JP2013227258A - 抗菌性ポリマー - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌成分が溶出することなく、環境や人体に対して安全でかつ経時的に抗菌活性が低下しない抗菌性ポリマーを提供する。
【解決手段】抗菌性ポリマー中における各繰り返し単位の組成比(モル%)mのポリビニルアルコール部分の繰り返し単位および組成比(モル%)nのポリビニルアルコールにパラヒドロキシ安息香酸をアセトキシ安息香酸として導入された繰り返し単位からなる抗菌性ポリマー。[mおよびnは、以下の式を満たす:0≦m≦99、1≦n≦100、m+n=100]。
【選択図】なし
【解決手段】抗菌性ポリマー中における各繰り返し単位の組成比(モル%)mのポリビニルアルコール部分の繰り返し単位および組成比(モル%)nのポリビニルアルコールにパラヒドロキシ安息香酸をアセトキシ安息香酸として導入された繰り返し単位からなる抗菌性ポリマー。[mおよびnは、以下の式を満たす:0≦m≦99、1≦n≦100、m+n=100]。
【選択図】なし
Description
本発明は、抗菌成分が溶出することなく、環境や人体に対して安全でかつ経時的に抗菌活性が低下しない抗菌性ポリマーに関する。
近年、生活環境において、自然環境や人体への高度な安全性の維持が求められており、様々な用途に、抗菌、防黴性を有するプラスチック製品が使用されている。かかる抗菌性や防黴性を有するプラスチック製品は、例えば、台所用品(まな板、包丁の柄、スポンジ、洗剤ボトル等)、風呂用品(シャワーホース、シャワーヘッド、シャワーカーテン、浴槽、シャンプーボトル等)、繊維製品(合繊、天然繊維、衣類、カーペット、カーテン、皮革等)、家電製品(冷蔵庫、エアコン部品、空調機、加湿器、掃除機等)、更にゴム材、コンテナ、発泡スチロール、食品包装材、履物、文具、玩具、自動車内装材等に使用されている。
従来、一般に、このような抗菌、防黴性を有する製品は、抗菌剤をプラスチックに混練する、あるいは抗菌剤を分散した塗料を製品表面にコーティングするなどの方法で抗菌性を付与することにより製造されていた。
抗菌剤としては、銀イオン等の金属イオンを主体とする無機系抗菌剤、フェノール系、四級アンモニウム系、ピリミジン系等の化学合成された有機化合物を利用した有機系合成抗菌剤、あるいは、ヒノキチオール、キトサン等の天然由来物質を利用した有機系天然抗菌剤が知られており、主として無機系抗菌剤および有機系合成抗菌剤が各種製品に使用されている。
しかしながら、抗菌剤が混練されたプラスチック製品は、抗菌成分が溶出しやすいという問題がある。無機系抗菌剤は水との接触により抗菌成分が容易に溶出し、有機系合成抗菌剤はプラスチックの加工時や製品使用時に気化又は溶出しやすいため、経時的に抗菌性が低下するとともに、溶出した抗菌成分による環境汚染や人体への影響が懸念されている。
また、無機系抗菌剤はカビに対する抗菌力が低く、抗菌力に優れた銀イオンは非常に高価で、廉価製品への使用が制限されるなどの問題を有している。
一方、抗菌剤を分散した塗料を製品表面にコーティングする方法は、コーティング層の磨耗や剥離によって、やはり抗菌力が低下するという問題がある。
このような欠点を解消するために、無機系又は有機系の抗菌剤をポリマーに化学的に結合させた、いわゆる抗菌性ポリマーが提案されている。
例えば、特許文献1には、架橋構造を有するポリマー粒子中に金属イオンをイオン交換またはイオン配位させてなる抗菌・抗黴ポリマーが開示されている。しかし、この抗菌・抗黴ポリマーは金属成分の溶出が避けられず、また、ポリマー粒子を他の樹脂へ添加して使用するものであって、それ自体を成形に供することのできないものである。
また、特許文献2には、ポリビニルアルコール材料に共有結合した複素環式N−Halaminを含むポリビニルアルコール組成物が開示されている。しかし、このポリビニルアルコール組成物は、ある期間使用すると抗菌活性がなくなるため、塩素含有溶液で洗浄することによって抗菌活性を再生しなくてはならないものであり、用途が限られるなどの課題を有するものであった。
したがって、抗菌成分が溶出することなく、環境や人体に対して安全でかつ経時的に抗菌活性が低下しない抗菌性ポリマーの開発が望まれていた。
本発明の目的は、抗菌成分が溶出することなく、自然環境や人体に安全でかつ経時的に抗菌活性が低下しない抗菌性ポリマーを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、他の樹脂と混合することなく、それ自体が成形用樹脂として成形可能である抗菌性ポリマーを提供することにある。
本発明者らは、抗菌性に優れたポリマーについて鋭意検討した結果、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基に抗菌成分であるパラヒドロキシ安息香酸を共有結合させることにより、安全かつ持続的に優れた抗菌性を有するポリマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の抗菌性ポリマーは、抗菌成分がポリマー自体に安定に共有結合しているため、抗菌成分が溶出せず経時的に抗菌性が低下しないと共に、環境汚染や人体への影響のないものである。
