/そうすることに効果がある)、相互接合された多孔性構造を有しない。特定の実施形態において、型は、可撓性/エラストマーである材料で作製される(そのため、それらは、剥離剤/コーティングの使用なしに成形及び離型するように構成され/そうすることに効果があり、型を変形することによって離型を果たし、及び/または費用効果の高い使い捨て型を可能にする)。
型は、好ましくは、浸出または散紛を全く引き起こさないか、最小限の浸出または散紛を引き起こす材料で作製される。型の構築材料は、目的の物質、賦形剤、殺菌剤(例えば、エタノール、イソプロパノール)、1つ以上の共通した滅菌方法(例えば、熱、蒸気、エチレンオキシド、照射、化学的、UV光)、及びマイクロニードルアレイを形成するために使用される他の加工材料と適合できるように選択される。
任意の実施形態において、型は、マイクロニードルアレイ/パッチがより容易に型から外されるように、剥離剤として機能する材料で被覆される。型は、マイクロニードルアレイ/パッチの取り外しを補助するための、突き出しピンまたは同様の機械的構造体を有し得る。
好ましい実施形態において、型表面、例えば、マイクロニードル及び漏斗と接触し、かつそれらを画定する空洞の表面は、滑らかでなければならない。最小限の表面粗さは、より首尾よい充填プロセス(即ち、漏斗の側壁と比べて、マイクロニードル及びその先端により多くの活性物質が移送される)、マイクロニードルパッチを型から離型することを補助し、マイクロニードル挿入中の摩擦を減らす(即ち、滑らかな壁の型は、粗い表面を有するマイクロニードルよりも挿入中の摩擦損失が小さい滑らかな壁のマイクロニードルを作成する)。表面粗さ平均(Ra)は、10ミクロン未満、好ましくは1ミクロン未満、及びより好ましくは0.1ミクロン未満であるべきである。
型は、研削、切削(例えば、従来の切削、マイクロ切削、ナノ切削)、削孔、レーザ加工(例えば、アブレーション、削孔)、放電加工(例えば、EDM、マイクロEDM)、ウェット及び/またはドライエッチング、3D印刷、電鋳、リソグラフィ(例えば、UV、ステレオリソグラフィ)などによって作製され得る。好ましい実施形態において、型は、主構造体の鋳物を作製することによって形成される。主構造体は、本明細書に記載される技術、または型製造の技術分野において別途知られる技術を使用して、機械加工され得る。主構造体の幾何学的形状は、マイクロニードルについて本明細書に記載される幾何学的形状と同じ幾何学的形状であり得る。
先述の型及び成形キャスティングプロセスは、単一のマイクロニードルパッチの製造を参照して説明され得、型は、複数のマイクロニードルパッチを形成するように構成され得る。例えば、実施形態において、型は、6つ以上のパッチ、12つ以上のパッチなどを生成するように構成され得る。
充填
充填溶液の組成物は、概して、プロセス中に実質的に除去され得る溶媒を除いては、最終的なマイクロニードルアレイ中の所望の材料を反映する。
好ましい実施形態において、目的の物質は、漏斗部内ではなく、マイクロニードル及びそれらの先端内に優先的に装填される。目的の物質は、型内に移送される充填材料の一部である。充填材料は、液体ビヒクルも含み得る。充填材料は、溶液、粒子のスラリーもしくは懸濁液、融液、粉末もしくは粒子の形態、またはこれらの形態のいずれかの組み合わせにあり得る。これらの形態の1つ以上が、多段階ステップ充填プロセスで使用され得る。「充填材料」は、本明細書では、「溶液」または「流体材料」と称され得る。
様々な充填ステップにおいて、充填材料は、液体ビヒクルを含み得る。「液体ビヒクル」という用語は、本明細書では「溶媒」または「キャリア流体」と称され得る。様々な実施形態において、充填材料は、(1)溶媒のみ、(2)溶媒なし、(3)マトリックス材料のみ、(4)目的の物質がなく溶媒及びマトリックス材料の組み合わせ、(5)溶媒及び目的の物質のみの組み合わせ、または(6)溶媒、目的の物質、及びマトリックス材料の組み合わせを含み得る。溶媒は、水、揮発性有機溶媒などの有機溶媒、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの例は、酢酸、ヘプタン、アセトン、酢酸イソブチル、アニソール、酢酸イソプロピル、1−ブタノール、酢酸メチル、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、tert−ブチルメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、2−メチル−1−プロパノール、エタノール、ペンタン、酢酸エチル、1−ペンタノール、エチルエーテル、1−プロパノール、ギ酸エチル、2−プロパノール、ギ酸、及び酢酸プロピルを含むクラス3溶媒である。
マイクロニードル及び漏斗空洞は、完全に充填され得るか、部分的に充填され得るか、過充填され得る。充填ステップを行った後、概して、乾燥または硬化ステップがそれに続く。硬化ステップは、加熱または減圧によって(例えば、溶媒を蒸発させるため)、冷却または圧力の上昇(マトリックス材料を凝固させるため)、光への曝露(例えば、紫外線曝露に起因する重合)、またはそれらの組み合わせによって達成され得る。この乾燥または硬化ステップは、完全に、実質的に、または部分的にのみ、堆積された材料を乾燥または硬化し得る。一般に、溶液は、その粘度が低い場合、マイクロニードル及びそれらの先端内に活性物質をより多く移送し、それは、漏斗内で高い表面エネルギーを有し、かつ活性物質で飽和されない(即ち、活性物質は溶媒中に高溶解性である)。しかしながら、これら3つの特徴のいずれも必要とされず、それらは、典型的には、マイクロニードル及びそれらの先端のより優先的な装填を単に可能にする。
好ましい実施形態において、2ステップ充填プロセスが使用され、ここにおいて第1の充填ステップは、乾燥/硬化プロセス中にマイクロニードル及びその先端内に実質的に移行する目的の物質を含む。これに、第2の充填ステップ及びその後の乾燥/硬化プロセスが続く。この第2の充填ステップは、マイクロニードル及び漏斗にそれらの機械的構造を与え、かつベース基板またはベース基板の一部を作成するために過充填され得るマトリックス材料(複数可)を含む。
他の実施形態において、単一の充填ステップまたは2つを超える充填ステップが使用され得る。単一の充填ステップは、例えば、活性物質が安価であり、かつ漏斗及びベース内の余剰活性物質が廃棄され得る場合に、望ましい場合がある。2つを超える充填ステップは、漏斗の拡張機能を超えてマイクロニードル内の活性物質の装填量をさらに増加させること、マイクロニードル及びそれらの先端内の活性物質をさらに標的とすること、マイクロニードル内の離散層に複数の活性物質または賦形剤を堆積すること、所与のマイクロニードルパッチ内の異なるニードルもしくはニードルの区域内に複数の活性物質もしくは賦形剤を堆積すること、及び/または、マイクロニードルパッチにさらなる機能性を付与すること(例えば、急速に溶解する、または破断可能な層を挿入し、ここでマイクロニードルがそれらの漏斗と接触して、マイクロニードルの急速な分離を可能にし、それにより必要とされる投与時間を著しく減少させる)が望ましい場合がある。
2つを超える充填ステップを含むプロセスの一実施形態は、以下のとおりである。型は、活性物質(ならびに可能性のある賦形剤)を含有する第1の溶液を充填され得、次いでそれは乾燥される。型は、同じ溶液を再び充填され、乾燥される。これは、所望の量の活性物質がマイクロニードル内に装填されるまで繰り返され得る。この後、型が活性物質なしで賦形剤(先の充填と同じまたは異なる賦形剤であり得る)を充填される、1つ以上の最終充填ステップが続き、乾燥するとマイクロニードルに機械的構造を提供する。
2つを超える充填ステップを含むプロセスの別の実施形態は、以下のとおりである。漏斗は、活性物質(ならびに可能性のある賦形剤)のマイクロニードルへの優先的な充填を可能にするが、活性物質のうちの一部は、漏斗の側壁に堆積し得る。これは、溶液が乾燥プロセス中により粘体状及び/または過飽和になると、より顕著である。したがって、活性物質をマイクロニードル内へさらに下へ(即ち、マイクロニードル先端に向かって)流す、1つ以上の「すすぎ」ステップが、プロセスに挿入され得る。すすぎステップは、活性物質(ならびに可能性のある賦形剤)の溶媒または担体からなり、活性物質を含まない。溶媒または担体が漏斗を満たすと、それが活性物質を再溶解または「捕捉」し、マイクロニードル空洞内へ移行するにつれて活性物質をマイクロニードル内へ移送する。この後、型が活性物質なしで賦形剤(先の充填と同じまたは異なる賦形剤であり得る)を充填される、最終充填ステップ(複数可)が続き、乾燥するとマイクロニードルに機械的構造を提供する。
一実施形態において、充填プロセスは、マイクロニードルと漏斗を合わせた空洞の容積と実質的に等しいかそれ未満であり、かつ好ましくはマイクロニードル空洞の容積よりも大きい溶液の体積を使用する第1の充填を含む。この充填プロセスは、規定の体積の液滴での充填に最も適応できる。マイクロニードルと漏斗を合わせた容積は、充填プロセス中の時間にすべて充填されるマイクロニードル空洞(複数可)の容積(複数可)と、充填されるこれらのマイクロニードル空洞(複数可)に接合される漏斗(複数可)の容積(複数可)との合計である。一実施形態において、充填プロセスは、マイクロニードルと漏斗を合わせた空洞の容積と実質的に等しいかそれより大きい溶液の体積を使用する第2の充填を含む。充填プロセスは、本段落の上に記載されるようなこれら第1及び第2の充填ステップを組み合わせてもよい。
実施形態において、充填ステップは、流体または目的の物質の漏斗部に対するマイクロニードルへの優先的な装填を増強する1つ以上の機能またはサブステップを含む。以下の実施形態の組み合わせが想定される。
