JPH1121354A - 抗菌性吸水性樹脂およびその製造方法 - Google Patents
抗菌性吸水性樹脂およびその製造方法Info
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- JPH1121354A JPH1121354A JP9187146A JP18714697A JPH1121354A JP H1121354 A JPH1121354 A JP H1121354A JP 9187146 A JP9187146 A JP 9187146A JP 18714697 A JP18714697 A JP 18714697A JP H1121354 A JPH1121354 A JP H1121354A
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Abstract
樹脂およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 アクリルアミドと3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランとの二元共重合体と、3−
(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ブチルホス
ホニウムクロライドとを重合した三元共重合体を含有す
る抗菌性吸水性樹脂およびその製造方法を提供する。
Description
止に優れた吸水性樹脂およびその製造方法に関するもの
である。
網目構造の中に水を取り込み膨潤し圧力がかかってもそ
の形状を保ち、離水しないゲルとなる。そのゲルをハイ
ドロゲルと呼び自重の数倍から数百倍の水を含んでい
る。またその高分子は、高分子鎖の性質により異なるが
高分子鎖と水との間での相互作用に基づき様々な性質を
示す。水の保存やその制御にこの高分子を用いると省エ
ネルギー、省資源利便性、環境保護、高機能などの面か
ら有益である。
保水性の両方の特性を有するため、例えば生理用品、紙
おむつ等の衛生材、農園芸用土壌保水剤、種子コーテイ
ング剤、育苗用シート、食品鮮度保持包装材、食品・流
通用ドリップ吸収材、ゲル芳香剤、使い捨てカイロ、シ
ーリング材、コンクリート養生・改質剤等の幅広い分野
で使用されている。
た吸水性シートは、吸水性樹脂が吸水すると、吸水性シ
ートの表面材も含水状態となり、そのため表面にカビや
細菌が繁殖しやすくなるという欠点がある。
つなどの衛生材に使用した場合は、排出物を長時間保持
したりするため、細菌が繁殖し、また臭気等が問題にな
る。また、食品用ドリップシートなどに使用した場合
は、鮮魚類や肉類などから出る水に微生物が繁殖しやす
く、シートの表面に細菌が繁殖し、食品の鮮度が劣化し
たりする。土木用シーリング材などに使用した場合は、
長時間の地下埋設により、その接合部にカビや細菌が繁
殖し、シーリング材を劣化したりする問題点がある。
えば抗菌作用を有する銀イオンを保持するゼオライトと
高吸水性樹脂を2枚の膜で挟んで吸水性シートにする方
法(特開昭63−156540号公報)や、高吸水性樹
脂に銀を含む水溶解性ガラスを均一に混合して抗菌作用
を付与させる方法(特開平1−153748号公報)
や、さらにポリオレフィン系樹脂と高吸水性樹脂の混合
系に、ジンク2−ピリジンチオール−1−オキサイド系
の抗菌剤を混合する方法(特開平5−9344号公報)
など、無機または有機系の抗菌剤を樹脂に添加した、い
わゆる添加型抗菌性吸水性樹脂が提案されている。
を合わせて持つ樹脂として、アルキルビニルベンジルホ
スホニウムハライドとアクリルアミドを、架橋剤の存在
下で架橋重合した抗菌性高吸水性樹脂を提案した。(特
開平9−12643号公報)
添加型抗菌性吸水性樹脂は、吸水性樹脂に抗菌剤を添加
したものであり、例えば、光などにより変色したり、樹
脂の熱加工時に抗菌剤が分解したり、抗菌力の持続性が
不十分であったり、さらには抗菌剤が溶出したりする問
題点があった。
性高吸水性樹脂は、樹脂自体に抗菌性と吸水性の機能を
有し、添加型の抗菌性吸水性樹脂の問題点を解決した優
れた機能を有する。
吸水性樹脂あるいは有機系の抗菌性吸水性樹脂とは異な
る、新規な有機−無機複合系の樹脂からなる、優れた吸
水性を有し、かつ抗菌能を有する抗菌性吸水性樹脂およ
びその製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
ルアミドと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ランとの二元共重合体と、下記一般式(1)
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、X- はアニ
オンを示し、nは1以上の整数を示す。)で表される3
−(トリメトキシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単
