JP6926447B2 - 焼結用造粒粉末および焼結用造粒粉末の製造方法 - Google Patents

焼結用造粒粉末および焼結用造粒粉末の製造方法 Download PDF

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本発明は、焼結用造粒粉末および焼結用造粒粉末の製造方法に関するものである。
金属粉末を成形する方法としては、金属粉末と有機バインダーとを含む造粒粉末を、所定の成形型に充填し、圧縮することにより、所定の形状の成形体を得る圧縮成形法が知られている。得られた成形体は、有機バインダーを除去する脱脂処理、金属粉末を焼結する焼成処理を経て、金属焼結体となる。このような技術は粉末冶金技術の1つであり、成形型の形状次第で複雑な形状の金属焼結体を大量に製造可能であることから、近年、多くの産業分野で普及している。
例えば、特許文献1には、金属粉末と、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ワックス類および非イオン性界面活性剤を含む有機バインダーと、を造粒してなる造粒粉末が開示されている。また、特許文献2には、金属粉末と、黒鉛粉末と、セルロース、高級脂肪酸およびワックスのうちの少なくとも1種からなるバインダーと、を造粒してなる造粒粉末が開示されている。圧縮成形法では、まず、成形型内にこれらの造粒粉末をできるだけ隙間なく充填する必要がある。このため、金属粉末とバインダーとの混合物を、金属粉末よりも大きな粒子に造粒することで、流動性の改善を図ることが行われる。
特開2011−190475号公報 特開2008−189993号公報
ところで、このような造粒粉末では、バインダーが吸湿することによって流動性等の特性が変化してしまうという問題がある。このような変化が生じると、品質の高い金属焼結体を製造することができない。
また、造粒粉末を成形、焼成して金属焼結体を得る際に、除去し切れなかったバインダー由来の物質が多く残留してしまうという問題もある。
そこで、造粒粉末に使用するバインダーをできるだけ減らすことが試みられているが、衝撃等が加わった場合に壊れやすくなるおそれがある。
本発明の目的は、高品質な焼結体を製造可能な焼結用造粒粉末、および、かかる焼結用造粒粉末を効率よく製造可能な焼結用造粒粉末の製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の焼結用造粒粉末は、粉末冶金用の金属粉末と、
繊維状をなす繊維状分散体を含むバインダーと、
を有し、
前記繊維状分散体は、有機繊維で構成され、
前記繊維状分散体の平均径は、1nm以上300nm以下であることを特徴とする。
これにより、バインダーの使用量を減らすことができるとともに、造粒粒子が外力や衝撃等によって破壊し難くなるため、最終的に高品質な焼結体を製造可能な焼結用造粒粉末が得られる。
本発明の焼結用造粒粉末では、前記バインダーの含有率が0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。
これにより、バインダーの総量が十分に抑えられた焼結用造粒粉末が得られる。
本発明の焼結用造粒粉末では、前記繊維状分散体は、セルロースを含有することが好ましい。
これにより、繊維状分散体は、線径が細くても高い引張強度を有するものとなるため、少量であっても金属粉末の粒子同士を強固に結着し得るバインダーが得られる。その結果、バインダーの使用量を効果的に減らすことができる。
本発明の焼結用造粒粉末では、前記繊維状分散体は、植物由来であることが好ましい。
これにより、繊維状分散体は、持続型資源である植物から抽出することができるので、焼結用造粒粉末の製造における環境負荷の低減を図ることができる。
本発明の焼結用造粒粉末では、前記繊維状分散体の平均長さは、50nm以上500μm以下であることが好ましい。
これにより、バインダーの総量が少なくても、金属粉末の粒子同士を強固に結着することができる。その結果、バインダーの総量を減らすことができ、バインダーの量が多いことによる不具合の程度を減らすことができる。
本発明の焼結用造粒粉末では、前記バインダーは、さらに、前記繊維状分散体とは異なる成分を含むことが好ましい。
これにより、例えば繊維状分散体とは異なる成分が繊維状分散体と金属粒子との結着を助けることによって、焼結用造粒粉末の粒子に外力や衝撃等が加わったときでもさらに破壊し難い焼結用造粒粉末を実現することができる。
本発明の焼結用造粒粉末では、前記成分の軟化点は、前記繊維状分散体の熱分解温度より10℃以上200℃以下低いことが好ましい。
本発明の焼結用造粒粉末の製造方法は、繊維状をなす繊維状分散体を含むバインダーを含有するバインダー溶液を調製する工程と、
前記バインダー溶液を用い、粉末冶金用の金属粒子同士を結着し、造粒する工程と、
を有し、
前記繊維状分散体は、有機繊維で構成され、