一実施形態において、漏斗部は、比較的急勾配の漏斗角度を有する。より急勾配の漏斗角度を有することによって、重力(または適用される圧力勾配)が、乾燥するにつれて型の側壁の下への(即ち、マイクロニードル先端に向かった)溶液の流れにさらに影響を与えることを可能にする。この理由から、マイクロニードル及び型の幾何学的形状は、急勾配の漏斗角度を含み得る。本開示のここ及び他の場所における「下へ」の動きに対する言及は、必ずしも重力に対する配向を指さず、型に対する配向を指すため、「下へ」は、マイクロニードル先端に向かう動きを指す。
一実施形態において、型空洞の少なくとも漏斗部は、滑らかな側壁を備える。滑らかな側壁を有することによって、溶液が乾燥するにつれてマイクロニードル内へ移行するのに役立つ。溶液は、裂け目及び割れ目に引っ掛かる可能性は低く、重力、表面張力、圧力駆動の対流、振動、電気泳動/電気浸透、及び他の力によって駆動される流れに対する摩擦抵抗が小さい。
一実施形態において、型のマイクロニードル部分は、漏斗部内よりも低い表面張力を有する。漏斗部内での比較的より高い表面張力、及び型のマイクロニードル部分内での比較的より低い表面張力を有することによって、溶液は、より容易にかつ首尾よく、漏斗を下がって、型のマイクロニードル部分内へ移行する。表面張力は、溶液特性及び型表面の両方によって影響を受け得る。したがって、表面張力は、界面活性剤、油、型表面粗さ、コーティングなどの選択及び使用によって変わり得る。
一実施形態において、充填溶液は、低い粘度を有するために提供される。比較的低い粘度を有する充填溶液は、より流動性であり、乾燥するにつれてマイクロニードル内をより容易に流れ落ちることができる。溶液が活性物質を含む実施形態においては、溶液の粘度が約100cP未満、より好ましくは約50cP未満、より好ましくは約10cP未満、またはより好ましくは約5cP未満であることが概して好まれる。
特に有用かつ好まれる実施形態において、充填プロセスは、すすぎステップを含む。「すすぎ落とす」または「すすぐ」ステップは、マイクロニードル及びそれらの先端にさらに優先的に装填するために使用され得る。すすぎステップにおいて、活性物質の充填及び乾燥/硬化後、型は、活性物質を溶解または捕捉し、それをマイクロニードル空洞内へと下へ流し、そこで活性物質を再び落ち着かせ得るために、溶媒/担体を再充填され得る。すすぎ落とすステップは、漏斗の壁から活性物質をすすぎ落とし、それをマイクロニードル内へ移送する。したがって、一実施形態において、成形プロセスは、少なくとも3つのキャスティングプロセスを以下の順番で含む:型内に活性物質を堆積させるキャスティングプロセス、活性物質を型内へさらに下へ「すすぐ」(即ち、活性物質を型の漏斗部から除去し、それをマイクロニードル部分及び/または型のマイクロニードル部分の先端内に移動させる目的を持つ)キャスティングプロセス、乾燥するとマイクロニードルにそれらの機械的構造を提供する賦形剤(複数可)を堆積させるキャスティングプロセス。
一実施形態において、振動または超音波が型に適用されて、乾燥中に漏斗から下方へマイクロニードルに向かって移動する活性物質の動きを促進する。振動は、溶液/活性物質のより多くが型内の最も低いエネルギーの場所(即ち、マイクロニードル及びそれらの先端)を見つける手助けをする。
一実施形態において、充填ステップは、充填材料への電磁場の適用、またはその組み合わせを含む。例えば、電気泳動、電気浸透、磁気泳動、または電場または磁場によって仲介される他の機序が使用され得る。
一実施形態において、圧力が流体に適用されて、溶液がマイクロニードル空洞へ向かって、かつその中へ移行するのをさらに補助する。圧力は、溶液をそれが乾燥するにつれて下へ駆動するのを助けるために、流動する無菌空気/窒素の形態(即ち、送風機)、または圧力勾配を作成するための同様の方法で適用され得る。
一実施形態において、真空が型の底側に適用され、ここにおいて型は離散した細孔を含むか、型は空気に対して透過性がある。そのような真空は、溶液をそれが乾燥するにつれてマイクロニードル空洞内へと下へ入れるのを助けることができる。
一実施形態において、正圧が型の上側に適用され、ここにおいて型は、離散した細孔を含むか、型は空気に対して透過性がある。そのような正圧は、溶液をそれが乾燥するにつれてマイクロニードル空洞内へと下へ押すのを助けることができる。
一実施形態において、遠心分離機または同様の装置が、型を回転させて、垂直及び型内に向かう力を作成するために使用され、溶液をそれが乾燥/硬化するにつれてマイクロニードル内へと下へ駆動するための引力を作成する。このプロセスはまた、充填流体が依然として溶液状にある間に、より大きい分子(例えば、活性物質)をマイクロニードル及びそれらの先端内へと下へ駆動するのに有用であり得る。「より大きい分子」という用語は、液体ビヒクル、つまり溶媒の分子よりも大きい分子を意味するために使用され、ナノ粒子、ミクロ粒子、及び多くの分子からなる他の粒子も含み得る。
様々な実施形態において、マイクロニードル成形プロセスは、型充填ステップのいずれかまたはすべての前、その最中、及び/または後に、以下のステップ、振動、超音波、圧力、真空、電磁場、及び遠心分離の適用のうちの1つ以上を含む。
一実施形態において、活性物質の沈殿は、マイクロニードル内で起こり、漏斗部内で起こらないように制御される。溶液が依然として漏斗内に存在するときに活性物質を溶液中に維持することによって、漏斗の側壁上に堆積する活性物質は少なくなる。これを行うには、活性物質で飽和されていない溶液を型に充填する必要がある。溶液は、それが乾燥するにつれて、マイクロニードル空洞の容積だけを占有するところまで飽和に近づかなければならない。この時点で、活性物質は、溶液から降下しマイクロニードル空洞内にさらに移行することになる。
様々な方法が、型を充填するために使用され得る。例としては、マイクロニードルパッチの全面積を覆うこと、及び/または個々の漏斗を直接充填することが挙げられる。
型内のマイクロニードル空洞は、それらの先端で閉じられる。溶液が型または漏斗などの全体にキャスティングされると、空気はマイクロニードル/漏斗空洞内に残る。この空気は、型に材料を充填し、マイクロニードルを正しく複製するためには、除去される必要がある。1)真空下で溶液を充填すること(即ち、そもそもマイクロニードル/漏斗空洞内に空気が存在しない)、2)溶液を堆積させた後に真空を適用し、それによって混入した空気を膨張させ、溶液を通ってそこから抜け出させること、3)空気が型自体から排出されるように、気体に対して透過性のある型にわたって圧力勾配を適用すること(例えば、型の下面からの真空、型の上面への圧力、または両方)、4)型を遠心分離に供して、溶液を型内へ駆動すること、5)超音波処理または他の物理的方法を型の底面または上面から用いて、型空洞から気泡を排出すること、及び/または5)これらの方法の組み合わせなど、様々な方法がこの空気を除去するために使用され得る。
マイクロニードルごとの充填は、小さい標的サイズ(例えば、ずれ、及び型内の個々のマイクロニードルリザーバの見逃しにつながる)、及び堆積される必要のある小さい容積(例えば、極端に小さい堆積容積は堆積される容積の変動の増加につながる)に起因して、従来のマイクロニードル型を使用するのは困難である。これは、大量生産においてはますます困難になる。しかしながら、漏斗から漏斗への充填(即ち、充填材料を個々の漏斗型空洞内へ堆積させること)、及び「ブランケット」充填(即ち、複数の個々のマイクロニードル/漏斗型空洞を含む型表面の面積を覆うこと)は、標的面積が個々のマイクロニードル空洞の開口部面積よりも何倍も大きくなり得るため、はるかに容易である。漏斗から漏斗への充填では、充填容積(即ち、マイクロニードル及び漏斗の容積)及び標的面積(即ち、漏斗−ベース接合面の面積)は、有利に、マイクロニードル単独の充填容積及び標的面積よりも何倍も大きいため、これにより、堆積される容積の変動(例えば、5nl±1nlは5nl±20%、及び100nl±1nlは100nl±1%、つまりこの状況では絶対変動において20倍の差)、及び標的に対する滴のずれを大幅に軽減することができる。ブランケット充填では、全面積が溶液で覆われ、それにより容積及び位置制約をさらに軽減する。ブランケット法によって堆積される容積は、マイクロニードル及び漏斗を合わせた容積未満か、それと等しいか、またはそれよりも大きい場合がある。任意の過剰溶液は、マイクロニードル及び漏斗空洞が充填されると、除去される(例えば、拭き取られる、空気パージされる)。
マイクロニードル型内に堆積される溶液の体積は、型内の空洞の容積(即ち、空洞を溶液で完全に充填し、次いで、表面をきれいにする)、または充填剤(即ち、制御された体積、質量などを分配または装填する)によって制御され得る。複数の充填ステップによって生成されるマイクロニードルアレイでは、これらの容積制御法は、両方使用され得る。例えば、活性物質を含有する溶液が全面積をブランケットコートされ、マイクロニードル及び漏斗空洞が充填され、溶液が型の表面から取り除かれ、溶液が乾燥され、第2の溶液が充填剤によって制御された量を堆積され、第2の溶液が乾燥される。
