JP3643151B2 - 抗菌性含リン樹脂およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性含リン樹脂およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは本発明は、細菌による汚染が実質的に生じない優れた抗菌能を有する水溶性ないし吸水性含リン樹脂およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】
従来、吸水性樹脂は、高吸水性および保水性の両方の特性を有するため、例えば生理用品、紙おむつ等の衛生材、農園芸用土壌保水剤、種子コーティング剤、育苗用シート、食品鮮度保持包装材、食品・流通用ドリップ吸収材、ゲル芳香剤、使い捨てカイロ、シーリング材、コンクリート養生・改質剤等の幅広い分野で使用されている。
しかし、例えば吸水性樹脂を用いて製造した吸水性シートは、吸水性樹脂が吸水すると、吸水性シートの表面材も含水状態となり、そのため表面にカビや細菌が繁殖しやすくなるという欠点がある。
例えば、吸水性シートを生理用品、紙おむつなどの衛生材に使用した場合は、排出物を長時間保持したりするため、細菌が繁殖し、また臭気等が問題になる。また、食品用ドリップシートなどに使用した場合は、鮮魚類や肉類などから出る水に微生物が繁殖しやすく、シートの表面に細菌が繁殖し、食品の鮮度が劣化したりする。土木用シーリング材などに使用した場合は、長時間の地下埋設により、その接合部にカビや細菌が繁殖し、シーリング材を劣化したりする問題点がある。
【0003】
一方、ポリビニルアルコールで代表される水溶性樹脂は、重合度およびけん化度の制御と相俟って水溶液の粘性、表面張力、懸濁粒子の保護コロイド性等を変化させることによって、例えば繊維加工剤、顔料分散剤、紙料のサイジング剤、各種接着剤、フィルムなど、非常に多様な用途が展開されている。
しかしながら、再起やカビなどに侵され易く、これを制御する場面では自ずと使用が制限される。
【0004】
そこで、かかる問題点の解決のために、吸水性樹脂にあっては、例えば抗菌作用を有する銀イオンを保持するゼオライトと高吸水性樹脂を2枚の膜で挟んで吸水性シートにする方法(特開昭63−156540号公報)や、高吸水性樹脂に銀を含む水溶解性ガラスを均一に混合して抗菌作用を付与させる方法(特開平1−153748号公報)や、さらにポリオレフィン系樹脂と高吸水性樹脂の混合系に、ジンク2−ピリジンチオール−1−オキサイド系の抗菌剤を混合する方法(特開平5−9344号公報)など、無機または有機系の抗菌剤を樹脂に添加した、いわゆる添加型抗菌性吸水性樹脂が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記のように提案された吸水性樹脂は、抗菌剤を添加したものであって、例えば、光などにより変色したり、樹脂の熱加工時に抗菌剤が分解したり、抗菌力の持続性が不十分であったり、さらには抗菌剤が溶出するなどの問題点がある。また、有機系の抗菌剤は、その有毒性により食品用、生理用品等に使用することは困難である。
【0006】
また、ポリビニルアルコールに代表される水溶性樹脂にあっては、抗菌性を必要とする場合、通常公知の抗菌剤や殺菌剤を添加混合して使用されるが、持続性にかけるなどの点から、本質的解決には至っていない。
【0007】
本発明は上記のような従来の課題を解決に鑑み、ポリビニルアルコールの長所を生かしながら、樹脂自体の機能として、短時間の接触で優れた抗菌作用を示し、持続性に優れ、さらに抗菌性物質の溶出が殆ど無い抗菌能を有する水溶性ないし吸水性含リン樹脂を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、上記のような従来の課題を解決することができた。
すなわち本発明は、ポリビニルアルコールに、次の一般式(1)
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、R1、R2およびR3は同種または異種の炭素数1〜14のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す)
で示されるアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドをグラフト重合させて得られた共重合体であることを特徴とする抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0011】
また本発明は、共重合体を加熱処理または架橋反応処理してゲル化させた前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0012】
さらに本発明は、アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライドおよびトリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種である前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0013】
さらにまた本発明は、架橋反応処理における架橋剤として、グルタルアルデヒドを使用する前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0014】
また本発明は、ポリビニルアルコール1重量部に対し、アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが1〜5重量部およびアクリルアミドが5〜10重量部使用される前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0015】
さらに本発明は、含りん量がPとして0.1〜5.0ミリモル/g樹脂の範囲である前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0016】
さらにまた本発明は、ポリビニルアルコール溶液に、前記一般式(1)で示されるアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドを加えた後、触媒の存在下で前記各成分をグラフト重合させることを特徴とする抗菌性含リン樹脂の製造方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に係る抗菌能を有する含リン樹脂は、前述のとおり、ポリビニルアルコールに、一般式(1)のアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドをグラフト重合して得られた共重合体であることが大きな特徴となっている。
【0018】
なお、本発明に開示されたようなポリビニルアルコールにモノマー成分をグラフト重合させたタイプは、元来水溶性であるが、後記する加熱処理または架橋反応処理によってゲル化して高吸水性樹脂とすることができる。したがって本発明の抗菌性含リン樹脂を、以下、水溶性ないし高吸水性樹脂と呼ぶことがある。
【0019】
(ポリビニルアルコール)
本発明で使用できるポリビニルアルコールは、とくに制限されるものではなく、目的に応じて自由に選択することができ、重合度およびけん化度はとくに限定的ではない。
【0020】
(アルキルビニルベンジルホスホニウムハライド)