前記繊維状分散体の平均径は、1nm以上300nm以下であることを特徴とする。
これにより、本発明の焼結用造粒粉末を効率よく製造することができる。
本発明の造粒粉末の実施形態に含まれる1つの造粒粒子を示す断面図である。
以下、本発明の造粒粉末および造粒粉末の製造方法を、添付図面に基づく好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<造粒粉末>
まず、本発明の造粒粉末の実施形態について説明する。
図1は、本発明の造粒粉末の実施形態に含まれる1つの造粒粒子を示す断面図である。
図1に示す造粒粒子1は、複数個の金属粒子51を含んでおり、金属粒子51同士の間にバインダー52が介在することで、全体として球形状にまとまっている。
図1に示す造粒粒子1において、バインダー52は金属粒子51同士の間に介在して互いに結着するとともに、各金属粒子51の表面の少なくとも一部を覆うように存在している。これにより、各金属粒子51は、バインダー52のマトリックス中に分散した状態になっている。
(バインダー)
このバインダー52は、繊維状をなす繊維状分散体521を含んでいる。すなわち、造粒粒子1を含む造粒粉末は、複数個の金属粒子51を含む金属粉末と、繊維状をなす繊維状分散体521を含むバインダー52と、を有する。このような繊維状分散体521を含むことにより、バインダー52による金属粒子51同士の結着力をより高めることができる。このため、バインダー52の使用量を減らすことができる。その結果、造粒粒子1が例えば高湿度の環境下に置かれた場合でも、造粒粒子1における吸湿量を減らすことができる。すなわち、バインダー52の使用量を減らすことによって、外気に触れるバインダー52の量も減るため、造粒粒子1が吸湿し難くなる。これにより、高湿度の環境下であっても流動性等の特性が低下し難い造粒粒子1が得られる。その結果、寸法精度や密度が良好で高品質な焼結体の製造が可能になる。
また、バインダー52の使用量を減らすことにより、造粒粒子1を成形、焼成して焼結体を得る際に、バインダー52由来の物質の残留量を少なく抑えることができる。これにより、異物の混入が少なく抑えられた高品質な焼結体の製造が可能になる。
なお、バインダー52の使用量を減らしても、繊維状分散体521が含まれていることにより、造粒粒子1が外力や衝撃等によって破壊し難くなる。このため、外力や衝撃等が付与された後でも、見掛密度や流動性等が低下し難いものとなる。
さらに、バインダー52の使用量を減らすことにより、造粒粒子1を用いて製造された成形体が焼成されたときの収縮率を低下させることができる。このため、最終的に得られる焼結体の寸法精度が低下し難くなるとともに、脱脂に要する時間の短縮を図ることができる。
繊維状分散体521は、繊維状をなす材料であって、例えば各種の有機繊維が用いられる。かかる有機繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、セルロース、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂を含む繊維が挙げられる。
このうち、繊維状分散体521は、セルロースを含有するのが好ましい。セルロースの繊維は、線径が細くても高い引張強度を有する。このため、セルロースの繊維を用いることにより、少量であっても金属粒子51同士を強固に結着し得るバインダー52が得られる。その結果、バインダー52の使用量を効果的に減らすことができる。またその一方、セルロースは、比較的低温で熱分解を開始する。このため、バインダー52を含む成形体が脱脂工程や焼成工程に供されるとき、成形体中にバインダー52がより残留し難くなる。
繊維状分散体521に用いられるセルロースとしては、例えば、分子式が(C10で表されるセルロースの他、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒロドキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
また、繊維状分散体521は、セルロースの繊維に加え、それ以外の繊維を含んでいてもよい。それ以外の繊維は、特に限定されないが、例えば前述した各種樹脂を含む繊維が挙げられる。
さらに、繊維状分散体521は、人工的に生産されたものであってもよいが、植物由来であるのが好ましい。このような繊維状分散体521は、持続型資源である植物から抽出することができるので、造粒粒子1の製造における環境負荷の低減を図ることができる。
なお、繊維状分散体521として利用可能な植物由来の繊維としては、例えば、セルロースナノファイバー、セルロースナノフィブリル、フィブリレーティドセルロース、セルロースナノクリスタル等が挙げられる。
このような植物由来の繊維状分散体521は、例えば、木材等に機械的解繊や酸加水分解等の処理を施すことによって製造される。