漏斗を有しないマイクロニードル型を充填するとき、マイクロニードルに堆積される活性物質の量は、マイクロニードル型空洞の容積に充填溶液中の活性物質の濃度を乗じたものに等しい。マイクロニードル内の活性物質の量の増加は、充填溶液中の活性物質の濃度の増加によって達成され得る。これは、溶解性、懸濁性、及び他の要因によって制限される。マイクロニードル内の活性物質の量の増加は、マイクロニードル型空洞容積の増加によって達成され得る。これは、マイクロニードルがどれ程の大きさであり得、かつ例えば、皮膚または他の組織内への挿入、無痛用途などその目的とする機能を依然として達成し得るかによって制限される。マイクロニードル型設計への漏斗の追加は、使用中にマイクロニードル自体の容積を変更することなく、充填中にマイクロニードル型の容積を効果的に有利に増加させる。これは、型のマイクロニードル及び漏斗部が一緒に充填され得ること、及び製造プロセス設計に起因して、溶解された、懸濁された、または別途充填溶液と関連した材料が、乾燥時に型のマイクロニードル部分に優先的に堆積され得ることが理由である。しかしながら、マイクロニードルパッチが皮膚または他の組織に適用されるとき、マイクロニードル部分のみが実質的に皮膚内に貫通し、一方で漏斗部は皮膚内に実質的に貫通せず、それを効果的にパッチのベース部分の一部にする。
したがって、本明細書に提供されるマイクロニードルアレイは、パッチ内のマイクロニードルの全容積よりも大きいマイクロニードル内の活性物質のある量(量Aと呼ぶ)に、製造中に採用される1つ以上の充填のそれぞれの最中の充填溶液中の活性物質の平均濃度を乗じたものに、製造中に採用される充填の数を乗じたもの(量Bと呼ぶ)を含む(及び/または、量A’と呼ぶ、ある量の活性物質をマイクロニードルから投与する)。従来のマイクロニードル型充填(漏斗なし)は、この量の活性物質を達成することができない(即ち、典型的にはAまたはA’≦B)。漏斗の使用が、発明者がこの量の活性物質を達成することを可能にする(AまたはA’≧B)。例えば、AもしくはA’≧1.5B、またはAもしくはA’≧2B、またはAもしくはA’≧3B、またはAもしくはA’≧5Bである。
ブランケット充填、または充填溶液を型空洞内に排他的に入れない他の方法の最中、型表面上に残される充填溶液の損失があり得る。充填溶液を型空洞内に排他的に入れることを目的とした方法の最中、充填溶液を型空洞内に排他的に入れることに成功しない充填プロセスにおける不正確性が理由で、型表面上の充填溶液の損失があり得る。型空洞の上部により広い面積を有することは、堆積方法が、より大きい開口部を有する型空洞内に材料をより簡単に選択的に堆積することができるため、型空洞を排他的に充填することをより容易にする。漏斗の使用は、型空洞開口部がマイクロニードルのベースよりも大きくなることを可能にする。漏斗を含まない従来の型を使用したマイクロニードルのベースは、マイクロニードルと型のベースとの接合面にある。故に、マイクロニードルのベースが、型空洞の開口部のサイズを画定する。反対に、漏斗を含む型を使用したマイクロニードルのベースは、マイクロニードル−漏斗接合面にあり、型空洞の開口部のサイズは、漏斗と型のベースとの接合面にある。このようにして、マイクロニードルのベースのサイズ及び型空洞の開口部のサイズは、少なくとも部分的に無関係にされ得る。これらの接合面の幾何学的形状は、マイクロニードル及び型の幾何学的形状のセクションにおいて上に記載される。
別の実施形態において、充填溶液の実質的にすべてが型空洞内(即ち、型の漏斗及びマイクロニードル部内)に堆積され、型表面上に堆積される充填溶液がほとんどないように、充填溶液(複数可)のうちの1つ以上が型に適用される、マイクロニードルアレイを作製する方法が提供される。充填溶液のこのような選択的堆積を有する能力は、漏斗の使用で可能となる大きい型空洞開口部を有することで可能となる。より具体的には、漏斗部を含むことが、型空洞内(即ち、型の漏斗及びマイクロニードル部内)に堆積される1つ以上の活性物質の量の型上に堆積される量に対する比が、≧80%、より好ましくは≧90%、より好ましくは≧95%、より好ましくは≧98%、より好ましくは≧99%である方法を可能にする。実施形態において、パッチの漏斗及びマイクロニードル部内の1つ以上の活性物質の量のパッチ全体に見られる量(即ち、裏打ちを含む)に対する比は、≧80%、より好ましくは≧90%、より好ましくは≧95%、より好ましくは≧98%、より好ましくは≧99%である。
実施形態において、各マイクロニードル空洞が別個の充填溶液の(並行及び/または連続した)液滴によって充填され、ここで液滴がマイクロニードル(即ち、型のマイクロニードル部)の容積よりも大きい体積を有する、マイクロニードルパッチを作製するための方法が提供される。充填溶液の液滴の絶対体積は、マイクロニードルパッチ及び型のマイクロニードル及び漏斗部の合わせた容積について上に明記される容積と同じであってもよい。マイクロニードル容積(即ち、マイクロニードルパッチ内のマイクロニードルの容積または型のマイクロニードル部の容積)の液滴体積に対する比は、上記のマイクロニードル容積のマイクロニードル及び漏斗の容積の合計(または型のマイクロニードル及び漏斗部の合計)に対する比と等しくてもよい。より具体的には、液滴体積のマイクロニードル容積に対する比は、>1、より好ましくは≧1.5、より好ましくは≧2、より好ましくは≧3、より好ましくは≧5であり得る。「液滴体積」は、各型空洞の充填が単一の滴ではなく複数の滴によるものである可能性が高いため、実質的な乾燥が起こる前の同じ型空洞に適用される複数液滴の体積の合計であると見なされ得る。
他の充填方法は、パッチ内及びニードル内に選択的な充填を提供するために使用され得、該方法は、局所的及び選択的な圧力勾配を適用して、所望の場所のみを充填すること、所望の場所を選択的に充填するために、型の表面特性(例えば、表面張力、特異及び非特異結合部位)を変えることを含み、マイクロ流路を用いた充填の場合、マイクロ流路は、パッチの所望の部分のみを覆うまたは充填するために分割され得るか、非混和性もしくは混和性のいずれかであるが低いレイノルズ数の流れの下にある(混合はほとんどまたは全くない)複数の溶液が、所望の場所のみを充填するために使用され得る。
一実施形態において、溶液を型上に堆積させることができる当該技術分野において既知の流体取扱/分注の技術/システムが使用される。いくつかは、「ブランケット」コーティング(局部的または全パッチ)、標的堆積、または両方に好適である。流体取扱/分注システムのいくつかの例は、注射器、または分注ヘッドが連結された他のポンプ(Tecan/Cavro、Gilson、Hamilton)、自動ピペットシステム(Tecan、Biotek、Eppendorf)、スクリーン印刷または他のマスク及びクリーンタイプシステム、スロットコーティングまたは同様のシステム、インクジェット印刷システム(MicroFab)、ピンまたはキャピラリーアレイ分注技術、活性物質キャピラリーシステム(InnovadyneのNanodrop)、エアゾールまたは噴霧系システム、浸漬、ブラッシング、スタンピング、界面化学制御堆積(PRINT−非湿潤テンプレートにおける粒子複製(Particle Replication In Non−wetting Templates))、音響ベースのシステム(Picoliter,Inc.)、及びこれらの堆積技術の任意の組み合わせ(例えば、注射器ポンプとインクジェットのハイブリッドである、BioDotのBioJet)である。充填ヘッドは、溶液を所望の場所に堆積するために、自動化されて移動し得るか、型が移動し得るか、両方が移動し得る。これは、単一空洞型、多空洞型プレート、または連続オープンリール式プロセスの形態であり得る。本発明者らは、すべてのマイクロニードル空洞及び漏斗が、実質的に同時に充填される、または異なるマイクロニードル空洞及び漏斗が異なる時間に充填される、マイクロニードル型を充填する方法を開示する。これは、個々のマイクロニードル空洞及び漏斗、またはマイクロニードル空洞及び漏斗のサブセットに選択的に適用される充填溶液の液滴を用いて達成され得る。これは、型の選択された領域の「ブランケット」充填によって達成され得る。
一実施形態において、真空充填が用いられる。真空は、溶液を型上に堆積させる前に適用され得る。これは、型の充填の前に空気の大部分を除去する。また、真空は、溶液を型上に堆積させた後に適用され得る。これは、空気を膨張させ、堆積した溶液を通って型の外に抜け出させることによって、空気を空洞から除去する。真空は、型全体に対して、または型の選択された領域に対して適用されて、気体透過性/多孔性型または両方を通って流れ得る。マイクロニードル空洞及び漏斗の上側もしくは下側またはサブセットなど、それらのマイクロニードル空洞及び型に充填溶液(複数可)を選択的に充填するためなど。
特に好ましい実施形態において、型の充填は、気体透過性の型を通じて真空を適用することによって実行される。例えば、真空は、型にわたって圧力差を作るように(例えば、型の上方の開いた面と対抗する型の下方の閉じた面との間)、型の下側に排他的に適用され得る。そのような真空充填を実装するための真空装置の一例は、気体透過性の型1802がその底側で真空プレートの気体透過性/多孔性表面と嵌合して置かれる上面を有し、それにより型を真空に引く真空プレート1800を示す図18に示される。型の上面は、マイクロニードル形状の空洞内への開口部のアレイを有する。離散した細孔/開口部を有する型、または中実であるが気体(空気、窒素など)に対する透過性の高い型を使用することによって、マイクロニードル/漏斗リザーバは、単に、漏斗の開口部、複数の漏斗、または型全体を溶液で覆い、次いで型の下側から真空を適用することによって充填され得る。これが、型から空気を引き抜き、圧力勾配を作り出して溶液を空洞内へ入れる。実施例8を参照のこと。そのようなプロセスは、有利に、型全体を真空チャンバ内に置くための移行ステップを排除することができる。
このプロセスで使用される型は、液体に対して実質的に不透過性である好適な気体透過性材料で作製され得る。それは、好ましくは非多孔性材料であり、固体が捕捉され得る相互接合細孔を有しない。好ましい実施形態において、型は、シリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサン、などのエラストマー材料で作製される。