一般式(1)のアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドにおいて、R1、R2およびR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニチル基等のアラルキル基;前記アルキル基、アリール基、アラルキル基をヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換した基等が挙げられ、中でも好ましくはヘキシル、オクチル等のアルキル基、フェニル、トリル等のアリール基、さらに好ましくは、アルキル基であるのがよい。また、R1、R2およびR3は、同一の基であっても、そうでなくともよい。
【0021】
Xのハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素(I-,I3 -)のハロゲン原子が挙げられ、中でも塩素イオンおよび臭素イオンが好ましい。
【0022】
また、R1〜R3がメチル基、エチル基のような低級アルキル基である場合は、水溶性であり、また、アルコール等の有機溶媒にも溶解する。逆に、R1〜R3がペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の高級アルキル基になるほど水に対する溶解度が減少する傾向を示す。抗菌効果は、アルキル基の場合、その長さの影響を受け、例えばメチル、エチル、ブチル、オクチルと鎖長が長くなる程抗菌効果が高くなる傾向がみられる。しかし、水溶性ないし吸水性は逆に小さくなる傾向を示すことから、樹脂の使用目的に応じて適宜設計すればよい。
また、R1〜R3内の一つだけが例えば、オクタデシル(C18)のような高級アルキル基、他の二つがメチル基のような低級アルキル基である場合、細菌の細胞膜攻撃性が高く抗菌効果は高い。
【0023】
本発明に用いられるアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドは、一般式(1)に示すものであればとくに限定されるものではないが、その好適な例としては、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
【0024】
(アクリルアミド)
本発明において、“アクリルアミド”とは、アクリルアミドのほか、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどのN−置換アルキル(メタアクリル)アミドの如きアルキル(メタアクリル)系モノマーを含むことを意味する。
【0025】
(配合割合)
本発明に係る抗菌性含リン樹脂において、これを構成する上記モノマー成分の配合割合は、モノマーの種類や樹脂の用途に応じて任意に設計できるものではあるが、多くの場合、ポリビニルアルコール1重量部に対して、アルキルビニルベンジルホスホニウムハライド1〜5重量部、好ましくは1〜4重量部、アクリルアミド5〜10重量部、好ましくは6〜9重量部の範囲である。
この配合割合によれば、本発明に係る抗菌性含リン樹脂においては、概ね含りん量がPとして0.1〜5.0ミリモル/gの範囲にあり、とくに0.2〜3ミリモル/gの範囲が好ましいといえる。
【0026】
アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが1重量部未満の場合は、樹脂の抗菌性が不十分となり、逆に上記アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドの含量が増加すると、吸水量および抗菌性も高くなるが、5重量部を超えるとあまり経済的ではない。
【0027】
また、必要に応じて他のビニルモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのアルキルエステル等を任意に所望量使用することもできる。
【0028】
(グラフト重合)
本発明におけるグラフト重合は、重合触媒として、例えば過酸化水素、過酸化ベンゾイル、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレリアル酸、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物、過硫酸アンモニム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等のラジカル重合触媒や、これらと亜硫酸水素ナトリウム、亜流酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、第一鉄塩等の還元剤との組合わせによるレドックス系開始剤を用いて行うことができる。
【0029】
重合系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用することができる。
【0030】
本発明においてグラフト重合条件は、各種原料によって異なるが、重合温度は室温〜100℃、好ましくは10〜80℃、重合時間は3〜48時間、好ましくは5〜30時間である。
重合終了後、未反応成分や溶媒を除去すべく精製し、次いで乾燥、粉砕処理を行えば、本発明の抗菌性含リン樹脂が得られる。
【0031】
かくして得られた抗菌性含リン樹脂は水溶性であるが、目的に応じてこれを次の2つの方法(橋かけ反応)によりゲル化して高吸水性樹脂に転化させることができる。
すなわちこの水溶性の抗菌性含リン樹脂を加熱処理するか、または架橋剤を用いて架橋反応処理させることにより高吸水性樹脂とすることができる。
【0032】
加熱処理は100〜140℃、好ましくは120℃前後で4〜12時間、好ましくは6〜10時間行うことができる。
また架橋剤を用いる架橋反応処理は、抗菌性含リン樹脂を上記の如き溶媒に添加した液体に架橋剤、例えばグルタルアルデヒド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、メチレンジメタクリレート等を、樹脂原料全体に対して0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%程度添加し、室温ないし加温して架橋反応させることにより行われる。
また、本発明の他のゲル化方法として、架橋反応処理を、前記グラフト重合体に行うこともできる。すなわち、ポリビニルアルコールにアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドの2種のモノマー成分をグラフト共重合させる際にメチレンビスアクリルアミドの如き架橋剤を存在させて、一工程で直接的にゲル化し、吸水性樹脂とすることができる。
次いで、公知の手段により脱溶媒処理、乾燥、粉砕して製品とすることができる。
また、橋かけ反応していない共重合した水溶性樹脂は、必要に応じ、その水溶液から沈殿を生成させて精製処理を行うこともできる。次いで、得られた精製溶液から膜または繊維状に成形することが容易で、次いで上記の不溶化(ゲル化)できる特徴を有する。
【0033】
かくして得られる本発明の抗菌性含リン樹脂は、様々な細菌類例えば大腸菌や黄色ブドウ球菌、真菌類、藻類等に有効な抗菌性を示す。また、熱や溶媒に対して極めて高い安定性を有する。一方、本発明の抗菌性含リン樹脂は、ポリビニルアルコールのグラフト共重合体であるために極めて良好な製膜性を有し、さらにこの樹脂をゲル化して得られる高吸水性樹脂は、水に溶けることなく自重の数十〜数百倍もの水を吸収し、保持する能力を有する。
【0034】