また、繊維状分散体521の平均長さは、特に限定されないが、50nm以上500μm以下であるのが好ましく、100nm以上300μm以下であるのがより好ましく、1μm以上200μm以下であるのがさらに好ましい。繊維状分散体521の平均長さを前記範囲内に設定することにより、バインダー52の総量が少なくても、金属粒子51同士を強固に結着することができる。すなわち、繊維状分散体521の長さがバインダー52の引張強さ等の物性を高めたり金属粒子51同士を結び付けたりするのに必要かつ十分な長さになる。これにより、バインダー52の総量を減らすことができ、前述したようなバインダー52の量が多いことによる不具合の程度を減らすことができる。
なお、繊維状分散体521の平均長さが前記下限値を下回ると、金属粒子51の粒径等によっては、上記効果を奏するのに長さが足らなくなるおそれがある。また、繊維状分散体521の平均長さが前記上限値を上回ると、金属粒子51の粒径等によっては、バインダー52の流動性が低下し、金属粒子51同士の間にバインダー52を行き渡らせることが難しくなるおそれがある。
なお、繊維状分散体521の平均長さとは、造粒粒子1に含まれる繊維状分散体521を100本以上取り出し、それぞれの長さを平均したものである。
また、繊維状分散体521の平均径は、特に限定されないが、1nm以上300nm以下であるのが好ましく、2nm以上200nm以下であるのがより好ましく、4nm以上100nm以下であるのがさらに好ましい。繊維状分散体521の平均径を前記範囲内に設定することにより、バインダー52の総量が少なくても、金属粒子51同士を強固に結着することができる。すなわち、繊維状分散体521の径がバインダー52の引張長さ等の物性を高めたり金属粒子51同士を結び付けたりするのに必要かつ十分な径となる。これにより、バインダー52の総量を減らすことができ、前述したようなバインダー52の量が多いことによる不具合の程度を減らすことができる。
なお、繊維状分散体521の平均径が前記下限値を下回ると、繊維状分散体521の構成材料等によっては、上記効果を奏するのに径が足らなくなるおそれがある。また、繊維状分散体521の平均径が前記上限値を上回ると、繊維状分散体521の構成材料等によっては、バインダー52の流動性が低下し、金属粒子51同士の間にバインダー52を行き渡らせることが難しくなるおそれがある。
なお、繊維状分散体521の平均径とは、造粒粒子1に含まれる繊維状分散体521を100本以上取り出し、それぞれの径を平均したものである。
また、繊維状分散体521には、必要に応じて、カップリング剤処理、界面活性剤処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、プラズマ照射処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、繊維状分散体521の熱分解温度は、特に限定されないが、200℃以上600℃以下であるのが好ましく、250℃以上500℃以下であるのがより好ましい。繊維状分散体521の熱分解温度が前記範囲内であることにより、造粒粒子1を用いて形成された成形体を脱脂、焼成するとき、昇温過程の初期段階で繊維状分散体521が分解してしまうのを抑制することができる。加えて、脱脂、焼成の際に、金属粒子51同士が焼結する温度まで昇温されたときにも、繊維状分散体521が分解されずに残留してしまうのを抑制することができる。その結果、繊維状分散体521が早期に分解してしまうことによる成形体の寸法精度の低下を抑制しつつ、繊維状分散体521由来の残留物が発生してしまうのを抑制することができ、最終的に高品質な焼結体を製造することができる。
なお、繊維状分散体521の熱分解温度は、熱重量・示差熱測定装置(TG−DTA装置)により測定される。
バインダー52における繊維状分散体521の比率は、特に限定されないものの、1質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上85質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以上70質量%以下であるのがさらに好ましい。繊維状分散体521の比率を前記範囲内に設定することにより、繊維状分散体521を添加することによる上述した効果を十分に発現させることができる。
なお、繊維状分散体521の比率が前記下限値を下回ると、繊維状分散体521を添加することによる上述した効果が発現し難くなるおそれがある。一方、繊維状分散体521の比率が前記上限値を上回ると、バインダー52において繊維状分散体521の比率が高くなり過ぎるため、繊維状分散体521の形状や構成材料、繊維状分散体521以外の成分によっては、バインダー52の流動性が低下し、金属粒子51同士の間にバインダー52を行き渡らせることが難しくなるおそれがある。