空気を除去し、型に溶液を充填する時間は、溶液粘度によって強い影響を受けないため、低粘度溶液及び高粘度溶液の両方とうまく機能することが発見された。充填時間は、この方法を使用して、例えば2〜4分であり得る。真空プロセスは、並行して行われることができるため、有利に、高スケーラブルである。
任意に先の真空充填実施形態と組み合わせて使用され得る別の特に好ましい実施形態において、気体透過性の型の充填は、過圧力を上側(型の空洞開口部側)の溶液に適用することによって実行される。圧力を用いて溶液を型または型空洞内に射出することによって、型が離散した細孔/穴を有するか、気体に対しては透過性または高透過性であるが、液体に対しては全く透過性のない材料(例えば、シリコーン/PDMS)で作製された中実型である場合、空気は型自体から押し出され得る。例えば、適度な量の圧力(65psi、即ち、約50psiの圧力差)を溶液に適用することは、溶液を空洞内へと下へ押しやり、20秒以内に空気をPDMS型からまたは溶液自体の中へ追い出すことが示された。型に溶液を充填する時間は、粘度によって強い影響を受けない。実施例9を参照のこと。これは、型の上のチャンバを加圧することによってなされ得る。このチャンバが、気体によって直接、またはバリア材料(例えば、ピストンまたは膜)を動かす気体を介して加圧されて、溶液に直接圧力を適用する。圧力はまた、従来の射出成形タイプのプロセスと同様に適用され得る。圧力は、可動バリア(例えば、ピストンまたは膜)を、または直接的にプレートまたはローラの形態で溶液自体を、圧迫することによって機械的に適用され得る。
したがって、特定の実施形態において、型の充填は、圧力を型の上側に適用することによって実施され、それは、圧力を型の上側に排他的に適用することからなり得る。他の実施形態において、型の充填は、真空を型の下側に排他的に適用することによって実施される。他の実施形態において、型の充填は、圧力を型の上側に適用すること、及び真空を型の下側に適用することの組み合わせによって実施される。適用される圧力勾配は、1〜1000psi、及び好ましくは10〜100psであり得る。
「圧力差」及び「圧力勾配」という用語は同じ意味で使用され得る。この用語は、例えばポンプの使用によってなど、型の上方または下方側における準または超大気圧の作成によって、型の厚さの少なくとも一部を通る駆動力を作るために使用される圧力の差を指す。この「圧力差」は、型の下面の上に配置されている型の上面または型の上部にある流体(例えば、キャスティング溶液)の源が理由で、重力によって引き起こされる、気圧または流体圧力における本質的なわずかな差は含まない。
一実施形態において、直接液滴堆積が型の充填を実行するために使用され得る。インクジェットもしくは他の技術、エアゾール、または狭い流体流によって小滴を堆積させることによって、それらがマイクロニードル/漏斗空洞を下から上へ(即ち、マイクロニードル先端から漏斗−ベース接合面及びその先まで)充填することができるため、マイクロニードル及び漏斗は、外部圧力または真空を供給される必要なく、直接充填され得る。液滴または流れは、型空洞のサイズより著しく小さいサイズスケールにすべてある)マイクロニードル/漏斗空洞のサイズスケールより著しく小さいサイズスケール(即ち、空洞幅に対する滴/流れ幅)にある。堆積装置からの液滴は、マイクロニードル−ベース接合面幅よりも大きい場合があるため、漏斗のないマイクロニードル型に液滴を投与するのは困難であり得る。これは、漏斗−ベース接合面の幅がマイクロニードル−漏斗接合面の幅よりも大きい漏斗を使用する利点である。漏斗の使用が、より大きい液滴を使用することを可能にする。したがって、一実施形態において、製造のプロセスは、漏斗−型接合面の幅よりも小さく、かつ漏斗−マイクロニードル接合面の幅よりも恐らく大きい幅を有する液滴、または漏斗−マイクロニードル接合面の幅よりも小さい幅を有する液滴を型に充填することを含む。
別の実施形態において、充填するための方法は、離散したキャップ構造体、薄膜マイクロキャピラリー、及び/または半連続式表面マイクロチャネルを型の上に置くこと、それらに溶液を充填すること、及びその後、圧力勾配を用いてマイクロニードル/漏斗空洞を充填することを含む。圧力勾配は、すでに記載したように供給され得る(即ち、型の下側から真空を適用すること、及び/またはキャップ/チャネル内の溶液を加圧すること)。実施例6を参照のこと。溶液は、キャピラリーフロー、電気浸透、及び/またはマイクロフルイディクスの技術分野で既知の他の機序など、他の機序によっても同様に、これらの構造体を通って流れることができる。そのような実施形態において、マイクロニードル型空洞の充填は、空洞の中心軸に実質的に直角の方向に流れる、型の側面から適用される充填溶液を使用する。これは、空洞の中心軸と実質的に平行の方向に(空気を通って)流れる、型の上から適用される充填溶液をマイクロニードル型空洞に充填する従来の充填方法とは対照的である。
一実施形態において、カスタム充填ヘッドが、型の開いた側に接触され、それと流体密封を作り、それにより圧力勾配が加えられて、溶液を型内へ駆動する、及び/または入れる。充填ヘッドは、充填されるマイクロニードル/漏斗型空洞と等しい、それより大きい、及び好ましくはそれよりはるかに大きい容積を含み得る溶液リザーバを含む。リザーバはまた、プロセス内で再充填可能であるか、プロセスの外で再充填可能であるか(例えば、それを取り外し、それを充填し、それを再度取り付ける)、リザーバ、もしくはリザーバ及び充填ヘッドが満杯の新しいユニットと交換される、使い捨てであり得る。充填ヘッドは、薄い縁及び/または丸い縁付きの管であり得るか、型と十分に接触をして流体密封を作ることができるように、Oリング、ガスケット、または他の密封材料を有し得る。充填ヘッドは、その前面に多孔性材料も有し得、そこでは充填ヘッドが、適用される圧力勾配なしに溶液を分注しないように、多孔性(細孔サイズ及び数)及び界面化学が制御される。充填ヘッドは、(例えば、その流体密封、面密封を維持して)次のマイクロニードルアレイ(複数可)にスライドされ得るか、溶液が引っ込められ得、かつ充填ヘッドが型から持ち上げられ、次のマイクロニードルアレイ(複数可)の上に再配置され得る。充填システム及び方法は、1つを超える充填ヘッドを利用し得る。充填ヘッドは、溶液を多くのマイクロニードルパッチ空洞上に同時に堆積させるのにより好適である、細長いスロット、または管状以外のいくつかの他の幾何学的形状であり得る。ある実施形態において、面密封充填ヘッドは、充填された空洞にわたって型の表面から過剰溶液を有益に除去する。
図27は、充填ヘッドの使用を含むシステム及び充填方法の一実施形態を例証する。システム2700は、3つのマイクロニードル空洞アレイ2708a、2708b、及び2708c(各アレイが3つのマイクロニードル空洞を有して示される)を有する気体透過性の型2704を含み、ここにおいて各アレイは、型2704の上面2705上に開口部を有する。充填ヘッド2702は、充填材料2706を含み、型2704の上面2705に対して嵌合し、マイクロニードル空洞アレイ2708bを充填する位置に示される。横矢印は、典型的には型にわたる圧力差の助けを借りて(即ち、圧力支援及び/または真空支援)、空洞アレイに充填材料2706を連続して充填するための、型2704の上面2705にわたる充填ヘッド2702の動きを例証する。
型空洞から空気を排出し、堆積された溶液が入ることを可能にする別の方法は、型に物理的エネルギーを適用して、気泡を、溶液からまたはその中へ強制移動させることである。例えば、超音波処理が、空洞から空気を排出するために型の底側から適用され得るか、それは、型の上側に、かつ空洞を充填するために使用される溶液内で適用され得る。また、衝撃が、空洞から空気を排出するために型の底側から適用され得る。または、エラストマー型を伸張することが、空気を排出するために使用され得る。弾性型を伸張することによって、空洞が、下に閉じられ、それにより空気を強制移動させ得、溶液が適用され得、型がその元の状態に戻ることを可能にし、空洞が溶液でいっぱいになる。
スポンジ(例えば、発泡材、布、または他の吸収性材料)充填ヘッドは、(充填溶液で)飽和したまたは部分的に飽和した充填ヘッドをマイクロニードル/漏斗空洞に押し付けることによって、型を充填するために使用され得る。充填ヘッド(複数可)は、型に押し付けられ、1回または幾度も、適所に保持される。堆積溶液を含むスポンジが型に押し付けられると、それは変形し、マイクロニードル/漏斗空洞内へ(例えば、圧力によって)押し込まれる溶液を排出し、それにより充填し、かつ空気を空洞から型壁を通って押し出す。充填後、力が解放され、スポンジが緩み、次いで、任意の残留溶液の表面を「ぬぐう」またはきれいにするために使用され得る。1つを超えるスポンジ充填ヘッドが存在し得る。スポンジ充填ヘッドはまた、ローラの形態にあり得る。スポンジ充填ヘッドは、溶液をそれらの上に分注することによって、プロセス内で溶液を補充され得る。または、スポンジの一部は、その溶液飽和レベルが比較的一定のままであるように、供給リザーバと常に接触状態にあり得る。
乾燥
多くの乾燥及び/または硬化方法が、製造プロセス全体にわたって使用され得る。熱は、バッチプロセスの形態で適用され得るが、それは、セミバッチまたは連続プロセスに統合されることが好まれる場合がある。蒸発によって溶媒を除去することによって溶液を固める、乾燥方法の一部は、1)熱−対流、伝導(即ち、ホットプレートまたは加熱面)、及び/または放熱(加熱ランプ、IRまたはNIR光)による、2)対流−乾いた、乾燥させた、無菌空気または窒素送風機、3)真空−減圧への曝露、4)自然放熱乾燥、5)乾燥(desiccation)、6)凍結乾燥(lyophilization)または凍結乾燥(freeze drying)、7)誘電乾燥(例えば、rfまたはマイクロ波)、8)超臨界乾燥、及び7)1つ以上の乾燥方法の組み合わせの適用を含む。
