JP2000319337A - 抗菌性吸液剤およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性吸液剤およびその製造方法

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JP2000319337A
JP2000319337A JP11134896A JP13489699A JP2000319337A JP 2000319337 A JP2000319337 A JP 2000319337A JP 11134896 A JP11134896 A JP 11134896A JP 13489699 A JP13489699 A JP 13489699A JP 2000319337 A JP2000319337 A JP 2000319337A
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liquid absorbing
antibacterial
monomer
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Masanao Kamijo
正直 上條
Tetsuhiko Yamaguchi
哲彦 山口
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Showa Denko KK
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F226/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a single or double bond to nitrogen or by a heterocyclic ring containing nitrogen
    • C08F226/02Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a single or double bond to nitrogen or by a heterocyclic ring containing nitrogen by a single or double bond to nitrogen

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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂自体の機能として短時間の接触で優れた抗
菌作用を示し、抗菌性物質の溶出が殆どなく、さらに耐
塩性や耐候性に優れ性能の維持も良好な液体吸収剤を提
供する。 【解決手段】N−ビニルカルボン酸アミド及び側鎖に四
級ホスホニウム塩あるいは四級アンモニウム塩を有する
モノマーを、架橋剤の存在下で共重合させて得られる重
合体架橋物からなることを特徴とする抗菌性吸液剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機または有機系
の抗菌剤を添加することなく、それ自体が抗菌性を有し
塩を含有する液体においても有効な液体吸収剤(以下、
「吸液剤」という。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、吸水性樹脂は、生理用品、紙おむ
つ、吸血液用物品等の衛生用品、食品用鮮度保持剤、農
園芸用の保水剤等に使用されている。しかし、吸水性樹
脂を用いて製造した吸水性シート等は、吸水性樹脂が吸
水すると、吸水性シートの表面材も含水状態となり、そ
のため表面にカビや細菌が繁殖しやすくなるという欠点
がある。例えば、吸水性シートを生理用品、紙おむつな
どの衛生材に使用した場合は、排出物を長時間保持する
ために細菌が繁殖し、さらに臭気等も問題となる。ま
た、吸水性シートを食品用ドリップシートなどとして用
いた場合は、鮮魚類や肉類などから出る水に微生物が繁
殖しやすく、シートの表面に細菌が繁殖し、食品の鮮度
が劣化するなどの問題があり、土木シーリング材などに
使用した場合は、長時間の地下埋設によりその接合部に
カビや細菌が繁殖し、シーリング材を劣化させるという
問題がある。
【0003】そこで、かかる問題点を解決するため、例
えば抗菌作用を有する銀イオンを保持するゼオライトと
高吸水性樹脂を2枚の膜に挟んで吸水シートにする方法
(特開昭63−156540号公報)や、高吸水性樹脂
に銀を含む水溶性ガラスを均一に混合して抗菌作用を付
与させる方法(特開平1−153748号公報)、さら
にポリオレフィン系樹脂と高吸水性樹脂の混合系に、ジ
ンク2−ピリジンチオール−1−オキサイド系の抗菌剤
を混合する方法(特開平5−9344号公報)など、無
機または有機系の抗菌剤を樹脂に添加したいわゆる添加
型抗菌性吸水性樹脂が提案されている。
【0004】また、例えばホスホニウム塩モノマーと、
該ホスホニウム塩モノマーと共重合可能で、且つ重合後
高吸水性樹脂となり得るモノマーとを架橋剤の存在下で
架橋重合させて抗菌性高吸水性樹脂を得る方法(特開平
8−231792公報)など、抗菌性モノマーとの共重
合によって、それ自体が抗菌性を有する抗菌性吸水性樹
脂も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記添
加型抗菌性吸水性樹脂は、抗菌剤を添加したものであっ