また、バインダー52は、さらに、繊維状分散体521とは異なる成分522を含んでいるのが好ましい(図1参照)。このような成分522を含むことにより、繊維状分散体521では不足している機能等をバインダー52に追加することができる。これにより、例えば繊維状分散体521とは異なる成分522が繊維状分散体521と金属粒子51との結着を助けることによって、造粒粒子1に外力や衝撃等が加わったときでもさらに破壊し難い造粒粒子1を実現することができる。
かかる成分522としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、ワックス類、アルコール類、高級脂肪酸、脂肪酸金属、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、非イオン性界面活性剤、シリコーン系滑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
このうち、ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸イミドのようなエステル等の合成ワックスが挙げられる。
また、アルコール類としては、例えば、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等が挙げられ、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、マンニトール等が好ましく用いられる。
また、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸のような飽和脂肪酸が好ましく用いられる。
また、脂肪酸金属としては、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸のような高級脂肪酸と、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cdのような金属との化合物が挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等が好ましく用いられる。
また、非イオン性界面活性剤系滑剤としては、例えば、エレクトロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−TS−3(いずれも花王株式会社製)等が挙げられる。
また、シリコーン系滑剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンおよびその変性物、カルボキシル変性シリコーン、αメチルスチレン変性シリコーン、αオレフィン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、オレフィンポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等が挙げられる。
これらの中でも、特に、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンが好ましく用いられる。これらは、結着性が高いため、比較的少量であっても効率よく造粒粒子1を形成することができる。このため、バインダー52の総量を減らすことができ、前述したようなバインダー52の量が多いことによる不具合の程度を減らすことができる。また、熱分解性も高いことから、脱脂および焼成の際に、短時間で確実にバインダー52を分解、除去することが可能になる。
なお、成分522の軟化点は、特に限定されないが、繊維状分散体521の熱分解温度より低いことが好ましく、10℃以上200℃以下程度低いことがより好ましく、30℃以上150℃以下程度低いことがさらに好ましい。このような成分522を用いることにより、造粒粒子1を用いて形成された成形体を脱脂、焼成するとき、昇温過程の初期段階で繊維状分散体521が分解してしまう前に成分522を溶解させることができる。これにより、成分522が溶解したとしても成形体が変形し難くなり、最終的に寸法精度の高い焼結体を製造することができる。また、成分522の軟化点が低過ぎることによって、成形体の取り扱いが難しくなるのを防止することができる。
なお、成分522の軟化点とは、成分522が結晶性樹脂の場合には「融点」を指し、非晶質性樹脂の場合には「ガラス転移点」を指す。そして、成分522の軟化点は、熱重量・示差熱測定装置(TG−DTA装置)により測定される。
また、金属粒子51に対するバインダー52の質量割合は、金属粒子51の構成材料やバインダー52に含まれる成分等に応じて適宜設定されるが、0.01質量%以上0.5質量%以下であるのが好ましく、0.03質量%以上0.4質量%以下であるのがより好ましく、0.05質量%以上0.3質量%以下であるのがさらに好ましい。金属粒子51に対するバインダー52の質量割合を前記範囲内に設定することにより、バインダー52の総量が十分に抑えられた造粒粒子1を得ることができる。かかる造粒粒子1によれば、前述したようなバインダー52の量が多いことによる不具合の程度を減らすことができる。