いくつかの硬化方法(ポリマー鎖の重合/架橋または可逆重合/架橋から生じる物質を固めること)は、電子ビーム、熱、または化学添加剤/反応によってもたらされる。硬化誘因は、時間紫外線放射(例えば、UV光)、圧力、熱などを含み得る。
ある実施形態において、水溶液は、乾いた中実マイクロニードルを形成するために、周囲温度で約30分〜約1週間の期間乾燥され得る(例えば、約45分〜約1週間、約1時間から約1週間、約1時間〜約1日など)。一実施形態において、水溶液は、約3分〜約6時間、約3分〜約3時間、約3分〜約1時間、または約3分〜約30分の期間、裏側真空を用いて真空乾燥され得る。様々な温度及び湿度レベルが、水溶液を乾燥させるために採用され得るが、製剤は、好ましくは、1℃〜60℃の温度(例えば、15℃〜約45℃、約25℃〜約45℃、またはおよそ周囲温度で)、及び0〜40%、0〜20%、0〜10%、または周囲相対湿度で乾燥される。
本明細書で使用される場合、「乾燥させること」、「乾燥させた」、または「乾いた」という用語は、それが型内の材料(例えば、マトリックス材料及び/または目的の物質)を指すときには、少なくとも部分的に固化している材料を指す。実施形態において、マイクロニードルは、完全に乾燥する前に型から外され得る。一実施形態において、マイクロニードルは、マイクロニードルが乾燥して操作状態になった後に型から外される。しかしながら、好ましい実施形態において、マイクロニードルは、マイクロニードルがゴム状態にあるが、型から引き抜かれる、または剥がされるのに十分な強度であるとき、型から外される。これが、マイクロニードル破損を伴わずに離型を改善することが分かった。本明細書で使用される場合、「操作状態」という用語は、マイクロニードルが、それらの意図される目的に使用されるのに、例えば、皮膚に貫通するのに十分に硬質であることを意味する。本明細書で使用される場合、「ゴム状態」という用語は、マイクロニードルが、軟らかすぎ、かつ可撓性がありすぎて、それらの意図される標的組織、例えば、皮膚を貫通することができないために、操作状態にないことを意味する。例えば、ポリビニルアルコール及び糖を含むバルク/マトリックス材料からなるものなど、マイクロニードルは、乾燥プロセスを経るとき、その水分含有量が減少されると、操作状態に入る前にゴム状態に入る。
キャスティング生成物の離型
マイクロニードルパッチは、様々な方法を使用して型から外され得る。非限定的な例としては、1)粘着パッドまたは裏打ちをマイクロニードルアレイの裏側に添着し、離型し、型からマイクロニードルパッチを組み立てられる、2)マイクロニードルアレイを型から外し、それをピックアンドプレース自動技術(吸盤または小さいグリッパによって捕らえられる)を用いて粘着パッドまたは裏打ちに添着すること、3)突き出しピン、または伝統的な射出成形プロセスと同様の他の機械的技術を用いて、型から突き出すこと、が挙げられる。
追加のプロセスステップ
実施形態において、マイクロニードルパッチは、型充填方法を用いて作製されるパッチの第1の部分、及び同じ型充填方法を使用して作製されないパッチの第2の部分からなる。特に、パッチの第2の部分は、パッチの第1の部分が作製される前に作製され得る。パッチの第2の部分は、パッチの第1の部分を作製するために使用される型充填プロセスの最中またはその後のある時点で、パッチの第1の部分と組み合わされ得る。パッチの第1の部分は、マイクロニードル、漏斗、及びベースであり得、1つ以上の活性物質を含み得る。パッチの第2の部分は、成形されたベースの上側に添着される裏打ちであり得る。
マイクロニードルパッチは、それらの仕様を満たすことを確実にするため、包装の前に検査され得る。マシンビジョン業界は、この目的に適合し得る多くの技術を開発してきた。いくつかのインライン及び非接触の自動検査システム(デジタル検査スコープ(Keyence)、クロマティック共焦点撮像(Nanovea)、及び反射ベースシステム)が使用され得る。
次いで、仕様を満たすパッチが包装される。好ましい実施形態において、包装は、マイクロニードルパッチ及びその内容物(即ち、活性物質(複数可))を機械的損傷、水分、光、酸素、及び/または汚染(例えば、微粒子汚染、微生物汚染)から保護する。単一のマイクロニードルパッチがキャップに添着され得るか、複数のマイクロニードルパッチがトレイに添着され得る。キャップまたはトレイは、プラスチック、金属(アルミニウム)、金属化プラスチック、または他の材料から形成され作製され得る。そのようなマイクロニードルパッチキャップ及びトレイの例は、Georgia Tech Research Corporationに対するPCT特許出願公開第WO/2015/048777号に記載される。
4.マイクロニードルアレイの使用方法
本明細書に提供されるマイクロニードルアレイ及びパッチは、自己投与され得るか、別の個人(例えば、親、保護者、最小限に訓練を受けた医療従事者、専門的に訓練を受けた医療従事者、及び/またはその他の人)によって投与され得る。先行技術のマイクロニードルシステムとは異なり、本明細書に提供されるマイクロニードルパッチは、必要な力/圧力を適用するためにアプリケータの使用を必要とすることなく、パッチを適用する人によって直接取り扱われ、かつ投与され得、それにより非常に簡便な、目立たない(即ち、薄くてパッチ様)マイクロニードルパッチ(例えば、任意の適用支援を含む全パッチ厚が、2cm、より好ましくは1.5cm、より好ましくは1cm、及びより好ましくは0.5cmを超過しない)を可能にする。
故に、本明細書に提供される実施形態は、マイクロニードルパッチを用いて目的の物質を投与する簡便かつ効果的な方法をさらに含む。本方法は、適用部位を特定すること、及び、好ましくは、マイクロニードルパッチの適用前にその部位を消毒すること(例えば、アルコール洗浄綿を使用して)を含み得る。必要な場合、適用部位を、マイクロニードルパッチの適用前に乾燥させ得る。次いで、パッチは、患者の皮膚/組織に適用され、1つ以上のマイクロニードルを患者の皮膚/組織内に挿入するのに十分な圧力を適用することによって、患者の皮膚/組織内に手で(例えば、親指または指を使用して)押し付けられる。投与が完了した後、パッチは、タブ部を手(例えば、親指と指との間)で掴み、パッチを患者の皮膚/組織から剥がし、パッチを廃棄することによって、患者の皮膚/組織から取り外され得る。
実施形態において、本明細書に記載されるマイクロニードルパッチは、1つ以上の目的の物質(例えば、ワクチン、治療剤、ビタミン剤)を身体、組織、細胞、及び/または器官内に送達するために使用される。一実施形態において、マイクロニードルは、マイクロニードルを角質層(経皮的輸送の障壁である皮膚の外側10〜20ミクロン)にわたって、かつ生存表皮及び真皮内に挿入することによって、活性物質を皮膚内に送達するために使用される。マイクロニードルの小さいサイズが、痛みをほとんどまたは全く引き起こさず、皮内空間を標的とすることを可能にする。皮内空間は、非常に血管が発達し、かつ免疫細胞が豊富であり、ワクチン及び治療剤の両方を投与するのに魅力的な通路を提供する。マイクロニードルは、好ましくは溶解可能であり、皮内空間に入ると、それらは間質液内に溶解し、活性物質を皮膚内へ放出する。マイクロニードルが完全に溶解されると(概して、数分(例えば、<20分かかる))、パッチは、取り外され、マイクロニードルは溶解除去されているため、非鋭利廃棄物として廃棄され得る。マイクロニードルは、より急速な放出またはパッチからのより素早い分離を提供するために、変更され得る。それらはまた、活性物質を長期間にわたって放出するように製剤化され得る。代替的に、マイクロニードルは、パッチから急速に分離し、次いで緩徐に溶解除去するように設計され得る。これらの放出特性の組み合わせが、薬剤の所望の放出プロフィールを提供するために、単一のマイクロニードルパッチ内に含まれ得る。
一実施形態において、目的の物質を患者に投与するための方法が提供され、本方法は、本明細書に記載されるマイクロニードルアレイのうちの1つを提供すること、及びアレイのマイクロニードルを患者の組織表面に適用することであって、アレイのマイクロニードルの皮膚内への挿入が別個または内在するアプリケータ装置の使用を伴わず手で行われる、適用することを含む。この特定の状況において、「アプリケータ装置」という用語は、例えば、ばね作用などによって、その独自の力を提供する機械装置であり、それは、装置及び/またはマイクロニードルを組織表面に対して保持するのに使用者が加え得る任意の力とは別に、マイクロニードルアレイを組織表面に対して駆動するための最初の力として機能する。
5.実施例
本発明は、以下の非限定的実施例を参照してさらに理解され得る。
実施例1:マイクロニードルアレイ型の製作
レーザ工学によって作製された漏斗をベースとしたポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard 184、Dow Corning、Midland、MI)マイクロニードルアレイ型を、Universal Laser systems(VLS 3.50)を用いて、2.0mm厚のPDMSシートの表面上で調製した。本マイクロニードルアレイ型は、複数の空洞を含み、ここにおいて各空洞は、第1の空洞及び第2の空洞を含んでいた。第1の空洞が、高さ300〜700μm及び最大幅地点で直径500〜1000μmを有する一次漏斗部を画定した。第2の空洞が、高さ600〜900μm、最大幅地点で直径250〜300μm、及び先端半径約10μmを有する円錐形のマイクロニードルを画定した。
