JP4261636B2 - 吸水剤および衛生材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸水剤および衛生材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度の吸水性を有する吸水性ポリマーが開発され、綿、パルプ、紙、海綿などの繊維基体と複合化され、紙おむつ、生理用ナプキンなどとして実用化されている。
吸水性ポリマーが尿、血液、体液などを吸収した場合、これら吸収液に菌類や微生物等が含まれているため、これらにより有機物が分解されて生成した分解生成物が悪臭、皮膚刺激、かぶれ等の原因となるという問題がある。また、これら吸収液に含まれている菌類や微生物、あるいは空気中のバクテリア等によって吸収ゲルが腐敗し、悪臭を発散することがあるという問題もある。特に吸収性ポリマーが、寝たきり老人や病人などに使用される大人用紙おむつ等に用いられる場合、悪臭やかぶれの問題は深刻である。
【0003】
このような問題に対して、吸水性ポリマーに抗菌性を付与することが検討されており、例えば、吸水性ポリマーとゼオライトとの粉体同士の混合物(特開昭57−25813号公報、特開昭59−179114号公報、特開昭59−189854号公報)、活性炭を吸水性ポリマーでコーティングした組成物(特開昭56−31425号公報)、吸水性ポリマーとツバキ科植物から抽出された消臭成分とからなる組成物(特開昭60−15886号公報)、吸水性ポリマーと特定の抗菌剤(塩化ベンザルコニウム、グリコン酸クロルヘキシジン等)を含有した吸水性ポリマー組成物(特開昭63−135501号公報)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゼオライトや活性炭、消臭成分等を含むものは、発生した悪臭を吸着したり消臭したりすることはできても、微生物や菌類による有機物の分解や腐敗を抑制することができない。また、塩化ベンザルコニウムは抗菌剤としては非常に優れたものであるが、低分子の界面活性剤でもあるために、外圧や経時によって吸水性ポリマーから流出しやすく、被吸収液の界面張力の低下を招き吸水性ポリマーの吸水特性を低下させる、特に吸水戻り量が増大する要因となるという問題がある。また、界面活性剤は種類によっては安全性の観点からも好ましくない場合がある。
【0005】
以上から、本発明の課題は、外圧や経時によって吸水性ポリマーから流出しにくく、したがって、吸水性ポリマーの吸水特性の低下を招くことがなく、しかも、人体に安全な抗菌剤を含む吸水性と抗菌性の両方に優れた吸水剤および衛生材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
(1)ポリアクリル酸塩架橋体からなる吸水性ポリマーと、一般式(a)で表わされる繰り返し単位を有する抗菌性ポリマーとを含む、吸水剤。
【0007】
【化3】
【0008】
(式中、R1〜R3の少なくとも一つはベンジル基であり、残りは炭素数1〜20のアルキル基である。R4は水素原子または炭素数1〜4の低級アルキル基である。X−はアニオン性イオンである。Aは−O−または−NH−である。nは1〜10である。)
【0009】
(2)前記抗菌性ポリマーを前記吸水性ポリマーに対して0.01〜30重量%含む、前記(1)の吸水剤。
(3)前記抗菌性ポリマーの0.01重量%の水溶液の表面張力が50dyne/cm以上である、前記(1)または(2)の吸水剤。
【0011】
(4)前記一般式(a)において、R1がベンジル基であり、R2およびR3が各々炭素数1〜4の低級アルキル基であり、R4が水素原子またはメチル基であり、X−が硫酸アニオン、リン酸アニオンおよびハライドのアニオンから選ばれる少なくとも一種であり、Aが−O−、nが1〜3である、前記(1)から(3)までのいずれかに記載の吸水剤。
【0012】
(5)前記ポリアクリル酸塩架橋体が部分中和物である、前記(1)から(4)までのいずれかに記載の吸水剤。
(6)前記ポリアクリル酸塩架橋体が粉末状である、前記(1)から(5)までのいずれかに記載の吸水剤。
(7)前記(1)から(6)までのいずれかに記載の吸水剤を含む、衛生材料。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の吸水剤に含まれる抗菌剤(以下、「本発明の抗菌剤」ということがある。)について説明する。
本発明の抗菌剤は、一般式(a)で表わされる繰り返し単位を有する抗菌性ポリマー(以下、ポリマー(A)という)からなる。
【0014】
【化5】
【0015】
一般式(a)中、R1〜R3の少なくとも一つはベンジル基であり、残りは炭素数1〜20のアルキル基である。R4は水素原子または炭素数1〜4の低級アルキル基である。X-はアニオン性イオンであり、重炭酸アニオン、炭酸アニオン、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、硫酸アニオン、プロピオン酸アニオン、マロン酸アニオン、スクシン酸アニオン、フマル酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン酸アニオン、ハライドアニオン、グルコン酸アニオンおよびアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)のアニオン等を例示できる。Aは−O−または−NH−である。nは1〜10である。