また、本発明の抗菌性ポリマーは、それ自体を成形用樹脂として成形に供することができるという効果を有する。
本発明の抗菌性ポリマーは、ポリビニルアルコールに抗菌成分であるパラヒドロキシ安息香酸がランダムに導入されてなるものであり、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基の一部または全部にパラヒドロキシ安息香酸が共有結合した構造(ランダム共重合体)を有する。
上記式(I)および式(II)において、mおよびnは抗菌性ポリマー中における各繰り返し単位の組成比(モル%)を示し、nは、抗菌性ポリマーを構成する全繰り返し単位に対するパラヒドロキシ安息香酸の導入率(モル%)を表す。例えば、nが5の場合、パラヒドロキシ安息香酸が、抗菌性ポリマーを構成する全繰り返し単位に対して5モル%導入されたことを意味する。
本発明の抗菌性ポリマーにおいて、nは、1〜100(モル%)であり、パラヒドロキシ安息香酸の導入率nが1(モル%)以上であれば抗菌効果を発現する。
本発明の抗菌性ポリマーにおいて、nは、2〜85(モル%)が好ましく、2〜80(モル%)がより好ましく、5〜55(モル%)がさらに好ましい。即ち、上記式(I)および式(II)において、mおよびnは、好ましくは、15≦m≦98、2≦n≦85であり、より好ましくは、20≦m≦98、2≦n≦80であり、さらに好ましくは、45≦m≦95、5≦n≦55である。
パラヒドロキシ安息香酸の導入率nが1(モル%)未満の場合、十分な抗菌効果が得られない。また、より高い抗菌性を発揮するためには、nは2(モル%)以上が好ましい。さらに、本発明の抗菌性ポリマーの成形性の観点から、nは85(モル%)以下であるのが好ましい。パラヒドロキシ安息香酸の導入率nが85(モル%)を超える場合、用途によっては樹脂の強度が不十分となる場合がある。
本発明の抗菌性ポリマーの分子量は、ポリマーの骨格を構成するポリビニルアルコールの重合度とパラヒロドキシ安息香酸の導入率に依存して変動するものであり、特に限定されない。好ましくは、成形性や成形物の機械的強度及び形態安定性の観点から、本発明の抗菌性ポリマーは、分子量20000以上であり、より好ましくは分子量20000〜580000であり、さらに好ましくは分子量23000〜250000であり、特に好ましくは分子量24000〜100000である。
本発明の抗菌性ポリマーを製造する方法としては、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基の一部または全部にパラヒドロキシ安息香酸を共有結合により結合させることができれば特に限定されず、酢酸ビニル等のポリビニルアルコールを与える単量体と、かかる単量体にパラヒドロキシ安息香酸をあらかじめ導入した単量体とを共重合させてもよいし、既に重合したポリビニルアルコールに対してパラヒドロキシ安息香酸を導入してもよい。
好ましくは、本発明の抗菌性ポリマーを製造する方法は、既に重合したポリビニルアルコールに、パラヒドロキシ安息香酸をアセトキシ安息香酸として導入することを含む。
以下、ポリビニルアルコールに、パラヒドロキシ安息香酸をアセトキシ安息香酸として導入することを含む、本発明の抗菌性ポリマーを製造する方法について説明する。
本発明の抗菌性ポリマーの製造に用いるポリビニルアルコールは、一般的に使用されているものであれば特に限定されず、市販のものを用いても、当業者に知られた方法を用いて製造したものでもよい。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、重合度300以上、好ましくは500以上のものが好適に使用され、溶解性の点から重合度3500以下のものが好ましい。また、ポリビニルアルコールのケン化度も特に限定されないが、ケン化度が85〜95モル%であるのが好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度が95モル%を上回ると溶媒に溶け難くなり、酸塩化物との反応が困難となる傾向がある。
本発明の抗菌性ポリマーの製造に用いるアセトキシ安息香酸は、一般的に使用されているものであれば特に限定されず、市販のものを用いても、当業者に知られた方法を用いて製造したものでもよい。かかる方法としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸を、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸メチル、N,N−メチルアセトアミド等のアセチル化剤によりアセチル化してアセトキシ安息香酸を得る方法が挙げられる。
