JP3526661B2 - 抗菌剤、抗菌性樹脂及び抗菌性塗料 - Google Patents

抗菌剤、抗菌性樹脂及び抗菌性塗料

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JP3526661B2 JP18095795A JP18095795A JP3526661B2 JP 3526661 B2 JP3526661 B2 JP 3526661B2 JP 18095795 A JP18095795 A JP 18095795A JP 18095795 A JP18095795 A JP 18095795A JP 3526661 B2 JP3526661 B2 JP 3526661B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌剤、抗菌性樹脂及び
抗菌性塗料に関するものである。さらに詳しくは、抗菌
性に優れ、かつ生体への安全性の高い抗菌剤、これを含
有する抗菌性樹脂及び抗菌性塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、清潔志向が高まるにつれて抗菌性
を付与した製品、例えば抗菌性繊維を用いた靴下、肌
着、カーテン、抗菌性樹脂を用いた歯ブラシ、電話機、
食器乾燥機、洗濯機、便座、ペン等の様々な製品が現れ
てきている。これらの抗菌性を有する製品は、抗菌剤を
そのままあるいは塗料に抗菌剤を配合したものを被処理
物に塗布し、または合成樹脂に抗菌剤を配合し種々の製
品に加工して得られる。
【0003】古くから銀、銅などの金属あるいはその化
合物は殺菌性を有することが知られており、近年抗菌剤
にこれらの金属を用いた例が報告されている。これらの
抗菌剤としては、例えば銀、銅などの金属又はその化合
物を活性炭、セラミックス、ガラス、ゼオライト等の担
体に担持せしめた無機系抗菌剤、金属粉末を分散した多
孔質プラスチックを用いるもの(特開昭55−8933
6)、金属を吸着したキレート樹脂を用いるもの(特公
昭63−11076)、N−長鎖アシルアミノ酸の金属
塩を用いるもの(特開平3−181403)等の有機系
抗菌剤を用いるものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来知ら
れているこれらの抗菌剤は、種々の欠点があった。例え
ば無機系の抗菌剤は、液状で用いる場合、液体に添加し
てもすぐに分離して効果を発揮し難い。さらに合成樹脂
や塗料等に用いる場合には効果が発現し難いので多量に
添加しなければならず、そのため合成樹脂や塗料等の物
性を低下させるという問題点があった。また金属を分散
した多孔質プラスチックや金属を吸着したキレート樹脂
は、カラムに充填して水と接触し殺菌する用途には効果
を発揮するが、基材を多孔質にして金属と水との接触率
を高めているため、これを合成樹脂や塗料等に配合して
用いようとしても、孔が塞がれてしまい効果を発揮し難
く、また水系以外の用途には適していなかった。一方N
−長鎖アシルアミノ酸の金属塩を用いるものは、液体に
用いる場合に溶解性を高めるためにアンモニア水等の溶
媒を必要とし、この液体あるいはこれを含有せしめた塗
料は作業環境を低下する問題点があった。
【0005】本発明は、上記の点に着目し行ったもの
で、溶剤等の特別な助剤を要すること無く水等の液体に
分散又は可溶化し、合成樹脂、塗料との相溶性も良く、
これらに良好な抗菌性を付与することのできる抗菌剤、
およびこれを含有する抗菌性樹脂、抗菌性塗料を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するため鋭意研究を行った結果、特定なポリエチレン
イミン誘導体の特定な塩が、溶剤等の特別な助剤を要す
ること無く水等の液体に分散又は可溶化し、合成樹脂、
塗料との相溶性も良く、これらに良好な抗菌性を付与す
ることができることを見出し、本発明を完成するに到っ
た。
【0007】即ち、本発明は、ポリエチレンイミンに、
各々総炭素数が8〜30のアルキル基、β−ヒドロキシ
アルキル基及びアシル基から選ばれた少なくとも1種の
疎水基と、酢酸基及びプロピオン酸基から選ばれた少な
くとも1種の親水基を導入して得られるポリエチレンイ
ミン誘導体の、亜鉛塩、銅塩もしくは銀塩からなる抗菌