量体とを重合した三元共重合体を含有することを特徴と
する抗菌性吸水性樹脂である。
タクリロキシプロピルトリメトキシシランとを重合開始
剤の存在下で、溶媒中で共重合させ二元共重合体を得た
後、該二元共重合体と下記一般式(1)
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、X- はアニ
オンを示し、nは1以上の整数を示す。)で表される3
−(トリメトキシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単
量体とを触媒の存在下で共重合させ三元共重合体を得る
ことを特徴とする抗菌性吸水性樹脂の製造方法である。
される3−(トリメトキシシリルアルキル)ホスホニウ
ム塩系単量体が、3−(トリメトキシシリルプロピル)
トリ−n−ブチルホスホニウムクロライド、3−(トリ
メトキシシリルプロピル)トリ−n−ヘキシルホスホニ
ウムクロライド、3−(トリメトキシシリルプロピル)
トリ−n−オクチルホスホニウムクロライド等の3−
(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−アルキルホ
スホニウムクロライドから選ばれた少なくとも1種のホ
スホニウム塩であるのが好ましい。
Pとして0.02〜0.4mmol/gであるのが好ま
しい。
メトキシ基の加水分解−縮合反応によって−Si−O−
Si−網を形成する方法はゾル−ゲル法と呼ばれ、近年
では、無機物と有機物の特徴を兼ね備えた新しい材料の
合成にも利用されている。そこで本発明者等は、まず架
橋剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ランからなるシランカップリング剤を用い、アクリルア
ミドとシランカップリング剤との二元共重合体を合成
し、その後−Si−O−Si−網を形成してその二元共
重合体にホスホニウム基を持つ化合物を導入し、ホスホ
ニウム基を持つ三元共重合体のゲルを合成した。
アクリルアミドと3−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシランとの二元共重合体と、下記一般式(1)
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、X- はアニ
オンを示し、nは1以上の整数を示す。)で表される3
−(トリメトキシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単
量体とを重合した三元共重合体を主成分として含むこと
を特徴とする。
ミド−3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
共重合体は、アクリルアミド(AAm)と3−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMOS)を
ジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒に溶解し、
重合開始剤の存在下で重合させることにより得ることが
できる。
ド(AAm)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン(MPTMOS)の配合割合は、通常アクリル
アミド1モルに対して3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランは0.01〜10モル、好ましくは0.
05〜4モルの範囲が望ましい。3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランが0.01モル未満にあって
は、吸水性ゲルとしての物性が劣る傾向にあり、逆に1
0モルを超えると吸水性が悪くなる。
なわれるが、重合開始剤としてはラジカル重合触媒を用
いればよいが、そのラジカル重合触媒としては、過酸化
水素、過酸化ベンゾイル、ベンゾイルパーオキサイド、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパー
オキシビバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレ
ート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビス
イソブチロニトリル、アゾビスイソバレリアル酸、アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−
アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合
物、過硫酸アンモニム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等
のラジカル重合触媒や、これらと亜硫酸水素ナトリウ
ム、亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、第一鉄
