JP6926849B2 - 抗菌剤、及び成形物、水溶液 - Google Patents

抗菌剤、及び成形物、水溶液 Download PDF

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Description

本発明は、カチオン性基含有ポリビニルアルコール系樹脂を含有する抗菌剤に関し、更にかかる抗菌剤を含有する成形物及び水溶液に関するものである。
近年、生活環境において、自然環境や人体への高度な安全性の維持が求められており、様々な用途に、抗菌性を有するプラスチック製品が使用されている。かかる抗菌性を有するプラスチック製品は、例えば、台所用品(まな板、包丁の柄、スポンジ、洗剤ボトル等)、風呂用品(シャワーホース、シャワーヘッド、シャワーカーテン、浴槽、シャンプーボトル等)、繊維製品(合繊、天然繊維、衣類、カーペット、カーテン、皮革等)、家電製品(冷蔵庫、エアコン部品、空調機、加湿器、掃除機等)、更にゴム材、コンテナ、発泡スチロール、食品包装材、履物、文具、玩具、自動車内装材等、様々なところで使用されている。
従来、一般に、このような抗菌性を有する製品は、抗菌剤をプラスチックに混練する、あるいは抗菌剤を分散した塗料を製品表面にコーティングするなどの方法で抗菌性を付与することにより製造されていた。
抗菌剤としては、銀イオン等の金属イオンを主体とする無機系抗菌剤、フェノール系、四級アンモニウム系、ピリミジン系等の化学合成された有機化合物を利用した有機系合成抗菌剤、あるいは、ヒノキチオール、キトサン等の天然由来物質を利用した有機系天然抗菌剤が知られており、これらの中でも主として無機系抗菌剤および有機系合成抗菌剤が各種製品に使用されている。
しかしながら、抗菌剤が混練されたプラスチック製品は、抗菌成分が溶出しやすいという問題がある。無機系抗菌剤は水との接触により抗菌成分が容易に溶出するものであり、有機系合成抗菌剤はプラスチックの加工時や製品使用時に気化したり、溶出したりするため、経時的に抗菌性が低下するとともに、溶出した抗菌成分による環境汚染や人体への影響が懸念されている。
また、抗菌剤を分散した塗料を製品表面にコーティングする方法に至っては、コーティング層の磨耗や剥離によって、抗菌力が低下するという問題がある。
このような欠点を解消するために、無機系又は有機系の抗菌性化合物をポリマーに化学的に結合させた、いわゆる抗菌性ポリマーが提案されている(たとえば、特許文献1〜3参照。)。
特開2002−308931号公報 特開2013−227258号公報 特開2015−10097号公報
しかしながら、特許文献1〜3の抗菌剤では、抗菌性の点で不充分であり、更なる改良が望まれるものであった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、抗菌成分が溶出することなく、抗菌性に優れる抗菌剤を提供することを目的とするものである。
更に、本発明の抗菌剤は、溶融成形や水系での成形(噴霧、コーティング)などの方法で複数の加工方法により成形することが可能であり、加工性に優れるポリマー抗菌剤、及び成形物や水溶液を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、カチオン性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(以下、ポリビニルアルコール系樹脂をPVA系樹脂という。)が抗菌剤として、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、カチオン性基含有ポリビニルアルコール系樹脂を含有することを特徴とする抗菌剤に関する。
更に、本発明は、かかる抗菌剤を含有する成形品及び水溶液をも提供するものである。
本発明においては、抗菌成分が溶出することがない抗菌剤を提供することができ、更には、加工性に優れるものであり、成形物や水溶液とすることもでき、様々なところでの使用に大いに期待されるものである。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
本発明の抗菌剤は、カチオン性基含有PVA系樹脂を含有するものである。まずは、カチオン性基含有PVA系樹脂について説明する。
〔カチオン性基含有PVA系樹脂〕
本発明で用いるカチオン性基含有PVA系樹脂は、カチオン性基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化することによって得られるものであり、ケン化度相当のビニルアルコール単位と、未ケン化部分のビニルエステル系単量体由来の構造単位と、カチオン性の構造単位を有するものである。
カチオン性基含有PVA系樹脂中のカチオン性基の含有量は0.01〜20モル%、さらには0.1〜10モル%、特には1〜5モル%であることが好ましく、かかる含有量が少なすぎると効果が小さくなる傾向があり、逆に多すぎると分子量が小さいPVA系樹脂が多くなりすぎ、加工性が低下する傾向がある。
本発明で用いられるカチオン性基含有PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠)は50〜5000、さらには100〜3000、特には200〜2000が好ましく、かかる平均重合度が小さすぎるとバインダー力が弱かったり、成形物が脆くなる傾向があり、逆に大きすぎると製造困難となる傾向がある。
また、かかるカチオン性基含有PVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠)は50〜100モル%、さらには70〜99.9モル%、特には80〜99.8モル%が好ましく、かかるケン化度が小さすぎると水への溶解が困難となる傾向がある。