て、例えば、光により変色したり、樹脂の熱加工時に抗
菌剤が分解したり、抗菌力の持続性が不十分であった
り、さらには抗菌剤が溶出するなどの問題点があった。
また、有機系の抗菌剤はその有毒性により食用品、生理
用品等に使用することは困難である。さらに、上記のそ
れ自体が抗菌性を有する抗菌性吸水性樹脂、例えばアク
リルアミドあるいはアクリル酸と抗菌性モノマーとの共
重合架橋体は耐塩性や耐候性に欠けるなどの問題があっ
た。
【0006】本発明はかかる状況に鑑みてなされたもの
であり、樹脂自体の機能として、短時間の接触で優れた
抗菌作用を示し、さらに抗菌性物質の溶出が殆どなく、
さらに耐塩性や耐候性に優れた抗菌性吸液剤を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究の結果、N−ビニルカルボン酸ア
ミドと、側鎖に四級ホスホニウム塩あるいは四級アンモ
ニウム塩を有するモノマーとを、架橋剤の存在下で共重
合させて得られる重合体架橋物が抗菌性吸液剤として上
記目的を達成しうることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち本発明は、次の事項に関する。 [1]N−ビニルカルボン酸アミドと、側鎖に四級ホス
ホニウム塩あるいは四級アンモニウム塩を有するモノマ
ーとを、架橋剤の存在下で共重合させて得られる重合体
架橋物からなることを特徴とする抗菌性吸液剤。 [2]N−ビニルカルボン酸アミドが、下記一般式
(1)
【0009】
【化6】 [式中R1およびR2は、互いに独立して水素原子または
メチル基を表わす。]で表される上記[1]に記載の抗
菌性吸液剤。 [3]側鎖に四級ホスホニウム塩を有するモノマーが、
下記一般式(2)
【0010】
【化7】 [式中R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素
原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール基;
アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはアルコ
キシ基で置換されたアルキル基、アリール基またはアラ
ルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、Xはハ
ロゲン原子を表わす。] または下記一般式(3)
【0011】
【化8】 [式中R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素
原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール基;
アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはアルコ
キシ基で置換されたアルキル基、アリール基またはアラ
ルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、Xはハ
ロゲン原子を表わし、Yは水素原子、低級アルキル基ま
たはアリール基を表わす。]で表される上記[1]また
は[2]に記載の抗菌性吸液剤。 [4]側鎖に四級アンモニウム塩を有するモノマーが、
下記一般式(4)
【0012】
【化9】 [式中R9、R10およびR11は、それぞれに独立して、
水素原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール
基;アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはア
ルコキシ基で置換されたアルキル基、アリール基または
アラルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、X
はハロゲン原子を表わす。] または下記一般式(5)
【0013】
【化10】 [式中R12、R13およびR14は、それぞれに独立して、
水素原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール
基;アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはア
ルコキシ基で置換されたアルキル基、アリール基または
アラルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、X
はハロゲン原子を表わし、Yは水素原子、低級アルキル
基またはアリール基を表わす。]で表される上記[1]
または[2]に記載の抗菌性吸液剤。 [5]架橋剤が、1分子内に重合性の不飽和基を2個以
上有する化合物である上記[1]ないし[4]のいずれ
かに記載の抗菌性吸液剤。 [6]N−ビニルカルボン酸アミドと、側鎖に四級ホス
ホニウム塩あるいは四級アンモニウム塩を有するモノマ
ーとの配合割合がモル比で80:20〜99.99:
0.01の範囲である上記[1]ないし[5]のいずれ
かに記載の抗菌性吸液剤。 [7]重合体架橋物の0.9%食塩水での吸液倍率が1
0倍以上であることを特徴とする上記[1]ないし
[6]のいずれかに記載の抗菌性吸液剤。 [8]水中において、N−ビニルカルボン酸アミドと、
側鎖に四級ホスホニウム塩あるいは四級アンモニウム塩
を有するモノマーとを、架橋剤の存在下で共重合させて