塩等の還元剤との組合わせによるレドックス系開始剤が
用いられる。
エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン等が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用
することができる。
重合温度は室温〜80℃、好ましくは30〜60℃、重
合時間は6〜48時間、好ましくは12〜36時間であ
る。
プロピルトリメトキシシラン(AAm−MPTMOS)
二元共重合体の合成例を下記に示す。
リロキシプロピルトリメトキシシラン二元共重合体と、
上記の一般式(1)で表される3−(トリメトキシシリ
ルアルキル)ホスホニウム塩系単量体とを触媒の存在下
で共重合させることにより三元共重合体の抗菌性吸水性
樹脂を得ることができる。上記の一般式(1)で表され
る3−(トリメトキシシリルアルキル)ホスホニウム塩
系単量体は、抗菌作用の機能を示す。
は炭素数1〜8、好ましくは4〜8の直鎖状または分岐
状のアルキル基を示す。アルキル基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペ
ンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、等が挙げられる。また、前記アルキル基を
ヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換した基でもよ
い。これらの基の中でメチル基、エチル基のような低級
アルキル基が水溶性に好適なので好ましい。抗菌効果
は、アルキル基の場合、その長さの影響を受け、例えば
メチル、エチル、ブチル、オクチルと抗菌効果が高くな
る傾向がみられる。R1 、R2 、R3 は同一の基でも、
あるいは異なる基でもよいが、R1 、R2 、R3 が3つ
とも同種よりもその1つが異種のものの方が抗菌活性が
高くなる傾向にあることから好ましい。
示し、nの好ましい範囲は1〜8、さらに好ましくは2
〜4である。該アルキレン基としては、例えばメチレ
ン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタ
メチレン、ヘキサメチレン等の基が挙げられる。
塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンイオン、ギ酸、酢酸、
蓚酸等のカルボキシルイオン、硫酸イオン、リン酸イオ
ン、メチルまたはジメチルリン酸イオン、エチルまたは
ジエチルリン酸イオン、フッ化アンチモンイオン、フッ
化リンイオン、フッ化ヒ素イオン、フッ化ホウ素イオ
ン、過塩素酸イオン等が挙げられ、これらのうちハロゲ
ンイオンが好ましく、特に塩素イオンが好ましい。
シシリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体の好適なも
のは、3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−
アルキルホスホニウムクロライドであり、その具体例と
しては、 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ブチル
ホスホニウムクロライド(TPTB) 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ヘキシ
ルホスホニウムクロライド(TPTH) 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−オクチ
ルホスホニウムクロライド(TPTO) 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−プロピ
ルホスホニウムクロライド 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ペンチ
ルホスホニウムクロライド 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−メチルホス
ホニウムクロライド 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−エチルホス
ホニウムクロライド等が挙げられる。
ド−3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン二
元共重合体と、一般式(1)で表される3−(トリメト
キシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体の配合割
合は、通常二元共重合体1モルに対してホスホニウム塩
系単量体は0.01〜10モル、好ましくは0.1〜8
モルの範囲が望ましい。この配合割合によれば、本発明
の抗菌性吸水性樹脂においては、含りん量がPとして
0.02〜0.4mmol/g、好ましくは0.02〜
0.2mmol/g、さらに好ましくは0.05〜0.