上記のカチオン性基を有する不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(メタアクリルアミド)−アンモニウムクロライド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロライド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミン、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の4級アンモニウム塩等が挙げられ、中でもジアリルジメチルアンモニウムクロライドが本発明の効果が顕著に発揮される点で好ましい。
また、ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、中でも、経済性が高い点で、酢酸ビニルが好ましく用いられる。
上記の共重合体を得るためには、従来の公知の重合方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合のいずれをも採用し得るが、工業的にはメタノールやトルエン等を用いる溶液重合が好ましい。
また、重合時における各成分(単量体)の仕込み方法としては一括、分割、連続滴下等が挙げられ、適宜選択すればよい。連鎖移動剤を共存させて重合する場合は所定の変性量になるように重合系の酢酸ビニルの反応率に応じて連鎖移動剤を添加することにより、反応系の連鎖移動剤量が酢酸ビニルに対し、あまり変化しないようにすることが好ましい。
また、ビニルエステル系化合物の他にも共重合可能な不飽和単量体を共重合しても良く、不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のビニル基とエポキシ基を有する単量体;トリアリルオキシエチレン、ジアリルマレアート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル基を2個以上有する単量体;酢酸アリル、アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル等のアリルエステル系単量体;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピルクロトナート等のアセトアセトキシアルキルクロトナート;2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(アルキル部分がC1〜C10アルキル基であり、好ましくはC1〜C6アルキル基);(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;エチレンスルホン酸等のオレフィン系単量体;ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン、1,3又は2,3−ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−1,3等のジエン系単量体;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、グリセリンモノアリルエーテル等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパンなどのヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類、その塩又はモノ若しくはジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等のビニルアルキルジアルコキシシラン;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン;γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のγ−(メタ)アクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ヒドロキシメチルビニリデンジアセテートが挙げられる。ヒドロキシメチルビニリデンジアセテートの具体的な例としては、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等が挙げられる。
また、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、グリリンモノアリルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−ヒドロキシプロパン、3−アセトキシ−1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等のジオールを有する化合物などが挙げられる。これらの単量体は、単独で、又は2種以上を併用してもよい。
かくしてカチオン性単量体とビニルエステル系化合物の共重合体が得られるのであるが、かかる共重合体のケン化物を得る方法としては、通常公知の方法、即ち未ケン化のビニルエステル系共重合体をケン化する方法が挙げられる。具体的なケン化方法としては、アルカリケン化又は酸ケン化のいずれも採用できるが、工業的にはメタノール溶媒で水酸化ナトリウムやナトリウムメトキシドを触媒とした加メタノール分解が最も有利である。
また、ケン化後に更に変性することもでき、例えば、得られたPVA系樹脂をアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
更に、本発明のカチオン性基含有PVA系樹脂は、耐水性の点から、後反応により、アセタール化されたものであってもよい。
その場合のアセタール化度は、通常、30〜90モル%であり、より好ましくは50〜87モル%であり、さらに好ましくは60〜85モル%である。アセタール化度が小さすぎると、耐水性が不充分となる。逆に、アセタール化度が高すぎると、反応の面で製造上きわめて困難である。