なお、本発明の抗菌性含リン樹脂の高吸水性のタイプは、上記水溶性樹脂のゲル化処理の際またはゲル化後、必要に応じ吸水性速度を向上させるために、アタパルジャイト、カオリン、タルク、ケイ藻土を添加することができ、さらに必要に応じて各種の樹脂用充填剤、例えばパルプ、木粉、合成繊維などの有機質、ガラス繊維、ガラス粉、微粉シリカ、アルミナ、アパタイト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、雲母、シラスなどの無機質を配合することができる。また発泡剤、消泡剤、老化防止剤、熱安定化剤、酸化防止剤、染色剤、顔料、着色剤等も少量添加することができる。そのほか粘性や強度の向上を目的として、熱可塑性樹脂のエマルジョン、合成ゴムのラテックス、水溶性高分子を混合することができる。
【0035】
本発明の抗菌性含リン樹脂は、水溶性ないし高吸水性の性状を有することから、その使用目的に応じ、無定形粉末状、球形粒状粉体、短繊維状、長繊維状、不織布状、フィルム状等の種々の形状にして適用させることができる。
本発明の抗菌性含リン樹脂は、優れた抗菌性を有するために、生理用品、紙おむつ等の衛生材、食品鮮度保持包装材、食品・流通用のドリップ吸収材、農業・園芸用土壌保水剤、船底防汚塗料、高吸水性繊維、結露防止材、高透水性分離膜等の幅広い分野に利用できる。また、同時に帯電防止性、難燃性、防汚性を付与することができる。
【0036】
【作用】
本発明の抗菌性含リン樹脂の基本骨格を図1に示す。なお、X-がCl-である例である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
抗菌性含リン樹脂の合成
重合度2600のポリビニルアルコール(PVA)に対してモノマーの重量比を1:10にしてグラフト重合した例を示す。すなわち、PVA0.30gをジメチルスルホキシド(DMSO)30mlに加熱溶解した。さらにアクリルアミド(AAm)と、アルキル鎖の異なる4種のアルキルビニルベンジルホスホニウムハライド(以下TRVBということがある)、すなわちトリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下TEVBという)、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下TBVBという)、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下THVBという)およびトリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下TOVBという)とを、所定の仕込み重量比で計3.0g精秤し、その溶液に溶解させた。
【0038】
その溶液を重合試験管に移し、グラフト重合開始剤として過硫酸カリウム(KPS)を30mg加え、水浴中で1時間窒素置換した。その後、ドライアイス−メタノール浴中で固化させ熔封後、反応温度40℃で20時間振盪しながら重合を行った。得られた共重合体をアセトン中に沈殿させ、その後、DMSOに加温しながら溶解させた。この操作を2回行い、未反応のAAm、溶媒のDMSOなどを除去し、共重合体を絶乾し、各種のPVA−g−AAm−TRVB共重合体を得た。
下記実施例においては、このようにして得られた各種共重合体を使用しているが、その各成分の配合比および得られた共重合体のリン含量を表1に示す。
【0039】
なお、下記実施例により得られたすべての共重合体の0.2gをそれぞれ採取して純水30mlに添加して室温で撹拌したところ、いずれも完全に水溶性樹脂であることが認められた。
【0040】
【表1】
【0041】
PVA−g−AAm−TRVB共重合体のゲル化(その1、加熱処理)
上記で得られた本発明の水溶性の抗菌性含リン樹脂を加熱処理(アニーリング)によりゲル化させ、その物性を次のように検討した。すなわち:
▲1▼ モノマー成分のうち、TRVBの異なる上記共重合体試料を120℃で8時間加熱処理した場合の樹脂の吸水量(共重合体1gにおける吸水した水のg、その結果を図2に示す);
▲2▼ 各共重合体試料につき、加熱処理時間を10時間と一定にし、加熱処理温度を種々変更した場合の樹脂の吸水量(その結果を図3〜8に示す);
▲3▼ 各共重合体試料につき、加熱温度を120℃と一定にし、加熱処理時間を種々変更した場合の樹脂の吸水量(その結果を図9〜12に示す);
▲4▼ 種々のホスホニウム基を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量(その結果を図13〜14に示す);
▲5▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量(その結果を図15に示す);
▲6▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の脱イオン水、および0.09重量%または0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の吸水量(その結果を図16〜19に示す)。
【0042】
PVA−g−AAm−TRVB共重合体のゲル化(その2、架橋剤処理)
上記で得られた本発明の水溶性の抗菌性含リン樹脂を、架橋剤による処理でゲル化させ、その物性を検討した。
まず、各種の水溶性の含リン樹脂の試料[PVA−g−AAm−TBVB(1:6:4)]0.3gを、濃度の異なるグルタルアルデヒド(GA)水溶液30mlに浸し、室温で1時間架橋反応処理し、ゲルを生成させた。次いで、常法によりこれを精製した後、各種の樹脂を得た。この樹脂の吸水性を測定した。結果を図20に示す。
【0043】
吸水量の測定
上記の吸水量の測定は次のようにして行った。
合成した本発明の抗菌性含リン樹脂(サンプル)を、不織布製の袋に入れ、サンプルに対して過剰のイオン交換水または塩化ナトリウム水溶液に浸す。所定時間後、液体から袋を取り出し、サンプル表面および袋表面の水分をふき取り、その重量(A)を測定する。なお、あらかじめ袋自体の吸水重量(B)およびサンプルの乾燥重量(C)も測定しておく。吸水量(W)は、次式で定義される。また、下記実験において液体への浸漬時間は、基本的に、吸水量が飽和するのに十分な48時間とした。この式は、樹脂1gあたり吸水された液体のgを意味している。
【0044】
【数1】
W=(A−B−C)/C
【0045】
次に、上記実験およびその結果について詳述する。
▲1▼ モノマー成分のうち、TRVBの異なる上記共重合体試料を120℃で8時間加熱処理した場合の樹脂の吸水量を測定した結果、試料の種類によって、吸水量は異なるものの、いずれも実用上良好な吸水性を示したことが分かる。
【0046】
▲2▼ 各共重合体試料につき、加熱処理時間を10時間と一定にし、加熱処理温度を種々変更した場合の樹脂の吸水量を測定した結果、試料の種類にもよるが、120℃、10時間の加熱条件であれば、良好な吸水性を示すことが分かる。
【0047】
▲3▼ 各共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃と一定にし、加熱処理時間を種々変更した場合の樹脂の吸水量を測定した結果、概ね6〜10時間の加熱処理時間が良好な結果をもたらすことが分かる。
【0048】
▲4▼ 種々のホスホニウム基を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量を測定した結果、とくにPVA−g−AAm−TRVBが1:6:4の配合比のときに、いずれの試料も良好な吸水性を有することが分かる。
【0049】