剤、ポリエチレンイミンに、各々総炭素数が8〜30の
アルキル基、β−ヒドロキシアルキル基及びアシル基か
ら選ばれた少なくとも1種の疎水基と、酢酸基及びプロ
ピオン酸基から選ばれた少なくとも1種の親水基を導入
して得られるポリエチレンイミン誘導体の、亜鉛塩、銅
塩もしくは銀塩を合成樹脂に含有せしめてなる抗菌性樹
脂、およびポリエチレンイミンに、各々総炭素数が8〜
30のアルキル基、β−ヒドロキシアルキル基及びアシ
ル基から選ばれた少なくとも1種の疎水基と、酢酸基及
びプロピオン酸基から選ばれた少なくとも1種の親水基
を導入して得られるポリエチレンイミン誘導体の、亜鉛
塩、銅塩もしくは銀塩を塗料に含有せしめてなる抗菌性
塗料を要旨とするものである。
【0008】本発明に用いるポリエチレンイミンとして
は、平均分子量が200〜100,000のものが好ま
しく、エチレイミンを上記分子量の範囲に重合した市販
のものを用いることができる。用いるポリエチレンイミ
ンの平均分子量が200未満のものでは、合成樹脂及び
塗料等への相溶性が低く、これらに均一な組成とするこ
とができず、また100,000を越えるものでは合成
樹脂及び塗料等へ均一に添加できても表面に移行し難く
なり良好な抗菌性が得られず好ましくない。
【0009】本発明に用いるポリエチレンイミン誘導体
は、上記ポリエチレンイミンに、アルキル基、β−ヒド
ロキシアルキル基及びアシル基から選ばれた疎水基を少
なくとも1種と、酢酸基及びプロピオン酸基から選ばれ
た親水基を少なくとも1種を導入して得られたものが挙
げられ、常法に従い、次のように製造して得たものを使
用することができる。
【0010】ポリエチレンイミンに導入する疎水基が、
アルキル基の場合は、ポリエチレンイミンにアルキルブ
ロマイド、アルキルクロライド等のハロゲン化アルキル
を加え、50〜150℃で1〜30時間反応し、必要に
より脱ハロゲン化水素を行う方法が挙げられ、β−ヒド
ロキシアルキル基の場合は、ポリエチレンイミンに1,
2−エポキシアルカンを加え50〜150℃で1〜30
時間付加反応を行う方法が挙げられる。またアシル基の
場合は、ポリエチレンイミンに脂肪酸を加え、100〜
200℃で1〜10時間脱水縮合反応を行う方法が挙げ
られる。各反応は必要により、溶媒の存在下に行うこと
もできる。
【0011】上記で用いるハロゲン化アルキル、1,2
−エポキシアルカン及び脂肪酸は、各々炭素数8〜30
のものが好ましく、炭素鎖は飽和でもまた不飽和を含む
ものであっても良い。これにより炭素数が8〜30のア
ルキル基、β−ヒドロキシアルキル基及び又はアシル基
から選ばれた少なくとも1種の疎水基が導入され好まし
い疎水性を発揮することができる。導入する疎水基の炭
素数が8未満のものでは親水性が高く、被処理物の表面
に塗布された抗菌剤、あるいは合成樹脂の表面や塗装面
に現れた抗菌剤が水等と接触した時に溶出され易く長期
間効果を持続することができ難くなり、また炭素数が3
0を越えるものでは水等への溶解性が低下し水系の液体
とし難く、また効果も現れ難く好ましくない。
【0012】次いで、上記疎水基を有するポリエチレン
イミンにさらに酢酸基及び又はプロピオン酸基からなる
親水基を導入してポリエチレンイミン誘導体を得る。酢
酸基を導入する方法としては、疎水基を有するポリエチ
レンイミンにモノクロル酢酸ナトリウムを反応する方法
が挙げられ、プロピオン酸基を導入する方法としては、
疎水基を有するポリエチレンイミンに、エステル基又は
ニトリル基を有する不飽和性単量体を付加した後、エス
テル基又はニトリル基を加水分解する方法が挙げられ
る。
【0013】疎水基を有するポリエチレンイミンにモノ
クロル酢酸ナトリウムを反応する方法としては、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリの
存在下、水又は溶媒中、疎水基を有するポリエチレンイ
ミンに、モノクロル酢酸ナトリウムを添加し、50〜1
00℃で1〜20時間反応する方法が挙げられる。この
反応において、アルカリの添加は、必要な量の全てを一
度に添加しても良いが、必要な量を約2回に分け、反応
を始める時と、反応後のPHが9以下になった時の、二
度にわたって添加することが好ましく、こうすることに
より、アミノ基へのモノクロル酢酸ソーダの付加反応を