アセタール化反応の方法は特に限定されるものではなく、沈殿法や溶解法など公知の方法を用いることができる。中でも、溶剤中、酸触媒の存在下でカチオン性基含有PVA系樹脂をアルデヒド化合物によってアセタール化する方法が好ましく用いられる。沈殿法の場合にはカチオン性基含有PVA系樹脂を水溶液とし、水を主体とした溶剤中、低温でアセタール化反応を行い、ポリビニルアセタール系樹脂が析出した後、系の温度を上げて熟成反応(アセタール化反応の完結とアセタール化部分の再配列)させる方法が好ましく用いられる。また、溶解法の場合は、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、あるいはこれに水等を併用した混合溶剤を用い、高温でアセタール化反応を行った後、系に水等を加えてポリビニルアセタール系樹脂を沈殿析出させて行われる。
上記アセタール化反応において使用されるアルデヒド化合物としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド(三量体および多量体のパラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(三量体のパラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、イソペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド、グリオキザール、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒドなどの脂肪族ジアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、フルフラールなどの複素環式アルデヒドが挙げられる。なかでも、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドおよびブチルアルデヒドが好適に用いられ、特にホルムアルデヒドが好適に用いられる。また、これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上のアルデヒドを混合して用いてもよい。
アセタール化反応に用いる酸触媒としては特に限定されず、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸が挙げられるが、好適には硫酸が用いられる。
また、アセタール化反応が終了した後、その反応停止剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ性化合物や、エチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類を添加することも可能である。
さらに、かかるアセタール化されたカチオン性基含有PVA系樹脂をスポンジ状にする場合は、PVA系樹脂のアセタール化の工程において、アルデヒド化合物や触媒と共に、馬鈴薯澱粉などの気孔形成材を加え、アセタール化工程終了後に、水洗除去などして気孔を形成することでスポンジ状とする。馬鈴薯澱粉など気孔形成材の含有量は、通常、PVA系樹脂100重量部に対して、1〜15重量部程度である。
本発明の抗菌剤は、上記のカチオン性基含有PVA系樹脂の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の抗菌剤、芳香剤、着色剤、消泡剤、熱可塑性樹脂などを含有させることができる。
その他の抗菌剤としては、例えば、市販の有機または無機抗菌剤が挙げられ、具体的には、マグネシウムまたはカルシウムと銅または亜鉛の複合金属水酸化物、または酸化物、銀、銅、亜鉛、チタン等の酸化物、銀、銅、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の抗菌性金属の単独もしくは混合状態のイオン性物質、銀、銅、亜鉛をシリカガラス、ゼオライト、リン酸ジルコニウム等に担持された水不溶性複合体、有機抗菌剤単独もしくは有機抗菌剤と無機担体混合物または複合物、等が挙げられる。
本発明の抗菌剤は、水溶液としても成形物としても用いることができ、水溶液の場合は、コーティング液、噴霧液などに用いられ、成形物の場合は、フィルム、コーティング層、球形などの形態で用いることができる。
水溶液の場合には、本発明の抗菌剤の濃度が、0.1〜90重量%であることが好ましく、特には1〜50重量%であることが好ましい。かかる濃度が低すぎると抗菌性が低下する傾向があり、高すぎると水溶液の粘度が上昇する傾向がある。
また、水溶液には、少量であれば、エタノール等のアルコール溶剤やアセトン等のケトン溶剤を含有することもでき、かかる含有量は、水に対して、10重量%以下、特には5重量%以下であることが好ましい。かかる溶剤の含有量が大きすぎると、本発明の抗菌剤が溶けにくくなる傾向がある。
また、成形物の場合には、その他の熱可塑性樹脂を含有することもできる。
かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、ナイロン、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴム等を使用することができる。他の樹脂の配合量は、好ましくは本発明の抗菌剤100重量部に対して、1〜500重量部、さらには10〜300重量部であることが好ましい。
本発明の抗菌剤の使用例としては、具体的には、抗菌フィルム、抗菌パウダー、抗菌ボール、抗菌スプレー、抗菌コーティング剤、抗菌散布剤、抗菌スポンジなどが挙げられる。
更にこれらは、浴室用洗剤への添加剤、トイレの抗菌剤、台所などの排水口及び排水溝(ぬめり)、壁紙、手すりなど建築物の設備の抗菌コーティング剤、植物用の抗菌スプレー等に用いることができる。
上記の用途の中で、抗菌ボールを例にとって詳細に説明する。
抗菌ボールは、通常、キッチンのシンク周りなど、排水口のような場所に置くことにより使用できる。
形状としては、球状やドーナツ状が挙げられるが、球状が使用継続性の点で好ましい。
また、本発明の抗菌剤には、芳香剤や着色剤などの添加剤も含有させることができ、かかる含有量は、カチオン性基含有PVA系樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。かかる添加剤が多すぎると抗菌効果が低下する傾向があり、少なすぎると添加剤の効果が低下する傾向がある。