得られる上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の抗
菌性吸液剤の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0015】本発明に係る抗菌性吸液剤は、上述のとお
り、一般式(1)で表されるN−ビニルカルボン酸アミ
ドと、一般式(2)または(3)で表される側鎖に四級
ホスホニウム塩を有するモノマーあるいは一般式(4)
または(5)で表される側鎖に四級アンモニウム塩を有
するモノマーとを、架橋剤の存在下で共重合させて得ら
れる重合体架橋物であることを特徴とする。
【0016】本発明に用いられる一般式(1)で表され
るN−ビニルカルボン酸アミドとしては、例えばN−ビ
ニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミ
ド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニル
ホルムアミド等が挙げられる。この中でも吸水性、安定
性の点から特にN−ビニルアセトアミドが好ましい。
【0017】N−ビニルアセトアミドは安全性の面で問
題がなく、その重合体は親アルコール性であり、広いp
H領域で安定した性能を維持し、さらに耐塩性および耐
候性にも優れることが確認されている。
【0018】一般式(2)から(5)で表わされる、側
鎖に四級ホスホニウム塩または四級アンモニウム塩を有
するモノマーにおいてR3からR14としては、炭素数1
〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル
基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル
基、フェニチル基等のアラルキル基;前記アルキル基、
アリール基、アラルキル基をヒドロキシ基またはアルコ
キシ基で置換した基等が挙げられ、中でも好ましくはへ
プチル、オクチル等のアルキル基、フェニル、トリル等
のアリール基、さらに好ましくはアルキル基であるのが
よい。また、R3からR14は同一であっても異なってい
てもよい。
【0019】Xのハロゲン原子としては、例えばフッ
素、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子が挙げら
れ、中でも塩素イオン及び臭素イオンが好ましい。
【0020】本発明に用いられる一般式(2)または
(3)で表される側鎖に四級ホスホニウム塩を有するモ
ノマーとしては、例えばp−ビニルベンジルトリエチル
ホスホニウムクロライド、p−ビニルベンジルトリプロ
ピルホスホニウムクロライド、p−ビニルベンジルトリ
ブチルホスホニウムクロライド、p−ビニルベンジルト
リヘキシルホスホニウムクロライド、p−ビニルベンジ
ルトリ(n−オクチル)ホスホニウムクロライド、メタ
クリル酸エチルトリ(n−オクチル)ホスホニウム等が
挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0021】本発明に用いられる一般式(4)または
(5)で表される側鎖に四級アンモニウム塩を有するモ
ノマーとしては、例えばp−ビニルベンジルジメチル
(n−オクチル)アンモニウムクロライド、p−ビニル
ベンジルジメチル(n−デシル)アンモニウムクロライ
ド、p−ビニルベンジルジメチル(n−ドデシル)アン
モニウムクロライド、メタクリル酸エチルトリ(n−オ
クチル)アンモニウムクロライド、メタクリル酸エチル
ジメチル(n−オクチル)アンモニウムクロライド、メ
タクリル酸エチルジメチル(n−ドデシル)アンモニウ
ムクロライド等が挙げられるが、特にこれらに限定され
るものではない。
【0022】本発明においては、目的を損なわない限り
共重合可能な他の重合性不飽和結合を有するモノマーを
加えて共重合させてもよい。
【0023】本発明に用いられる一般式(2)、
(3)、(4)または(5)で表されるモノマーが抗菌
性を発揮するのは、側鎖の四級ホスホニウム塩および四
級アンモニウム塩の陽イオン表面活性作用によると考え
られる。その殺菌の作用機序は、陽イオンが微生物中に
進入し、他の必須イオンを追い出すことによるとも、ま
た微生物の酵素系を変性させることによるともいわれて
いる。
【0024】抗菌効果は、R3からR14がアルキル基の
場合その長さの影響を受け、例えばメチル、エチル、ブ
チル、オクチルとアルキル基が長くなるにしたがって抗
菌効果が高くなる傾向が見られる。また、R3〜R14
の一つだけが例えばオクタデシル(C18)のような高
級アルキル基、他の二つがメチル基のような低級アルキ
ル基である場合には、細胞膜攻撃性が高く抗菌効果が高
い。ここで言う「抗菌効果」とは、細菌、カビ等の発生
や繁殖による汚染を防止する作用のことを指す。
【0025】本発明において用いられる架橋剤として
は、あらゆる公知の架橋剤が使用でき、例えば、テトラ
アリルオキシエタン、ペンタエリスリトールテトラアリ
ルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテ
ル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチ
レングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコー
ルジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリル
エーテル、ジアリルエーテル、単糖類、二糖類、多糖
類、セルロースなどの水酸基を1分子内に2個以上有す
る化合物から誘導されるポリアリルエーテル、トリメリ
ット酸トリアリル、クエン酸トリアリル、シュウ酸ジア
リル、コハク酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、マレイ
ン酸ジアリル等、1分子中にカルボキシル基を2個以上
有する化合物から誘導されるポリアリルエステル、ジア
リルアミン、トリアリルイソシアヌレートなどの1分子
内にアリル基を2個以上有する化合物、シュウ酸ジビニ
ル、マロン酸ジビニル、コハク酸ジビニル、グルタル酸
ジビニル、アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、
フマル酸ジビニル、クエン酸トリビニルなどの1分子内
にビニルエステル構造を2個以上有する化合物、N,
N’−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,
N’−ジアセチル−N,N’−ジビニル−1,4−ビス
アミノメチルシクロヘキサンなどのビス(N−ビニルカ
ルボン酸アミド)化合物、N, N' −メチレンビスアク
リルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート等の、複数個の
アクリルアミド構造や(メタ)アクリル基を有する化合
物、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、(メタ)ア
クリル酸アリル等の1分子中に不飽和基を2個以上有す
る化合物などの1分子内に重合性不飽和基を2個以上有
するが挙げられ、これらを1種または必要により2種以
上用いることができる。
【0026】これら架橋剤の使用量は、(共)重合成分を
基準として2×10-4〜10モル%、好ましくは5×1
-4〜2モル%の範囲である。架橋剤が2×10-4モル
%未満の場合は、得られる吸液剤のゲル強度が過度に低
下し、吸液剤の一部が溶媒に溶解してしまう等、吸液剤
として期待される性能が発揮できなくなるため好ましく
なく、架橋剤が10モル%を超えると、架橋密度が高く
なり過ぎて重合中に相が不均一になる傾向があり、特に
得られる吸液剤の吸液能力が低下するため好ましくな
い。
【0027】本発明の抗菌性吸液剤において、N−ビニ
ルカルボン酸アミドと、側鎖に四級ホスホニウム塩ある
いは四級アンモニウム塩を有するモノマーとの配合割合
は合計で100としたモル比で80:20〜99.9
9:0.01、好ましくは95:5〜99.9:0.1
の範囲である。側鎖に四級ホスホニウム塩あるいは四級
アンモニウム塩を有するモノマーが0.01モル%未満
の場合は、吸液剤の抗菌性が不十分となり、20モル%
を超える場合は、抗菌性は高くなるがゲル強度が低下し
加工性が悪くなる場合があり、またあまり経済的でな
い。
【0028】本発明において、N−ビニルカルボン酸ア
ミドと、側鎖に四級ホスホニウム塩あるいは四級アンモ
ニウム塩を有するモノマーとの重合は、水中において架
橋剤の存在下でラジカル重合開始剤を用いて行われる。
上記重合体架橋物の製造において用いられる重合開始剤
は、従来知られている過酸化物、有機、無機過酸もしく
はその塩、アゾビス系化合物の単独、あるいは還元剤と
の組み合わせによるレドックス系のものが用いられ、こ
れらの中で特に好ましいものはアゾビス(2−アミジノ
プロパン)二塩酸塩などのアゾビス系開始剤である。ま
た、重合開始剤の使用量は特に制限はないが、(共)重
合成分を基準として、好ましくは5×10-4〜5モル
%、特に好ましくは5×10-3〜0.5モル%である。
【0029】重合開始温度は通常−10〜80℃程度で
あるが、例えば水溶性アゾ系化合物を熱的に分解させて
重合反応を行う場合には、水溶性アゾ系化合物の熱的分
解を円滑に行うために、最低でも15〜20℃とするの
が好ましく、反応時間は0.5〜30時間程度である。
重合終了後、必要に応じて精製、乾燥、粉砕処理を行っ
てもよい。
【0030】本発明の重合体架橋物の0.9%食塩水の
吸液倍率は、吸液倍率が10倍以上、好ましくは20倍
以上の吸液能を有するものである。吸液倍率が10倍未
満の場合には吸液剤の使用量が過多になり、好ましくな
い。また、0.9%食塩水の吸液倍率で規定するのは、
用途によっては塩水を使用する可能性があるためであ
る。ここで言う「吸液倍率」とは、吸液性樹脂が単位重
量当たり吸液することのできる液の重量(g)のことを
指す。
【0031】本発明の抗菌性吸液剤は、その使用目的に
応じて、無定型粉末状、球形粒状粉体、短繊維状、長繊
維状、不織布状、フィルム状等の種々の形状にすること
ができる。本発明の抗菌性吸液剤は、優れた抗菌性を有
するため、紙おむつ、生理用ナプキン、創傷包帯、失禁
用パット、血液吸液シートなど各種紙および繊維製品吸
液性向上剤、農園芸用保水剤、食品鮮度保持材、食用・
流通用のドリップ吸収材、芳香剤基材、船底防汚塗料、
結露防止剤等の幅広い分野に利用できる。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定される
ものではない。
【0033】(実施例1)窒素導入管と温度計、排気管