【0016】
一般式(a)は、塩化ベンザルコニウムに類似した構造であるため、この構造に由来してポリマー(A)は強い抗菌性を有する。しかも、ポリマーであって界面活性剤ではないため、外圧や経時によって吸収物品から流出するという問題がなく、被吸収液の表面張力を低下させるという問題もない。具体的には、0.01重量%水溶液の表面張力が塩化ベンザルコニウムでは30.3dyne/cmであるのに対して、一般式(a)で表わされる構造を有するポリマー(A)は通常50dyne/cm以上を示す。好ましくは60dyne/cm以上であり、より好ましくは70dyne/cm以上である。
【0017】
一般式(a)において、R1がベンジル基であり、R2およびR3が各々炭素数1〜4の低級アルキル基であり、R4が水素原子またはメチル基であり、X-が硫酸アニオン、リン酸アニオンおよびハライド(Cl-、Br-等)のアニオンから選ばれる少なくとも一種であり、Aが−O−であり、nが1〜3であることが好ましい。特に、R1がベンジル基、R2およびR3がメチル基、R4が水素原子、X-がCl-であり、Aが−O−であり、nが2である、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドをモノマー成分とするものが好ましい。
【0018】
一般式(a)で表わされる繰り返し単位は、ポリマー(A)を構成する繰り返し単位のうちの30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましい。一般式(a)で表わされる繰り返し単位が少ない場合には、それだけ抗菌性も低いものとなる。一般式(a)で表わされる繰り返し単位以外に必要に応じて含むことのできるその他の繰り返し単位としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体およびそれらの塩;ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−(メタ)アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体およびそれらの塩;(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体;グリセロールモノ(メタ)アリルエーテル等のアリルエーテル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体;スチレン、エチルビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体等を例示することができる。
【0019】
ポリマー(A)の平均重合度としては、特に限定されないが、一般式(a)で表わされる繰り返し単位およびその他の繰り返し単位の合計の数(M)が3〜1,000,000であることが好ましく、10〜100,000であることがより好ましい。
ポリマー(A)を製造する方法としては、例えば、一般式(a)で表わされる繰り返し単位を形成しうる単量体である、アクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアミンまたはメタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアミン等の不飽和N,N−ジアルキルアミンに塩化ベンジル、臭化ベンジル等のアラルキルハライドをアセトン、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル等の有機溶媒中で反応させた後、得られた4級モノマーを常法により水またはエタノール、メタノール等の極性溶媒中で、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化水素、過硫酸アンモニウム等のラジカル重合開始剤の存在下で重合し、その後乾燥して得ることができる。
【0020】
本発明の抗菌剤の形状としては、粒子径2μm〜10mmのものが好ましく、特に3μm〜1mmの粉末のものが好ましい。利用形態としては、そのままカラム充填しての使用、水に懸濁させての使用、あるいは他のポリマーへの混練によるシート化等による使用などを挙げることができる。
本発明の抗菌剤は、後述するように吸水性ポリマーと組み合わせて用いる他、プール、飲料水、冷却水などの殺菌剤、スライムコントロール剤として有効に利用することができる。また、合成樹脂等へ添加することで、床材、壁材、天井材などの建材一般、農業用資材等の抗菌抗カビ剤として広範に利用することができる。
【0021】
本発明の吸水剤について説明する。
本発明の吸水剤は、吸水性の他に抗菌性をも有するものであって、抗菌性がポリマーに由来するものであることを特徴とする。すなわち、本発明の吸水剤は、吸水性を有するポリマーと、抗菌性を有するポリマーとを含むものであって、抗菌性がポリマーに由来することで、外圧や経時によって吸収物品から抗菌性成分が流出するという問題がなく、被吸収液の表面張力を低下させるという問題もない。
具体的には、前記したように、0.01重量%水溶液の表面張力が、塩化ベンザルコニウムでは30.3dyne/cmであるのに対して、抗菌性を有するポリマーでは通常50dyne/cm以上を示す。好ましくは60dyne/cm以上であり、より好ましくは70dyne/cm以上である。