なお、バインダー52の含有率が前記下限値を下回ると、金属粒子51の粒径等によっては、バインダー52の量が少なくなり過ぎて、造粒粒子1の保形性が低下するおそれがある。一方、バインダー52の含有率が前記上限値を上回ると、金属粒子51の粒径等によっては、バインダー52の量が多過ぎて、前述したようなバインダー52の量が多いことによる不具合が発生するおそれがある。
(金属粒子)
本発明の造粒粉末に含まれる金属粒子51としては、特に限定されず、いかなる種類の金属粒子51であってもよい。金属粒子51の構成材料としては、粉末冶金に供される焼結可能な金属材料が挙げられ、例えば、Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W等の金属の単体、またはこれらの少なくとも1種を含む合金が挙げられる。
また、金属粒子51を含む金属粉末は、互いに組成が異なる2種類以上の粉末を混合してなる混合粉末であってもよく、金属粉末とセラミック粉末との混合粉末であってもよい。
このうち、Fe系合金としては、例えば、ステンレス鋼、低炭素鋼、炭素鋼、耐熱鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等が挙げられる。
また、Ni系合金としては、例えば、Ni−Cr−Fe系合金、Ni−Cr−Mo系合金、Ni−Fe系合金等が挙げられる。
また、Co系合金としては、例えば、Co−Cr系合金、Co−Cr−Mo系合金、Co−Al−W系合金等が挙げられる。
また、Ti系合金としては、例えば、Tiと、Al、V、Nb、Zr、Ta、Mo等の金属元素との合金が挙げられ、具体的には、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb等が挙げられる。
また、Al系合金としては、例えば、ジュラルミン等が挙げられる。
また、セラミック粉末を構成するセラミックス材料としては、例えば、アルミナ、マグネシア、ベリリア、ジルコニア、イットリア、フォルステライト、ステアタイト、ワラステナイト、ムライト、コージライト、フェライト、サイアロン、酸化セリウムのような酸化物系セラミックス材料、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのような非酸化物系セラミックス材料等が挙げられる。
また、金属粉末の平均粒径は、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下とされ、さらに好ましくは3μm以上10μm以下とされる。このような粒径の金属粉末は、成形時の圧縮性の低下を避けつつ、造粒粉末の流動性が十分に高くなるため、最終的に十分に緻密な焼結体を製造可能なものとなる。
なお、平均粒径が前記下限値未満である場合、造粒前において金属粉末が凝集し易くなり、造粒粉末の粒子間において金属粉末の含有量にばらつきが生じたり、成形時の圧縮性が著しく低下したりするおそれがある。一方、平均粒径が前記上限値を超える場合、成形した際に、造粒粉末の粒子間の隙間が大きくなり過ぎて、最終的に得られる焼結体の緻密化が不十分になるおそれがある。
また、金属粉末の平均粒径とは、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から50%のときの粒径のことである。
また、金属粉末の最大粒径は、10μm以上100μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上50μm以下程度であるのがより好ましい。このような最大粒径を有する金属粉末を用いることにより、造粒粉末を成形する際の造粒粉末の流動性を特に高めることができる。その結果、最終的に、寸法精度が高くかつ機械的特性に優れた焼結体を製造することができる。すなわち、金属粉末の最大粒径は、造粒粉末の流動性に大きな影響を及ぼすとともに、成形時には金属粉末の充填性にも大きな影響を及ぼす。したがって、最大粒径を前記範囲内に設定することにより、最終的に、寸法精度が高くかつ機械的特性に優れた焼結体を得ることができる。
なお、金属粉末の最大粒径とは、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から99.9%のときの粒径のことである。
さらに、金属粉末の平均粒径をD50とし、金属粉末についてレーザー回折法により得られた粒度分布において質量基準の粒度の累積が小径側から10%のときの粒径をD10とし、同様に小径側から90%のときの粒径をD90としたとき、(D90−D10)/D50は、0.5以上5以下であるのが好ましく、1.0以上3.5以下であるのがより好ましい。このような条件を満足する金属粉末は、造粒粉末の形状をより真球に近づけることを可能にする。このため、得られる造粒粉末はとりわけ流動性の高いものとなり、最終的に得られる焼結体の寸法精度と機械的特性とが特に良好になる。また、粒度分布が最適化されているため、成形時の密度のばらつきが抑えられ、成形時の残留応力のばらつきも小さく抑えられる。その結果、応力解放に伴う成形体の変形量が抑えられ、最終的に焼結体の寸法精度が特に良好になる。