▲5▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量を測定した結果、共重合体中の含リン量が0.1ミリモル以上あれば実用上十分な吸水性を示すことが分かる。
【0050】
▲6▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の脱イオン水、および0.09重量%または0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の吸水量を測定した結果、いずれの試料でも塩化ナトリウム水溶液に対する吸水性が認められた。
【0051】
抗菌性含リン樹脂の抗菌活性の測定
サンプルとして、上記実施例で得られたPVA−g−AAm−THVB系の水溶性の共重合体を、130℃で20時間加熱処理したもの、またはグルタルアルデヒドを架橋剤として架橋処理したものを用いた。
グラム陽性菌の代表としてS.aureus(黄色ブドウ状球菌)IFO13276を本試験に用い、所定の菌数の菌懸濁液(イオン交換水および0.9重量%NaCl水溶液)を調製した(60ml)。この菌懸濁液にサンプルを0.05g加え、30℃で6時間振盪し、残存生菌数を調べた。なお、残存生菌数は、9mlの無菌水に菌懸濁液1mlを接種し10倍希釈し(必要に応じて数段階希釈する)、その菌懸濁液0.1mlを平面培地に広げ、孵卵器に入れ、30℃で15〜24時間増殖させた後、コロニー数を計測し、下記式により算出した。
【0052】
【数2】
生菌数 = M×10x/0.1
式中、Mはコロニー数、xは希釈回数である。
【0053】
実験の結果を図21および22に示す。これらの結果から、本発明の高吸水性のタイプの抗菌性含リン樹脂は、明らかに優れた抗菌性を示すことが認められた。この事実は、その前駆体であるゲル化していない水溶性のタイプの抗菌性含リン高分子は、菌体との接触が容易であることから、それよりも優れた抗菌作用を有することが理解できる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によって、細菌による汚染が実質的に生じない優れた抗菌性、水溶性ないし高吸水性を有する抗菌性含リン樹脂およびその製造方法が提供され、この高機能性ゆえに、これを利用して様々な用途の展開が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌性含リン樹脂の基本骨格を示す図である。
【図2】モノマー成分のうち、TRVBの異なる上記共重合体試料(PVA−g−AAm−TRVB(1:6:4)共重合体)を120℃で8時間加熱処理した場合の樹脂の吸水量時間依存性を示す図である。
【図3】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TEVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図4】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TBVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図5】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−THVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図6】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TOVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図7】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TRVB(1:9:1)共重合体の吸水量を示す図である。
【図8】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TRVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図9】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−TEVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図10】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−TBVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図11】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−THVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図12】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−TOVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図13】熱処理温度を120℃として得られたPVA−g−AAm−TRVB(1:9:1)共重合体の吸水量を示す図である。
【図14】熱処理温度を120℃として得られたPVA−g−AAm−TRVB(1:6:4)共重合体の吸水量を示す図である。
【図15】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TRVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の吸水量を示す図である。
【図16】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TEVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図17】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TBVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図18】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−THVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図19】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TOVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図20】種々の濃度のグルタルアルデヒド水溶液(架橋剤)で橋かけしたPVA−g−AAm−TBVB(1:6:4)共重合体の吸水量を示す図である。
【図21】熱処理PVA−g−AAm−THVB(1:9:1)の抗菌活性を示す図である。
【図22】架橋剤処理PVA−g−AAm−THVB(1:9:1)の抗菌活性を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性含リン樹脂およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは本発明は、細菌による汚染が実質的に生じない優れた抗菌能を有する水溶性ないし吸水性含リン樹脂およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】