順調に行うことができる。
【0014】また、疎水基を有するポリエチレンイミン
にエステル基又はニトリル基を有する不飽和性単量体を
付加する方法としては、溶媒の存在下、又は不存在下
に、疎水基を有するポリエチレンイミンに、不飽和性単
量体を添加し、50〜150℃で1〜10時間反応して
単量体を付加した後、これにアルカリ、もしくは酸の水
溶液を加え、50〜150℃で1〜10時間反応して、
単量体により導入されたエステル基またはニトリル基の
加水分解を行う方法が挙げられる。加水分解に用いるア
ルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
が挙げられ、酸としては塩酸、硫酸等が挙げられる。
【0015】上記単量体のうち、エステル結合を有する
ものとしては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリ
ル酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、
イタコン酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエス
テル、フマール酸アルキルエステル等が挙げられ、エス
テル基を構成するアルキル基は炭素数1〜6が好まし
い。またニトリル基を有するものとしては、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0016】本発明に用いるポリエチレンイミン誘導体
は、前記のようにして得られ、ポリエチレンイミン分子
中の窒素1個当り、0.1〜0.7個の疎水基と0.1
〜2個の親水基が導入されたものが好ましい。ポリエチ
レンイミン分子中の窒素1個当りの疎水基と親水基との
導入量は、疎水基が0.1個未満または親水基が2個を
越える量であると親水性が高くなり、塗布面の抗菌剤が
水等と接触した時に洗い流され効果の持続性を計り難
く、合成樹脂、塗料等との相溶性も低く均一な組成とし
難くなり、また親水基が0.1個未満または疎水基が
0.7個を越える量であると抗菌性効果そのものの現れ
方が低く好ましくない。
【0017】本発明の抗菌剤は、上記ポリエチレンイミ
ン誘導体の親水基を、亜鉛塩、銅塩もしくは銀塩とした
ものである。ポリエチレンイミン誘導体を亜鉛塩、銅塩
もしくは銀塩にする方法としては、亜鉛、銅又は銀を含
む水溶性無機化合物等を用い、上記ポリエチレンイミン
誘導体が酸型の場合中和反応を行い、またアルカリ塩型
の場合複分解反応を行い、次いで必要により脱塩を行っ
て、それぞれ用いた水溶性無機金属化合物の塩とするこ
とができる。亜鉛、銅又は銀を含む水溶性無機化合物と
しては、亜鉛、銅又は銀それぞれの硝酸塩、硫酸塩、塩
化物等が挙げられる。本発明の抗菌剤に用いるポリエチ
レンイミン誘導体の塩としては、ポリエチレンイミン誘
導体1分子中に少なくとも1個の親水基の亜鉛塩、銅塩
もしくは銀塩が導入されている必要があるが、必ずしも
ポリエチレンイミン誘導体1分子が有する多数の親水基
の全てが上記の塩である必要はない。具体的にはポリエ
チレンイミン誘導体の全ての親水基に対する亜鉛塩、銅
塩もしくは銀塩にする率は、1重量%以上が好ましく、
1〜80重量%がより好ましく、5〜60重量%がさら
に好ましい。また亜鉛塩、銅塩もしくは銀塩以外の親水
基はアルカリ金属塩であることが好ましい。亜鉛塩、銅
塩もしくは銀塩の含有率が親水基の1重量%未満では抗
菌性の効果が現れ難いものになる。
【0018】本発明の抗菌剤は、大腸菌、黄色ブドウ球
菌、緑膿菌等の菌類、カンジダ菌、黒色酵母菌等の酵母
菌類、ツチアオカビ、アカカビ、アオカビ、クロコウジ
カビ、クモノスカビ等の真菌類等に対する抗菌性を有
し、プール、水槽、池、風呂、クーラント水等の水に直
接加えて溶解もしくは分散するか、抗菌剤を水または必
要により水に溶剤を加えた水溶液を調製したものを前記
の水に加え、これらの水を殺菌し、又は水中での藻の発
生を防ぐことができる。また本発明の抗菌剤を砂、セラ
ミック粒子、ガラス粒子等の表面に塗布し、必要により
乾燥してこれらの被処理物に抗菌性を付与せしめ、また
抗菌剤の水溶液を紙、布、皮革、壁装材料、魚網等に含
浸せしめ、必要により乾燥してこれらの被処理物に抗菌
性を付与することができる。さらに本発明の抗菌剤をプ