ポリビニルアルコールに、パラヒドロキシ安息香酸をアセトキシ安息香酸として導入することを含む、本発明の抗菌性ポリマーの好ましい製造方法としては、例えば、アセトキシ安息香酸を酸塩化物と反応させてアセトキシ安息香酸クロリドを得る工程、および、得られたアセトキシ安息香酸クロリドを溶媒の存在下でポリビニルアルコールと反応させる工程、を含む方法が挙げられる。
かかる方法では、まず、アセトキシ安息香酸を、酸塩化物と反応させてアセトキシ安息香酸クロリドを得る。ここで用いる酸塩化物としては、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン等が挙げられる。酸塩化物の使用量は、アセトキシ安息香酸に対して50〜300モル%程度が好ましい。アセトキシ安息香酸と酸塩化物との反応は、例えば、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の溶媒中、温度60〜200℃で、0.5〜10時間行うとよい。この反応においては、触媒として、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン等を用いるのが好ましい。
次いで、得られたアセトキシ安息香酸クロリドを溶媒の存在下でポリビニルアルコールと反応させる。この反応は、溶媒の存在下でアセトキシ安息香酸クロリドとポリビニルアルコールとが反応する限り特に限定されないが、発熱反応であることから、−5〜10℃程度の低温下で少量ずつ反応させるのが好ましい。例えば、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下でポリビニルアルコールをN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒に、60〜90℃程度に加熱して溶解させて、ポリビニルアルコール溶液を得る。このポリビニルアルコール溶液は濃度5〜30重量%程度であるのが好ましい。得られたポリビニルアルコール溶液に対して、所望の量の上記で得られたアセトキシ安息香酸クロリドを、−5〜10℃で少量ずつ滴下した後、−5〜70℃で0.5〜30時間程度反応させるとよい。
かかる方法により得られた反応液を、例えば、過剰量のイオン交換水に滴下して沈殿させた後、アセトン等の溶媒に溶解させ、透析や再沈殿など公知の方法により精製する。その後、必要によりアセトン等の溶媒に溶解させた精製物溶液に水酸化ナトリウム水溶液等を、室温にて滴下することによって脱アセチル化を行う。析出したポリマーのナトリウム等との塩をイオン交換水に溶解させた後、塩酸等を、室温にて滴下して酸析を行い、析出物を回収後、イオン交換水で洗浄することにより、本発明の抗菌性ポリマーが得られる。
上記方法において、パラヒドロキシ安息香酸の導入率nは、反応に供するポリビニルアルコールに対するアセトキシ安息香酸クロリドの量比や反応時間および反応温度を変更することによって適宜調整することができる。即ち、ポリビニルアルコールに対するアセトキシ安息香酸クロリドの量比が多く、反応時間が長く、反応温度が高いほど、パラヒドロキシ安息香酸の導入率nは一般に大きくなる。
このようにして得られた本発明の抗菌性ポリマーは、ポリビニルアルコールに抗菌成分であるパラヒドロキシ安息香酸がランダムに共有結合して存在することにより、菌との接触が効果的に行われるため、高い抗菌作用を発揮する。
また、本発明の抗菌性ポリマーは、抗菌成分が共有結合によって導入されているために、系外への溶出が少なく抗菌性が経時的に劣化しないものである。
さらに、本発明の抗菌性ポリマーは、環境汚染や人体への影響が極めて少なく、生体内で分解されることも無いなど安全性の高いものである。
本発明はまた、本発明の抗菌性ポリマーを成形して得られる成形品を提供する。本発明の抗菌性ポリマーは、そのまま成形用樹脂として射出成形などの公知の成形手段によって成形品とすることができるが、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と混合して使用しても良い。
本発明の抗菌性ポリマーと混合する他の樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、ナイロン、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴム等を使用することができる。他の樹脂の配合量は、好ましくは本発明の抗菌性ポリマー100重量部に対して、5〜300重量部であり、さらに好ましくは、10〜250重量部である。
また、本発明の抗菌性ポリマーを抗菌成分として他の成形性樹脂に混合して抗菌性樹脂組成物としてもよい。この場合、他の成形性樹脂としては、上述の抗菌性ポリマーと混合し得る樹脂が挙げられ、他の成形性樹脂100重量部に対して、本発明の抗菌性ポリマーを1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部混合するのがよい。