従来、吸水性樹脂は、高吸水性および保水性の両方の特性を有するため、例えば生理用品、紙おむつ等の衛生材、農園芸用土壌保水剤、種子コーティング剤、育苗用シート、食品鮮度保持包装材、食品・流通用ドリップ吸収材、ゲル芳香剤、使い捨てカイロ、シーリング材、コンクリート養生・改質剤等の幅広い分野で使用されている。
しかし、例えば吸水性樹脂を用いて製造した吸水性シートは、吸水性樹脂が吸水すると、吸水性シートの表面材も含水状態となり、そのため表面にカビや細菌が繁殖しやすくなるという欠点がある。
例えば、吸水性シートを生理用品、紙おむつなどの衛生材に使用した場合は、排出物を長時間保持したりするため、細菌が繁殖し、また臭気等が問題になる。また、食品用ドリップシートなどに使用した場合は、鮮魚類や肉類などから出る水に微生物が繁殖しやすく、シートの表面に細菌が繁殖し、食品の鮮度が劣化したりする。土木用シーリング材などに使用した場合は、長時間の地下埋設により、その接合部にカビや細菌が繁殖し、シーリング材を劣化したりする問題点がある。
【0003】
一方、ポリビニルアルコールで代表される水溶性樹脂は、重合度およびけん化度の制御と相俟って水溶液の粘性、表面張力、懸濁粒子の保護コロイド性等を変化させることによって、例えば繊維加工剤、顔料分散剤、紙料のサイジング剤、各種接着剤、フィルムなど、非常に多様な用途が展開されている。
しかしながら、再起やカビなどに侵され易く、これを制御する場面では自ずと使用が制限される。
【0004】
そこで、かかる問題点の解決のために、吸水性樹脂にあっては、例えば抗菌作用を有する銀イオンを保持するゼオライトと高吸水性樹脂を2枚の膜で挟んで吸水性シートにする方法(特開昭63−156540号公報)や、高吸水性樹脂に銀を含む水溶解性ガラスを均一に混合して抗菌作用を付与させる方法(特開平1−153748号公報)や、さらにポリオレフィン系樹脂と高吸水性樹脂の混合系に、ジンク2−ピリジンチオール−1−オキサイド系の抗菌剤を混合する方法(特開平5−9344号公報)など、無機または有機系の抗菌剤を樹脂に添加した、いわゆる添加型抗菌性吸水性樹脂が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記のように提案された吸水性樹脂は、抗菌剤を添加したものであって、例えば、光などにより変色したり、樹脂の熱加工時に抗菌剤が分解したり、抗菌力の持続性が不十分であったり、さらには抗菌剤が溶出するなどの問題点がある。また、有機系の抗菌剤は、その有毒性により食品用、生理用品等に使用することは困難である。
【0006】
また、ポリビニルアルコールに代表される水溶性樹脂にあっては、抗菌性を必要とする場合、通常公知の抗菌剤や殺菌剤を添加混合して使用されるが、持続性にかけるなどの点から、本質的解決には至っていない。
【0007】
本発明は上記のような従来の課題を解決に鑑み、ポリビニルアルコールの長所を生かしながら、樹脂自体の機能として、短時間の接触で優れた抗菌作用を示し、持続性に優れ、さらに抗菌性物質の溶出が殆ど無い抗菌能を有する水溶性ないし吸水性含リン樹脂を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、上記のような従来の課題を解決することができた。
すなわち本発明は、ポリビニルアルコールに、次の一般式(1)
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、R1、R2およびR3は同種または異種の炭素数1〜14のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す)
で示されるアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドをグラフト重合させて得られた共重合体であることを特徴とする抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0011】
また本発明は、共重合体を加熱処理または架橋反応処理してゲル化させた前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0012】
さらに本発明は、アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライドおよびトリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種である前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0013】
さらにまた本発明は、架橋反応処理における架橋剤として、グルタルアルデヒドを使用する前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0014】
また本発明は、ポリビニルアルコール1重量部に対し、アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが1〜5重量部およびアクリルアミドが5〜10重量部使用される前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0015】
さらに本発明は、含りん量がPとして0.1〜5.0ミリモル/g樹脂の範囲である前記の抗菌性含リン樹脂を提供するものである。
【0016】
さらにまた本発明は、ポリビニルアルコール溶液に、前記一般式(1)で示されるアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドを加えた後、触媒の存在下で前記各成分をグラフト重合させることを特徴とする抗菌性含リン樹脂の製造方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に係る抗菌能を有する含リン樹脂は、前述のとおり、ポリビニルアルコールに、一般式(1)のアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドをグラフト重合して得られた共重合体であることが大きな特徴となっている。
【0018】
なお、本発明に開示されたようなポリビニルアルコールにモノマー成分をグラフト重合させたタイプは、元来水溶性であるが、後記する加熱処理または架橋反応処理によってゲル化して高吸水性樹脂とすることができる。したがって本発明の抗菌性含リン樹脂を、以下、水溶性ないし高吸水性樹脂と呼ぶことがある。
【0019】
(ポリビニルアルコール)
本発明で使用できるポリビニルアルコールは、とくに制限されるものではなく、目的に応じて自由に選択することができ、重合度およびけん化度はとくに限定的ではない。
【0020】
(アルキルビニルベンジルホスホニウムハライド)
一般式(1)のアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドにおいて、R1、R2およびR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニチル基等のアラルキル基;前記アルキル基、アリール基、アラルキル基をヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換した基等が挙げられ、中でも好ましくはヘキシル、オクチル等のアルキル基、フェニル、トリル等のアリール基、さらに好ましくは、アルキル基であるのがよい。また、R1、R2およびR3は、同一の基であっても、そうでなくともよい。