このような金属粉末は、いかなる方法で製造されたものでもよいが、例えば、アトマイズ法(水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の方法により製造されたものを用いることができる。
このうち、金属粉末には、アトマイズ法により製造されたものを用いるのが好ましい。アトマイズ法によれば、前記したような極めて微小な平均粒径の金属粉末を効率よく製造することができる。また、粒径のばらつきが少なく、粒径の揃った金属粉末を得ることができる。したがって、このような金属粉末を用いることにより、焼結体における気孔の生成を防止することができ、密度の向上を図ることができる。
また、アトマイズ法で製造された金属粉末は、比較的真球に近い球形状をなしているため、成形時の充填性に優れるとともに、バインダーに対する分散性に優れたものとなる。このため、造粒粉末を成形型に充填して成形する際に、その充填性および均一性を高めることができ、最終的により緻密な焼結体を得ることができる。
このような造粒粒子1の用途は、特に限定されないが、例えば、当該造粒粉末を成形してなる成形体の製造、特に焼結体製造用の成形体の製造に好適に用いられる。
なお、造粒粒子1は、上記以外に、溶媒(分散媒)、防錆剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
<造粒粉末の製造方法>
次に、本発明の造粒粉末の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態に係る造粒粉末の製造方法は、繊維状をなす繊維状分散体521を含むバインダー52を含有するバインダー溶液を調製する工程と、バインダー溶液を用い、金属粒子51同士を結着し、造粒する工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、繊維状分散体521を含むバインダー52を含有するバインダー溶液を調製する。
バインダー溶液は、バインダー52と、必要に応じてそれを溶解または分散させる溶媒(分散媒)と、を用いて調製される。溶媒としては、例えば、水、アルコール類等が挙げられる。
[2]次に、得られたバインダー溶液を用いて金属粒子51同士を結着し、造粒する。このようにしてバインダー溶液を調製した後、バインダー溶液を用いて金属粒子51同士を結着するようにすれば、バインダー溶液を金属粒子51同士の間にムラなく行き渡らせることができる。このため、バインダー溶液が均一に行き渡ることとなり、粒径の揃った造粒粉末を製造することができる。すなわち、高品質な焼結体を製造可能な造粒粉末を効率よく製造することができる。
造粒法としては、例えば、噴霧乾燥(スプレードライ)法、転動造粒法、流動層造粒法、転動流動造粒法等が挙げられる。
このうち、噴霧乾燥法では、金属粒子51とバインダー溶液とを混合してなるスラリー(懸濁液)を用いる。そして、このスラリーを、噴霧乾燥することにより、造粒粒子1が得られる。
スラリー中には、必要に応じて、防錆剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤等、任意の添加剤が添加されていてもよい。
以上のようにして複数の金属粒子51をバインダー52で結着してなる造粒粒子1が得られる。
また、このようにして得られた造粒粒子1に対し、必要に応じて、加熱処理を施すようにしてもよい。これにより、バインダー52の吸湿性が若干低下するため、造粒粒子1が吸湿し難くなる。
この際の加熱温度は、バインダー52の組成に応じて適宜設定されるが、一例として150℃以上250℃以下程度とされる。
また、加熱時間は、一例として0.1時間以上3時間以下程度とされる。
<焼結体の製造方法>
次に、造粒粉末を用いて焼結体を製造する方法の一例について説明する。
(成形)
まず、上述したような本発明の造粒粉末を用いて、プレス成形機により成形し、所望の形状、寸法の成形体を製造する。本発明の造粒粉末は、バインダーの使用量を少なく抑えられているため、金属粉末の充填性が高い成形体を得ることができる。また、成形型への充填量が安定するため、成形体の寸法精度を高めることができる。その結果、高密度で寸法精度の高い成形体を製造することができ、最終的に、高密度で寸法精度の高い焼結体が得られる。
なお、製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定される。また、成形法は、プレス成形に限定されず、押出成形、射出成形等であってもよい。
(脱脂)