15mmol/gの範囲となり抗菌性を発現することが
できる。
ホニウム塩系単量体が0.01モル未満の場合は、樹脂
の抗菌性が不十分となり、逆に上記3−(トリメトキシ
シリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体の含量が増加
すると、吸水量および抗菌性も高くなるが、10モルを
超えるとあまり経済的ではない。
媒の存在下で行なわれるが、触媒としては塩酸、硝酸、
硫酸等が用いられる。
エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン等が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用
することができる。
重合温度は室温〜80℃、好ましくは30〜60℃、重
合時間は1〜48時間、好ましくは12〜36時間であ
る。
プロピルトリメトキシシラン(AAm−MPTMOS)
二元共重合体と一般式(1)で表される3−(トリメト
キシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体から三元
共重合体を得る合成例を下記に示す。
製、乾燥、粉砕処理を行えば、本発明の三元共重合体の
抗菌性吸水性樹脂が得られる。
脂は、様々な細菌類例えば大腸菌や黄色ブドウ球菌、真
菌類、藻類等に有効な抗菌性を示す。また、熱や溶媒に
対して極めて高い安定性を有する。また、本発明の抗菌
性吸水性樹脂は、水に溶けることなく自重の数十〜数百
倍もの水を吸収し、保持する能力を有する。
共重合の際または重合後、必要に応じ吸水性速度を向上
させるために、アタパルジャイト、カオリン、タルク、
ケイ藻土を添加することができ、さらに必要に応じて各
種の樹脂用充填剤、例えばパルプ、木粉、合成繊維など
の有機質、ガラス繊維、ガラス粉、微粉シリカ、アルミ
ナ、アパタイト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、雲
母、シラスなどの無機質を配合することができる。また
発泡剤、消泡剤、老化防止剤、熱安定化剤、酸化防止
剤、染色剤、顔料、着色剤等も少量添加することができ
る。そのほか粘性や強度の向上を目的として、熱可塑性
樹脂のエマルジョン、合成ゴムのラテックス、水溶性高
分子を混合することができる。
的に応じ、無定形粉末状、球形粒状粉体、短繊維状、長
繊維状、不織布状、フィルム状等の種々の形状にするこ
とができる。
性と吸水性を要求される用途に有用であり、例えば生理
用品、紙おむつ等の衛生材が挙げられ、また食品鮮度保
持包装材、食品・流通用のドリップ吸収材等にも用いら
れ、その他に農業・園芸用土壌保水剤、船底防汚塗料、
高吸水性繊維、結露防止材、高透水性分離膜等の幅広い
分野に利用できる。
する。(1)アクリルアミド−3−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン(AAm−MPTMOS)二元共重合
体の合成 架橋剤としてシランカップリング剤を用い、アクリルア
ミド(AAm)とシランカップリング剤との共重合体を
合成した。
と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以
下、MPTMOSと略記す)をジメチルスルホキシド
(DMSOと記す)を所定のモル比で溶解した。重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBNと記
す)5.0mgを加えて、重合試験管に移し、水浴中で
1時間窒素置換した。その後、氷浴中で固化させ熔封
し、反応温度40℃で24時間振とうしながら重合を行
った。得られた共重合体をアセトンに沈殿させ、未反応
のAAm、溶媒のDMSOを除去し、共重合体を絶乾さ
せてAAm−MPTMOS二元共重合体を得た。
合成経路を下記に示す。また、得られたAAm−MPT
MOS二元共重合体の組成を表1に示す。
は、炭素と窒素の元素分析の値より算出した。その結
果、MPTMOSの仕込比が増加すると、共重合体中の
MPTMOS含量は仕込み時の割合より少なく導入され
ていることがわかった。
−MPTMOS二元共重合体の吸水量 吸水量の測定方法 絶乾した14〜32メッシュの共重合体0.1gを、不
織布製の袋に入れ、共重合体を過剰のイオン交換水等に
浸した。吸水量は、室温(15〜25℃)でイオン交換
水等に48時間浸漬した後測定した。48時間後、袋を
取り上げ、ゲルの表面、袋表面の水を拭き取り、その重
量(A)を測定した。また不織布製の袋自体の吸水量
(B)も測定し、この値と共重合体の乾燥重量(C)を
測定重量(A)から差し引き、共重合体の吸水重量とし
た。この吸水重量を共重合体の乾燥重量で割った値を乾