【0021】
Xのハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素(I-,I3 -)のハロゲン原子が挙げられ、中でも塩素イオンおよび臭素イオンが好ましい。
【0022】
また、R1〜R3がメチル基、エチル基のような低級アルキル基である場合は、水溶性であり、また、アルコール等の有機溶媒にも溶解する。逆に、R1〜R3がペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の高級アルキル基になるほど水に対する溶解度が減少する傾向を示す。抗菌効果は、アルキル基の場合、その長さの影響を受け、例えばメチル、エチル、ブチル、オクチルと鎖長が長くなる程抗菌効果が高くなる傾向がみられる。しかし、水溶性ないし吸水性は逆に小さくなる傾向を示すことから、樹脂の使用目的に応じて適宜設計すればよい。
また、R1〜R3内の一つだけが例えば、オクタデシル(C18)のような高級アルキル基、他の二つがメチル基のような低級アルキル基である場合、細菌の細胞膜攻撃性が高く抗菌効果は高い。
【0023】
本発明に用いられるアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドは、一般式(1)に示すものであればとくに限定されるものではないが、その好適な例としては、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
【0024】
(アクリルアミド)
本発明において、“アクリルアミド”とは、アクリルアミドのほか、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどのN−置換アルキル(メタアクリル)アミドの如きアルキル(メタアクリル)系モノマーを含むことを意味する。
【0025】
(配合割合)
本発明に係る抗菌性含リン樹脂において、これを構成する上記モノマー成分の配合割合は、モノマーの種類や樹脂の用途に応じて任意に設計できるものではあるが、多くの場合、ポリビニルアルコール1重量部に対して、アルキルビニルベンジルホスホニウムハライド1〜5重量部、好ましくは1〜4重量部、アクリルアミド5〜10重量部、好ましくは6〜9重量部の範囲である。
この配合割合によれば、本発明に係る抗菌性含リン樹脂においては、概ね含りん量がPとして0.1〜5.0ミリモル/gの範囲にあり、とくに0.2〜3ミリモル/gの範囲が好ましいといえる。
【0026】
アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが1重量部未満の場合は、樹脂の抗菌性が不十分となり、逆に上記アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドの含量が増加すると、吸水量および抗菌性も高くなるが、5重量部を超えるとあまり経済的ではない。
【0027】
また、必要に応じて他のビニルモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのアルキルエステル等を任意に所望量使用することもできる。
【0028】
(グラフト重合)
本発明におけるグラフト重合は、重合触媒として、例えば過酸化水素、過酸化ベンゾイル、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレリアル酸、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物、過硫酸アンモニム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等のラジカル重合触媒や、これらと亜硫酸水素ナトリウム、亜流酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、第一鉄塩等の還元剤との組合わせによるレドックス系開始剤を用いて行うことができる。
【0029】
重合系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用することができる。
【0030】
本発明においてグラフト重合条件は、各種原料によって異なるが、重合温度は室温〜100℃、好ましくは10〜80℃、重合時間は3〜48時間、好ましくは5〜30時間である。
重合終了後、未反応成分や溶媒を除去すべく精製し、次いで乾燥、粉砕処理を行えば、本発明の抗菌性含リン樹脂が得られる。
【0031】
かくして得られた抗菌性含リン樹脂は水溶性であるが、目的に応じてこれを次の2つの方法(橋かけ反応)によりゲル化して高吸水性樹脂に転化させることができる。
すなわちこの水溶性の抗菌性含リン樹脂を加熱処理するか、または架橋剤を用いて架橋反応処理させることにより高吸水性樹脂とすることができる。
【0032】
加熱処理は100〜140℃、好ましくは120℃前後で4〜12時間、好ましくは6〜10時間行うことができる。
また架橋剤を用いる架橋反応処理は、抗菌性含リン樹脂を上記の如き溶媒に添加した液体に架橋剤、例えばグルタルアルデヒド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、メチレンジメタクリレート等を、樹脂原料全体に対して0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%程度添加し、室温ないし加温して架橋反応させることにより行われる。
また、本発明の他のゲル化方法として、架橋反応処理を、前記グラフト重合体に行うこともできる。すなわち、ポリビニルアルコールにアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよびアクリルアミドの2種のモノマー成分をグラフト共重合させる際にメチレンビスアクリルアミドの如き架橋剤を存在させて、一工程で直接的にゲル化し、吸水性樹脂とすることができる。
次いで、公知の手段により脱溶媒処理、乾燥、粉砕して製品とすることができる。
また、橋かけ反応していない共重合した水溶性樹脂は、必要に応じ、その水溶液から沈殿を生成させて精製処理を行うこともできる。次いで、得られた精製溶液から膜または繊維状に成形することが容易で、次いで上記の不溶化(ゲル化)できる特徴を有する。
【0033】
かくして得られる本発明の抗菌性含リン樹脂は、様々な細菌類例えば大腸菌や黄色ブドウ球菌、真菌類、藻類等に有効な抗菌性を示す。また、熱や溶媒に対して極めて高い安定性を有する。一方、本発明の抗菌性含リン樹脂は、ポリビニルアルコールのグラフト共重合体であるために極めて良好な製膜性を有し、さらにこの樹脂をゲル化して得られる高吸水性樹脂は、水に溶けることなく自重の数十〜数百倍もの水を吸収し、保持する能力を有する。
【0034】
なお、本発明の抗菌性含リン樹脂の高吸水性のタイプは、上記水溶性樹脂のゲル化処理の際またはゲル化後、必要に応じ吸水性速度を向上させるために、アタパルジャイト、カオリン、タルク、ケイ藻土を添加することができ、さらに必要に応じて各種の樹脂用充填剤、例えばパルプ、木粉、合成繊維などの有機質、ガラス繊維、ガラス粉、微粉シリカ、アルミナ、アパタイト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、雲母、シラスなどの無機質を配合することができる。また発泡剤、消泡剤、老化防止剤、熱安定化剤、酸化防止剤、染色剤、顔料、着色剤等も少量添加することができる。そのほか粘性や強度の向上を目的として、熱可塑性樹脂のエマルジョン、合成ゴムのラテックス、水溶性高分子を混合することができる。