実施例2:マイクロニードルアレイ型の製作
溶融PLAペレット(L−PLA、1.0dL/g、Birmingham Polymer、Pelham、AL)を実施例1で調製したPDMS多空洞型上に−91kPaの真空下で、195℃で1時間キャスティングすることによって、ポリ乳酸(PLA)マイクロニードル主構造体を作製した。その後、PLA主構造体の上部でPDMSを37℃で一晩硬化することによって、PDMS多空洞型の複製を次いで作製した。
実施例3:マイクロニードルアレイの製作
マイクロニードルマトリックス材料を、ポリビニルアルコール(PVA)(MW 2000、ACROS Organics、Geel、Belgium)及びスクロース(Sigma−Aldrich、St Louis、MO)を質量比1:1で用いて調製した。8グラムのPVAを、15mlのDI水中に25℃で分散させ、次いで90℃まで1時間加熱して可溶化して、PVA溶液を形成した。その後、6.0gのスクロースを添加し、PVA溶液と均一に混合した。次いで、得られた混合物を2時間加熱し、次いで2000×gで30分遠心分離して、マイクロニードルマトリックス材料を形成した。次いで、マイクロニードルマトリックス材料を使用前に4℃まで冷却した。
モデル薬剤溶液を、脱イオン水中、565/586nmの励起/発光ピークを有する水溶性の赤色蛍光染料、スルホローダミンB(MW 559 Da、Molecular Probes Eugene、OR)を用いて調製した。次いで、モデル薬剤溶液をPDMS多空洞型の上部表面上にピペットで移して、すべての空洞を覆い、次いで3分間室温で−91kPaまで真空に引いた。真空引きの後、PDMS多空洞型の上部表面上の残留薬剤溶液をピペットで取り除き、再使用のためにリサイクルした。次いで、PDMS多空洞型を、3000×gの遠心分離下で、室温で5分間乾燥させた。その後、PDMS多空洞型の上部表面に付着した乾燥したスルホローダミンBをスコッチテープ(3M、St.Paul、MN)で除去した。
次いで、およそ200μLのマイクロニードルマトリックス材料を、PDMS多空洞型の上部表面に適用して、すべての空洞を覆った。その後、PDMS多空洞型を、3分間室温で−91kPaまで真空引きし、続いて3000×gの遠心分離を室温で5分間行い、泡を除去した。
次いで、スルホローダミンB及びマイクロニードルマトリックス材料で充填されたPDMS多空洞型を、凍結乾燥器(VirTis Wizerd 2.0凍結乾燥器、Gardiner、NY)内でおよそ24時間凍結乾燥させた。凍結乾燥ステップは以下のようにプログラムされた。型を−40℃まで1時間凍結させ、次いで−40℃で10時間、2.67Paで真空に引いた。圧力を一定に維持しながら(2.67Pa)、温度を1時間で0℃まで、1時間で20℃まで、及びさらに10時間で25℃まで徐々に上昇させた。凍結乾燥後、得られたマイクロニードルアレイを、両面テープ(444 Double−Sided Polyester Film Tape、3M、St.Paul、MN)を用いてPDMS型から外した。様々なマイクロニードルアレイをこの実施例に開示されるように調製した。各マイクロニードルアレイの構造パラメータを以下の表にまとめる。
Figure 0006934721
図17は、この実施例に開示されるように調製されたマイクロニードルアレイの顕微鏡写真である。図17に例証されるように、モデル薬剤、スルホローダミンBは、得られたマイクロニードルアレイのマイクロニードル内に主に存在する(即ち、目的の物質は、漏斗部に存在するよりもマイクロニードル内により多く存在する)。
実施例4:マイクロニードルアレイ内の薬剤装填容量及び効率
実施例2に記載されるように調製された6つの異なるマイクロニードルアレイ(それぞれが異なる薬剤濃度を含む(即ち、0.1mg/mL、1.0mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、及び20mg/mL))を、別個の容器内で10mLの脱イオン水中に室温で1時間それぞれ溶解した。次いで、それぞれの溶解されたマイクロニードルアレイを、96−ウェルプレート内に移し、マイクロプレートリーダ(マルチモードマイクロプレートSynergy(商標)MX、Biotek)で測定し、Gen5(商標)ソフトウェア(Biotek)を用いて分析した。この実験の基準は、0.001μg/mL〜1μg/mLの範囲にわたってスルホローダミンB濃度に線形的に比例したスルホローダミンBの発光/励起スペクトルの計測値であった。各マイクロニードルアレイの信号の平均値を使用して、マイクロニードルアレイのマイクロニードル及び漏斗(AMN+F)に封入された薬剤の総量を決定した。6つのマイクロニードルアレイのそれぞれの薬剤装填量を図22に示す。6つのマイクロニードルアレイの各薬剤の薬剤装填効率を図23に描写する。
実施例5:マイクロニードルアレイの薬剤送達効率の評価
ブタ死体皮膚(Pel−Freez、Rogers、AR)を使用したインビトロ試験を介してマイクロニードルアレイの薬剤送達効率を測定するために研究を実施した。最初は凍結していたブタ死体皮膚を、まず室温まで解凍し、次いで、使い捨てかみそり(Dynarex、Orangeburg、NY)を使用してすべての毛を剃って除去した。続いて、ブタ死体皮膚の皮下脂肪を外科用メス(Feather、Osaka、Japan)で除去した。
実施例2に記載されるように調製したマイクロニードルアレイ(それぞれが異なるサイズの空洞(スルホローダミンBを含む一次漏斗部及びマイクロニードル)を有する)をブタ死体皮膚内に、5秒、30秒、1分、2分、10分、及び20分間それぞれ手で挿入した。各挿入時間におけるマイクロニードルアレイの各サブセットは、6つの複製を有した。各マイクロニードル挿入後、顕微鏡(Olympus SZX16、Pittsburgh、PA)の下でマイクロニードルアレイの顕微鏡写真を撮影し、マイクロニードルが挿入に失敗したか(折れ曲がったか)、または挿入されたかどうか、ブタ死体皮膚に溶解したマイクロニードルの量、及び一次漏斗部の一部がブタ死体に溶解したかどうかを決定した。ブタ死体皮膚上の挿入部位も顕微鏡を用いて観察し、薬剤がブタ死体内に送達されたかどうかを決定した。次いで、粘着テープ(3M、St.Paul、MN)をブタ死体皮膚の挿入部位に適用し、皮膚表面上に残った残留薬剤を剥ぎ取った。
各挿入時間後、テープ及び挿入後のマイクロニードルアレイを、10mLの脱イオン水の個別の容器内に室温で1時間置き、溶解した。次いで、溶解したテープ及び溶解したマイクロニードルアレイの試料を96−ウェルプレート内に移し、マイクロプレートリーダ(マルチモードマイクロプレートSynergy(商標)MX,Biotek)で測定し、Gen5(商標)ソフトウェア(Biotek)を用いて分析した。この実験の基準は、0.001μg/mL〜1μg/mLの範囲にわたってスルホローダミンB濃度に線形的に比例したスルホローダミンBの発光/励起スペクトルの計測値であった。各溶解されたテープ試料の信号の平均値を使用して、皮膚(AF)に残った薬剤の総量を決定し、各溶解されたマイクロニードルアレイの平均値信号を使用して、試料採取されたマイクロニードルアレイのマイクロニードル及び漏斗(AMN+F)に封入された薬剤の総量を決定した。
図24は、1.0mg/mLの薬剤を含み、かつ以下の構造パラメータを有する複製マイクロニードルアレイを使用した、各挿入時間における皮膚に送達された薬剤の量を描写する。マイクロニードルアレイの各空洞が、高さ650μm、その最大幅地点で直径1050μm、容積257nL、及びベース角度60度を有する一次漏斗部を定義する第1の空洞と、高さ750μm、ベース直径300μm、及び容積18nLを有するマイクロニードルを画定する第2の空洞とで、275nLの総容量を有する。皮膚内に送達された薬剤の量(AMN)を、以下の等式を用いて決定した。
Figure 0006934721
式中、A=皮膚上及び漏斗内に残った薬剤の量、AMN+F=マイクロニードルアレイ内に含まれる薬剤の総量
各マイクロニードルアレイの薬剤送達効率を以下のように画定した。
Figure 0006934721
式中、AMN=皮膚に送達された薬剤の量、AMN+F=マイクロニードルアレイ内に含まれる薬剤の総量
実施例6:マイクロチャネル構造体を使用したマイクロニードルアレイの製作
型充填がマイクロチャネル構造体を使用して達成される、マイクロニードルアレイを形成した。図26は、薄膜セルマイクロチャネル構造体2604に連結され、かつ薄いポリマー蓋2606によって上部を閉じられる多空洞PDMS型2602の断面図を例証する。マイクロチャネル構造体2604は、薄い粘着層で作製され、型2602の表面にわたって離間した複数のマイクロニードル空洞アレイと接合するマイクロチャネル2608を含む。1つのマイクロニードル空洞アレイ2610のみが図26に示される。モデル薬剤溶液(スルホローダミン)を(ポンプとして作用する注射器を介して)チャネル2608を通じて供給し(図の左側に示されるように)、真空を型2602の下側に(真空プレートを介して)10分間適用して(27Hg真空)、染料溶液を型2602の空洞内に入れた(図の右側に示されるように)。染料溶液のチャネルを通る流れの方向は、可視化されることとなり、このページの内外にある。次いで、染料溶液の残ったチャネル2608を空気でパージし、マイクロニードルアレイのマイクロニードルを形成した。
染料を乾燥させ、次いで、魚ゼラチン及びスクロースの溶液を型の上にキャスティングした。前と同じように真空を30分間適用し、マイクロニードルアレイを乾燥させ、次いで離型した。パッチを脱イオン水中に溶解し、蛍光性を分析した。結果は、染料がマイクロニードル内に装填されたことを確認した。
実施例7:マイクロニードルアレイの製作