を備えた四つ口の1Lセパラブルフラスコ中に、N−ビ
ニルアセトアミド189g、p−ビニルベンジルトリ
(n−オクチル)ホスホニウムクロライド61g、N,
N’−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)500m
g、脱イオン水750gを仕込み、完全に溶解させた。
この溶液を30℃に保持しつつ、窒素を約1時間導入し
て系内の溶存酸素を除去した。その後脱イオン水10m
Lに溶解した2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパ
ン)二塩酸塩300mgを添加して重合させた。重合中
はフラスコを断熱材で覆った。終了後、ゲル状の生成物
を取り出し、挽き肉機で細分した後55℃で24時間乾
燥した。乾燥した重合体を粉砕して抗菌性吸液剤を得
た。ゲル強度も良好であった。
【0034】(実施例2)窒素導入管と温度計、排気管
を備えた四つ口の1Lセパラブルフラスコ中に、N−ビ
ニルアセトアミド248g、2−メタクリロキシエチル
トリ(n−オクチル)ホスホニウムクロライド2.0
g、N,N’−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)
200mg、脱イオン水750gを仕込み、完全に溶解
させた以外は、実施例1と同様に行い、抗菌性吸液剤を
得た。ゲル強度も良好であった。
【0035】(実施例3)窒素導入管と温度計、排気管
を備えた四つ口の1Lセパラブルフラスコ中に、N−ビ
ニルアセトアミド249g、p−ビニルベンジルジメチ
ル(n−オクチル)アンモニウムクロライド1.0g、
N,N’−メチレンビスアクリルアミド500mg、脱
イオン水750gを仕込み、完全に溶解させた以外は、
実施例1と同様に行い、抗菌性吸液剤を得た。ゲル強度
も良好であった。
【0036】(実施例4)窒素導入管と温度計、排気管
を備えた四つ口の1Lセパラブルフラスコ中に、N−ビ
ニルアセトアミド210g、2−メタクリロキシエチル
ジメチル(n−オクチル)アンモニウムクロライド40
g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド250m
g、脱イオン水750gを仕込み、完全に溶解させた以
外は、実施例1と同様に行い、抗菌性吸液剤を得た。ゲ
ル強度も良好であった。
【0037】(比較例1)窒素導入管と温度計、排気管
を備えた四つ口の1Lセパラブルフラスコ中に、N−ビ
ニルアセトアミド250g、N,N’−ブチレンビス
(N−ビニルアセトアミド)200mg、脱イオン水75
0gを仕込み、完全に溶解させた以外は、実施例1と同
様に行い、抗菌性吸液剤を得た。ゲル強度も良好であっ
た。
【0038】(比較例2)アクリルアミド35.5g、
アクリル酸22.1g、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸41.4gおよび水18.8gを
加え、50℃で溶解させた。ついで中和剤として水酸化
カリウム29.2gを徐々に添加して中和を行った。さ
らにN,N−メチレンビスアクリルアミド0.014
g、アリルトリ(n−オクチル)ホスホニウムクロライ
ド1.5gを添加し、攪拌して均一にした。次に該水溶
液を60℃にした後、10%の2,2’−アゾビス(2
−アミジノプロパン)二塩酸塩水溶液11.8gを添加
して重合させた。終了後、90℃で2時間乾燥後、粉砕
して抗菌性吸液剤を得た。
【0039】<抗菌性吸液剤の抗菌活性の評価>グラム
陽性菌の代表としてスタフィロコッカス・オーレウス
(Staphylococcusaureus)IFO12732およびグラ
ム陰性菌の代表としてエシエリヒア・コリ(Escherichi
a coli)IFO3806を、表1および表2に示す作用
時間で、各実施例において得られた抗菌性吸液剤を用い
て作成したシートを作用させた。得られた抗菌活性の結
果を表1および表2に示す。なお、抗菌活性の評価は、
所定量の菌を接種し、上記の各シートに接触させて、菌
液を所定量の生理食塩水で洗い流し、この液に存在する
菌数を測定することにより行った。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】 表1および表2の結果から明らかなように、本発明の抗
菌性吸液剤では、僅かな接触時間でそれぞれの菌数が顕
著に減少していることが分かる。
【0042】<吸水能(吸液倍率)試験>実施例1〜4
および比較例2で得られた抗菌性吸液剤の吸液倍率を調
べた結果を表3に示す。なお、この吸液倍率は、乾燥し
た吸液剤1.0gを脱イオン水または0.9%食塩水1
Lの中に投入して一晩放置後、200メッシュの金網付
きの箱で濾過し、重量を測定して吸液倍率を算出した。
【0043】吸液倍率(重量倍)=(吸液後の吸液剤重
量−乾燥時の吸液剤重量)/乾燥時の吸液剤重量
【0044】
【表3】 表3の結果から明らかなように、比較例2では食塩水に
対する吸液倍率が脱イオン水の場合に比べて急激に低下
するのに対し、本発明の抗菌性吸液剤では、食塩水に対
しても脱イオン水の場合と同等の吸水倍率を示すことが
分かる。
【0045】
【発明の効果】本発明の抗菌性吸液剤は、樹脂自体の機
能として短時間の接触で優れた抗菌作用を示し、抗菌性
物質の溶出が殆どなく、さらに耐塩性や耐候性に優れ性
能の維持も良好であるため、紙おむつ、生理用ナプキ