【0035】
本発明の抗菌性含リン樹脂は、水溶性ないし高吸水性の性状を有することから、その使用目的に応じ、無定形粉末状、球形粒状粉体、短繊維状、長繊維状、不織布状、フィルム状等の種々の形状にして適用させることができる。
本発明の抗菌性含リン樹脂は、優れた抗菌性を有するために、生理用品、紙おむつ等の衛生材、食品鮮度保持包装材、食品・流通用のドリップ吸収材、農業・園芸用土壌保水剤、船底防汚塗料、高吸水性繊維、結露防止材、高透水性分離膜等の幅広い分野に利用できる。また、同時に帯電防止性、難燃性、防汚性を付与することができる。
【0036】
【作用】
本発明の抗菌性含リン樹脂の基本骨格を図1に示す。なお、X-がCl-である例である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
抗菌性含リン樹脂の合成
重合度2600のポリビニルアルコール(PVA)に対してモノマーの重量比を1:10にしてグラフト重合した例を示す。すなわち、PVA0.30gをジメチルスルホキシド(DMSO)30mlに加熱溶解した。さらにアクリルアミド(AAm)と、アルキル鎖の異なる4種のアルキルビニルベンジルホスホニウムハライド(以下TRVBということがある)、すなわちトリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下TEVBという)、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下TBVBという)、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下THVBという)およびトリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライド(以下TOVBという)とを、所定の仕込み重量比で計3.0g精秤し、その溶液に溶解させた。
【0038】
その溶液を重合試験管に移し、グラフト重合開始剤として過硫酸カリウム(KPS)を30mg加え、水浴中で1時間窒素置換した。その後、ドライアイス−メタノール浴中で固化させ熔封後、反応温度40℃で20時間振盪しながら重合を行った。得られた共重合体をアセトン中に沈殿させ、その後、DMSOに加温しながら溶解させた。この操作を2回行い、未反応のAAm、溶媒のDMSOなどを除去し、共重合体を絶乾し、各種のPVA−g−AAm−TRVB共重合体を得た。
下記実施例においては、このようにして得られた各種共重合体を使用しているが、その各成分の配合比および得られた共重合体のリン含量を表1に示す。
【0039】
なお、下記実施例により得られたすべての共重合体の0.2gをそれぞれ採取して純水30mlに添加して室温で撹拌したところ、いずれも完全に水溶性樹脂であることが認められた。
【0040】
【表1】
【0041】
PVA−g−AAm−TRVB共重合体のゲル化(その1、加熱処理)
上記で得られた本発明の水溶性の抗菌性含リン樹脂を加熱処理(アニーリング)によりゲル化させ、その物性を次のように検討した。すなわち:
▲1▼ モノマー成分のうち、TRVBの異なる上記共重合体試料を120℃で8時間加熱処理した場合の樹脂の吸水量(共重合体1gにおける吸水した水のg、その結果を図2に示す);
▲2▼ 各共重合体試料につき、加熱処理時間を10時間と一定にし、加熱処理温度を種々変更した場合の樹脂の吸水量(その結果を図3〜8に示す);
▲3▼ 各共重合体試料につき、加熱温度を120℃と一定にし、加熱処理時間を種々変更した場合の樹脂の吸水量(その結果を図9〜12に示す);
▲4▼ 種々のホスホニウム基を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量(その結果を図13〜14に示す);
▲5▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量(その結果を図15に示す);
▲6▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の脱イオン水、および0.09重量%または0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の吸水量(その結果を図16〜19に示す)。
【0042】
PVA−g−AAm−TRVB共重合体のゲル化(その2、架橋剤処理)
上記で得られた本発明の水溶性の抗菌性含リン樹脂を、架橋剤による処理でゲル化させ、その物性を検討した。
まず、各種の水溶性の含リン樹脂の試料[PVA−g−AAm−TBVB(1:6:4)]0.3gを、濃度の異なるグルタルアルデヒド(GA)水溶液30mlに浸し、室温で1時間架橋反応処理し、ゲルを生成させた。次いで、常法によりこれを精製した後、各種の樹脂を得た。この樹脂の吸水性を測定した。結果を図20に示す。
【0043】
吸水量の測定
上記の吸水量の測定は次のようにして行った。
合成した本発明の抗菌性含リン樹脂(サンプル)を、不織布製の袋に入れ、サンプルに対して過剰のイオン交換水または塩化ナトリウム水溶液に浸す。所定時間後、液体から袋を取り出し、サンプル表面および袋表面の水分をふき取り、その重量(A)を測定する。なお、あらかじめ袋自体の吸水重量(B)およびサンプルの乾燥重量(C)も測定しておく。吸水量(W)は、次式で定義される。また、下記実験において液体への浸漬時間は、基本的に、吸水量が飽和するのに十分な48時間とした。この式は、樹脂1gあたり吸水された液体のgを意味している。
【0044】
【数1】
W=(A−B−C)/C
【0045】
次に、上記実験およびその結果について詳述する。
▲1▼ モノマー成分のうち、TRVBの異なる上記共重合体試料を120℃で8時間加熱処理した場合の樹脂の吸水量を測定した結果、試料の種類によって、吸水量は異なるものの、いずれも実用上良好な吸水性を示したことが分かる。
【0046】
▲2▼ 各共重合体試料につき、加熱処理時間を10時間と一定にし、加熱処理温度を種々変更した場合の樹脂の吸水量を測定した結果、試料の種類にもよるが、120℃、10時間の加熱条件であれば、良好な吸水性を示すことが分かる。
【0047】
▲3▼ 各共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃と一定にし、加熱処理時間を種々変更した場合の樹脂の吸水量を測定した結果、概ね6〜10時間の加熱処理時間が良好な結果をもたらすことが分かる。
【0048】
▲4▼ 種々のホスホニウム基を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量を測定した結果、とくにPVA−g−AAm−TRVBが1:6:4の配合比のときに、いずれの試料も良好な吸水性を有することが分かる。
【0049】
▲5▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の吸水量を測定した結果、共重合体中の含リン量が0.1ミリモル以上あれば実用上十分な吸水性を示すことが分かる。
【0050】
▲6▼ 種々のホスホニウム基を有し、種々のTRVB含量を有する共重合体試料につき、加熱処理温度を120℃および加熱処理時間を8時間と一定にした場合の樹脂の脱イオン水、および0.09重量%または0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の吸水量を測定した結果、いずれの試料でも塩化ナトリウム水溶液に対する吸水性が認められた。