抗菌性を有するポリマーとしては、前記した本発明の抗菌剤として用いられるポリマー(A)の他、公知の抗菌性ポリマーをいずれも使用可能である。例えば、特許第2657509号に記載された抗菌性ポリマー等を挙げることができるが、上記した一般式(a)で表わされる繰り返し単位を有するポリマー(A)が好ましく、一般式(a)においてR1がベンジル基であり、R2およびR3が各々炭素数1〜4の低級アルキル基であり、R4が水素原子またはメチル基であり、X−が硫酸アニオン、リン酸アニオンおよびハライド(Cl−、Br−等)のアニオンから選ばれる少なくとも一種であり、Aが−O−であり、nが1〜3であることが好ましい。特に、R1がベンジル基、R2およびR3がメチル基、R4が水素原子、X−がCl−であり、Aが−O−であり、nが2である、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドをモノマー成分とするものが好ましい。
【0022】
吸水性を有するポリマーとしては、多量の水、生理食塩水、尿等を吸収膨潤して実質水不溶性のヒドロゲルを形成するものであれば、特に限定されない。そのような吸水性ポリマーの典型的な例としては、アクリル酸またはその塩を主成分とする親水性モノマーを重合して得られる架橋構造を有する親水性ポリマーである。このようなものは例えば、部分中和架橋ポリアクリル酸、架橋され部分的に中和された澱粉−アクリル酸グラフトポリマー、イソブチレン−マレイン酸コポリマー、酢酸ビニル−アクリル酸コポリマーのケン化物、アクリルアミド(コ)ポリマーの加水分解物、アクリロニトリルポリマーの加水分解物等が開示されている。中でも好ましいものはポリアクリル酸塩架橋体である。ポリアクリル酸塩架橋体としては、ポリマー中の酸基の50〜95モル%が中和されていることが好ましく、60〜90モル%が中和されていることがより好ましい。塩としてはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などを例示する事ができる。この中和は重合前のモノマーで行っても良いし、重合中や重合後の含水ゲル状ポリマーで行っても良い。
【0023】
吸水性ポリマーを構成するモノマーとしては、重合により上記吸水性ポリマーに変換しうるモノマーであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸などのアニオン性不飽和モノマーおよびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性の親水基含有不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびそれらの四級塩などのカチオン性不飽和モノマーなどを挙げることができる。これらの中でアクリル酸を主成分とすることが好ましく、アクリル酸以外の他のモノマーの使用量は通常全モノマー中0〜50モル%未満、好ましくは0〜30モル%であるがこれに限定されるものではない。
【0024】
吸水性ポリマーを得る方法としては、上記したモノマーを水溶液重合、懸濁重合等の方法で重合を行い、重合と同時あるいは重合後に架橋構造を導入する方法が採用できる。吸水性ポリマーの架橋構造としては、架橋剤を使用しない自己架橋型のものや、2個以上の重合性不飽和基あるいは2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合または反応させた型のものが例示でき、内部架橋剤を共重合または反応させた架橋構造を有するものがより好ましい。重合により得られた吸水性ポリマーを乾燥、粉砕し、粉末状の吸水性ポリマーを得ることができる。
【0025】
粉末状の吸水性ポリマーの場合、その粒子形状としては、球状、略球状、不定形状、鱗片状等の形状を例示することができ、その好ましい粒子の大きさは通常1〜2000ミクロンの範囲、より好ましくは10〜1000ミクロンの範囲である。また、その平均粒子径は100〜1000ミクロンの範囲が好ましく、より好ましくは200〜800ミクロンの範囲である。
【0026】
本発明の吸水剤が、吸水性を有するポリマーと抗菌性を有するポリマーとを含む場合のこれらの使用比率としては、特に限定されるものではないが、吸水性と抗菌性の両方をバランスよく発揮するためには、それぞれの構造が一分子内にない場合には、吸水性を有するポリマーに対する抗菌性を有するポリマーの重量比率が0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましい。
【0027】