本発明の抗菌性ポリマーは様々な工業用途に使用することができ、例えば、接着剤、化粧品、セラミクス、フィルム、レザー、布、繊維、被覆剤、塗布剤、耐油紙、重合安定剤及び、合成スポンジ等の主要成分として、単独または他の樹脂と混合して使用することができる。これらの各用途に応じて、成形時に必要により、充填材、可塑剤、着色剤、発泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加工安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤、補強材などの添加剤を加えても良い。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
窒素ガス雰囲気下でトルエン450gにアセトキシ安息香酸180g、塩化チオニル180gを加え、ジメチルホルムアミド3滴(触媒量)を滴下した後、60℃に加熱し2時間反応させた。反応終了後、減圧下で塩化チオニル、トルエンおよびジメチルホルムアミドを留去し、アセトキシ安息香酸クロリド595gを得た。
窒素ガス雰囲気下でトルエン450gにアセトキシ安息香酸180g、塩化チオニル180gを加え、ジメチルホルムアミド3滴(触媒量)を滴下した後、60℃に加熱し2時間反応させた。反応終了後、減圧下で塩化チオニル、トルエンおよびジメチルホルムアミドを留去し、アセトキシ安息香酸クロリド595gを得た。
次いで、窒素ガス雰囲気下で、重合度500、ケン化度86〜90モル%のポリビニルアルコール22gにN−メチル−2−ピロリドン220gを加え、湯浴で70℃に加熱しポリビニルアルコールを溶解させてポリビニルアルコール溶液を得た。このポリビニルアルコール溶液に、上記で得られたアセトキシ安息香酸クロリド595gを氷浴上(10℃以下)で滴下した後、室温に戻して48時間攪拌した。
得られた反応液をイオン交換水16000gに滴下して沈殿物を得、この沈殿物をアセトン2000gに溶解した後、透析にて精製した。この精製物のアセトン溶液に30%水酸化ナトリウム水溶液をpH9になるまで加え、1時間攪拌した。その後、減圧下でアセトンを留去し、イオン交換水で析出物を溶解した後、15%塩酸をpH4になるまで添加して酸析した。
得られた析出物をろ過し、イオン交換水で洗浄した後乾燥し、パラヒドロキシ安息香酸導入率81モル%の本発明の抗菌性ポリマー39.5g(収率55%)を得た。
得られた本発明の抗菌性ポリマー20gをメタノール180gに溶解し、5.5cm×8.5cmの型に20gずつ流し込んで静置し、乾燥させた。得られたプレートを5cm四方にカットし本発明の抗菌性ポリマープレートを作成した。
得られたポリマーの抗菌性について、以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
抗菌性試験
抗菌性試験は、JIS Z 2801:2010に準拠して、以下のようにして実施した。
抗菌性試験は、JIS Z 2801:2010に準拠して、以下のようにして実施した。
試験片の表面に、大腸菌および黄色ブドウ球菌をそれぞれ含む菌液を滴下し、その上からポリエチレン製フィルムを密着させ、温度35℃、湿度90%の条件下で24時間培養した。培養後、ポリエチレン製フィルムおよび試験片に付着している菌体をSCDLP培地で洗い出した液(Vml)を1ml取り、希釈(D倍希釈)した液1mlを、シャーレに移して温度35℃、湿度90%の条件下で40〜48時間培養した後、大腸菌および黄色ブドウ球菌の生菌数をそれぞれカウントした。評価の基準は、抗菌成分を含まないポリエチレン製無加工試験片を用いた。試験はそれぞれ3連で行った。
抗菌試験の評価は以下の方法により算出した。
N=(C×D×V)/A
N: 生菌数(試験片1cm2あたり)
C: 集落数(採用した2枚のシャーレの集落数平均値)
D: 希釈倍数(採用したシャーレに分注した希釈液の希釈倍率)
V: 洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
A: 被覆フィルムの表面積(cm2)
ただし、Cが<1の場合はCを1として生菌数を算出する。
例えばV=10mL、A=16cm2、D=1の場合、N<0.63と表示する。
R=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At
R : 抗菌活性値
U0: 無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut: 無加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
At: 抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
抗菌効果の判定:抗菌活性値Rが2.0以上で抗菌効果ありと判定。
N=(C×D×V)/A
N: 生菌数(試験片1cm2あたり)
C: 集落数(採用した2枚のシャーレの集落数平均値)
D: 希釈倍数(採用したシャーレに分注した希釈液の希釈倍率)