燥共重合体lg当たりの吸水量とした。吸水量を求める
式を下記に示す。
Am:MPTMOS二元共重合体の吸水量を示す図であ
る。MPTMOSの導入量により吸水量がどのように変
化するか調べるためにAAm:MPTMOS=9:1,
8:2,6:4,4:6,2:8,1:9の二元共重合
体について、室温(15〜25℃)で、その二元共重合
体0.1g当りの吸水量を測定した。その結果を図1に
示す。
なるAAm:MPTMOS二元共重合体の48時間振と
う後の吸水量を示す図である。図2は、室温(15〜2
5℃)で、二元共重合体0.1gの48時間浸透後の吸
水量を縦軸、MPTMOSの導入量を横軸にとったもの
である。
ことが分かった。また図2より、MPTMOSの量が増
加するにつれて吸水量は、低下することがわかった。こ
れは、MPTMOSが架橋剤であるため、MPTMOS
の量が増加することにより架橋反応が進み、膨潤しにく
くなったためと考えられる。
シプロピルトリメトキシシラン−3−(トリメトキシシ
リルプロピル)トリ−n−アルキルホスホニウムクロラ
イド(TPTR)(AAm−MPTMOS−TPTR)
三元共重合体の合成 AAm−MPTMOS二元共重合体にアルキル鎖の異な
る3種のホスホニウム化合物をシラシカップリング反応
を用いて導入した。
TMOS=9:1,8:2,6:4,4:6,2:8
(モル比)の二元共重合体に、アルキル鎖の異なる3種
のホスホニウム化合物の3−(トリメトキシシリルプロ
ピル)トリ−n−アルキルホスホニウムクロライド(以
下、TPTRと略記す)、すなわち 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ブチル
ホスホニウムクロライド(以下、TPTBと略記す) 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ヘキシ
ルホスホニウムクロライド(以下、TPTHと略記す) 3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−オクチ
ルホスホニウムクロライド(以下、TPTOと略記す)
を導入し、ホスホニウム基をもつAAm−MPTMOS
−TPTR共重合体を合成した。
導入量の2,4,6および8倍モル溶解させ、AAm−
MPTMOS二元共重合体を加え、さらに触媒として
1.0N塩酸5.0ml加え、反応温度50℃で24時
間振とうしながらTPTRのメトキシ基とMPTMOS
の加水分解−縮合反応を進行させた。その後、触媒とし
て用いた塩酸、未反応のTPTRなどをメタノール中で
洗浄し、その後絶乾してAAm−MPTMOS−TPT
R三元共重合体を得た。
共重合体の合成経路を下記に示す。
硝酸10mlを加えて弱火で突沸に注意しながら加熱
し、褐色の蒸気が白色になるまで加熱した。放冷後、6
0%過塩素酸10mlを加えフラスコロートを付け、弱
火〜中火で共重合体が分解するまで加熱した。分解後、
さらに2〜3時間加熱を続け、放冷後ケルダールフラス
コ内の溶液をすべて100mlあるいは250mlメス
フラスコに入れて、イオン交換水で標線まで合わせた。
この溶液を50mlメスフラスコに10mlまたは20
mlとり、これにフェノールフタレイン一滴を加え微紅
色を示すまで希アンモニア水(体積比でアンモニア水:
イオン交換水=1:4)を加えた。次に5mol/1硝
酸、0.25%メタバナジン酸アンモニウム水溶液、5
%モリブデン酸アンモニウム水溶液を5mlずつ順次加
えイオン交換水で標線まで合わせた。この溶液の440
nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(SIMAD
ZU製 UVl60A)を用いて測定し、100ppm
リン標準液を用いて調製した検量線を用いて、リン含量
を次式により求めた。
に、溶媒、触媒である塩酸の量、反応温度を変えて合成
し、得られたAAm−MPTMOS−TPTR三元共重
合体のリン含量を測定した。
ルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルスルホキ
シド(DMSO)、メタノール(MeOH)と変えて合
成したときのAAm−MPTMOS−TPTB三元共重
合体のリン含量である。これより、メタノールを溶媒と
して用いた場合が最もリン含量が大きくなることがわか
った。
8:2:4、触媒;1NHCl 5ml、温度;50℃
である。
の量を0.5,1.0,3.0,および5.0mlとか
えて合成したときのリン含量を示した。反応条件は、A
Am:MPTMOS:TPTB=8:2:4、温度;5
0℃、溶媒;MeOH 15mlである。
加するときにリン含量は、急激に増加し、塩酸量が3.