前述した成形工程で得られた成形体に対し、脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。この脱脂処理としては、特に限定されないが、非酸化性雰囲気、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−1〜1×10−6Torr)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガス等のガス中で、熱処理を行うことによりなされる。この場合、熱処理の条件は、バインダーの分解開始温度等によって若干異なるが、好ましくは温度100℃以上750℃以下程度で0.5時間以上40時間以下程度、より好ましくは温度150℃以上700℃以下程度で1時間以上24時間以下程度とされる。
(焼成)
前述した脱脂工程で得られた脱脂体を焼成炉で焼成して焼結させ、目的とする焼結体を得る。この焼成により、造粒粉末を構成していた金属粉末は、拡散、粒成長し、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率の焼結体が得られる。
焼成時における焼成温度は、造粒粉末の組成等により若干異なるが、例えば、Fe基合金粉末を用いた場合、1100℃以上1400℃未満であるのが好ましく、1200℃以上1350℃以下であるのがより好ましい。
焼成中の最高温度保持時間は0.5時間以上5時間以下程度であるのが好ましく、0.75時間以上3時間以下程度であるのがより好ましい。
特に、本発明の造粒粉末は、バインダーの含有量が少ないものである。このため、バインダー由来の物質の残留量が少なく、高密度で寸法精度の高い高品質な焼結体が得られる。
また、焼成雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、金属の酸化による特性劣化を防ぐことができる。
なお、上記のようにして得られた焼結体は、いかなる目的で用いられるものであってもよく、その用途としては、例えば各種機械部品等が挙げられる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、造粒粉末の製造方法では、必要に応じて、任意の工程を追加することができる。
また、本発明の造粒粉末には、必要に応じて、任意の要素が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.造粒粉末の製造
(実施例1)
<1>まず、金属粉末として、水アトマイズ法により製造された平均粒径10μmの合金工具鋼粉末(エプソンアトミックス(株)製、SKD−11)を用意した。
<2>一方、バインダーの成分として、セルロースナノファイバー(CeNF)と、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−117)と、を用意した。なお、セルロースナノファイバーの平均長さは10μm、平均径は10nm、熱分解温度は300℃であった。また、ポリビニルアルコールの融点は200℃であった。
そして、溶媒としてイオン交換水を用意し、上述したバインダーの成分を添加した後、室温まで冷却することにより、バインダー溶液を調製した。バインダーの成分の配合比や金属粉末に対するバインダーの固形分の質量割合等は、表1に示す通りである。
<3>次に、金属粉末とバインダー溶液とを混合し、スラリーを調製した。スラリー中の金属粉末の割合は70質量%とした。
<4>次いで、噴霧乾燥装置にスラリーを投入して造粒し、平均粒径60μmの造粒粉末を得た。
(実施例2〜20)
バインダーおよびその添加量等を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして造粒粉末を得た。
なお、表1における略称は、以下のことを指している。
PVA:ポリビニルアルコール
PVP:ポリビニルピロリドン
CeNF:セルロースナノファイバー
CeNC:セルロースナノクリスタル
また、各実施例で使用したセルロースナノファイバーの平均長さは5μm以上100μm以下であり、平均径は5nm以上60nm以下であった。
また、各実施例で使用したセルロースナノクリスタルの平均長さは100nm以上500nm以下であり、平均径は10nm以上50nm以下であった。
(比較例1〜4)
バインダーおよびその添加量等を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして造粒粉末を得た。
2.造粒粉末および成形体の評価
2.1 見掛密度の評価
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末をステンレス鋼製の箱に入れ、1分間振動を加えた。
次いで、加振後の造粒粉末について、JIS Z 2504:2012に規定の金属粉の見掛密度測定方法により、見掛密度を測定した。
そして、比較例1で得られた造粒粉末の見掛密度を1とし、各実施例および各比較例で得られた造粒粉末の見掛密度の相対値を算出した。