V: 洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
A: 被覆フィルムの表面積(cm2)
ただし、Cが<1の場合はCを1として生菌数を算出する。
例えばV=10mL、A=16cm2、D=1の場合、N<0.63と表示する。
R=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At
R : 抗菌活性値
U0: 無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut: 無加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
At: 抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
抗菌効果の判定:抗菌活性値Rが2.0以上で抗菌効果ありと判定。
実施例2〜6
ポリビニルアルコール溶液に滴下するアセトキシ安息香酸クロリドの重量および攪拌時間を変更する以外は実施例1と同様にして、パラヒドロキシ安息香酸の導入率の異なる本発明の抗菌性ポリマーを得た。
ポリビニルアルコール溶液に滴下するアセトキシ安息香酸クロリドの重量および攪拌時間を変更する以外は実施例1と同様にして、パラヒドロキシ安息香酸の導入率の異なる本発明の抗菌性ポリマーを得た。
得られた各ポリマーの抗菌性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
比較例1
窒素ガス雰囲気下で、重合度500、ケン化度86〜90モル%のポリビニルアルコール20gにイオン交換水200gを加え、室温でポリビニルアルコールを溶解させてポリビニルアルコール溶液を得た。この溶液を実施例1と同様に型に流し込んで静置し、得られたポリビニルアルコールプレートを抗菌性試験に使用した。
窒素ガス雰囲気下で、重合度500、ケン化度86〜90モル%のポリビニルアルコール20gにイオン交換水200gを加え、室温でポリビニルアルコールを溶解させてポリビニルアルコール溶液を得た。この溶液を実施例1と同様に型に流し込んで静置し、得られたポリビニルアルコールプレートを抗菌性試験に使用した。
パラヒドロキシ安息香酸溶出試験
実施例3(パラヒドロキシ安息香酸の導入率:37%)の抗菌性ポリマープレート(5cm×5cm)を100mlのイオン交換水に浸漬し、1週間毎に浸漬水中のアセトキシ安息香酸およびパラヒドロキシ安息香酸の溶出量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定した。また、浸漬4週間後の抗菌性ポリマープレートの抗菌性試験を上記と同様にして行った。結果を表2に示す。
実施例3(パラヒドロキシ安息香酸の導入率:37%)の抗菌性ポリマープレート(5cm×5cm)を100mlのイオン交換水に浸漬し、1週間毎に浸漬水中のアセトキシ安息香酸およびパラヒドロキシ安息香酸の溶出量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定した。また、浸漬4週間後の抗菌性ポリマープレートの抗菌性試験を上記と同様にして行った。結果を表2に示す。
パラヒドロキシ安息香酸が導入された本発明の抗菌性ポリマープレートは、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性値がいずれも2.0を上回り、抗菌性に優れるものであった。
また、抗菌成分であるパラヒドロキシ安息香酸の溶出が著しく抑制され、抗菌活性が経時劣化しないものであった。
Claims (5)
- 式(I)および式(II)で表される繰返し単位の組成比が以下の式を満たすものである、請求項1記載の抗菌性ポリマー:
15≦m≦98、
2≦n≦85。 - 請求項1または2に記載の抗菌性ポリマーを成形して得られる成形品。
- ポリビニルアルコールに、パラヒドロキシ安息香酸をアセトキシ安息香酸として導入することを含む、請求項1または2に記載の抗菌性ポリマーの製造方法。
- アセトキシ安息香酸を酸塩化物と反応させてアセトキシ安息香酸クロリドを得る工程、および、
得られたアセトキシ安息香酸クロリドを溶媒の存在下でポリビニルアルコールと反応させる工程、
を含む、請求項4記載の抗菌性ポリマーの製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015067688A (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-13 | 上野製薬株式会社 | p‐ヒドロキシ安息香酸ビニルポリマーの製造方法 |
JP2015067562A (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-13 | 上野製薬株式会社 | p‐ヒドロキシ安息香酸アリルポリマーの製造方法 |
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