マイクロニードル多空洞型を3D印刷によって形成した。マイクロニードル型の部分を、それぞれが高さ1.0mm及び最大幅地点で直径2.0mmを有するテーパ状の円錐台(段差側壁)として3D印刷して、漏斗部(凸)を形成した。次いで、3D印刷した構造体をPDMSでキャスティングして、漏斗ベースの型を作成した。次いで、Universal Laser System (VLS 3.50)を使用して、PDMSの漏斗部(凹)の中央にマイクロニードル部(凹)を形成し、マイクロニードル多空洞型を生成した。
次いで、モデル薬剤溶液を得られたマイクロニードル多空洞型の上部表面上に堆積させた後、乾燥させた。次いで、溶融したバルキングポリマーを得られたマイクロニードル多空洞型の上にキャスティングした後、冷却/固化させた。次いで、得られたマイクロニードルアレイをマイクロニードル空洞型から外した。
実施例8:型への真空補助充填
多空洞型を受容するための真空プレートを設計、構築、及び評価した。真空プレート及び型を図18に示す。
ポリジメチルシロキサン(PDMS)(DC Sylgard 184)製の型を真空プレートと一緒に使用した。型は、2mm厚であった。様々な粘度の溶液を調整し、型の上部表面上に薄層として適用した。溶液は、0.4%染料を含有する水、40重量%ポリビニルピロリドン(PVP)溶液、60重量%PVP溶液、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)及びトレハロース(1:1)の溶液(25%固体)であった。−13.8psiの真空圧力を、様々な時間にわたって型の下側に適用した。次いで、マイクロニードル空洞充填が達成されたかどうかを分析した。
結果は以下の表に示され、概して、マイクロニードル型が、型の下側から真空を適用することによって3分以内に充填され得ること、及び空気を除去し型に溶液を充填する時間が、検討された範囲にわたって溶液粘度による強い影響を受けないことを示す。
Figure 0006934721
実施例9:型への圧力補助充填
マイクロニードル型の圧力補助充填を評価した。型は、PDMS(DC Sylgard 184)から作製され、2mm厚であった。様々な粘度の溶液を調整し、型の上部表面上に薄層として適用した。溶液は、0.4%染料を含有する水、40重量%ポリビニルピロリドン(PVP)溶液、及び60重量%PVP溶液であった。50psiまたは65psiの圧力を(約15psiの気圧と仮定して、35または50psiの型にわたる圧力差のため)、様々な時間にわたって型の上側に適用した。次いで、マイクロニードル空洞充填が達成されたかどうかを分析した。
結果は以下の表に示され、概して、適度な量の圧力を溶液に適用することによって、溶液を空洞内へと下へ押しやること、及び20秒以内に空気を型からまたは溶液自体の中へ押し出すことができるということを示す。結果は、空気を除去し、型に溶液を充填する時間が、研究された条件下で溶液粘度によって強い影響を受けなかったことも示す。
Figure 0006934721
本発明は、その特定の実施形態に関して詳細に記載されているが、当業者は、先述の理解に達する際、これらの実施形態の代替案、バリエーション、及び均等物を容易に想像し得るということが理解されよう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物の範囲として査定されるべきである。

Claims (43)

  1. 生体組織内への目的の物質の投与のためのマイクロニードルアレイであって、
    マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、
    前記ベース基板の前記マイクロニードル面から延在する一次漏斗部と、
    前記一次漏斗部を有する複数の一次漏斗部と、
    前記一次漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルと、を備え、
    前記2つ以上の中実マイクロニードルが、目的の物質を含み、
    前記目的の物質が、前記一次漏斗部内に存在するよりも、前記2つ以上のマイクロニードル内に体積的に多く存在する、マイクロニードルアレイ。
  2. 前記2つ以上の中実マイクロニードルのそれぞれが、前記一次漏斗部から延在する二次漏斗部をさらに備える、請求項1に記載のマイクロニードルアレイ。
  3. 前記一次漏斗部が、ストレートテーパ状の側壁、半球状の側壁、又は、段差側壁を備える、請求項1に記載のマイクロニードルアレイ。
  4. 前記目的の物質が、活性医薬成分を含む、請求項1に記載のマイクロニードルアレイ。
  5. 前記2つ以上の中実マイクロニードルが、前記目的の物質が分散される水溶性マトリックス材料を含む組成物により形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロニードルアレイ。
  6. 前記一次漏斗部が、前記水溶性マトリックス材料を含む組成物により形成される、請求項5に記載のマイクロニードルアレイ。
  7. 前記水溶性マトリックス材料が、ポリビニルアルコール、デキストラン、カルボキシメチルセルロースまたはマルトデキストリン、及び糖を含む、請求項5又は6に記載のマイクロニードルアレイ。
  8. 前記一次漏斗部の高さの、前記2つ以上のマイクロニードルのそれぞれの高さに対する比が、0.3〜4である、請求項1に記載のマイクロニードルアレイ。
  9. 前記2つ以上のマイクロニードルが、200μm〜1200μmの長さを有する、請求項1に記載のマイクロニードルアレイ。
  10. 前記二次漏斗部が、ストレートテーパ状の側壁、半球状の側壁、又は、段差側壁を備える、請求項2に記載のマイクロニードルアレイ。
  11. 前記二次漏斗部が、前記一次漏斗部と一体的に形成される、請求項2に記載のマイクロニードルアレイ。
  12. 前記二次漏斗部が、水溶性マトリックス材料を含む組成物により形成される、請求項11に記載のマイクロニードルアレイ。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のマイクロニードルアレイと、
    粘着層と、
    前記ベース基板に添着されるハンドル層と、を備え、
    前記ハンドル層が、タブ部であって、前記2つ以上の中実マイクロニードルから離れる方向に延在し、人が前記タブ部を手で保持して、前記2つ以上の中実マイクロニードルに接触することなく前記パッチを操作することを可能にする、タブ部を備える、
    マイクロニードルパッチ。
  14. マイクロニードルのアレイを作製するための方法であって、
    (a)上面、対向の下面、及び、前記上面内の開口部を有する型を提供することであって、前記開口部が、前記上面に対して近位の第1の空洞及び前記第1の空洞の下の第2の空洞につながり、前記第1の空洞が、一次漏斗部を画定し、前記第2の空洞が、前記一次漏斗部から延在する2つ以上のマイクロニードルを画定することと、
    (b)少なくとも前記第2の空洞に、前記型内の前記開口部を介して、第1の液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む第1の材料を充填することと、
    (c)前記第1の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、前記第2の空洞内のマイクロニードルの少なくとも先端部を形成するために、前記型内の前記第1の材料を乾燥させることであって、前記先端部が、前記目的の物質を含むことと、
    (d)前記第1の空洞、ならびにステップ(b)及び(c)の後で占有されていないものがある場合は前記第2の空洞に、前記型内の前記開口部を介して、第2の液体ビヒクル中に溶解または懸濁されたマトリックス材料を含む第2の材料を充填することと、
    (e)前記第2の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、(i)一次漏斗部、ならびに(ii)ステップ(b)及び(c)の後で形成されていない前記2つ以上のマイクロニードルの任意の部分を形成するために、前記型内の前記第2の材料を乾燥させることであって、前記一次漏斗部が、前記マトリックス材料を含むことと、
    (f)前記型から、前記2つ以上のマイクロニードルをそれに接合された前記一次漏斗部と一緒に外すことと、を含み、
    前記目的の物質が、前記一次漏斗部内に存在するよりも、前記2つ以上のマイクロニードル内に多く存在する、方法。
  15. ステップ(e)における前記マトリックス材料が、前記2つ以上のマイクロニードルに対して遠位の前記一次漏斗部に接合されたベース基板をさらに形成する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記型は、第1の部分が前記第1の空洞を備え、第2の部分が前記第2の空洞を備える二つ割型である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記第1の材料が、マトリックス材料をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  18. 前記第2の材料が、前記目的の物質を含まない、請求項14に記載の方法。
  19. 前記第1及び/または第2の液体ビヒクルが、水を含む、請求項14に記載の方法。
  20. 前記型が、非多孔性かつ気体透過性である、請求項14に記載の方法。
  21. ステップ(c)の後でステップ(d)の前にすすぎステップをさらに含み、ある量の溶媒を、前記目的の物質なしで、前記第1の空洞に添加して、前記第1の空洞内に存在する任意の残留する目的の物質の少なくとも一部を可溶化し、そのように可溶化された目的の物質を前記第2の空洞内へ流し、その後、前記溶媒の大部分またはすべてが、揮発されて前記型から除去される、請求項14に記載の方法。