0mlおよび5.0mlのときがリン含量が最も大きく
一定となった。また、塩酸を5.0ml以上加えると溶
液が白濁したのでそれ以上は加えなかった。
0,40および50℃と変えて合成したときのリン含量
を示した。反応条件は、AAm:MPTMOS:TPT
B=8:2:4、触媒;1N HCl 5ml、溶媒;
MeOH 15mlである。これより、50℃のときが
リン含量が一番大きくなった。
の量を5.0m1、反応温度を50℃として以後の反応
条件とした。
元共重合体のリン含量 種々の合成条件で得られた組成の異なるAAm−MPT
MOS二元共重合体に、2〜8倍モルのTPTRを導入
し、そのリン含量を測定した。
8:2,6:4,4:6,2:8,1:9の二元共重合
体にTPTBを2倍モル導入したときのリン含量を示し
た。反応条件は、触媒;1N HCl 5ml、温度;
50℃、溶媒;MeOH 15mlである。
合体中のMPTMOSの導入量が少ないほどリン含量は
増加した。これは、AAm−MPTMOS二元共重合体
はMPTMOSの導入量が減少するほど吸水量が増加
し、膨潤度が大きくなるためAAm−MPTMOS二元
共重合体とTPTBが反応しやすくなったためと考えら
れる。
8:2の共重合体についてTPTR(R=ブチル、ヘキ
シル、オクチルのものをそれぞれTPTB,TPTH,
TPTO)をMPTMOSの2,4,6,8倍モル導入
してそのリン含量を測定した。その結果を図6〜8に示
す。
TMOS−TPTB三元共重合体のリン含量を示す図で
ある。
TMOS−TPTH三元共重合体のリン含量を示す図で
ある。
TMOS−TPTO三元共重合体のリン含量を示す図で
ある。
5ml、温度;50℃、溶媒;MeOH 15mlで
ある。
鎖が短いほどリン含量が増加した。これは、アルキル鎖
が短いほど反応するときに障害を受けにくくなり反応し
やすくなったためと考えられる。
元共重合体の吸水量 図9はAAm:MPTMOS:TPTR三元共重合体の
吸水量を示す図である。導入するTPTRのアルキル鎖
の長さにより吸水量がどのように変化するか確かめるた
めに、AAm:MPTMOS:TPTR=9:1:8の
三元共重合体について吸水量を測定し、図9に示した。
度;室温(20℃)である。図9から、導入するTPT
Rのアルキル鎖が長くなるにつれて吸水量は、増加して
いることがわかった。
元共重合体の抗菌活性の評価 <抗菌活性の評価>三角フラスコにイオン交換水10c
m3 を入れて滅菌し、実験開始の前日に表3に示した組
成の三元共重合体(試料1〜3)0.5gを加えた。グ
ラム陽性菌の代表として、スタフィロコッカス・オーレ
ウス(Staphylococcus aureus)
IFO13276を本試験に用い、所定の菌数の菌縣濁
液(10ml)を調整した。この菌縣濁液を先に調製し
た三元共重合体の入った三角フラスコに加えて、全量を
イオン交換水で20ml(この時の菌数は、107 〜1
08 cel1/ml)とした。次いで、この三角フラス
コを30℃で8の字振とう器で振とうさせながら、所定
時間後の縣濁液中の残存生菌数を測定した。比較のた
め、ブランク試験(共重合体無添加;試料4)について
も同様に行った。この結果を図10に示す。
R三元共重合体の抗菌活性を示す図である。なお、生菌
数は、下記の方法で測定した。
lの無菌水に先の菌懸濁液1mlを接種し10倍希釈し
た後(必要に応じて数段階希釈する)、この中0.1m
lを接種して平面培地に広げ、この平面培地を上下逆さ
まにして、次いで孵卵器に入れ、30℃で15〜24時
間後、生じたコロニー数を測定した。その結果を図10
に示した。なお、生菌数は下記の式により求めた。
が多いほど、つまリホスホニウム基量が多いほど、また
アルキル鎖の短いものほど抗菌能が高く、その順序はT
PTB>TPTH>TPTOの順であった。この結果
は、短いアルキル鎖を持つホスホニウム基ほど親水性が
高く、吸水量が増して膨潤し、菌に対する接触面積が大
きくなったためと考えられる。
合成することができた。AAm−MPTMOS二元共重
合体では、架橋剤であるMPTMOSの導入量が増加す
るに従って、吸水量は減少した。
ホニウム基を持つ化合物をシランカップリング反応によ
り三元共重合体を合成した。架橋剤であるMPTMOS