また、抗菌ボールには、(i)カチオン性基含有PVA系樹脂のみで成形するもの、(ii)カチオン性基含有PVA系樹脂と熱可塑性樹脂とを混合し、成形するものなどが挙げられるが、排水汚染防止の点で(i)のものが好ましい。
また、成形する場合には、一般的な成形方法(押し出し成形、ブロー成形)であれば特に限定されないが、複雑な形状でも製造容易なことから、射出成型が望ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
〔カチオン性基含有PVA系樹脂の作製〕
還流冷却機、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、メタノール13部、酢酸ビニル100部、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド2部を仕込み、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用い、窒素気流下で加熱還流させ重合を開始した。ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの65%メタノール溶液3部を重合30分後から重合終了時まで滴下し、重合率42%となった時点で重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼンを投入し、重合を終了した。続いてメタノール蒸気を吹き込む方法により、未反応モノマーを系外に除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度32%に調整して、ニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を、共重合体の酢酸ビニル単体に対して20ミリモルとなる量を加えてケン化を行った。生成した固形物を濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的物であるカチオン性基含有PVA系樹脂を得た。得られたカチオン性基含有PVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ、99.8モル%であり、平均重合度は1500であった。また、カチオン性基の含有量は1H-NMRで測定して算出したところ2.9モル%であった。
〔試験片の作製〕
上記で作製したカチオン性基含有PVA系樹脂を10%水溶液に調整し、直径9cmのガラスシャーレに20部添加し、23℃×50%RHで乾燥させ、縦5cm×横4cmにカットした。
〔抗菌性評価〕
1.大腸菌の抗菌試験
JIS Z 2801:2010「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」試験方法に準じ、上記で得られた縦5cm×横4cmの試験片の両面をメタノールを吸収させた脱脂綿で拭いた後、6.9×105/mLの大腸菌を0.3mL滴下し、ポリエチレンフィルムをかぶせた。
35℃×24時間後、菌液を洗い出し、菌数を数えた。
2.黄色ブドウ球菌の抗菌試験
滴下する菌液を黄色ブドウ球菌6.6×10mLに変えた以外は、大腸菌の抗菌試験と同様に行った。
比較例1
実施例1において、カチオン性PVA系樹脂を未変性PVA(ケン化度98モル%、平均重合度1700)に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、カチオン性基含有PVA系樹脂をアセトアセチル基含有PVA系樹脂(ケン化度99モル%、平均重合度1000、アセトアセチル基含有量5モル%)に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、カチオン性基含有PVA系樹脂をカルボキシル基含有PVA系樹脂(ケン化度95モル%、平均重合度1500、マレイン酸基含有量4モル%)に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、カチオン性基含有PVA系樹脂をスルホン酸基含有PVA系樹脂(ケン化度88モル%、平均重合度200、スルホン酸基含有量3モル%)に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例5
実施例1において、PVA系樹脂を用いずに、ポリエチレンフィルムの抗菌性評価を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 0006926849
本発明の抗菌剤は、黄色ブドウ球菌及び大腸菌の発生が少なく、抗菌性に優れたものであった。一方、比較例1〜5は、黄色ブドウ球菌及び大腸菌の発生が多く、抗菌性に劣るものであった。
本願発明の抗菌剤は、抗菌性に優れ、さらに、水溶液や成形物として用いることができるため、コーティング剤や抗菌フィルム、抗菌ボール、抗菌スポンジなど、広範囲の用途に用いることができる。

Claims (5)

  1. カチオン性基含有ポリビニルアルコールからなる抗菌剤であって、前記カチオン性基がジアリルジメチルアンモニウムクロライド由来であることを特徴とする抗菌剤。
  2. 前記カチオン性基含有ポリビニルアルコールのカチオン性基の含有量が0.01〜20モル%であることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
  3. 前記カチオン性基含有ポリビニルアルコールのケン化度が50〜100モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌剤。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の抗菌剤を含有する成形物。
  5. 請求項1〜3いずれか記載の抗菌剤を含有する水溶液。
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