【0051】
抗菌性含リン樹脂の抗菌活性の測定
サンプルとして、上記実施例で得られたPVA−g−AAm−THVB系の水溶性の共重合体を、130℃で20時間加熱処理したもの、またはグルタルアルデヒドを架橋剤として架橋処理したものを用いた。
グラム陽性菌の代表としてS.aureus(黄色ブドウ状球菌)IFO13276を本試験に用い、所定の菌数の菌懸濁液(イオン交換水および0.9重量%NaCl水溶液)を調製した(60ml)。この菌懸濁液にサンプルを0.05g加え、30℃で6時間振盪し、残存生菌数を調べた。なお、残存生菌数は、9mlの無菌水に菌懸濁液1mlを接種し10倍希釈し(必要に応じて数段階希釈する)、その菌懸濁液0.1mlを平面培地に広げ、孵卵器に入れ、30℃で15〜24時間増殖させた後、コロニー数を計測し、下記式により算出した。
【0052】
【数2】
生菌数 = M×10x/0.1
式中、Mはコロニー数、xは希釈回数である。
【0053】
実験の結果を図21および22に示す。これらの結果から、本発明の高吸水性のタイプの抗菌性含リン樹脂は、明らかに優れた抗菌性を示すことが認められた。この事実は、その前駆体であるゲル化していない水溶性のタイプの抗菌性含リン高分子は、菌体との接触が容易であることから、それよりも優れた抗菌作用を有することが理解できる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によって、細菌による汚染が実質的に生じない優れた抗菌性、水溶性ないし高吸水性を有する抗菌性含リン樹脂およびその製造方法が提供され、この高機能性ゆえに、これを利用して様々な用途の展開が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌性含リン樹脂の基本骨格を示す図である。
【図2】モノマー成分のうち、TRVBの異なる上記共重合体試料(PVA−g−AAm−TRVB(1:6:4)共重合体)を120℃で8時間加熱処理した場合の樹脂の吸水量時間依存性を示す図である。
【図3】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TEVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図4】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TBVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図5】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−THVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図6】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TOVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図7】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TRVB(1:9:1)共重合体の吸水量を示す図である。
【図8】10時間と一定にし、種々の温度で加熱処理したPVA−g−AAm−TRVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図9】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−TEVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図10】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−TBVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図11】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−THVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図12】120℃と一定にし、熱処理時間を変えて得られたPVA−g−AAm−TOVB共重合体の吸水量を示す図である。
【図13】熱処理温度を120℃として得られたPVA−g−AAm−TRVB(1:9:1)共重合体の吸水量を示す図である。
【図14】熱処理温度を120℃として得られたPVA−g−AAm−TRVB(1:6:4)共重合体の吸水量を示す図である。
【図15】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TRVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の吸水量を示す図である。
【図16】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TEVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図17】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TBVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図18】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−THVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図19】TRVB含量の異なる熱処理PVA−g−AAm−TOVB(熱処理温度条件120℃、8時間)の脱イオン水および塩化ナトリウム水溶液中での吸水量を示す図である。
【図20】種々の濃度のグルタルアルデヒド水溶液(架橋剤)で橋かけしたPVA−g−AAm−TBVB(1:6:4)共重合体の吸水量を示す図である。
【図21】熱処理PVA−g−AAm−THVB(1:9:1)の抗菌活性を示す図である。
【図22】架橋剤処理PVA−g−AAm−THVB(1:9:1)の抗菌活性を示す図である。
Claims (9)
- 共重合体を加熱処理または架橋反応処理してゲル化させた請求項1に記載の抗菌性含リン樹脂。
- アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライドおよびトリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の抗菌性含リン樹脂。
- 架橋反応処理における架橋剤として、グルタルアルデヒドを使用する請求項2に記載の抗菌性含リン樹脂。
- ポリビニルアルコール1重量部に対し、アルキルビニルベンジルホスホニウムハライドが1〜5重量部およびアクリルアミドが5〜10重量部使用される請求項1または2に記載の抗菌性含リン樹脂。
- 含りん量がPとして0.1〜5.0ミリモル/g樹脂の範囲である請求項1または2に記載の抗菌性含リン樹脂。
- 抗菌性含リン樹脂をさらに加熱処理または架橋反応処理してゲル化させる請求項7に記載の抗菌性含リン樹脂の製造方法。
- 加熱処理温度が、100〜140℃の範囲である請求項8に記載の抗菌性含リン樹脂の製造方法。
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