ン、創傷包帯、失禁用パット、血液吸液シートなど各種
紙および繊維製品吸液性向上剤、農園芸用保水剤、食品
鮮度保持材、食用・流通用のドリップ吸収材、芳香剤基
材、船底防汚塗料、結露防止剤等の幅広い分野に特に有
効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AB07Q AE69R AE75R AG63R AG64R AL08Q AL21Q AL62R AL63R AL66R AL67R AN06P AN13R AN14R AQ21R BA02R BA03Q BA03R BA04Q BA08R BA62Q BC43Q CA04 CA23 DA71

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−ビニルカルボン酸アミドと、側鎖に
    四級ホスホニウム塩あるいは四級アンモニウム塩を有す
    るモノマーとを、架橋剤の存在下で共重合させて得られ
    る重合体架橋物からなることを特徴とする抗菌性吸液
    剤。
  2. 【請求項2】 N−ビニルカルボン酸アミドが、下記一
    般式(1) 【化1】 [式中R1およびR2は、互いに独立して水素原子または
    メチル基を表わす。]で表される請求項1に記載の抗菌
    性吸液剤。
  3. 【請求項3】 側鎖に四級ホスホニウム塩を有するモノ
    マーが、下記一般式(2) 【化2】 [式中R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素
    原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール基;
    アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはアルコ
    キシ基で置換されたアルキル基、アリール基またはアラ
    ルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、Xはハ
    ロゲン原子を表わす。]または下記一般式(3) 【化3】 [式中R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素
    原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール基;
    アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはアルコ
    キシ基で置換されたアルキル基、アリール基またはアラ
    ルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、Xはハ
    ロゲン原子を表わし、Yは水素原子、低級アルキル基ま
    たはアリール基を表わす。]で表される請求項1または
    請求項2に記載の抗菌性吸液剤。
  4. 【請求項4】 側鎖に四級アンモニウム塩を有するモノ
    マーが、下記一般式(4) 【化4】 [式中R9、R10およびR11は、それぞれに独立して、
    水素原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール
    基;アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはア
    ルコキシ基で置換されたアルキル基、アリール基または
    アラルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、X
    はハロゲン原子を表わす。]または下記一般式(5) 【化5】 [式中R12、R13およびR14は、それぞれに独立して、
    水素原子;直鎖状または分岐状のアルキル基;アリール
    基;アラルキル基;あるいはヒドロキシル基もしくはア
    ルコキシ基で置換されたアルキル基、アリール基または
    アラルキル基を表わし、Aはアルキレン基を表わし、X
    はハロゲン原子を表わし、Yは水素原子、低級アルキル
    基またはアリール基を表わす。]で表わされる請求項1
    または請求項2に記載の抗菌性吸液剤。
  5. 【請求項5】 架橋剤が、1分子内に重合性の不飽和基
    を2個以上有する化合物である請求項1ないし請求項4
    のいずれかに記載の抗菌性吸液剤。
  6. 【請求項6】 N−ビニルカルボン酸アミドと、側鎖に
    四級ホスホニウム塩あるいは四級アンモニウム塩を有す
    るモノマーとの配合割合が全体を100としたモル比で
    80:20〜99.99:0.01の範囲である請求項
    1ないし請求項5のいずれかに記載の抗菌性吸液剤。
  7. 【請求項7】 重合体架橋物の0.9%食塩水での吸液
    倍率が10倍以上であることを特徴とする請求項1ない
    し請求項6のいずれかに記載の抗菌性吸液剤。
  8. 【請求項8】 水中において、N−ビニルカルボン酸ア
    ミドと、側鎖に四級ホスホニウム塩あるいは四級アンモ
    ニウム塩を有するモノマーとを、架橋剤の存在下で共重
    合させて得られる請求項1ないし請求項7のいずれかに
    記載の抗菌性吸液剤の製造方法。
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