ール、水槽、池、風呂、クーラント水等の水にそのまま
又は溶液で添加して水に抗菌性を付与する場合には、
0.0001〜0.1重量%程度の濃度となるよう添加
することが好ましく、また砂、セラミック粒子、ガラス
粒子、紙、布、皮革、壁装材料、魚網等に塗布又は含浸
せしめる場合には、その添加量は被処理物に対し0.1
〜10重量%となるよう塗布又は含浸せしめることが好
ましい。
【0019】次に本発明の抗菌剤を合成樹脂に含有せし
めて抗菌性樹脂が得られる。抗菌剤を合成樹脂に練り込
む方法としては、常法に従って行うことができ、例えば
押出成形、射出成形、圧縮成形、ロール成形等の通常の
成形方法が挙げられる。合成樹脂に練り込む抗菌剤の量
は、合成樹脂に対し0.1〜10重量%含有せしめると
合成樹脂に最も抗菌性を付与することができるので好ま
しい。練り込む抗菌剤の量が合成樹脂に対して0.1重
量%未満であると抗菌性の効果の現れ方が不十分とな
り、また10重量%を越えても加えた量の割に効果が得
られず、また合成樹脂の物性が低下する場合があり好ま
しくない。
【0020】本発明の抗菌剤に適する合成樹脂として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リ−4−メチルペンテン、アイオノマー樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩
素化ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン共重合樹脂、ブタジエン−スチレン共重合樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、メタクリ
ル樹脂、エチレン酢ビ共重合樹脂、エチレン塩ビ共重合
樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスル
フィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエー
テルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、あるいはこれらの共重合樹脂等の各種合
成樹脂等が挙げられる。これらの合成樹脂に抗菌剤を練
り込んで得られる本発明の抗菌性樹脂は、フィルム、シ
ート、プレート、繊維、あるいは種々の形状に成形して
衣料、文房具、玩具、プラスチック製品、包装材料等の
抗菌性を有する生活用品、衛生材料を得ることができ
る。
【0021】さらに本発明の抗菌剤を塗料に含有せしめ
て抗菌性塗料が得られる。抗菌剤を塗料に含有せしめる
方法としては、塗料の調製時に原料と一緒に添加し混合
するか、または塗料の製品に添加して混合する方法等が
挙げられる。塗料に含有せしめる抗菌剤の量は、塗料に
対し0.1〜10重量%がこれらの塗料に最も抗菌性を
付与することができるので好ましい。含有せしめる抗菌
剤の量が塗料に対して0.1重量%未満であると抗菌性
の効果が十分に得られず、また10重量%を越えると塗
料の物性、例えば塗布被膜の強度等を低下する場合があ
り好ましくない。
【0022】本発明の抗菌剤に適する塗料としては、一
般に知られている塗料であれば、いずれも用いることが
でき、例えば脂肪酸、エポキシ樹脂、ビニルエステル、
ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等をベ
ースとする塗料等が挙げられる。これらの抗菌剤を含有
せしめて得られる抗菌性塗料は建築物、水中構造物、船
舶、住宅などの壁装材料等に用いて、これらの塗布面に
抗菌性を付与することができる。
【0023】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに
限定されない。以下「%」は「重量%」を表す。
【実施例】
【0024】実施例1 表1に示す疎水基(アルキル基、β−ヒドロキシアルキ
ル基またはアシル基)と、親水基(酢酸基またはプロピ
オン酸基)をポリエチレンイミンに導入し、親水基を表
1に示す金属塩にしたポリエチレンイミン誘導体(PE
D−1〜18)を以下に述べるような条件にて合成し、
その1%水溶液を調製して抗菌剤溶液とした。この抗菌
剤溶液300ccに10gの布(カナキン3号)を浸漬