算出結果を表1に示す。
2.2 流動度の評価
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末をステンレス鋼製の箱に入れ、1分間振動を加えた。
次いで、加振後の造粒粉末について、JIS Z 2502:2012に規定の金属粉の流動性試験方法により、流動度を測定した。
そして、比較例1で得られた造粒粉末の流動性を1とし、各実施例および各比較例で得られた造粒粉末の流動度の相対値を算出した。
続いて、算出した相対値を以下の評価基準に照らして評価した。
<流動度の評価基準>
○:流動度の相対値が1超
△:流動度の相対値が1以下
評価結果を表1に示す。
2.3 吸湿量の評価
まず、各実施例および各比較例で得られた造粒粉末10gをガラスシャーレ上に秤量した。
次に、75%の相対湿度の条件を得るために塩化ナトリウム水溶液を入れて23℃に保持したデシケーター内に、造粒粉末を入れたガラスシャーレを放置した(飽和塩法、JIS B 7920:2000)。
そして、放置開始から120分後にそれぞれ造粒粉末の質量を測定した。そして、次式にしたがって吸湿量を測定した。
吸湿量(質量%)=(W−W)/W×100
ただし、Wは、測定時の質量、Wは、初期の質量、である。
続いて、算出した吸湿量を以下の評価基準に照らして評価した。
<吸湿量の評価基準>
○:吸湿量が0.01質量%以下である
△:吸湿量が0.01質量%超0.04質量%以下である
×:吸湿量が0.04質量%超である
測定結果を表1に示す。
2.4 ラトラ値の評価
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末について、以下に示す成形条件で成形した。
<成形条件>
・成形方法 :プレス成形法
・成形形状 :断面積1cm、直径と同じ高さの円柱状
・成形圧力 :600MPa(6t/cm
・成形環境 :室温26℃、相対湿度80%
次に、得られた成形体について、日本粉末冶金工業会規格の「金属圧粉体のラトラ値測定方法(JPMA P11−1992)」により、ラトラ試験を行った。なお、ラトラ試験とは、成形体の耐チッピング性を評価するための試験である。
具体的には、まず、成形体5個を試験用金網かごに投入した。次いで、金網かごを回転速度87±10rpmで1000回転させた。
そして、以下の数式に基づいて、ラトラ値を算出した。
ラトラ値(%)={(試験前の成形体の質量−試験後の成形体の質量)/試験前の成形体の質量}×100
算出結果を表1に示す。
Figure 0006926447
表1から明らかなように、各実施例で得られた造粒粉末は見掛密度および吸湿性が高く、また、その造粒粉末を用いて得られた成形体はラトラ値が小さいことから耐チッピング性が良好であることが認められた。よって、各実施例で得られた造粒粉末は、最終的に高品質な焼結体を製造可能なものであると言える。
なお、金属粉末の組成をステンレス鋼(SUS316L)に変更した場合についても評価したが、評価結果は上記と同様の傾向を示した。
1…造粒粒子、51…金属粒子、52…バインダー、521…繊維状分散体、522…成分

Claims (8)

  1. 粉末冶金用の金属粉末と、
    繊維状をなす繊維状分散体を含むバインダーと、
    を有し、
    前記繊維状分散体は、有機繊維で構成され、
    前記繊維状分散体の平均径は、1nm以上300nm以下であることを特徴とする焼結用造粒粉末。
  2. 前記バインダーの含有率が0.01質量%以上0.5質量%以下である請求項1に記載の焼結用造粒粉末。
  3. 前記繊維状分散体は、セルロースを含有する請求項1または2に記載の焼結用造粒粉末。
  4. 前記繊維状分散体は、植物由来である請求項3に記載の焼結用造粒粉末。
  5. 前記繊維状分散体の平均長さは、50nm以上500μm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の焼結用造粒粉末。
  6. 前記バインダーは、さらに、前記繊維状分散体とは異なる成分を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の焼結用造粒粉末。
  7. 前記成分の軟化点は、前記繊維状分散体の熱分解温度より10℃以上200℃以下低い請求項6に記載の焼結用造粒粉末。
  8. 繊維状をなす繊維状分散体を含むバインダーを含有するバインダー溶液を調製する工程と、
    前記バインダー溶液を用い、粉末冶金用の金属粒子同士を結着し、造粒する工程と、
    を有し、
    前記繊維状分散体は、有機繊維で構成され、
    前記繊維状分散体の平均径は、1nm以上300nm以下であることを特徴とする焼結用造粒粉末の製造方法。
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