  22. ステップ(b)及び/またはステップ(d)の前記充填が、スポンジまたはローラを含む充填ヘッドの使用を含む、請求項14に記載の方法。
  23. ステップ(b)の前記充填において、前記第1の材料の体積が、前記第1及び第2の空洞の容積の合計以下であり、かつ前記第2の空洞の容積よりも大きい、請求項14に記載の方法。
  24. ステップ(e)の後かつステップ(f)の前に、前記ベース基板の裏面において前記ベース基板上に粘着性裏打ちを添着することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  25. 前記型がエラストマーであり、ステップ(f)が、前記型を弾性変形させて、前記一次漏斗部及び前記2つ以上のマイクロニードルからの前記型の分離を促進することを含む、請求項14に記載の方法。
  26. ステップ(e)の前記乾燥が、前記2つ以上のマイクロニードルがステップ(e)の最後にゴム状態にあるように、部分乾燥させることである、請求項14に記載の方法。
  27. ステップ(f)の後、前記2つ以上のマイクロニードルをゴム状態から操作状態へ変化させるために、前記2つ以上のマイクロニードルを乾燥させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. マイクロニードルのアレイを作製するための方法であって、
    (a)上面、対向の下面、及び前記上面内の複数の開口部を有する非多孔性かつ気体透過性の型を提供することであって、各開口部が、マイクロニードルを画定する空洞につながることと、
    (b)前記空洞に、前記開口部を介して、液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む流体材料を充填することと、
    (c)前記液体ビヒクルの少なくとも一部を除去し、前記目的の物質を含む複数のマイクロニードルを形成するために、前記型内の前記流体材料を乾燥させることと
    (d)ベース基板を形成するために、前記空洞の少なくとも一部に、第2の液体ビヒクル中に溶解または懸濁されたマトリックス材料を含む第2の流体材料を充填することと、
    (e)前記ベース基板及び前記複数のマイクロニードルを前記型から外すことと、を含み、
    ステップ(b)の前記充填が、前記型の前記上面及び下面の間の圧力差の適用によって実施され、
    前記マトリックス材料が、前記複数のマイクロニードルに順に接合されるつ以上の漏斗部に接合される前記ベース基板を形成し、
    前記つ以上の漏斗部の漏斗部は、前記複数のマイクロニードルのうち2つ以上のマイクロニードルに接合され
    前記目的の物質が、前記漏斗部内に存在するよりも、前記2つ以上のマイクロニードル内に体積的に多く存在する、方法。
  29. 準大気圧が、前記型の前記下面において適用される、請求項28に記載の方法。
  30. 超大気圧が、前記型の前記上面において適用される、請求項28又は29に記載の方法。
  31. 前記型が、ポリジメチルシロキサンまたは別のシリコーンで作製される、請求項28に記載の方法。
  32. マイクロニードルのアレイを作製するための方法であって、
    上部及び下部を有する二つ割型を提供することであって、前記上部が、上面、対向の下面、及びそれらを通って延在する開口部を有し、前記開口部が、上方空洞を画定し、前記下部が、上面、対向の下面、及び前記上方空洞と流体連通し、かつ下方空洞につながる前記上面内の開口部を有し、前記下方空洞が、マイクロニードルを画定し、前記上部及び前記下部が、分離可能に一緒に固定されることと、
    少なくとも前記下方空洞に、前記上部内の前記開口部を介して、第1の液体ビヒクル中に溶解または懸濁された目的の物質を含む第1の材料を充填することと、
    前記第1の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、前記目的の物質を含むマイクロニードルを形成するために、前記型内の前記第1の材料を乾燥させることと、
    前記マイクロニードルを前記型から外すことと、を含み、
    前記型の前記下部が、マイクロニードルを画定する2つ以上の下方空洞のアレイを備え、前記上方空洞が、前記2つ以上の空洞につながり、
    前記上方空洞が、複数の一次漏斗部の一次漏斗部を画定し、前記乾燥ステップが、前記一次漏斗部から延在する2つ以上のマイクロニードルを産出し、
    前記目的の物質が、前記一次漏斗部内に存在するよりも、前記2つ以上のマイクロニードル内に体積的に多く存在する、方法。
  33. 前記上方空洞が、前記下方空洞の前記充填中に漏斗として機能する、請求項32に記載の方法。
  34. 前記型の前記上部が、前記マイクロニードルが前記型から外される前に、前記型の前記下部から分離される、請求項33に記載の方法。
  35. 少なくとも前記上方空洞に、第2の液体ビヒクル中に溶解または懸濁されたマトリックス材料を含む第2の材料を充填すること、をさらに含み、
    前記乾燥が、前記第2の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去して、前記マトリックス材料から、(i)前記マイクロニードルの位部、(ii)一次漏斗、(iii)前記一次漏斗と前記2つ以上のマイクロニードルとの間の1つ以上の二次漏斗、(iv)ベース基板、(v)(i)、(ii)、及び(iv)の組み合わせ、または(vi)(i)〜(iv)の組み合わせを形成するために、前記第2の材料を乾燥させることをさらに含む、請求項32に記載の方法。
  36. 前記下方空洞の前記充填の後にすすぎステップをさらに含み、ある量の溶媒を、前記目的の物質なしで、前記上方空洞に添加して、前記上方空洞内に存在する任意の残留目的の物質の少なくとも一部を可溶化し、そのような可溶化された目的の物質を前記下方空洞内へ流し、その後、前記溶媒の大部分またはすべてが、揮発されて前記型から除去される、請求項32に記載の方法。
  37. 前記上方空洞が、前記下方空洞の前記充填中に充填キャップとして機能する、請求項32に記載の方法。
  38. 生体組織内への目的の物質の投与のためのマイクロニードルアレイであって、
    マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、
    前記ベース基板の前記マイクロニードル面から延在する一次漏斗部と、
    前記一次漏斗部を有する複数の一次漏斗部と、
    前記一次漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルと、を備え、
    前記2つ以上の中実マイクロニードルが、目的の物質及びマトリックス材料を含み、
    前記目的の物質が、前記一次漏斗部内に存在するよりも、前記2つ以上の中実マイクロニードル内に体積的に多く存在する、マイクロニードルアレイ。
  39. 前記一次漏斗部が、前記2つ以上の中実マイクロニードルと、前記2つ以上の中実マイクロニードルが延在する前記一次漏斗部との組み合わせの中に存在する前記目的の物質を0%〜40%含む、請求項38に記載のマイクロニードルアレイ。
  40. 前記マトリックス材料が、ポリビニルアルコール、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、またはマルトデキストリン、及び糖を含む、請求項38に記載のマイクロニードルアレイ。
  41. 前記2つ以上の中実マイクロニードルのそれぞれが、前記一次漏斗部から延在する二次漏斗部をさらに備える、請求項38に記載のマイクロニードルアレイ。
  42. 生体組織への2つ以上の目的の物質の投与のためのマイクロニードルアレイであって、
    マイクロニードル面及び反対の裏面を有するベース基板と、
    前記ベース基板の前記マイクロニードル面から延在する第1の漏斗部であって、前記ベース基板に沿った方向に延設される、第1の漏斗部と、
    前記第1の漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルの第1のアレイであって、前記第1のアレイの前記マイクロニードルが、第1の目的の物質を含む、第1のアレイと、
    前記ベース基板の前記マイクロニードル面から延在する第2の漏斗部であって、前記ベース基板に沿った方向に延設される、第2の漏斗部と、
    前記第2の漏斗部から延在する2つ以上の中実マイクロニードルの第2のアレイであって、前記第2のアレイの前記マイクロニードルが、前記第1の目的の物質とは異なる第2の目的の物質を含む、第2のアレイと、を備え
    前記第1の目的の物質が、前記第1の漏斗部内に存在するよりも、前記2つ以上のマイクロニードルの前記第1のアレイ内に体積的に多く存在し、
    前記第2の目的の物質が、前記第2の漏斗部内に存在するよりも、前記2つ以上のマイクロニードルの前記第2のアレイ内に体積的に多く存在する、マイクロニードルアレイ。
  43. 請求項38〜42のいずれか一項に記載のマイクロニードルアレイと、
    粘着層と、
    前記ベース基板に添着されるハンドル層と、を備え、
    前記ハンドル層が、タブ部であって、前記2つ以上の中実マイクロニードルから離れる方向に延在し、人が前記タブ部を手で保持して、前記2つ以上の中実マイクロニードルに接触することなく前記パッチを操作することを可能にする、タブ部を備える、
    マイクロニードルパッチ。
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