し、抗菌剤溶液を含浸させ、75〜85℃で乾燥して、
約1%の抗菌剤を塗布した処理布を得、この処理布を用
いて抗菌性試験を行った。ポリエチレンイミン誘導体の
疎水基及び親水基の種類と導入比率、親水基の金属塩の
種類とその率、及びこれを用いて処理した布の抗菌性試
験結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】比較例1 抗菌剤処理を行わない布及び表1に示すポリエチレンイ
ミン誘導体(PEA−1〜3)を用いて実施例1と同様
に処理した布の抗菌性を評価し、その結果を表1に示
す。
【0027】ポリエチレンイミンへ疎水基と親水基を導
入する反応の反応条件および抗菌試験方法を以下に示
す。
【0028】疎水基の導入反応: ・アルキル基の導入反応条件 ポリエチレンイミンに撹拌下及び窒素気流下、所定量の
ハロゲン化アルキルを50〜150℃で1〜4時間で滴
下して加え、50〜150℃で1〜30時間反応し、次
いで水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、食塩等の副
成した中性塩を濾別した。
【0029】・β−ヒドロキシアルキル基の導入反応条
件 ポリエチレンイミンに撹拌下および窒素気流下、75〜
85℃に保ちながら、所定量の1,2−エポキシアルカ
ンを1〜4時間で滴下して加え、同温度で1〜10時間
反応した。
【0030】・アシル基の導入反応条件 ポリエチレンイミンに撹拌下及び窒素気流下、所定量の
脂肪酸を加え、100〜200℃で1〜10時間脱水反
応を行った。
【0031】親水基の導入反応: ・プロピオン酸基の導入条件 ポリエチレンイミンに疎水基を導入した化合物を75〜
80℃に保ちながらアクリル酸メチルを1〜4時間で滴
下し、同温度で1〜10時間反応を行った後、90〜1
00℃に加熱し、アクリル酸メチルの1倍モル量の苛性
ソーダを40%水溶液にて2時間かけて滴下し、滴下
後、同温度で2時間熟成後、脱水して、ナトリウム塩型
ポリエチレンイミン誘導体を得た。
【0032】・酢酸基の導入反応条件 モノクロル酢酸ナトリウムの20%水溶液に、ポリエチ
レンイミンに疎水基を導入した化合物と所定量の半分の
量の水酸化ナトリウム40%水溶液を加えて、70〜8
0℃で1時間30分〜2時間反応後、さらに残りの量の
苛性ソーダ40%水溶液を加えて5時間反応して、反応
後脱水して、ナトリウム塩型ポリエチレンイミン誘導体
を得た。
【0033】複分解反応:ナトリウム塩型ポリエチレン
イミン誘導体の30%水溶液に塩化亜鉛、硫酸銅又は硝
酸銀の20%水溶液を加え、50〜100℃で1〜4時
間反応後、生成した沈殿を濾過し、乾燥して、当該金属
塩を得た。
【0034】・抗菌剤で処理した布の抗菌性試験方法。 抗菌剤で処理した布(50×50mm)を用い、JIS
Z−2911「かび抵抗性試験方法」に準拠して抗菌
性試験を行い、抗菌性を以下の基準に従って判定した。 ○:黴の発育が認められない。 △:1/3以下の面積に黴の発育が認められる。 ×:1/3を越える面積に黴の発育が認められる。
【0035】実施例2、比較例2 ポリエチレンイミン誘導体(PED−1〜18、PEA
1〜3)をABS樹脂(トヨラック500、東レ株式会
社製)に対し1.5%加え、均一に混合後、サーモプラ
スチック工業株式会社製30mm単軸押出成形機にて抗
菌剤を配合したペレットを作製し、次いでこれを東洋機
械金属株式会社製30t射出成形機にて220〜240
℃で、厚さ2.5mmの抗菌性樹脂プレートを成形し、
これを用いて以下に示す抗菌性試験を行いその結果を表
2に示した。抗菌剤を練り込まない樹脂についても同様
に抗菌性試験を行いその結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】・抗菌性樹脂の抗菌性試験方法。 普通ブイヨン培地で大腸菌(H.Coli)の菌数が約
10万個/ccとなるよう培養した菌液0.2ccを、
滅菌した抗菌性樹脂プレートの表面に塗布したものを試
料とした。抗菌性樹脂プレート1種類当り2点の試料を
調整し、35℃で24時間と48時間培養した後、各試
料の表面を滅菌緩衝生理食塩液で洗い、この洗浄液を菌
数測定用培地(栄研化学株式会社製、標準寒天培地)を
用いる混釈平板培養法(35℃、48時間)により生菌