の導入量が減少するにつれてリン含量は増加した。ま
た、導入したTPTRのアルキル鎖が短いほどリン含量
は増加した。AAm−MPTMOS−TPTR三元共重
合体では、導入したTPTRのアルキル鎖が長くなるほ
ど吸水量は増加した。
レウスIFO13276に対する抗菌性は、ホスホニウ
ム基量の増加およびホスホニウム基中のアルキル鎖長の
減少とともに増加した。
性樹脂によれば、優れた吸水性を有し、さらに且つ短時
間の接触で十分な抗菌効果を有する優れた効果が得られ
る。また、本発明の製造方法によれば、上記の抗菌性吸
水性樹脂を容易に得ることができる効果がある。
MOS二元共重合体の吸水量を示す図である。
MOS二元共重合体の48時間振とう後の吸水量を示す
図である。
MOS−TPTB三元共重合体のリン含量を示す図であ
る。
S−TPTB三元共重合体のリン含量を示す図である。
MOS−TPTB三元共重合体のリン含量を示す図であ
る。
PTB三元共重合体のリン含量を示す図である。
PTH三元共重合体のリン含量を示す図である。
PTO三元共重合体のリン含量を示す図である。
の吸水量を示す図である。
体の抗菌活性を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 アクリルアミドと3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランとの二元共重合体と、下記一
般式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 は炭素数1〜8の直鎖状また
は分岐状のアルキル基を示し、X- はアニオンを示し、
nは1以上の整数を示す。)で表される3−(トリメト
キシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体とを重合
した三元共重合体を含有することを特徴とする抗菌性吸
水性樹脂。 - 【請求項2】 前記一般式(1)で示される3−(トリ
メトキシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体が、
3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ブチル
ホスホニウムクロライド、3−(トリメトキシシリルプ
ロピル)トリ−n−ヘキシルホスホニウムクロライド、
3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−オクチ
ルホスホニウムクロライドから選ばれた少なくとも1種
のホスホニウム塩である請求項1記載の抗菌性吸水性樹
脂。 - 【請求項3】 前記三元共重合体中の含リン量がPとし
て0.02〜0.4mmol/gである請求項1または
2記載の抗菌性吸水性樹脂。 - 【請求項4】 アクリルアミドと3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランとを重合開始剤の存在下で、
溶媒中で共重合させ二元共重合体を得た後、該二元共重
合体と下記一般式(1) 【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 は炭素数1〜8の直鎖状また
は分岐状のアルキル基を示し、X- はアニオンを示し、
nは1以上の整数を示す。)で表される3−(トリメト
キシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体とを触媒
の存在下で共重合させ三元共重合体を得ることを特徴と
する抗菌性吸水性樹脂の製造方法。 - 【請求項5】 前記一般式(1)で示される3−(トリ
メトキシシリルアルキル)ホスホニウム塩系単量体が、
3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−ブチル
ホスホニウムクロライド、3−(トリメトキシシリルプ
ロピル)トリ−n−ヘキシルホスホニウムクロライド、
3−(トリメトキシシリルプロピル)トリ−n−オクチ
ルホスホニウムクロライドから選ばれた少なくとも1種
のホスホニウム塩である請求項4記載の抗菌性吸水性樹
脂の製造方法。
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