吸水性と抗菌性とを有するポリマーとしては、上記した抗菌性を有するポリマーの構造と、上記した吸水性を有するポリマーの構造の両方を一分子内に有するポリマーを挙げることができる。上記と同様にこの場合にも、抗菌性を有するポリマーの構造として、一般式(a)で表わされる繰り返し単位を有することが好ましく、一般式(a)においてR1がベンジル基であり、R2およびR3が各々炭素数1〜4の低級アルキル基であり、R4が水素原子またはメチル基であり、X-が硫酸アニオン、リン酸アニオンおよびハライド(Cl-、Br-等)のアニオンから選ばれる少なくとも一種であり、Aが−O−であり、nが1〜3であることが好ましい。特に、R1がベンジル基、R2およびR3がメチル基、R4が水素原子、X-がCl-であり、Aが−O−であり、nが2である、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドをモノマー成分とするものが好ましい。また、吸水性を有するポリマーの構造はポリアクリル酸塩架橋体であることが好ましい。両者の比率としては、特に限定されるものではないが、吸水性と抗菌性の両方をバランスよく発揮するための両方が一分子内にある場合の使用比率は、ポリマーを構成する繰り返し単位のうちの抗菌性を有するポリマーの繰り返し単位が30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましい。
【0028】
吸水性と抗菌性とを有するポリマーの製法としては、特に限定されないが、上記したような吸水性ポリマーの製法において、モノマー成分中に、抗菌性を有するポリマーとなりうるモノマーを加えて共重合を行う方法を挙げることができる。
本発明の吸水剤の粒径は、特に制限されないが、用途が衛生材料の場合には0.1〜1.0mm程度が好ましく、0.2〜0.8mm程度のものがより好ましい。
【0029】
本発明の吸水剤は、綿、パルプ、紙、海綿等の繊維基体と複合化され、紙オムツや生理用品等の衛生材料として好適に使用できるが、その他の用途として体液吸収剤等の医療分野、シーリング材(止水材)や結露防止材等の土木・建築分野、鮮度保持材等の食品分野、溶剤から水を除去する脱水剤等の工業分野、緑化等の農業・園芸分野等で利用することができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本発明において諸性能は以下の方法で測定した。
[表面張力]
抗菌剤を所定の濃度となるように純水に加え、その溶液の表面張力をFACECBVP−A3型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。[抗菌剤の抗菌性試験]
材料として次のものを使用した。
【0031】
次の手順にしたがって抗菌性試験を行った。
(1) 普通寒天培地にS.aureusおよびE.coliをそれぞれ接種し、20時間37℃で培養を行った(前々培養)。
(2) (1)で培養を行ったS.aureusおよびE.coliを普通寒天培地に接種し、18時間37℃で培養を行った。
(3) (2)で培養を行ったS.aureusおよびE.coliを、それぞれ白金耳で掻き取り、それぞれ生理食塩水に懸濁させ、その後濁度(OD660nm)を測定し、検量線より菌濃度(個/ml)を算出した。
(4) 検量線より算出した菌濃度より、S.aureusおよびE.coliのそれぞれの菌懸濁液を生理食塩水で希釈して、1×107個/mlになるように菌液を調製した。(5) 抗菌剤100mgを200mlメスフラスコに入れ、蒸留水を加えて溶解させ、さらに蒸留水を加えて標線に併せて抗菌剤溶液(500ppm)を作製した。
(6) 滅菌処理を行ったシリコ栓付き300ml三角フラスコを4本用意し、2本には生理食塩水を40mlずつ分注し、残りの2本には生理食塩水を45mlずつ分注した。
(7) (6)で40ml分注したシリコ栓付き三角フラスコに、(5)で作製した抗菌剤溶液を5mlずつ分注し、良く混合した。
(8) (6)で45mlずつ分注したシリコ栓付き三角フラスコ1本、および(7)で抗菌剤溶液を添加したシリコ栓付き三角フラスコ1本に、(4)で調製したS.aureusの菌液をそれぞれ5mlずつ分注し、良く混合した。また、(4)で調製したE.coliの菌液についても同じ操作を行った。
(9) 抗菌剤溶液を添加せず、S.aureusの菌液を分注したシリコ栓付き三角フラスコより液を1mlサンプリングし、実験開始時のS.aureusの生菌数の測定を行った。E.coliについても同じ操作を行い、実験開始時のE.coliの生菌数の測定を行った。
(10) 上記各操作を行ったシリコ栓付き三角フラスコ4本を37℃の恒温槽に浸け、振騰を開始した。
(11) 8時間後、各シリコ栓付き三角フラスコより1mlずつサンプリングし、生菌数を測定した。
[吸水剤の抗菌性試験]
人尿を採取し、人尿20gに各吸水剤1gを加え、ガラス容器中で9日間密封放置した。9日後のカビの発生の有無について目視観察した。
[吸水剤の吸水戻り量]
各吸水剤1gを直径9cm、高さ2cmのガラス製シャーレ上に散布し、そこに0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)30gを注ぎ膨潤させた。5分間放置後、その上に直径9cmのポリオレフィン製不織布を載置し、さらに予め秤量しておいた直径55mmの濾紙(アドバンテック東洋株式会社製、No.2)(5枚重ね)(W1g)をのせた後、濾紙の中央部に直径55mmの重りを荷重が21.0g/cm2となるように10秒間おいた。その後、濾紙(5枚重ね)の重さ(W2g)を秤量した。そして、W1とW2とから次式
吸水戻り量(g)=W2(g)−W1(g)
にしたがい吸水戻り量を算出した。吸水戻り量が少ない方が性能的には優れていると評価する。
実施例1
アクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアミンのアセトン溶液(34重量%)250重量部に、塩化ベンジル75重量部を約30分かけて滴下し、攪拌しながら室温で一夜放置した。反応物をアセトン500mlで洗浄して、アクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルベンジルアンモニウムクロリドの結晶を得た。得られたアクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルベンジルアンモニウムクロリドの35重量%水溶液430重量部に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を0.01重量部を添加し、重合を行い、20時間後に重合体をアセトンで再沈、乾燥して、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド重合体(繰り返し単位数(M)=3000)を得、このものを本発明の抗菌剤(1)とした。
比較例1
塩化ベンザルコニウム(商品名「カチナールMB−5A」:東邦化学工業(株)製、塩化ベンザルコニウムの50重量%水溶液)を用意し、比較用抗菌剤(1)とした。
【0032】
抗菌剤(1)、比較用抗菌剤(1)、および、ブランクとしての純水の表面張力を測定した結果を表1に示す。また、抗菌剤(1)について抗菌性(生菌数の変化)を評価した結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から、本発明の抗菌剤(1)ではブランクの水と比べてほとんど表面張力の低下がないことがわかる。一方、比較用抗菌剤(1)では表面張力の低下が著しいことがわかる。
【0035】
【表2】
【0036】
表2から、抗菌剤(1)は黄色ブドウ球菌および大腸菌に対する抗菌性を有していることがわかる。
実施例2〜4
吸水性樹脂(アクアリックCA:株式会社日本触媒製、部分中和ポリアクリル酸塩架橋重合体、平均粒子径400ミクロン)に、実施例1の抗菌剤(1)を、それぞれ吸水性樹脂に対し、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%となるようにドライブレンドして、本発明の吸水剤(1)〜(3)を得た。
比較例2
吸水性樹脂(アクアリックCA:株式会社日本触媒製、部分中和ポリアクリル酸塩架橋重合体、平均粒子径400ミクロン)のみのものを、比較用吸水剤(1)とした。
比較例3
吸水性樹脂(アクアリックCA:株式会社日本触媒製、部分中和ポリアクリル酸塩架橋重合体、平均粒子径400ミクロン)に、塩化ベンザルコニウムを0.5重量%添加したものを、比較用吸水剤(2)とした。
【0037】
吸水剤(1)〜(3)および比較用吸水剤(1)〜(2)について、抗菌性試験を行った結果と、吸水性樹脂戻り量について測定した結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
表3から、抗菌剤を含まない比較用吸水剤(1)ではカビの発生が見られるが、抗菌剤を含む本発明の吸水剤(1)〜(3)および比較用吸水剤(2)では、カビの発生がなく抗菌性が発揮されていることがわかる。また、比較用吸水剤(2)では低分子で界面活性剤でもある抗菌剤を用いているため吸水戻り量が多く、吸水特性が低下していることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によると、外圧や経時によって吸水性ポリマーから流出しにくく、したがって吸水性ポリマーの吸水特性の低下を招くことがなく、しかも人体に安全な抗菌剤を提供することができる。また、吸水性と抗菌性の両方に優れた吸水剤を提供することができる。
Claims (7)
- 前記抗菌性ポリマーを前記吸水性ポリマーに対して0.01〜30重量%含む、請求項1に記載の吸水剤。
- 前記抗菌性ポリマーの0.01重量%の水溶液の表面張力が50dyne/cm以上である、請求項1または2に記載の吸水剤。
- 前記一般式(a)において、R1がベンジル基であり、R2およびR3が各々炭素数1〜4の低級アルキル基であり、R4が水素原子またはメチル基であり、X−が硫酸アニオン、リン酸アニオンおよびハライドのアニオンから選ばれる少なくとも一種であり、Aが−O−であり、nが1〜3である、請求項1から3までのいずれかに記載の吸水剤。
- 前記ポリアクリル酸塩架橋体が部分中和物である、請求項1から4までのいずれかに記載の吸水剤。
- 前記ポリアクリル酸塩架橋体が粉末状である、請求項1から5までのいずれかに記載の吸水剤。
- 請求項1から6までのいずれかに記載の吸水剤を含む、衛生材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17235698A JP4261636B2 (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | 吸水剤および衛生材料 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP17235698A JP4261636B2 (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | 吸水剤および衛生材料 |
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