数を測定した。
【0038】実施例3、比較例3 ポリエチレンイミン誘導体(PED−1〜18、PEA
1〜3)をアクリル樹脂エマルジョンとケイ酸アルカリ
硬化体からなる複合塗料に1.5%加え、均一に混合し
て抗菌性塗料とし、これをJIS K−5630に規定
する試験片(予めJIS K−5630に規定するプラ
イマー及び防錆塗料を下塗済み)に、1回当りの乾燥後
の膜圧が40μmとなるように2回塗布し、乾燥させた
ものを試料とし、抗菌性試験を行った。その結果を表3
に示した。抗菌剤を含まない塗料についても同様に試料
を調製し抗菌性試験を行いその結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】・抗菌性塗料の抗菌性試験方法 試料を田辺湾に3ケ月間連続して浸漬して抗菌性試験を
行った。試験中、1ケ月ごとに試験片を取り出してその
表面の状態を観察し、以下の基準に従って抗菌性能を評
価した。 ○:フジツボその他の海中生物の付着が認められない。 △:フジツボその他の海中生物の付着が僅かに認められ
る。 ×:フジツボその他の海中生物の付着が全面に認められ
る。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の抗菌剤
は、その分子中にアルキル基、β−ヒドロキシアルキル
基及びアシル基から選ばれた少なくとも1種の疎水基
と、酢酸基及びプロピオン酸基から選ばれた少なくとも
1種の親水基を有し、かつ親水基が亜鉛塩、銅塩もしく
は銀塩であるポリエチレンイミン誘導体を用いるもの
で、従来知られている抗菌剤と比べて、溶剤等の特別な
助剤を要すること無く水等の液体に分散又は可溶化し、
合成樹脂、塗料との相溶性も良く、これらに良好な抗菌
性を付与することができる等の効果を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川島 正毅 愛知県岩倉市野寄町西出1番地の1 ミ ヨシ油脂株式会社名古屋工場内 (72)発明者 守屋 雅文 東京都葛飾区堀切4丁目66番1号 ミヨ シ油脂株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−135876(JP,A) 特開 平1−236240(JP,A) 特開 平7−188698(JP,A) 特開 平7−196792(JP,A) 特開 平8−337506(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 A01N 25/10 A01N 59/16 A01N 59/20 C09D 5/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンイミンに、各々総炭素数が
    8〜30のアルキル基、β−ヒドロキシアルキル基及び
    アシル基から選ばれた少なくとも1種の疎水基と、酢酸
    基及びプロピオン酸基から選ばれた少なくとも1種の親
    水基を導入して得られるポリエチレンイミン誘導体の、
    亜鉛塩、銅塩もしくは銀塩からなることを特徴とする抗
    菌剤。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンイミンに、各々総炭素数が
    8〜30のアルキル基、β−ヒドロキシアルキル基及び
    アシル基から選ばれた少なくとも1種の疎水基と、酢酸
    基及びプロピオン酸基から選ばれた少なくとも1種の親
    水基を導入して得られるポリエチレンイミン誘導体の、
    亜鉛塩、銅塩もしくは銀塩を合成樹脂に含有せしめてな
    ることを特徴とする抗菌性樹脂。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンイミンに、各々総炭素数が
    8〜30のアルキル基、β−ヒドロキシアルキル基及び
    アシル基から選ばれた少なくとも1種の疎水基と、酢酸
    基及びプロピオン酸基から選ばれた少なくとも1種の親
    水基を導入して得られるポリエチレンイミン誘導体の、
    亜鉛塩、銅塩もしくは銀塩を塗料に含有せしめてなるこ
    とを特徴とする抗菌性塗料。
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